第 1 章 総 論 埼 玉 教 育 の 基 本 的 な 考 え 方 埼 玉 教 育 の 基 本 的 な 考 え 方 17
生 きる 力 と 絆 の 埼 玉 教 育 プラン 1 基 本 理 念 教 育 基 本 法 において 教 育 は 人 格 の 完 成 を 目 指 し 平 和 で 民 主 的 な 国 家 及 び 社 会 の 形 成 者 として 必 要 な 資 質 を 備 えた 心 身 ともに 健 康 な 国 民 の 育 成 を 期 して 行 われなければならない ( 第 1 条 )と 示 されています これからの 社 会 において 本 県 の 子 どもたちが 自 立 し また 自 らを 律 しつ つ 他 者 との 関 係 を 深 めながら 人 生 を 切 り 拓 き 幸 福 な 生 涯 を 実 現 するととも に 本 県 の 将 来 を 担 いわが 国 の 持 続 的 な 発 展 を 支 える 上 で 教 育 の 使 命 は 重 要 です この 使 命 を 果 たすため 埼 玉 県 教 育 振 興 基 本 計 画 では 本 県 の 教 育 行 政 を 進 めていく 上 での 基 本 的 な 考 え 方 として おおむね10 年 先 を 見 通 して 次 の 基 本 理 念 を 掲 げます 生 きる 力 について 子 どもたちの 自 立 と 成 長 を 保 障 するためには 子 どもたちの 生 きる 力 を 育 てることが 最 も 重 要 です 現 在 わが 国 は 人 口 減 少 超 高 齢 社 会 の 到 来 やグローバル 化 高 度 情 報 化 環 境 資 源 問 題 の 深 刻 化 など 変 化 の 激 しい 時 代 にあります こうした 変 化 の 潮 流 を 踏 まえる と これまでにも 増 して 知 徳 体 の 調 和 を 図 りつつ 問 題 解 決 のために 豊 かな 創 造 力 を 発 揮 できる 生 きる 力 を 育 てる 必 要 があります 平 成 20 年 (2008 年 )3 月 に10 年 ぶりに 改 訂 された 学 習 指 導 要 領 に おいても 子 どもたちの 生 きる 力 を 育 成 するという 理 念 がますます 重 要 であるとされています 18
第 1 章 総 論 絆 について 絆 は 人 間 同 士 のつながりや 学 校 家 庭 地 域 の 結 び 付 きの 大 切 さを 象 徴 的 に 示 した 言 葉 です 特 に 本 県 は 首 都 圏 にあり 都 市 化 の 進 展 も 著 しく 家 庭 地 域 の 教 育 力 の 低 下 が 指 摘 されています 子 どもたちの 生 きる 力 を 育 成 するためには 学 校 にお いて 教 師 と 児 童 生 徒 が 深 い 信 頼 関 係 で 結 ばれるとともに 学 校 家 庭 地 域 が 連 携 協 力 し その 絆 を 深 めることが 必 要 であると 考 えます また 子 どもたちが 他 者 との 信 頼 で 結 ばれた 豊 かな 人 間 関 係 を 築 くことは 幸 福 な 生 涯 の 実 現 と 社 会 の 持 続 的 な 発 展 という 教 育 の 使 命 を 果 たす 上 で 重 要 です 家 族 の 絆 地 域 の 絆 をはじめ 人 間 同 士 の 絆 が 深 まることは 現 代 の 社 会 において 極 めて 大 切 であると 考 えます このため 社 会 全 体 で 子 どもたちの 教 育 に 取 り 組 むとともに すべての 子 ど もたちの 豊 かな 人 間 関 係 を 深 め 広 げるため 絆 を 基 本 理 念 に 掲 げました 埼 玉 教 育 の 基 本 的 な 考 え 方 平 成 20 年 (2008 年 )3 月 に 告 示 された 学 習 指 導 要 領 に 関 する 文 部 科 学 省 パンフレット 生 きる 力 学 習 指 導 要 領 がかわります では 生 きる 力 とは 1 基 礎 的 な 知 識 技 能 を 習 得 し それらを 活 用 して 自 ら 考 え 判 断 し 表 現 すること により 様 々な 問 題 に 積 極 的 に 対 応 し 解 決 する 力 2 自 らを 律 しつつ 他 人 とともに 協 調 し 他 人 を 思 いやる 心 や 感 動 する 心 などの 人 間 性 3たくましく 生 