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東 洋 大 学 人 間 科 学 総 合 研 究 所 紀 要 第 10 号 (2009) 133-152 133 韓 国 における 被 虐 待 の 現 状 と 地 域 支 援 システム 朴 * 志 允 児 童 虐 待 に 対 する 韓 国 国 民 の 認 識 は 低 い その 背 景 には1 児 童 虐 待 を 個 人 的 家 族 問 題 として 認 識 していること 2 儒 教 的 思 想 により 児 童 虐 待 を 家 庭 での 教 育 の 一 部 と して 認 識 していること そして3 年 々 深 刻 になっている 児 童 虐 待 を 主 に 担 当 している 児 童 保 護 専 門 機 関 や 多 くの 福 祉 施 設 は 民 間 委 託 の 形 式 で 法 的 権 限 をほとんど 持 っ ていないこと がある また 年 々 虐 待 は 増 加 深 刻 化 し 実 親 による 虐 待 貧 困 問 題 や 親 支 援 問 題 も 深 刻 になってきた こうした 被 虐 待 児 童 を 取 り 巻 く 現 状 に 対 し 民 間 主 体 の 対 策 だけでは 子 ども 権 利 実 現 という 目 線 での 支 援 に 限 界 があり 政 策 的 公 的 支 援 を 含 めたネットワーク 作 りは 重 要 課 題 だと 分 かった 本 研 究 では 様 々な 問 題 を 抱 えている 被 虐 待 児 童 の 地 域 で 支 援 ネットワークに 関 連 する 児 童 福 祉 施 設 の フィールド 調 査 を 行 い 地 域 で 被 虐 待 児 童 を 支 援 予 防 できるシステム 作 りに 必 要 な 民 と 公 の 関 係 性 に 焦 点 をおいて 子 どもの 権 利 実 現 が 可 能 な 支 援 とは 何 か について 考 察 を 行 った キーワード: 児 童 虐 待 子 ども 支 援 センター 貧 困 家 庭 地 域 での 支 援 民 間 委 託 はじめに 子 どもは 家 庭 の 希 望 であり 社 会 と 国 家 を 引 き 受 けていく 将 来 的 存 在 でもあるため 子 どもに 対 す る 社 会 の 関 心 と 政 策 的 保 護 支 援 が 必 要 である しかし 近 年 核 家 族 化 離 婚 及 び 再 婚 の 増 加 家 庭 内 暴 力 母 親 の 社 会 参 加 拡 大 による 保 育 問 題 少 子 化 問 題 など 家 族 を 取 り 囲 む 社 会 問 題 は 大 きく 変 化 している このような 21 世 紀 社 会 を 岩 上 i は 基 本 的 には 個 人 がリスクを 負 いながら 自 立 して 生 きるハイ モダニティ( 超 近 代 )の 社 会 と 表 現 した ここで 問 題 となるのは 子 ども 高 齢 者 障 害 者 に 代 表 される 支 援 が 必 要 な 人 々の 権 利 をどう 守 るかということであり また 従 来 社 会 的 弱 者 に 対 し 家 族 がその 防 御 の 砦 とみなされてきた が 家 族 のなかですべての 個 人 が 権 利 を * 人 間 科 学 総 合 研 究 所 院 生 研 究 員 東 洋 大 学 大 学 院 社 会 学 研 究 科 社 会 福 祉 学 専 攻

134 東 洋 大 学 人 間 科 学 総 合 研 究 所 紀 要 第 10 号 擁 護 され 尊 厳 を 維 持 できたかどうかはきわめて 疑 わしい と 現 代 の 家 族 問 題 を 指 摘 している 特 に 韓 国 社 会 では 儒 教 的 思 想 の 影 響 で 子 どもに 対 する 厳 格 な 訓 育 方 式 が 奨 励 され 子 ども 教 育 は 親 の 権 利 として 保 障 され 他 人 ( 外 部 )の 介 入 が 困 難 な 社 会 的 雰 囲 気 がある その 結 果 欧 米 に 比 べ 相 対 的 に 家 庭 内 での 児 童 虐 待 に 対 する 社 会 的 認 識 度 が 低 く 深 刻 な 社 会 問 題 になってから 発 見 さ れることが 多 い また 児 童 虐 待 などにより 社 会 的 養 護 が 必 要 な 子 どもを 支 援 できるようなシステム が 十 分 整 理 されておらず 家 庭 復 帰 措 置 を 除 くと 大 型 の 施 設 養 護 が 多 い しかし 社 会 的 養 護 が 必 要 とされる 子 どもが 抱 えている 問 題 は 多 様 化 深 刻 化 し 画 一 的 施 設 養 護 や 一 時 保 護 ではそのニーズ に 応 えられなくなった 国 連 は 1989 年 子 どもの 権 利 実 現 のための 実 践 的 努 力 を 強 調 する 子 ども 権 利 条 約 を 採 択 韓 国 は 1991 年 これを 批 准 した この 条 約 第 19 条 には 締 約 国 は 子 どもが 虐 待 搾 取 差 別 暴 力 と 放 任 から 保 護 されるための 諸 対 策 をとることとされている つまり 子 どもの 権 利 実 現 のため 韓 国 社 会 は 被 虐 待 児 の 支 援 をそのニーズに 合 わせ 総 合 的 に 考 えていかなければならない 特 に 福 祉 事 業 の 公 的 役 割 の 限 界 から 民 間 委 託 が 多 い 韓 国 で 民 間 の 力 は 国 の 基 準 より 質 的 高 い サービスを 提 供 できる 利 点 もあるが 法 的 権 限 や サービスの 公 平 性 などを 含 め 民 間 主 体 だから 感 じる 限 界 もあるだろう 本 研 究 は 民 と 公 の 役 割 及 び 両 者 の 関 係 性 から 被 虐 待 児 支 援 におけ る 民 間 中 心 の 支 援 が 感 じる 可 能 性 限 界 や 課 題 を 明 らかにするものである 1. 韓 国 における 子 どもへの 虐 待 の 現 状 韓 国 における 児 童 虐 待 に 関 する 法 律 は 1961 年 制 定 された 児 童 福 祉 法 に 始 まる その 後 国 際 児 童 年 である 1979 年 韓 国 社 会 福 祉 協 議 会 により 児 童 虐 待 通 告 センターがソウルに 開 設 された が 市 民 の 低 い 関 心 と 認 知 度 のため 通 告 が 1 年 間 1 件 もなく 閉 館 することになる 1983 年 韓 国 子 ども 保 護 会 が 子 ども 相 談 電 話 を 開 設 1985 年 ソウル 市 立 児 童 相 談 所 が 保 護 通 告 所 を 開 設 するが 虐 待 に 関 する 国 民 の 認 知 度 が 高 まることはなかった 実 質 的 な 児 童 虐 待 予 防 活 動 は 1989 年 韓 国 児 童 虐 待 予 防 協 議 会 が 創 設 されてから 本 格 化 した しかし 社 会 が 被 虐 待 児 童 に 対 する 深 刻 性 を 認 識 し 始 めたのは 1998 年 韓 国 のあるテレビ 局 がド キュメンタリー 番 組 で 当 時 の 残 酷 な 児 童 虐 待 事 件 を 取 りあげてからである この 番 組 がきっかけで 児 童 虐 待 に 関 する 国 民 やマスコミの 関 心 度 が 高 まり 1999 年 に 改 正 児 童 福 祉 法 の 立 案 発 議 2000 年 1 月 に 改 正 児 童 福 祉 改 正 7 月 に 児 童 福 祉 法 が 施 行 された この 時 期 から 本 格 的 に 児 童 被 虐 に 対 する 政 府 の 介 入 が 法 的 制 度 的 根 拠 を 持 つようになった ii また 同 法 では 身 体 的 虐 待 精 神 的 虐 待 ネグレクト( 放 任 ) 性 的 虐 待 その 他 児 童 虐 待 の 類 型 化 が 明 確 に 行 われた 児 童 福 祉 法 改 正 後 以 前 は 家 出 非 行 など 別 途 に 分 類 されなかった 項 目 も 含 め 児 童 虐 待 に 関 する 政 府 の 公 式 統 計 も 行 なわれるようになった さらに 2000 年 児 童 福 祉 法 改 正 後 全 国 市 道 及 び 市 群 区 に 18 箇 所 の 児 童 虐 待 予 防 センター( 現 在 児 童 保 護 専 門 機 関 と 改 名 以 下 児 童 保 護 専 門 機 関 と 表 記 )

