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心 拍 変 動 を 用 いた 自 転 車 利 用 者 の 幹 線 街 路 評 価 に 関 する 分 析 今 井 克 寿 1 鈴 木 弘 司 藤 田 素 弘 3 1 学 生 会 員 名 古 屋 工 業 大 学 大 学 院 博 士 前 期 課 程 学 生 ( -8555 愛 知 県 名 古 屋 市 昭 和 区 御 器 所 町 ) E-mail: cjk1358@stn.nitech.ac.jp 正 会 員 名 古 屋 工 業 大 学 大 学 院 准 教 授 工 学 研 究 科 ( -8555 愛 知 県 名 古 屋 市 昭 和 区 御 器 所 町 ) E-mail:suzuki.koji@nitech.ac.jp 3 正 会 員 名 古 屋 工 業 大 学 大 学 院 教 授 工 学 研 究 科 ( -8555 愛 知 県 名 古 屋 市 昭 和 区 御 器 所 町 ) E-mail: fujita.motohiro@nitech.ac.jp 本 研 究 では, 自 転 車 利 用 者 視 点 による 幹 線 街 路 評 価 の 検 討 を 行 うため, 幹 線 街 路 の 自 転 車 歩 行 者 道 にお いて 走 行 調 査 を 行 い, 心 拍 変 動 から 求 められるLP 面 積 を 用 いて 自 転 車 利 用 者 のストレスを 計 量 した.また, 自 転 車 利 用 者 が 受 けるストレスの 要 因 とストレスの 増 加 要 因 を 明 らかにするため,ロジスティック 回 帰 分 析 を 行 った.その 結 果, 歩 道 交 通 量 や 通 過 交 差 点 数, 放 置 自 転 車 数 などがそれらに 影 響 を 与 えていること がわかった. 一 方,アンケート 調 査 より 自 転 車 利 用 者 の 主 観 的 な 評 価 データを 取 得 し, 各 評 価 項 目 に 関 す る 影 響 要 因 を 重 回 帰 分 析 により 明 らかにした.さらに, 客 観 評 価 と 主 観 評 価 の 影 響 要 因 を 比 較 することで, 共 通 要 因 や 各 評 価 に 関 する 特 徴 を 明 らかとし, 両 者 の 関 係 性 を 示 した. Key Words : bicycle user s evaluation, arterial streets, stress, heart rate variability, Lorentz Plot 1. はじめに 都 市 の 交 通 を 支 える 幹 線 街 路 では, 歩 行 者 自 転 車 自 動 車 の 各 利 用 主 体 に 安 全 かつ 快 適 な 走 行 空 間 を 提 供 す るため, 現 在 のサービスレベルを 適 切 に 把 握 し, 計 画 設 計 運 用 に 反 映 することが 重 要 である.そのため, 近 年, 具 体 的 な 交 通 状 況 (サービスの 質 :Quality of Service, 以 下 QOS)を 表 す 評 価 指 標 の 構 築 が 求 められている.し かし, 現 在 のQOS 評 価 指 標 はマクロな 交 通 特 性 から 計 算 され,その 多 くは 利 用 者 の 視 点 が 考 慮 されておらず, 自 動 車 を 主 体 とした 評 価 指 標 が 構 築 されている 状 況 にある. そのため, 自 転 車 利 用 者 や 歩 行 者 など, 他 の 主 体 も 考 慮 に 入 れたうえでの 評 価 を, 利 用 者 視 点 から 検 討 する 必 要 があると 考 えられる. そこで, 本 研 究 では, 自 転 車 利 用 者 視 点 から 客 観 的 な 評 価 を 得 るため, 幹 線 街 路 走 行 時 に 自 転 車 利 用 者 が 受 け るストレスに 着 目 し, 道 路 状 況 や 交 通 状 況 などの 外 部 要 因 がストレスに 及 ぼす 影 響 を 分 析 する.さらに,アンケ ート 調 査 を 実 施 することで 自 転 車 利 用 者 の 主 観 評 価 を 取 得 し, 客 観 評 価 との 関 係 性 を 分 析 する.. 心 拍 データを 用 いた 自 転 車 利 用 者 のストレス 評 価 手 法 ストレスの 評 価 に 関 する 研 究 は, 医 学 心 理 学 人 間 工 学 など 様 々な 分 野 において 行 われており, 心 拍 や 唾 液 1), 血 圧 ) などの 生 体 データが 解 析 に 用 いられている. その 中 でも, 心 拍 データを 用 いてストレスを 評 価 する 手 法 は, 計 測 機 器 が 小 型 であり, 比 較 的 データの 取 得 が 容 易 なことから, 交 通 工 学 の 分 野 でも 歩 行 時 3) や 自 転 車 ) 自 動 車 運 転 時 5) の 心 理 的 負 担 の 評 価 を 得 るために 用 いら れている. 本 研 究 では, 時 々 刻 々の 自 転 車 利 用 者 のスト レスを 定 量 的 に 評 価 するため, 心 拍 変 動 を 表 すRRI(R- R Interval, 図 -1)から 算 出 されるLorenz Plot( 以 下,LP) [ 心 電 図 ] 図 -1 RRI 概 要 P 波 : 心 房 の 活 動 QRS 波 : 心 室 の 収 縮 T 波 : 収 縮 した 心 臓 が 戻 る 過 程 1

