商 品 取 引 所 法 及 び 商 品 投 資 に 係 る 事 業 の 規 制 に 関 する 法 律 の 一 部 を 改 正 する 法 律 の 施 行 に 伴 う 関 係 省 令 の 整 備 等 に 関 する 省 令 ( 案 ) 等 に 対 する 意 見 2010 年 ( 平 成 22 年 )9 月 10 日 日 本 弁 護 士 連 合 会 商 品 取 引 所 法 及 び 商 品 投 資 に 係 る 事 業 の 規 制 に 関 する 法 律 の 一 部 を 改 正 する 法 律 の 施 行 に 伴 う 関 係 省 令 の 整 備 等 に 関 する 省 令 ( 案 ) ( 以 下 省 令 案 という )に 対 する 当 連 合 会 の 意 見 は, 下 記 のとおりである 記 第 1 意 見 の 趣 旨 1 不 招 請 勧 誘 について ( 1) 商 品 先 物 取 引 法 施 行 規 則 ( 省 令 案 第 1 条 に 基 づき 改 正 された 商 品 取 引 所 法 施 行 規 則 をいう 以 下 規 則 という ) 第 102 条 の2について, 反 対 であ り, 不 招 請 勧 誘 禁 止 例 外 規 定 は 設 けるべきでない 同 条 は, 既 に 商 品 先 物 取 引 業 者 と 不 招 請 勧 誘 の 禁 止 の 対 象 である 商 品 取 引 契 約 又 は 金 融 商 品 取 引 契 約 を 締 結 している 顧 客 に 対 し, 当 該 商 品 先 物 取 引 業 者 が 別 の 商 品 取 引 契 約 の 締 結 の 勧 誘 を 行 うことを 委 託 者 等 の 保 護 に 欠 け, 又 は 取 引 の 公 正 を 害 する 恐 れのない 行 為 として 不 招 請 勧 誘 禁 止 の 適 用 除 外 とする 規 定 であるが,このような 適 用 除 外 を 認 めることについては, 反 対 で ある ( 2) 規 則 第 103 条 第 1 項 第 10 号 は, 不 招 請 勧 誘 禁 止 潜 脱 を 許 さない 規 定 を 設 けたものであり, 賛 成 する 同 号 は, 不 招 請 勧 誘 禁 止 の 対 象 となる 商 品 先 物 取 引 契 約 の 勧 誘 を,セミナ ーを 開 催 することなどによりこれを 潜 脱 しようとうすることを 防 止 するもの である なお, 不 招 請 勧 誘 禁 止 の 潜 脱 は,セミナー 開 催 だけではなく,おとり 広 告 やダイレクトメールの 送 付 などによって 不 招 請 勧 誘 禁 止 を 潜 脱 することも 十 分 考 えられるので,これらについても 新 たに 規 制 を 加 えるべきである 2 向 かい 玉 について ( 1) 規 則 第 103 条 第 1 項 第 2 号 本 規 定 中 故 意 に, という 文 言 を 削 除 すべきである 向 かい 玉 は, 商 品 先 物 取 引 業 者 と 顧 客 との 利 害 相 反 取 引 であり, 誠 実 公 正 義 務 ( 商 品 先 物 取 引 法 ( 以 下 法 という ) 第 213 条 ) 違 反 であって,い -1-
わゆる 全 量 向 かい 玉, 差 玉 向 かい 玉 を 問 わず,かつ, 個 別 委 託 者 だけ でなく 委 託 者 全 体 との 関 係 であっても 全 面 禁 止 すべきである したがって, 規 則 第 103 条 第 1 項 第 2 号 の 故 意 に, の 文 言 を 削 除 し, その 趣 旨 について,ガイドライン 等 で 明 示 すべきである ( 2) 規 則 第 103 条 第 1 項 第 21 号 本 規 定 は, 差 玉 向 かい 玉 に 関 する 最 高 裁 判 決 を 受 けて,これまでの 向 かい 玉 規 制 について, 新 たに 説 明 義 務 を 課 すものであって, 委 託 者 保 護 の 観 点 か らは 前 進 であり, 一 定 の 評 価 