朴 : 韓 国 における 被 虐 待 の 現 状 と 地 域 支 援 システム 135 が 設 立 され 2001 年 10 月 には 現 在 中 央 児 童 保 護 専 門 機 関 (National Child Protection Agency 以 下 NCPA) 設 置 後 全 国 に 拡 大 する 張 化 貞 iii によれば 拡 大 には 1 子 どもの 現 況 及 び 地 域 的 考 慮 を 踏 まえ 各 センターの 業 務 を 調 整 2 地 域 的 にサービスを 受 けにくくなった 子 どもを 救 済 する が 目 的 として 含 まれている 現 在 全 国 44 箇 所 で 虐 待 事 例 管 理 再 発 防 止 など 児 童 保 護 事 業 の 中 枢 的 役 割 を 担 当 している この 機 関 は 児 童 福 祉 法 第 24 条 第 27 条 及 び 第 31 条 第 4 項 により 国 からの 民 間 委 託 という 形 態 で 運 営 されている NCPA と 保 健 福 祉 部 が 虐 待 現 況 を 分 析 した 全 国 児 童 虐 待 現 況 報 告 書 2007 による 1 年 間 の 子 ど もへの 虐 待 状 況 は 以 下 のようである 1-1 全 国 児 童 虐 待 現 況 報 告 書 (2007) 相 談 通 告 件 数 全 国 児 童 保 護 専 門 機 関 に 登 録 された 通 告 件 数 は 2001 年 2,105 件 で 児 童 人 口 10 万 名 あたり 18 名 だったのが 現 在 は 約 3 倍 の 10 万 名 あたり 約 50 名 と 推 測 されている 2007 年 の 1 年 間 に 全 国 の 児 童 保 護 専 門 機 関 に 相 談 通 告 された 件 数 は 9,478 件 で この 中 で 児 童 虐 待 が 疑 われる 事 例 は 7,083 件 (74.7%) 一 般 相 談 が 2,395 件 (25.3%)であった これは 2006 年 と 比 べると 相 談 通 告 件 数 は 8,903 件 から 9,478 件 に 約 6.5% 増 加 し 児 童 虐 待 の 疑 いがある 事 例 も 6,452 件 から 7,083 件 に 約 9.8% 増 加 している 相 談 通 告 経 路 児 童 保 護 専 門 機 関 における 児 童 虐 待 の 相 談 通 告 の 経 路 として 保 健 福 祉 部 コールセンター 129 児 童 相 談 専 用 電 話 1577-1391 インターネット 直 接 訪 問 などがある その 内 1577-1391 を 通 じた 相 談 通 告 率 が 85.7% で 最 も 高 く 129 による 通 告 率 7.5% 直 接 訪 問 6.4% インターネット 0.4% の 順 となっ ている 児 童 虐 待 現 場 調 査 及 び 被 害 児 童 保 護 現 況 2007 年 に 全 国 児 童 保 護 専 門 機 関 に 相 談 通 告 された 児 童 虐 待 の 疑 いがある 7,083 件 に 対 する 現 場 調 査 は 総 計 10,375 回 実 施 されており 1 事 例 に 対 する 平 均 調 査 は 約 1.5 回 であった その 結 果 児 童 虐 待 と 判 定 された 事 例 は 5,581 件 (78.8%) 危 機 群 468 件 (6.6%) 一 般 事 例 1,043 件 (14.6%)であっ た 児 童 虐 待 と 判 断 された 5,581 件 中 緊 急 事 例 が 575 件 (10.3%) その 他 の 事 例 が 5,006 名 (89.7%) である また この 5,581 件 には 同 一 子 どもが 複 数 回 通 告 されたケースも 含 まれており 実 際 に 通 告 された 子 どもは 5,336 名 である 児 童 虐 待 類 型 児 童 虐 待 事 例 を 類 型 別 にみると ネグレクト( 放 任 )が 2,107 件 (37.7%)で 最 も 高 い 比 率 を 示 し ている 次 に 複 数 の 虐 待 類 型 を 含 むもの 2,087 件 (37.4%) 情 緒 的 虐 待 589 件 (10.6%) 身 体 的 虐 待 473 件 (8.5%) 性 的 虐 待 266 件 (4.8%) 遺 棄 59 件 (1.0%)の 順 である 複 数 の 虐 待 類 型 からなる 事 例 を 別 途 に 区 分 せずに 表 記 すると ネグレクト( 放 任 )が 3.018 件 (37.6%) 情 緒 的 虐 待 2,420

136 東 洋 大 学 人 間 科 学 総 合 研 究 所 紀 要 第 10 号 件 (30.1%) 身 体 的 虐 待 2,095 件 (26.1%) 性 的 虐 待 409 件 (5.1%) 遺 棄 92 件 (1.1%)の 順 で ネ グレクト( 放 任 )が 最 も 多 い 毎 年 最 も 高 い 比 率 のネグレクト( 放 任 )の 場 合 ネグレクト( 放 任 ) 事 例 の 内 訳 は 物 理 的 ネグレク トが 2,140 件 (66.0%) で 最 も 高 く 教 育 的 ネグレクト 808 件 (25.0%) 医 療 的 ネグレクト 290 件 (9.0%) の 順 である( 同 一 事 例 内 でいくつかの 類 型 に 属 する 場 合 あり) このことは ネグレクト( 放 任 )に 関 する 現 実 的 抜 本 的 対 策 が 必 要 であり 様 々な 形 で 複 合 的 に 生 じる 児 童 虐 待 に 対 する 多 様 な 介 入 方 法 の 検 討 が 要 求 される 児 童 虐 待 が 発 生 する 場 所 及 び 頻 度 児 童 虐 待 が 発 生 する 場 所 は 5,581 件 の 事 例 のうち 家 庭 内 が 4,445 件 (79.6%)で 最 も 多 く 次 に 福 祉 施 設 222 件 (4.0%)となっている 家 庭 では 場 所 の 特 徴 上 その 発 見 が 容 易 ではないため 断 続 的 な 虐 待 が 考 えられ その 危 機 度 も 高 くなる 恐 れがある 児 童 虐 待 の 発 生 頻 度 は 毎 日 が 2,815 件 (50.5%)で 最 も 多 く 2 3 日 に 一 回 が 600 件 (10.8%) の 順 となっており 多 くの 子 どもがくりかえし 虐 待 を 受 けていることがわかる 被 虐 待 児 の 性 別 及 び 年 齢 性 別 は 女 2,801 件 (50.2%) 男 2,780 件 (49.8%)でほとんど 差 はなかった 年 齢 は 学 齢 期 である 6 11 歳 が 全 体 の 52.7% を 示 す 被 虐 待 児 の 過 半 数 が 小 学 生 である このことは 小 学 生 をもつ 親 子 ども 教 師 を 中 心 に 児 童 虐 待 予 防 のための 啓 発 活 動 が 必 要 であることを 意 味 している 被 虐 待 児 の 年 齢 別 に 児 童 虐 待 類 型 では 満 15 歳 までの 年 齢 集 団 で ネグレクト( 放 任 )が 最 も 高 い 比 率 を 示 して いる 特 に 満 3 歳 未 満 の 乳 幼 児 の 年 齢 では ネグレクトが 示 す 比 率 が 約 50% で 発 達 段 階 の 特 徴 上 この 時 期 にネグレクト( 放 任 )が 与 える 影 響 を 考 慮 すると 深 刻 な 問 題 である 児 童 虐 待 ケースに 対 する 初 期 措 置 被 虐 待 児 童 への 初 期 措 置 は 自 分 の 家 庭 で 保 護 4,061 件 (72.7%) 隔 離 保 護 1,445 件 (25.9%) 他 の 機 関 に 連 携 依 頼 ケース 72 件 (1.3%) 児 童 が 死 亡 したケース 3 件 (0.1%)の 順 で 家 庭 復 帰 措 置 が 隔 離 措 置 より 2.8 倍 多 い 初 期 隔 離 になった 事 例 のうち 一 時 保 護 753 件 (52.1%) 親 戚 による 保 護 234 件 (16.2%) 長 期 保 護 214 件 (14.8%) 家 庭 委 託 21 件 (1.5%)の 順 となっている 隔 離 保 護 された 1,445 件 のうち 最 終 的 に 元 の 家 庭 に 復 帰 された 事 例 は 246 件 で 全 体 の 17.0% を 示 している 児 童 虐 待 類 型 別 では 遺 棄 を 除 くすべての 虐 待 類 型 で 家 庭 復 帰 保 護 が 最 も 多 く 一 時 保 護 親 戚 による 保 護 が 続 く 児 童 虐 待 ケースに 対 する 最 終 的 措 置 被 虐 待 児 童 の 最 終 的 措 置 をみると 家 庭 復 帰 4,083 件 (73.2%) 隔 離 保 護 1,397 件 (25.0%) 他 の 機 関 に 連 携 依 頼 94 件 (1.7%) 死 亡 7 件 (0.1%)に 把 握 され 初 期 措 置 と 同 じよう 家 庭 復 帰 によ る 保 護 が 隔 離 保 護 より 多 い 児 童 虐 待 類 型 別 ではいずれも 家 庭 復 帰 保 護 措 置 の 比 率 が 高 いことがわか る

朴 : 韓 国 における 被 虐 待 の 現 状 と 地 域 支 援 システム 137 被 虐 待 児 童 に 対 するサービス 提 供 2007 年 の 1 年 間 に 被 虐 待 児 童 に 計 143,328 回 のサービスが 提 供 された このうち 2007 年 に 通 告 さ れた 児 童 虐 待 事 例 に 提 供 されたサービスは 91,254 回 で 2007 年 以 前 に 通 告 された 事 例 に 提 供 された サービスは 52,074 回 であった サービス 内 容 は 一 時 保 護 個 別 相 談 教 育 サービスに 偏 重 し 被 虐 待 児 童 の 家 族 生 活 環 境 要 因 を 変 化 させる 支 持 的 サービス 専 門 的 治 療 サービス iv と 医 療 サービス の 割 合 は 低 い 再 通 告 事 例 の 発 生 件 数 2007 年 1 年 間 再 通 告 された 事 例 は 967 件 で 全 体 の 相 談 通 告 件 数 の 10.1% を 占 める 2006 年 の 再 通 告 事 例 に 比 べ 40% 増 加 した 数 値 である ここには 同 一 児 童 が 複 数 回 再 通 告 された 事 例 も 含 まれており 2007 年 1 年 間 に 再 通 告 を 児 童 数 すると 879 名 だった 年 度 別 再 通 告 率 を 分 析 した 結 果 2001 年 0.5% 2002 年 2.5% 2003 年 2.7% 再 通 告 件 数 が 急 激 に 増 加 した 2004 年 から 2006 年 まで 7% 程 度 を 維 持 し 2007 年 度 にさらに 再 通 告 の 件 数 が 急 増 し 10.1% と 集 計 された 再 通 告 された 児 童 の 性 別 及 び 年 齢 再 通 告 された 子 どもの 性 別 は 女 454 名 (51.6%) 男 の 子 425 名 (48.4%)で 差 ほとんどない 年 齢 は 満 10 ~ 12 歳 272 名 (31.0%) 満 13 15 歳 221 名 (25.1%) 満 7 9 歳 187 名 (21.3%)の 順 で 小 学 校 中 学 校 の 学 齢 期 児 童 の 再 通 告 が 多 いことが 分 かる 再 通 告 事 例 の 児 童 虐 待 類 型 再 通 告 された 子 どもが 複 数 虐 待 類 型 を 経 験 した 場 合 について 虐 待 類 型 をみると ネグレクト( 放 任 )が 37.4% で 最 も 多 く 身 体 的 虐 待 33.2% 情 緒 的 虐 待 21.3% 性 的 虐 待 7.3% 遺 棄 0.8% の 順 で ある 再 通 の 告 発 生 時 期 再 通 告 があった 時 期 を 分 析 した 結 果 事 例 終 結 後 の 再 通 告 は 601 件 (62.8%) 一 般 相 談 終 結 後 の 再 通 告 は 197 件 (20.6%) 事 例 断 続 中 の 再 通 告 は 159 件 (16.6%)だった 虐 待 者 の 性 別 及 び 年 齢 虐 待 ケースの 虐 待 者 性 別 は 男 性 3,297 件 (59.1%) 女 性 が 2,210 件 (39.6%)で 年 齢 は 40 49 歳 が 2,066 件 (37.0%) 満 30 39 歳 が 1,769 件 (31.7%)の 順 で 主 に 小 学 生 の 子 どもを 持 つ 30 40 代 である 虐 待 者 と 被 虐 待 児 童 との 関 係 虐 待 者 は 大 きく 親 と 親 ではない 者 と 区 分 する 5,581 件 の 児 童 虐 待 事 例 のうち 虐 待 者 が 親 である ケースは 4,524 件 で 全 体 児 童 虐 待 事 例 の 81.1% を 示 す 虐 待 者 が 親 である 場 合 実 父 による 虐 待 が 2,788 件 で 全 体 の 50.0% 実 母 による 虐 待 も 1,520 件 (27.2%)で 実 親 による 虐 待 が 非 常 に 多 い 虐 待 者 の 職 業 及 び 国 民 基 礎 生 活 ( 日 本 で 言 う 生 活 保 護 制 度 )の 受 給 状 況 虐 待 者 の 職 業 で 最 も 多 いのは 無 職 の 25.5% 以 下 単 純 労 働 職 13.5% 主 婦 7.9% サービス 販 売 職 7.3% の 順 である 全 体 の 54.2% が 無 職 単 純 労 働 職 非 正 規 職 など 全 体 的 に 所 得 水 準 が 低 く 不

