緒 言 低 置 胎 盤 とは 正 常 より 低 い 部 位 の 子 宮 壁 に 付 着 するが 組 織 学 的 内 子 宮 口 を 覆 っていない 状 態 をいう 超 音 波 断 層 法 で 診 断 する 場 合 子 宮 口 とそれに 最 も 近 い 胎 盤 辺 縁 との 距 離 が 2cm 以 内 の 場 合 分 娩 前 分 娩 中 出 血 のリスクが 高 く なることが 報 告 されていることから この 基 準 が 広 く 使 われている この 距 離 が 近 いほど 分 娩 前 ないし 分 娩 中 出 血 が 多 い 傾 向 があるが 距 離 が 2cm 以 下 の 場 合 の 低 置 胎 盤 では 帝 王 切 開 分 娩 となる 確 率 は 40-90%と 幅 広 い 経 腟 超 音 波 断 層 法 では 内 子 宮 口 は 子 宮 頸 管 の 最 終 末 端 である 子 宮 頸 管 の 長 さは 観 察 時 期 膀 胱 充 満 の 有 無 や 子 宮 収 縮 による 子 宮 下 節 部 の 伸 退 子 宮 頸 部 の 熟 化 の 程 度 によって 異 なってくる 例 えば 切 迫 早 産 症 例 のように 子 宮 頸 管 の 長 さが 短 くなれば 内 子 宮 口 は 外 子 宮 口 側 に 移 動 する しかしなが ら 外 子 宮 口 は 位 置 の 変 化 がなく 子 宮 頸 管 の 長 さには 左 右 されない よって 低 置 胎 盤 の 超 音 波 断 層 法 を 用 いた 診 断 には 胎 盤 下 縁 から 内 子 宮 口 ではな く 外 子 宮 口 までの 距 離 を 採 用 すべきであって 以 前 にこのような 診 断 方 法 の 報 告 はない この 研 究 では 妊 娠 第 3 三 半 期 における 胎 盤 後 壁 付 着 の 低 置 胎 盤 症 例 について 胎 盤 下 縁 から 内 子 宮 口 および 外 子 宮 口 までの 距 離 を 経 時 的 に 計 測 し 変 化 を 観 察 した そして 胎 盤 下 縁 から 外 子 宮 口 までの 距 離 が 低 置 胎 盤 の 新 しい 診 断 基 準 となり 得 るか 検 討 した 対 象 と 方 法 対 象 は 1998 年 1 月 から 2011 年 12 月 の 間 福 岡 大 学 病 院 周 産 期 母 子 医 療 セ ンターで 管 理 し 妊 娠 36 週 以 降 で 分 娩 に 至 った 母 体 および 胎 児 合 併 症 のない 単 胎 妊 娠 で 胎 位 異 常 が 無 く 胎 盤 が 子 宮 後 壁 に 首 座 を 占 める 低 置 胎 盤 94 例 であ る 本 研 究 で 低 置 胎 盤 とは 妊 娠 34-36 週 時 に 経 腟 超 音 波 断 層 法 による 計 測 で 内 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 が 3cm 以 下 のものと 定 義 した 子 宮 頸 部 および 下 部 の 観 察 に 際 し 膀 胱 を 空 虚 とした 後 母 体 を 仰 臥 位 にし た 経 腟 超 音 波 断 層 装 置 (Aloka 社 製 model SSD-3500 および prosound 6 経 膣 プローブの 中 心 周 波 数 :7.5MHz)を 用 い 子 宮 頸 管 を 矢 状 断 面 で 描 出 し 外 子 宮 口 (external os: EO) 内 子 宮 口 (Internal os: IO)および 胎 盤 下 縁 (placental edge: PE)を 同 定 した PE は 辺 縁 静 脈 洞 が 同 定 される 場 合 その 最 外 点 とした EO から IO までの 距 離 ( 子 宮 頸 管 長, cervical length: CL) IO から PE までの 距 離 (IO-PE)を 計 測 し さらに CL に 距 離 (IO-PE)を 加 えたものを EO から PE の 距 離 (EO-PE)とした 計 測 は 3 回 行 い 平 均 値 をその 観 察 時 点 における 代 表 値 とした 各 々の 症 例 において 妊 娠 28 週 以 降 に 観 察 を 開 始 し その 後 妊 娠 36 週 まで 1 / 2
