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一 般 社 団 法 人 アスリートケア News Letter Vol.55 2016 年 6 月 発 行 * 年 2 回 発 行 になりました 事 務 局 : 大 阪 保 健 医 療 大 学 保 健 医 療 学 部 リハビリテーション 学 科 内 発 行 責 任 者 : 小 柳 磨 毅 530-0043 大 阪 市 北 区 天 満 1 丁 目 9 番 27 号 TEL:090-2386-5352( 研 究 会 専 用 ) FAX:06-6352-5995( 大 阪 保 健 医 療 大 学 ) 第 27 回 WBSC U-18 日 本 代 表 チーム 帯 同 報 告 医 療 法 人 彩 樹 守 口 敬 任 会 病 院 1) 濱 田 太 朗 社 会 医 療 法 人 純 幸 会 関 西 メディカルリハ 倶 楽 部 2) 伊 佐 地 弘 基 はじめに 第 27 回 WBSC U-18 ベースボールワールドカッ プが 昨 夏 甲 子 園 大 会 後 に 開 催 されました 初 の 母 国 開 催 ということで 日 本 の 高 校 野 球 ファンなど 多 くの 方 が 注 目 する 中 U18 侍 ジャパンの 専 属 理 学 療 法 士 ( 以 下 PT)として 帯 同 させていただきました 大 会 期 間 は 8 月 28 日 から 9 月 6 日 の 10 日 間 大 阪 兵 庫 の 球 場 ( 阪 神 甲 子 園 球 場 舞 洲 ベースボールス タジアム 南 港 中 央 野 球 場 豊 中 ローズ 球 場 )にて 試 合 が 行 われました( 図 1a b) また 大 会 前 の 8 月 22 日 より 6 日 間 合 宿 も 行 われました 大 会 スケジュールとしては 全 12 チームを 2 ブ ロックに 分 け まずは 6 チームにおける 総 当 たりの 1 次 ラウンドを 行 い 両 ブロックの 上 位 3 チームの 計 6 チームでスーパーラウンドを 戦 い 上 位 2 チー ムが 決 勝 戦 へと 進 む 形 式 でした 日 本 チームは 初 戦 のブラジル 戦 にコールド 勝 ちし 2 戦 目 の 宿 敵 ア メリカ 戦 でも 完 封 勝 ちを 収 め 勢 いそのままに 全 勝 で 決 勝 戦 まで 駒 を 進 めました 決 勝 まで 来 ることが 最 低 限 のノルマであり 世 界 の 頂 点 に 立 つことが 最 大 の 目 標 でした 対 戦 国 は 前 回 大 会 ( 台 湾 )での 決 勝 戦 と 同 じカードであるアメリカチームでした 結 果 1 対 2 で 惜 敗 を 喫 し 2 大 会 連 続 の 準 優 勝 で 幕 を 閉 じました 母 国 開 催 ということで 是 が 非 でも 初 優 勝 を 成 し 遂 げたい 成 し 遂 げねばならないとい う 一 心 で 前 回 大 会 と 同 じ 監 督 コーチ そして 現 状 でのベストな 選 手 を 招 集 して 臨 んだ 日 本 代 表 チー ムに PT として 帯 同 した 経 験 や その 業 務 内 容 など をご 報 告 させていただきます 合 宿 における 活 動 理 学 療 法 士 の 業 務 内 容 図 1a 大 会 ポスター 合 宿 は 専 属 PT2 名 アシスタント PT2 名 の 計 4 名 で 一 日 を 通 じてチームに 帯 同 しました 今 大 会 の 日 本 チームの 試 合 時 間 はほぼナイターであったた め 徐 々にナイトゲームに 慣 れるための 生 活 リズム を 作 るようスケジューリングされていました 我 々 スタッフは 選 手 の 空 き 時 間 にコンディショニング 練 習 前 にテーピング 等 の 処 置 や 個 別 でのウォーミン 図 1b U18 侍 ジャパン 選 手 団 グアップ 練 習 中 のアクシデントへの 対 応 トレー 1-

宿 舎 でのコンディショニング 練 習 後 のクーリングダウン 個 別 トレーニング 集 団 トレーニング 指 導 図 2 合 宿 における 理 学 療 法 士 の 役 割 ニング 指 導 練 習 後 のアイシングやケアなど( 図 2) 様 々な 業 務 を 担 いました また 熱 中 症 対 策 として は 明 治 製 菓 のバックアップのもと スポーツドリ ンクや 疲 労 回 復 目 的 のゼリーなど 非 常 に 豊 富 な 種 類 の 商 品 を 提 供 していただきました 甲 子 園 大 会 同 様 に 現 場 でドリンクを 作 成 し 選 手 個 々にスクイーズ ボトルを 配 布 し 感 染 予 防 に 努 めました( 図 3) 合 宿 中 に 意 識 したことなど 大 会 帯 同 する 事 が 決 まり 専 属 PT2 名 で 今 までの 経 験 を 基 にお 互 いが 取 り 組 んでみたい 事 を 共 有 しま した PT として 合 宿 及 び 大 会 中 のケアやアクシデ ントなどへの 対 応 に 加 え パフォーマンス 改 善 を 目 的 としたトレーニングや 動 作 指 導 への 関 わりも 積 極 的 に 取 り 組 んでいこうと 話 しておりました 実 際 に は 合 宿 開 始 から2 日 間 で 全 選 手 の 現 在 のコンディ ションや 日 々のケアやトレーニングに 関 するヒアリ ングと 選 手 に 応 じた 病 態 及 び 機 能 評 価 を 行 いました その 中 でも 数 名 の 選 手 は 肩 肘 関 節 の 炎 症 や 下 肢 障 害 腰 痛 など 様 々な 問 題 を 抱 えていました その ほとんどの 選 手 がケア 方 法 について 自 チームのトレ ーナーや 医 療 機 関 である 程 度 指 導 を 受 けていまし た 問 題 はそこから どうやってプレーへ 段 階 的 に 復 帰 していくかが 我 々に 求 められていました 選 手 によっては 復 帰 段 階 で 患 部 への 負 担 を 考 慮 し テー ピングによる 筋 のアシストや 関 節 の 制 動 を 行 いまし た また 機 能 評 価 や 動 作 確 認 を 行 い 患 部 及 び 隣 接 部 位 の 筋 力 トレーニングの 指 導 や 運 動 連 鎖 を 考 慮 し た 動 作 トレーニング インソールの 作 成 等 も 行 いま した 結 果 選 手 個 々で 発 揮 できたパフォーマンス の 差 はあったと 思 いますが 初 戦 に 全 選 手 が 戦 力 と なれる 準 備 が 出 来 たと 思 います 図 