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明 治 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 2 0 1 4 年 度 博 士 学 位 請 求 論 文 ( 要 約 ) 日 本 近 世 に お け る 寺 社 参 詣 の 研 究 民 衆 と 寺 社 の 関 係 を 中 心 に A S t u d y o n P i l g r i m a g e t o T e m p l e s a n d S h r i n e s i n E a r l y M o d e r n J a p a n 学 位 請 求 者 佐 藤 史 学 専 攻 顕

1. 本 研 究 の 問 題 意 識 と 目 的 本 論 文 は 日 本 近 世 における 寺 社 参 詣 の 検 討 を 通 じて 民 衆 と 宗 教 との 関 係 を 解 明 することを 課 題 とする 近 世 の 寺 社 参 詣 は 歴 史 学 においては 宗 教 史 交 通 史 文 化 史 地 域 史 で 取 り 上 げられ 他 にも 民 俗 学 や 人 類 学 地 理 学 文 学 などでの 研 究 も 数 多 く 見 られるが 本 論 文 は 主 に 宗 教 史 の 視 角 から 検 討 している 近 世 における 民 衆 の 旅 は 様 々な 目 的 を 持 って 行 われるが 多 くの 場 合 ( 名 目 的 であっても) 寺 社 参 詣 として 行 われた そのため 本 論 文 で 言 う 寺 社 参 詣 とは 狭 義 には 寺 院 神 社 を 参 詣 することを 指 すが 広 義 にはそれらを 含 めた 一 連 の 旅 を 指 す 民 衆 とは 近 世 において 年 貢 諸 役 などを 負 担 した 被 支 配 身 分 を 指 し 本 論 文 では 主 に 百 姓 を 検 討 対 象 とする かつての 近 世 史 研 究 においては 民 衆 は 年 貢 を 搾 取 され ごく 狭 い 範 囲 しか 移 動 できない 存 在 として 描 かれることが 多 かったが 研 究 の 進 展 により 民 衆 の 描 き 方 も 大 きく 変 化 した 近 年 青 木 美 智 男 は 日 本 の 歴 史 別 巻 日 本 文 化 の 原 型 ( 小 学 館 二 〇 〇 九 年 )において 近 世 ( 江 戸 時 代 )を 近 代 の 国 民 文 化 の 基 盤 となるべき 条 件 を 用 意 し 現 在 の 日 本 文 化 の 原 型 を 形 成 してきた 時 代 と 評 価 し 第 八 章 旅 への 誘 い で 定 住 化 が 進 み 毎 日 同 じ 場 所 かその 周 辺 で 暮 らす 中 で 異 郷 への 関 心 が 高 まり 非 日 常 的 な 開 放 感 を 求 めて 旅 に 出 た 民 衆 の 姿 を 描 き 出 している 民 衆 の 寺 社 参 詣 を 検 討 する 事 が 近 世 史 を 解 明 する 上 で 不 可 欠 な 研 究 になったことを 明 示 したものと 言 えよう なお 本 論 文 では 特 に 民 衆 から 見 て 遠 隔 地 に 位 置 する 寺 社 の 参 詣 を 検 討 する 全 国 的 に 見 れば 伊 勢 神 宮 高 野 山 金 毘 羅 富 士 山 大 山 江 ノ 島 榛 名 山 鹿 島 神 宮 香 取 神 宮 熱 田 神 宮 津 嶋 神 社 朝 熊 岳 筑 波 山 高 尾 山 三 峯 山 妙 義 山 御 嶽 戸 隠 愛 宕 山 などの 寺 社 が 挙 げられるが 本 論 文 は 主 に 和 歌 山 県 域 の 寺 社 を 対 象 とする 寺 社 参 詣 の 研 究 において 質 量 ともに 大 きな 影 響 を 与 えたのは 中 世 に 関 する 研 究 を 中 心 とする 新 城 常 三 社 寺 参 詣 の 社 会 経 済 史 的 研 究 ( 塙 書 房 一 九 六 四 年 )と そこに 近 世 に 関 する 論 稿 を 大 幅 に 加 えた 新 稿 社 寺 参 詣 の 社 会 経 済 史 的 研 究 ( 塙 書 房 一 九 八 二 年 )である もちろん それ 以 前 にも 民 間 信 仰 の 一 端 としての 寺 社 参 詣 を 検 討 した 研 究 は 見 られるものの 自 治 体 史 編 纂 の 成 果 を 踏 まえ 各 地 の 寺 社 の 資 料 を 多 数 検 討 し 総 合 的 に 寺 社 参 詣 像 を 描 きだし た 研 究 は 存 在 しなかった また それまでの 寺 社 参 詣 