3 週 間 毎 経 時 的 に 観 察 した 妊 娠 28-30 週 から 31-33 週 で 観 察 を 行 った 症 例 は 52 例 妊 娠 31-33 週 から 34-36 週 で 観 察 を 行 った 症 例 は 94 例 であった 計 測 毎 に CL, IO-PE, EO-PE の 3 つの 指 標 について その 経 時 的 変 化 を 解 析 した 統 計 学 的 解 析 は Wilcoxon 検 定 を 用 い 有 意 水 準 は P<0.05 とした 結 果 妊 娠 28-30 週 から 31-33 週 において CL は 変 化 が 無 かったが 妊 娠 31-33 週 から 34-36 週 では-1.2±2.2( 平 均 ± 標 準 偏 差 )mm/ 週 の 速 度 で 短 縮 していた (P=0.0001) 一 方 IO-PE は 妊 娠 28-30 週 から 31-33 週 では 変 化 が 無 かった が 妊 娠 31-33 週 から 34-36 週 では+1.2±1.9mm/ 週 の 速 度 で 延 長 していた (P=0.0001) EO-PE は 妊 娠 28-30 週 から 31-33 週 31-33 週 から 34-36 週 で いずれも 変 化 を 認 めなかった 結 論 妊 娠 28-30 週 から 31-33 週 において CL IO-PE は 変 化 が 無 かったが 妊 娠 31-33 週 から 34-36 週 では CL は 延 長 し 逆 に IO-PE は 短 縮 した EO-PE は 妊 娠 28-30 週 以 降 では 距 離 の 変 化 を 認 めなかった 胎 盤 が 上 昇 する placental migration は 胎 盤 辺 縁 がアポトーシスによって 退 縮 し 移 動 する 現 象 : Dynamic placentation や placental wandering が 機 序 で あると 報 告 されていた しかし 本 研 究 結 果 からすれば placental migration は 胎 盤 自 身 が 移 動 するのではなく CL が 短 縮 することによって 相 対 的 に 内 子 宮 口 が 外 子 宮 口 側 に 移 動 することにより IO-PE が 延 長 する 現 象 によるもので あると 示 唆 された EO-PE は 内 子 宮 口 の 位 置 の 移 動 による CL および IO-PE の 変 化 には 左 右 されない EO-PE は 妊 娠 第 3 三 半 期 では 距 離 の 変 化 は 認 めないため 従 来 の IO-PE よ り 低 置 胎 盤 の 診 断 基 準 として 相 応 しいと 考 えられた 2 / 2
審 査 の 結 果 の 要 旨 本 論 文 は 超 音 波 断 層 法 を 用 いて 低 置 胎 盤 の 新 しい 指 標 を 示 した 従 来 内 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 ま での 距 離 が 低 置 胎 盤 の 指 標 として 広 く 用 いられていた しかし 内 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 は 妊 娠 経 過 に 伴 って 変 動 する 問 題 があった 一 方 本 研 究 から 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 は 第 3 妊 娠 三 半 期 ( 妊 娠 28 週 以 降 )で 変 化 を 認 めないことが 判 明 した この 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 まで の 距 離 は 従 来 の 内 子 宮 口 からの 距 離 に 比 べ 低 置 胎 盤 症 例 を 評 価 する 指 標 として 相 応 しいと 考 えられ た 1. 斬 新 さ 低 置 胎 盤 は 胎 盤 下 縁 が 内 子 宮 口 近 傍 に 位 置 するために 胎 盤 が 内 子 宮 口 を 覆 っている 前 置 胎 盤 と 同 様 の 臨 床 症 状 即 ち 分 娩 前 分 娩 中 に 大 量 の 性 器 出 血 を 示 す 従 来 低 置 胎 盤 症 例 は 超 音 波 断 層 法 を 用 いて 内 子 宮 口 を 同 定 し それと 胎 盤 下 縁 までの 距 離 を 基 に 出 血 リスクの 予 測 および 分 娩 様 式 の 決 定 を 行 ってきた しかし 内 子 宮 口 の 位 置 は 頸 管 熟 化 即 ち 妊 娠 週 数 の 進 行 と 共 に 変 化 するため 胎 盤 下 縁 の 位 置 を 内 子 宮 口 との 相 対 関 係 で 決 定 すると 妊 娠 週 数 によって 胎 盤 下 縁 の 位 置 が 変 わるこ とが 従 来 から 問 題 となっていた 一 方 外 子 宮 口 の 位 置 は 頸 管 熟 化 の 有 無 によらず 変 化 しない 本 論 文 における 新 規 性 は 検 出 容 易 な 外 子 宮 口 に 着 目 し 低 置 胎 盤 症 例 において 外 子 宮 口 から 胎 盤 辺 縁 までの 距 離 を 第 3 妊 娠 三 半 期 ( 妊 娠 28 週 以 降 )で 経 時 的 に 計 測 し その 変 化 を 解 析 したことにある 2. 