はじめに 本稿は 平成24年度前期に高松短期大学秘書科において行われた研究授業の実施報告で ある 本学における研究授業は 教員の指導力ならびに授業方法の改善 学生の実態把握 等を目的に 平成15年度より各学部 学科単位で学期に一度の割合で実施されている 平成24年度は 秘書科では前期に筆者が ビジネ

Similar documents
H /高松大学研究紀要(第56・57合併号).indb

長 は10 年 ) にすべきことを 求 める ⑸ 改 善 意 見 として 事 務 引 継 書 にかかる 個 別 フォルダーの 表 示 について 例 えば 服 務 休 暇 全 般 ( 事 務 引 継 書 を 含 む) といったように 又 は 独 立 した 個 別 フォルダーとして 説 明 を 加 え

1

< F2D8E518D6C B83678C8B89CA >

56 語学教育研究所紀要 Vol.10 上記項目を前年度と比較すると, 数値はほとんど変わらない データの分析及び考察は別稿にゆずることにし, ここでは前年度と大きく異なる点は自由記載が多くなったことであることを指摘したい 回収回答者の半数近くが自由記載に積極的だった 昨年度は教師に対する感謝の言葉

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

<4D F736F F D CF322D33817A95DB8CEC8ED292B28DB881698A6D816A2E646F63>

<4D F736F F D208E9197BF A955B895E93AE82CC8B4B90A C982C282A282C42E646F6378>

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

スライド 1

1. 企 業 団 体 における 英 語 活 用 状 況 に 関 する 調 査 8 割 以 上 企 業 団 体 が 英 語 を 使 用 図 1 質 問. 貴 では 英 語 を 使 用 する 部 署 部 門 がありますか (1つだけ) (N=681) まず 英 語 を 使 用 する 部 署 部 門 有

保 護 者 のみなさまへ エビングハウスの 忘 却 曲 線 というものがあります 一 度 学 習 して 覚 えたこと でも 1 時 間 後 には 56% 忘 れ 1 日 たつと 74% 忘 れてしまうというものです 学 校 で 習 ったときにわかったつもりでも 1 日 たつと4 分 の1しか 覚 え

1. 実 施 内 容 (1) 研 修 体 制 の 概 要 2 大 阪 府 教 育 庁 大 阪 府 教 育 センター 進 捗 管 理 研 修 の 委 託 進 捗 管 理 連 携 協 力 進 捗 報 告 民 間 業 者 ( 外 部 機 関 ) 市 町 村 教 育 委 員 会 府 立 高 等 学 校 研

世 羅 町 立 世 羅 中 学 校 下 森 憲 治 神 田 明 埜 上 千 幸 金 子 哲 菅 隆 幸 土 生 秀 子 前 由 紀 恵 世 羅 町 立 世 羅 西 中 学 校 佐 伯 邦 章 藤 原 康 治 宮 岡 英 明 湯 浅 裕 子 川 﨑 とも 子 (3) 研 究 テーマ 生 徒 の 思 考

<4D F736F F D208C6F D F815B90A BC914F82CC91CE899E8FF38BB582C982C282A282C42E646F63>

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

自衛官俸給表の1等陸佐、1等海佐及び1等空佐の(一)欄又は(二)欄に定める額の俸給の支給を受ける職員の占める官職を定める訓令

Taro-学校だより学力調査号.jtd

2016 年度シラバス科目名 Communication Skills V (CALL) 担当者高橋妙子免許 資格受講要件 開講学科等 英語コミュニケーション学科 授業形態 演習 開講時期 後期 配当学年 2 単 位 数 2 必修 選択 選択必修 授業概要と方法ロマンティックコメディ映画を教材化した

Microsoft Word - p docx

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

一宮市町内会に対する防犯カメラ設置補助金交付要綱

平成17年度高知県県産材利用推進事業費補助金交付要綱

国 語 算 数 外 国 語 活 動 リズムを 感 じ 取 りながら 発 声 の 仕 方 に 気 をつけて 音 読 や 群 読 を 楽 しく 行 うことができる 漢 字 の 部 首 を 理 解 することが できる 整 数 の 加 法 減 法 乗 法 の 計 算 についての 理 解 を 深 め 確 実