(ms) (ms) 15 (ms) 1 σ x 路 線 名 歩 道 幅 員 [m] 表 -1 リンク 別 構 造 特 性 交 差 点 数 (うち 信 号 交 差 点 * ) リンク 長 [m] 歩 行 者 自 転 車 走 行 位 置 分 離 1 御 器 所 通 1.-3.5 5(1) 3 構 造 分 離 RRI i+1 75 5 σ -x 広 路 通.3-3. 15(3) 18 なし 3 檀 渓 通.5-3. 11(3) 8 なし 八 熊 通.-3. 8() 15 なし 5 環 状 線 南.-.5 15(5) 98 視 覚 分 離 5 LP 面 積 =π σ x σ -x 環 状 線 北.-.8 9() 58 視 覚 分 離 *: 歩 行 者 自 転 車 専 用 信 号 機 のみ 対 象 自 転 車 歩 行 者 道 車 道 -5 RRI i+1 σ -x σ x LP 面 積 =π S σ x σ -x -5 5 5 75 1 15 RRI i ) 図 - LP 面 積 概 要 (ms) RRI i 自 転 車 歩 行 者 道 車 道 アンケート 記 入 位 置 1 御 器 所 通 荒 畑 環 状 線 北 阿 由 知 通 御 器 所 通 地 下 鉄 御 器 所 駅 広 路 通 川 名 自 転 車 歩 行 者 道 車 道 図 - 対 象 幹 線 街 路 横 断 面 ( 上 から 御 器 所 通, 広 路 通 檀 渓 通 八 熊 通, 環 状 線 ) 5 環 状 線 南 3 檀 渓 通 心 拍 計 総 走 行 距 離 ー5.km 平 均 走 行 時 間 ー3 分 桜 山 檀 渓 通 八 熊 通 図 -3 走 行 調 査 コース m を 用 いる.LPとは, 図 -に 示 すように, 横 軸 にn 番 目 の RRI, 縦 軸 にn+1 番 目 のRRIをプロットしたものであり, 楕 円 の 面 積 ( 以 下,LP 面 積 )が 小 さいほど,ストレス を 感 じていると 評 価 することができる ).なお,LPはそ の 構 造 上, 不 整 脈 の 影 響 を 受 けやすいため,LP 面 積 の 算 出 前 に, 発 生 した 不 整 脈 データを,Polar 社 製 のソフト ウェア Polar Precision Performance SW を 用 いて 修 正 する. 3. 走 行 調 査 概 要 (1) 心 拍 データ 取 得 のための 走 行 調 査 概 要 と 対 象 幹 線 街 路 の 構 造 特 性 心 拍 変 動 データを 取 得 するため,11 年 7 月 と9 月 に, 名 古 屋 市 昭 和 区 内 の 幹 線 街 路 において 走 行 調 査 を, 朝 1 回, 夕 1 回 の 計 回, 人 の 被 験 者 で 実 施 した. 走 行 調 査 は 両 日 天 候 が 良 好 な 日 中 の 時 間 帯 ( 朝 :8 時 ~11 時, 夕 :1 時 ~19 時 )に 実 施 した. 走 行 調 査 のコースは, 図 -3に 示 すつのリンクを 設 定 する.また, 各 リンクの 構 造 特 性 を 表 -1に 示 す.なお,すべてのリンクの 歩 道 部 は レシーバー 図 -5 心 拍 計 自 転 車 歩 行 者 道 であり, 本 調 査 では 被 験 者 に 歩 道 部 を 走 行 させている.また, 図 -に 示 すように 御 器 所 通 は 植 栽 等 による 歩 行 者 と 自 転 車 の 分 離 が, 環 状 線 は 啓 発 サイン と 視 覚 による 分 離 が 施 されている. 自 転 車 走 行 中 のRRIを 取 得 するため, 被 験 者 の 胸 部 に 走 行 性 に 支 障 のないよう 図 -5に 示 す 小 型 のスポーツ 用 心 拍 計 を 取 り 付 け,また, 走 行 中 の 周 辺 環 境 を 取 得 するた め, 図 -に 示 すGPS 機 能 付 きカメラを 車 両 ハンドル 部 に 取 り 付 ける. 本 調 査 で 使 用 する 自 転 車 は, 一 般 的 な 自 転 車 利 用 者 の 評 価 を 得 るため, 図 -に 示 す 市 販 のシティサ イクルを 用 いる.さらに, 自 転 車 利 用 者 の 主 観 評 価 を 得 るために 表 -に 示 す 内 容 のアンケート 調 査 を 行 っている. なお,アンケート 記 入 はリンクごとに, 図 -3に 示 す 地 点 にて 被 験 者 自 身 で 行 う.