3 熱 中 症 対 策 短 期 間 の 帯 同 では 合 宿 期 間 中 より 選 手 とのコミュ ニケーションをはじめ 監 督 やコーチなどの 首 脳 陣 とも 関 係 性 を 高 めるよう 努 める 必 要 があります 急 造 チームであることから 積 極 的 な 声 かけを 行 うこ とで 選 手 個 々の 性 格 や 特 徴 など 迅 速 に 把 握 する 必 要 があり PT 間 での 情 報 共 有 も 非 常 に 重 要 でした 大 会 中 の 活 動 ルーチン 業 務 内 容 大 会 中 は PT2 名 での 帯 同 となりました 宿 舎 は 大 阪 でしたが 自 宅 へ 帰 ることはなく 選 手 と 同 じ フロアで 生 活 を 共 にしました 我 々PT の 部 屋 は コンディショニングルームかつ 物 品 の 管 理 部 屋 とな りました 一 日 のスケジュールは ナイトゲームに 向 けてほぼ 同 じリズムで 設 定 され( 表 1) 午 前 中 か ら 試 合 会 場 に 向 かうまで また 試 合 後 帰 宿 してから 就 寝 までの 時 間 帯 にコンディショニングやトレーニ ング 指 導 を 受 けようと 多 くの 選 手 が 来 室 しました ( 図 4) 2-

表 1 一 日 のスケジュール 数 名 の 選 手 においては コンディショニング 要 素 を 含 んだトレーニングが 必 要 であり 個 々の 機 能 を 評 価 した 上 でトレーニングプログラムを 実 施 しまし た( 図 6) 図 6 トレーニング 指 導 選 手 を 担 当 制 にするのでははく 2 名 の PT 双 方 の 視 点 で 状 態 を 把 握 し 合 い 意 見 交 換 することで 選 手 の 心 身 機 能 やコンディションの 情 報 共 有 を 行 いま した そのため 多 角 的 に 選 手 を 見 ていくことがで き 質 の 高 い 介 入 ができたのではないかと 感 じると 共 に 多 くを 学 ぶこともできました また 試 合 後 にはアイシングやクーリングダウンを 実 施 ( 図 7) 図 4 コンディショニングルームでの 介 入 し 投 手 に 関 しては 甲 子 園 大 会 同 様 個 別 でのクー リングダウンを 実 施 しました 試 合 会 場 に 向 かう 直 前 にはテーピングやマメ 処 置 を 要 望 する 選 手 に 対 し 処 置 を 施 し( 図 5) 試 合 直 前 には 個 別 でのウォーミングアップ 希 望 があれば 対 応 しました 図 7 クーリングダウン 選 手 の 体 調 管 理 も 我 々の 重 要 な 業 務 であり 毎 朝 食 前 に 体 重 自 覚 的 疲 労 度 睡 眠 時 間 について 測 定 および 聴 取 しました 母 国 開 催 であり 環 境 面 や 食 事 面 などの 不 安 要 素 はなかった 反 面 体 重 過 多 による 身 体 の キレ や 体 軸 の ブレ などパフォーマンスの 低 下 が 懸 念 さ れました 実 際 体 重 が 増 え 過 ぎて 身 体 が 重 い という 選 手 がおり 精 彩 を 欠 く 場 面 もありました 図 5 試 合 前 処 置 体 重 コントロールや 栄 養 面 の 指 導 など 我 々PT にと 3-

って 不 慣 れな 分 野 ではあるものの 帯 同 時 の 業 務 と しては 非 常 に 重 要 な 部 分 であるため 更 なる 知 識 の 向 上 が 必 要 であると 感 じました アクシデントへの 対 応 大 会 中 試 合 中 の 大 きなアクシデントが2 例 あり ました 一 つ 目 は デッドボールによる 膝 蓋 骨 の 亀 裂 骨 折 です デッドボール 直 後 は 痛 がりながらもラ ンナーとして 出 場 し 続 けましたが ベンチに 戻 った 際 には 選 手 自 身 から 走 れない と 訴 えがありまし た すぐに 評 価 した 結 果 骨 折 の 可 能 性 があると 判 断 し 監 督 に 報 告 してベンチに 下 がることになりま した 試 合 中 は 最 悪 の 事 態 を 考 慮 した 上 でアイシ ングと 圧 迫 固 定 を 実 施 し 帰 宿 後 も 持 続 冷 却 を 行 い ましたが 翌 日 も 疼 痛 が 軽 減 しなかったため 受 診 す ることとなりました 結 果 骨 折 があることが 分 か り その 後 の 試 合 には 出 場 できませんでしたが ラ ンナーコーチとして 最 後 までチームの 一 員 として 戦 ってくれました 一 番 悔 しい 想 いをした 選 手 のひ とりであったと 思 いますが 腐 らず 自 分 のできる 仕 事 を 黙 々とやる 姿 に 心 を 打 たれました 二 つ 目 は 大 腿 部 の 裂 傷 です 守 備 でダイビングキャッチした 際 自 身 のスパイクが 大 腿 部 に 入 り 出 血 を 伴 う 外 傷 に 見 舞 われました 攻 守 交 代 後 ベンチ 裏 にて 確 認 すると 約 3cm と 約 0.5cm 程 度 の 裂 傷 があり す ぐに 嘱 託 医 に 来 ていただくようお 願 いしました 医 師 到 着 までに 処 置 に 必 要 と 思 われる 備 品 ( 水 の 入 っ た 霧 吹 滅 菌 ガーゼ 消 毒 セットなど)を 準 備 し 医 師 の 指 示 に 従 いながら 処 置 のアシスタントを 務 め ました 診 察 の 結 果 縫 合 すれば 明 日 以 降 の 試 合 に も 出 場 可 能 との 判 断 で 医 務 室 に 向 かい 縫 合 (4 針 )を 行 いました 縫 合 場 面 を 目 の 前 で 見 ることは 初 めてで 貴 重 な 経 験 ではありましたが その 後 の 感 染 に 対 するリスク 管 理 が 重 要 であり 入 浴 時 の 創 部 周 囲 のラッピングなど 注 意 深 く 行 い 選 手 にも 管 理 方 法 を 指 導 しました 翌 日 の 試 合 は 控 えにまわりま したが 試 合 前 後 で 嘱 託 医 に 処 置 をしていただき 決 勝 戦 ではスタメン 出 場 し 素 晴 らしいプレイを 見 せてくれました 2 例 とも 甲 子 園 大 会 でも 十 分 起 こりうるケースで あり 試 合 展 開 から 処 置 のタイミングをどうするか 評 価 結 果 を 踏 まえたうえで どう 判 断 すべきかなど 試 合 のこと チームのこと 何 より 選 手 のことを 一 番 に 考 え 的 確 に 行 動 できたことは 