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京 都 市 子 育 て 支 援 総 合 センターこどもみらい 館 平 成 27 年 度 第 1 回 共 同 機 構 研 修 会 共 同 機 構 研 修 会 養 護 の 働 き と 教 育 の 働 き は 交 叉 している ~ 子 どもの 心 を 育 てるために~ 講 師 鯨 岡 峻 中 京 大 学 客 員 教 授 1.はじめに これまで 育 てる 営 み とは 本 来,どのような ものかについて 考 えてきました この4 月 から 子 ども 子 育 て に 関 わる 新 制 度 が 発 足 し, 幼 保 連 携 型 認 定 こども 園 に 移 行 するのかどうか, 保 育 園 ( 所 )でも 幼 稚 園 でも 頭 を 悩 ましているとこ ろでしょう しかし,この 新 制 度 は 本 当 に 子 ど もの 最 善 の 利 益 を 考 えた 結 果 の 改 革 だったのか, それとも 就 労 支 援 や 学 力 向 上 という 大 人 たちの 願 いをベースに 目 指 された 改 革 だったのか, 疑 問 に 思 われることが 多 々あります そういう 状 況 の 中 で,もう 一 度, 子 どもを 育 てるということはど ういうことなのか, 何 が 育 てることに 欠 かせない のか, 一 人 前 の 大 人 になるとはどういうことなの かを 改 めて 考 えてみる 必 要 があると 思 われまし た 今 回 の 講 演 の 中 身 は,そのような 私 の 現 状 に 対 する 焦 りにも 似 た 思 いから 用 意 されたもので す 皆 さんも, 今 置 かれている 厳 しい 状 況 を 睨 み ながら, 子 どもを 目 の 前 にしたときにどのように 対 応 するのが 子 どものためなのか, 子 どもは 将 来 一 人 前 になるためには,どういう 心 を 身 に 付 けな ければならないのかを, 一 緒 に 考 えていただけれ ばと 思 います 2. 育 てる 営 みとはなにか 私 は 保 育 なのか, 教 育 なのか(あるいは 幼 児 教 育 なのか 学 校 教 育 なのか)という 議 論 の 前 に, 子 どもは 育 てられて 育 つ という 最 も 素 朴 な 発 想 に 立 って, 子 どもの 発 達 の 問 題, 子 育 ての 問 題 を 考 えてきました 子 どもという 存 在 は, 大 人 の 育 てる という 営 みがなければ 育 つことが 難 しい 存 在 です これは 乳 幼 児 に 限 らず, 一 人 前 になるま での 子 ども 時 代 に 一 貫 して 必 要 なものと 考 えて よいでしょう いまでこそ, 保 育 園 だ, 幼 稚 園 だ, 認 定 こども 園 だと, 保 育 の 場 を 巡 る 騒 がしい 状 況 があります が,そうした 場 が 子 どもに 用 意 される 以 前 から, 子 どもは 生 まれると 周 りの 大 人 たちに 育 てられ 育 って 一 人 前 になってきていたはずです そのと き,その 育 てる という 営 みはどのような 中 身 から 成 り 立 っていたのでしょうか 歴 史 的 にそれ を 明 らかにすることは 難 しいのですが,しかし 今 のように, 早 くから 何 かを 教 えて 力 をつけること に 奔 走 していたわけでなかったことは 確 かでし ょう その 育 てる 営 みの 中 身 を 考 えたときに 行 き 着 いたのが, 養 護 の 働 き と 教 育 の 働 き で した (1) 養 護 の 働 き 子 どもは あなたは 大 事 だよ あなたのこと を 愛 しているよ というように, 周 りから 肯 定 的 に 受 け 止 めてもらうこと, 言 い 換 えれば, 周 りの 大 人 から 肯 定 的 な 思 いを 伝 えてもらうことが 不 可 欠 な 存 在 です それが 子 どもにとっては 元 気 の 源, 自 分 が 愛 される 値 打 ちのある 存 在 であるとい う 意 味 での 自 己 肯 定 感 の 出 所 です つまり, 周 りの 大 人 から 思 いを 受 け 止 めてもらう, 存 在 を 認 めてもらう, 存 在 を 喜 んでもらう, 愛 してもら うことを 不 可 欠 にしているのが 子 どもだという ことです その 逆 に, 周 りの 大 人 に 思 いを 否 定 さ れ, 見 捨 てられたり, 馬 鹿 にされたり, 無 視 され たりするとき, 子 どもがどれほど 意 気 消 沈 し, 元 気 をなくし, 呆 然 とするかは, 保 育 の 場 の 子 ども の 様 子 からも 分 かるはずです 私 はこのような 大 人 の 子 どもの 存 在 を 尊 重 す る 姿 勢, 愛 しているという 思 い, 大 事 だという 思 いなどを 総 称 して 養 護 の 働 き と 呼 んできまし た

