風 水 の 起 源 また 風 水 という 言 葉 の 語 源 については 古 来 より 郭 璞 の 定 義 など 諸 説 あります が 張 明 澄 先 生 においては 周 易 の 水 風 井 卦 を 風 水 の 語 源 とします ( 周 易 の 真 実 張 明 澄 口 述 掛 川 掌 瑛 編 著 1998 年 2008 年 にファイブ アーツ 社 より 改 訂 版 を 出 版 ) 易 の 知 識 が 乏 しい 人 は 文 字 の 順 序 が 逆 ではないかと 思 うかも 知 れませんが 易 卦 は 下 から 順 に 初 爻 二 爻 三 爻 と 立 卦 するもので 先 に 風 ( 内 卦 )があって 後 に 水 ( 外 卦 )というのが 本 来 の 順 序 です つまり 風 の 上 に 水 が 乗 っているから そのまま 上 から 見 て 水 風 井 と 読 むように なったものです 周 易 には 易 卦 の 記 号 と 卦 名 が 書 いてあるだけで 水 風 井 という 読 み 方 が 書 い てあるわけではありませんから かつては 風 水 井 と 読 んでいた 時 代 があったという 可 能 性 も 否 定 は できません 井 とは 現 代 と 同 じく 井 戸 のことであり 空 気 と 水 が 良 い 井 戸 を 掘 る 場 所 つまりは 人 が 住 むための 場 所 を 決 めるための 技 術 が 風 水 だったと 考 えられます また 風 水 の 理 論 構 成 は 巒 頭 と 理 気 または 方 法 論 の 別 を 問 わず 必 ず 易 卦 理 論 が 基 礎 にあり 風 水 という 言 葉 の 起 源 も また 周 易 にあることは 何 の 不 思 議 も 無 く 全 く 当 然 と 言 えます 気 乗 風 則 散 界 水 則 止 古 人 聚 之 使 不 散 行 之 使 有 止 故 謂 之 風 水 ( 気 は 風 に 乗 じて 則 わち 散 り 水 に 界 されて 則 わち 止 まる 古 人 は 之 れを 聚 めて 散 らせ 使 めず これを 行 いて 止 まり 有 ら 使 る 故 に 之 を 風 水 と 謂 う)という 郭 璞 に 依 るとされる 風 水 の 定 義 は 明 らかに 間 違 ったものです まず 気 は 風 に 乗 じて 散 る と 言 いますが それなら 山 の 上 から 稜 線 に 沿 って 降 りてくるはずの 気 は 無 風 の 日 以 外 は 風 に 吹 かれて 散 ってしまい 平 地 には 届 かないのでしょうか また 水 に 界 され て 止 まる といいますが 気 は 稜 線 伝 いに 降 りる 他 水 に 運 ばれ 流 れて 行 くものであり 水 に 遇 って 止 まることはありません このようなことは 風 水 師 であれば 誰 でも 知 っていることであり 風 水 の 巒 頭 に 関 する 実 践 的 な 知 識 が 少 しでもあれば つまり 実 際 に 風 水 を 見 ることができる 人 であれば 間 違 えようがありません
おそらく 郭 璞 とされる 葬 書 の 作 者 は 風 水 師 ではなかったでしょうし 実 際 の 風 水 知 識 はほとんど 無 かったのでしょう つまり 現 代 の 学 者 たちと 同 様 風 水 に 関 わる 文 献 を 多 く 読 んだり 風 水 の 周 辺 に いるだけで 風 水 師 の 世 界 には 立 ち 入 ることができなかったのでしょう もともと 風 水 は 人 が 住 むのに 適 した 場 所 を 探 す 伎 術 であったことは 上 記 の 通 りです つまり よく 言 われる 陽 基 陽 宅 陰 宅 という 分 類 では 陽 基 に 当 たるのが 本 来 の 風 水 でした しかし 現 代 に 至 るまで 中 国 人 にとって 風 水 とは 陰 宅 つまり 墓 相 やお 墓 そのもののイメージが 定 着 しています このイメージを 決 定 的 にしたのが 郭 璞 の 作 とされる 葬 書 であることは 間 違 いありません 風 水 に 関 する 典 籍 には 葬 書 よりも 古 い 狐 首 經 など もっと 多 くの 書 物 があり 風 水 の 定 義 も 葬 書 と 同 じではありません 青 囊 經 錦 囊 經 ( 葬 書 ) などは 風 水 の 最 古 の 部 類 に 属 する 古 典 籍 と