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25 書 評 合 場 敬 子 著 女 子 プロレスラーの 身 体 とジェンダー: 規 範 的 女 らしさ を 超 えて 明 石 書 店,2013 年 AIBA Keiko: Body of Women Professional Wrestler and Gender: Beyond the Normative Femininity. Akashi-Shoten Publishing Co.,Ltd.,2013. 松 宮 智 生 Tomoki MATSUMIYA 1. 本 書 の 概 要 本 書 は 身 体 フェミニズム すなわち フェ ミニズムの 思 想 に 裏 打 ちされた 女 性 が 身 体 的 力 を 獲 得 することを 目 指 す 実 践 (p.204)の 可 能 性 を 論 じた 著 作 である 現 代 日 本 における 理 想 の 女 性 身 体 は 痩 せていて 脚 が 長 く 細 く 胸 が 豊 かな 身 体 (p.93)とされるが この 理 想 の 女 性 身 体 は 女 性 たちに 抑 圧 的 に 働 いている 著 者 は 女 性 が 理 想 の 女 性 身 体 を 作 り 上 げる ことを 強 く 奨 励 される 一 方 で 自 らの 身 体 的 な 力 や 運 動 能 力 を 発 達 させることが 奨 励 されていない という 現 実 を 女 性 のジェンダー 化 された 身 体 の 社 会 化 の 問 題 として 捉 えている この 問 題 を 考 察 するために 著 者 は 女 子 プロレスラーの 身 体 に 着 目 した その 理 由 は 1プロレスをする 身 体 を 獲 得 するために 女 子 プロレスラーたちは 日 本 社 会 の 理 想 の 女 性 身 体 とは 異 なる 方 向 すなわち 筋 肉 と 脂 肪 をつけ 身 体 を 大 きくする 方 向 に 自 己 の 身 体 を 変 容 させていること( 第 4 章 ) そして 2プロレスラーになる 過 程 で 闘 う 技 能 ( 自 分 の 身 体 に 対 する 暴 力 に 対 抗 するための 身 体 的 技 能 ) という 身 体 的 力 を 獲 得 していること( 第 5 章 )に ある 本 書 は 女 子 プロレスラーたちが 変 容 した 自 己 の 身 体 をどのように 認 識 し プロレスをする ことからどのような 恩 恵 を 受 けているのかを 明 ら かにする それらの 考 察 から 理 想 の 女 性 身 体 か ら 自 由 ではなく 身 体 的 力 を 身 につけていない 女 性 たちが どのように 理 想 の 女 性 身 体 から 自 由 に なり 身 体 的 力 を 獲 得 できるのかを 示 唆 すること を 目 的 としている 本 書 の 構 成 は 次 のとおりである 第 1 章 女 性 の 身 体 とジェンダー 第 2 章 女 子 プロレス 興 行 の 特 徴 と 軌 跡 第 3 章 プロレスラーになる 夢 :オーディション 合 格 を 目 指 して 第 4 章 プロレスができる 身 体 への 変 容 第 5 章 闘 う 技 能 が 生 み 出 すもの: 自 己 防 衛 への 応 用 第 6 章 演 技 としての 女 子 プロレスとジェンダー の 変 容 第 7 章 力 を 獲 得 する 身 体 と 挑 戦 される 身 体 第 8 章 身 体 変 容 と 身 体 フェミニズム 第 1 章 では 問 題 の 所 在 と 研 究 の 目 的 研 究 方 国 士 舘 大 学 体 育 学 部 附 属 体 育 研 究 所 (Institute of Health, Physical Education and Sport Science, School of Physical Education, Kokushikan University)