(2) 教 育 の 働 き 育 てる という 営 みは, 上 に 述 べた 養 護 の 働 き に 尽 きるものではありません やはり 太 古 の 昔 から, 大 人 は 未 来 の 大 人 である 子 どもに 対 し て,いま 大 人 である 自 分 たちがしていることをす ることができるように, 様 々に 誘 い, 促 し, 手 ほ どきし,ときには 教 えるという 働 きかけをし,ま たいけないことをしたときに, 叱 ったり, 禁 止 や 制 止 を 加 えたりして 育 ててきました それが 広 い 意 味 での 教 育 の 働 き であったと 思 います 排 泄 のしつけにせよ, 衣 服 の 着 脱 にせよ, 子 どもは 周 りの 人 のすることを 見 て 自 ら 取 り 込 む 面 を 持 ちながらも, 大 人 がまずそれをやってみせ,それ に 子 どもが 興 味 を 持 って,という 流 れで 子 どもの 成 長 を 促 そうとしてきたのでしょう 実 際, 自 分 は 愛 されている, 大 事 にされている, 自 分 は 大 事 なのだという 自 己 肯 定 感 を 背 景 に, 意 欲 と 興 味 を 持 ち 始 めた 子 どもは, 周 りの 大 人 のす ることを 取 り 込 み, 自 分 もやってみたい,やって 見 ようと 思 うようになります これが まねぶ ( 学 ぶ の 意 味 )です そして 子 どものこの ま ねぶ 姿 勢 を 見 極 めながら, 大 人 が 自 分 の 願 って いる 行 為 に 向 けて 誘 ったり, 促 したりするのが 教 育 の 働 き ですが,その まねぶ 姿 勢 が 生 まれるには 養 護 の 働 き が 欠 かせません 安 心 感 を 抱 き 自 己 肯 定 感 を 持 てない 子 どもは まね ぶ 気 持 になれないからです そうしてみると, 教 育 の 働 き は 養 護 の 働 き と 切 り 離 せない ことが 分 かると 思 います (3) 育 てる 営 みは 養 護 の 働 き と 教 育 の 働 き からなる こうして, 太 古 の 昔 から, 育 てる という 営 みは 養 護 の 働 き と 教 育 の 働 き が 切 り 分 け られないかたちであったことが 考 えられます 私 は 就 学 前 の 育 てる 営 みは, 家 庭 の 場 では 養 育 と, 保 育 の 場 では 保 育 と 呼 ぶのがもっと もふさわしいのではないかと 考 えてきました 育 てる 営 みに 含 まれる 存 在 を 慈 しみ 喜 び 包 む 面 ( ありのまま を 肯 定 する 養 護 の 働 き )と, 大 人 に 一 歩 一 歩 近 づくための 面 ( ありのまま を 乗 り 越 えて 新 しいものを 身 に 着 ける 教 育 の 働 き )の 両 面 は, 互 いに 相 容 れない 面 (ありのま まを 肯 定 しつつ,ありのままを 乗 り 越 える(あり のままを 否 定 する)という 両 義 的 な 二 面 )をもち ながら,まさに 切 り 離 されないかたちで 子 どもに 振 り 向 けられます そしてそれが 子 どもを 育 て る ことになるのです 3. 養 護 の 働 き と 教 育 の 働 き は 保 育 の 営 みの 中 で 交 叉 している 養 護 の 働 き と 教 育 の 働 き はどのような 関 係 にあるのでしょうか 両 者 は 単 に 相 互 に 影 響 を 及 ぼしあっているだけではなく,あるいは, 今 は 養 護 の 働 き 次 は 教 育 の 働 き と 二 つの 働 きが 単 に 前 後 して 子 どもに 振 り 向 けられている わけでもありません 養 護 の 働 き を 振 り 向 け るときには 既 に 教 育 の 働 きがそこから 滲 み 出 て いたり,もっぱら 教 育 の 働 き を 向 けているよ うに 見 えて, 実 は 養 護 の 働 き が 暗 黙 裡 にそれ を 下 支 えしていたり,という 意 味 で, 二 つの 働 き は 切 り 分 けられないものなのです これを 具 体 例 に 即 して 考 えてみましょう エピソード1 Dちゃんは 水 道 の 所 に 座 り 込 みコップをひっく り 返 してコップの 底 に 水 を 当 て 跳 ね 返 る 様 子 を 眺 めて 楽 しんでいた あらら,やってるなぁ と 思 った 私 は Dちゃ~ん と 呼 んでみた こちらを 向 いたDちゃんの 表 情 は 私 と 目 が 合 うと 一 瞬 で 曇 り, 叱 られる と 思 った 様 子 が 伺 えた そこで 私 はとっさに 笑 顔 になって コップぴかぴかなっ た? と 明 るく 聞 いてみると, 曇 った 表 情 が 一 変 し, え~ と 笑 顔 に 変 わる ぴかぴかなったら 帰 っ てきてね と 伝 えると,すぐに 水 道 を 止 めて 足 取 り も 軽 く 帰 ってきた これは 接 面 で 何 が 起 こっているかをもっとも よく 表 している 部 分 です 水 遊 びをしている 光 景 が 目 に 飛 び 込 んできたとき, 書 き 手 は あらら, やってるなぁ と 思 ったとあります それは, そ こで 何 しているの! と 強 い 教 育 の 働 き を 振 り 向 ける 可 能 性 ( 多 くの 保 育 の 場 では 当 然 のよう にかけられる 言 葉 )がある 点 からすれば, 今 の 事