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

4 調 査 の 対 話 内 容 (1) 調 査 対 象 財 産 の 土 地 建 物 等 を 活 用 して 展 開 できる 事 業 のアイディアをお 聞 かせく ださい 事 業 アイディアには, 次 の 可 能 性 も 含 めて 提 案 をお 願 いします ア 地 域 の 活 性 化 と 様 々な 世

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

18 国立高等専門学校機構


リクナビ派遣様_生活ラボニュース_リリースPDFフォーマット.PPT

一般競争入札について

様 式 5 平 成 28 年 度 NOSAI 夏 期 臨 床 実 習 事 前 アンケート * 申 込 をした 方 に を 付 けてください スタンダード 編 ステップアップ 編 氏 名 所 属 大 学 学 年 1. NOSAI 夏 期 臨 床 実 習 への 参 加 を 希 望 する 理 由 動 機

スライド 1

加 算 税 制 度 の 見 直 し 等 1. 現 行 制 度 の 概 要 関 税 においては 国 税 ( 輸 入 貨 物 に 対 する 内 国 消 費 税 を 含 む 以 下 同 じ ) の 制 度 と 同 様 の 過 少 申 告 加 算 税 無 申 告 加 算 税 及 び 重 加 算 税 の 制

4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

前 年 度 の 受 講 希 望 者 数 及 び 修 了 者 数 講 座 名 称 受 講 希 望 者 数 7 人 23 人 7 人 10 人 修 了 者 数 8 人 7 人 単 位 修 得 の 条 件 8 回 目 の 講 義 終 了 後, 通 信 指 導 を 行 い, 合 格 者 に 対 して 単 位

所沢市告示第   号

Mastery Drills for the TOEIC(R) TEST All in One

H /高松大学研究紀要(第56・57合併号).indb

40 宮崎県

中高の英語指導の実態と 教員の意識 ―「中高の英語指導に関する実態調査2015」 ―

PowerPoint プレゼンテーション

1_扉-配布用.indd

(3) 調 査 の 進 め 方 2 月 28 日 2 月 28 日 ~6 月 30 日 平 成 25 年 9 月 サウンディング 型 市 場 調 査 について 公 表 松 戸 市 から 基 本 的 な 土 地 情 報 サウンディングの 実 施 活 用 意 向 アイデアのある 民 間 事 業 者 と

若 しくは 利 益 の 配 当 又 はいわゆる 中 間 配 当 ( 資 本 剰 余 金 の 額 の 減 少 に 伴 うものを 除 きます 以 下 同 じです )を した 場 合 には その 積 立 金 の 取 崩 額 を 減 2 に 記 載 す るとともに 繰 越 損 益 金 26 の 増 3 の

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

Microsoft Word - 目次.doc

教員免許更新制ハンドブック2

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

<4D F736F F D A94BD837D836C B4B92F62E646F6378>

<4D F736F F F696E74202D B E E88E68C9A90DD8BC65F E DC58F4994C52E >

2 その 年 中 の 特 定 支 出 の 額 ( 前 払 をした 特 定 支 出 ) 問 資 格 取 得 費 に 該 当 する 専 門 学 校 (2 年 制 )の 授 業 料 等 の 支 出 をしましたが この 特 定 支 出 については その 支 出 した 年 分 の 特 定 支 出 の 額 の

<4D F736F F F696E74202D D382E982B382C68AF1958D8BE090A C98AD682B782E B83678C8B89CA81698CF6955C A2E >

PowerPoint プレゼンテーション

Feature 平 成 24 年 度 事 業 報 告 並 びに 一 般 会 計 特 別 会 計 収 支 決 算 報 告 1. 知 的 資 産 経 営 と 企 業 間 連 携 の 推 進 による 地 域 産 業 の 活 性 化 ⑴ 経 営 革 新 への 取 り 組 み 支 援 による 地 域 産 業