7 ( 人, 台 ) 停 止 自 転 車 同 方 向 進 行 自 転 車 GPSカメラ 5 3 1 対 向 自 転 車 停 止 歩 行 者 同 方 向 進 行 歩 行 者 対 向 歩 行 者 1 時 台 1 時 台 1 時 台 歩 行 者 数, 自 転 車 数 7 ( 人, 台 ) 御 器 所 通 広 路 通 檀 渓 通 図 - 使 用 した 自 転 車 と GPS カメラ 表 - アンケート 内 容 項 目 質 問 内 容 回 答 欄 の 形 式 無 信 号 交 差 点 沿 道 施 設 無 信 号 交 差 点 を 出 入 り 1( 安 全 ) 7( 危 険 ) する 自 動 車 に 対 する 危 険 度 信 号 交 差 点 信 号 交 差 点 で 交 錯 する 自 動 車 に 対 1( 安 全 ) 7( 危 険 ) する 危 険 度 構 造 障 害 物 歩 道 上 の 構 造 物 障 害 物 による 走 り 1( 走 りやすい) 7( 走 りにくい) にくさ 歩 行 者 自 転 車 通 行 する 歩 行 者 対 向 する 自 転 車 1( 走 りやすい) 7( 走 りにくい) に 対 する 走 りにくさ 段 差 舗 装 路 面 舗 装 段 差 から 生 ずる 振 動 に 1( 走 りやすい) 7( 走 りにくい) よる 走 りにくさ 総 合 評 価 区 間 の 総 合 評 価 1( 良 い) 7( 悪 い) () 走 行 時 周 辺 交 通 環 境 特 性 次 に, 走 行 調 査 によって 得 られた 周 辺 環 境 のデータか ら 各 リンクの 歩 道 交 通 量 と 放 置 自 転 車 数 を 計 測 した 結 果 を, 図 -7, 図 -8に 示 す. 図 -7より, 広 路 通 と 環 状 線 南, 環 状 線 北 の 歩 行 者 自 転 車 数 が, と のラッ シュ 時 に 多 くなっていることがわかる.これは, 通 勤 通 学 による 御 器 所 駅 利 用 者 によるものと 推 測 できる. また, 図 -8より, 広 路 通 と 環 状 線 南 の 放 置 自 転 車 台 数 が 多 いことがわかる.これは, 御 器 所 駅 利 用 者 による 違 法 駐 輪 によるものと 推 測 できる.. ストレス 状 態 の 定 義 とストレス 状 態 増 加 要 因 推 計 モデルの 構 築 (1) 個 人 差 を 考 慮 したストレス 状 態 の 定 義 LP 面 積 を 用 いてストレスを 評 価 するため, 走 行 調 査 から 得 られた 心 拍 データを 用 い,1 分 ごとに LP 面 積 を 算 出 する.しかし, 生 体 データである RRI から 算 出 さ れる LP 面 積 は, 被 験 者 ごとの 個 人 差 が 大 きくなると 考 えられる.したがって,その 個 人 差 をなくすため, 本 研 究 では, 個 々の 被 験 者 の LP 面 積 のパーセンタイル 値 ( 以 下,PT)を 閾 値 として 設 定 することにより,スト レス 状 態 を 表 現 することを 試 みる. 被 験 者 ごとの LP 面 歩 行 者 数, 自 転 車 数 5 3 1 1 ( 台, 集 団 ) 1 1 1 8 台 数 存 在 度 数 存 在 度 数 1 1 1 1 8 1 1 1 1 8 1 時 台 3. 3.7.5 3. 1 時 台 図 -7 リンク 別 時 間 帯 別 歩 道 交 通 量 1 時 台 八 熊 通 環 状 線 南 環 状 線 北 7.3 5.5 13.8 9.7.8.3.. 1.8. 1. 1. 8.5 5.5 13.8 放 置 自 転 車 台 数 放 置 自 転 車 集 団 数 * 9.5 7.8 5. 3.3 3.7 朝 夕 朝 夕 朝 夕 朝 夕 朝 夕 朝 夕 御 器 所 通 広 路 通 檀 渓 通 八 熊 通 環 状 線 南 環 状 線 北 * 放 置 自 転 車 集 団 数 : 同 じ 場 所 に 固 まって 駐 輪 してある 自 転 車 を 1とカウント 図 -8 リンク 別 時 間 帯 別 放 置 自 転 車 数 35PT 被 ストレス 状 態 1% % 3% % 5% % 7% 8% 9% 1% 比 率 図 -9 LP 面 積 の 存 在 割 合 例 ( 被 験 者 1, 朝 時 間 帯 ) 35PT 被 ストレス 状 態 1% % 3% % 5% % 7% 8% 9% 1% 比 率 図 -1 LP 面 積 の 存 在 割 合 例 ( 被 験 者, 朝 時 間 帯 ) 3