重 要 性 第 3 妊 娠 三 半 期 の 低 置 胎 盤 症 例 は 外 子 宮 口 から 胎 盤 までの 距 離 は 妊 娠 週 数 によらず 変 化 しない ことを 示 した 本 指 標 を 用 いれば 妊 娠 28 週 以 降 から 低 置 胎 盤 の 診 断 が 可 能 となる 3. 研 究 方 法 の 正 確 性 低 置 胎 盤 の 中 で 内 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 が 3cm 以 内 で 頭 位 胎 盤 後 壁 付 着 症 例 に 限 り 対 象 症 例 を 収 集 した 計 測 に 関 しては 3 回 施 行 し その 平 均 値 を 代 表 値 とした また 計 測 は 周 産 期 専 門 医 5 人 で 行 った 同 一 症 例 を 経 時 的 に 記 録 し その 結 果 に 対 しては Wilcoxon 検 定 を 用 いて 経 時 的 変 化 を 統 計 学 的 に 解 析 した 4. 表 現 の 明 瞭 性 超 音 波 断 層 法 を 用 いて 子 宮 頸 管 長 を 計 測 すること 低 置 胎 盤 症 例 においては 内 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 ま での 距 離 を 計 測 することは 産 科 診 療 で 日 常 的 に 行 っている その 2 つの 計 測 値 を 足 した 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 から 低 置 胎 盤 を 評 価 することは 容 易 であり 検 者 間 誤 差 も 少 なく 産 科 診 療 の 域 を 逸 脱 していない 5. 主 な 質 疑 応 答 副 査 呼 吸 器 内 科 学 渡 辺 憲 太 郎 教 授 1 / 4
Q: 本 論 文 の 臨 床 的 意 味 が 不 明 瞭 である A: 本 論 文 では 臨 床 的 意 味 が 不 明 瞭 であるが 次 の 論 文 にて 明 らかにした 本 論 文 では 指 標 を 示 す 必 要 があった その 後 の 追 加 研 究 で 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 (cut off 53mm)は 分 娩 前 出 血 の 予 測 に 有 用 であることを 明 らかにした 低 置 胎 盤 症 例 は 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 は 妊 娠 28-36 週 では 不 変 であるため 出 血 が 起 きうる 以 前 の 妊 娠 28 週 から 早 期 に 出 血 等 のリスクを 予 測 することが 可 能 となる Q: 統 計 学 的 解 析 では 各 観 察 期 間 相 互 で 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 には 有 意 差 が 無 いという 結 論 である おしなべてみるとそうであるが 症 例 によってばらつきが 多 いようにみえるが この 原 因 はなぜか A: 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 が 観 察 期 間 で 短 縮 する 場 合 (37 例 ) 子 宮 頸 管 長 の 短 縮 速 度 は 速 いが(-2.6mm/ 週 ) 内 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 の 延 長 速 度 が 軽 微 (+0.4mm/ 週 )であった 早 期 からの 子 宮 頸 管 熟 化 の 影 響 が 原 因 と 考 えられる 一 方 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 が 観 察 期 間 で 延 長 する 場 合 (40 例 ) 子 宮 頸 管 長 の 短 縮 速 度 は 軽 微 だが(-0.2mm/ 週 ) 内 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 の 延 長 速 度 は 速 かった(+2.4mm/ 週 ) 早 期 からの 児 頭 圧 迫 等 による 子 宮 下 部 伸 展 の 影 響 が 原 因 と 考 えられ 乖 離 が 生 じた 可 能 性 がある( 後 日 回 答 ) Q: 分 娩 前 出 血 を 予 測 する 上 で 従 来 から 言 われている 内 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 と 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 とではどちらがよい 指 標 と 言 えるか? A: 