の 研 究 は 古 代 中 世 を 中 心 に 扱 うものが 多 かったが 近 世 の 寺 社 参 詣 を 本 格 的 に 扱 った 研 究 としても 他 に 類 を 見 ないものであった 新 城 以 後 の 寺 社 参 詣 研 究 は 現 在 にいたるまで 新 城 の 研 究 の 細 かい 部 分 での 検 証 を 余 儀 なくされていると 言 っても 過 言 ではないと 評 価 されている 新 城 の 研 究 の 概 要 を 述 べると 以 下 のようなものである 古 代 における 遠 隔 寺 社 の 参 詣 は 僧 侶 を 除 けば 貴 族 の 参 詣 とともに 始 まった 白 河 上 皇 以 降 は 上 皇 や 女 院 の 熊 野 参 詣 が 盛 んに 行 われた 承 久 の 乱 後 は 貴 族 から 武 士 へ 熊 野 参 詣 の 中 心 が 移 り 量 的 に 地 域 的 に 飛 躍 的 に 上 昇 拡 大 したものの 民 衆 で 遠 隔 参 詣 を 行 える 者 は 依 然 少 なかった 中 世 中 期 以 降 は 伊 勢 神 宮 や 高 野 山 への 参 詣 が 盛 んになり 近 世 になると1 民 衆 の 経 済 的 上 昇 2 交 通 環 境 の 好 転 3 参 詣 の 遊 楽 化 4 乞 食 参 詣 の 横 行 5 御 師 宿 坊 の 発 達 6 講 の 発 展 を 要 因 として 封 建 的 規 制 のなかでも 民 衆 の 寺 社 参 詣 は 盛 んになった その 結 果 参 詣 が 本 質 的 に 具 有 する 信 仰 的 意 義 は しだいに 薄 れて 参 詣 は 遊 楽 化 する それは 参 詣 の 質 的 低 下 を 意 味 するものにほかならないが しかしそのような 高 価 な 代 償 と 引 き 替 えに はじめて 近 世 参 詣 の 飛 躍 的 な 発 展 が 実 現 されたのである と 結 論 する( 新 稿 一 三 七 九 頁 ) 別 の 箇 所 でも 中 世 の 寺 社 参 詣 を 評 価 するなかで 中 世 の 参 詣 は 参 詣 の 本 源 的 動 機 である 信 仰 の 純 粋 性 をまだ 多 分 に 内 包 して おり 参 詣 は 本 来 純 粋 な 信 仰 行 事 である から 他 事 にかかわらず 対 象 社 寺 に 直 行 し 何 処 にも 寄 らず 真 直 ぐ 帰 家 するのが 神 仏 への 礼 であり 参 詣 の 本 義 と する( 同 六 五 四 頁 ) そのため 近 世 には 参 詣 が 遊 楽 化 し 途 中 に 寄 り 道 するのが 普 通 となり 参 詣 量 は 中 世 をはるか に 越 えて 飛 躍 的 に 発 展 した だが 江 戸 時 代 の 参 詣 の 量 的 発 達 は その 質 的 低 下 の 代 償 によってあがなわれたのである ( 同 六 五 五 頁 ) 近 世 の 参 詣 の 中 にも 中 世 ながらの 純 粋 な 篤 心 者 も 多 く 参 詣 の 遊 楽 化 を 説 く 余 り 敬 虔 な 参 詣 の 存 在 を 過 少 評 価 してはならない と 述 べ( 同 七 三 五 頁 ) 一 定 の 注 意 が 払 われるものの 中 世 までは 少 なかった 遊 楽 目 的 の 参 詣 の 増 加 が 近 世 寺 社 参 詣 の 隆 盛 につながったと 評 価 した 新 城 の 研 究 は その 後 自 治 体 史 編 纂 に 伴 って 数 多 く 発 見 された 道 中 日 記 を 分 析 した 旅 ルートの 研 究 によって 補 強 されることとなった 新 城 は 寺 社 参 詣 を 寺 社 ごとに 論 じたが 実 際 の 旅 は 複 数 の 寺 社 や 都 市 を 巡 っていた 道 中 日 記 が 多 く 活 字 化 されることで 比 較 分 類 が 容 易 になり 旅 の 行 動 を 寺 社 ごとに 分 節 することなく 検 討 することが 可 能 になっ た 一 九 八 〇 年 代 小 松 芳 郎 山 本 光 正 桜 井 邦 夫 が 複 数 の 伊 勢 参 宮 道 中 日 記 を 分 析 し その 行 程 を 解 明 して 類 型 化 を 試 みた その 後 小 野 寺 淳 がさらに 多 くの 道 中 日 記 を 分 析 し( 小 野 寺 自 身 が 未 読 のものを 含 めて 二 六 九 点 ) 関 東 を 出 立 した 旅 行 者 の 定 型 化 したルートを 解 明 した 伊 勢 参 宮 のルートは 伊 勢 参 宮 後 にすぐに 帰 路 につく 伊 勢 切 り もあっ