して 知 られていますが 黑 囊 經 白 囊 經 黄 囊 經 紫 囊 經 などの 発 展 形 態 まで 研 究 している 学 者 もいないようです これは 学 者 の 仕 事 としても 褒 められたものではありません 昔 から 葬 書 の 定 義 ばかりが 正 しい 風 水 の 定 義 であるかのように 言 われ 現 代 の 学 者 もそれをその まま 踏 襲 する 人 が 多 く 風 水 師 と 自 称 あるいは 他 称 される 人 々からも 疑 問 を 呈 する 人 が 現 れません でした どうして 累 代 の 風 水 師 たちは 葬 書 の 間 違 いを 知 っていても 指 摘 しなかったのでしょう しか し 風 水 師 も 商 売 ですから いちいち 権 威 に 逆 らうよりは 有 難 く 権 威 を 利 用 させて 貰 ったほうが 得 策 だ ったのでしょう 地 理 という 言 葉 は 風 水 の 別 名 として 使 われますが もともと 風 水 とは 土 地 をその 起 伏 や 水 の 流 れ 方 などによって 気 の 流 れを 読 み 竜 穴 砂 水 という 原 理 によって 格 付 けし 住 居 地 や 墓 地 などと して 人 間 の 用 に 供 する 為 の 技 術 であり 地 相 を 見 るための 理 論 という 意 味 で 地 理 という 言 葉 を 使 い ます もちろん 西 洋 科 学 の 地 理 学 とは 関 係 ありません 地 理 五 訣 の 内 訳 は 竜 穴 砂 水 ( 巒 頭 ) に 向 ( 理 気 )を 加 えた 五 項 目 であり 風 水 の 根 本 であ り 風 水 の 全 てとも 言 えるものです 風 水 地 理 五 訣
1 竜 とは 土 地 の 起 伏 やうねり 山 脈 や 尾 根 筋 などの 形 状 を 神 獣 である 竜 に 例 えたものです 竜 管 貴 賤 といわれるように 竜 は 貴 賤 を 司 るものとされます はっきりとした 起 伏 があり 今 にも 動 き 出 しそうに 見 える 生 き 生 きとした 竜 を 貴 竜 といいます このような 地 形 には 多 くの 気 が 集 まり 住 む 人 の 身 分 や 地 位 を 高 くします 東 京 で 言 えば 信 濃 町 あたりの 地 形 を 思 い 浮 かべていただければ 解 りやすいでしょう 逆 に 起 伏 が 全 くない 平 坦 な 土 地 は 賤 竜 と いい 気 が 集 まることがなく 住 む 人 の 身 分 地 位 を 低 下 させるようになります 東 京 で 言 え ば 下 町 方 面 であり 山 の 手 線 沿 線 などで 山 の 手 と 下 町 がくっきりと 境 界 が 見 えるところがあ り 竜 の 良 いところと 悪 いところ つまり 貴 竜 の 土 地 と 賤 竜 の 土 地 を 見 分 けることができ ます 黒 澤 明 監 督 の 映 画 に 天 国 と 地 獄 というのがありましたが あの 丘 の 上 の 豪 邸 と 丘 の 下 の 平 地 との 格 差 なども 分 かりやすい 場 面 と 言 えるでしょう なお 陽 宅 の 場 合 貴 竜 に 生 まれ 育 つことによって 次 第 に 貴 という 要 素 が 身 につき 次 に 生 まれる 子 孫 たちは 貴 の 命 式 を 持 って 生 まれてくるようになります 陰 宅 ( 墓 相 )の 場 合 は 納 骨 された 人 の 子 孫 曾 孫 までに 影 響 があり 貴 という 要 素 を 受 け 継 いでゆくようになります 2 穴 とは 竜 のなかの 位 置 のことであり 竜 に 囲 まれるか 竜 の 頭 部 と 見 なされるよう な 先 端 付 近 で 特 に 多 くの 気 が 集 まるところを 竜 穴 と 称 し 非 常 に 尊 ばれるものです ま た 穴 管 吉 凶 と 言 い 穴 の 形 状 が 吉 穴 ( 的 穴 ともいう)なら 住 む 人 を 災 難 から 守 ってく れるし 形 状 が 凶 穴 ( 歪 穴 ともいう)なら 住 む 人 はいつも 災 難 に 晒 されるようになります また 穴 には 吉 凶 以 外 にあらゆる 象 意 を 見 る 方 法 があり 竜 と 穴 の 組 み 合 わせによる 格 局 を 知 れば 巒 頭 の 見 方 の 過 半 を 知 ることになります 何 故 貴 賤 