ができる しかしながら,そもそも 向 かい 玉 は, 利 益 相 反 取 引 であって 禁 止 すべきで あり, 説 明 義 務 を 尽 くせば 許 容 されるというべきものではない また, 同 号 は, 向 かい 玉 を 特 定 取 引 として 定 義 づけているが,この 定 義 は, 故 意 を 要 件 としており, 例 えば, 最 高 裁 平 成 21 年 12 月 18 日 判 決 ( 以 下 最 高 裁 12 月 判 決 という )の 委 託 玉 と 自 己 玉 とを 通 算 した 売 りの 取 組 高 と 買 いの 取 組 高 とを 均 衡 するように 自 己 玉 を 建 てることを 繰 り 返 す 取 引 手 法 を 含 むか 否 かが 曖 昧 である 故 意 を 削 除 し, 特 定 取 引 の 定 義 を 修 正 し, 少 なくともガイドラインで 特 定 取 引 を 例 示 するなどし 明 確 に すべきである ( 3) さらに, 最 高 裁 平 成 21 年 7 月 16 日 判 決 ( 以 下 最 高 裁 7 月 判 決 とい う )に 基 づき, 規 則 第 103 条 の 禁 止 行 為 に, 差 玉 向 かいを 行 っている 特 定 の 種 類 の 商 品 先 物 取 引 を 受 託 した 後 は, 自 己 玉 を 建 てる 都 度,その 自 己 玉 に 対 当 する 委 託 玉 を 建 てた 委 託 者 に 対 し,その 委 託 玉 が 商 品 取 引 員 の 自 己 玉 と 対 当 する 結 果 となったことを 通 知 しないことを 禁 止 行 為 として 追 加 すべきで ある 3 事 故 の 確 認 を 要 しない 場 合 について 規 則 第 103 条 の3 第 1 項 第 8 号 及 び 同 第 126 条 の20 第 1 項 第 8 号 を 改 正 し, 弁 護 士 が 代 理 して 和 解 契 約 を 締 結 する 場 合 等 は 事 故 確 認 を 要 しないとす べきである 第 2 意 見 の 理 由 1 不 招 請 勧 誘 について ( 1) 規 則 第 102 条 の2 1 規 則 第 102 条 の2は, 既 に 商 品 先 物 取 引 業 者 と 不 招 請 勧 誘 の 禁 止 の 対 象 となる 商 品 取 引 契 約 又 は 金 融 商 品 取 引 契 約 を 締 結 している 顧 客 に 対 し, 当 該 商 品 先 物 取 引 業 者 が 別 の 商 品 取 引 契 約 の 締 結 の 勧 誘 を 行 うことを 委 託 者 等 の 保 護 に 欠 け, 又 は 取 引 の 公 正 を 害 する 恐 れのない 行 為 として 不 招 請 勧 誘 禁 止 の 適 用 除 外 とする 規 定 である 2 しかし, 不 招 請 勧 誘 禁 止 につき,このような 適 用 除 外 を 認 めることにつ -2-
いては, 反 対 である 本 規 定 は, 継 続 的 取 引 関 係 にある 顧 客 であれば, 委 託 者 等 の 保 護 に 欠 け, 又 は 取 引 の 公 正 を 害 する 恐 れがない として 上 記 適 用 除 外 を 認 めようとす るものであるが,しかし, 継 続 的 取 引 関 係 にある 顧 客 といっても, 必 ずし も, 知 識, 経 験, 財 産 等 において 取 引 について 適 合 性 を 有 するものとは 言 えず,そもそも, 商 品 先 物 取 引 のような,レバレッジがかかるリスクの 高 い 商 品 性 を 有 するものについて, 自 ら 取 引 を 希 望 しない 者 に 対 して 不 招 請 勧 誘 を 行 うのはまったく 馴 染 まないものであり, 継 続 的 取 引 関 係 にある 顧 客 であるからといって 不 招 請 勧 誘 禁 止 の 適 用 除 外 とするのは 相 当 でない ( 2) 規 則 第 103 条 第 1 項 第 