138 東 洋 大 学 人 間 科 学 総 合 研 究 所 紀 要 第 10 号 安 定 な 職 業 を 持 っている 貧 困 層 である このうち 国 民 基 礎 生 活 受 給 の 非 受 給 者 59.8% 受 給 対 象 者 29.6% 把 握 不 可 能 10.6% 順 で 貧 困 層 にも 関 わらず 適 切 な 国 の 手 当 てを 受 けられていないことが わかる 児 童 保 護 専 門 機 関 相 談 員 の 業 務 量 児 童 保 護 専 門 機 関 相 談 員 は 2007 年 に 通 告 された 9,478 件 の 相 談 通 告 事 例 に 対 し 74.7% の 7,083 件 を 児 童 虐 待 の 審 査 事 例 として 判 定 し これに 対 して 10,375 回 の 現 場 調 査 を 実 施 した その 結 果 78.8% に 該 当 する 5,581 件 を 児 童 虐 待 事 例 として 判 定 する 全 体 虐 待 児 の 5.1% に 該 当 する 285 件 を 告 訴 法 廷 報 告 書 作 成 及 び 被 害 児 童 の 法 廷 陳 述 に 必 要 な 法 的 手 続 きをする 被 害 児 童 と 虐 待 者 被 害 児 童 の 家 族 に 対 し 計 204,218 回 サービスを 提 供 した 現 在 児 童 保 護 専 門 機 関 は 少 ない 相 談 員 で 相 談 通 告 受 付 及 び 現 場 調 査 事 例 判 定 措 置 決 定 サービス 提 供 事 後 管 理 など 行 う 児 童 虐 待 現 状 分 析 以 上 の 事 柄 から 韓 国 における 児 童 虐 待 問 題 は 1 実 親 による 児 童 虐 待 件 数 増 加 2 家 庭 復 帰 措 置 が 多 い 3 児 童 虐 待 の 多 くが 貧 困 家 庭 から 発 生 4 児 童 保 護 専 門 機 関 の 過 多 な 業 務 量 など 多 くの 課 題 を 抱 えている イジョンヒ v はこの 問 題 に 関 して 虐 待 問 題 は 親 の 個 人 的 要 因 と 社 会 的 要 因 には 貧 困 失 業 な どによる 生 活 上 のストレスと 精 神 健 康 薬 物 問 題 など 複 雑 な 問 題 を 抱 えているため 単 純 な 隔 離 保 護 親 教 育 だけでは 問 題 解 決 が 困 難 である と 虐 待 問 題 の 複 雑 性 を 強 調 している また 被 虐 待 児 は 身 体 的 被 害 はもちろん 心 理 的 にも 傷 を 抱 えているため 正 常 的 社 会 生 活 が 困 難 な 場 合 が 頻 繁 にある と 被 虐 待 児 が 抱 える 複 雑 多 様 な 問 題 への 支 援 の 必 要 性 について 述 べている つまり 被 虐 待 児 とその 家 族 虐 待 者 に 対 して 予 防 介 入 双 方 の 段 階 に 対 応 する 包 括 的 サービスを 提 供 するためには 機 関 に よる 対 応 では 十 分 な 支 援 は 困 難 であり 関 連 機 関 からなるネットワーク 形 成 による 支 援 が 重 要 である と 言 える この 虐 待 現 状 分 析 の 内 容 を 踏 まえ 韓 国 における 被 虐 待 児 童 の 特 徴 や 課 題 サービスの 提 供 の 現 況 をいくつかに 分 けて 以 下 に 指 摘 する 1-2 韓 国 における 児 童 虐 待 の 特 徴 と 課 題 児 童 虐 待 の 特 徴 1 被 虐 待 児 童 は 毎 年 増 加 しており ネグレクト( 放 任 )が 最 も 多 い ネグレクト( 放 任 )の 中 でも 物 理 的 ネグレクトが 多 く 最 も 基 本 的 生 活 も 守 られていない 状 態 であると 推 測 できる また 虐 待 が 発 生 する 場 所 として 家 庭 発 生 頻 度 として 毎 日 が 最 も 多 いことから 家 庭 における 日 常 生 活 自 体 が 虐 待 と 繋 がっていると 考 えられる 2 被 虐 待 児 童 の 最 も 多 い 年 齢 は 小 学 校 時 期 である 学 童 期 の 子 どもが 多 い また 満 3 歳 以 下 の 子 を みても 虐 待 類 型 として ネグレクトが 50% 以 上 と 非 常 に 高 い 割 合 である つまり 幼 児 期 成 長 期 の 特 徴 上 発 達 障 害 を 伴 う 可 能 性 が 高 い これらのことも 含 め 被 虐 待 児 ケアには 専 門 的

朴 : 韓 国 における 被 虐 待 の 現 状 と 地 域 支 援 システム 139 3 で 多 様 なサービス 提 供 が 必 要 であるが 現 在 提 供 されているサービス 内 容 は 断 続 的 で 個 別 的 な 保 護 システムが 十 分 確 立 されていない このように 十 分 なサービスプログラムが 確 立 されていない 一 方 実 の 親 (81.1%)による 虐 待 が 多 く 最 終 的 な 措 置 内 容 は 家 庭 での 保 護 (72.7%)が 最 も 多 い 親 の 経 済 状 況 として 無 職 (54.2%) が 最 も 多 い そのうち 国 民 基 礎 生 活 受 給 ( 生 活 保 護 )を 受 けているのは 29.6% のみである この ことは 貧 困 層 が 多 いが 国 からの 援 助 を 十 分 に 受 けられないまま 虐 待 発 生 場 所 である 家 庭 で そのまま 子 どもが 養 育 されていることを 示 している 4 また 韓 国 で 虐 待 の 相 談 通 告 の 主 な 窓 口 である 児 童 保 護 専 門 機 関 は 2000 年 の 児 童 福 祉 法 改 正 後 次 第 に 増 加 し 全 国 で 積 極 的 に 活 動 している しかし 被 虐 待 児 童 の 増 加 により ひとりの 相 談 員 が 担 当 する 業 務 負 担 が 大 きくなっており 役 割 を 分 担 し 専 門 的 で 長 期 的 サービスが 提 供 できる ような 制 度 的 整 備 が 早 急 に 求 められる 家 庭 復 帰 という 最 終 措 置 後 1 ~ 2 年 で また 再 通 告 されるケースが 年 々 増 加 している 専 門 機 関 の 過 重 な 業 務 負 担 も その 原 因 と 繋 がっている とも 考 えられる 全 国 児 童 虐 待 現 況 報 告 書 vi の 事 例 分 析 では 措 置 結 果 として 家 庭 復 帰 比 率 が 高 い 理 由 として 児 童 虐 待 予 防 事 業 の 窮 極 的 目 標 が 家 族 保 存 であることと 関 連 する と 説 明 し 一 見 家 庭 復 帰 は 家 族 を 分 離 させない 最 も 望 ましい 形 であるが 適 切 な 支 援 がない 状 態 のま までの 家 庭 復 帰 は 子 どもの 権 利 擁 護 実 現 へ 向 けた 取 り 組 みの 主 体 になるべき 国 が 子 ども をより 危 機 状 態 に 追 い 込 む 結 果 につながる 児 童 虐 待 の 課 題 以 上 の 韓 国 における 被 虐 待 児 童 の 現 状 から 今 後 の 課 題 を 以 下 のように 整 理 することができる 1 韓 国 の 児 童 虐 待 の 現 状 についてイジェヨン vii は 2000 年 以 降 政 府 は 虐 待 を 受 けている 子 ども のため 24 時 間 Hot Line 設 置 児 童 保 護 専 門 機 関 運 営 など 解 決 策 を 試 みているが 全 国 の 児 童 保 護 専 門 機 関 は 44 箇 所 に 過 ぎない これは 全 体 人 口 109 万 名 に 1 箇 所 と 考 えられる と 保 護 機 関 の 不 足 を 指 摘 していえる 2 また イジェヨンは 先 進 緒 国 に 比 べ 現 在 韓 国 で 児 童 虐 待 対 応 の 中 心 である 児 童 保 護 専 門 機 関 が 民 間 委 託 事 業 であることに 関 係 し 評 価 制 度 の 再 考 相 談 員 の 調 査 権 機 能 に 法 的 根 拠 が 明 示 され ていない 状 況 などの 問 題 点 を 指 摘 し 今 後 子 ども 保 護 のために 連 携 による 体 系 的 で 合 理 的 な 改 善 を 提 言 している つまり 他 の 福 祉 領 域 とは 違 い 家 庭 中 の 調 査 と 状 況 分 析 に 虐 待 者 からの 分 離 をする 際 の 親 権 の 問 題 相 談 命 令 司 法 措 置 など 個 人 の 人 権 権 利 問 題 と 深 く 関 与 しているため 民 間 委 託 民 間 機 関 に 加 えて 国 や 自 治 体 が 直 接 介 入 できる 保 護 体 系 が 今 後 望 まれる 3 韓 国 と 同 様 アジア 特 有 の 家 族 関 係 を 形 成 している 日 本 でも 急 激 な 都 市 化 により 家 族 関 係 が 変 化 し 児 童 虐 待 の 増 加 が 大 きな 社 会 問 題 なっているが 児 童 虐 待 への 対 応 は 公 的 機 関 が 中 心 になっ て 行 なわれている 日 本 では 平 成 16 年 の 児 童 福 祉 法 及 び 児 童 虐 待 防 止 法 の 改 正 により 市 町 村 と 児 童 相 談 所 を 設 置 する 都 道 府 県 の 役 割 をより 具 体 化 し 市 町 村 を 中 心 とした 要 保 護 児 童 支 援 の