きるための 健 康 や 体 力 などとしており 確 かな 学 力 豊 かな 人 間 性 健 康 体 力 の 知 徳 体 をバランス 良 く 育 て ることが 大 切 であるとしている 中 央 教 育 審 議 会 答 申 幼 稚 園 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 及 び 特 別 支 援 学 校 の 学 習 指 導 要 領 等 の 改 善 ( 平 成 20 年 1 月 17 日 )では 生 きる 力 と 同 義 の 言 葉 として OECD ( 経 済 協 力 開 発 機 構 )が1997 年 から2003 年 にかけて 定 義 付 けた 主 要 能 力 (キーコ ンピテンシー) や 内 閣 府 人 間 力 戦 略 研 究 会 の 人 間 力 戦 略 研 究 会 報 告 書 ( 平 成 15 年 4 月 )で 定 義 された 人 間 力 という 考 え 方 があるとしている これらは 生 きる 力 と 同 様 人 間 が 生 きていく 上 での 知 的 能 力 や 社 会 的 な 能 力 を 構 成 要 素 としている 基 礎 基 本 を 基 盤 として 自 由 で 豊 かな 想 像 力 さらに 未 来 を 切 り 拓 く 創 造 力 を 身 に 付 けさせることは これからの 知 識 基 盤 社 会 * の 時 代 にますます 重 要 であると 考 えられる 国 の 教 育 振 興 基 本 計 画 ( 平 成 20 年 7 月 1 日 )では 基 本 的 な 考 え 方 として 縦 の 接 続 と 横 の 連 携 の 重 要 性 が 述 べられている 縦 の 接 続 は 一 貫 した 理 念 に 基 づく 生 涯 学 習 社 会 の 実 現 とされている 一 人 一 人 が より 良 く 生 きるための 意 欲 と 力 を 生 涯 にわたって 鍛 え 豊 かなものにしていかなければ ならないとされており 本 県 の 生 きる 力 を 育 てること に 通 じると 考 えられる また 横 の 連 携 は 教 育 に 対 する 社 会 全 体 の 連 携 の 強 化 とされている 一 人 一 人 の 主 体 的 な 参 画 によるコミュニティづくりやより 良 い 社 会 づくりに 資 するものであるとさ れ 本 県 の 絆 を 深 めること に 通 じると 考 えられる 19
生 きる 力 と 絆 の 埼 玉 教 育 プラン 3つの 観 点 基 本 理 念 を 踏 まえて 以 下 に 述 べる の 実 現 に 向 け 施 策 を 実 施 して いくに 当 たっては 次 の3つの 観 点 を 重 視 して 取 り 組 みます 子 どもを 認 め 鍛 え はぐくむ 一 人 一 人 の 学 びと 夢 を 応 援 する 県 民 の 教 育 力 を 結 集 する 子 どもを 認 め 鍛 え はぐくむ について 子 どもたちが 意 欲 的 に 生 きるためには 自 信 や 自 己 肯 定 感 を 持 つことが 必 要 です そのためには 子 どもの 存 在 や 努 力 成 果 を 認 めることが 子 どもの 生 きる 力 の 出 発 点 となります また 子 どもたちに 基 礎 的 基 本 的 な 知 識 技 能 を 習 得 させることは 生 きる 力 の 基 礎 となります 子 どもが 自 ら 考 え 積 極 的 に 解 決 する 力 を 身 に 付 けて いくため その 前 提 として 最 低 限 必 要 なことは 徹 底 して 教 えるなど 鍛 えるこ とが 必 要 です さらに 発 達 段 階 に 応 じ 子 どもの 主 体 的 な 成 長 を 促 し 子 どもを 鍛 え は ぐくむ という 厳 しさと 優 しさのバランスを 取 ることが 重 要 です 一 人 一 人 の 学 びと 夢 を 応 援 する について 今 日 の 変 化 の 激 しい 社 会 においては 学 校 教 育 段 階 はもとより 生 涯 を 通 じて 学 び 続 け 自 分 を 磨 き 高 めていくことが 一 層 重 要 です そのためには 夢 志 目 標 を 持 つことが 必 要 です とりわけ 今 日 の 社 会 状 況 の 中 で どのようにして 子 どもたちに 夢 や 志 を 持 たせるかは 自 立 と 成 長 に 向 けた 大 きな 課 題 です また ゆとりとチャンスの 埼 玉 プラン では チャンスの 拡 大 を 理 念 の 一 つとして 示 し いつでも どこでも 誰 でも 何 度 でも 自 分 の 夢 に 挑 戦 でき る 社 会 失 敗 してもやり 直 しができる 社 会 を 将 来 像 として 描 いています 本 計 画 では 夢 を 持 ち 学 び 続 けようとする 一 人 一 人 を 応 援 することが 重 要 であると 考 えます 20