10 号 1 規 則 第 103 条 第 1 項 10 号 は, 法 第 214 条 第 9 号 に 規 定 する 商 品 取 引 契 約 の 締 結 を 勧 誘 する 目 的 があることを 顧 客 ( 特 定 委 託 者 及 び 特 定 当 業 者 を 除 く )にあらかじめ 明 示 しないで 当 該 顧 客 を 集 めて 当 該 商 品 取 引 契 約 の 締 結 を 勧 誘 することを 禁 止 行 為 とするものである 商 品 先 物 取 引 法 施 行 令 ( 以 下 令 という ) 第 30 条 によって 不 招 請 勧 誘 禁 止 の 対 象 となる 商 品 取 引 契 約 の 勧 誘 を 目 的 とするセミナーを,その 旨 明 示 せず 開 催 することを 法 第 214 条 第 10 号 の 主 務 省 令 で 定 める 行 為 と して 禁 じたものであるが,このような 規 定 は, 不 招 請 勧 誘 禁 止 の 潜 脱 行 為 を 許 さないためには 当 然 必 要 であり, 賛 成 である 2 ただし,ここでいう 勧 誘 目 的 をあらかじめ 明 示 するという 文 言 は 極 めて 抽 象 的 であって, 勧 誘 目 的 の 明 示 として 具 体 的 にどういったものが 必 要 か が 判 然 としない 例 えば,セミナー 開 催 の 広 告 に, 小 さく 商 品 取 引 契 約 の 勧 誘 を 目 的 とすると 記 載 してあっても,それが 顧 客 の 注 意 喚 起 となるもの でなければ 意 味 がない したがって, 勧 誘 目 的 の 明 示 方 法 については,ガイドラインなどで, 商 品 取 引 契 約 の 勧 誘 を 目 的 とするセミナーであることが 一 目 瞭 然 となるよう, 顧 客 の 注 意 喚 起 をするに 十 分 な 明 示 方 法 を 規 定 すべきである 3 また, 同 規 則 は, 勧 誘 目 的 で 顧 客 を 集 める 場 合 にはその 旨 を 明 示 すべき としているが,ここでいう 勧 誘 目 的 の 有 無 は, 商 品 先 物 取 引 業 者 の 主 観 に よって 判 断 するのではなく, 当 該 セミナーを 客 観 的 に 見 て 判 断 すべきであ り,かつ,その 点 を 明 らかにしておくべきである なお, 商 品 先 物 取 引 業 者 が, 勧 誘 目 的 でなくしてセミナーを 開 催 することはまず 考 えられないの であるから, 同 業 者 が 開 催 するセミナーは, 特 段 の 事 情 がない 限 り 勧 誘 目 的 で 開 催 するものとみるべきである 4 さらに, 不 招 請 勧 誘 禁 止 を 潜 脱 する 勧 誘 行 為 等 は,ここで 禁 止 された 行 為 以 外 にも 存 するのであり, 少 なくとも 次 に 掲 げる 行 為 については, 新 た に 規 則 第 103 条 第 1 項 に 追 加 するなどをして 規 制 を 行 うべきである ア 商 品 先 物 取 引 業 者 がダイレクトメールを 送 付 するに 際 しては, 不 招 請 -3-
勧 誘 禁 止 導 入 の 趣 旨 を 損 なわないために,その 送 付 するダイレクトメー ルの 内 容 について, 商 品 取 引 契 約 における 仕 組 みや 危 険 性 を 誤 認 させる 記 載 を 許 さないよう, ガイドラインを 作 成 して 厳 格 に 規 制 すべきである イ 商 品 先 物 取 引 業 者 が 当 該 商 品 取 引 契 約 には 該 当 しない 取 引 を 勧 誘 する 広 告 を 見 て 連 絡 してきた 顧 客 に 対 して, 商 品 取 引 契 約 の 締 結 を 勧 誘 するこ とについても, 規 則 第 103 条 1 項 第 10 号 の 省 令 の 禁 止 行 為 として 追 加 する,あるいはガイドラインを 作 成 するなどして, 