甲 子 園 大 会 で のメディカルサポートの 経 験 があったからこそだと 思 いました サポート 件 数 大 会 期 間 中 を 通 じてのサポート 時 期 とその 内 容 お よび 件 数 を 表 2 に 示 します 1 部 位 1 件 として 算 出 した 結 果 総 件 数 は 445 件 でした 疲 労 回 復 な どのコンディショニングだけでなく 選 手 の 個 々に 欠 けている 運 動 機 能 の 改 善 を 目 的 としたトレーニン グ 指 導 (コンディショニングやウォーミングアップ に 含 む)も 積 極 的 に 実 施 しました 帯 同 期 間 を 通 じて 感 じたこと 代 表 監 督 がスタッフも 含 めた 全 体 ミーティングで 選 手 たちに 心 技 体 3つのコントロールを 意 識 し なさいと 言 われていたのが 印 象 に 残 っています 身 体 に 関 しては 自 分 の 事 は 自 分 でする セルフケア の 重 要 性 を 説 いて 頂 きました あくまで 自 己 の 身 体 のコントロールは 自 ら 行 い 分 からない 部 分 や 足 りない 部 分 を PT に 相 談 するよう 説 明 して 頂 きまし た そうすることで PT の 役 割 が 明 確 になり 我 々 の 専 門 性 に 注 力 出 来 ました その 中 で 我 々が 工 夫 し たことが 選 手 個 々の 身 体 特 性 やプレースタイルを 把 握 し 個 別 にウォーミングアップを 実 施 したこと でした 幸 い 選 手 の 方 から 数 多 く 要 望 をもらった ことで 貴 重 な 経 験 を 積 む 事 が 出 来 ました 我 々は 選 手 の 身 体 に 触 れることについては 普 段 の 臨 床 業 務 やスポーツ 現 場 で 数 多 く 経 験 します その 中 で 選 手 個 々へ 色 々なアドバイスを 行 うことも 多 くあります しかし 選 手 全 員 の 前 で 試 合 に 向 け た 熱 い 言 葉 や その 時 選 手 に 必 要 な 言 葉 を 発 する 機 会 は 少 なく 我 々はそのような 経 験 が 有 りませんで した ミーティングの 席 で 意 見 を 求 められる 事 もあ り 経 験 しないと 中 々 意 識 しづらい 部 分 ではありま すが これから 帯 同 される 先 生 方 には そういった モチベーションに 関 わる 部 分 もチームの 一 員 である 以 上 求 められているということを 意 識 して 行 動 言 動 頂 ければ 更 にチームの 力 になるのではと 思 い 4-

ました おわりに 今 後 への 提 言 前 回 大 会 同 様 決 勝 まで 勝 ち 進 みましたが 同 じ 相 手 に 敗 れ 悔 しい 想 いをしました しかし 選 手 と の 関 わり 方 やチームスタッフとの 連 携 など 前 回 大 会 よりはるかにスムーズにチームの 一 員 として 溶 け 込 むことが 出 来 たように 思 います 我 々PT もチー ムを 勝 利 に 導 く 何 かをもっているはずで 今 回 の 経 験 の 中 から 次 大 会 に 向 けて 参 考 になるような 情 報 提 供 をしていかねばならないと 感 じています キーワ ードとしては 1 急 造 チームであるため 選 手 指 導 者 と 積 極 的 にコミュニケーションをとる 工 夫 2 選 手 個 々のフィジカルおよびメンタルコンディションの 早 期 把 握 3 選 手 のパフォーマンスアップも 視 野 に 入 れたコンディショニングの 指 導 と 考 えます これら は 日 々の 臨 床 業 務 に 加 え 甲 子 園 大 会 でのメディカ ルサポートや 学 校 支 援 などスポーツ 現 場 の 活 動 で 培 った 経 験 が 基 盤 となっており その 経 験 が 侍 ジャパ ンのチーム 力 を 向 上 させ 勝 利 を 引 き 寄 せる 術 のひ とつであると 信 じています 表 2 サポート 時 期 と 内 容 件 数 Taping Icing Condition Warm Cool ing up down 合 計 試 合 前 75 0 122 33 0 230 試 合 中 7 3 3 2 0 15 試 合 後 6 121 67 0 6 200 合 計 88 124 192 35 6 445 * 各 件 数 は 1 部 位 1 件 として 算 出 * 試 合 前 中 後 には 練 習 前 中 後 を 含 む 1) 570-0021 大 阪 府 守 口 市 八 雲 東 町 2-47-12 2) 560-0083 大 阪 府 豊 中 市 新 千 里 西 町 1-1-7-2 追 悼 西 村 敦 先 生 永 らく 本 法 人 の 監 事 を 務 めていただいた 西 村 敦 先 生 ( 藍 野 大 学 医 療 保 健 学 部 教 授, 理 学 療 法 学 科 長 )が 6 月 20 日 に 急 逝 されました( 享 年 62 歳 ) 西 村 先 生 は 本 法 人 の 前 身 であるスポーツ 傷 害 理 学 療 法 研 究 会 の 発 起 人 でもあ り 設 立 以 来 会 の 運 営 につき 数 多 くのご 助 言 ご 指 導 をいただいてまいりま した 私 事 ですが 養 成 校 の 大 先 輩 であり 職 能 団 体 の 役 員 や 学 会 の 運 営 教 科 書 の 制 作 など 数 多 くの 仕 事 をご 一 緒 させていただきました お 辛 いことも 多 々あったと 拝 察 しますが いつも 慈 愛 に 満 ちた 笑 顔 と 寛 大 なお 人 柄 で 多 くの 難 題 を 受 け 止 めていただきました 突 然 の 訃 報 に 大 きな 喪 失 感 を 禁 じ 得 ませんが 西 村 先 生 のご 遺 志 理 学 療 法 士 の 発 展 に 少 しでも 尽 力 することが 残 された ものの 責 務 と 思 います これまでのご 厚 情 に 感 謝 するとともに 心 からご 冥 福 をお 祈 り 申 し 上 げます アスリートケア 代 表 理 事 小 柳 磨 毅 5-