態 のあるがままをまずは 受 け 止 めようとする 能 動 を 含 みながら( 養 護 の 働 き ),その 裏 に そ れはいいのかな? という 否 定 的 な 思 い( 教 育 の 働 き )が 一 部 匂 わされています そしてそれ は Dちゃ~ん という 呼 びかけに 引 き 継 がれま すが,そこには 既 に 先 生 の 中 で だめよ という 禁 止 や 制 止 の 教 育 の 働 き が 作 動 しつつあるこ とが 匂 わされています それが 接 面 から 伝 わるの で,Dちゃんの 表 情 は 一 瞬 で 曇 り, 叱 られる と 思 ったのでしょう それに 気 づいた 先 生 は, D ちゃ~ん と 呼 んだときの 表 情 や 声 のトーンに 込 められていた 禁 止 の 意 味 合 いを 消 すために,とっ さに 笑 顔 になり, 明 るいトーンで コップぴかぴ かになった? とその 事 態 を 半 ば 肯 定 するような 言 葉 をかけた( 養 護 の 働 き)のでした ここには 養 護 の 働 き と 教 育 の 働 き が 切 り 分 けられないと 述 べてきたことが 凝 縮 されて 現 れています 養 護 の 働 き にすでに 教 育 の 働 き が 忍 び 込 み, 教 育 の 働 き の 強 さを 緩 和 するために 養 護 の 働 き をそこに 引 き 込 むとい う 捻 じれた 事 態 です 同 じようなことをもう 一 つ のエピソードで 確 かめてみましょう エピソード2 通 級 指 導 教 室 に 通 っていた 子 どもたちと 担 当 の 先 生 が 教 育 展 を 見 に 行 ったこの 日,R 男 くんは 道 を 歩 きながらE 男 くんがフウの 実 を 見 つけた のに 自 分 が 見 つけられなかったことが 悔 しくて, ことあるごとにE 男 くんに 当 たっていました そ れを 先 生 が 間 に 入 ってこれまでは 何 とか 抑 えて いましたが, 先 生 の 堪 忍 袋 が 限 界 に 来 た 頃 に 生 ま れたエピソードです 昼 食 のときである フウの 実 の 件 があって,ベン チにたまたま 隣 り 合 わせたE 男 さんが 気 に 入 らな く,R 男 さんはぐいっ,ぐいっとE 男 さんを 横 に 押 す 形 でベンチから 落 とそうとしていた 私 は もう, Rくん,いい 加 減 と 怒 鳴 り 声 をあげかけ,じっ とR 男 さんの 顔 を 見 ると,とてもしょんぼりとした 顔 をして 私 を 見 上 げてきた その 目 が, 自 分 も 引 っ 込 みがつかず 自 分 をもてあましていると 訴 えてい るように 見 え, 私 は もう,Rくんたら とRく んを 抱 きしめておでこにチュッをした するとR 男 さんは 嫌 いなのにキスするな! と 言 いながら 私 にしがみついてきた それからはR 男 さんの 身 体 か らとげとげしさがなくなり, 一 緒 に 食 べたおやつの アイスクリームの 甘 さがじんわり 染 みた E 男 くんに 苛 立 ちをぶつけるR 男 くんの 思 い を 懸 命 に 受 け 止 めて 対 応 してきた 先 生 でしたが, 遂 に 堪 忍 袋 の 緒 が 切 れて, もう,Rくんは! と 怒 りの 混 じった 制 止 の 言 葉 をかけようとしま した そのとき, 先 生 にはR 男 くんのしょんぼり とした 表 情 が 目 に 入 り,それが 自 分 でもひっこ みがつかない と 訴 えているように 見 えます そ れはまさにその 接 面 の 当 事 者 にしか 分 からない, 情 動 の 動 きから 感 知 される 部 分 です(それをこれ までは 間 主 観 的 に 分 かる と 表 現 してきました) そこで 強 い 制 止 という 教 育 の 働 き を 振 り 向 け る 直 前 に, もう,Rくんたら と 抱 きし めておでこにキスをする 養 護 の 働 き に 切 り 替 わったのです これまでR 男 くんに 関 わってくる 中 で,K 先 生 にはR 男 くんに 対 して いつも,す でに 根 源 的 な 配 慮 性 を 働 かせてきており,それ が 潜 在 的 な 養 護 の 働 き として 機 能 していたか らこそ,その 瞬 間 の 切 り 替 えがなされたのでしょ う R 男 くんは,その 先 生 の 優 しい 養 護 の 働 き が 嬉 しいという 気 持 ちと, 一 瞬 怖 い 顔 をした 先 生 の 表 情 に, 先 生 に 叱 られる,でも 叱 られても 仕 方 がない と 思 っていた 気 持 ちとが 自 分 の 内 部 で 入 り 混 じります そこから, 嫌 いなのに,キス するな! という 言 葉 が 紡 がれる 一 方 で, 先 生 に しがみつくという 言 葉 と 裏 腹 な 行 為 が 生 まれた のでしょう この 言 葉 とその 行 為 には,R 男 くん のそのような 複 雑 な 思 いが 見 事 なまでに 浮 き 出 ています その 複 雑 な 思 いは,まさにこの 接 面 の 当 事 者 だからこそ,それを 把 握 することができ, またそれをエピソードに 描 いたからこそ, 私 たち 読 み 手 もその 複 雑 な 思 いが 了 解 できるのです こ のエピソードなどを 見 ると,どこまでが 養 護 の 働 き であり,どこからが 教 育 の 働 き である というように, 簡 単 には 切 り 分 けられない 事 情 が よくわかります それほどに, 接 面 で 生 じている 情 動 の 動 きは 微 妙 で,それに 導 かれて 言 葉 や 行 為 が 紡 がれ, 行 動 的 対 応 が 導 かれているのです