厳 格 に 規 制 すべき である 2 向 かい 玉 の 説 明 義 務 及 び 通 知 義 務 について *1 ( 1) 規 則 第 103 条 第 1 項 第 21 号 で 差 玉 向 かい についての 説 明 義 務 に 関 す る 省 令 を 追 加 したことは, 最 高 裁 7 月 判 決 及 び 最 高 裁 12 月 判 決 を 受 けたも ので, 一 定 の 評 価 ができる ( 2) 向 かい 玉 自 体 を 禁 止 すべきこと しかしながら, 当 連 合 会 は, 差 玉 向 かいを 含 む 向 かい 玉 一 般 について,1 997 年 3 月 付 け 商 品 先 物 取 引 制 度 見 直 しに 関 する 意 見 書 ( 添 付 資 料 1), 2003 年 11 月 21 日 付 け 商 品 先 物 取 引 制 度 改 革 意 見 書 ( 添 付 資 料 2) 等 において, 一 貫 して,その 禁 止 を 求 めてきた 向 かい 玉 については, 最 高 裁 において,すでにこれが 詐 欺 罪 を 構 成 すると *2 判 示 されているところであるが (その 他, 中 村 明 検 事 先 物 取 引 をめぐる 犯 罪 の 諸 問 題 法 務 研 究 報 告 書 76.4.372 以 下, 法 務 省 刑 事 局 付 検 事 河 合 昌 幸 商 品 先 物 取 引 をめぐる 詐 欺 事 犯 について 警 察 學 論 集 38.1.5 1 以 下 等 ),こうした 向 かい 玉 が 禁 圧 されることに 加 え, 差 玉 向 かいについて *1 なお, 本 意 見 書 に 言 う 差 玉 向 かいとは, 最 高 裁 7 月 判 決 の 述 べる 差 玉 向 かい のみなら ず, 最 高 裁 12 月 判 決 の 述 べる 本 件 取 引 手 法 ( 自 己 玉 と 委 託 玉 とを 合 計 した 売 りと 買 いの 取 組 高 を 均 衡 させるように, 自 己 玉 を 建 てる 取 引 員 の 取 引 手 法 )をも 指 すものである *2 最 決 平 成 4 年 2 月 18 日 ( 刑 集 46 2 1)は, 商 品 先 物 取 引 に 関 して,いわゆる 客 殺 し 商 法 により 顧 客 にことさら 損 失 等 を 与 えるとともに,いわゆる 向 かい 玉 を 建 てることによ り 顧 客 の 損 失 に 見 合 う 利 益 を 会 社 に 帰 属 させる 意 図 であるのに, 顧 客 の 利 益 のために 受 託 業 務 を 行 うものであるかのように 装 って, 取 引 の 委 託 方 を 勧 誘 し,その 旨 信 用 した 顧 客 から 委 託 証 拠 金 名 義 で 現 金 等 の 交 付 を 受 けた 行 為 は, 詐 欺 罪 を 構 成 する と 判 示 した -4-
*3 も, 本 来, 厳 しく 禁 圧 されるべきである その 理 由 としては, 業 者 と 委 託 者 全 体 との 間 に, 委 託 者 全 体 の 損 = 業 者 の 益, 委 託 者 全 体 の 益 = 業 者 の 損 という 形 の 構 造 的 な 利 害 相 反 関 係 が 持 ち 込 まれることになること,またそれ だけでなく,こうした 委 託 者 全 体 が 損 をすれば, 業 者 はその 損 を 業 者 の 益 に 取 り 込 むことができる という 構 造 的 な 関 係 によって, 業 者 の 今 日 の 構 造 的 な 客 殺 し 商 いを 誘 引 し, 維 持 し, 助 長 させる, 最 も 重 要 なベースの 一 つを 形 成 しているという 点 が 挙 げられる 今 般 の2つの 最 高 裁 判 決 も, 共 通 して, 要 旨, 差 玉 向 かいがなされる 場 合 には, 委 託 者 全 体 の 総 益 金 が 総 損 金 より 多 いときには 商 品 取 引 員 に 損 失 が 生 じ, 委 