* 積 の 分 布 を 詳 細 に 観 察 するため,LP 面 積 の 逆 数 につい て, 最 小 値 を, 最 大 値 を 1とし,その 間 を 1 等 分 した 比 率 を 横 軸 に, 度 数 を 縦 軸 とするヒストグラムを 描 く. ここでは 例 として 名 の 被 験 者 の LP 面 積 の 存 在 割 合 に ついて 図 -9, 図 -1 にそれぞれ 示 す.これらのグラフか ら,~% 付 近 より 大 きい 比 率 において 存 在 度 数 が 低 くなり, 散 在 していることがわかる.ここで,ストレス 状 態 を 通 常 でない 特 異 な 状 態 と 捉 えると, 図 -9, 図 -1 の 網 掛 けの 範 囲 を ストレスを 受 けている 状 態 ( 以 後, 被 ストレス 状 態 )と 仮 定 できる. 他 被 験 者 も 含 む 全 走 行 において, 同 様 の LP 面 積 ( 逆 数 )のヒストグラムを 作 成 し,PT の 値 を 比 較 検 討 したところ,35PT を 閾 値 とす ることで 被 験 者 の 被 ストレス 状 態 を 概 ね 正 確 に 把 握 でき ることが 示 された.そこで, 本 研 究 では 1 分 ごとの LP 面 積 が 走 行 調 査 全 体 の LP 面 積 の 35PT 以 下 の 状 態 を 被 ストレス 状 態 と 定 義 する. 走 行 調 査 全 体 の LP 面 積 の 推 移 例 と 被 ストレス 状 態 の 定 義 例 を 図 -11 に 示 す. () ストレス 状 態 推 計 モデルの 構 築 被 ストレス 状 態 ダミー(LP 面 積 が 35PT 以 下 =1, 超 過 =)を 目 的 変 数 とし, 表 -3 に 示 す 説 明 変 数 を 用 いてス トレス 状 態 推 計 モデルを 構 築 し,ストレスに 影 響 を 与 え る 外 部 要 因 を 明 らかにする.なお,LP 面 積 の 分 布 特 性 より, 分 析 には 線 形 回 帰 分 析 ではなくロジスティック 回 帰 分 析 を 用 いる. ストレス 状 態 推 計 モデルを 構 築 した 結 果 を 表 -(A) に 示 す.これより, 歩 行 者 自 転 車 利 用 者 の 人 数, 駐 車 場 数, 交 差 点 数 が 自 転 車 利 用 者 のストレスに 影 響 してい ることがわかる. ここで,モデルの 再 現 性 について 検 証 する. 走 行 を1 分 ごとに 区 切 り, 走 行 中 にストレスを 感 じている 時 間 の 割 合 について, 被 ストレス 状 態 ダミー=1のサンプル 数 を 調 査 全 体 のサンプル 数 で 除 した 値 としてストレス 率 を 定 義 する.まず, 走 行 調 査 におけるストレス 率 を 算 出 する と1.%であった. 次 に, 走 行 調 査 で 取 得 した 現 況 の 各 説 明 変 数 をモデルに 代 入 し, 現 況 再 現 を 行 ったところ, ストレス 率 は3.%となった. 以 上 より, 実 際 値 と 現 況 再 現 値 の 差 が5%であり,このモデルは,ストレス 率 を 概 ね 良 い 精 度 で 再 現 できていることがわかる. 次 に, 構 築 したストレス 状 態 推 計 モデルを 用 いて, 交 通 環 境 を 変 更 した 場 合 のストレス 率 の 変 化 について 感 度 分 析 を 行 った 結 果 を 図 -1に 示 す.なお,シナリオ1~ はそれぞれ 自 転 車 利 用 者 の 進 路 上 からの 歩 行 者 数 の5%, 5%,75%,1% 減 少,シナリオ5,はそれぞれ 駐 車 場 数 の5%,1% 削 減,シナリオ7,8はそれぞれ1リンクあ たりの 交 差 点 1 箇 所, 箇 所 の 封 鎖 を 設 定 した. これより, 自 転 車 専 用 レーンの 設 置 に 代 表 される 歩 行 者 数 の1% 削 減 や 駐 車 場 の1% 減 少 などの 対 策 を 施 すこ 1 御 器 所 通 広 路 通 3 檀 渓 通 八 熊 通 5 環 状 線 南 環 状 線 北.1 (ms) - LP 面 積 ( 逆 数 ) 35PT 実 数 値.1.1.8... 