4. 育 てる 営 みは 接 面 で 把 握 されるものに 基 づいている 水 道 の 水 遊 びの 例 で, 先 生 が 口 にした Dちゃ ~ん! コップ,ピカピカになった? コップ, ピカピカになったら 帰 ってきてね という 言 葉 は, まさに 養 護 の 働 き と 教 育 の 働 き の 捻 じれ た 関 係 の 中 から 紡 がれたとしか 言 いようがあり ません また 嫌 いなのにキスするな の 例 で, 先 生 の もう,Rくん,いい 加 減 もう, Rくんたら の 発 言 も 同 様 です そのよう な 両 義 的 な 働 きは, 子 どもと 保 育 者 で 創 る 接 面 で 保 育 者 が 子 どもの 思 いを 敏 感 にキャッチして いるからこそ 生 まれるものです 前 者 の 例 では しまった というDちゃんの 思 い, 後 者 の 例 で は ひっこみがつかない というRくんの 思 いが 接 面 から 先 生 に 感 じ 取 られたから, 次 の 対 応 が 紡 がれたのです そこから 考 えると, 保 育 者 が 子 どもとのあいだ に 接 面 をつくること,その 接 面 から 子 どもの 心 の 動 きを 敏 感 にキャッチすることが, 丁 寧 な 対 応 を 導 く 鍵 であることが 分 かると 思 います そこで, 以 下 に 接 面 に 言 及 してみます (1) 接 面 接 面 とはこういうものだと 最 初 から 定 義 す ることは 難 しいので,まずは 接 面 が 問 題 になる 場 面 を 大 まかにスケッチしてみたいと 思 います エピソード3 いま,3 歳 児 の 午 睡 の 部 屋 で,なかなか 寝 付 けな いBちゃんを 担 任 の 先 生 が 背 中 をとんとんして 寝 かせています Bちゃんが 眠 れば 全 員 入 眠 という 状 況 で, 少 し 離 れたところで 寝 ていると 思 っていたA くんがむっくり 上 半 身 を 起 こし, 保 育 者 にまなざし を 送 ってきます そのAくんと 目 が 合 った 担 任 の 保 育 者 は,そこにAくんの 先 生,きて,ぼくもとん とんして という 思 いが 掴 めたので, わかったよ, Bちゃんが 寝 たら 行 ってあげるからね,もうちょっ と 待 っててね という 思 いで 無 言 のまま 頷 いてみせ ると,それがAくんにも 分 かったようです この 場 面 で,Aくんも 担 任 の 保 育 者 も 一 言 も 言 葉 を 発 していません しかし, 担 任 はAくんの 思 いが 掴 めたので 頷 き,Aくんも 担 任 の 思 いが 掴 め たので 上 半 身 を 起 こしたままで 先 生 が 来 るのを 待 つことができました 今 の 例 からも 分 かるように, 気 持 ちを 向 け 合 う 人 と 人 のあいだには 独 特 の 空 間, 雰 囲 気 が 生 まれ ます 例 えば, 母 親 が 子 どもを 可 愛 いと 思 って 関 わるときにそこに 生 まれる 独 特 の 雰 囲 気,あるい は 保 育 者 が 子 どもの 気 持 ちに 寄 り 添 ったときに そこに 生 まれる 二 人 の 間 の 独 特 の 空 間,さらには 臨 床 家 と 患 者 のあいだに 生 まれる 独 特 の 雰 囲 気 などがそれです それこそが 人 が 人 を 分 かるとい う 出 来 事 が 生 まれてくる 基 盤 をなしています そのような 人 と 人 のあいだに 成 り 立 つ 独 特 の 空 間 や 雰 囲 気 をさしあたり 接 面 と 呼 んでみま しょう そうするとそれは 単 なる 二 者 間 の 物 理 的 な 空 間 という 意 味 での あいだ とは 異 なるもの だということが 分 かるはずです そうした 独 特 の 空 間 や 雰 囲 気 が 生 まれるのは(つまりそこに 接 面 が 生 まれるのは), 少 なくとも 一 方 が 他 方 に 志 向 を 向 けてそこに 関 係 を 作 り 出 そうとしてい るからでしょう 上 に 独 特 の 空 間 や 雰 囲 気 と 述 べたことは, 必 ず しも 常 にポジティブな 内 容 を 指 しているとは 限 りません 例 えば,ある 子 どもの 意 図 を 掴 もうと その 子 に 寄 り 添 おうとしても,その 子 から 跳 ね 返 されるような 力 を 感 じ 取 らされたり, 逆 にこちら が 積 極 的 に 働 きかけると 壊 れてしまいそうな 危 うさを 感 じて,これ 以 上 関 わることがためらわれ たりというように,こちらの 意 図 と 相 手 の 思 いが うまく 絡 み 合 わない 場 合 にも,そこには 独 特 の 空 間 や 雰 囲 気 が 生 まれます( 自 閉 症 スペクトラムの 子 どもに 関 わるときにその 接 面 からそのような 雰 囲 気 が 感 じられることがあります) このよう に, 肯 定 的 な 内 容 であるか 否 定 的 な 内 容 であるか の 如 何 を 問 わず, 人 と 人 がつくる 空 間 や 場 に 独 特 の 雰 囲 気 が 生 まれ,そこで 人 は 何 かをそこから 感 じ 取 っています それが 人 の 生 にとって 極 めて 重 要 な 意 味 をもち,そこでの 経 験 が 日 々の 生 活 に 彩 を 添 えているはずです こうした 独 特 の 空 間 や 雰 囲 気 を 差 し 当 たりは 接 面 という 言 葉 で 包 含 で