たが 多 くは1 伊 勢 参 宮 後 に 伊 勢 から 紀 伊 半 島 を 南 下 し 西 国 巡 礼 一 番 札 所 の 青 岸 渡 寺 を 参 詣 し 西 国 三 十 三 所 観 音 霊 場 を 巡 り 三 十 三 番 札 所 の 谷 汲 寺 から 中 山 道 に 出 るルート( 伊 勢 + 西 国 巡 礼 ルート) 2 伊 勢 参 宮 後 奈 良 へ 出 て 奈 良 大 坂 京 都 の 寺 社 を 巡 り 草 津 から 中 山 道 に 出 るルート( 伊 勢 参 宮 モデルルート)を 選 択 した これらのルートは 一 八 〇 〇 年 頃 を 境 に それぞれのルートに 瀬 戸 内 海 を 海 路 で 渡 り 金 毘 羅 参 詣 を 加 えたルートが 一 般 的 になり 同 時 に 東 海 道 では 秋 葉 山 鳳 来 寺 参 詣 中 山 道 では 善 光 寺 を 経 由 するルートが 選 択 されたという こうした 小 野 寺 のルート 変 容 の 解 明 は 途 中 に 寄 り 道 するのが 普 通 であった 近 世 の 旅 ルートを 実 証 した 点 で 新 城 の 研 究 を 補 強 するものであった 一 方 で 出 羽 三 山 信 仰 を 研 究 する 岩 鼻 通 明 は それまでの 寺 社 参 詣 の 物 見 遊 山 論 を 単 に 参 詣 の 旅 の 表 層 のみ を 分 析 した 結 果 にすぎないのではなかろうか と 述 べ 批 判 した 近 世 の 旅 の 循 環 的 行 程 を 寺 社 の 聖 性 の 喪 失 を 回 復 すべ く 創 意 されたものと 評 価 し その 行 程 を 聖 なる 円 環 の 旅 とした また 旅 日 記 に 記 されなかった 聖 地 における 宗 教 体 験 に 関 する 検 討 を 行 わずして 旅 日 記 の 表 面 的 な 記 載 から 近 世 の 社 寺 参 詣 を 物 見 遊 山 ときめつけることは 早 計 に 過 ぎるのではなかろうか と 述 べた この 見 解 は 新 城 が 目 的 寺 社 のみを 訪 れる 単 線 的 行 程 に 信 仰 性 を 見 出 したのと は 正 反 対 の 評 価 であり その 評 価 の 実 証 性 は 十 分 説 得 力 を 持 つものとは 言 い 難 いが 新 城 以 降 の 研 究 が 物 見 遊 山 の 側 面 ばかりに 注 目 してきたこともまた 事 実 であり 特 筆 すべき 見 解 と 言 える 近 年 多 くの 成 果 を 発 表 している 青 柳 周 一 の 研 究 は 旅 行 者 を 受 け 入 れる 地 域 の 実 態 とその 変 容 を 解 明 するもので そ の 対 象 は 概 して1 富 士 山 麓 地 域 ( 現 在 の 静 岡 県 駿 東 郡 小 山 町 御 殿 場 市 裾 野 市 ) 2 近 江 国 の 唐 崎 社 とその 周 辺 村 落 ( 現 在 の 滋 賀 県 大 津 市 )である 青 柳 は1で 人 類 学 の 成 果 をもとに 観 光 地 域 史 を 標 榜 した 観 光 地 域 史 研 究 と は 地 元 の 住 民 たちと 地 域 外 から 訪 れた 旅 行 者 たちが 出 会 う 中 で 発 生 する 様 々な 事 件 を 分 析 することで 地 域 が 大 量 の 旅 行 者 を 恒 常 的 に 受 け 入 れることで 再 生 産 を 維 持 し あわせてその 内 部 の 社 会 的 秩 序 も 保 ちうる 能 力 を 有 する 地 域 ( 観 光 地 )に 成 熟 する 過 程 を 描 き 出 す 試 みである 宗 教 者 と 参 詣 者 の 師 檀 定 宿 関 係 は 一 八 世 紀 後 半 頃 から 弱 体 してい くことを 指 摘 し 参 詣 旅 行 自 体 はますます 娯 楽 化 の 色 彩 を 強 め 参 詣 者 たちは 旅 先 にあって 快 適 で 奇 麗 な 宿 舎 質 の いい 食 事 や 酒 による 饗 応 また 安 全 かつ 平 易 な 旅 程 をますます 望 むようになっていった そして 参 詣 者 は 自 分 たちの 多 様 化 する 要 望 に 対 してもっともよく 応 じる 信 仰 登 山 集 落 を 自 主 的 に 選 び そこへ 宿 泊 した 上 で 登 山 しようとする 姿 勢 をしだいにあらわにしてゆく としている 2では 近 世 の 寺 社 参 詣 研 究 の 多 くが 近 世 後 期 以 降 に 集 中 している 状 況 を 批 判 し 近 世 前 中 期 の 状 況 を 踏 まえて 唐 崎 社 の 名 所 化 や 社 のある 下 坂 本 村 の 観 光 