託 者 全 体 の 総 損 金 が 総 益 金 より 多 いときには 商 品 取 引 員 に 利 益 が 生 じ る 関 係 となるのであるから 利 益 相 反 関 係 に 立 ち, 委 託 者 全 体 の 総 損 金 が 総 益 金 よりも 多 くなるようにするために, 商 品 取 引 員 において, 故 意 に, 委 託 者 に 対 し, 投 資 判 断 を 誤 らせるような 不 適 切 な 情 報 を 提 供 する 危 険 が 内 在 する ことを 指 摘 している この2つの 最 高 裁 判 決 は, 直 接 的 には, 差 玉 向 かいの 説 明 義 務 等 を 認 めた ものであるが, 逆 説 的 に 考 えれば, 最 高 裁 判 決 のいうような 説 明 を 尽 くし, あるいは, 通 知 義 務 を 課 すとすれば, 差 玉 向 かいを 行 う 商 品 取 引 員 はいなく なるものと 思 われ,したがって, 最 高 裁 は, 説 明 義 務, 通 知 義 務 を 課 すこと によって, 差 玉 向 かいそのものを 禁 止 する 意 図 を 含 んでいるものと 理 解 すべ *3 こうした 差 玉 向 かいが 行 われる 場 合 には, 委 託 者 全 体 の 損 = 業 者 の 益, 委 託 者 全 体 の 益 = 業 者 の 損 となるが, 特 定 の 顧 客 に 対 する 向 かい 玉 において 特 定 の 顧 客 を 損 に 導 くことと 比 べると, 委 託 者 全 体 を 全 体 として 損 に 導 くことの 方 が, 構 造 的 に,より 確 実 で 安 定 的 であ る 客 殺 しの 典 型 的 なパターンは, 無 断 売 買 や 一 任 売 買 をベースにして, 業 者 が ころがし をして 手 数 料 を 稼 ぐ これに 伴 い, 顧 客 は 預 け 証 拠 金 を 圧 迫 され,その 資 金 的 余 裕 がなくな り, 目 一 杯 の 建 玉 ( 満 玉 )という 相 場 の 常 識 に 反 した 危 険 な 方 向 に 導 かれて 行 く 顧 客 に 仕 切 取 引 で 益 が 出 た 場 合 には,その 益 を 顧 客 に 返 還 せず, 相 場 に 再 投 入 して 行 き( 利 乗 せ 満 玉 ),この 証 拠 金 をさらに ころがし の 原 資 とする 顧 客 が, 業 者 への 預 託 金 の 全 てを 相 場 に 張 っている 場 合, 相 場 の 値 段 が 上 下 するものであり, 相 場 には 勝 ち 負 けがある 以 上,その うち, 顧 客 には 損 を 出 す 取 引,それまでの 確 定 差 引 益 金 を 全 て 失 った 上, 出 捐 金 ( 元 本 )す ら 失 うような 帳 尻 となる 時 期 が 到 来 する その 段 階 で, 業 者 は,はじめて 手 仕 舞 いを 勧 める こととする といった 類 いのものである したがって, 差 玉 向 かいをしておいて, 委 託 玉 に 利 益 が 出 ている 場 合 にはそれを 決 済 させな いようにし,あるいは 利 益 を 取 ってもすぐそれを 相 場 に 再 投 入 させ, 損 失 が 発 生 した 段 階 で 手 仕 舞 いさせるようにすれば, 容 易 に 委 託 者 の 預 け 金 を 自 己 の 利 益 として 取 り 込 むことがで きるのである -5-