第 1 章 総 論 県 民 の 教 育 力 を 結 集 する について 直 面 する 様 々な 教 育 課 題 を 解 決 するためには 学 校 や 家 庭 はもとより 地 域 の 住 民 や 大 学 NPO 企 業 なども 社 会 の 一 員 として 子 どもの 教 育 に 参 画 することが 必 要 です 本 県 の ゆとりとチャンスの 埼 玉 プラン では 県 民 の 力 結 集 戦 略 を4 つの 戦 略 の 一 番 目 に 掲 げ このプランの 実 現 に 向 けて すべての 県 民 の 力 を 結 集 しようと 呼 びかけています また これまで 本 県 の 学 校 教 育 を 推 進 してきた 彩 の 国 教 育 改 革 アクショ ンプラン( 平 成 14~20 年 度 平 成 18 年 度 改 定 ) でも 学 校 を 核 として 学 校 家 庭 地 域 が 一 体 となって 子 どもを 育 てる を 第 一 の 柱 に 掲 げ そのもと に 学 校 応 援 団 * や 親 の 学 習 * などの 先 駆 的 な 取 組 を 進 めてきました 本 計 画 では こうした 取 組 を 引 き 継 ぎ 一 人 一 人 の 県 民 が 教 育 に 対 する 関 心 を 高 め 教 育 に 参 画 するよう すべての 県 民 の 教 育 力 を 結 集 していくこと が 重 要 であると 考 えます 埼 玉 教 育 の 基 本 的 な 考 え 方 21
生 きる 力 と 絆 の 埼 玉 教 育 プラン 2 本 計 画 の 基 本 理 念 を 踏 まえ 今 後 5 年 間 ( 平 成 21 年 度 ~ 平 成 25 年 度 )に 取 り 組 む 教 育 行 政 の5つの を 示 します Ⅰ 確 かな 学 力 と 自 立 する 力 の 育 成 子 どもたちに 基 礎 基 本 の 徹 底 を 図 り 確 かな 学 力 を 身 に 付 けさせるとともに 伝 統 と 文 化 を 尊 重 し 国 際 性 をはぐくむ 教 育 や 時 代 の 進 展 に 対 応 する 教 育 を 推 進 します また キャリア 教 育 *や 幼 児 教 育 特 別 支 援 教 育 を 推 進 し 子 どもたちが 自 立 して 生 きていくための 基 礎 となる 力 や 創 造 力 をはぐくみます Ⅱ 豊 かな 心 と 健 やかな 体 の 育 成 道 徳 教 育 の 一 層 の 推 進 や 体 験 活 動 の 充 実 などにより 子 どもたちの 豊 かな 心 をは ぐくむとともに いじめや 不 登 校 高 校 中 途 退 学 非 行 問 題 行 動 などの 課 題 に 取 り 組 みます また 健 康 の 保 持 増 進 や 体 力 の 向 上 などにより 健 やかな 体 を 育 成 します Ⅲ 質 の 高 い 学 校 教 育 の 推 進 教 職 員 の 資 質 向 上 や 学 校 の 組 織 運 営 の 改 善 学 習 環 境 の 整 備 充 実 などにより 質 の 高 い 学 校 教 育 を 推 進 します また 私 学 教 育 の 振 興 を 図 ります 家 庭 地 域 の 教 育 力 の 向 上 親 の 学 習 * など 家 庭 教 育 の 支 援 を 充 実 するとともに 学 校 を 核 として 学 校 家 庭 地 域 が 一 体 となった 教 育 を 推 進 する 中 で 家 庭 や 地 域 の 教 育 力 を 向 上 させます Ⅴ 生 涯 学 習 とスポーツの 振 興 社 会 の 要 請 と 県 民 の 学 習 ニーズに 応 える 質 の 高 い 学 習 機 会 を 提 供 し 活 力 ある 生 涯 学 習 社 会 を 実 現 するとともに 地 域 スポーツの 振 興 を 図 ります 22