きないかと 思 うのです (2) 接 面 では 何 が 生 じているか 接 面 では 様 々なことが 起 こっています 例 えば, 母 親 の 温 かく 優 しい 情 の 動 きが 幼 児 を 包 み 込 み, その 子 の 中 に 嬉 しい 気 持 ちが 湧 きたちます 観 察 している 私 には 母 の 優 しい 情 の 動 きも, 子 どもの 嬉 しい 気 持 ちも,そのようなものとして 伝 わって きます 母 と 子 の 接 面 ではこのような 肯 定 的 な 情 動 が 行 き 交 う 場 面 もあれば, 激 しい 怒 りから 語 気 鋭 い 言 葉 が 発 せられ,それによって 子 どもが 縮 み 上 がる 場 合 のように, 両 者 のあいだに 負 の 情 動 が 行 き 交 う 場 合 もあるでしょう このように, 接 面 ではまさに 人 の 喜 怒 哀 楽 に 関 わる 情 動 が 行 き 交 っています そして 一 方 の 情 動 の 動 きは 他 方 へと 容 易 に 浸 透 し,しかもそれが 双 方 において 交 叉 す ることによって,さらなる 情 動 の 動 きに 転 化 して いくこともあるはずです そうした 情 動 の 動 きは, 嬉 しい, 楽 しい, 悲 し い, 腹 立 たしいといった 喜 怒 哀 楽 に 関 わる 情 動 の 動 きばかりでなく, 広 義 の 情 動, 私 が 力 動 感 とよ ぶ,ワクワク 感,ドキドキ 感,イライラ 感,ムズ ムズ 感,ガックリ 感,しっとり 感, 昂 揚 感, 安 心 感, 期 待 感 など, 実 に 多 様 な 情 動 の 動 きもそこに 含 めて 考 えてよいと 思 います そうした 狭 義, 広 義 の 情 動 の 動 きが, 一 方 が 他 方 の 気 持 ちを 分 か る ということの 基 盤 をなしていることは,これ までの 著 書 でも 繰 り 返 し 論 じてきたところです 間 身 体 的 に 響 き 合 う と 語 ってきたことも, 同 じ 内 容 を 言 い 当 てようとしたものでした こうした 接 面 を 通 して 感 じ 取 られてくるもの を 基 盤 に, 母 親 や 保 育 者 は 子 どもの こうしたい こうしたくない こうしてほしい という 思 いを 掴 み,それをまずは 受 け 止 めて,それに 応 じ たり, 受 け 止 めても 応 じなかったりして,その 後 の 対 応 を 紡 ぎ 出 していきます つまり, 接 面 では 子 どもの 言 動 だけでなく,その 言 動 の 基 になった 情 動 の 動 きがその 接 面 を 通 して 当 事 者 に 把 握 さ れてきます こうしたことは, 子 どもと 保 育 者 と のあいだでも, 子 どもと 教 師 の 間 でも, 患 者 と 看 護 師 の 間 でも,さらには 恋 人 同 士 の 間 でも, 夫 婦 の 間 でも, 友 人 同 士 の 間 でも, 要 するにありとあ らゆる 人 と 人 のあいだで 起 こっているはずです そうしてみると, 従 来, 相 手 の 気 持 ちが 掴 め た 相 手 の 気 持 ちが 身 に 染 みて 分 かった こち らの 気 持 ちが 相 手 に 伝 わった というふうに 語 ら れてきことは, 接 面 を 通 して 力 動 感 が 相 互 に 相 手 に 浸 透 するという 事 情 を 言 葉 にしたものだとい うことが 分 かります ですからそれらはみな 対 人 関 係 の 展 開 を 左 右 する 大 きな 意 味,というよりも むしろ 対 人 関 係 を 動 かして 行 く 原 動 力 といって もよいものです 5. 心 を 育 てる 上 には 養 護 の 働 き ばかりで なく 教 育 の 働 き も 重 要 である これまで 私 は,いまの 保 育 や 学 校 教 育 に 見 られ る 力 を, 力 を という 流 れは, 教 育 の 働 き を 偏 重 し 養 護 の 働 き をないがしろにするとこ ろから 導 かれたものだという 考 え 方 が 強 かった ためか, 教 育 の 働 き をネガティブなトーンで 語 ることが 多 く, 正 しい 意 味 での 教 育 の 働 き の 重 要 性 をややもすれば 指 摘 し 損 ねてきた 感 が ありました 本 当 は 本 来 の 教 育 の 働 き が, 教 え 込 む という 本 来 のそれとは 異 質 なものになっ ているという 議 論 をし,その 上 で,その 歪 められ た 教 え 込 む 教 育 を 批 判 しなければならなかっ たのに, 教 育 の 働 き そのものに 