1 3 5 7 8 9 1 11 1 13 1 15 1 17 18 19 1 3 5 7 8 9 ( 分 ) 経 過 時 間 *:LP 面 積 の 逆 数 を 縦 軸 にしているため,35PTより 上 側 が 被 ストレス 状 態 を 表 す. 図 -11 LP 面 積 の 推 移 例 と 被 ストレス 状 態 の 定 義 例 表 -3 説 明 変 数 の 定 義 ( 第 章 の 全 モデルに 共 通 ) 変 数 名 定 義 説 明 85PT 1 秒 ごとの 速 度 の85PT. 被 験 者 の 理 想 走 行 速 度 と 仮 定. 駐 車 場 数 通 過 した 沿 道 の 駐 車 場 の 出 入 口 の 数 駐 車 場 増 加 数 通 過 した 沿 道 の 駐 車 場 の 出 入 口 の 数 の 前 サンプルからの 増 加 数 有 効 幅 員 [m] 走 行 可 能 な 自 転 車 歩 行 者 道 の 幅 員 (リンクの 最 小 値 ) 交 差 点 数 [ 箇 所 ] 通 過 した 接 続 する 道 路 の 本 数 同 方 向 進 行 歩 行 者 数 走 行 中 に 追 い 越 した 歩 行 者 数 歩 行 者 自 転 車 数 歩 行 者 数 と 自 転 車 台 数 の 和 歩 行 者 自 転 車 増 加 数 歩 行 者 数 と 自 転 車 台 数 の 和 の 前 サンプルからの 増 加 数 幅 員 占 有 率 [ 人 /m] 歩 行 者, 自 転 車 による 幅 員 の 占 有 率 ( 歩 行 者 自 転 車 数 / 有 効 幅 員 ) 放 置 自 転 車 台 数 [ 台 ] 走 行 動 線 上 に 存 在 する 放 置 自 転 車 台 数 [ 台 ]( 駐 輪 場 歩 道 橋 の 下 など, 走 行 に 支 障 をきたさないものは 除 く) 放 置 自 転 車 集 団 数 [ 集 団 ] ダ ミ 歩 車 分 離 ダミー ー 路 面 舗 装 ダミー 被 ストレス 状 態 上 記 の 放 置 自 転 車 台 数 において, 同 じ 場 所 に 固 まって 駐 輪 して あるものをまとめて1とカウントする 歩 行 者 と 自 転 車 の 通 行 の 分 離 あり=1,なし= 路 面 舗 装 の 形 式 ( 悪 路,アスファルト) 該 当 あり=1,なし= 表 - ストレス 状 態 増 加 要 因 推 計 モデル モデル A.ストレス 状 B.ストレス 増 加 要 因 推 計 モデル 説 明 変 数 態 推 計 モデル モデル1 モデル 歩 行 者 自 転 車 数 [ 人 ].** - - 歩 行 者 自 転 車 増 加 数 [ 人 ] - -.*** 駐 車 場 数 [ 箇 所 ].* - - 駐 車 場 増 加 数 [ 箇 所 ] -.11*.11* 交 差 点 数 [ 箇 所 ].179***.18***.*** 放 置 自 転 車 集 団 数 [ 集 団 ] -.19** - ( 定 数 ) -.53* -.97*** -.37 的 中 率 [%] 7. 7. 71. Nagelkerke R.1.13.11 サンプル 数 79 7 *:1% 有 意 **:5% 有 意 ***:1% 有 意 シナリオ (%) 1 3. 35 3.8 ストレス 率 3.5 3 7.5 シナリオ 33.7 シナリオ シナリオ 3 3.3 9. シナリオ シナリオ 5 33. 9. 図 -1 ストレス 状 態 推 計 モデルを 用 いた 感 度 分 析 シナリオ シナリオ 7 8 35.8 35.1 とで, 自 転 車 利 用 者 のストレスを 大 幅 に 削 減 でき,シナ リオ1~3のような 歩 行 者 と 自 転 車 の 分 離 は, 駐 車 場 の 5% 削 減 や1リンクにつき 箇 所 の 交 差 点 封 鎖 と 同 程 度 の ストレス 減 少 効 果 が 見 込 めることがわかる.よって, 歩 行 者 や 自 動 車 との 交 錯 危 険 性 を 低 減 させ, 自 転 車 利 用 者 が 他 の 利 用 主 体 からある 程 度 独 立 して 走 行 できる 環 境 を 作 ることが,ストレス 抑 制 の 効 果 的 な 対 策 であると 考 え られる.