2 県 公 立 高 校 の 合 格 者 は このように 決 まる (1) 選 抜 の 仕 組 み 選 抜 の 資 料 選 抜 の 資 料 は 主 に 下 記 の3つがあり 全 高 校 で 使 用 する 共 通 の ものと 高 校 ごとに 決 めるものとがあります 1 学 力 検 査 ( 国 語 数

1 年 女 子 保 健 体 育 生 徒 は 主 体 的 に 授 業 に 取 り 組 んでいる しかし 周 りが 動 かないと 動 けない 場 面 が 見 られる 体 育 係 が 声 掛 けをしているが 今 後 は 体 育 係 の 声 掛 けがなくても 動 けるようにしていく 運 動 が 苦 手 な

(Microsoft Word - \203A \225\345\217W\227v\227\314 .doc)

Speed突破!Premium問題集 基本書サンプル

積 み 立 てた 剰 余 金 の 配 当 に 係 る 利 益 準 備 金 の 額 は 利 益 準 備 金 1 の 増 3 に 記 載 します ⑸ 平 成 22 年 10 月 1 日 以 後 に 適 格 合 併 に 該 当 しない 合 併 により 完 全 支 配 関 係 がある 被 合 併 法 人 か

学校安全の推進に関する計画の取組事例

Microsoft Word - 2 答申概要.doc

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

外 国 語 学 習 に 関 する 語 彙 を 理 解 す( 小 テストによる 形 成 的 評 価 ) 自 分 が 考 える 外 国 語 学 習 のコツなどについて 書 く 言 語 の 4 技 能 語 ごとに 自 分 が 大 切 だと 考 える 勉 強 法 を 書 き 英 語 にまとめ(ワーク シート

1 物品管理の内部統制について

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

道 内 シ ル バ ー 人 材 セ ン タ ー の 現 状 に つ い て は 契 約 金 額 に お い て は 請 負 契 約 で は 減 少 し た も の の シ ル バ ー 派 遣 事 業 の 大 幅 な 伸 び に よ り 5 年 ぶ り に 前 年 実 績 を 上 回 っ た が 会

Microsoft Word - tokuten-manual1

個王座授業事例集(高英語)

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

PowerPoint プレゼンテーション

<81798D828D5A814091E58DE3817A313393FC8E8E939693FA B F94AD904D E786C73>

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

●幼児教育振興法案

Microsoft Word - 1表紙

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

住み慣れたこの町で最期まで 安心して暮らすために

2 出 願 資 格 審 査 前 記 1の 出 願 資 格 (5) 又 は(6) により 出 願 を 希 望 する 者 には, 出 願 に 先 立 ち 出 願 資 格 審 査 を 行 いますので, 次 の 書 類 を 以 下 の 期 間 に 岡 山 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 等

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか


東京都立産業技術高等専門学校

説 明 内 容 料 金 の 算 定 期 間 と 請 求 の 単 位 について 分 散 検 針 制 日 程 等 別 料 金 料 金 の 算 定 期 間 と 支 払 義 務 発 生 日 日 程 等 別 料 金 の 請 求 スケジュール 料 金 のお 支 払 い 方 法 その 他 各 種 料 金 支 払

34 県 立 鶴 岡 工 業 高 等 校 ( 全 日 制 ) 工 業 科 ( 機 械 科 電 気 電 子 科 情 報 通 信 科 建 築 科 環 境 化 科 ) 次 のいずれかに 該 当 する 1 文 化 的 活 動 や 体 育 的 活 動 において 地 区 大 会 を 経 て 県 大 会 に 出

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

PowerPoint プレゼンテーション

2. 日 時 場 所 日 時 場 所 については 以 下 の 通 りである 研 究 業 平 成 24 年 10 月 5 日 ( 金 )3 時 間 目 1 号 館 第 1 演 習 室 検 討 会 平 成 24 年 10 月 5 日 ( 金 )6 時 間 目 1 号 館 1 階 会 議 室 3. 受 対

(Microsoft Word - \220\340\226\276\217\221.doc)