地 化 の 過 程 を 領 主 宗 教 者 地 域 住 民 参 詣 者 の 動 向 を 踏 まえて 解 明 している 参 詣 者 を 受 け 入 れる 地 域 の 研 究 はこれまでにも 行 われており 目 新 しい ものではないという 批 判 もある しかし 参 詣 者 と 寺 社 周 辺 地 域 の 住 民 との 表 層 的 関 係 の 指 摘 にとどまらず 地 域 を 中 心 に 据 えて 領 主 などの 動 向 も 踏 まえて 地 域 像 を 精 緻 に 描 き 出 した 点 は これまでの 成 果 を 飛 躍 的 に 進 展 させたものであ る 近 年 の 高 橋 陽 一 による 温 泉 地 の 研 究 からも こうした 視 角 での 地 域 史 研 究 の 重 要 性 は 明 らかである 観 光 地 域 史 と 述 べるか 否 かはともかく 今 後 も 普 遍 化 深 化 させていくべき 方 法 論 と 言 えよう 原 淳 一 郎 は 南 関 東 の 寺 社 特 に 相 模 国 の 大 山 や 江 の 島 鎌 倉 を 検 討 対 象 として 近 世 寺 社 参 詣 の 研 究 ( 思 文 閣 出 版 二 〇 〇 七 年 )をまとめた 主 な 特 徴 として 1 参 詣 者 と 寺 社 の 両 者 の 視 点 から 分 析 していること 2 多 様 な 参 詣 者 を 一 緒 くたに 論 じることなく 紀 行 文 を 記 した 都 市 知 識 人 ( 特 に 江 戸 の 知 識 人 )と 道 中 日 記 を 記 した 村 落 内 上 位 層 を 分 類 して 論 じていること 3 近 世 の 旅 が 全 体 として 俗 化 したか 聖 性 を 維 持 しているかを 二 者 択 一 的 に 論 じ るよりも どういう 側 面 で 俗 化 し どういう 側 面 では 聖 性 を 維 持 しているかを 論 じようと 試 みていることである また 新 城 の 研 究 の 近 世 の 評 価 が 平 面 的 であり 近 世 内 における 段 階 的 な 把 握 が 充 分 行 われていないことから 原 は 自 身 の 研 究 をもとに 段 階 的 な 寺 社 参 詣 像 を 提 示 している 第 Ⅰ 期 は 一 七 世 紀 半 ばで 相 模 国 大 山 において 江 戸 の 上 層 町 人 の 参 詣 が 確 認 できる 一 方 で 相 模 国 など 近 隣 の 参 詣 者 も 見 られる 時 期 第 Ⅱ 期 は 一 七 世 紀 末 の 元 禄 期 で 江 戸 から 関 東 周 縁 部 に 位 置 する 山 岳 の 寺 社 や 江 ノ 島 成 田 山 新 勝 寺 などへ 多 くの 参 詣 者 が 訪 れるようになる 時 期 第 Ⅲ 期 は 一 八 世 紀 後 期 の 明 和 安 永 期 で 伊 勢 参 宮 が 爆 発 的 に 増 加 し 関 東 の 各 地 で 参 詣 地 の 複 合 化 が 起 こり 街 道 沿 いでは 争 論 が 頻 発 し た 時 期 第 Ⅳ 期 は 一 八 世 紀 初 期 の 文 化 文 政 期 で 寺 社 参 詣 の 大 衆 化 の 最 盛 期 第 Ⅴ 期 は 嘉 永 期 で 全 国 的 に 参 詣 者 が 減 少 していく 時 期 このように 段 階 的 な 状 況 を 提 示 したうえで 参 詣 地 の 複 合 化 が 起 こった 明 和 安 永 期 の 画 期 性 を 強 調 した(その 後 の 研 究 では やや 時 期 を 拡 大 させて 宝 暦 天 明 期 を 画 期 と 述 べている) 以 上 のように 先 行 研 究 を 概 括 した 上 で 具 体 的 課 題 として 以 下 の 三 点 を 挙 げる 一 つは 寺 社 参 詣 における 信 仰 の 問 題 である 新 城 は 中 世 まで 参 詣 が 本 質 的 に 具 有 していた 信 仰 的 意 義 は 近 世 になるとしだいに 薄 れて 遊 楽 化 し その 結