(3) ストレス 増 加 要 因 推 計 モデルの 構 築 前 節 にて,ストレス 状 態 推 計 モデルについて 述 べたが, このモデルは 走 行 調 査 全 体 に 対 して,ストレス 量 の 大 き い 場 面 を 説 明 するモデルである.しかし, 自 転 車 利 用 者 の 幹 線 街 路 に 対 する 心 理 的 な 評 価 は, 時 間 経 過 を 加 味 し て 相 対 的 に 行 われると 考 えられる.そこで, 本 節 では, LP 面 積 が 前 時 間 帯 と 比 べて 減 少 したサンプル,すなわ ちストレスが 増 大 したサンプルについて,その 増 大 要 因 を 分 析 する.ストレス 増 加 ダミー( 前 時 間 帯 よりLP 面 積 減 少 =1, 増 加 =)を 目 的 変 数 とし, 表 -3に 示 す 説 明 変 数 を 用 いてロジスティック 回 帰 分 析 を 行 い,ストレス 増 加 要 因 推 計 モデルを 構 築 した 結 果 を 表 -(B)に 示 す. これより, 放 置 自 転 車 集 団 数, 駐 車 場 数 の 増 加, 交 差 点 数, 歩 行 者 自 転 車 数 の 増 加 が 自 転 車 利 用 者 のストレ ス 増 加 の 要 因 になることがわかる. ここで, 前 節 同 様 モデルの 再 現 性 について 検 証 する. 走 行 を1 分 ごとに 区 切 り, 前 時 間 帯 よりストレスが 増 加 した 時 間 の 割 合 について,ストレス 増 加 ダミー=1のサン プル 数 を 調 査 全 体 のサンプル 数 で 除 した 値 として,スト レス 増 加 ダミー 率 を 定 義 する.これより, 実 際 の 走 行 調 査 におけるストレス 増 加 ダミー 率 は5.8%であり, 現 況 再 現 値 はモデル1で55.%,モデルで57.7%となった. 以 上 より, 実 際 値 と 現 況 再 現 値 の 差 が3~5%であり,この モデルは,ストレス 増 加 ダミー 率 を 概 ね 良 い 精 度 で 再 現 できていることがわかる. 次 に, 構 築 したストレス 増 加 要 因 推 計 モデルを 用 いて 感 度 分 析 を 行 った 結 果 を 図 -13に 示 す.なお,シナリオ1 ~はそれぞれ 放 置 自 転 車 集 団 数 の8% 減 少,1% 減 少, 5% 増 加,1% 増 加,シナリオ5は, 地 下 鉄 駅 周 辺 の 放 置 自 転 車 の 撤 去,シナリオ,7は 各 モデルについてそれ ぞれ1リンクあたりの 交 差 点 1,3 箇 所 の 封 鎖 を 設 定 した. これより, 放 置 自 転 車 対 策 を 強 化 することで, 自 転 車 利 用 者 のストレス 増 加 を 大 幅 に 抑 制 でき, 地 下 鉄 駅 周 辺 の 放 置 自 転 車 の 撤 去 は, 交 差 点 の1リンクにつき1,3 箇 所 の 封 鎖 と 同 程 度 のストレス 増 加 抑 制 効 果 を 見 込 めるこ とがわかる.よって, 歩 道 上 の 放 置 自 転 車 に 対 する 施 策 を 行 い, 自 転 車 が 走 行 できる 領 域 を 広 げることが, 自 転 車 利 用 者 のストレス 増 加 を 抑 制 する 上 で 効 果 的 であると 考 えられる. 5. 自 転 車 利 用 者 の 主 観 評 価 分 析 アンケート 結 果 から, 自 転 車 利 用 者 の 主 観 的 な 評 価 と 外 部 要 因 の 関 係 性 を 明 らかにするため, 重 回 帰 分 析 を 行 う.しかしながら,アンケートの 評 点 は, 順 序 尺 度 であ り, 重 回 帰 分 析 に 直 接 用 いることは 適 切 でない.そこで, 系 列 間 隔 法 を 用 いてアンケートの 評 点 を 定 量 化 し,1 (%) ストレス 増 加 ダミー 率 (モデル1) 57.5 55. 55 5.5 5 7.5 5 53.9.8 5.9 59. 51.3 図 -13 ストレス 増 加 要 因 モデルを 用 いた 感 度 分 析 表 -5 アンケート 総 合 評 価 回 帰 モデル(N=7) 説 明 変 数 パラメータ 標 準 化 係 数 構 造 障 害 物.