「報・連・相」の方法

月 経 過 日 等 といいます )まで( 継 続 して 毎 年 所 定 の 時 期 にされる 定 期 給 与 の 額 の 改 定 が3 月 経 過 日 等 後 にされることについて 特 別 の 事 情 があると 認 められる 場 合 にあっ ては 当 該 改 定 の 時 期 )にされた 定 期 給

Microsoft Word - A6001A.doc

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

(1) 3 8 (2) (3) 3 (1) ( ) 3 8

PTA

Microsoft PowerPoint - 総合型DB資料_県版基金説明用.pptx

Transcription:

研究紀要 58 59 199 209 研究授業 ビジネスイングリッシュⅠ 実施報告 井 上 浩 巳 Report on Implementation of an Open Class Business EnglishⅠ Hiromi Inoue 要約 本稿は 高松短期大学秘書科で行われた平成24年度第1回研究授業の実施報告である 当該授業科目 ビジネスイングリッシュⅠ は 本学科の専門選択科目の1つであり 様々なビジネス場面において役立つ語彙や表現を習得し 実践力を養うことを目的として いる また TOEICの受験を奨励し スコアアップに向けた対策も同時に行っている 以下において 本講義の概要ならびに研究授業に対する参観者からの意見 今後の課題 について報告する キーワード 研究授業 ビジネスイングリッシュ TOEIC Abstract The purpose of this paper is to report on an open class Business EnglishⅠ conducted in the Department of Secretarial Studies at Takamatsu Junior College on June 11, 2012. Business EnglishⅠ is one of the elective subjects in the department and the aim of the class is to teach English expressions and knowledge used in various business situations. Also, this class provides students with the opportunity to get ready for the TOEIC test. This paper reports on the outline of the open class and attempts to show some of the pedagogical implications for further teaching. Key Words an open class, Business English, TOEIC 提出年月日2012 年 11月30日 高松短期大学秘書科講師 199

はじめに 本稿は 平成24年度前期に高松短期大学秘書科において行われた研究授業の実施報告で ある 本学における研究授業は 教員の指導力ならびに授業方法の改善 学生の実態把握 等を目的に 平成15年度より各学部 学科単位で学期に一度の割合で実施されている 平成24年度は 秘書科では前期に筆者が ビジネスイングリッシュⅠ を 後期に同学 科の森 靖之教授が 情報機器演習Ⅱ を担当した 1 研究授業の日程 研究授業ならびに検討会は 次の日程で行われた 研究授業 日 時 平成24年6月11日 月 3校時 13 00-14 30 場 所 本学1号館 1302講義室 科 目 ビジネスイングリッシュⅠ 受 講 生 本学秘書科2年生7名 参 観 者 本学秘書科教員4名 授業検討会 日 時 平成24年6月12日 火 1校時 9 00-10 30 場 所 本学1号館1階 会議室 参 加 者 本学秘書科教員7名 担当教員を含む 2 本講義の授業内容および授業形態 本講義は 2年次後期に開講されている ビジネスイングリッシュⅡ と連動しており 秘書科の専門選択科目の1つである 1年次の教養必修科目である 英語Ⅰ 英語Ⅱ 2年次生対象の教養選択科目 英語Ⅲ 英語Ⅳ すべて筆者担当科目 とも関連性を持 たせ 段階的に英語力を習得していくことができるようシラバスを構成している 2012年 度 本講義には8名の学生が受講し 全員が1年次に筆者が担当する 英語Ⅰ 英語Ⅱ 200