きである 規 則 第 103 条 第 1 項 第 2 号 は, 故 意 に, 商 品 取 引 受 託 業 務 に 係 る 取 引 と 自 己 の 取 引 を 対 当 させて, 委 託 者 の 利 益 を 害 することとなる 取 引 をする こ とを 禁 止 しているが,ここでは 故 意 の 立 証 を 要 求 しているため 同 号 は 空 文 化 しているといわざるを 得 ない 上 述 したところからすれば,あえて 故 意 に といった 主 観 的 要 件 を 課 す 必 要 はなく, 故 意 に を 削 除 し, 端 的 に, 商 品 取 引 受 託 業 務 に 係 る 取 引 と 自 己 の 取 引 を 対 当 させて, 委 託 者 の 利 益 を 害 することとなる 取 引 を 禁 止 すべきである もちろん, 自 己 玉 自 体 が 禁 止 されるわけではないため,たまたま 商 品 取 引 受 託 業 務 に 係 る 取 引 と 自 己 の 取 引 が 対 当 し, 結 果 として, 委 託 者 の 利 益 を 害 することとなる ことも 想 定 しうるが,そうした 場 合 は, 商 品 取 引 員 の 側 で, 故 意 に 対 当 させたもので ないことを 反 証 させればよいように, 規 定 すべきである ( 3) 特 定 取 引 の 定 義 について 規 則 第 103 条 第 1 項 第 21 号 では, 向 かい 玉 を 特 定 取 引 と 称 し,そ の 定 義 を 故 意 に, 商 品 市 場 における 取 引 の 受 託 に 係 る 取 引 と 当 該 商 品 先 物 取 引 業 者 の 自 己 の 計 算 による 取 引 を 対 当 させる 取 引 としている ところで, 差 玉 向 かいの 定 義 について, 最 高 裁 7 月 判 決 は, 差 玉 の 全 部 又 は 一 定 割 合 に 対 当 する 自 己 玉 を 建 てることを 繰 り 返 す 商 品 取 引 員 の 取 引 方 法 といい, 他 方, 最 高 裁 12 月 判 決 は, 委 託 玉 と 自 己 玉 とを 通 算 した 売 りの 取 組 高 と 買 いの 取 組 高 とを 均 衡 するように 自 己 玉 を 建 てることを 繰 り 返 す 取 引 手 法 (これを 本 件 取 引 手 法 と 称 している )と 定 義 している 委 託 者 全 体 の 損 = 業 者 の 益 及 び 委 託 者 全 体 の 益 = 業 者 の 損 という 形 の 構 造 的 な 利 害 相 反 関 係 は, 商 品 先 物 取 引 業 者 が, 取 組 高 ベースで 委 託 玉 と 自 己 玉 とを 通 算 した 売 りの 取 組 高 と 買 いの 取 組 高 とを 均 衡 するよう, 機 械 的 に 自 己 玉 を 建 てることによって 達 成 されるのであるが, 上 記 規 則 の 文 言 で は, こうした 取 組 高 ベースでの 差 玉 向 かいが 含 まれるのか 否 かが 曖 昧 である そこで, 本 規 則 が, 最 高 裁 12 月 判 決 がいうところの 本 件 取 引 手 法 を 含 むことにつき 疑 念 が 生 じないよう 省 令 案 を 修 正 するか,ガイドライン 等 を 公 表 して 明 示 すべきである () 4 通 知 義 務 また, 最 高 裁 7 月 判 決 は, 委 託 者 が 上 記 説 明 を 受 けた 上 での 上 記 取 引 を 委 託 したときにも, 委 託 者 において,どの 程 度 の 頻 度 で, 自 らの 委 託 玉 が 商 品 取 引 員 の 自 己 玉 と 対 当 する 結 果 となっているのかを 確 認 することができるよ うに, 自 己 玉 を 建 てる 都 度,その 自 己 玉 に 対 当 する 委 託 玉 を 建 てた 委 託 者 に 対 し,その 委 託 玉 が 商 品 取 引 員 の 自 己 玉 と 対 当 する 結 果 となったことを 通 知 する 義 務 を 負 うと 判 示 している この 点, 法 第 220 条, 規 則 第 109 条 は, 注 文 が 成 立 した 場 合 の 通 知 事 項 であるのに 対 して, 業 者 が, 差 玉 向 かいをした 場 合 は,それに 対 する 委 託 -6-