と 吉 凶 を 掌 る 竜 と 穴 を 知 ることで それほど 多 くの 事 象 を 看 ることが 可 能 になるのかと 言 えば 貴 と は 言 っても いつも 災 難 や 被 害 に 晒 されている 人 には 立 身 出 世 は 望 めるものではなく 賤 では 勿 論 身 分 地 位 の 上 昇 はあり 得 ません つまり 貴 であるためには 同 時 に 吉 でなくて はならず そのような 条 件 を 叶 えた 人 だけが 貴 を 享 受 することができます 3 砂 とは 穴 の 周 囲 の 空 気 や 周 囲 にある 土 砂 周 囲 の 丘 や 建 物 などの 固 形 物 それらの 総 称 を 言 います 砂 管 寿 夭 というように 穴 の 周 囲 の 環 境 による 健 康 と 長 寿 への 影 響 を 見 るものです 澄 んだきれいな 空 気 や 雨 の 日 に 泥 濘 になったりせず 日 が 照 っても 砂 塵 が 舞 い 上 がったりしない 土 質 また 穴 にある 家 宅 や 墓 碑 などに 対 して 適 度 な 高 さの 丘 や 建 造 物 などを 寿 砂 といい 住 む 人 を 健 康 や 長 寿 に 導 きます 逆 に 煤 煙 などに 汚 染 された 風 水 地 理 五 訣
空 気 や いつも 泥 濘 になったり 砂 塵 が 上 がるような 土 地 や 高 すぎる 丘 や 崖 建 物 などを 夭 砂 といい 住 む 人 を 不 健 康 と 短 命 に 導 くものです 貴 竜 と 的 穴 によって 貴 が 約 束 さ れた 場 合 でも 夭 砂 に 住 めば 健 康 を 害 し 短 命 に 終 わりますから 結 局 貴 を 享 受 すること ができません 4 水 とは 水 流 のことであり 穴 の 周 囲 の 河 川 や 水 路 道 路 など 水 や 車 人 間 などの 通 り 道 全 般 を 言 います 水 管 富 貧 と 言 うように 水 は 金 持 ちか 貧 乏 かを 決 定 する 要 素 とさ れます 穴 の 周 りを 取 り 巻 いて 流 れるような 水 を 抱 水 といい そこに 住 む 人 は いつも 予 定 した 以 上 の 金 銭 が 入 り 予 定 以 上 の 出 費 をすることがないので 次 第 に 金 持 ちになるも のです 逆 に 穴 のほうに 背 を 向 けて 流 れる 水 を 背 水 といい そこに 住 む 人 は いつも 予 定 以 上 の 金 銭 が 入 ることがなく 必 ず 予 定 以 上 の 出 費 をするので 次 第 に 貧 乏 になってゆき ます 貴 になるための 要 素 は 貴 吉 寿 がそろうことですが 富 になるために 吉 と 寿 は 必 要 としても 貴 である 必 要 は 必 ずしもありません 逆 に 貴 になるための 要 素 と して 富 がどうしても 必 要 とは 言 えません 5 向 とは 立 向 のことで 門 向 屋 向 碑 向 という 大 門 建 物 墓 碑 の 表 側 が 向 く 方 位 を 羅 盤 によって 測 定 し 易 卦 と 干 支 の 理 論 によって 何 らかの 盤 や 課 式 を 作 り それによっ て 建 物 やお 墓 の 良 し 悪 しを 判 断 するものです この 時 立 向 の 方 位 は 必 ず 坐 山 の 方 位 になっていなければなりません つまり 建 物 や 墓 碑 の 背 面 側 の 方 位 ( 坐 山 )から 見 て 逆 方 向 になっている 必 要 があり 表 面 だけを 見 て 立 向 を 決 めることはできません 向 管 成 敗 とい うように 向 が 良 ければ 住 む 人 は 成 功 することができ 向 が 悪 ければ 住 む 人 は 失 敗 す ることになります ただし 向 のなかにも 貴 賤 吉 凶 寿 夭 富 貧 などの 事 柄 を 司 る 要 素 があり 竜 穴 砂 水 との 兼 ね 合 いによっては 全 般 に 作 用 を 及 ぼすことがあります 逆 に 竜 穴 砂 水 の 作 用 が 決 定 的 な 場 合 に 向 でそれを 覆 すことはできません 地 理 五 訣 のうち 竜 穴 砂 水 は 巒 頭 ともいわれ 可 視 的 な 形 状 を 持 つものか または 五 官 で 感 知 しうる 要 素 です また 向 は 方 位 に 付 された 干 支 や 易 卦 などの 記 号 の 組 み 合 わせによって 類 型 化 された 要 素 によって その 良 し 悪 しを 判 断 するものであり 五 官 で 感 知 し 得 るものではありません このような 理 論 による 要 素 を 理 気 といいます 風 水 地 理 五 訣