を履修している 入学時における学生の英語力のばらつきから 1年次は主に文法基礎の 復習に重点的に取り組んだ その結果 8名中7名が実用英語技能検定準2級に合格し 本講義に挑んでいる ビジネスイングリッシュⅠ Ⅱ では ビジネス場面での英語学習と並行して TOEICの対策を行っている 会社案内 電話応対 出張といった様々な実践的場面を想 定したロールプレイングを通して ビジネスにおいて必要とされる語彙や表現を習得する ことを目標としている さらに ビジネスのグローバル化やボーダレス化に伴い 企業に おける英語使用の割合が高まっていることから 平成21年度より本講義においても多くの 企業や団体でコミュニケーション英語能力を測る道具として活用されているTOEICのス コアアップにも力を入れて取り組んでいる 本講義ではTOEICのリーディングセクショ ンを 英語Ⅲ Ⅳ ではリスニングセクションを扱っている また総合的な英語力向上を目指し トラベルイングリッシュ 本学経営学部Williams 教授担当 の履修も奨励し 日常会話や旅行会話といったスピーキング力強化に向けた取 り組みも推し進めている そのため 英語力を伸ばしたい学生は 前期に 英語Ⅲ ビ ジネスイングリッシュⅠ トラベルイングリッシュ の3科目 後期には 英語Ⅳ ビ ジネスイングリッシュⅡ の2科目 計5科目履修できるよう編成されている 平成24年度の講義内容は 次の通りである 第1回 オリエンテーション 第2回 Business Introduction 第3回 TOEIC Menus / Invitations 第4回 Business Clarifying Meanings 第5回 TOEIC Feedback / Graphs 第6回 Business Phone Conversation 1 第7回 TOEIC Tables / Schedules 第8回 Business Phone Conversation 2 第9回 TOEIC Order Forms / Application Forms / Invoices 第10回 Business Calling in Sick 第11回 TOEIC Instructions / Advertisements 第12回 Business Appointments 第13回 TOEIC Notices / Announcements 第14回 Business Making Offers 第15回 授業のまとめ 201

テキスト2冊を使用し ビジネス場面における英語運用能力育成とTOEIC対策を隔週 で進めている 共通の課題として 毎時間50問の語彙テストを実施し さらに家庭学習と してTOEICのリーディングセクションPart5 短文穴埋め問題 15問を課している 本研究授業実施日である第9回目はTOEIC対策であったが 参観者に学生のアウト プット活動や英語力の現状をより把握してもらうため 第8回目と第9回目の授業内容を 入れ替えて実施した 3 研究授業の概要 本研究授業では 秘書の業務には必要不可欠とされる電話応対を取り上げた 第6回の Phone Conversation 1 において電話応対と取り次ぎの基本表現を既に学んでおり 本 時はその内容に加え 不在を伝える様々な表現 伝言の取り方 名前やスペルの確認の仕 方を新たに導入した 学習目標は 1 電話応対の基本表現を身につけることができる 2 相手の名前と 電話番号を正確に聞き取ることができる 3 聞き取りにくい発音をPhonetic Alphabet を使って聞き返し 確認することができるとした 本時の学習指導過程は 次の通りである 学習指導案 学習内容 活動 指導 支援活動 評価 1 あいさつをする 2 語彙テスト 次週の発音確認 TOEIC対策 意欲 を行う 英単語を見て 意味を反射的に認識でき 与えられた課題 家庭学 るよう 英語ではなく日本語を書く課題 習 に熱心に取り組んで とする いるか 発音記号から発音を推測することで 発 音記号に慣れ 自然な発音を定着させる 2 前時Unit3の復習をする ⑴Key Expressionsを確認する 本時においても扱う重要な基本表現が多 ⑵ペアでDialogを練習する く含まれているため 段階的に発言量を 増やし全員が定着できるよう留意する 意欲 積極的に聞き取った情報 を発表できたか 3 本時の学習Unit4をする ⑴Model Conversationを 聞 き 得た情報を発表する ⑵Key Expressionsを確認する 理解 ⑶名前 電話番号を聞き取る練 時間外の学習を設定し 様々な問題に取 名前と電話番号を正確に 習をする り組めるよう留意する 聞き取ることができたか 202

