187- 衆 - 本 会 議 -8 号 平 成 26 年 10 月 28 日 高 橋 千 鶴 子 君 私 は 日 本 共 産 党 を 代 表 し 労 働 者 派 遣 法 改 正 案 に 対 し 質 問 します ( 拍 手 ) 安 倍 総 理 は 所 信 表 明 演 説 で 大 胆 な 規 制 改 革 なくして 成 長 戦 略 の 成 功 はありませんと 述 べ 雇 用 を 医 療 や 農 業 と 並 べて 岩 盤 のようにかたい 規 制 と 強 調 しました その 成 長 戦 略 では 失 業 なき 労 働 移 動 や 多 様 な 正 社 員 いわゆる 残 業 代 ゼロ 制 度 と 呼 ぶべき 新 たな 労 働 時 間 制 度 など 労 働 法 制 の 緩 和 が 検 討 されています 岩 盤 どころか そもそも 日 本 は 一 日 八 時 間 労 働 を 定 めたILO 第 一 号 条 約 を 初 め 労 働 時 間 に 関 する 十 八 本 のILO 条 約 を 批 准 すらしていません 安 倍 総 理 が 目 指 す 世 界 で 一 番 企 業 が 活 動 しやすい 国 とは 今 以 上 に 労 働 者 が 大 切 にされない 国 なのではありませんか 職 業 安 定 法 四 十 四 条 は 労 働 者 供 給 事 業 を 禁 止 しています 中 間 搾 取 を 禁 止 する 労 働 基 準 法 第 六 条 と 相 まって 間 接 雇 用 を 禁 止 し 直 接 雇 用 を 原 則 としているのです それは 戦 前 の 人 夫 供 給 業 のような 中 間 搾 取 や 強 制 労 働 を 許 さないための 規 定 であり 戦 後 の 労 働 法 の 出 発 点 であります 一 九 八 五 年 の 労 働 者 派 遣 法 成 立 の 際 我 が 党 は この 直 接 雇 用 の 原 則 に 風 穴 をあけるものと 厳 し く 批 判 しました しかし 政 府 は 常 用 代 替 を 防 止 するため 業 務 や 期 間 を 限 定 した 上 で 労 働 者 供 給 事 業 の 一 部 をあくまでも 例 外 的 に 認 めるものと 説 明 してきました 総 理 にこうした 認 識 はあり ますか 派 遣 法 は 一 九 九 九 年 に 原 則 自 由 化 二 〇 〇 三 年 に 製 造 業 派 遣 解 禁 専 門 二 十 六 業 務 の 期 間 制 限 廃 止 など たび 重 なる 規 制 緩 和 の 歴 史 をたどります 二 〇 〇 八 年 のリーマン ショックでは 派 遣 労 働 は 真 っ 先 に 首 を 切 られる 究 極 の 不 安 定 雇 用 で あることが 明 らかになりました その 後 民 主 党 政 権 が 誕 生 し 労 働 者 派 遣 法 は 初 めて 規 制 強 化 に 踏 み 出 すかに 見 えました し かし 二 〇 一 二 年 現 行 法 成 立 時 には 自 公 両 党 の 修 正 を 受 け 入 れ 骨 抜 きにした 上 唯 一 残 った 直 接 雇 用 申 し 込 みみなし 規 定 は いまだ 施 行 されないまま 今 回 の 改 正 案 によって 葬 り 去 られよう としているのです 今 回 の 法 案 の 最 大 の 問 題 点 は 従 来 政 府 が 述 べてきた 臨 時 的 一 時 的 という 派 遣 労 働 の 原 則 を 覆 すものだということです 派 遣 元 に 無 期 雇 用 されていれば 期 間 制 限 をなくすと 言 います 派 遣 先 の 仕 事 がなくなれば 契 約 解 除 という 形 で 紙 切 れ 一 枚 で 解 雇 される まるで 物 のように 使 い 捨 てられるのが 派 遣 労 働 の 本 質 です 二 〇 〇 八 年 派 遣 切 りが 横 行 した 際 には 解 雇 された 派 遣 労 働 者 の 九 割 が 無 期 雇 用 派 遣 でした これでも 派 遣 元 に 無 期 雇 用 されていれば 雇 用 が 安 定 して いると 言 えるのですか