140 東 洋 大 学 人 間 科 学 総 合 研 究 所 紀 要 第 10 号 ネットワークのための 法 整 備 が 行 なわれた また これにより 児 童 相 談 所 で 措 置 された 児 童 が 家 庭 復 帰 をする 際 には 市 町 村 は 要 保 護 児 童 対 策 地 域 協 議 会 viii を 活 用 したネットワークによる 支 援 を 進 めている このように 日 本 では 公 民 のネットワークの 強 化 や 司 法 との 連 携 による 介 入 を 希 望 しない 保 護 者 に 対 する 援 助 の 強 化 市 町 村 児 童 相 談 所 児 童 福 祉 施 設 などの 専 門 機 関 施 設 の 体 制 強 化 ix が 強 く 求 められてはいるが 子 ども 虐 待 の 問 題 を 国 都 道 府 県 市 町 村 が 連 携 して 子 どもの 最 善 の 利 益 のための 取 り 組 みを 行 なっている 韓 国 では 2000 年 児 童 福 祉 法 改 正 から 全 国 に 2 箇 所 (ソウル 市 1 箇 所 釜 山 市 1 箇 所 ) 市 の 直 営 による 児 童 保 専 門 機 関 が 設 置 されるが 特 別 権 限 もなく 他 の 機 関 とも 差 別 化 もされていない それ 以 外 は 民 間 団 体 に 国 が 委 託 する 児 童 保 護 専 門 機 関 として 総 合 的 被 虐 待 児 支 援 問 題 を 担 当 するようになった しかし 児 童 虐 待 の 問 題 の 複 雑 さや 被 虐 待 児 童 保 護 のためには 国 家 や 自 治 体 で 担 うべきことは 多 い イジョ ンヒ x は 保 健 福 祉 家 族 部 では 政 府 組 織 の 拡 張 が 困 難 な 状 況 で 保 護 を 必 要 とする 児 童 全 体 に 対 する 支 援 体 系 を 現 行 政 組 織 の 枠 なかで 最 大 補 強 させる 方 案 模 索 が 必 要 であり 民 間 委 託 で 運 営 されている NCPA を 政 府 組 織 と 吸 収 し 専 門 的 で 統 合 的 な 児 童 福 祉 政 策 の 樹 立 と 全 国 児 童 福 祉 機 関 を 管 理 支 援 する 必 要 があると 児 童 虐 待 問 題 において 中 心 となる 公 的 機 関 の 必 要 性 と 児 童 福 祉 施 設 とのネットワーク 作 りの 重 要 性 を 強 調 している 4 これらの 課 題 から ⅰ) NCPA を 公 的 機 関 として 再 構 成 し 法 的 権 限 の 強 化 を 図 ること 児 童 保 護 専 門 機 関 の 増 設 が 必 要 とされる また 主 な 虐 待 発 生 場 所 である 家 庭 内 であるにもかかわら ず 地 域 支 援 資 源 がないまま 家 庭 での 保 護 措 置 が 最 も 多 いことは 子 どもの 権 利 擁 護 の 視 点 か らは 問 題 がある 在 宅 被 虐 待 児 童 の 支 援 のため ⅱ) 公 的 かつ 専 門 的 機 能 をもつ 機 関 を 中 心 と したネットワーク 作 りと 共 に 地 域 のなかでケースマネジメントのような 手 法 を 用 いた 家 族 支 援 が 可 能 なサービス 提 供 が 必 要 である 子 どもの 権 利 擁 護 の 視 点 から 今 後 の 被 虐 待 児 童 の 支 援 及 び 虐 待 予 防 において 大 きくこの 2 つの 事 柄 において 必 要 であり これは 韓 国 における 被 虐 待 児 童 に 対 する 支 援 の 大 きな 課 題 として 挙 げられる 以 降 ではネットワークに 向 けた 課 題 や 現 存 する 社 会 資 源 の 再 検 討 フィールド 調 査 の 結 果 をもとに 子 どもの 権 利 擁 護 の 視 点 に 基 づいた 今 後 地 域 支 援 に 必 要 な 取 り 組 みを 提 示 する 2. 韓 国 における 地 域 ネットワークに 対 する 考 え 方 2-1 本 研 究 におけるネットワーク 概 念 社 会 が 多 様 化 複 雑 になるによって 解 決 すべき 問 題 もより 複 雑 化 している 個 々 人 が 抱 えている 問 題 解 決 生 活 援 助 のために 地 域 には 行 政 機 関 福 祉 施 設 公 民 の 専 門 機 関 など 様 々な 機 関 や 施 設 制 度 が 用 意 されている 特 に 社 会 福 祉 分 野 において 複 雑 化 した 問 題 の 解 決 や 福 祉 増 進 のために 社 会 福 祉 サービス 供 給 主 体 間 の 情 報 提 供 サービス 共 有 サービス 連 携 など 社 会 福 祉 組 織 及 び 関 連 組 織 間 の 持 続 的 で 友 好 的 関 係 が 求 められている

朴 : 韓 国 における 被 虐 待 の 現 状 と 地 域 支 援 システム 141 ネットワーク(network)とは これらの 共 有 された 目 的 を 達 成 するために 個 人 や 組 織 間 で 相 互 作 用 と 資 源 を 交 換 する 社 会 的 体 系 xi である 福 祉 的 視 点 からのネットワークを 社 会 的 ネットワーク と 称 し 人 集 団 組 織 または 緒 社 会 的 単 位 が 目 的 のために 交 換 相 互 行 動 する 社 会 的 関 係 xii と 定 義 できる また 金 ジュンギ xiii は 現 代 社 会 は ネットワーク 社 会 (network society)と 呼 ばれるほどネットワークに 関 する 関 心 が 大 きく 増 加 し ネットワーク 概 念 は 重 要 な 社 会 的 issue となっていると 説 明 し ネットワークの 必 要 性 を1 地 域 社 会 の 多 様 な 資 源 を 組 織 参 与 させることが 可 能 2 地 域 社 会 組 織 化 の 有 効 な 実 践 戦 略 となる 3 地 域 社 会 の 結 束 力 強 化 となる の 3 つの 視 点 から 強 調 している また キムイ ンスック xiv は 社 会 福 祉 サービス 提 供 の 単 独 性 と 非 連 続 性 からクライアントが 必 要 とする 多 様 で 包 括 的 サービスを 提 供 するためには 関 連 サービス 体 系 の 協 力 が 必 要 だ と 提 言 している このことは 今 後 福 祉 分 野 においてクライアントを 地 域 社 会 で 保 護 社 会 福 祉 サービスを 提 供 する には 関 連 機 関 との 連 携 によるネットワーク 形 成 が 必 要 であるといえるだろう しかし 地 域 社 会 で の 保 護 支 援 といってもそこに 含 まれている 意 味 は 幅 広 い 次 に この 研 究 で 示 す 韓 国 における 地 域 支 援 ネットワークの 定 義 を 整 理 しておこう 2-2 韓 国 における 地 域 支 援 ネットワーク 地 域 社 会 では 行 政 機 関 福 祉 施 設 公 民 専 門 機 関 住 民 など 地 域 形 成 の 主 体 が 協 力 しながら 地 域 で 援 助 が 必 要 なクライアントに 対 する 援 助 のために 行 う 連 携 活 動 がネットワークの 重 要 な 目 的 で あるだろう ここには 地 域 で 自 立 的 生 活 を 求 めるクライアントを 包 括 的 に 援 助 する 以 外 にも 社 会 福 祉 的 援 助 が 地 域 社 会 で 公 正 的 作 用 をする 意 味 し 生 活 するものの 権 利 を 守 る 科 学 的 実 践 として 社 会 福 祉 を 具 体 化 する 方 法 のひとつとしての 側 面 がある つまり ネットワークとは クライアントに 対 する 援 助 的 役 割 と 福 祉 的 コミュニティ 形 成 の 役 割 を 持 っている xv このように 本 研 究 で 定 義 される 韓 国 における 児 童 虐 待 事 後 支 援 ネットワークとは 地 域 社 会 で 保 護 支 援 が 必 要 な 要 保 護 児 童 ( 被 虐 待 児 童 )が 家 庭 復 帰 後 地 域 で 家 族 との 生 活 ができるような 総 合 的 支 援 を 意 味 し その 支 援 は 地 域 での 緒 関 連 機 関 との 連 携 によるものであろう 各 自 治 体 に 設 置 されている 公 的 機 関 民 間 委 託 機 関 民 間 福 祉 施 設 間 の 連 携 により 各 分 野 の 専 門 家 社 会 福 祉 関 係 者 家 族 友 人 が 参 加 できるような 支 援 システムを 指 す つまり 利 用 者 の 接 近 が 容 易 な 地 域 密 着 型 福 祉 施 設 を 中 心 とする 事 後 管 理 支 援 予 防 システムの 構 築 は 最 も 重 要 な 要 素 になると 言 える 各 機 関 の 連 携 による 被 虐 待 児 の 援 助 を 含 め 家 族 全 体 への 援 助 的 役 割 と 福 祉 的 コミュニティ 形 成 により 子 どもの 権 利 を 実 現 することを 本 研 究 での 地 域 ネッ トワークの 目 的 と 意 味 として 定 義 する 2-3 韓 国 における 地 域 ネットワークの 問 題 点 これまで 述 べてきたように 児 童 虐 待 に 関 連 した 相 談 保 護 治 療 と 予 防 事 業 は その 複 雑 性 から