第 88 回 選 抜 高 等 学 校 野 球 大 会 メディカルサポート 報 告 医 療 法 人 整 友 会 豊 橋 整 形 外 科 江 崎 病 院 四 ノ 宮 祐 介 はじめに 第 88 回 選 抜 高 等 学 校 野 球 大 会 が 平 成 28 年 3 月 20 日 ~3 月 31 日 ( 休 養 日 含 む)の 間 阪 神 甲 子 園 球 場 にて 開 催 されました 今 大 会 は 天 候 に 恵 まれ 予 定 通 りの 日 程 で 進 み 休 養 日 が 準 決 勝 前 に 組 まれま した 試 合 内 容 は 1 点 差 の 緊 迫 した 好 試 合 が 11 試 合 と 多 く 平 成 21 年 に 甲 子 園 球 場 がリニューアル されて 以 降 最 も 多 い 52 万 人 を 超 える 観 客 動 員 数 となり 高 校 野 球 への 注 目 度 の 高 さが 伺 える 大 会 と なりました 決 勝 戦 は 今 大 会 を 物 語 るような 延 長 11 回 までもつれる 熱 戦 の 末 智 弁 学 園 が 高 松 商 にサヨ ナラ 勝 ちし 春 夏 を 通 じ 初 めての 決 勝 戦 で 栄 冠 を 勝 ち 取 りました 今 大 会 も 主 催 者 の 要 請 を 受 け 当 法 人 にてメディ カルサポート( 大 会 前 検 診 及 び 大 会 中 メディカルサ ポート)を 実 施 しましたのでここに 報 告 させて 頂 き ます 投 手 検 診 大 会 前 検 診 大 会 前 投 手 検 診 は 平 成 28 年 3 月 15 日 ~17 日 の 3 日 間 で 行 われました 対 象 者 は 出 場 校 32 校 の 本 大 会 に 投 手 登 録 された 選 手 104 名 でした 検 診 は 理 学 療 法 士 による 関 節 可 動 域 測 定 ( 肩 肘 前 腕 の 全 7 項 目 )と 医 師 による 診 察 を 行 い 診 察 情 報 を 基 にス トレッチング( 肩 後 面 前 腕 の 必 須 項 目 ) 個 々に 応 じたコンディショニングの 指 導 を 行 い 試 合 に 向 け て 障 害 予 防 の 重 要 性 を 伝 えるようにしました また 学 校 と 投 手 を 対 象 に 熱 中 症 怪 我 についてのアンケ ート 調 査 を 実 施 しました そこで 70%の 投 手 が 過 去 に 肩 肘 腰 などになんらかの 怪 我 をしていること が 分 かりました 大 会 期 間 中 はアンケート 結 果 を 踏 まえ ケアの 実 施 と 熱 中 症 既 往 者 を 確 認 し 発 生 予 防 に 努 めました 大 会 中 検 診 準 々 決 勝 準 決 勝 の 試 合 後 に 医 師 による 診 察 とス トレッチング 前 後 の 肩 関 節 3rd 内 旋 可 動 域 の 計 測 を 実 施 しました 対 象 投 手 は 延 べ 15 名 で 肩 後 方 の ストレッチング 実 施 後 はすべての 投 手 において 関 節 可 動 域 の 拡 大 が 確 認 されました 大 会 中 メディカルサポート 大 会 中 のメディカルサポートスタッフ 参 加 数 は 延 べ 159 名 で 大 会 期 間 中 は 1 日 12 名 ~15 名 体 制 に て 業 務 にあたりました メディカルサポート 実 施 人 数 は 延 べ 88 名 件 数 は 108 件 で 処 置 内 容 は 上 肢 へ のテーピングが 多 く 試 合 前 処 置 の 件 数 が 最 も 多 い 結 果 となりました 傾 向 として 同 一 選 手 が 同 様 のテ ーピングをしてほしいと 依 頼 する 事 が 多 数 あり 大 会 期 間 中 の 縦 断 的 なサポートを 行 うことができまし た( 表 1) また 受 傷 時 期 は 大 会 前 が 多 くなっている ことも 特 徴 的 であり 選 手 にとってはシーズン 明 け から 今 大 会 にむけた 調 整 の 難 しさや 怪 我 への 対 応 や 予 防 の 必 要 性 を 感 じます 以 下 にサポート 内 容 につ いて 報 告 いたします 表 1 受 傷 表 部 1 位 受 と 傷 処 部 置 位 内 と 容 処 置 内 容 受 傷 部 位 処 置 内 容 上 肢 51 テーピング 52 下 肢 31 アイシング 35 体 幹 10 その 他 10 頭 頸 部 4 ストレッチング 8 徒 手 的 療 法 2 水 分 補 給 1 単 位 ( 件 ) 試 合 前 処 置 :36 件 ( 昨 年 春 :36 件 ) 手 手 指 肘 肩 関 節 のテーピング 処 置 を 希 望 す る 選 手 が 多 く 占 めました(20 名 /27 名 ) 受 傷 時 期 は 大 会 前 から 痛 みのある 選 手 が7 割 を 占 めていました ( 表 2) 特 に 上 肢 の 痛 みはプレーへの 影 響 が 大 き いため 1 回 戦 での 試 合 前 処 置 の 件 数 の 増 加 につな がったと 考 えます 6-

表 2 2 受 受 傷 傷 時 期 と 受 傷 場 面 ( 大 会 前 ) 受 傷 時 期 受 傷 場 面 ( 大 会 前 ) 大 会 試 合 中 36 投 球 中 10 大 会 前 34 打 撃 中 7 大 会 練 習 中 18 守 備 中 6 走 塁 中 1 その 他 10 単 位 ( 件 ) 試 合 中 処 置 :17 件 ( 昨 年 春 :16 件 ) 昨 年 度 と 同 じく 打 撃 では 死 球 守 備 中 では 交 錯 プレーや 走 塁 中 の 捻 挫 などのアクシデントに 対 する 処 置 がほとんどを 占 めました 試 合 後 処 置 :33 件 ( 昨 年 春 :50 件 ) 一 昨 年 度 昨 年 度 より 件 数 は 減 少 しており 処 置 内 容 はデッドボールや 打 撲 に 対 するアイシングが 多 く 医 師 への 確 認 は1 件 で 走 塁 中 に 受 傷 した 際 の 確 認 でした 試 合 後 処 置 については 大 会 前 大 会 練 習 中 に 受 傷 した 選 手 が 約 半 数 を 占 めていました 試 合 後 の 処 置 では 試 合 中 の 受 傷 以 外 にも 試 合 前 処 置 では 対 応 できなかった 選 手 がいることを 想 定 し クーリ ングダウン 中 は 選 手 のしぐさを 注 意 深 く 観 察 したり 積 極 的 に 声 を 掛 けるなど より 注 意 を 払 う 必 要 があ ると 考 えます ました 件 数 増 加 の 要 因 は 最 高 気 温 の 高 い 日 が 多 く 15 を 目 安 に 症 状 を 訴 える 選 手 が 多 くなる 傾 向 が みられ また 寒 暖 差 による 飲 水 量 の 減 少 も 影 響 して いると 考 えられました また 1 2 回 戦 での 訴 えが 多 いことも 熱 中 症 予 防 の 観 点 より 配 慮 する 必 要 があ ります おわりに 今 大 会 も 