法 案 は 専 門 二 十 六 業 務 を 廃 止 するとしています 専 門 二 十 六 業 務 の 優 先 雇 用 義 務 は 三 年 を 超 えて 働 いていれば 派 遣 先 の 業 務 を 十 分 こなせる 能 力 があると 認 められ 直 接 雇 用 で 雇 用 の 安 定 を 図 るというものでした しかし この 規 定 は 二 〇 一 二 年 改 正 で 削 除 され 本 法 案 にもありません 専 門 業 務 といいながら 一 般 業 務 と 変 わらない 仕 事 をさせて 期 間 制 限 を 免 れていた 実 態 が 数 多 く ありました この 現 状 を 追 認 するということですか 今 後 は 専 門 業 務 を 区 別 しないというなら こ れまで 専 門 業 務 として 三 年 を 超 えて 働 いてきた 派 遣 労 働 者 は 派 遣 先 に 優 先 的 に 雇 用 されるべきで はありませんか 答 弁 を 求 めます 事 業 所 の 派 遣 受 け 入 れ 可 能 期 間 は 三 年 としますが 過 半 数 労 働 組 合 等 からの 意 見 聴 取 をすれば 際 限 なく 延 長 できます 労 働 組 合 がある 事 業 所 は 二 割 未 満 にすぎません 労 働 組 合 のかわりに 過 半 数 代 表 者 が 選 挙 で 選 出 されているのは 一 割 にも 届 かず 四 割 近 くが 会 社 の 指 名 や 親 睦 会 の 代 表 というのが 実 態 です こ れで 歯 どめになるでしょうか さらに 派 遣 労 働 者 個 人 の 期 間 制 限 は 同 じ 職 場 で 働 ける 期 間 を 三 年 とするものの 別 の 課 に 移 せば 同 じ 派 遣 労 働 者 を 使 うことができます これは 常 用 代 替 そのものです 総 理 は 生 涯 派 遣 との 批 判 はレッテル 張 りだと 答 弁 されましたが まさに 生 涯 派 遣 そのものでは ありませんか 次 に 総 理 は 派 遣 労 働 者 の 正 社 員 化 を 含 むキャリアアップを 支 援 すると 強 調 しますが いずれ も 配 慮 義 務 努 力 義 務 にとどまり 実 効 性 は 期 待 できません 派 遣 労 働 者 の 雇 用 主 は 派 遣 元 であり 派 遣 先 は 派 遣 労 働 者 を 特 定 できないはずです ところが 今 回 派 遣 先 が 派 遣 労 働 者 の 働 きぶりなどの 情 報 を 派 遣 元 に 提 供 するとの 規 定 が 盛 り 込 まれました これは 派 遣 先 による 人 事 評 価 であり 労 働 者 を 選 別 することも 可 能 になるのでは ありませんか 結 局 正 社 員 化 どころか 有 能 で 安 上 がりの 派 遣 労 働 者 をずっと 使 いたい 使 用 者 側 の 身 勝 手 な 論 理 にほかなりません 課 題 とされてきた 均 等 待 遇 原 則 の 明 記 は 今 回 も 盛 り 込 まれませんでした 派 遣 制 度 を 持 つヨー ロッパ 諸 国 は 均 等 待 遇 が 当 たり 前 の 原 則 です 総 理 は 女 性 の 活 躍 を 叫 んでいますが やるべきことは 有 期 でもパートでも 女 性 がみずからに 最 もふさわしい 働 き 方 を 選 び 取 れるよう 均 等 待 遇 原 則 派 遣 先 の 団 体 交 渉 応 諾 義 務 など 派 遣 労 働 者 の 保 護 を 強 化 する 規 定 を 法 定 化 することであります 今 労 働 者 派 遣 法 の 改 正 を 初 めとする 労 働 法 制 の 改 悪 に 反 対 する 地 方 議 会 の 意 見 書 が 三 百 七 十 六 にも 達 するなど 雇 用 のルール 守 れの 声 が 大 きく 広 がっています 労 働 法 制 は 人 間 らしい 働 き 方 を 保 障 するための 最 低 限 のルールです 労 働 者 に 生 涯 派 遣 を 押 し つけ 不 安 定 雇 用 と 貧 困 を 広 げる 派 遣 法 改 悪 案 は 廃 案 しかありません