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 (cut off 53mm)では 感 度 特 異 度 陽 性 的 中 率 陰 性 的 中 率 は 各 々61.9% 66.3% 28.3% 89.0%であった 一 方 内 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 (cut off 20mm)では 各 々57.1% 36.7% 16.2% 80.0%であり 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 がよりよい 指 標 といえる 副 査 循 環 器 内 科 学 佐 光 英 人 講 師 Q: 経 腟 超 音 波 断 層 法 において 低 置 胎 盤 症 例 を 観 察 する 際 にどのような 点 に 留 意 して 計 測 したの か? A: 子 宮 頸 管 長 は 子 宮 下 部 の 圧 迫 ( 例 えば 膀 胱 充 満 等 )によって 延 長 する そのため 測 定 前 に 排 尿 し 膀 胱 を 空 虚 とした 児 頭 が 下 降 すると その 影 響 で 胎 盤 下 縁 が 描 出 できなくなることがあるので そ のような 場 合 は 児 頭 を 持 ち 上 げるようにして 胎 盤 を 描 出 した Q: 子 宮 頸 管 長 の 短 いことの 影 響 はあるのか? A: 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 は 子 宮 頸 管 長 の 長 短 に 依 存 しない 指 標 である 従 って 問 題 はないものと 考 えられる Q: placental migration とは 妊 娠 中 期 では 妊 娠 経 過 とともに 子 宮 下 部 が 伸 展 し 胎 盤 付 着 部 位 が 子 宮 体 部 に 移 動 すると 理 解 している 本 発 表 では 妊 娠 後 期 ( 妊 娠 28 週 以 降 )にかけて 胎 盤 辺 縁 の 高 さは 係 2 / 4
留 したままで 頸 管 長 は 短 縮 し 胎 盤 辺 縁 から 内 子 宮 口 までの 距 離 はあたかも 増 加 すると 報 告 されて いる 胎 盤 辺 縁 から 内 子 宮 口 までの 距 離 は 20mm 以 上 にならないということでよいのか? 妊 娠 後 期 における placental migration の 機 序 についてどのように 考 察 するか? A: 妊 娠 28 週 以 降 で 個 々の 症 例 で 計 測 早 期 の 頸 管 長 胎 盤 辺 縁 から 内 子 宮 口 までの 距 離 は 異 なる ため 胎 盤 辺 縁 から 内 子 宮 口 までの 距 離 は 20mm 以 上 となる 場 合 は 存 在 する 本 研 究 では 妊 娠 36 週 までの 胎 盤 辺 縁 から 内 子 宮 口 までの 距 離 は 1~30mm に 限 定 した placental migration が 起 こると 内 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 が 伸 長 する 第 2 妊 娠 三 半 期 までは 胎 盤 そのものが 大 きくなる 加 えて 子 宮 下 部 筋 層 に 付 着 している 胎 盤 は 血 流 が 少 ないた めにアポトーシスを 起 こす 一 方 子 宮 体 部 筋 層 に 付 着 している 胎 盤 は 血 流 が 多 いために 増 殖 する 胎 盤 の 子 宮 体 部 への 移 動 はこのような 機 序 を 背 景 に 起 こると 考 えられている しかし 第 3 妊 娠 三 半 期 では 本 論 文 で 明 らかにされたように 胎 盤 下 縁 の 位 置 そのものは 変 化 せず 頸 管 長 の 短 縮 即 ち 頸 管 熟 化 によって 胎 盤 下 縁 から 内 子 宮 口 が 伸 長 することが 原 因 と 考 えられる 妊 娠 37 週 以 降 では 児 頭 が 下 降 し 子 宮 下 部 が 伸 長 することで 胎 盤 下 縁 から 内 子 宮 口 までが 伸 長 するものと 推 測 される Q: 本 論 文 および 追 加 研 究 の 結 果 から 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 は 分 娩 様 式 の 決 定 する 因 子 として 有 用 と 考 えらえるか 帝 王 切 開 術 中 の 出 血 の 予 測 については 胎 盤 の 厚 さのみではなく 他 の 因 子 を 加 味 し 多 変 量 解 析 を 用 いて 行 えばよいのではないか A: 追 加 し 行 った 後 方 視 的 検 討 から 分 娩 前 出 血 の 予 測 は 妊 娠 週 数 によらず 