142 東 洋 大 学 人 間 科 学 総 合 研 究 所 紀 要 第 10 号 多 様 で 包 括 的 な 支 援 が 要 求 される つまり ある 特 定 の 機 関 だけでは 問 題 解 決 が 成 立 しないといっ ても 過 言 でない 医 療 社 会 福 祉 法 律 教 育 心 理 など 諸 専 門 領 域 からの 接 近 が 重 要 な 要 素 である と 考 える しかし 児 童 虐 待 現 況 報 告 書 では 児 童 保 護 専 門 機 関 の 介 入 の 方 法 の 中 で 他 の 機 関 との 連 携 依 頼 は 最 終 的 措 置 において 全 体 の 1.7%ととても 低 い 結 果 だった また キムワンジン xvi は 児 童 保 護 専 門 機 関 と 地 域 社 会 での 多 様 な 公 民 間 組 織 間 の 積 極 的 で 組 織 的 な 協 力 連 携 が 必 要 であ るにもかかわらず 教 育 機 関 と 司 法 機 関 の 連 携 が 成 立 されていないと 評 価 している また パクミョンスック xvii は 児 童 虐 待 に 関 連 する 機 関 のうち 公 式 的 なネットワークは 多 くが 医 療 機 関 に 限 られている 特 に 教 育 機 関 は 他 の 機 関 に 比 較 し とても 排 他 的 で 支 援 に 繋 がる 連 携 作 業 と 関 連 する 支 援 できる 法 的 行 政 的 体 系 の 不 足 効 率 的 サービス 提 供 のために 要 求 される 組 織 力 専 門 家 などの 絶 対 的 不 足 と 財 政 的 な 支 援 の 不 足 と 地 域 ネットワークが 抱 えている 問 題 点 を 指 摘 して いる 特 に 法 律 において 虐 待 通 告 義 務 者 である 教 育 機 関 関 係 者 との 連 携 の 不 足 は その 法 的 行 政 的 支 援 体 制 に 大 きな 見 直 しが 必 要 であることを 示 す また イジョンヒが 2003 年 児 童 保 護 専 門 機 関 を 中 心 xviii に 行 なった 児 童 虐 待 段 階 別 ネットワークの 分 析 結 果 では 問 題 点 として 1 発 見 段 階 では 児 童 虐 待 通 告 義 務 者 の 認 識 の 不 足 2 対 応 段 階 では 政 策 的 な 支 援 関 連 機 関 との 協 力 に 関 する 指 針 書 が 体 系 化 されていなため 機 関 の 力 量 の 範 囲 内 でのみ 必 要 なネットワークを 形 成 していること 3 措 置 ( 家 庭 復 帰 ) 後 の 段 階 では 地 域 社 会 の 支 援 をネットワークできる 求 心 的 存 在 がいないこと などを 挙 げている 虐 待 者 である 親 は 多 くが 無 職 または 単 純 労 働 者 であり 加 えて 貧 困 状 態 であることは 児 童 虐 待 現 況 報 告 書 の 分 析 でも 言 及 した 家 庭 復 帰 後 被 虐 待 児 童 も 貧 困 状 態 になるのは 当 然 な 結 果 である ここで 被 虐 待 児 童 に 対 する 支 援 において 多 くの 被 虐 待 児 の 生 活 基 盤 であろう 貧 困 地 域 を 中 心 とする ネットワークが 必 要 で 特 に 彼 らの 生 活 支 援 からアプローチ 可 能 な 地 域 密 着 型 福 祉 施 設 が 今 後 必 要 であると 考 えた 韓 国 における 地 域 ネットワークの 求 心 となり 公 的 機 関 との 連 携 で 被 虐 待 児 童 や その 家 族 の 生 活 全 般 において 支 援 可 能 な 福 祉 施 設 を 探 るため 現 在 韓 国 の 児 童 福 祉 施 設 で 教 育 が 目 的 ではなく 貧 困 地 域 を 中 心 とした 子 どもの 支 援 目 的 で 多 様 な 支 援 活 動 している 施 設 を 調 べた 2-4 地 域 で 子 ども 支 援 可 能 な 福 祉 施 設 1 社 会 福 祉 館 法 的 基 準 社 会 福 祉 法 第 2 条 社 会 福 祉 事 業 法 施 行 規 則 ( 保 健 福 祉 部 令 ) 第 21 条 ( 社 会 福 祉 館 の 設 置 基 準 ) 及 び 第 22 条 ( 社 会 福 祉 館 運 営 基 準 ) 住 宅 法 第 2 条 第 7 号 住 宅 建 設 基 準 などに 関 する 規 定 第 5 条 第 6 号 に 準 拠 社 会 福 祉 館 の 定 義 地 域 社 会 内 で 一 定 の 施 設 と 専 門 的 人 材 を 備 え 地 域 社 会 の 人 的 物 的 支 援 を 集 め 地 域 社 会 問 題 を

朴 : 韓 国 における 被 虐 待 の 現 状 と 地 域 支 援 システム 143 解 決 し 住 民 の 福 祉 欲 求 を 満 たすための 社 会 福 祉 事 業 を 遂 行 する 社 会 福 祉 施 設 社 会 福 祉 館 の 目 標 社 会 福 祉 サービスを 必 要 とするすべての 地 域 社 会 の 住 民 を 対 象 に 保 護 サービスを 提 供 自 立 能 力 を 高 めるための 教 育 訓 練 のチャンスの 提 供 など 彼 らが 必 要 とする 福 祉 サービスを 提 供 し 家 庭 機 能 の 強 化 及 び 住 民 相 互 間 の 連 帯 意 識 を 育 むことを 通 じて 様 々な 地 域 社 会 問 題 を 予 防 治 療 する 役 割 を 有 する 総 合 福 祉 センターの 役 割 を 遂 行 が 求 められている 社 会 福 祉 館 運 営 の 基 本 原 則 社 会 福 祉 館 事 業 は 人 道 的 かつ 利 用 者 の 尊 厳 維 持 を 前 提 とし 地 域 性 の 原 則 専 門 性 の 原 則 責 任 制 の 原 則 自 律 性 の 原 則 総 合 性 の 原 則 資 源 活 用 性 の 原 則 中 立 性 の 原 則 透 明 性 の 原 則 から 成 る 社 会 福 祉 館 の 事 業 内 容 * 家 族 福 祉 事 業 : 家 族 構 成 員 個 人 及 び 家 族 全 体 を 対 象 とした 相 談 治 療 保 育 などの 必 要 な 福 祉 サー ビスは 事 例 管 理 を 通 じて 総 合 的 に 提 供 することで 家 族 問 題 の 解 決 予 防 及 び 家 族 解 体 を 防 止 し 家 族 機 能 を 正 常 化 することで 家 族 の 幸 せを 維 持 できるようにする * 地 域 社 会 保 護 事 業 : 社 会 的 保 護 が 必 要 な 要 保 護 対 象 者 及 び 国 家 特 別 事 業 を 中 心 に 行 う * 地 域 社 会 組 織 事 業 : 地 域 住 民 の 参 加 意 識 を 高 め 地 域 住 民 のニーズ 調 査 をもとに 各 種 福 祉 支 援 を 開 発 組 織 化 して 計 画 的 に 地 域 社 会 問 題 を 予 防 治 療 し みんなが 一 緒 に 生 活 できる 地 域 社 会 としての 発 展 を 試 みる 教 育 文 化 事 業 子 どもと 青 少 年 たちにとって 有 害 な 環 境 に 対 する 予 防 的 代 替 的 機 能 の 開 発 成 人 と 老 人 の 再 社 会 化 を 目 的 として 無 料 有 料 で 各 種 教 育 文 化 プログラムを 社 会 福 祉 サービスと 統 合 して 提 供 し 地 域 住 民 生 活 の 質 的 向 上 を 試 みる 現 在 の 状 況 2008 年 現 在 全 国 409 箇 所 法 人 類 型 別 社 会 福 祉 館 : 社 会 福 祉 法 人 299 箇 所 財 団 法 人 48 箇 所 社 団 法 人 12 箇 所 学 校 法 人 26 箇 所 自 治 体 直 営 23 箇 所 医 療 法 人 1 箇 所 このように 社 会 福 祉 館 は 地 域 社 会 福 祉 全 体 を 活 性 化 するために 活 動 する 福 祉 施 設 だと 言 える 全 国 409 箇 所 の 社 会 福 祉 館 では 共 通 の 法 的 根 拠 のもとに 設 立 されるが 施 設 が 位 置 している 地 域 性 運 営 主 体 の 理 念 などによりその 内 容 は 多 少 違 う 子 ども 老 人 障 害 者 などすべての 地 域 住 民 を 対 象 と する 場 合 や ある 対 象 を 専 門 とする 専 門 社 会 福 祉 館 がある 支 援 内 容 も 趣 味 活 動 から 生 活 支 援 まで 幅 広 い 子 ども 専 用 社 会 福 祉 館 はほとんどなく 社 会 福 祉 館 を 通 じて 被 虐 待 児 童 の 支 援 を 行 うには 社 会 福 祉 館 の 利 用 者 活 動 内 容 が 広 範 囲 であると 考 えられる

144 東 洋 大 学 人 間 科 学 総 合 研 究 所 紀 要 第 10 号 2 地 域 児 童 センター 法 的 基 準 児 童 福 祉 法 第 16 条 第 11 項 に 基 づき 地 域 社 会 児 童 の 保 護 教 育 健 全 な 遊 びと 楽 しみの 提 供 保 護 者 と 地 域 社 会 の 連 携 など 子 ども 健 全 育 成 のために 総 合 的 児 童 福 祉 を 提 供 する 施 設 と 明 記 され ている 国 家 又 は 地 方 自 治 体 団 体 以 外 による 設 置 の 場 合 管 轄 市 長 群 長 区 長 に 申 告 する ( 児 童 福 祉 法 第 14 条 2 項 ) 設 置 背 景 過 去 20 年 間 貧 困 地 域 のなかで ゴンブバン= 勉 強 部 屋 という 名 前 で 民 間 非 営 利 団 体 により 貧 困 で 放 置 された 子 どもやその 家 族 を 中 心 とした 児 童 青 少 年 教 育 運 動 の 一 環 として 始 まった 貧 困 地 域 や 工 場 地 域 を 中 心 として 全 国 にひろがった 1997 年 の 韓 国 社 会 経 済 危 機 以 降 全 国 的 に 失 業 者 が 急 増 貧 困 層 が 拡 大 する この 対 策 として 低 所 得 層 放 課 後 児 童 生 活 教 師 という 名 前 で 専 門 性 と 独 自 性 をもって 活 動 し 始 めた 2001 年 9 月 から 児 童 福 祉 を 担 当 している 民 間 団 体 を 中 心 に 法 制 化 運 動 が 始 まり 2003 年 12 月 19 日 児 童 福 祉 法 の 福 祉 施 設 の 児 童 地 域 センター となる 地 域 児 童 センターの 役 割 * 地 域 で 保 護 を 必 要 とする 児 童 青 少 年 に 地 域 社 会 で 社 会 福 祉 統 合 サービスを 提 供 し 健 康 で 安 全 な 保 護 を 行 なう * 児 童 の 家 庭 の 貧 困 を 含 め 様 々な 理 由 で 適 切 な 保 護 を 受 けるに 困 難 な 状 況 に 置 かれている 時 児 童 の 権 利 を 守 るため 諸 権 利 ( 生 存 権 福 祉 権 文 化 権 発 達 権 学 習 権 )が 保 障 されるように 支 援 する * 児 童 青 少 年 のために 開 いた 文 化 空 間 で 多 様 なプログラムを 提 供 し 健 康 な 成 長 を 助 け 教 育 を 通 じて 健 全 な 人 格 形 成 食 事 を 通 じた 栄 養 普 及 で 健 やかな 成 長 を 手 助 けする 利 用 対 象 地 域 社 会 内 で 保 護 が 必 要 な 満 18 歳 未 満 のすべての 子 ども 家 庭 内 で 親 による 保 護 と 養 育 が 困 難 な 子 ども 失 職 貧 困 など 家 庭 の 経 済 的 理 由 で 教 育 支 援 が 必 要 な 児 童 家 族 解 体 や 機 能 喪 失 により 支 援 が 必 要 な 児 童 である 1つのセンターに 約 25 名 の 児 童 が 利 用 可 能 運 営 プログラム: * 保 護 プログラムとして 地 域 社 会 で 放 置 放 任 児 童 の 保 護 給 食 費 医 療 費 など 支 援 を 行 う * 教 育 プログラムとして 生 活 教 育 児 童 人 権 教 育 社 会 適 応 強 化 教 育 学 習 指 導 などを 行 う * 文 化 プログラムとして 文 化 体 験 特 技 適 性 活 動 ( 演 劇 美 術 音 楽 など) キャンプなどを 行 う * 福 祉 プログラムとして 児 童 相 談 親 教 育 及 び 家 族 相 談 などを 行 う * 地 域 社 会 連 携 として 地 域 社 会 福 祉 資 源 ネットワークなどがある 施 設 現 況 2004 年 の 法 制 化 当 時 895 箇 所 だった 地 域 児 童 センターは 2008 年 に 2,810 箇 所 と 急 激 に 増 加 して いる 利 用 する 児 童 の 約 80% が 小 学 生 で 中 学 生 以 上 の 青 少 年 の 利 用 率 も 増 加 している 利 用 者 の