以 上 で 質 問 を 終 わります ( 拍 手 ) 内 閣 総 理 大 臣 安 倍 晋 三 君 登 壇 内 閣 総 理 大 臣 ( 安 倍 晋 三 君 ) 高 橋 千 鶴 子 議 員 にお 答 えをいたします 成 長 戦 略 における 労 働 法 制 等 の 見 直 しについてのお 尋 ねがありました 現 在 進 めている 雇 用 労 働 に 関 する 改 革 については いずれも 個 人 がその 能 力 を 発 揮 し 経 済 成 長 の 担 い 手 として 活 躍 できるようにすることを 目 指 して 取 り 組 んでいくこととしています 安 倍 内 閣 としては 全 ての 人 々が 生 きがいを 持 って 働 くことができる 環 境 をつくっていくという 一 貫 した 方 針 のもと これらの 取 り 組 みを 進 めているところであり 今 以 上 に 労 働 者 が 大 切 にされ ない 国 になるとの 御 指 摘 は 当 たりません 労 働 者 派 遣 法 と 労 働 者 供 給 事 業 禁 止 の 原 則 との 関 係 についてのお 尋 ねがありました 我 が 国 の 労 働 者 派 遣 制 度 は 昭 和 六 十 年 職 業 安 定 法 で 禁 止 されている 労 働 者 供 給 事 業 から 分 離 する 形 で 常 用 労 働 者 との 代 替 のおそれが 少 ない 業 務 に 限 り 制 度 化 されたものです 労 働 者 派 遣 法 の 制 定 以 来 こうした 考 え 方 は 維 持 されており 今 回 の 改 正 案 においても 同 じ 事 業 所 における 継 続 的 な 派 遣 労 働 者 の 受 け 入 れについて 三 年 という 期 間 制 限 を 課 すこととし 三 年 を 超 えて 派 遣 労 働 者 を 受 け 入 れようとする 場 合 には 過 半 数 労 働 組 合 等 からの 意 見 聴 取 を 義 務 づけ ることにより 派 遣 先 で 正 社 員 が 派 遣 労 働 者 に 代 替 されることを 防 ぐこととしています 無 期 雇 用 の 派 遣 労 働 者 の 雇 用 についてお 尋 ねがありました 無 期 雇 用 の 派 遣 労 働 者 は 有 期 雇 用 のように 雇 いどめの 対 象 とならないことから 有 期 雇 用 に 比 べて 雇 用 が 安 定 していると 言 えます また 今 回 の 改 正 案 では 無 期 雇 用 の 派 遣 労 働 者 について 長 期 的 なキャリア 形 成 を 視 野 に 入 れ た 計 画 的 な 教 育 訓 練 等 を 義 務 づけるほか 派 遣 会 社 が 派 遣 契 約 の 終 了 のみをもって 解 雇 することが ないよう 許 可 基 準 に 示 すこととしており これらにより 雇 用 の 安 定 を 図 ることとしております なお 厚 生 労 働 省 の 調 査 によれば 平 成 二 十 年 において 解 雇 された 派 遣 労 働 者 の 多 くは 有 期 雇 用 であったと 認 識 しております 専 門 業 務 に 従 事 する 派 遣 労 働 者 についてのお 尋 ねがありました 今 回 の 改 正 案 では わかりやすい 制 度 にする 観 点 から 派 遣 受 け 入 れ 期 間 に 関 する 現 行 の 制 限 を 見 直 し 全 ての 業 務 を 対 象 として 派 遣 労 働 者 ごとの 個 人 単 位 で 同 じ 職 場 への 派 遣 は 三 年 を 上 限 とするなどの 期 間 制 限 を 新 たに 課 すこととしています この 見 直 しにより 現 行 では 制 限 対 象 外 とされる 二 十 六 業 務 が 新 たに 制 限 対 象 となりますが 個 々の 労 働 者 の 雇 用 が 途 切 れないよう 派 遣 会 社 に 対 して 新 たに 雇 用 安 定 措 置 を 義 務 づけることと しています さらに 今 後 期 間 制 限 を 超 えて 派 遣 労 働 者 を 受 け 入 れる 派 遣 先 については 派 遣 労 働 者 に 労 働
契 約 の 申 し 込 みをしたものとみなすこととしており これにより 派 遣 労 働 者 の 保 護 はより 強 化 さ れることになります 派 遣 労 働 者 個 人 の 期 間 制 限 についてお 尋 ねがありました 一 般 に 派 遣 労 働 という 働 き 方 には 雇 用 の 安 定 やキャリア 形 成 が 図 られにくい 面 があり 働 く 人 の 希 望 に 応 じ 正 社 員 化 を 含 むキャリアアップを 図 ることが 重 要 であると 考 えています このため 今 回 の 改 正 案 では 派 遣 会 社 に 対 し 計 画 的 な 教 育 訓 練 等 を 新 たに 義 務 づけるほか 派 遣 期 間 が 満 了 した 場 合 の 雇 用 安 定 措 置 を 義 務 づけるなど 派 遣 就 労 への 固 定 化 を 防 ぐための 措 置 を 強 化 するとともに 派 遣 先 に 対 