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 53mm では そのリスクが 少 ないことが 明 らかになった 今 後 本 指 標 を 用 い 分 娩 様 式 の 決 定 に 有 用 がどうかの 前 向 き 臨 床 研 究 を 行 う 予 定 である 帝 王 切 開 術 中 の 出 血 の 予 測 については 多 変 量 解 析 を 用 いて 新 たな 指 標 の 検 索 を 行 う Q: 妊 娠 34-36 週 における 子 宮 頸 管 長 の 平 均 値 は 37mm であり 内 子 宮 口 から 胎 盤 までの 距 離 20mm を 加 えると 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 57mm となる 53mm と 57mm とではどちらが 分 娩 前 出 血 を 予 測 する 基 準 として 適 当 と 思 われるか? A: 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 53mm では 感 度 特 異 度 陽 性 的 中 率 陰 性 的 中 率 は 各 々 61.9% 66.3% 28.3% 89.0%であった また 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 57mm では 各 々66.6% 47.9% 21.5% 87.0%であり 53mm の 基 準 がよりよいと 考 えられる 副 査 産 婦 人 科 学 瓦 林 達 比 古 教 授 Q: 低 置 胎 盤 の 明 確 な 定 義 はないので 訂 正 してほしい A: 以 下 のことを 念 頭 において 書 類 中 の 文 言 を 修 正 する 低 置 胎 盤 とは 正 常 より 低 い 部 位 の 子 宮 壁 に 付 着 するが 組 織 学 的 内 子 宮 口 を 覆 っていない 状 態 をいう 超 音 波 断 層 法 で 診 断 する 場 合 子 宮 口 とそれに 最 も 近 い 胎 盤 辺 縁 との 距 離 が 2cm 以 内 の 場 合 分 娩 前 分 娩 中 出 血 のリスクが 高 くなることが 報 告 されていることから この 基 準 が 広 く 使 われている しかしながら 胎 盤 下 縁 から 内 子 宮 口 までの 距 離 は 妊 娠 後 期 の 子 宮 下 部 筋 層 の 伸 展 に 伴 って 長 くな るので 分 娩 の 直 近 で 診 断 するのが 望 ましいとされている Q: 本 論 文 を 受 けて 胎 盤 下 縁 から 外 子 宮 口 の 距 離 を 計 測 することの 臨 床 的 意 義 について 論 文 にする 3 / 4
予 定 はあるか A: 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 の 指 標 とした 分 娩 前 出 血 の 予 測 に 関 する 論 文 については 投 稿 準 備 中 である また 胎 盤 厚 と 分 娩 後 出 血 の 予 測 についての 論 文 の 投 稿 準 備 中 である 1) Antepartum hemorrhage at third trimester in the cases with low-lying placenta is related to the shortening of the distance between external os and placental edge. Manuscript in preparation. 2) A longitudinal observation of placental edge thickness can predict for the hemorrhage at delivery in low-lying placenta. Manuscript in preparation. 本 論 文 は 第 3 妊 娠 三 半 期 ( 妊 娠 28 週 以 降 )で 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 が 変 化 を 認 めないこ とを 報 告 した 低 置 胎 盤 の 新 しい 指 標 として 外 子 宮 口 から 胎 盤 下 縁 までの 距 離 を 示 した その 指 標 は 妊 娠 経 過 とともに 変 化 せず 計 測 は 容 易 であり 検 者 間 誤 差 も 少 ない 利 点 があり 日 常 的 な 産 科 診 療 で 行 うことが 可 能 である 早 期 より 低 置 胎 盤 の 分 娩 前 分 娩 中 の 大 量 性 器 出 血 を 予 測 する 指 標 とな り 得 るかを 今 後 の 研 究 にて 評 価 する 学 位 論 文 に 値 すると 評 価 された 4 / 4