26 松 宮 法 が 述 べられており 第 2 章 と 第 3 章 では 日 本 における 女 子 プロレスの 歴 史 と 現 状 を 説 明 してい る 特 に 第 3 章 では プロレスラー 志 望 の 少 女 た ちが オーディション と 呼 ばれる 選 考 に 合 格 するまでの 過 程 に 焦 点 が 当 てられている 第 4 章 から 第 7 章 までが 本 論 にあたる 第 4 章 では 女 子 プロレスラーたちの 身 体 にお ける 変 容 を 次 の2つの 側 面 から 捉 える 第 一 に オーディション 合 格 後 の 入 団 からデビューの ための プロテスト に 合 格 するまでの 過 程 で 彼 女 たちが 自 らの 身 体 にどのような 変 化 があったと 認 識 しているのか 第 二 に 彼 女 たちがプロレス ラーの 身 体 を 獲 得 することによって 自 らがもつ 理 想 の 女 性 身 体 への 認 識 が 変 容 するのか 否 か である 同 章 において ある 女 子 プロレスラーは 理 想 の 女 性 身 体 のあり 方 は 痩 せた 身 体 だけではな く 強 くかっこいい 身 体 も 女 性 として 魅 力 的 だと 考 えていた 支 配 的 な 価 値 をもつ 理 想 の 女 性 身 体 とは 別 の 身 体 像 を 提 示 し その 身 体 に 自 信 を 持 つことが 可 能 であるとしたその 視 点 をして 筆 者 は 痩 せた 女 性 身 体 の 桎 梏 から 自 由 になる 契 機 としてとらえる なぜ それぞれの 身 体 に 自 信 をもつことができたのか 筆 者 は 自 信 の 源 泉 としての 身 体 の 項 の 中 で プロレスという 身 体 的 経 験 によって 多 様 なもの を 獲 得 した ことが 自 信 の 源 泉 になっていることを 指 摘 する 第 5 章 では 女 性 の 身 体 的 脆 弱 性 を 変 容 さ せる 可 能 性 を 考 察 する 身 体 的 脆 弱 性 とは 女 性 が 社 会 化 される 過 程 で 自 らの 身 体 的 力 を 脆 弱 だと 感 じることを 意 味 する 多 くの 一 般 女 性 が 身 体 的 脆 弱 性 を 身 につけ 男 性 の 暴 力 に 対 抗 する 心 理 的 身 体 的 力 を 持 っていないなか 女 子 プロレ スラーたちが 暴 力 に 対 してどのように 対 処 してい るのかを 考 察 することによって 女 性 が 男 性 から の 暴 力 に 対 抗 できる 可 能 性 を 見 出 そうと 試 みる レスラーたちのほとんどは レスラーになる 以 前 に 身 体 的 脆 弱 性 を 身 につけていなかったため こ の 問 いを 検 証 することはできなかったものの 逆 に 身 体 的 脆 弱 性 を 身 につけること 阻 止 する2つ の 要 因 をあげることができた 一 つは 闘 争 的 ス ポーツを 含 む 幅 広 いスポーツの 経 験 であり もう 一 つは 男 女 一 緒 の 体 育 授 業 での 身 体 的 自 信 の 獲 得 である さらに 闘 争 的 スポーツあるいはそれに 類 似 した 活 動 は 身 体 的 脆 弱 性 を 持 つ 女 性 や 身 体 的 自 信 のない 女 性 にも 自 分 の 身 体 を 使 って 相 手 を 攻 撃 する 経 験 を 通 じて 男 性 からの 暴 力 に 対 抗 できるという 自 信 を 醸 成 する 可 能 性 を 有 している ことも 示 唆 している 第 6 章 では 女 子 プロレスの 演 技 の 側 面 と ジェンダーによって 構 築 されている 規 範 的 身 体 と の 関 係 を 考 察 する プロレスには 個 性 を 目 立 た せたり 自 分 を 印 象 づけるための 演 技 が 多 く 含 まれる そのような 演 技 がジェンダー 秩 序 や セックス ジェンダー 体 系 をどのように 変 容 させ るのか 女 子 プロレスに 求 められる 個 性 は 多 様 で ある それらは ジェンダー 秩 序 特 に 異 性 愛 の ジェンダー 秩 序 と 複 雑 な 関 係 を 持 っている かわ いそうなベビー( 善 玉 )と 憎 たらしいヒール( 悪 玉 )という 典 型 的 なプロレスラーのあり 方 は 異 性 愛 のジェンダー 秩 序 を 再 生 産 するが 他 の 多 様 な 個 性 と 同 一 の 地 平 に 存 在 する 一 つのキャラク ターの 類 型 にすぎず 多 様 な 女 子 プロレスの 価 値 体 系 は 異 性 愛 ジェンダー 秩 序 を 変 容 させる 可 能 性 をもつ 著 者 は 同 時 に 女 子 プロレスラーた