*.3 歩 行 者 自 転 車.31*.59 段 差 舗 装.33*.31 ( 定 数 ) 1.35 調 整 済 みR.59 *:1% 有 意 表 - アンケート 評 価 項 目 回 帰 モデル(N=7) モデル 構 造 障 害 物 歩 行 者 説 明 変 数 モデル1 モデル 自 転 車 段 差 舗 装 放 置 自 転 車 台 数 [ 台 ] -1.1** - - - 放 置 自 転 車 集 団 数 [ 台 ] - -1.8** - - 狭 小 箇 所 数 -13.897* -1.53* - - 有 効 幅 員 [m] 1.7* 1.33* - - 歩 車 分 離 ダミー -31.3* -3.81* - - 同 方 向 進 行 歩 行 者 数 [ 人 ] - - -.38* - 幅 員 占 有 率 - - -.985*** - 85PT[m/s] - - 1.985** 1.58* 路 面 舗 装 ダミー: 悪 路 - - - -11.73*** 路 面 舗 装 ダミー: アスファルト - - - 1.71** ( 定 数 ) 1.931* 3.185* 1.87 -.17 調 整 済 みR.18..7.17 *:1% 有 意 **:5% 有 意 ***:1% 有 意 点 満 点 の 間 隔 尺 度 に 変 換 する. 系 列 間 隔 法 による 定 量 化 の 結 果 を 図 -1に 示 す.これより, 両 端 の 評 価 幅 が 広 く なっていることがわかる. 次 に,アンケートの 各 評 価 項 目 から 総 合 評 価 を 説 明 す る 重 回 帰 分 析 を 行 い, 構 築 したモデルの 結 果 を 表 -5に 示 す.これより, 構 造 障 害 物, 歩 行 者 自 転 車, 段 差 舗 装 の 各 評 価 項 目 が 総 合 評 価 と 関 係 が 強 いこ とがわかる.さらに,この3 評 価 項 目 を 目 的 変 数 とし, 表 -3に 示 す 説 明 変 数 を 用 いて 重 回 帰 分 析 を 行 い, 構 築 し たモデルの 結 果 を 表 -に 示 す. これより, 構 造 障 害 物 の 評 価 項 目 は, 放 置 自 転 51.9 5.8 5.9 53. (%).3 59.8 57.7 7 5 3,1. 3.3 5. 9. 1 アンケート 評 点 1 3 5 7 得 点 1 1 9. 5. 3.3. 図 -1 系 列 間 隔 法 によるアンケート 評 点 の 定 量 化 57.3 5.8 5.3 9.8 7.3 ストレス 増 加 ダミー 率 (モデル) 5

車 台 数 集 団 数 が 多 いこと, 狭 小 箇 所 数 が 多 いこと, 有 効 幅 員 が 狭 いこと, 歩 車 分 離 であることが, 歩 行 者 自 転 車 の 評 価 項 目 は, 同 方 向 進 行 歩 行 者 数 が 多 いこと, 幅 員 占 有 率 が 大 きいこと, 走 行 速 度 の85PTが 低 いこと が, 段 差 舗 装 の 評 価 項 目 は, 走 行 速 度 の85PTが 低 いこと, 路 面 舗 装 の 状 態 が 悪 いことやアスファルトの 舗 装 であることが 評 価 を 下 げる 要 因 になっていると 推 測 することができる.. 自 転 車 利 用 者 の 客 観 評 価 と 主 観 評 価 に 関 する 比 較 分 析 章 にて 自 転 車 利 用 者 の 客 観 的 な 評 価 を,5 章 にて 自 転 車 利 用 者 の 主 観 的 な 評 価 を 取 得 した. 本 章 では,その 両 者 に 関 する 比 較 分 析 を 行 う. まず, 放 置 自 転 車 に 関 する 変 数 に 着 目 する.ストレス 状 態 推 計 モデルでは, 放 置 自 転 車 に 関 する 変 数 が 有 意 で はなかったが,ストレス 増 加 要 因 推 計 モデルでは, 放 置 自 転 車 集 団 数 の 変 数 が 有 意 となった.また, 主 観 評 価 で ある 構 造 障 害 物 に 関 するモデルでは, 放 置 自 転 車 に 関 する 変 数 が 有 意 な 結 果 となった.これより,ストレ ス 増 加 要 因 推 計 モデルと 主 観 評 価 にて, 共 通 する 変 数 が あることがわかり,ストレス 増 加 要 因 推 計 モデルより 示 される 客 観 評 価 と 主 観 評 価 の 間 に 関 係 性 があることが 示 された. 次 に, 歩 道 部 の 狭 小 箇 所 数 の 変 数 は, 客 観 評 価 では 有 意 でないが, 主 観 評 価 では 有 意 な 結 果 となった.これは, 狭 小 箇 所 の 通 過 時 間 は 瞬 間 的 であり,1 分 間 の 走 行 全 体 を 評 価 する 客 観 評 価 では, 影 響 が 少 なかったためと 考 え られる.これより, 客 観 評 価 はこのような 瞬 間 的 な 外 部 要 因 に 対 する 影 響 が 反 映 されにくいことが 推 測 できる. また, 歩 行 者 数 や 自 転 車 台 数 などの 歩 道 の 交 通 量 に 関 する 変 数 は, 客 観 評 価, 主 観 評 価 ともに 有 意 であったが, 歩 行 者 自 転 車 の 評 価 構 造 に 関 するモデルでは, 自 転 車 利 用 者 が 視 認 されにくい 方 向 に 進 む 歩 行 者 を 表 す 同 方 向 進 行 歩 行 者 の 変 数 のみが 有 意 であった.