朴 : 韓 国 における 被 虐 待 の 現 状 と 地 域 支 援 システム 145 多 くが 生 活 保 護 を 受 けているか 低 所 得 層 であるため 経 済 的 理 由 で 家 庭 や 地 域 社 会 から 放 任 され ることが 多 い 家 庭 状 況 として ひとり 親 家 庭 離 婚 家 庭 共 働 きによる 養 育 困 難 など 様 々な 形 態 である 施 設 運 営 サービス 利 用 料 は 無 料 を 原 則 とし 国 の 補 助 金 以 外 の 運 営 費 は 運 営 主 体 となる 法 人 などからの 支 給 または 寄 付 やボランティアを 利 用 している 地 域 児 童 センターは 貧 困 地 域 に 密 着 して 子 どもを 中 心 とした 全 般 的 な 生 活 の 支 援 する 子 ども 専 用 施 設 であることがわかる 子 どもやその 家 族 が 抱 えている 問 題 に 接 近 し 支 援 することが 容 易 な 地 域 密 着 型 施 設 だと 言 える つまり 子 どもに 限 らず 親 への 支 援 の 目 線 からも 今 後 被 虐 待 児 童 の 支 援 に 適 合 している 児 童 福 祉 施 設 と 考 える 3.フィールド 調 査 とその 結 果 3-1 フィールド 調 査 ここでは 現 在 韓 国 で 被 虐 待 児 童 を 支 援 していると 考 えられる 児 童 福 祉 施 設 に 関 するフィールド 調 査 の 結 果 について 述 べる 実 際 現 場 で 活 動 支 援 している 内 容 について 施 設 長 や 職 員 を 対 象 とし たヒアリングにより 被 虐 待 児 童 の 支 援 や 現 場 で 要 求 される 機 能 地 域 との 連 携 状 況 などを 把 握 する ことを 試 みた その 調 査 で 得 られた 結 果 で 韓 国 における 被 虐 待 児 童 の 地 域 支 援 システムに 関 して 考 察 を 行 う 1 調 査 方 法 子 ども 支 援 を 行 っている 社 会 福 祉 館 1 箇 所 地 域 児 童 センター 1 箇 所 の 訪 問 調 査 を 行 った 調 査 対 象 とする 施 設 は 貧 困 地 域 に 位 置 し 子 どもの 生 活 支 援 を 実 施 している 本 人 を 含 む 複 数 の 協 力 者 が 施 設 長 職 員 との 自 由 な 話 し 合 いを 行 い 利 用 者 の 様 子 を 観 察 筆 者 がまとめ 分 析 をする ヒアリング 調 査 であるが 質 問 項 目 を 決 めて 順 番 通 りに 聞 く 形 式 ではなく 自 由 な 会 話 のなか 質 問 項 目 を 自 然 に 聞 くことにより 詳 細 な 内 容 を 把 握 した 分 析 の 際 に 不 足 している 内 容 は 電 話 に よる 追 加 調 査 も 行 った 2 調 査 時 期 :2008 年 8 月 6 日 ~ 8 月 7 日 電 話 による 追 加 調 査 :2008 年 9 月 24 日 3 調 査 施 設 :ソウル 市 内 の 貧 困 層 が 多 く 集 まっている 地 域 に 位 置 している A 社 会 福 祉 館 B 地 域 児 童 センター それぞれ 1 箇 所 ずつ 4 調 査 結 果 分 析 方 法 : 今 回 の 調 査 は 長 時 間 の 訪 問 だったため ヒアリングしたすべてを 記 入 する ことは 字 数 の 制 限 により 不 可 能 なため この 論 文 と 関 係 する 内 容 だけを 整 理 分 析 した

146 東 洋 大 学 人 間 科 学 総 合 研 究 所 紀 要 第 10 号 A 社 会 福 祉 館 運 営 主 体 が 医 大 で 有 名 な 学 校 を 運 営 している 学 校 法 人 であるため 社 会 福 祉 館 内 に 病 院 の 機 能 を 備 えているのがこの 施 設 の 特 徴 であった ここは 1981 年 から 学 校 法 人 が 地 域 住 民 のケアのために 自 主 的 に 運 営 してきたが 1999 年 から 区 に 委 託 され 公 的 補 助 金 (48.2%)と 法 人 からの 支 援 (10%) 寄 付 や 後 援 金 集 (18.3%)により 運 営 されている 設 立 目 的 は 子 どもに 限 らず 貧 困 による 近 隣 地 域 住 民 たちの 多 様 なニーズにより 専 門 的 技 術 とサービスを 提 供 することにあった 現 在 も 子 どもを 対 象 にする 支 援 プログラムが 多 いが 病 院 機 能 があり ここで 治 療 を 受 けられるので 高 齢 者 たちの 利 用 が 多 い 社 会 福 祉 館 内 に ソウル 市 教 育 庁 から 委 託 で フリースクール も 運 営 している また 低 学 年 を 対 象 とする 放 課 後 児 童 教 室 の 運 営 や 子 どもパソコン 教 室 絵 画 教 室 料 理 などの 教 育 プログラムを 実 施 している 主 な 子 ども 支 援 として うちの 子 希 望 ネットワーク という 事 業 を 通 じて 貧 困 家 庭 の 家 族 子 ども 地 域 社 会 のネットワークを 試 みている しかし そのネットワークは この 社 会 福 祉 館 と 企 業 の 支 援 により 貧 困 などで 支 援 が 必 要 な 子 どもや 保 護 者 に 対 する 生 活 学 習 進 路 などの 相 談 やキャ ンプなどの 支 援 に 限 られ 公 的 機 関 や 他 の 社 会 福 祉 機 関 との 連 携 はほとんど 行 ってない また これらの 支 援 プログラムで 集 まった 親 たちが 自 ら 当 事 者 団 体 を 結 成 その 活 動 を 社 会 福 祉 館 で 支 援 している 親 たちは 類 似 した 状 況 (ここでは 貧 困 とひとり 親 家 庭 が 最 も 多 かった)にあ るため お 互 い 理 解 し できることを 交 換 し 人 生 に 勇 気 をもてる 効 果 を 得 ている ことが 分 かる このような 親 の 変 化 は 子 どもにも 自 然 に 良 い 影 響 を 与 え 親 子 が 明 るくなったという 結 果 を 得 てい る 地 域 ネットワーク 形 成 やその 後 の 活 動 による 子 ども 支 援 も 試 みているが この 社 会 福 祉 館 の 設 立 目 標 が 児 童 のみではなく 住 民 全 体 であるため 保 護 が 必 要 な 子 ども 支 援 に 限 らず 幅 広 い 対 象 を 目 標 としている 支 援 においても 必 要 に 応 じ 企 業 と 連 携 による 後 援 活 動 ( 企 業 は 財 政 的 な 後 援 も 人 的 ボランティア 活 動 を 後 援 ) 地 域 住 民 団 体 による 後 援 金 集 めや 地 域 で 営 業 しているお 店 の 援 助 で その 店 のクーポンを 発 行 低 所 得 層 が 使 用 できるような 支 援 を 含 め 地 域 のなかで 福 祉 的 な 側 面 から 支 援 が 必 要 な 住 民 全 体 を 対 象 に 多 方 面 での 支 援 を 行 っている A 社 会 福 祉 館 の 調 査 に 基 づく 考 察 この 社 会 福 祉 館 では 地 域 住 民 全 体 を 対 象 とする 支 援 を 活 発 に 行 っている この 地 域 は 戦 後 ソウル が 都 市 化 する 際 地 方 の 貧 困 者 が 集 まり 無 認 可 住 宅 が 形 成 された 現 在 も 貧 困 層 が 集 まっているた め 利 用 者 のニーズも 様 々である 1 子 ども 支 援 は 教 育 に 集 中 しており 子 どものニーズに 合 わせるよりは ボランティアやソーシャ ルワーカーによる 教 育 の 場 やプログラム 提 供 が 中 心 であるため 被 虐 待 児 童 の 支 援 など 個 別 的 ケアは 困 難 であろう 2 運 営 主 体 の 学 校 法 人 がキリスト 教 の 理 念 に 基 づいている 宗 教 的 理 念 を 利 用 者 に 強 要 することはないが 国 内 外 の 教 会 と 連 携 した 支 援 も 活 発 であることや 運 営 費 の 多 くを 運 営 法 人 か