ちの 身 体 は 規 範 的 な 男 性 身 体 と 規 範 的 な 女 性 身 体 を 別 個 に 存 在 させ 両 方 の 混 在 を 許 さないセッ クス ジェンダー 体 系 の 二 元 的 構 造 そのものを 不 安 定 にし 変 容 させているという 見 解 を 示 す 第 7 章 では 女 子 プロレスラーがプロレスをす ることによって 浴 する 恩 恵 や 挑 戦 すなわち プ ロレスの 経 験 が 彼 女 たちの 日 常 生 活 に 及 ぼす 影 響 について 考 察 する この 章 (ひいては 本 書 全 体 ) の 考 察 の 背 景 には 身 体 活 動 に 参 加 していない 女 性 たちが 身 体 活 動 から 得 られるはずの 恩 恵 を 獲 得 できないままになっているかもしれない という 著 者 の 問 題 意 識 がある レスラーたちは 多 くの 女 性 が 獲 得 できない 身 体 的 強 さを 獲 得 し 身 体 的

合 場 敬 子 著 女 子 プロレスラーの 身 体 とジェンダー: 規 範 的 女 らしさ を 超 えて 明 石 書 店,2013 年 27 エンパワーメントを 経 験 していたが かわいい 服 が 着 られなくなったり 男 性 に 間 違 えられる 経 験 をするものもいた 著 者 は これらの 一 見 否 定 的 な 影 響 を セックス ジェンダー 体 系 からの 男 ら しさを 示 す 女 性 に 対 する 制 裁 ととらえるが こ のような 制 裁 にも 関 わらず レスラーたちは 外 見 を 変 えないことによって 結 果 的 にセックス ジェンダー 体 系 に 対 抗 していると 述 べる また 著 者 は 一 見 ジェンダー 規 範 に 適 合 的 に 見 える 男 女 でも 実 はこれらの 規 範 を 脅 かす 行 動 を 取 ってい る 可 能 性 があることも 指 摘 する まとめの 第 8 章 では 女 子 プロレスラーの 身 体 や 演 技 がジェンダー 規 範 にどのように 挑 戦 してい るのか あるいはそれらを 再 生 産 しているのかを 考 察 する 結 論 として 女 子 プロレスラーたちが プロレスという 身 体 活 動 を 通 じて 自 らをエンパ ワーメントしていたことから 身 体 活 動 をしてい ない 女 性 たちが 身 体 活 動 を 通 じてどのようにエン パワーメントできるかということを 身 体 フェミ ニズム として 概 念 化 し その 目 指 すべき 方 向 を 示 唆 する 本 書 の 分 析 結 果 から 身 体 フェミニズ ム が 目 指 すものとして 日 本 社 会 での 女 性 の 身 体 活 動 への 参 加 の 奨 励 とそれによる 恩 恵 の 獲 得 そして 女 性 が 自 己 防 衛 訓 練 に 参 加 し 男 性 から の 暴 力 に 対 抗 できるという 自 信 を 獲 得 し 同 時 に 自 分 の 身 体 的 強 さを 実 感 することがあげられる 今 後 身 体 フェミニズム の 実 現 に 向 けて 必 要 なこととして 著 者 は 日 本 の 女 性 がなぜ 身 体 活 動 に 男 性 と 同 じ 程 度 に 参 加 しないのか 身 体 活 動 からどのような 恩 恵 を 受 けているのか あるいは 身 体 活 動 をしないことがどのような 弊 害 を 受 けて いるのかを 明 らかにし その 知 見 を 社 会 に 発 信 し ていくこと さらに 自 己 防 衛 訓 練 の 重 要 性 が 共 有 され 実 践 されることをあげる 2. 本 書 の 意 義 特 徴 本 書 の 特 筆 すべき 点 の 一 つは 身 体 フェミニ ズム という 実 践 的 概 念 を 提 示 したことである 身 体 フェミニズム という 運 動 実 践 がなぜ 必 要 なのか それは 従 来 のフェミニスト 思 想 によ る 精 神 的 エンパワーメントだけでは 身 体 活 動 から の 恩 恵 を 獲 得 できないし 身 体 活 動 をしないこと による 損 失 を 回 避 できないからである 他 方 フェミニズムの 視 点 のない 身 体 的 力 の 獲 得 だけで は 元 来 男 性 文 化 であったスポーツに 組 み 込 まれている 男 性 身 体 の 優 位 性 異 性 愛 