問 題 があるか のような 議 論 になってしまっていた 部 分 があり ました (1) 育 てる 営 みの 両 義 性 子 どもの 思 いと 育 てる 大 人 の 思 いがぶつかる ようになる 幼 児 期 前 期 以 降 (18カ 月 以 降 ), 大 人 の 対 応 は 微 妙 に 捻 じれてきます そこに 子 ども の 思 いを 受 け 止 め 認 め つつ, 大 人 の 願 うと ころに 向 かって 教 え 導 く 必 要 が 生 まれます 大 人 の 一 方 的 な 教 え 導 く は, 子 どもを 主 体 として 育 てることに 成 功 しません それはいまの 学 校 教 育 の 教 え 込 んで 育 てる 強 権 的 な 姿 勢 が, 結 局 は 子 ども 本 来 の 主 体 としての 心 ( 私 の 言 い 方 で 言 えば, 私 は 私 と 言 える 心 と, 私 は 私 たち と 言 える 心 の 二 面 )を 育 てることに 失 敗 し, 学 力 は 身 に 付 けさせたかもしれないけれども, 一 人 前 の 大 人 に 育 てそこなっている 現 状 を 見 れば 明 ら

かでしょう ですから, 子 どもを 育 てるというこ とが,まさにこの 微 妙 なねじれを 伴 った 両 義 的 な 対 応 によって 営 まれるものだということに 早 く 立 ち 返 り, 本 来 の 教 育 の 働 き を 歪 められた 教 え 込 む 教 育 と 混 同 しないところに 行 き 着 かなけ ればなりません たとえば, それはいけない と 禁 止 や 制 止 を 加 えるときや, 叱 るときなどがこの 一 文 の 伝 え ること の 中 身 です それが 教 育 の 働 き であ ることはすでに 示 してきたとおりです しかし, それが 一 方 通 行 のかたちで, 大 人 から 子 どもへと 上 から 目 線 で 強 引 に 子 どもに 突 きつけられると, 子 どもは 自 分 の 行 為 を 禁 止 された, 制 止 された, あるいは 叱 られたと 取 るよりも, 自 分 の 存 在 その ものが 否 定 されたと 受 け 取 ります ですから 行 為 の 上 では 大 人 に 従 い, 大 人 の 意 向 はそれで 果 たさ れたかに 見 えても, 子 どもの 心 の 中 では, 自 分 の 思 いが 分 かってもらえなかったという 納 得 でき ない 不 満 が 渦 巻 き, 力 に 従 わせられた 屈 辱 が 怒 り となり,しかもそれを 抑 えなければならないとい う 腹 立 ちが 湧 き 起 ります これは 子 どもが 主 体 で あることを 否 定 された 状 況 であり,これは 本 来 の 育 てる 営 みではありません 子 どもに 禁 止 や 制 止 が 示 されるとき,それは 自 分 の 行 為 に 向 けら れたものであって, 自 分 の 存 在 が 否 定 されたので はないという 確 信 が 子 どもに 得 られるかたちで, その 禁 止 や 制 止 が 示 されることが 大 切 です ここで, 教 育 の 働 き の 中 でも, 特 に 叱 る や 禁 止 や 制 止 を 大 人 が 実 際 にどのように 示 す かが,ポイントになってくることが 分 かります (2) 叱 る ことの 難 しさ 以 下 に 示 すのは, こんな 保 育 園, 出 ていった る! というエピソードの 一 部 を 抜 粋 したもので す このエピソードには 叱 るという 教 育 の 働 き の 難 しさが 端 的 に 表 れています エピソード4 朝 のお 集 まりのとき,Sくん(5 歳 児 )は, 自 分 の 隣 に 座 った4 歳 児 のKくんがアニメのキャラク ターのついたワッペンを 手 に 持 っているのに 気 づ き, 見 せろ と 声 をかけると 強 引 にそれを 取 り 上 げようとした Kくんが 体 をよじって 取 られまいと すると,SくんはKくんの 頭 をパシーンと 叩 き, 立 ち 上 がってKくんのお 腹 を 蹴 り 上 げた 大 声 で 泣 き 出 すKくん あまりの 仕 打 ちに, 私 はSくんの 思 い を 受 け 止 めるよりも 先 に, どうしてそうするの! そんな 暴 力, 許 さへん! と 強 く 怒 鳴 ってしまった くるっと 振 り 返 って 私 を 見 たSくんの 目 が 怒 りに 燃 えている しまったと 思 ったときはすでに 遅 く, Sくんは こんな 保 育 園, 出 ていったる! と 肩 を 怒 らせて 泣 きべそをかき, 部 屋 を 出 て 行 こうとした 私 はSくんを 必 死 で 抱 きとめて, 出 て 行 ったらあ かん Sくんはこのクラスの 大 事 な 子 どもや! と 伝 えた 泣 き 叫 び, 私 の 腕 の 中 で 暴 れながらも, 抱 きしめているうちに 少 し 落 ち 着 き, 恨 めしそうな 顔 を 私 に 向 けて, 先 生 のおらんときに,おれ, 死 ん だるしな と 言 った 私 とSくんのやりとりを 他 の 子 どもたちが 不 安 そうに 見 ていたので, みんな, 朝 の 会 やのにごめ んな,いま 先 生,みんなに 大 事 な 話 をしたいんや と 子 