巒 頭 と 言 えば 竜 穴 砂 水 と ほぼ 同 義 語 として 使 われますが 建 物 の 形 状 や 間 取 り 家 具 など の 配 置 お 墓 で 言 えば 墓 石 の 形 状 などまた 可 視 的 な 要 素 つまり 巒 頭 であり これらを 本 家 巒 頭 といいます それに 対 して 竜 穴 砂 水 は 環 境 であり 外 的 な 要 因 ですから 外 家 巒 頭 と 称 して 区 別 します 明 澄 透 派 の 風 水 は 六 大 課 という 五 術 理 論 体 系 によって 成 り 立 っています 六 大 課 とは 三 式 と 三 典 の 術 数 を 合 わせた 六 種 類 の 五 術 体 系 であり 三 式 の 太 乙 神 数 奇 門 遁 甲 六 壬 神 課 三 典 の 河 洛 易 数 星 平 会 海 宿 曜 演 禽 という 六 大 五 術 体 系 をいいます また 五 術 とは 命 卜 相 医 山 という 五 つの 機 能 を 分 類 したものであり 風 水 は 人 相 名 相 印 相 などと 同 じく 相 に 分 類 され 六 大 課 すべてにそれぞれの 風 水 理 論 が 備 わっています 太 乙 風 水 三 式 の 天 式 にあたり 天 時 を 得 る つまりチャンスを 掴 める 方 法 です 奇 門 風 水 三 式 の 地 式 にあたり 地 利 を 得 る つまり 所 与 条 件 を 有 利 に 導 く 方 法 です 六 壬 風 水 三 式 の 人 式 にあたり 人 和 を 得 る つまり 対 人 関 係 を 有 利 に 導 く 方 法 です 河 洛 風 水 方 位 と 形 象 を 八 卦 に 比 定 して 易 卦 を 得 るという 特 色 を 持 ち 周 囲 のすべてを 立 卦 し て 吉 凶 と 象 意 を 得 られます 星 平 風 水 子 平 と 七 政 を 組 合 せ 間 取 りと 設 備 の 方 位 から その 象 意 を 詳 しく 見 る 事 ができる 方 法 です 演 禽 風 水 宿 曜 二 十 八 宿 の 方 位 角 度 により 坐 山 立 向 の 吉 凶 象 意 が 豊 かな 方 法 です 各 々の 五 術 体 系 の 違 いは もっぱら 理 気 に 関 するものであり 風 水 地 理 五 訣 の 向 に 当 たるもの です 風 水 ではどの 方 法 でも 巒 頭 つまり 竜 穴 砂 水 の 見 方 は 殆 んど 同 じであり 特 に 六 大 課 では 使 う 記 号 が 異 なるだけで 内 容 はどの 方 法 でも 全 く 同 じということができます なかでも 奇 門 風 水 の 巒 頭 の 見 方 は 記 号 類 型 として 非 常 によく 整 理 されており 張 明 澄 先 生 によれば 奇 門 遁 甲 の 方 位 の 理 論 を 風 水 に 当 て 嵌 めたのではなく 風 水 の 巒 頭 から 奇 門 遁 甲 が 生 まれた と 言 う 見 方 を 取 っておられます そのため 星 平 会 海 などのように 理 気 については 独 自 の 理 論 を 使 うものでも 巒 頭 について は 奇 門 遁 甲 の 理 論 をそのまま 使 うものもあります 風 水 六 大 課
奇 門 風 水 について 特 殊 であるとか 主 流 派 ではないとか なかには 異 端 扱 いする 人 までいるよ うですが もちろん 正 しい 考 え 方 とはいえません 例 えば 玄 空 飛 星 派 の 風 水 は 蒋 大 鴻 (1616 年 -1714 年 )が 大 成 者 とされますが 蒋 大 鴻 の 地 理 辨 正 の 中 には 青 嚢 經 青 嚢 序 青 嚢 奧 語 天 玉 経 都 天 寶 照 経 の 五 書 が 入 っており その 注 釈 本 の 中 で 地 理 辨 正 折 義 には 蒋 大 鴻 の 高 名 な 弟 子 の 姜 堯 章 による 注 釈 が 入 っています 玄 空 学 の 祖 とされる 蒋 大 鴻 は 如 何 なる 風 水 理 論 を 持 っていたのでしょう 都 天 寶 