主 義 同 性 愛 嫌 悪 の 再 生 産 に 無 批 判 に 関 与 してしま うおそれがある このように 本 書 が 提 示 する 身 体 フェミニズム は 多 くの 女 性 たちが 本 来 もっている 身 体 的 な 力 を 十 分 に 発 揮 できない 状 況 を 打 開 する 手 がかりになるだけではなく スポー ツにおいて あるいはスポーツを 通 じてジェン ダーを 語 ることの 本 質 的 意 義 をも 包 含 している すなわち スポーツが 女 性 をエンパワーする 一 面 をもちながら 他 方 スポーツそれ 自 体 が 既 存 の ジェンダー 規 範 を 再 生 産 強 化 しているかもしれ ないという 背 反 的 側 面 があること つまり ス ポーツとジェンダー という 研 究 領 域 が 存 在 する ことの 意 義 をも 改 めて 問 い 直 しているのである 特 筆 すべき 点 のもう 一 つは 研 究 対 象 が 女 子 プロレスラー であることである 女 子 プロレス ラーは 身 体 フェミニズム を 語 るための 格 好 の 素 材 と 思 われる プロレスラーの 身 体 のあり 方 は 普 通 のアスリートとは 異 なる アスリート 的 身 体 は 徹 底 的 に 機 能 的 な 身 体 であるが 痩 せてい る 脂 肪 が 少 ない という 側 面 で 理 想 の 女 性 身 体 と 重 なる 部 分 があり 多 くの 女 性 が 理 想 の 女 性 身 体 を 求 めるプロセスでは アスリート 的 身 体 がモ デルとなることもあろう ところが 女 子 プロレ スラーは 基 本 的 には 大 きなからだ を 目 指 し 規 範 的 女 性 像 とはまったく 異 なる 方 向 に 自 己 を 変 容 させる そのような 女 子 プロレスラーの 身 体 の あり 方 が 身 体 フェミニズム の 実 践 的 可 能 性 を 示 す 一 つのモデルとなり 得 るように 思 える また 女 子 プロレスラーの 身 体 は 女 性 身 体 に 向 けられる まなざし の 存 在 を 浮 かび 上 がらせ る プロレスは 人 に 見 せる あるいは 見 ら

28 松 宮 れる ことを 前 提 にしたジャンルである 女 子 プ ロレスにおいては 強 さ のみではなく 既 存 のジェンダー 規 範 に 合 致 する かわいさ や 逆 に それに 対 抗 するようなキャラクターなど 多 様 な 個 性 が 存 在 する 女 子 プロレスラーの 身 体 は プ ロレスをする 機 能 的 身 体 であるとともに 普 通 の アスリートには 求 められることのない 見 せる 見 られる ことを 前 提 にした 表 現 性 の 強 い 身 体 なのである このような 女 子 プロレスラーを 素 材 にして 見 られる 身 体 としてのジェンダー 的 身 体 を 考 察 したことは 斬 新 かつ 有 効 であると 考 え られる 本 書 の 意 義 を 現 代 の 女 性 の 健 康 とスポーツ 実 施 状 況 との 関 係 から 見 てみると 体 育 スポーツ 科 学 に 携 わる 人 たちには 周 知 のとおり 文 部 科 学 省 の 2012 年 度 の 調 査 では 小 学 生 女 子 のうち 1 週 間 の 総 運 動 時 間 が 60 分 に 満 たない 児 童 が 全 体 の 約 4 分 の1を 占 めており この 値 は 男 子 の2 倍 以 上 であった 女 子 は 運 動 しなくてもよいとい う 暗 黙 の 社 会 的 合 意 があることで 女 子 児 童 の 運 動 機 会 が 制 限 されてきたと 言 える 近 年 その 問 題 の 重 要 性 と 深 刻 性 がようやく 認 識 されはじめて きたところであろう 身 体 活 動 によって 女 性 が 浴 する 恩 恵 について は 各 分 野 において すでに 多 くの 先 行 研 究 が 発 表 されている 例 えば 生 理 学 の 分 野 では 心 肺 機 能 の 向 上 骨 密 度 の 増 加 閉 経 後 にリスクが 高 まる 骨 粗 鬆 症 の 予 防 効 果 などが 明 らかにされてい るし 心 理 学 精 神 医 学 的 には 鬱 や 不 安 な 精 神 状 態 になりにくいことや 有 能 感 が 獲 得 