これより, 主 観 評 価 は, 歩 行 者 の 進 行 方 向 の 違 いが 与 える 印 象 が 影 響 すると 推 測 できる. さらに, 理 想 的 な 走 行 速 度 を 示 す 変 数 である85PTに ついて, 主 観 評 価 では 歩 行 者 自 転 車 と 段 差 舗 装 に 関 するモデルで 有 意 であったが, 客 観 評 価 では 有 意 でなかった.これより, 主 観 評 価 では, 理 想 的 な 速 度 での 走 行 が, 評 価 に 強 く 影 響 することが 推 測 できる.ま た, 上 述 のように 客 観 評 価 では, 歩 道 交 通 量 に 関 する 変 数 が 有 意 となっていたため,85PTの 影 響 が 小 さくなっ たことも 考 えられる. 7. まとめ 本 研 究 では, 自 転 車 利 用 者 の 客 観 評 価 を 得 るため, 心 拍 データから 得 られるLP 面 積 を 用 いて, 幹 線 街 路 にお ける 自 転 車 利 用 者 のストレスを 調 査 分 析 し, 自 転 車 利 用 者 が 受 けるストレスの 要 因 とストレスが 増 加 する 際 に 影 響 する 要 因 を 明 らかにした.また,アンケート 調 査 から, 幹 線 街 路 に 対 する 主 観 評 価 について, 総 合 的 な 評 価 に 結 びつく 評 価 項 目 と 各 評 価 項 目 の 評 点 に 影 響 を 与 える 外 部 要 因 を 明 らかにした.さらに,これらのモデルを 用 いて, 自 転 車 利 用 者 の 客 観 評 価 と 主 観 評 価 に 関 する 比 較 分 析 を 行 い, 客 観 評 価 と 主 観 評 価 では, 自 転 車 利 用 者 の 外 部 要 因 から 受 ける 影 響 の 大 きさや, 印 象 の 強 さなどに 差 が 見 られることを 明 らかとした.しかしながら,ストレス 状 態 推 計 モデルとストレス 増 加 要 因 推 計 モデルの 的 中 率 や NagelkerkeのR 値,アンケートの 各 評 価 項 目 に 関 する 回 帰 モデルのR 値 の 低 さに 問 題 点 が 残 った. 今 後 は, 更 な る 説 明 変 数 の 追 加 や 走 行 調 査 の 実 施 によるサンプル 数 の 増 加 などにより,モデルの 精 度 向 上 に 努 めると 共 に, 利 用 主 体 間 の 関 係 性 や 安 全 性 を 十 分 考 慮 し, 他 利 用 主 体 の 評 価 構 造 をモデル 化 した 上 で, 本 研 究 で 示 したモデルと 組 み 合 わせ, 主 観 評 価 と 客 観 評 価 を 同 時 に 表 現 するモデ ルを 構 築 する 予 定 である. 謝 辞 : 本 研 究 は, 科 研 費 ( 若 手 研 究 (B)378)の 助 成 を 受 けたものである.ここに 記 して 謝 意 を 表 する. 参 考 文 献 1) 井 澤 修 平, 城 月 健 太 郎, 菅 谷 渚, 小 川 奈 美 子, 鈴 木, 克 彦, 野 村 忍 : 唾 液 を 用 いたストレス 評 価, 日 本 補 完 代 替 医 療 学 会 誌 Vol.,No. 3, pp91-11,7 ) 岩 崎 賢 一 : 変 動 解 析 ( 心 拍, 血 圧, 脳 血 流 ), 日 臨 麻 会 誌 Vol.8, pp889-899,8 3) 斎 藤 健 治, 清 田 勝 : 自 動 車, 自 転 車 とのすれ 違 いに おける 歩 行 者 のストレスに 関 する 心 拍 変 動 による 評 価, 佐 賀 大 学 理 工 学 部 集 報 3(),pp1-7,5.1 ) 鈴 木 清, 松 田 和 香, 竹 林 弘 晃, 砂 川 尊 範, 新 田 保 次 : 自 転 車 走 行 時 の 心 理 的 負 担 に 着 目 した 自 転 車 走 行 空 間 の 比 較 評 価, 土 木 計 画 学 研 究 講 演 集 Vol.1, No.3,1 5) 今 村 友 弥, 坂 本 将 吾, 鹿 島 茂 : 心 拍 変 動 による 自 動 車 運 転 時 の 心 理 的 負 担 の 定 量 的 評 価, 土 木 計 画 学 研 究 講 演 集 Vol.,No.19,11 ) 豊 福 史, 山 口 和 彦, 萩 原 啓 : 心 電 図 RR 間 隔 のローレ ンツプロットによる 副 交 感 神 経 活 動 の 簡 易 推 定 法 の 開 発, 人 間 工 学 Vol.3,No.,pp185-19 (?)