照 経 中 篇 巻 四 蒋 大 鴻 天 有 三 奇 地 六 儀, 天 有 九 星 地 九 宮, 十 二 地 支 天 干 十, 幹 屬 陽 兮 支 屬 陰, 蒋 大 鴻 時 師 專 論 這 般 訣, 誤 盡 閻 浮 世 上 人 陰 陽 動 靜 如 明 得, 配 合 生 生 妙 處 尋 姜 堯 章 蒋 氏 曰 前 節 贊 嘆 已 足 終 篇 又 此 又 引 奇 門 以 比 論 者 沙 午 峰 首 句 言 奇 門 次 句 言 元 運 姜 堯 章 蓋 奇 門 主 地 ; 從 洛 書 來, 與 地 理 大 卦, 同 出 一 原, つまり 蒋 大 鴻 の 風 水 は 奇 門 遁 甲 をベースにしており 三 奇 六 儀 の 天 地 と 九 星 九 宮 を 使 うと 言 っています つまり 奇 門 遁 甲 は 異 端 どころか むしろ 風 水 の 主 流 であり 玄 空 飛 星 とは 奇 門 遁 甲 の 一 部 を 使 って 発 展 させたものと 言 えます ( 山 道 帰 一 レイモンド ロー 風 水 体 系 参 照 ) 日 本 では 本 来 の 標 準 的 な 中 国 の 奇 門 遁 甲 では 九 宮 は 使 わない と 主 張 した 人 がいるそうですが 地 理 辨 正 折 義 は 読 んでいなかったものと 見 えます さて 奇 門 風 水 が 風 水 の 本 流 だったことは 充 分 に 理 解 できたことかと 思 います それにも 関 わら ず 何 故 本 来 主 流 の 奇 門 風 水 が 少 数 派 になったかと 言 えば それだけ 奇 門 遁 甲 が 極 秘 とされ 容 易 には 人 の 目 に 触 れることがなかったことを 証 明 しているともいえるでしょう 奇 門 風 水 による 巒 頭 の 見 方
まず 最 初 に 見 分 けなければいけないのは 単 峰 か 多 峰 か 無 峰 かということです 多 峰 なら 自 動 的 に 水 形 と 決 まりますし 無 峰 なら 土 形 になるはずです 単 峰 なら 金 形 木 形 火 形 のうちどれかになる 可 能 性 があります 左 の 図 のように 単 峰 で 頂 上 が 丸 く 見 える 山 の 形 を 金 形 と 言 います また 単 峰 で 頂 上 が 尖 った 形 をしていれば 火 形 に 当 たります 単 峰 で 頂 上 が 火 形 ほど 尖 らず やや 丸 みがあるが 金 形 ほど 丸 くなく 火 形 と 金 形 の 中 間 的 な お 結 び 型 のような 山 の 形 を 木 形 と 言 います 最 初 はなかなか 見 分 けがつかないものですが 慣 れるとコツが 分 かってきます 例 えば 東 京 や 横 浜 から 見 る 富 士 山 は 土 形 ですが 甲 府 や 静 岡 から 見 る 富 士 山 は 水 形 と 見 なければなりません 五 行 が 決 まったら 今 度 は 陰 陽 を 決 めなければいけません まず 穴 から 太 祖 山 の 方 を 見 て 羅 盤 の 糸 が 穴 の 中 心 と 太 祖 山 の 頂 上 を 結 ぶ 線 に 重 なるようにに 向 けます 次 にそのまま 羅 盤 の 枠 を 動 かさずに 円 盤 だけ を 回 し 天 地 の 中 で 指 南 針 が 赤 い 線 に 重 なり 且 つ 指 南 針 のお 尻 と 赤 い 二 つ の 点 が 重 なるように 調 整 します 次 に 羅 盤 の 糸 で 穴 の 側 の 方 位 を 読 み 取 ります 穴 の 方 位 が 先 天 盤 の 乾 兌 離 震 になっていれば この 竜 は 陽 竜 と 見 る ことができます 穴 の 方 位 が 先 天 盤 の 巽 坎 艮 坤 になっていれば この 竜 は 陰 竜 と 見 る ことができます 羅 盤 の 先 天 方 位 は 分 かりやすく 易 卦 で 表 示 されています 五 星 図 と 方 位 の 見 方