⑷Dialogを練習する 基本表現を何度も繰り返し練習すること 名前 電話番号を尋ねる応 で 定着を図る 答練習 表現 スペルを聞く練習 日本語の聞き間違えやすい人名の例を示 Phonetic Alphabetを用 し Phonetic Alphabetを用いて確認す いて聞き返し 確認する る必要性を認識させる ことができたか ⑸様々な不在理由の表現を学ぶ 様々な表現を扱うことで 臨機応変に対 意欲 理解 表現 応できる力を身につけるよう留意する 電話応対の基本表現を身 ⑹全体 ペアで電話応対練習を 実践を想定し 自然な会話になるようで につけることができたか する きるだけテキストを見ないよう助言す る 理解 ⑺伝言メモを読み 質問に答え 4 技 能 を バ ラ ン ス よ く 習 得 す る た め 必要な情報を正確に聞き る リーディングやライティングの活動も取 取り 書き表すことがで り入れる きたか ⑻伝言を聞き 基本情報をメモ に書き取る ⑼TOEICリスニング問題を解 TOEIC対策 く 電話応答を扱ったTOEIC形式の演習問 題に取り組むことで 実践力を養う 4 検討会ならびに参観者からの意見 この項では 研究授業後の検討会ならびに参観者からの 授業参観記録 から出された 意見を紹介する コメントの観点については 本学所定の 授業参観記録 の様式に従っ ている 1 授業を積極的に評価できる点 ①教育内容 電話応対の方法と伝言メモの書き方が目的の授業内容であり まさに秘書の業務には 必要不可欠とされるものであった 実際のビジネスの現場では どれだけの人たち が 英語 外国語 での電話応対や来客応対を行っているのか またそのような機会 があるかは定かではないが いざというときに とっさに片言でもよいので 英語で 対応できるようにしておくことが望ましい それが 秘書教養の一つとして重要な要 素であり 大学で身に付けるべき教養であると思う 名前や電話番号の聞き取りという初学者には難易度の高い内容が 分かりやすく講義 されていた 秘書実務 のテキストにも英語による電話応対の例が示されていることから 今回 203

のユニットは 秘 書 科 科 目 としても 重 要 な 内 容 である 2 授 業 方 法 少 人 数 の 利 点 を 生 かして 丁 寧 にきめ 細 かい 指 導 がなされていた 基 本 的 に 英 語 で 授 業 を 行 い 内 容 の 解 説 や 学 生 との 対 話 を 通 して 繰 り 返 し 言 い 聞 かせるなど 根 気 強 く 指 導 されていることに 感 心 した 普 段 英 語 に 耳 慣 れていない 学 生 たちばかりで 難 しさ もあると 思 われるが 先 生 の 英 語 表 現 をいやというほど 耳 で 聞 き 実 際 に 真 似 るうち に いつしか 自 分 のものになるであろうことが 期 待 される 授 業 方 法 であった 単 語 の 確 認 の 際 に 発 音 記 号 をモニターに 表 示 することによって 単 語 の 発 音 を 目 と 耳 の 双 方 から 習 得 できるようになっていた Key sentenceをモニターに 表 示 することによって 学 生 が 会 話 の 内 容 を 確 認 しなが ら 学 べるよう 工 夫 されていた 学 生 同 士 をペアにして 会 話 の 練 習 をさせることによって 会 話 のやり 取 りを 擬 似 的 に 体 験 できるようになっていた 重 要 なセンテンスを 反 復 的 に 復 唱 させることによって 英 語 表 現 を 体 得 できるように 工 夫 されていた 学 生 をまんべんなく 指 名 して 回 答 させることによって 適 度 な 緊 張 感 が 保 たれてい た あいさつ 出 欠 確 認 復 習 新 しいユニットを 学 習 という 流 れがスムーズであった 前 回 の 授 業 の 復 習 をしたうえで 新 しいユニットに 進 んでいる そのうえ 前 回 の 重 要 ポイントを 再 説 明 している いかなる 科 目 も 繰 り 返 すこと( 復 習 )が 重 要 である と 思 うので 理 想 的 な 進 め 方 である 復 習 の 単 語 テストでは 全 員 の 前 で その 結 果 を 各 自 に 報 告 させていることから 学 生 に 恥 ずかしい 結 果 を 報 告 したくないとの 気 持 ちが 生 まれるため 復 習 をする 習 慣 が 容 易 に 身 につくと 思 う 3 校 時 という 昼 食 後 の 眠 たくなる 時 間 帯 に 全 員 が 英 語 に 集 中 しており 演 習 ならで はの 光 景 だった また 可 能 な 限 り 容 易 な 英 語 を 使 って 学 生 に 指 示 を 出 している 点 は 英 語 ならではの 光 景 であり 新 鮮 だった はきはきと 聞 き 取 りやすい 声 で 説 明 されていた 常 に 学 生 の 状 況 を 確 認 しながら 授 業 を 進 行 されている -204-