会 員 の 皆 様 のご 協 力 によりメディカルサ ポート 業 務 を 滞 りなく 終 えることができました 昨 年 と 比 べ 熱 中 症 様 症 状 の 件 数 は 増 加 しましたが 上 記 要 因 以 外 に スタッフの 方 々が 意 識 を 高 く 持 ち 軽 症 でも 多 くの 選 手 に 目 を 配 ることができた 結 果 で もあると 考 えています 今 後 も 早 期 発 見 に 努 めて 重 症 化 を 防 ぐことを 目 的 に 啓 発 していきたいと 考 え ます また 今 大 会 でもテーピング 処 置 対 応 など 各 スタッフ 間 で 信 頼 し 情 報 共 有 できたことで 大 会 期 間 中 に 縦 断 的 に 選 手 をサポートすることができまし た 今 後 とも 選 手 に 応 じた 適 切 な 対 応 ができるように スタッフ 個 々が 知 識 技 術 の 研 鑽 と リーダーシッ プを 取 りチームとしての 働 きかけが 更 にできるよう に 今 後 の 大 会 でも 取 り 組 んでいく 所 存 です ( 440-0883 愛 知 県 豊 橋 市 新 川 町 66 番 地 ) コンディショニング:3 件 ( 昨 年 春 :5 件 ) 大 会 中 のコンディショニングは 延 べ 3 件 で 1 校 の 利 用 となりました 依 頼 としては 投 球 時 の 痛 みの 対 応 と 試 合 後 の 状 態 確 認 を 毎 回 してほしいという 内 容 でした 今 大 会 は 初 戦 敗 退 となったため 実 際 は 試 合 前 日 のみとなりました 昨 年 春 も 試 合 後 に 実 施 依 頼 があったため 今 後 も 想 定 し 対 応 していければと 考 えます 熱 中 症 様 症 状 :32 件 ( 昨 年 春 :9 件 ) 総 件 数 32 件 と 近 年 と 比 べて 件 数 は 増 えましたが 医 師 による 診 察 は 1 件 のみでした ポジション 別 で は 投 手 8 件 捕 手 5 件 野 手 18 件 という 内 訳 でし た 発 症 時 期 は 試 合 中 に 8 件 試 合 後 に 24 件 で 症 状 は 単 部 位 の 筋 痙 攣 の 発 症 がほとんどを 占 めてい 7

第 87 回 選 抜 高 等 学 校 野 球 大 会 メディカルサポート 参 加 報 告 南 芦 屋 浜 病 院 宮 原 隆 登 平 成 27 年 度 第 3 回 ワークショップ 参 加 報 告 コンディショニング 行 岡 病 院 久 穂 正 樹 第 88 回 選 抜 高 等 学 校 野 球 選 手 権 大 会 のメディカルサポ ートに 参 加 しましたので 報 告 させて 頂 きます 今 大 会 私 が 参 加 したのは 大 会 前 投 手 検 診 2 日 目 と 大 会 9 日 目 の 準 々 決 勝 の 2 日 間 です 今 回 は 検 診 班 協 力 員 として 参 加 させて 頂 きました 大 会 前 投 手 検 診 では 今 大 会 に 投 手 登 録 されている 選 手 の 上 肢 可 動 域 測 定 医 師 の 診 察 への 同 伴 ストレッチング 指 導 医 師 の 指 示 によるトレーニング 指 導 を 行 いました 大 会 前 投 手 検 診 ではエースの 投 手 だけでなく 控 え 投 手 も 検 診 対 象 であるため 大 勢 の 投 手 と 接 することができまし た その 中 で 感 じた 事 は 故 障 を 隠 しながらプレーをして いる 選 手 が 大 勢 いるということです 私 自 身 も 小 学 校 1 年 生 から 高 校 3 年 生 まで 野 球 をしていました その 12 年 の 中 で 同 じように 故 障 を 隠 しながらプレーした 経 験 もあり 気 持 ちが 痛 いように 分 かります しかし 現 在 立 場 が 変 わり その 現 実 を 目 の 当 たりにし やはり 日 本 の 学 生 野 球 におけ る 障 害 予 防 の 啓 発 がもっと 必 要 であるように 感 じました 大 会 9 日 目 の 準 々 決 勝 では 通 常 のサポート 業 務 の 他 大 会 期 間 中 投 手 検 診 が 並 行 して 実 施 されました 4 試 合 目 私 は 敗 戦 校 投 手 のクーリングダウンを 担 当 しました 4 試 合 目 は 勝 利 校 投 手 2 名 敗 戦 校 2 名 の 計 4 名 いる 中 同 時 進 行 で 大 会 期 間 中 投 手 検 診 を 行 わなければならず 周 囲 に 目 を 配 りながら 限 られた 時 間 とスペースの 中 で 臨 機 応 変 な 対 応 が 要 求 されました 取 材 終 了 と 同 時 に 対 象 投 手 を 呼 び 医 師 診 察 肩 関 節 3rd 内 旋 角 度 の 計 測 対 象 投 手 のク ーリングダウンを 並 行 して 行 いました 投 手 のクーリング ダウンを 実 施 するのは 初 めての 経 験 で 評 価 し 立 案 したア プローチが 十 分 に 行 えなかった 事 に 自 分 の 力 量 不 足 を 痛 感 しました 今 回 メディカルサポートを 通 じ 我 々 理 学 療 法 士 は 更 に 選 手 及 び 指 導 者 に 対 し 障 害 予 防 の 啓 発 が 必 要 であると 感 じました これからも 甲 子 園 サポートに 参 加 し 障 害 予 防 の 啓 発 に 努 めて 参 りたいと 思 います 平 成 27 年 11 月 15 日 に 大 阪 保 健 医 療 大 学 にて 行 われた 第 3 回 ワークショップ コンディショニング に 参 加 しまし たので 報 告 致 します 今 回 のワークショップは 武 岡 健 次 先 生 今 高 康 詞 先 生 多 田 周 平 先 生 に 講 師 としてご 講 演 頂 きました 内 容 は 前 半 に ストレッチングの 概 論 について 後 半 は 上 肢 下 肢 体 幹 の 筋 別 でのストレッチングについて 実 技 を 交 えて 指 導 して 頂 きました 概 論 ではストレッチングの 歴 史 から 目 的 種 類 や 神 経 生 理 学 での 反 応 を 学 びました ストレッチングの 種 類 で は 運 動 様 式 による 分 類 でスタティックストレッチグ バリス ティックストレッチング ダイナミックストレッチングの 方 法 が 紹 介 され 目 的 や 方 法 などから 使 い 分 けについて 学 ぶこ とが 出 来 ました ストレッチングをスポーツの 現 