果 として 飛 躍 的 発 展 を 遂 げたことを 明 らかにした しかし 信 仰 的 要 素 の 検 討 を 充 分 に 行 わなかったため 後 に 多 くの 批 判 にさらされ 現 在 では 信 仰 的 要 素 も 含 めて 近 世 寺 社 参 詣 像 を 描 くことが 通 例 となりつつある ただし 現 時 点 で 信 仰 の 検 討 は 参 詣 先 の 寺 社 のみが 対 象 で 日 常 的 に 接 する 寺 社 なども 踏 まえた 議 論 には 至 っていない 地 域 内 での 信 仰 的 行 為 について 充 分 検 討 せずに 参 詣 の 対 象 となる 寺 社 にこそ 信 仰 があると 評 価 した 結 果 葬 祭 寺 院 との 関 係 を 過 小 評 価 することに 繋 がり 民 衆 の 信 仰 を 総 合 的 に 理 解 する 道 は 閉 ざされている そのため 近 年 急 速 に 進 展 している 近 世 宗 教 社 会 史 研 究 においては 寺 社 参 詣 における 信 仰 的 営 為 がどこまでも 例 外 的 なものとして 扱 われるようになっている 近 世 寺 社 参 詣 研 究 がいかに 多 く 信 仰 の 事 例 を 蓄 積 しても 日 常 の 信 仰 に 言 及 せず 参 詣 の 対 象 となる 寺 社 にこそ 信 仰 がある としている 限 り 宗 教 社 会 史 研 究 との 対 話 は 不 可 能 である 寺 社 参 詣 史 と 宗 教 社 会 史 の 研 究 を 橋 渡 しする 意 味 でも 民 衆 の 日 常 生 活 や 信 仰 を 踏 まえて 寺 社 参 詣 像 を 描 き 出 すことが 必 要 である 二 つは 参 詣 者 を 受 け 入 れる 地 域 や 寺 社 の 問 題 である 近 年 寺 社 を 含 んだ 観 光 地 の 成 立 をめぐる 研 究 が 蓄 積 さ れつつあるが 依 然 として 旅 行 者 を 受 け 入 れた 地 域 の 研 究 は 事 例 が 少 なく それらを 総 合 的 に 論 じる 段 階 にはいたって いない 地 域 や 寺 社 の 動 向 を 検 討 し 彼 らが 参 詣 者 の 行 動 にいかに 主 体 的 に 関 わっていくのか 解 明 する 必 要 がある 三 つは 上 記 の 二 つの 課 題 を 前 提 として 一 寺 社 の 参 詣 の 様 相 を 通 時 的 に 検 討 することである 参 詣 の 様 相 や そこ での 信 仰 的 営 為 寺 社 の 動 向 などを 総 合 的 に 論 じなくてはならない 寺 社 参 詣 に 関 する 研 究 は 多 様 だが 一 寺 社 に 注 目 してこれらを 総 合 的 に 検 討 した 成 果 は 極 めて 少 ない こうした 一 寺 社 の 通 時 的 検 討 の 蓄 積 なくして 寺 社 参 詣 研 究 の 近 世 における 段 階 的 変 容 の 解 明 は 難 しいと 思 われる 2. 本 研 究 の 構 成 ならびに 各 章 の 要 約 本 論 文 は 文 字 数 約 213,000 字 (400 字 原 稿 用 紙 533 枚 )で 他 に 表 や 図 を 含 む 全 三 章 の 本 論 とその 前 後 の 序 章 終 章 で 構 成 されている 序 章 第 一 節 先 行 研 究 一 寺 社 参 詣 史 二 近 世 仏 教 史 第 二 節 本 論 文 の 課 題 第 三 節 本 論 文 の 構 成 第 一 章 民 衆 の 日 常 生 活 と 信 仰 寺 社 参 詣 第 一 節 民 衆 の 世 界 観 と 信 仰 紀 伊 国 名 草 郡 岩 橋 村 湯 橋 長 泰 を 事 例 に 一 湯 橋 長 泰 の 身 上 り 運 動 二 湯 橋 長 泰 の 世 界 観 三 湯 橋 長 泰 の 観 音 信 仰 第 二 節 民 衆 の 日 常 生 活 と 寺 社 参 詣 紀 伊 国 伊 都 郡 慈 尊 院 村 中 橋 英 元 を 事 例 に 一 年 中 行 事 にみる 共 同 体 的 信 仰 二 中 橋 英 元 の 教 養 と 自 意 識 三 中 橋 英 元 の 信 仰 四 中 橋 英 元 の 寺 社 参 詣 第 三 節 近 世 中 期 における 江 戸 幕 府 の 宗 教 統 制 延 享 期 の 寺 院 本 末 改 を 事 例 に 一 延 享 期 の 本 末 改 の 目 的 二 古 本 寺 の 末 寺 化 三 各 地 の 本 末 争 論 第 四 節 近 世 後 期 における 地 方 教 団 組 織 の 展 開 武 蔵 国 高 麗 郡 飯 能 村 能 仁 寺 を 事 例 に 一 争 論 にみる 一 九 世 紀 の 寺 檀 関 係