朴 : 韓 国 における 被 虐 待 の 現 状 と 地 域 支 援 システム 147 らの 支 援 されているため 何 らかの 形 で 法 人 が 持 っている 理 念 が 支 援 に 影 響 を 与 えることは 否 定 で きないだろう 3 地 域 ネットワーク 事 業 として 地 域 での 公 的 機 関 や 教 育 機 関 などによる 総 合 的 連 携 というよりは 必 要 な 事 業 に 対 する 必 要 な 支 援 を 企 業 やボランティア( 例 えば 大 学 生 による 学 習 指 導 など) 住 民 後 援 金 集 めなどから 得 ている 支 援 に 必 要 なネットワークが 公 的 機 関 民 間 委 託 施 設 地 域 住 民 の 連 携 による 相 互 的 総 合 的 ではなく 断 片 的 連 携 によるネットワークである この 結 果 本 研 究 で 考 える 被 虐 待 児 童 の 地 域 支 援 のためネットワーク 形 成 は されておらず 特 別 な 支 援 もなかった この 社 会 福 祉 館 だけに 限 らず 社 会 福 祉 館 はその 目 的 から 多 機 能 的 で 規 模 が 大 きい 所 が 多 いため その 活 動 も 様 々である 地 域 のなかで 子 ども 支 援 はあるが 生 活 に 密 着 して 被 虐 待 児 や 家 族 を 支 援 するための 役 割 としては 機 能 が 一 致 しない 部 分 があると 考 えた B 地 域 児 童 センター このセンターは 地 域 密 着 型 で 住 宅 街 のなかで 2 階 建 ての 家 を 改 造 し 地 域 児 童 支 援 センターとし て 利 用 している 地 域 支 援 センターとなる 前 は ゴンブバン= 勉 強 部 屋 として 貧 困 地 域 で 放 任 され た 子 ども 親 の 都 合 により 保 護 が 必 要 な 子 どもの 支 援 を 続 けてきたため 地 域 家 庭 補 助 機 能 として 密 着 し 一 般 家 庭 のような 雰 囲 気 だった 就 学 前 児 童 は 午 前 から 利 用 小 学 生 以 上 は 放 課 後 教 室 として 利 用 している 家 庭 に 近 い 環 境 を 提 供 するため 食 事 はもちろんおやつまで 生 活 援 助 者 の 手 作 りにしている 大 体 の 子 どもが 低 所 得 層 で あるため 学 習 的 な 能 力 意 欲 も 落 ちていることが 多 く 近 隣 の 大 学 生 ボランティアによる 学 習 指 導 や 基 本 的 生 活 習 慣 ( 挨 拶 お 手 伝 い 食 事 マナーなど)の 指 導 が 毎 日 の 生 活 支 援 として 行 われてる 学 習 時 間 は 決 まってなく 必 要 な 子 どもが 自 由 に 受 けていた このセンターを 利 用 する 子 どものほとんどの 親 が 失 業 者 ひとり 親 日 雇 い 労 働 者 であるため 就 労 が 不 安 定 夜 遅 い 時 間 の 労 働 の 場 合 も 多 く 子 ども 自 身 はもちろん 親 も 生 活 でストレスを 感 じ ていることが 多 い センター 長 は 地 域 のなかの 一 般 住 宅 を 利 用 する 理 由 として 学 校 が 終 わり 他 のみんなと 違 って ぼく 私 だけが 家 に 帰 れないと 思 わないで 帰 りに 友 達 と 一 緒 に 遊 びにも 来 られ るようにするため であるとその 理 由 を 説 明 している つまり 生 活 にストレスや 問 題 を 抱 えている 子 どもになるべく 家 庭 と 近 い 環 境 を 提 供 することで 情 緒 的 安 定 を 図 っている 実 際 最 初 センター に 来 た 時 は 自 分 が 抱 えていることを 発 言 しなかったが 時 間 が 経 つと センター 長 やソーシャルワー カーに 対 して あなたなら 言 える 他 では 言 えない など 自 分 の 話 をするようになる その 悩 みに は 虐 待 学 校 進 路 家 族 のことが 含 まれている 特 に 小 学 校 高 学 年 の 思 春 期 に 入 る 子 ど もは 聞 いてくれる 人 がいるだけで 居 場 所 がいるだけで 安 心 します と 満 足 感 を 現 していた そ れ 以 外 にも 音 楽 絵 画 工 作 など 遊 びを 通 じた 支 援 を 教 育 という 視 点 よりは 子 どもの 楽 しみ として 提 供 している 運 営 費 は 公 的 支 援 が 十 分 ではなく 例 えば 食 事 支 援 では 一 食 一 人 当 たり 約 3000 ウォン(300 円 程 度 )しか 支 援 されていないため 運 営 主 体 である 法 人 の 支 援 寄 付 や 後 援 者 ( 金 ) 企 業 から 支

148 東 洋 大 学 人 間 科 学 総 合 研 究 所 紀 要 第 10 号 援 を 受 けている 特 に 今 回 訪 問 した 法 人 が 運 営 しているいくつかの 地 域 児 童 センターでは 企 業 との 連 携 により お 互 いがパートナーとして 活 動 している 運 営 主 体 の 法 人 が 同 じ 地 域 支 援 センターとキャ ンプ スポーツなどの 活 動 も 行 なう その 意 味 で 地 域 支 援 センター 間 のネットワークによる 支 援 をし ていた また 地 域 で 必 要 に 応 じソーシャルワーカーが 学 校 を 訪 問 するなど 子 どもに 必 要 な 場 合 は 積 極 的 に 関 わる 子 ども 支 援 においては 親 の 教 育 も 必 要 である しかし 親 の 拒 否 や 意 欲 の 低 下 仕 事 の 不 規 則 さ などが 理 由 で 子 どもへの 支 援 の 目 標 達 成 に 困 難 を 感 じている 親 に 教 育 を 義 務 化 し 強 要 するシス テムもなく 法 的 権 限 も 持 っていないため うまくいかない ことをセンター 長 は 課 題 として 語 る センターでは 支 援 の 質 を 向 上 させるため 地 域 児 童 情 報 センター xix が 出 している 地 域 児 童 セ ンター 評 価 指 標 を 利 用 して 自 施 設 の 自 己 評 価 も 試 みている B 地 域 児 童 センター の 調 査 に 基 づく 考 察 この 地 域 児 童 センターでは 地 域 に 密 着 し 子 どもを 中 心 にした 関 係 性 を 確 立 している 利 用 して いる 子 どもは 生 活 空 間 でリラックスして センター 関 係 者 を 信 頼 している 様 子 だった 1 社 会 福 祉 館 とは 異 なり 子 どもが 主 な 支 援 対 象 であるため 子 ども 中 心 の 支 援 が 容 易 な 環 境 でも あった 特 に 本 来 勉 強 部 屋 という 非 営 利 民 間 団 体 による 地 域 貧 困 事 業 として 始 まった 草 の 根 的 支 援 事 業 であったため 現 在 も 貧 困 地 域 における 子 ども 支 援 を 目 標 とする 社 会 福 祉 実 践 プロ グラムとして 全 国 地 域 児 童 センターが 追 求 する 理 念 や 目 標 は 一 貫 していると 思 える つまり 目 的 意 識 や 対 象 などが 明 確 であるとも 言 える 2 しかし 社 会 福 祉 館 と 同 様 経 費 が 100% 公 的 に 支 援 されないため 運 営 主 体 の 法 人 からの 支 援 が 多 い これは 運 営 理 念 や 方 針 が 運 営 主 体 となる 法 人 の 理 念 や 方 針 により 変 わると 言 っても 過 言 ではないだろう つまり 各 センターによりサービスに 差 が 生 じることを 意 味 している 3 企 業 との 連 携 他 の 地 域 児 童 センターとの 連 携 によるネットワークは 形 成 されているが 他 の 公 的 機 関 とのネットワークはなく 子 どものニーズに 合 わせ 学 校 に 訪 問 するなど 必 要 の 応 じ 地 域 と 関 係 性 は 持 っている つまり 3 公 的 機 関 民 間 機 関 地 域 とのネットワーク 支 援 は 形 成 さ れていない しかし 地 域 支 援 センターの 役 割 や 仕 組 みから 在 宅 被 虐 待 児 の 支 援 への 接 近 が 可 能 な 児 童 福 祉 施 設 であると 思 える 調 査 結 果 及 び 考 察 1 社 会 福 祉 館 に 比 べ 地 域 児 童 センターの 方 が 貧 困 地 域 の 問 題 を 抱 えている 家 庭 の 子 ども 支 援 を 目 的 とし 利 用 する 子 どもの 状 況 追 求 する 施 設 の 役 割 や 目 的 から 在 宅 被 虐 待 児 童 支 援 に 適 し ていることが 本 調 査 から 判 明 した 2 しかし 国 から 民 間 委 託 であるが 補 助 金 が 100% 支 援 されないため 公 的 権 限 が 弱 く 委 託 さ れた 法 人 の 運 営 理 念 により 福 祉 的 視 点 が 変 わることも 指 摘 できる つまり 法 的 根 拠 が 同 じ 施 設