場 で 行 う 際 にいつ どのス トレッチングが 良 いか 悩 むことがありました ストレッチン グ 後 の 身 体 の 反 応 を 提 示 し 説 明 していただくことで 適 切 な 方 法 でストレッチングを 行 う 重 要 性 を 感 じました パフォ ーマンスを 上 げた 状 態 で 試 合 に 臨 めるように 正 しいストレ ッチング 方 法 を 選 手 に 伝 えていくことが 重 要 であると 実 感 しました 後 半 は 上 肢 下 肢 体 幹 に 分 け 各 々の 筋 に 対 してのスト レッチングの 実 技 を 行 いました ストレッチングを 行 う 際 起 始 停 止 を 頭 の 中 で 正 しく 考 えながら 行 うことで 即 時 効 果 にも 差 が 出 ると 実 感 しました またストレッチングもパート ナーストレッチングとセルフストレッチングを 指 導 してい ただき 臨 床 でも 実 践 することができる 方 法 を 学 びました ストレッチングでもなぜこのようにする 方 がよいのか?と 考 えることの 重 要 性 をご 指 摘 頂 き 考 えながらストレッチン グを 行 うことの 重 要 性 を 再 認 識 することができました ストレッチング 方 法 や 評 価 方 法 のみならず ハンドリング の 方 法 対 象 者 への 配 慮 もご 指 導 頂 き 多 くのことを 学 ぶ 機 会 となりました 今 後 は 現 場 で 実 践 できるよう 研 鑽 を 重 ねていきたいと 思 います ( 659-0034 兵 庫 県 芦 屋 市 陽 光 町 3-21) ( 530 0012 大 阪 府 大 阪 市 北 区 浮 田 2-2-3) 8

平 成 27 年 度 研 修 会 参 加 報 告 スポーツ 整 形 外 科 の 進 歩 と 今 後 の 展 望 社 会 医 療 法 人 純 幸 会 関 西 メディカル 病 院 今 東 明 日 香 平 成 27 年 度 研 修 会 参 加 報 告 スポーツ 理 学 療 法 の 現 状 と 未 来 社 会 医 療 法 人 純 幸 会 関 西 メディカル 病 院 松 本 光 平 平 成 27 年 10 月 25 日 に 大 阪 保 健 医 療 大 学 で 開 催 された アスリートケア 研 修 会 に 参 加 し 関 西 労 災 病 院 スポーツ 整 形 外 科 第 2 部 長 の 鳥 塚 之 嘉 先 生 による スポーツ 整 形 外 科 の 進 歩 と 今 後 の 展 望 を 聴 講 したので 報 告 いたします 講 演 ではスポーツ 整 形 外 科 の 過 去 から 現 在 までの 進 歩 と 展 望 障 害 予 防 への 取 り 組 みの 重 要 性 を 述 べられていま した 元 来 スポーツ 整 形 外 科 では 障 害 が 発 生 すればスポ ーツを 止 めれば 良 いと 考 えられ 治 療 対 象 は 脊 柱 や 股 関 節 障 害 が 多 く 靭 帯 に 対 する 治 療 はあまり 行 われていなかっ たと 聞 きました また 以 前 の ACL 損 傷 の 治 療 では 30 歳 代 は 手 術 対 象 外 とされ 術 後 はギプス 固 定 をしていたと 知 り ました 私 自 身 ACL 断 裂 で 手 術 リハビリテーションを 経 験 しましたが 怪 我 をしたらスポーツはやめるという 以 前 の 考 え 方 に 驚 きました また MCL 断 裂 後 固 定 や 縫 合 を 行 わなくても 靭 帯 強 度 が 回 復 すると 報 告 した Woo らの 論 文 が 固 定 に 対 する 考 え 方 や 早 期 リハの 先 駆 けとなったこ とを 紹 介 され 臨 床 における 概 念 が 大 きく 変 化 したことを 知 りました 画 像 診 断 の 進 歩 についても 触 れられ 従 来 の 画 像 に 加 え 現 在 は 3-D MRI や 超 音 波 などを 使 用 すると 紹 介 がありました 手 術 に 関 しては ACL 再 建 術 と 半 月 板 縫 合 に ついて ACL を 再 建 するポジションや 再 建 組 織 の 変 化 半 月 板 縫 合 術 の 発 展 や 術 後 の 合 併 症 発 生 率 などについて 述 べられていました 今 後 の 展 望 として 多 血 小 板 血 漿 治 療 や 体 外 衝 撃 波 軟 骨 再 生 のメリットや 適 応 について 提 示 し て 頂 きました 最 後 に 高 校 野 球 における 障 害 予 防 として 障 害 予 防 の 取 り 組 みや 肩 肘 の 炎 症 の 重 症 度 練 習 日 数 初 回 故 障 歴 などの 変 化 のグラフを 提 示 して 頂 きました 以 前 に 比 べ 肩 肘 の 機 能 不 全 や 強 い 炎 症 を 起 こしている 症 例 は 減 少 していることが 分 かりました 今 回 の 講 演 を 通 し スポーツ 整 形 外 科 の 進 歩 とともにリハビリテーションに おける 質 の 向 上 障 害 発 生 後 のリハビリテーションだけで 平 成 27 年 10 月 25 日 に 大 阪 保 健 医 療 大 学 にて 行 われたア スリートケア 研 修 会 に 参 加 し 小 柳 磨 毅 先 生 の スポーツ 理 学 療 法 の 現 状 と 未 来 を 聴 講 しましたので 報 告 いたします 内 容 はスポーツ 損 傷 膝 の 治 療 と 予 防 投 球 障 害 肩 肘 の 治 療 と 予 防 競 技 大 会 支 援 と 学 校 保 健 活 動 についてでした そ れぞれにおいてスポーツ 傷 害 に 対 する 評 価 治 療 方 法 の 提 示 をしていただき 幅 広 い 知 識 を 得 ることができたと 同 時 に 予 防 に 対 する 取 り 組 みの 重 要 性 を 強 く 感 じた 内 容 でした スポーツ 損 傷 膝 および 投 球 障 害 肩 肘 の 治 療 と 予 防 では 受 傷 から 競 技 復 帰 再 発 予 防 に 対 する 具 体 的 な 評 価 治 療 方 法 を 紹 介 していただきました 治 療 効 果 を 視 覚 化 または 定 量 化 した 客 観 的 データに 基 づいて 検 証 し 新 たな 治 療 方 法 の 開 発 を 行 っていたことが 特 に 勉 強 になりました このような 取 り 組 みは スポーツ 理 学 療 法 だけでなく 質 の 高 い 治 療 を 提 供 するためには 理 学 療 法 の 全 ての 分 野 において 必 要 であると 感 じました 私 も 