二 地 方 教 団 組 織 の 成 立 三 扱 人 としての 能 仁 寺 第 二 章 旅 行 者 の 通 行 と 寺 社 地 域 社 会 第 一 節 道 中 日 記 にみる 近 世 和 歌 山 の 旅 一 旅 の 行 程 二 旅 先 の 情 景 第 二 節 西 国 巡 礼 と 地 域 社 会 紀 伊 国 伊 都 郡 慈 尊 院 村 を 事 例 に 一 西 国 巡 礼 と 慈 尊 院 村 二 無 銭 渡 の 様 相 三 無 銭 渡 開 始 の 要 因 四 神 流 川 の 無 銭 渡 第 三 節 地 方 神 社 の 宗 教 活 動 紀 伊 国 海 部 郡 加 太 浦 淡 嶋 神 社 を 事 例 に 一 淡 嶋 神 社 と 紀 伊 二 各 地 への 勧 請 三 江 戸 紀 州 藩 邸 への 勧 請 と 出 開 帳 四 近 世 後 期 の 淡 嶋 神 社 参 詣 第 三 章 近 世 における 高 野 山 信 仰 の 展 開 第 一 節 高 野 山 参 詣 の 様 相 と 変 容 相 模 国 を 中 心 に 一 高 野 山 参 詣 の 様 相 二 参 詣 者 数 の 推 移 三 参 詣 の 変 容 四 変 容 の 要 因 第 二 節 高 野 山 の 檀 那 廻 りと 民 衆 相 模 国 三 浦 郡 を 事 例 に 一 檀 那 廻 りの 特 徴 二 文 化 期 における 檀 那 廻 り 三 村 外 宗 教 者 への 対 策 とその 実 態 第 三 節 高 野 山 における 供 養 の 展 開 相 模 国 西 部 を 事 例 に 一 位 牌 供 養 の 概 要 二 供 養 数 の 推 移 三 供 養 の 変 容 四 先 祖 代 々 供 養 の 展 開 終 章 参 考 文 献 一 覧 地 図 序 章 では 先 行 研 究 の 成 果 と 問 題 点 について 述 べ 上 記 の 課 題 を 提 示 した 第 一 章 民 衆 の 日 常 生 活 と 信 仰 寺 社 参 詣 は 民 衆 の 寺 社 参 詣 の 実 態 を 考 察 する 前 提 として 民 衆 の 思 想 や 日 常 生 活 幕 府 の 宗 教 政 策 寺 院 の 役 割 を 論 じた 第 一 節 民 衆 の 世 界 観 と 信 仰 では 紀 伊 国 名 草 郡 岩 橋 村 ( 現 在 の 和 歌 山 県 和 歌 山 市 )で 紀 州 藩 の 地 士 大 庄 屋 を 務 めた 湯 橋 長 泰 の 身 上 り( 士 分 化 ) 運 動 や 信 仰 の 様 相 を 解 明 した 地 士 とはいわゆる 郷 士 のことであるが 紀 州 藩 にお いては 百 姓 身 分 であった 湯 橋 長 泰 は 藩 が 民 衆 に 与 えた 父 母 状 の 注 釈 書 を 作 成 し 藩 や 幕 府 に 提 出 して 身 上 りを

図 った また 紀 州 藩 主 の 徳 川 吉 宗 が 将 軍 になったことを 契 機 に 幕 臣 になった 者 たちの 伝 手 によって 仕 官 を 目 指 した しかし どちらも 思 い 通 りにはいかず 禁 止 された 注 釈 書 の 提 出 を 再 三 行 なった 結 果 流 罪 となった このような 経 歴 を 持 つ 長 泰 は もともと 儒 学 のみに 傾 倒 し 排 仏 論 の 影 響 を 受 けて 僧 侶 を 嫌 っていたが 後 に 仏 教 にもすがるようにな り 神 道 仏 教 儒 学 のそれぞれを 尊 重 した また 占 いや 夢 を 信 じて 自 身 の 行 動 の 吉 凶 を 確 認 してから 行 動 を 起 こして いた 流 罪 になってからは 特 に 観 音 を 篤 く 信 仰 し 現 世 における 開 運 を 熱 望 した 湯 橋 家 は 代 々 浄 土 真 宗 で 蓮 如 が 立 ち 寄 ったとの 由 緒 もあったため 家 の 宗 教 としては 浄 土 真 宗 を 最 も 尊 重 したが 個 人 的 には 観 音 信 仰 を 強 めていった 紀 州 藩 に 紀 伊 国 内 での 霊 場 を 定 めるよう 願 い 出 るなど 強 い 観 音 信 仰 を 持 ち 西 国 巡 礼 を 行 ないたいと 考 えていた 第 二 節 民 衆 の 日 常 生 活 と 寺 社 参 詣 では 紀 伊 国 伊 都 郡 慈 尊 院 村 ( 現 在 の 和 歌 山 県 伊 都 郡 九 度 山 町 )で 高 野 山 金 剛 峯 寺 の 地 士 を 務 めた 中 橋 英 元 を 事 例 に 一 八 世 紀 後 期 における 民 衆 の 日 常 生 活 と 信 仰 について 明 らかにした 彼 らが 共 同 体 的 個 人 的 生 活 を 送 るなかで 様 々な 信 仰 的 営 為 を 行 なっていることを 明 らかにした 共 同 体 的 には 雨 乞 いなどの 読 経 を 寺 院 や 神 社 で 行 ない 個 人 的 には 最 勝 王 経 や 光 明 真 言 般 若 心 経 などを 読 誦 し 病 気 回 復 などを 祈 願 した 信 仰 的 営 為 が 日 常 生 活 を 送 る 中 で 不 可 欠 なものであった 英 元 は 頻 繁 に 寺 社 を 参 詣 しており その 際 に 芝 居 見 物 をするなど 娯 楽 的 な 面 も 見 