すると 次 のように 竜 の 十 干 が 決 まります 太 祖 山 が 木 形 で 陽 竜 なら この 竜 は 甲 の 竜 と 決 まります 太 祖 山 が 木 形 で 陰 竜 なら この 竜 は 乙 の 竜 と 決 まります 太 祖 山 が 火 形 で 陽 竜 なら この 竜 は 丙 の 竜 と 決 まります 太 祖 山 が 火 形 で 陰 竜 なら この 竜 は 丁 の 竜 と 決 まります 太 祖 山 が 土 形 で 陽 竜 なら この 竜 は 戊 の 竜 と 決 まります 太 祖 山 が 土 形 で 陰 竜 なら この 竜 は 己 の 竜 と 決 まります 太 祖 山 が 金 形 で 陽 竜 なら この 竜 は 庚 の 竜 と 決 まります 太 祖 山 が 金 形 で 陰 竜 なら この 竜 は 辛 の 竜 と 決 まります 太 祖 山 が 水 形 で 陽 竜 なら この 竜 は 壬 の 竜 と 決 まります 太 祖 山 が 水 形 で 陰 竜 なら この 竜 は 癸 の 竜 と 決 まります 五 星 図 と 方 位 の 見 方
穴 も 竜 と 同 じく その 形 状 によって 十 干 を 当 て 嵌 めます ただし 方 位 とは 関 係 なく 十 種 類 の 形 をそのまま 十 干 に 読 み 換 えます 甲 尊 穴 乙 奇 穴 丙 奇 穴 丁 奇 穴 戊 儀 穴 己 儀 穴 庚 儀 穴 辛 儀 穴 壬 儀 穴 癸 儀 穴 穴 の 見 方
砂 の 見 方 は まず 周 囲 の 空 気 や 土 質 を 見 ますが 空 気 に 関 しては 田 舎 がよくて 都 会 が 悪 いのは 仕 方 ありません しかし 土 質 については 塵 埃 がたたず 泥 濘 にもならないという 点 で 都 会 のように ほとんどの 地 面 が 舗 装 された 環 境 のほうが 良 い 砂 と 言 えます 周 囲 の 固 形 物 については その 大 きさが 適 度 であれば 寿 砂 大 きすぎるものや 小 さすぎるものは 夭 砂 とします また 穴 との 位 置 関 係 によって 八 門 を 宛 てて 判 断 します 前 方 杜 門 景 門 死 門 左 傷 門 穴 驚 門 右 生 門 休 門 開 門 後 方 穴 の 周 囲 を 流 れる 川 や 道 路 を その 形 状 により 八 神 を 当 て 嵌 めて 水 の 良 し 悪 しを 判 断 します * 穴 に 対 し 直 角 に 囲 んで 流 れる 水 を 直 符 水 といい 権 威 に 絡 んで 金 銭 が 入 ります * 穴 に 対 し くねくねと 蛇 行 して 流 れる 水 を 螣 蛇 水 といい 争 いやトラブルによって 金 銭 を 失 いま す * 穴 に 対 し 半 円 状 に 囲 んで 流 れる 水 を 太 陰 水 といい 治 療 信 仰 宗 教 などに 絡 んで 金 銭 が 入 ります * 穴 に 対 し 凸 状 に 背 いて 流 れる 水 を 勾 陳 水 といい 騙 されたり 詐 欺 にあて 金 銭 を 失 い チャン スをいつも 逃 します * 穴 に 対 し 二 つの 流 れが 合 流 して 囲 むように 流 れる 水 を 六 合 水 といい 他 人 と 和 合 し 協 力 し て 金 銭 を 得 られます * 穴 に 対 し 半 円 状 にて 背 いて 流 れる 水 を 朱 雀 水 といい 贅 沢 や 虚 栄 のために 金 銭 を 失 いま す * 穴 に 対 し 背 きも 囲 みもせず まっすぐに 流 れる 水 を 九 地 水 といい 地 味 ですが 安 定 した 収 入 があります 砂 の 見 方 水 の 見 方
* 穴 に 対 し 凹 状 に 囲 んで 流 れる 水 を 九 天 水 といい 目 上 や 権 威 の 助 力 により 大 きな 金 銭 が 次 々に 入 ってくるようになります 奇 門 風 水 における 巒 頭 の 格 局 は 穴 の 十 干 を 天 盤 竜 の 十 干 を 地 盤 砂 を 八 門 水 を 八 神 とし その 組 み 合 わせにより 奇 門 四 十 格 を 出 して 判 断 します 例 えば 東 京 から 見 た 富 士 山 は 土 形 で 東 京 は 富 士 山 から 見 て 先 天 盤 の 離 方 位 ですから 陽 竜 に 当 たり 十 干 に 直 すと 戊 ということになります つまり 東 京 の 竜 は 戊 儀 竜 ということ になります 次 に 東 京 の 穴 を 考 えますと 富 士 山 から 東 京 に 伸 びる 竜 は 高 尾 山 付 近 で 南 北 に 別 れ 狭 山 丘 陵 と 多 摩 丘 陵 が 扇 形 に 開 いて 東 京 を 囲 んでいます すると 東 京 の 穴 は 乙 奇 穴 と 見 ることが できます ところが 東 京 湾 の 対 岸 の 形 状 が 直 符 水 の 形 