③その他 少人数の授業のため 和気あいあいとした雰囲気が醸し出されていた 井上先生自身が 学生に語りかけながら 楽しそうに授業をしていたため 学生も熱 心に かつ楽しそうに授業に取り組んでいた 事前に 家庭で予習復習を課し 家庭学習の時間を確保している 2 授業の改善にかかわる点 ②授業方法 TOEIC対策を取り入れているため ある程度速いスピードの英語を聞き取る必要が あるのかもしれない 個人的には 英語の電話番号は 私自身聞き間違いもあった ことから スピードが速い部分もあった 発表学生の発音が曖昧であるのが気になった ③その他 テープでの声を聞き取るのは かなり難しいと感じた 他の方法として 実際に演習 用の電話 秘書実務の電話応対のロールプレイングで使用する機械 を使ってやって みると 英語での応対の状況が録音でチェックができるので 良いのではないか 2 年生は1年次で秘書実務の電話応対をこの機械を使って実践済みのため 余計に理解 も深まるのではないか クラスワークのグルーピングを能力別にするとどうか また 難しいことであるが レベルによって演習させる内容を別にするのはどうか 3 授業全体の感想 どちらかというとテンションの低い学生たちを相手に 学習意欲をうまく引き出し て やる気にさせる活気に満ちたいい授業であった たとえ少人数の学生たちであっ ても ビジネスの現場で生かせる英語を身に付けたことに 誇りと自信を持って卒業 してくれるのではないかと 先生の授業を拝見していて感じた 英語教育のエキス パートである井上先生に教えていただく またとないチャンスが秘書科にはあるた め 学生たちはこの授業を大切にしてしっかり学んでほしいと願っている 先生が英会話教室のようにクラスの雰囲気を作られていて良いように感じた もう少 205

し学生が楽しく英会話をすればいいのにと思いつつ 秘書科の英語のトップレベルの 学生が今回のレベルということは少し残念な思いである 英語を学ぶと世界がこれだ け広がるということを学生に分からせてあげたいが 自分も学生時代は 英語が嫌い だったので 実際に必要に迫られたりするなど 現実に直面しないと勉強するのは難 しい 香川県にいると 自分から英語の環境を作らない限り そういった状況に直面 しない 語学は 勉強するのに時間がかかるうえ 勉強しないとすぐに忘れる 私も 今回の研究授業に参加させていただき英語をブラッシュアップさせる必要があると 思った 井上先生の授業を見るのは3回目になるが 以前同様 今回も綿密な授業計画が準備 され またそれを正確に実行していることに 改めて感服した 常に行き当たりばっ たりの無計画な授業をしている我が身を振り返り 恥ずかしい思いである 井上先生 の授業は 参加する者に元気を与える不思議なオーラに充たされている このこと は 学生の学習意欲を刺激する重要な要素であると思う たいへんはっきりとした口調で 学生の理解を確認しながら授業展開をされていた 井上先生のキャラクターがよく現れていたと思う 5 自己省察と今後の課題 平成20年度後期に ビジネスイングリッシュⅡ の研究授業を実施した際 参観者の意 見をもとに今後の課題として 1 受動的学習から能動的学習への手立て 2 習熟度 別授業の展開 3 秘書科専門科目との関連性 4 クラスサイズに左右されない授業 方法の確立の4点を挙げた この5年間で 2 に関しては 平成22年度年度より秘書科教養科目 英語Ⅰ 英語Ⅱ で習熟度別クラスを開始し 英語力の全体的底上げや上位学生の更なる英語力向上 に効 1 果が見られている 本学発達科学部 経営学部でも平成23年度より入学後にプレイスメン トテストを行い 習熟度によるクラスで授業を展開し始めた 学生側のメリットだけでな く 教える側の教員にとっても学生の学力がある程度等質になることから目標の明確化 秘書科における実用英語技能検定準2級合格者数 平成20年度 準2級 2人 平成21年度 準2級 5人 平成22年度 準2級 6人 平成23年度 準2級 11人 1 206