日 頃 の 臨 床 で 効 果 のある 治 療 を 提 供 できる ように 研 鑽 を 怠 らず 取 り 組 みたいと 思 いました 競 技 大 会 支 援 と 学 校 保 健 活 動 では 甲 子 園 大 会 におけるメ ディカルサポートやクラブ 活 動 サポート 事 業 などの 取 り 組 みについて 紹 介 していただきました 予 防 に 直 結 する 検 診 予 防 効 果 のあるコンディショニングを 各 活 動 で 展 開 されて おり 選 手 だけでなく 指 導 者 への 介 入 も 行 っていました こ れらの 活 動 は 継 続 することによって 予 防 効 果 が 立 証 され 社 会 貢 献 となると 感 じられるため 私 も 一 人 の 理 学 療 法 士 とし て 競 技 大 会 支 援 や 学 校 保 健 活 動 に 積 極 的 かつ 継 続 して 参 加 したいと 思 いました スポーツ 理 学 療 法 の 現 状 は 科 学 的 根 拠 の 探 索 および 発 信 を 積 み 重 ねてきたことで 作 り 上 げられてきたと 思 います 今 後 もそれらを 継 続 していくことが 未 来 のスポーツ 理 学 療 法 の 発 展 を 支 えると 感 じました ( 560-0083 大 阪 府 豊 中 市 新 千 里 西 町 1-1-7-2) なく 予 防 に 努 めていかなければならないことを 改 めて 学 ぶことが 出 来 ました ( 560-0083 大 阪 府 豊 中 市 新 千 里 西 町 1-1-7-2) 9

ワークショップ 講 師 報 告 1 コンディショニング -ストレッチング- 武 庫 川 女 子 大 学 健 康 スポーツ 科 学 科 武 岡 健 次 コンディショニング ストレッチング という タイトルで ストレッチングを 実 施 する 目 的 臨 床 においても 応 用 できる 拘 縮 の 考 え 方 最 近 の 知 見 として 筋 腱 移 行 部 の 移 動 量 の 測 定 方 法 筋 活 動 促 通 の 皮 膚 テーピングについて 概 要 を 説 明 しま す ストレッチングを 実 施 する 目 的 として 関 節 可 動 域 の 拡 大 身 体 活 動 の 向 上 傷 害 予 防 のための ウォーミングアップ クーリングダウン 心 身 の リラクゼーションが 挙 げられます ウォーミング アップは 競 技 中 の 怪 我 の 予 防 パフォーマンスの 向 上 を 目 的 とします 神 経 筋 の 反 応 時 間 を 短 縮 さ せ 素 早 い 動 きなどのパフォーマンス 向 上 が 重 要 であり ダイナミックストレッチングのような 伸 張 反 射 を 高 めることも 必 要 です クーリングダウ ンは 緊 張 した 筋 の 柔 軟 性 を 回 復 させ 運 動 によっ て 生 じた 乳 酸 など 代 謝 産 物 の 除 去 が 重 要 であり スタッティクストレッチングと 軽 負 荷 運 動 の 組 み 合 わせが 適 しています 図 1 は 肘 屈 曲 時 上 腕 三 頭 筋 は 屈 曲 に 伴 い 伸 張 する 必 要 があると 同 時 に 筋 の 深 部 と 骨 との 間 では 伸 張 とともに 組 織 間 で 滑 走 が 生 じているこ とを 示 します 上 腕 三 頭 筋 腱 自 体 は 伸 張 しないが 腱 とその 下 層 の 間 では 腱 が 移 動 することに 伴 う 組 織 間 の 滑 走 が 生 じます 図 2 は 短 縮 した 筋 は 伸 張 すると 可 動 域 の 途 中 で 筋 が 突 っ 張 り 静 的 緊 張 が 高 まり この 時 腱 の 長 さ は 変 わらないため 必 要 な 長 さを 供 給 する 組 織 は ほぼ 筋 腹 と 考 えられます 図 2 筋 における 伸 張 障 害 の 概 念 ( 文 献 1 より 引 用 ) 図 1 肘 関 節 屈 曲 運 動 の 伸 張 と 滑 走 ( 文 献 1 より 引 用 ) 拘 縮 とは 他 動 的 に 関 節 可 動 域 が 制 限 された 状 態 です 拘 縮 は 伸 びるべき 組 織 が 伸 びない 伸 張 障 害 と 運 動 に 伴 う 組 織 間 の 滑 りが 癒 着 してしま う 滑 走 障 害 で 成 り 立 っています 図 3 筋 腱 移 行 部 (MTJ)の 移 動 量 ( 文 献 2 より 引 用 ) 10-

他 動 的 に 足 関 節 背 屈 時 の 筋 腱 移 行 部 ( Muscle Tendon Junction:MTJ)は 深 部 腱 膜 と 表 層 腱 膜 が 一 つの 腱 に 収 束 していく 部 分 です ストレッチングや 筋 収 縮 に 伴 う MTJ の 移 動 距 離 を 測 定 することで 筋 腱 の 柔 軟 性 を 評 価 すること ができます MTJ の 移 動 量 の 測 定 方 法 は 皮 膚 の 上 に 反 射 マーカーを 張 り 反 射 マーカーを 基 準 に 測 定 することが 可 能 です 2) 引 用 文 献 1) 林 典 雄 : 運 動 療 法 のための 運 動 器 超 音 波 機 能 解 剖. 文 光 堂,2015. 2) 中 村 雅 俊 他 : 超 音 波 画 像 診 断 装 置 を 用 いたス トレッチング 研 究 のトピックス. 理 学 療 法 学, 2015. 3) 福 井 勉 : 皮 膚 テーピング. 運 動 と 医 学 の 出 版 社,2014. ( 663-8132 兵 庫 県 西 宮 市 池 開 町 6-46) 図 4 筋 活 動 促 通 テーピング( 内 側 広 筋 ) ( 文 献 3 より 引 用 ) 最 後 に 筋 活 動 促 通 テーピング( 内 側 広 筋 )を 紹 介 します 1 停 止 部 の 脛 骨 粗 面 から 起 始 部 とは 逆 方 向 テー プを 貼 ります 2 停 止 部 から 起 始 部 方 向 にテープを 貼 ります 3 起 始 部 の 皮 膚 が 伸 張 されるように 短 いテープ を 逆 方 向 に 貼 ります 筋 が 収 縮 する 際 その 筋 の 停 止 部 から 起 始 部 方 向 に 皮 膚 を 誘 導 すると 筋 の 収 縮 を 促 通 します ま た その 筋 の 起 始 部 から 停 止 部 方 向 に 皮 膚 を 誘 導 すると 筋 の 収 縮 を 抑 制 します 筋 の 停 止 部 が 起 始 部 に 近 づく 運 動 では 筋 収 縮 が 生 じる 部 位 の 皮 膚 をあらかじめ 収 縮 する 方 向 へ 誘 導 しておくと 浅 筋 膜 層 で 滑 走 が 生 じ 収 縮 時 に 筋 力 が 発 揮 しやす い 状 態 になります 第 3 回 ワークショップのコンディショニング ストレッチング についての 講 義 内 容 の 一 部 を 報 告 させていただきました 今 回 自 分 の 知 って いる 知 識 だけでなく 最 新 の 知 見 や 超 音 波 を 使 用 した 評 価 方 法 など 新 しい 知 識 を 増 やすことの 大 切 さを 再 確 認 しました 11-