られたが 途 中 に 参 詣 する 寺 社 では 篤 く 信 仰 する 姿 が 見 られた 日 常 においても 寺 社 参 詣 時 においても 信 仰 的 な 姿 は 見 られ それはどちらか 一 方 のみに 信 仰 がある 二 者 択 一 的 なものではなかった 第 三 節 近 世 中 期 における 江 戸 幕 府 の 宗 教 統 制 では 民 衆 の 信 仰 を 支 えた 寺 院 を 幕 府 がいかに 統 制 していたのかを 延 享 期 の 寺 院 本 末 改 を 事 例 に 検 討 した 特 に 本 末 改 によって 曹 洞 宗 の 組 織 編 成 がどのような 変 容 を 遂 げたのかを 取 り 上 げた 従 来 幕 府 による 宗 教 統 制 は 寛 文 期 に 完 成 すると 理 解 されていたが 曹 洞 宗 においては 延 享 期 の 本 末 改 より 前 に は 古 本 寺 の 寺 格 を 有 し 本 山 の 末 寺 になっていない 寺 院 が 複 数 存 在 しており 本 山 を 頂 点 とする 本 末 制 度 が 完 成 して いないことが 明 らかになった 幕 府 は 本 末 改 によって 本 山 を 頂 点 とする 本 末 制 度 の 確 立 と 本 末 関 係 の 明 確 化 を 図 ったが 幕 府 の 意 図 を 超 えて 教 団 組 織 内 において 本 末 関 係 を 変 更 してはならないとする 意 識 が 生 み 出 されていった 第 四 節 近 世 後 期 における 地 方 教 団 組 織 の 展 開 では そうした 江 戸 幕 府 の 統 制 下 で 寺 院 が 具 体 的 に 地 域 の 中 でどの ような 役 割 を 担 っていたのか 武 蔵 国 高 麗 郡 飯 能 村 ( 現 在 の 埼 玉 県 飯 能 市 )の 曹 洞 宗 寺 院 能 仁 寺 を 事 例 に 検 討 した 能 仁 寺 が 民 衆 の 生 活 に 深 く 関 わり その 要 望 を 受 けて 勢 力 を 拡 大 させていく 過 程 を 明 らかにした 一 八 世 紀 には 新 田 開 発 の 進 展 により 末 寺 の 範 囲 を 拡 大 させた 能 仁 寺 の 住 職 は 民 衆 の 支 持 により 決 定 され 住 職 は 民 衆 の 菩 提 供 養 や 宗 判 を 行 なうだけでなく 民 衆 の 要 望 を 受 けて 扱 人 の 役 割 を 果 たし 地 域 の 紛 争 解 決 に 努 めていた 第 二 章 旅 行 者 の 通 行 と 寺 社 地 域 社 会 では 旅 行 者 を 受 け 入 れた 地 域 宗 教 者 の 動 向 を 検 討 した 第 一 節 道 中 日 記 にみる 近 世 和 歌 山 の 旅 では 全 国 各 地 に 現 存 する 道 中 日 記 の 中 から 現 在 の 和 歌 山 県 和 歌 山 市 域 を 通 行 したものを 分 析 した 旅 行 者 は 西 国 巡 礼 や 伊 勢 参 宮 の 過 程 で 紀 伊 を 通 過 しており 旅 行 者 の 獲 得 を 目 的 とする 争 論 が 紀 伊 国 内 で 頻 発 していた 粉 河 では 様 々な 道 中 案 内 記 が 出 版 頒 布 され 和 歌 浦 では 案 内 人 が 出 現 するなど 近 世 後 期 において 紀 伊 国 の 人 々が 旅 行 者 の 行 動 に 深 く 関 わる 動 向 を 見 せたことを 明 らかにした 第 二 節 西 国 巡 礼 と 地 域 社 会 では 高 野 山 麓 の 慈 尊 院 村 で 安 永 期 に 行 われた 無 料 での 渡 船 について 検 討 した その 実 施 には 慈 尊 院 村 の 人 々はもちろん 近 郊 村 落 や 領 主 の 高 野 山 西 国 巡 礼 四 番 札 所 の 施 福 寺 も 関 わっていた 渡 船 は 旅 行 者 の 支 援 としての 側 面 もあるが 近 郊 村 落 で 多 くの 旅 行 者 を 渡 していた 実 態 を 考 慮 すると 旅 行 者 から 得 られる 賽 銭 や 宿 泊 費 の 確 保 という 目 的 もあったと 考 えられる 地 域 の 争 論 を 解 消 させた 無 料 での 渡 船 は 関 東 でも 実 施 されており 旅 を 通 じた 交 流 によって 他 地 域 で 実 践 されることとなったのである 第 三 節 地 方 神 社 の 宗 教 活 動 では 紀 伊 国 海 士 郡 加 太 村 ( 現 在 の 和 歌 山 県 和 歌 山 市 )の 淡 嶋 神 社 の 動 向 を 検 討 した 淡 嶋 神 社 は 近 