指 導 内 容 のレベルアップ 指 導 のしやすさといった 様 々な 好 影 響 をもたらしている 次 に(3)の 秘 書 科 専 門 科 目 との 連 携 については 学 生 の 英 語 力 がある 程 度 定 着 してき たことから 電 話 応 対 やビジネスメールの 書 き 方 といった 秘 書 科 に 特 化 した 専 門 的 な 内 容 も 扱 うことができるようになった 外 資 系 企 業 はもちろんのことながら 日 本 の 企 業 にお いても 海 外 進 出 や 取 引 などで 英 語 を 必 要 とする 場 面 が 年 々 増 えてきている 秘 書 科 の 学 生 として 秘 書 業 務 全 般 に 関 する 知 識 や 技 能 に 加 え 海 外 からの 来 客 を 会 議 室 へ 案 内 した り お 茶 を 出 したりするときなどのごく 基 本 的 な 英 語 でのコミュニケーション 能 力 も 必 要 とされる そのため 秘 書 関 連 科 目 で 学 んだ 内 容 を 英 語 でも 応 用 できる 能 力 を 身 につけさ せていきたいと 考 えている 次 に 本 研 究 授 業 ならびに 日 頃 の 授 業 の 反 省 点 をもとに 次 の2 点 を 今 後 の 課 題 として 挙 げる (1) 学 生 の 勉 学 意 欲 持 続 に 向 けた 取 り 組 み 1 年 次 は これまで 中 学 校 高 等 学 校 で 学 んできた 英 語 を 徹 底 的 に 復 習 することで 曖 昧 なままになっていたものが 整 理 され 分 かる という 達 成 感 や 満 足 を 多 くの 学 生 が 得 ている そのため もっと 英 語 ができるようになりたいという 欲 求 が 高 まり 本 講 義 の 履 修 を 決 める 学 生 が 多 い 一 方 2 年 次 の 専 門 科 目 では TOEICの 内 容 を 中 心 に 扱 うこと で 未 知 の 語 彙 表 現 馴 染 のないテーマが 多 く 出 題 されることから 新 しく 覚 えるべき 事 柄 に 追 われ やれどもやれども 先 が 見 えないという 状 況 に 陥 っている 指 導 するべき 内 容 の 質 量 を 変 えず 学 生 の 充 足 感 が 得 られるよう 新 出 内 容 の 導 入 方 法 課 題 の 選 定 活 動 内 容 等 を 検 討 していきたい (2)1つの 活 動 学 習 内 容 を 徹 底 的 に 指 導 し 定 着 を 図 る 90 分 という 限 られた 時 間 の 中 で 授 業 計 画 や 予 定 していた 範 囲 に 追 われ 学 生 の 理 解 が 不 十 分 であっても 次 に 進 めてしまうという 反 省 の 念 をいつも 抱 いている 授 業 検 討 会 で 出 た 範 囲 すべてを 教 えなくても 丁 寧 に 教 えるほうが 大 切 という 言 葉 を 常 に 心 にとめ 学 習 内 容 を 盛 り 込 みすぎず 確 実 な 定 着 を 目 指 して 取 り 組 んでいきたいと 考 えている 最 後 になりましたが 研 究 授 業 ならびに 検 討 会 に 参 加 してくださり 貴 重 なご 意 見 や 評 価 をいただきましたことに 心 から 感 謝 申 し 上 げます -207-

資料1 研究授業で使用したプリント 一部改変 208

資料2 授業時間外課題プリント 209

研 究 紀 要 第58 59合併号 平成25年2月25日 印刷 平成25年2月28日 発行 編集発行 高 松 大 学 高 松 短 期 大 学 761-0194 高松市春日町960番地 TEL 087 841 3255 FAX 087 841 3064 印 刷 株式会社 美巧社 高松市多賀町1 8 10 TEL 087 833 5811