になっていることから 東 京 の 穴 は 甲 尊 穴 であることが 分 かります すると 天 盤 が 甲 尊 地 盤 が 戊 儀 という 天 地 盤 が 出 来 上 がりま す しかし 奇 門 遁 甲 には 天 地 が 甲 戊 という 組 み 合 わせの 格 局 はありませんから 東 京 全 体 の 風 水 では 巒 頭 の 格 局 は 成 立 しないことになります ところが 東 京 のなかでも 丙 奇 穴 になってい る 場 所 はいくらでもあり もし その 場 所 から 富 士 山 を 望 むことができれば その 場 所 の 天 地 盤 は 丙 戊 ということになります 奇 門 遁 甲 の 天 地 盤 で 丙 戊 の 組 み 合 わせは 月 奇 得 使 格 に 当 たり 財 運 が 非 常 によく 特 に 財 源 に 恵 まれるという 象 意 があります もし その 穴 の 左 後 方 に 適 当 な 大 きさの 建 物 などがあれば 生 門 砂 に 当 たり 天 遁 の 格 局 を 構 成 します 天 遁 と 月 奇 得 使 では 象 意 はほとんど 同 じですが そのスケールは 大 きく 異 なり ずっと 大 きな 財 源 を 掴 むようになります さらに 水 が 九 天 水 になっていると 神 遁 を 構 成 し 非 常 に 小 さな 資 本 で 莫 大 な 利 益 を 上 げるようになり ます 東 京 の 中 央 区 などの 都 心 部 分 には 九 天 水 の 河 川 がありますから 特 に 官 に 絡 んだ 事 業 で 利 益 があります ただ 東 京 に 見 られるような 甲 尊 穴 は 乙 奇 穴 に 直 符 水 を 加 えたもので 成 立 条 件 が 難 しく 格 局 に 匹 敵 する 作 用 があります 元 禄 時 代 に 江 戸 が 世 界 の 首 都 のなかでもトップクラ スの 人 口 と 賑 わいを 見 せたのも 富 士 山 から 秩 父 山 系 高 尾 山 などを 経 て 赤 坂 四 谷 信 濃 町 から 日 比 谷 あたりの 起 伏 に 連 なる 貴 竜 に 加 え 何 より 甲 尊 穴 の 効 果 が 大 きかったものと 考 えることが できます 奇 門 風 水 は 奇 門 遁 甲 の 元 となった 理 論 であり 風 水 方 位 占 卜 命 理 姓 名 印 相 を 問 わず 奇 門 遁 甲 を 使 うときは すべて 奇 門 四 十 格 を 考 慮 しなければなりません 格 局 の 見 方
宋 代 から 明 代 に 跨 って 儒 易 の 系 譜 は 黄 渠 学 朱 子 学 陽 明 学 へと 連 なる 理 学 という 学 問 体 系 を 形 成 します まず 北 宋 時 代 に 入 ると 易 卦 を 数 理 的 に 解 釈 する 象 数 易 というものが 誕 生 し 円 図 方 図 を 作 ったとされる 陳 希 夷 に 始 まり 穆 修 李 挺 之 そして 皇 極 経 世 を 編 んだ 邵 康 節 などに 連 なります 北 宋 象 数 家 陳 希 夷 ( 搏 ) 方 図 円 図 穆 伯 長 ( 修 ) 李 之 才 ( 挺 之 ) 邵 康 節 ( 雍 ) 莞 夫 1011~1077 経 典 儒 周 濂 渓 ( 惇 頤 )1017~1077 1 太 極 図 説 2 後 天 優 勢 3 天 性 乃 静 4 以 学 為 志 張 王 渠 ( 載 ) 1020~1077 気 即 理 程 明 道 ( 顥 ) 1032~1085 性 即 理 南 宋 程 伊 川 ( 頤 ) 1033~1107 心 即 理 朱 元 晦 ( 熹 ) 1130~1200 陸 象 山 ( 九 淵 )1139~1192 明 王 陽 明 ( 守 仁 )1492~1528 心 即 理 王 龍 渓 ( 畿 ) 1498~1538 李 卓 吾 ( 贅 ) 1527~1602 厚 黒 学 理 学 の 系 統 図 周 濂 渓 張 王 渠 ( 気 即 理 ) 程 伊 川 ( 心 即 理 ) 程 明 道 ( 性 即 理 ) 陸 象 山 王 陽 明 王 龍 渓 李 卓 吾 朱 元 晦 宋 易 と 風 水