されること も 報 告 されている スポーツや 身 体 活 動 が 女 性 に もたらす 恩 恵 は 多 領 域 にわたって 明 らかになって きている 本 書 に 登 場 する 女 子 プロレスラー 25 人 の 語 り からも プロレスができる 身 体 に 自 信 を 持 ち 身 体 的 力 を 獲 得 し 身 体 的 にエンパワーメントして いることが 明 らかになった 著 者 は 彼 女 たちが プロレスという 身 体 活 動 で 獲 得 した 恩 恵 を プロ レスをしていない 女 性 つまり 日 本 中 のほとんど の 女 性 たちが 共 有 するためにどうすれば 良 いのか ということにまで 考 えを 及 ぼしている そのため に 身 体 フェミニズム という 新 しい 概 念 および 運 動 実 践 を 提 唱 し その 必 要 性 を 説 き 新 しい 女 性 の 身 体 の 可 能 性 を 導 き 出 そうとしているので ある 3. 今 後 の 展 開 に 向 けて 女 子 プロレスラーを 対 象 にした 研 究 から 得 られ た 知 見 を 他 の 多 くの 女 性 のエンパワーにも 及 ぼす には 著 者 が 第 8 章 で 述 べているとおり 女 性 が 身 体 活 動 に 参 加 しない 理 由 や 参 加 から 得 られる 恩 恵 などについて 他 のスポーツ 身 体 活 動 におけ る 研 究 の 蓄 積 が 必 要 であろう また 女 性 へのエ ンパワーを 実 証 してきた 先 行 諸 研 究 を 身 体 フェ ミニズム の 立 場 から 再 構 成 することも 有 効 であ ろうと 考 えられる 本 書 は 身 体 の 変 容 に 伴 う 自 己 意 識 さらに 私 生 活 で 浴 する 恩 恵 挑 戦 がテーマの 中 心 となって いる 研 究 対 象 が 女 子 プロレスラーであることは 本 書 の 大 きな 特 徴 であるが 反 面 プロレスラー の 身 体 は ある 種 の 過 剰 な 身 体 であり 多 く の 女 性 にとっては 縁 遠 い 存 在 である また プロ レスは 厳 密 な 意 味 ではスポーツでもなければ 格 闘 技 でもない もちろん 強 く 見 せる ために 相 当 程 度 の 格 闘 技 術 を 習 得 するであろうし 女 子 プロレスラーたちが 現 実 に 強 いことは 否 定 しな い 彼 女 たちは プロレスをする 過 程 において 強 い 身 体 を 獲 得 したことで 自 己 防 衛 が 可 能 に なった しかし 必 ずしも 自 己 防 衛 訓 練 によって 防 衛 の 技 術 を 身 につけたわけではないかもし れない 自 己 防 衛 訓 練 の 重 要 性 が 共 有 されるには よりリアルな あるいはより 身 近 で 実 戦 的 な 強 さ を 追 求 する 武 道 格 闘 家 を 対 象 とした 調 査 研 究 も 求 められよう プロレスは 非 常 にタフなパフォ ーマンスであ り 怪 我 などの 危 険 を 伴 い 後 遺 症 に 悩 むレス ラーも 少 なからず 存 在 することが 想 像 される 身

合 場 敬 子 著 女 子 プロレスラーの 身 体 とジェンダー: 規 範 的 女 らしさ を 超 えて 明 石 書 店,2013 年 29 体 的 なダメージを 負 いながら 現 役 時 代 にプロレ スをすることで 得 られた 恩 恵 が 現 役 引 退 後 にも 及 ぶのかどうかは 懸 念 されるところである エンパ ワーとは 逆 に 負 の 側 面 もあわせて 視 野 に 入 れて おく 必 要 があるであろう この 課 題 は 女 子 プロ レスに 限 ったことではなく あらゆるスポーツに 関 わることではあるが 大 きな 危 険 を 伴 うプロレ スという 素 材 を 用 いたことで 気 付 かされる 課 題 で もある 以 上 本 書 のレビューから 今 後 の 研 究 の 展 開 を 構 想 してみたが これらは 本 書 の 課 題 という よりは スポーツとジェンダー という 領 域 に 関 わる 研 究 者 たちの 課 題 でもあるように 思 える このように 見 ても 本 書 は スポーツとジェン ダー という 領 域 に 恩 恵 と( 良 い 意 味 での) 挑 戦 をもたらしている