玉 の 委 託 者 全 員 に,その 都 度, 通 知 する 義 務 を 規 定 する 必 要 があり, 規 則 第 109 条 とは 別 個 に 新 たに 規 定 する 必 要 がある したがって, 規 則 第 103 条 の 禁 止 行 為 に, 差 玉 向 かいを 行 っている 特 定 の 種 類 の 商 品 先 物 取 引 を 受 託 する 前 に, 委 託 者 に 対 して 差 玉 向 かいを 行 うこ と 及 び 差 玉 向 かいは 商 品 取 引 員 と 委 託 者 との 間 に 利 益 相 反 関 係 が 生 ずる 可 能 性 が 高 いことを 十 分 に 説 明 しないこと 並 びに 取 引 委 託 後 において, 自 己 玉 を 建 てる 都 度,その 自 己 玉 に 対 当 する 委 託 玉 を 建 てた 委 託 者 に 対 し,その 委 託 玉 が 商 品 取 引 員 の 自 己 玉 と 対 当 する 結 果 となったことを 通 知 しないことを 禁 止 行 為 として 追 加 すべきである なお,ザラバ 取 引 に 関 する 最 高 裁 12 月 判 決 は 通 知 義 務 について 触 れてい ないが, 板 寄 せ 取 引 とザラバ 取 引 とで, 通 知 義 務 の 発 生 に 差 異 を 設 ける 理 由 はないから, 通 知 しないことについても, 板 寄 せ 取 引 又 はザラバ 取 引 を 問 わ ず, 禁 止 行 為 とすべきである 3 事 故 の 確 認 を 要 しない 場 合 について 当 連 合 会 は,これまでの 意 見 書 (2006 年 3 月 24 日 付 け 証 券 取 引 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 ( 金 融 商 品 取 引 法 (いわゆる 投 資 サービス 法 ) 案 )の 修 正 を 求 める 意 見 書 ( 添 付 資 料 3 ),2007 年 2 月 16 日 付 け 改 正 商 品 取 引 所 法 第 214 条 の2 ( 損 失 補 てんの 禁 止 ) の 省 令 に 関 する 意 見 書 ( 添 付 資 料 4) 等 )の 中 で, 商 品 先 物 取 引 事 件 では,これまで 事 故 確 認 を 必 要 とする 立 法 事 実 が 無 いこと, 事 故 確 認 を 要 することによって 顧 客 に 不 利 な 和 解 契 約 を 締 結 せざ るを 得 ないおそれがあることなどから, 商 品 先 物 取 引 については 事 故 確 認 を 不 要 とすべきであり, 少 なくとも, 弁 護 士 が 顧 客 を 代 理 して 和 解 契 約 を 締 結 した 場 合 は, 事 故 確 認 を 不 要 とすべきである 旨 指 摘 してきたところである 規 則 第 103 条 の3 第 1 項 第 8 号 は, 弁 護 士 又 は 司 法 書 士 が 顧 客 を 代 理 して 和 解 をした 場 合 に, 事 故 の 確 認 を 要 しない 場 合 の 要 件 を 規 定 しているが, 現 行 の 省 令 と 同 じく 同 号 ロでは, 当 該 和 解 の 成 立 により 商 品 先 物 取 引 業 者 が 顧 客 に 対 して 支 払 をすることとなる 額 が 千 万 円 を 超 えない 場 合 に 限 るとし, 同 号 ハ では, 事 故 確 認 書 面 作 成 等 を 必 要 としている また, 規 則 第 126 条 の20 第 1 項 8 号 ロは, 商 品 先 物 取 引 仲 介 行 為 につき 同 趣 旨 の 規 定 をしているが,これ らの 規 則 には 事 故 確 認 に 関 する 当 連 合 会 の 意 見 が 反 映 されていないので, 弁 護 士 が 顧 客 の 代 理 人 として 締 結 した 和 解 契 約 等 は 事 故 確 認 不 要 とする 改 正 をすべ きである 以 上 -7-
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