しても 派 遣 労 働 者 への 正 社 員 募 集 情 報 の 提 供 を 義 務 づけること としています これに 加 え 派 遣 先 において 派 遣 労 働 者 を 正 社 員 として 雇 用 する 場 合 のキャリアアップ 助 成 金 の 活 用 等 を 進 めることとしています これらの 取 り 組 みは 正 社 員 を 希 望 している 派 遣 労 働 者 について 正 社 員 への 道 が 開 かれるように するものであり 生 涯 派 遣 との 御 指 摘 は 当 たりません 派 遣 労 働 者 の 保 護 についてお 尋 ねがありました 同 一 労 働 をしていれば 同 一 賃 金 が 保 障 されるという 仕 組 みをつくっていくことは 一 つの 重 要 な 考 え 方 であると 考 えています 他 方 能 力 や 責 任 の 大 きさなどさまざまな 要 素 を 考 慮 して 労 働 者 の 処 遇 が 決 定 されることが 一 般 的 である 我 が 国 の 労 働 市 場 においては すぐさまこうした 仕 組 みを 導 入 するには 乗 り 越 えるべき 課 題 があります また 派 遣 労 働 者 の 場 合 派 遣 先 のどの 労 働 者 と 比 較 するかといった 課 題 もあります このため まずは 個 々の 事 情 に 応 じた 均 衡 待 遇 を 推 進 していくことが 重 要 であると 認 識 しており 今 回 の 改 正 案 において 賃 金 等 の 面 で 派 遣 先 の 責 任 を 強 化 するなど 均 衡 待 遇 を 一 層 推 進 すること としております また 派 遣 先 の 団 体 交 渉 応 諾 義 務 については 一 律 に 定 めるのではなく 個 別 の 事 案 ごとに 判 断 されるべきものと 考 えております 安 倍 内 閣 としては 今 回 の 改 正 により 全 ての 人 々が 生 きがいを 持 って 安 心 して 働 くことができ る 社 会 を 築 いてまいります 残 余 の 質 問 につきましては 関 係 大 臣 から 答 弁 させます ( 拍 手 ) 国 務 大 臣 塩 崎 恭 久 君 登 壇 国 務 大 臣 ( 塩 崎 恭 久 君 ) 高 橋 千 鶴 子 議 員 にお 答 えをいたします まず 過 半 数 労 働 組 合 等 からの 意 見 聴 取 の 実 効 性 についてのお 尋 ねがございました 今 回 の 改 正 案 では 過 半 数 組 合 がない 事 業 所 においては 派 遣 先 は 労 働 者 の 過 半 数 を 代 表 する
者 を 選 出 し その 者 に 対 して 意 見 聴 取 を 行 うこととしております この 過 半 数 代 表 者 は 管 理 監 督 者 以 外 の 者 とし 投 票 挙 手 等 の 民 主 的 な 方 法 による 手 続 によっ て 選 出 された 者 とすること 等 により 過 半 数 代 表 者 に 対 する 意 見 聴 取 の 透 明 性 等 を 担 保 することと しております また 意 見 聴 取 に 際 しては 反 対 意 見 に 対 して 対 応 方 針 を 説 明 すること 意 見 聴 取 の 記 録 を 事 業 所 内 に 周 知 等 すること 等 を 派 遣 先 に 新 たに 法 的 に 義 務 づけることとしており これらにより 意 見 聴 取 の 実 効 性 が 確 保 できるものと 考 えております 次 に 派 遣 先 による 情 報 提 供 についてのお 尋 ねがございました 今 回 の 改 正 によりまして 派 遣 労 働 者 の 希 望 に 応 じたキャリアアップを 図 ることができる 環 境 を 整 備 するため 派 遣 元 事 業 主 にキャリアアップ 措 置 を 義 務 づけることとしております これらの 措 置 が 適 切 に 講 じられるようにするため 派 遣 先 は 派 遣 元 事 業 主 の 求 めに 応 じ 派 遣 労 働 者 の 業 務 の 遂 行 状 況 等 の 情 報 提 供 に 努 めることとしているものであり 特 定 目 的 行 為 に 当 たる ものではなく また 派 遣 先 が 人 事 評 価 を 行 うことにもなりません 特 定 目 的 行 為 については 現 在 も 認 められておらず 改 正 後 も 同 様 に 対 応 してまいります ( 拍 手 )