どもたちに 声 をかけた そしてSくんを 抱 き 止 めたまま, 子 どもたちに みんなSくんのことどう 思 った? と 訊 いてみた 子 どもたちは, Sくん がKちゃんを 叩 いたんは,やっぱりあかんと 思 う そやけど,Sくんはやさしいところもいっぱいあ る Sくんは 大 事 なぞう 組 の 友 達 や 朝 も 一 緒 に 遊 んでて,めちゃ 面 白 かったし,またSくんと 遊 びたい 出 て 行 ったらあかん,ここにいて と 口 々 に 言 う 私 が 心 配 しているのとは 裏 腹 に, 子 どもた ちはSくんを 大 事 に 思 う 気 持 ちを 次 々に 伝 えてく れた 私 は 涙 が 出 るほど 嬉 しかったが,ふと 気 がつ くと,Sくんが 私 の 体 にしがみつくようにしている そこで, 子 どもたちにお 礼 を 言 って, Sくんが 先 生 に 話 があるみたいやし, 今 日 は 朝 の 会 は 終 わりに して,みんな 先 にお 外 で 遊 んでてくれる? と 声 を かけた 子 どもたちが 園 庭 に 出 て 室 内 で 二 人 きりになる と,Sくんは あのな,うちでしばかれてばっかり やねん うち 出 て 行 って, 反 省 して 来 いって,いつ もいうねん 出 て 行 って 泣 いたら 怒 られるし, 静 か に 反 省 したら, 家 に 入 れてくれるんや と 話 し 出 し た 私 は そうやったんか,Sくん,しんどい 思 い してたんやな と 言 ってSくんを 抱 きしめた 先

生 はSくんのこと 大 好 きや, 先 生, 何 が 嫌 いかしっ てるか? と 言 うと, 人 を 叩 いたり, 蹴 ったり, 悪 いことすることやろ? とSくん そして 遊 び に 行 く と 立 ち 上 がると, Kちゃんにごめんいう てくるわ と 言 って 走 って 園 庭 に 向 かった 書 き 手 の 書 いた< 背 景 >も< 考 察 >も 割 愛 し ているので,エピソード 記 述 全 体 がどうなってい るのかと 疑 問 に 思 われるかもしれませんが,いま ここでこのエピソードを 取 り 上 げるのは, 叱 る という 教 育 の 働 き がいかに 養 護 の 働 き と 結 びつけられる 必 要 があるのかを 考 えたいから です あまりにひどい 暴 力 に,まずは 子 どもの 思 いを 受 け 止 めて( 養 護 の 働 き ),それから 保 育 者 の 願 いを 返 す( 教 育 の 働 き )という 保 育 の 基 本 の 手 順 を 守 ることができず, 強 い 調 子 で 叱 りつけ てしまいました あまりに 酷 い 暴 力 だったので, 保 育 者 にとって,やはりこれはやむを 得 ない 対 応 だったかもしれません ところで 書 き 手 のT 先 生 は, 家 庭 的 な 難 しい 問 題 を 抱 えたSくんに 対 して,これまでできるだけ 強 く 叱 りつけないで,Sくんの 思 いを 受 け 止 めて 対 応 してきていました ですから,Sくんにとっ てT 先 生 は 母 親 以 上 に 大 事 な 大 人 でした その 先 生 に 強 く 叱 られたとき,Sくんの 気 持 ちはどうだ ったでしょうか 単 に 叱 られたことへの 腹 立 ちば かりではなかったはずです その 怒 り 狂 う 気 持 ち と, 出 ていこうとする 行 為 の 裏 側 で,Sくんには 先 生 に 引 き 止 めてほしい, 出 ていかないでと 言 っ てほしいという 気 持 ちがあったに 違 いありませ ん 他 方 で,いつもは 優 しいT 先 生 がこんなに 怒 っている,ぼくはいけないことをした,いけない 子 になったという 思 いも 動 いていたに 違 いあり ません そこに 出 ていったらあかん,Sくんは 大 事 なクラスの 子 どもや! という 先 生 の 必 死 の 言 葉 と 強 く 抱 きかかえる 行 為 (Sくんの 存 在 を 認 める 養 護 の 働 き )が 返 ってきます それがい まのSくんにとってどれほど 嬉 しいことだった でしょうか その 気 持 ちから, 次 には 先 生 の 腕 の 中 で 大 人 しくなり, 先 生 の 体 にしがみつくという 行 為 になったのです SくんとT 先 生 の 接 面 ではおそらく 激 しい 情 動 の 動 きが 行 き 交 っていたに 違 いありません 手 順 を 前 後 して 強 い 教 育 の 働 き を 示 してしまっ たけれども,それは 一 瞬 のことで,すぐさま 先 生 の 養 護 の 働 き が 立 ち 上 がって, 抱 き 止 める 行 為 になり, Sくんは 大 事 なクラスの 子 ども と いうSくんを 肯 定 する 言 葉 が 紡 がれます このと き, 叱 った 怖 い 先 生 と, 受 け 止 めて 肯 定 してくれ る 優 しい 先 生 がSくんの 中 で 二 重 になりますが, 二 人 きりになって,いつもの 穏 やかで 優 しい 先 生 に 戻 ったことが 分 かったSくんは,ようやくほっ として, 家 の 様 子 を 話 し 出 します それは,いけ ないことをしてしまったのに,それでも 先 生 はや はり 優 しい 先 生 