朴 : 韓 国 における 被 虐 待 の 現 状 と 地 域 支 援 システム 149 でも 運 営 主 体 が 違 うことで 支 援 内 容 理 念 なども 異 なる そのことは 支 援 の 公 平 性 に 関 与 す るだろう 3 地 域 のなかで 必 要 に 応 じ 企 業 住 民 団 体 ボランティアなどと 断 片 的 連 携 を 結 んでいることは 明 らかになった しかし 公 的 ネットワークではないため 児 童 虐 待 問 題 を 担 当 するには 十 分 で はない また 法 的 権 限 がないと 親 介 入 に 限 界 があることは 本 調 査 でも 明 らかになった 民 間 委 託 では 運 営 主 体 により 現 場 のニーズに 合 わせたサービスの 提 供 は 可 能 だが 被 虐 待 児 支 援 に 必 要 な 多 様 で 複 雑 な 支 援 ニーズには 公 がもつ 法 的 根 拠 組 織 的 バックアップが 要 求 される つまり 公 的 ネットワークの 必 要 性 が 提 言 できる 3 2 結 果 以 上 貧 困 地 域 において 子 ども 支 援 を 行 う 児 童 福 祉 施 設 への 調 査 結 果 を 踏 まえ 被 虐 待 児 支 援 に 適 した 施 設 その 運 営 に 伴 う 民 間 委 託 が 抱 えている 問 題 公 的 ネットワークによる 地 域 連 携 のあり 方 法 的 根 拠 のあり 方 などに 関 する 考 察 の 結 果 以 下 のような 結 果 が 得 られた 1 児 童 虐 待 の 窓 口 となる 児 童 保 護 専 門 機 関 の 業 務 量 増 大 虐 待 増 加 家 庭 復 帰 後 の 支 援 困 難 さから 被 虐 待 児 童 の 支 援 を 諸 福 祉 機 関 と 連 携 より 支 援 できるかが 重 要 な 課 題 である 特 に 地 域 で 在 宅 被 虐 待 児 支 援 に 要 求 される 複 雑 で 多 様 なニーズに 合 わせた 支 援 に 必 要 なネットワーク 形 成 が 必 要 である 2 地 域 児 童 支 援 センターであると 考 える また 地 域 児 童 センターと 児 童 保 護 専 門 機 関 との 密 接 な 連 携 が 重 要 であり 在 宅 被 虐 待 児 童 の 支 援 のため 日 常 的 なに 連 携 による 支 援 が 必 要 な 子 ども の 個 人 的 ニーズに 合 わせた 役 割 分 担 が 求 められる 3 被 虐 待 児 童 に 対 する 支 援 でも 特 に 貧 困 家 庭 で 親 によるネグレクト( 放 任 )が 多 い 韓 国 の 現 状 では 広 い 意 味 で 生 活 全 般 的 支 援 が 要 求 される 地 域 児 童 支 援 センターでは 現 在 も 親 からの 放 任 が 原 因 で 利 用 する 子 どもが 多 いが まだ 児 童 虐 待 問 題 として 捉 える 認 識 度 も 低 く 十 分 な 支 援 もない これからは 地 域 児 童 センター 内 に 虐 待 に 対 する 専 門 的 教 育 や 相 談 が 可 能 な 専 門 家 配 置 を 行 い より 積 極 的 に 親 へのアプローチも 望 まれる 4 より 専 門 的 で 積 極 的 な 支 援 のために 児 童 保 護 専 門 機 関 と 地 域 児 童 支 援 センターがもつ 法 的 権 限 の 強 化 が 早 急 に 必 要 である 児 童 保 護 専 門 機 関 に 相 談 通 告 の 窓 口 として 最 終 措 置 までに 必 要 な 手 続 きに 法 的 権 限 強 化 地 域 児 童 支 援 センターに 家 庭 復 帰 により 地 域 で 生 活 する 子 ども や 親 の 事 後 支 援 に 法 的 権 限 をもつことが 重 要 である 5 法 的 権 限 をもつには 民 間 委 託 だけではなく 中 心 的 コーディネート 的 機 能 をもつ 施 設 の 公 営 化 が 望 まれる 例 えば 中 央 児 童 保 護 専 門 機 関 が 公 的 機 関 として 法 的 権 限 をもち 民 間 機 関 と 連 携 するとより 効 果 的 で 専 門 的 なネットワーク 形 成 が 可 能 であろう

150 東 洋 大 学 人 間 科 学 総 合 研 究 所 紀 要 第 10 号 終 わりに 現 在 韓 国 でネグレクト( 放 任 )の 危 機 群 は 約 96 万 名 基 礎 生 活 保 障 受 給 家 庭 の 子 どもが 約 16 万 名 低 所 得 家 庭 で 学 費 支 援 を 受 けている 子 どもが 約 40 万 名 と 推 測 されている xx この 数 値 は 今 後 地 域 のなかでネグレクト( 放 任 ) 放 置 される 子 どもは 確 実 に 増 えることを 意 味 している イギョンリム xxi は 子 どもを 取 り 囲 むこの 状 態 に 関 して 子 どもは 外 的 内 的 影 響 により 変 化 す る 可 能 性 を 多 く 含 んでおり 貧 困 ネグレクト 虐 待 の 児 童 の 場 合 よりその 変 数 が 大 きい と 貧 困 ネグレクト 虐 待 などが 子 どもに 与 える 影 響 力 の 大 きさを 強 調 している また 地 域 資 源 を 子 どもの ために マクロ メゾ ミクロな 視 点 から 介 入 連 携 可 能 な 担 当 人 力 と 養 成 教 育 が 至 急 必 要 だ とし 貧 困 児 童 と 地 域 社 会 をみる 統 合 的 視 覚 の 開 発 現 場 の 実 習 強 化 など 社 会 の 認 識 の 変 化 の 重 要 性 を 述 べている つまり 今 後 虐 待 による 子 ども 支 援 の 必 要 性 はいっそう 高 まり その 支 援 には より 専 門 的 知 識 を もった 支 援 が 可 能 な 法 体 制 のみならず 支 援 が 必 要 な 被 虐 待 児 童 を 含 む 家 族 彼 らが 抱 えている 貧 困 問 題 まで 理 解 が 要 求 される なお 筆 者 は 本 研 究 で 児 童 虐 待 が 貧 困 家 庭 に 集 中 しているため 貧 困 地 域 に 焦 点 を 合 わせたが 児 童 虐 待 は 貧 困 家 庭 だけに 限 定 されるものではないだろう 現 在 は 貧 困 家 庭 を 中 心 に 発 見 されてい るが 今 後 児 童 虐 待 発 見 のための 体 制 が 地 域 中 心 に より 体 系 的 に 整 理 されると 一 般 家 庭 からの 虐 待 も 表 に 出 てくると 考 えられる そのため すべての 子 どもを 対 象 とする 被 虐 待 児 童 支 援 プログラ ム 児 童 虐 待 予 防 のための 対 策 が 望 まれる その 意 味 でも 本 研 究 で 明 らかになった 公 と 民 の 関 係 性 を 理 解 し 今 後 の 支 援 に 取 り 入 れたネットワーク 形 成 という 手 法 は すべての 子 どもの 権 利 を 擁 護 する 視 点 から 重 要 なポイントとなるだろう 注 記 引 用 文 献 * 韓 国 資 料 の 日 本 語 表 記 に 関 しては 筆 者 の 翻 訳 による i ii iii iv v vi vii viii ix x xi 清 水 浩 昭 外 家 族 革 命 弘 文 堂 平 成 16 年 pp8 参 照 安 東 賢 Child Abuse 誰 の 責 任 なのか 全 南 児 童 虐 待 予 防 センターセミナ 集 2006 参 照 張 化 貞 韓 国 における 虐 待 の 現 状 と 保 護 体 制 子 ども 権 利 研 究 第 9 号 pp51-56 ここでいう 専 門 的 治 療 サービスとは 児 童 保 護 専 門 機 関 に 臨 床 心 理 士 による 専 門 的 相 談 が 可 能 な 設 備 がさ れている 16 箇 所 で 行 なわれている 治 療 サービスを 意 味 する イジョンヒ 児 童 虐 待 予 防 と 保 護 ネットワークに 関 する 研 究 ミョンジ 大 学 2004 pp8 12 参 照 保 健 福 祉 部 中 央 児 童 保 護 専 門 機 関 全 国 児 童 虐 待 現 況 報 告 書 2007 p43 参 照 児 童 虐 待 現 状 東 亜 日 報 2008 年 5 月 20 日 平 成 16 年 の 改 正 児 童 福 祉 法 により 法 定 化 された 協 議 会 であり 虐 待 を 受 けた 子 どもをはじめとする 要 保 護 児 童 早 期 発 見 が 保 護 図 を 示 す 柏 女 霊 峰 子 ども 家 庭 福 祉 サービス 供 給 体 制 中 央 法 規 2008 pp56 参 照 イジョンヒ 児 童 虐 待 予 防 と 保 護 ネットワークに 関 する 研 究 ミョンジ 大 学 2004 pp23-25 参 照 金 スッヒ ホンサンウック 在 宅 福 祉 ネットワーク 資 源 問 題 研 究 第 15 号 1996 pp142 参 照

朴 : 韓 国 における 被 虐 待 の 現 状 と 地 域 支 援 システム 151 xii xiii xiv xv xvi xvii xviii xix xx xxi ジャンゴンヒ 地 域 福 祉 ネットワークの 現 実 的 悩 み 地 域 福 祉 会 議 2008 年 10 月 金 ジュンギ 韓 国 社 会 福 祉 ネットワークの 構 成 と 効 果 性 ソウル 大 学 出 版 2006 pp8 ~ 35 参 照 金 インスック ブチョン 地 域 女 性 福 祉 関 連 組 織 のネットワーク 構 造 と 特 徴 韓 国 社 会 福 祉 学 会 誌 53 号 2003 参 照 金 スッヒ ホンサンウック 在 宅 福 祉 ネットワーク 資 源 問 題 研 究 第 15 号 1996 pp143 参 照 金 ワンジン 児 童 虐 待 予 防 センターサービス 強 力 体 系 にかんする 研 究 カトリック 大 学 校 2002 参 照 パクミョスック 児 童 虐 待 サービスと 関 連 機 関 間 の 連 携 に 関 して 韓 国 児 童 福 祉 学 13 参 照 イジョンヒ 児 童 虐 待 予 防 と 保 護 ネットワークに 関 する 研 究 ミョンジ 大 学 2004 pp13 参 照 www.icarainfo.info www.koreal1391.org イギョンリム 地 域 児 童 センターを 始 めるには http//blognaver/nupch 参 照 参 考 文 献 韓 国 韓 国 の 児 童 福 祉 法 ファンソンチョル 他 川 花 書 店 2004 保 健 福 祉 部 中 央 児 童 保 護 専 門 機 関 全 国 児 童 虐 待 現 況 報 告 書 2007 地 域 児 童 センター 資 料 集 保 健 福 祉 部 委 託 地 域 児 童 情 報 センター 2008 児 童 虐 待 予 防 と 保 護 ネットワークに 関 する 研 究 イジョンヒ ミョンジ 大 学 2004 家 族 福 祉 論 キムヨンオク 他 ナナム 出 版 2005 社 会 福 祉 館 協 議 会 www.kaswc.or.kr 地 域 児 童 支 援 センター 協 議 会 www.jckh.org 日 本 子 ども 家 庭 福 祉 サービス 供 給 体 制 柏 女 霊 峰 中 央 法 規 2008 家 族 革 命 清 水 浩 昭 他 弘 文 堂 平 成 16 年

152 The Bulletin of the Institute of Human Sciences, Toyo University, No. 10 The battered child s local support system in south Korea A field study in Seoul PARK Jiyoon * South Korea has little understanding of child abuse as a whole, recognizing personal family problem for child abuse. And they still consider from educational point of view and juvenile protection work agency in charge of abuse protection, care, prevention feel out of a functional boundary in a form of private consignment. The issue of child abuse is very comprehensive because prevention, protection and medical treatment should be carried out simultaneously. Additionally the services provided to treat problems that arise from child abuse are so diverse including medical, judicial, educational, administrative, social welfare and use of various private resources. A research study on public, private relationship for social welfare s support is an urgent subject for child abuse problem. Key words : child abuse, child support center, needy family, local support system, private consignment * A graduate student in the Graduate School of Sociology, and graduate member of the Institute of Human Sciences at Toyo University