世 初 期 には 紀 州 藩 によって 社 殿 が 修 復 されていたが 元 禄 期 から 自 力 での 修 復 を 命 じられ 宗 教 活 動 を 活 発 化 させた 神 社 の 経 営 を 支 えていたのは 紀 伊 国 の 人 々で 淡 嶋 神 社 の 社 人 が 毎 年 檀 那 廻 りをして 札 を 配 った 淡 嶋 神 社 は 各 地 に 勧 請 され 天 保 期 には 江 戸 の 紀 州 藩 蔵 屋 敷 に 勧 請 されて 月 に 一 日 公 開 された 所 蔵 する 宝 物 を 公 開 する 出 開 帳 が 江 戸 や 大 坂 で 行 われ 淡 嶋 神 社 の 名 は 徐 々に 広 まっていった 近 世 後 期 に 淡 嶋 神 社 が 多 くの 旅 行 者 を 獲 得 するよ うになる 要 因 として このような 活 発 な 宗 教 活 動 があったと 考 えられる 第 三 章 近 世 における 高 野 山 信 仰 の 展 開 では 高 野 山 金 剛 峯 寺 の 塔 頭 である 高 室 院 とその 檀 家 の 関 係 および 変 容 過 程 を 検 討 した 特 に 相 模 国 の 檀 家 を 取 り 上 げた 第 一 節 高 野 山 参 詣 の 様 相 と 変 容 では 高 野 山 参 詣 の 変 容 過 程 を 数 量 的 検 討 から 明 らかにした 参 詣 者 数 は 右 肩 上

がりに 上 昇 するなどの 傾 向 は 見 て 取 れなかった 行 程 案 内 人 宿 泊 などの 変 容 過 程 を 見 ると 徐 々に 西 国 巡 礼 の 参 詣 者 が 減 少 し 案 内 人 を 連 れて 参 詣 する 者 宿 泊 しない 参 詣 者 が 増 加 したことがわかる 一 八 世 紀 末 から 一 九 世 紀 初 め 頃 旅 の 行 程 が 長 期 化 複 合 化 し より 困 難 の 少 ない 旅 が 行 われるようになる 代 わりに 一 寺 院 で 行 われていた 参 詣 者 によ る 信 仰 的 営 為 は 行 われなくなっていった 第 二 節 高 野 山 の 檀 那 廻 りと 民 衆 では 高 野 山 高 室 院 の 相 模 国 三 浦 郡 での 檀 那 廻 りについて 検 討 した 近 世 後 期 民 衆 が 寺 社 の 勧 化 などを 拒 絶 することが 多 くなる 時 期 に 高 室 院 が 末 寺 の 協 力 を 得 るなどして 関 係 の 維 持 に 努 めたこ とを 明 らかにした 民 衆 の 対 応 は 多 様 だが 宗 教 者 は 拒 否 する 村 に 対 しても 執 念 深 く 説 得 にあたったのである 第 三 節 高 野 山 における 供 養 の 展 開 では 民 衆 が 高 野 山 へ 参 詣 した 際 に 行 なった 供 養 ( 位 牌 の 建 立 )について そ の 変 容 過 程 を 検 討 した 一 七 世 紀 初 期 は 菩 提 供 養 だけでなく 逆 修 供 養 が 広 く 行 われており 供 養 は 直 系 の 死 者 のみを 供 養 しようとするよりは 供 養 者 を 中 心 として 身 近 な 人 の 供 養 に 限 られていた その 後 逆 修 供 養 は 減 少 し 直 系 の 死 者 を 菩 提 供 養 することが 多 くなり 近 世 後 期 においては 先 祖 代 々 供 養 が 高 野 山 での 供 養 の 中 心 になった また 位 牌 の 建 立 自 体 も 減 少 していった 高 野 山 は 近 世 前 期 においては 個 人 を 供 養 する 場 であったが 近 世 後 期 にかけて 没 個 性 化 した 先 祖 を 供 養 する 場 となっていった 終 章 では 各 章 の 内 容 を 整 理 し 近 世 の 寺 社 参 詣 の 変 容 過 程 を 段 階 的 に 提 示 した また 結 論 として 以 下 の 点 を 述 べ た 近 世 において 民 衆 の 信 仰 は 村 外 の 寺 社 に 対 して 参 詣 という 形 で 向 けられたが 村 内 の 寺 社 も 等 閑 にされることはなか った 村 外 の 寺 社 に 対 する 信 仰 は 日 常 生 活 における 講 の 活 動 宗 教 者 の 来 訪 個 人 的 信 仰 と 深 く 関 わっており 村 外 の 寺 社 への 参 詣 は 日 常 生 活 の 延 長 線 上 にあるものと 位 置 づけられる その 信 仰 は 民 衆 が 主 体 的 に 選 択 するのみならず 宗 教 者 や 通 行 する 地 域 の 動 向 によって 喚 起 される 場 合 もあった