理 論 黄 渠 学 朱 子 学 記 述 規 範 認 識 記 述 規 範 認 識 気 即 理 ー 唯 気 一 元 論 一 視 同 仁 唯 物 論 ( 有 ) 性 即 理 格 物 致 知 ( 而 後 行 ) 客 観 的 唯 心 論 ( 空 ) 陽 明 学 記 述 規 範 認 識 心 = 気 = 理 行 以 求 知 知 行 合 一 主 観 的 唯 心 論 ( 唯 識 ) 結 論 ー 理 学 儒 の 目 標 1 正 統 主 義 の 確 立 2 政 徳 理 教 の 統 合 3 思 弁 探 求 の 実 践 象 数 易 の 円 図 方 図 は 現 代 に 続 く 風 水 の 系 譜 のなかでは 主 流 となっている 元 合 派 つまり 三 元 派 や 三 合 派 と 呼 ばれるグループの 理 論 的 な 拠 り 所 となっており 元 合 派 の 理 気 は 円 図 方 図 の 六 十 四 卦 なしには 全 く 成 り 立 ちません つまり 元 合 派 の 成 立 は 宋 の 象 数 易 以 後 であ ることは 明 らかと 言 えます このことは 五 術 のなかでも 成 立 年 代 が 古 いとされる 三 式 即 ち 太 乙 神 数 奇 門 遁 甲 六 壬 神 課 などは 巒 頭 はもちろん 理 気 においても 円 図 方 図 を 根 拠 とはしないことから 宋 の 象 数 易 以 前 からの 風 水 理 論 であることが 窺 い 知 れます また 元 合 派 には 五 術 と 言 えるような 機 能 も 揃 っていませんから 五 術 六 大 課 の 門 派 である 明 澄 透 派 とは 人 脈 的 にも 全 く 別 の 系 列 であったと 考 えることができます 宋 の 理 学 以 前 は 風 水 を 観 察 する 者 にとって 気 を 読 むこと つまり 経 験 則 だけが 頼 りであり 三 式 などの 理 論 も もっぱら 記 号 類 型 という 経 験 則 であり 理 と 言 えるような 根 拠 はありません でした 理 学 でいう 理 とは 論 理 というよりは 倫 理 であり 気 という 経 験 則 による 記 述 と 理 とい う 規 範 の 間 で 黄 渠 学 の 気 即 理 朱 子 学 の 性 即 理 陽 明 学 の 心 即 理 などの 立 場 が 生 まれまし た 宋 易 と 風 水
現 代 でも 風 水 占 い 超 能 力 などの 信 奉 者 が 非 科 学 的 などといって 軽 蔑 されることに 耐 え られず 疑 似 科 学 と 言 われるような 分 野 に 根 拠 を 見 出 するように 当 時 の 風 水 師 たちが 理 気 とい う 言 葉 に 惹 かれたのも 無 理 からぬことでしょう 風 水 には 巒 頭 派 と 呼 ばれる 系 列 と 理 気 派 と 呼 ばれる 系 列 とがあり 巒 頭 派 によれば 巒 頭 の 作 用 は80% 理 気 の 作 用 は20%に 過 ぎないとします 理 気 派 によっても 巒 頭 の 作 用 は6 0% 理 気 の 作 用 は40%としており いずれにしろ 巒 頭 が 優 先 されることは 間 違 いありません 時 間 や 方 位 など あらゆる 物 事 に 易 卦 や 干 支 という 記 号 をつけて 分 類 した 上 で 共 通 する ものから 規 則 性 を 見 出 し 次 に 来 るものを 予 知 する という 中 国 式 記 号 類 型 学 の 手 法 は 格 物 致 知 という 二 千 五 百 年 来 中 国 の 学 問 を 支 え 続 けた 理 念 に 合 致 するものでした 西 洋 科 学 には 時 間 に 記 号 をつけるという 発 想 はないし 今 までに 百 年 もかけて 実 験 してみるよう な 科 学 者 もいませんから 記 号 類 型 学 に 関 する 限 りは 否 定 も 肯 定 もできないし 非 科 学 とは 言 え ても 反 科 学 とは 言 えないはずです つまり 風 水 のなかでも 三 式 など 五 術 に 属 するものは 記 号 類 型 に 依 拠 する 経 験 則 であり 科 学 から 否 定 されることはありません 元 合 派 は 風 水 専 門 の 流 派 であり 五 術 門 派 ではありません 明 澄 透 派 は 五 術 六 大 課 を 扱 う 門 派 ですから 三 元 派 や 三 合 派 の 風 水 を 扱 わないのは 当 然 ですが そこには 記 号 類 型 による 経 験 則 である 気 という 範 疇 に 収 まりきれない 理 という 観 念 の 問 題 も 存 在 するのです 宋 易 と 風 水