だったというふうにして, 先 生 へ の 信 頼 感 がそれまで 以 上 に 強 められた 結 果 でし ょう そして 最 後 に 蹴 った 相 手 のKくんに 自 分 か ら 謝 りに 行 くことができたのも,T 先 生 への 信 頼 感 が 甦 ることを 通 して,それと 連 動 して 働 くSく んの 自 己 肯 定 感 (ぼくは 大 事 にしてもらえるよい 子 という 確 信 )が 立 ち 上 がったからでしょう (3) 優 しい 保 育 者 として 生 き 残 ること 先 のエピソードには,ウィニコットが 叱 る 場 面 で 母 親 は 怒 り 狂 ってはならず, 優 しい 母 親 とし て 生 き 残 らなければならない と 言 っていたこと が, 文 字 通 りのかたちで 立 ち 現 われています T 先 生 は 強 く 叱 ったけれども 優 しい 保 育 者 として 生 き 残 った から,Sくんの 揺 らぎかけた 信 頼 感 と 自 己 肯 定 感 が 一 段 と 強 化 されて 立 ち 上 がるこ とができたのです いま,すぐにキレる 子,あるいは,このエピソ ードのSくんのように,まだ 幼 い 子 どもがここま で 暴 力 を 振 るうのかと 唖 然 とさせられるような 子 が,いろいろな 場 面 で 取 り 上 げられます その ような 子 どもが 増 えていることは 確 かです こう した 現 実 を 前 にしたとき, 子 どもがいけないこ とをしたときに 強 く 叱 るのは 当 然, 白 黒 をはっき りさせて 強 く 規 範 を 示 さなければ 子 どもは 善 悪 が 分 からない 子 に 育 つ,とよく 言 われます し かし,ただ 大 人 が 強 い 力 を 示 す 形 で 一 方 通 行 の 力 の 規 範 を 示 せば, 子 どもの 心 に 残 るのは 大 人 の 力 で 抑 え 込 まれた 不 満 と 叱 る 大 人 への 恨 みの 感 情

だけで,そこから 規 範 意 識 は 決 して 育 ちません (4) 教 育 の 働 き が 実 効 をもつのは, 養 護 の 働 き と 結 びつくときである 叱 る 際 の 叱 り 方, 規 範 を 教 える 際 の 教 え 方 など, 教 育 の 働 き というとすぐさま 教 え 方 や 指 導 の 仕 方 など, 目 に 見 える 次 元 でものを 考 えようとする 傾 向 が 強 くありますが,これまで の 議 論 からも 分 かるように, 教 え 方 というよりも, その 教 育 の 働 き を 子 どもに 示 す 際 の 大 人 の 養 護 の 働 き の 示 し 方,つまり, 大 人 の 心 の 動 か し 方 が 問 題 なのだということが 分 かると 思 いま す たしかに, 自 分 の 子 どもが 人 の 嫌 がることをし ていても, 平 気 で 見 逃 して 素 知 らぬ 顔 をする 保 護 者 がいます そしてそれをまわりの 保 護 者 が 指 摘 すると,それに 腹 を 立 てて 注 意 をした 他 の 保 護 者 を 非 難 する 保 護 者 も 目 立 つようになりました こ うした 心 無 い 保 護 者 の 動 きは, 私 は 私 たち と いう 主 体 のもつべき 一 方 の 心 (もう 一 方 は 私 は 私 の 心 )が 育 たないままに 大 人 になり, 社 会 通 念 や 規 範 意 識 が 共 有 されなくなってきたことも 大 きな 要 因 の 一 つでしょう しかしその 逆 に, 真 正 面 から 強 く 規 範 を 示 して, 有 無 を 言 わさず 大 人 の 考 えに 従 わせ, 監 視 する 目 で 子 どもを 見 るとい う, 養 護 の 働 き を 忘 れたままの 強 権 的 な 教 育 の 働 き,つまり 本 来 の 育 てる 営 みに 含 ま れる 教 育 の 働 き から 逸 脱 したそれを 教 育 の 働 き と 信 じて 子 どもに 振 り 向 ける 保 護 者 や 教 師 が 大 勢 いるという 問 題 がもう 一 つです 前 者 は 教 育 の 働 き が 乏 しいだけでなく, 養 護 の 働 き も 十 分 でないことが 多 く, 要 するに 育 てる 営 みそのものが 希 薄 になっている 場 合 だと 言 わなければなりません これに 対 して 後 者 は, 一 見, 育 てる 営 みは 真 剣 になされているよう に 見 えますが,しかしそこには 強 権 的 な 教 え 込 み を 本 来 の 教 育 の 働 き と 錯 覚 するという 大 きな 考 え 違 いがあるので, 正 しい 意 味 での 育 てる 営 みとして 機 能 していません 両 者 とも, 養 護 の 働 き と 教 育 の 働 き が 両 義 的 に 結 びつくかたちで 育 てる 営 みがある ということから 大 きく 逸 脱 していることは 明 ら かでしょう そうしたことを 念 頭 において,これ までの 保 育 や 家 庭 での 養 育 を 振 り 返 ることがで きればと 考 えています 共 同 機 構 研 修 会 第 1 回 平 成 27 年 4 月 24 日 於 : 京 都 市 子 育 て 支 援 総 合 センターこどもみらい 館