ワークショップ 講 師 報 告 2 ストレッチング 基 礎 編 ( 上 肢 ) 行 岡 病 院 リハビリテーション 部 今 高 康 詞 アスリートケアのワークショップにて ストレッ チングの 基 礎 編 の 主 に 上 肢 のストレッチングにつ いて 講 演 と 実 技 を 担 当 させて 頂 きましたので その 内 容 を 紹 介 します コンディショニングの 一 手 法 である ストレッチ ング を 評 価 や 症 例 を 通 して 受 講 者 に 理 解 を 深 め 臨 床 の 中 での 治 療 方 法 の 選 択 や 実 施 を 根 拠 に 基 づき 施 行 できるように 評 価 内 容 の 提 示 と 実 技 を 行 うこと を 目 的 としました ストレッチングの 実 技 を 実 施 する 前 に 臨 床 での 可 動 域 評 価 とその 解 釈 の 整 理 として 肩 関 節 の ROM 制 限 とその 原 因 となる 因 子 をまとめて 提 示 し ました また 投 球 障 害 に 対 する 評 価 として 用 いら れることが 多 い 原 テスト 1) の Combined abduction test( 以 下 CAT) Horizontal flection test( 以 下 HFT) Hyper external rotation test( 以 下 HERT) や 2nd/3rd の 内 旋 可 動 域 を 具 体 例 として 提 示 し 筋 や 関 節 包 および 肩 関 節 周 囲 の 靭 帯 組 織 などの 制 限 因 子 との 関 連 性 の 理 解 を 深 めてから 実 際 の 実 技 を 進 め ました( 図 1) 樂 となる 項 目 を 整 理 することを 各 実 技 の 前 に 行 いまし た 実 技 の 中 では 対 象 筋 をパートナーストレッチ ングにて 伸 張 するだけでなく 隣 接 する 筋 筋 膜 を 意 識 したセルフストレッチング 方 法 も 紹 介 しました 今 回 は 広 背 筋 に 対 するストレッチングを 紹 介 し ます 広 背 筋 は 第 6 8 胸 椎 以 下 の 棘 突 起 腰 背 腱 膜 腸 骨 稜 第 10~12 肋 骨 および 肩 甲 骨 下 角 より 上 腕 骨 小 結 節 稜 に 走 行 しており ストレッチングを 実 施 す る 際 には まず 骨 盤 を 後 傾 位 にすることがポイント であり 同 側 の 股 関 節 を 深 い 屈 曲 位 とし 骨 盤 を 後 方 から 誘 導 することが 大 事 になります 次 に 固 定 部 位 ですが 上 腕 骨 を 固 定 するのか 肩 甲 骨 下 角 を 固 定 するのかにより 伸 張 される 部 位 に 変 化 が 生 じま す 上 腕 骨 を 固 定 すれば 筋 全 体 に 伸 張 感 を 確 認 で き 肩 甲 骨 を 固 定 すると より 起 始 側 に 伸 張 感 が 得 られます 伸 張 側 と 反 対 の 股 関 節 を 屈 曲 骨 盤 の 後 傾 を 増 大 すると 同 時 に 胸 腰 筋 膜 を 介 して 広 背 筋 の 伸 張 固 定 ( 上 方 牽 引 ) 誘 導 広 背 筋 ー 胸 腰 筋 膜 ー 大 臀 筋 (Anatomy trains: 医 学 書 院 ) 図 2 腰 背 筋 膜 を 介 したセルフストレッチング セルフストレッチングでは 反 対 側 の 股 関 節 を 深 く 屈 曲 させ 体 幹 を 回 旋 することで 腰 背 筋 膜 を 介 して 伸 張 感 が 増 大 することを 確 認 してもらいました 図 1 機 能 評 価 と 制 限 因 子 との 関 連 ストレッチングの 実 技 前 には 対 象 となる 筋 の 起 始 と 停 止 から 走 行 を 確 認 し 誘 導 方 向 や 固 定 部 位 に よる 伸 張 感 の 違 いを 体 験 し 臨 床 での 指 導 ポイント 参 考 文 献 1) 原 正 文 : 投 球 肩 障 害 の 診 察 法 (メディカルチェ ックを 中 心 として). 骨 関 節 靭 帯 20(4):301-308, 2007. ( 530-0021 大 阪 市 北 区 浮 田 2-2-3 ) -12-

ワークショップ 講 師 報 告 3 ストレッチング 基 礎 編 ( 体 幹 下 肢 ) 大 阪 大 学 医 学 部 附 属 病 院 リハビリテーション 部 多 田 周 平 ストレッチング 基 礎 編 ( 体 幹 下 肢 ) という タイトルで 講 義 と 実 技 を 担 当 させていただきま したのでその 概 要 を 説 明 します ここでは 体 幹 側 面 筋 ( 外 腹 斜 筋 内 腹 斜 筋 腰 方 形 筋 広 背 筋 前 鋸 筋 )と 大 腿 筋 膜 張 筋 のス トレッチングについて 紹 介 します 体 幹 側 面 筋 投 球 のようなオーバーハンドの 動 作 では 体 幹 の 側 屈 を 伴 い 拳 上 側 の 体 幹 側 面 筋 には 遠 心 性 収 縮 対 側 には 求 心 性 収 縮 が 要 求 される このため 野 球 やラケットスポーツのように 片 側 でオーバー ハンドの 動 作 を 反 復 する 場 合 は 両 側 の 体 幹 側 面 筋 に 柔 軟 性 低 下 が 生 じやすい 評 価 両 腕 を 身 体 の 前 で 交 差 させて 手 を 組 み 最 大 挙 上 位 にする そのまま 体 幹 を 側 屈 し 動 きが 乏 し い 部 分 を 観 察 する( 図 1) 考 えられる 制 限 因 子 腰 椎 可 動 性 不 十 分 ( 図 1a): 腰 方 形 筋 腹 斜 筋 胸 椎 可 動 性 不 十 分 ( 図 1b): 前 鋸 筋 肋 間 筋 胸 棘 筋 胸 多 裂 筋 胸 回 旋 筋 肩 関 節 屈 曲 不 十 分 ( 図 1c): 広 背 筋 ストレッチ 方 法 1) 肩 甲 骨 外 側 縁 に 手 を 当 て 肩 甲 骨 を 固 定 した 状 態 で 骨 盤 を 前 方 回 旋 下 制 する 肩 甲 骨 を 内 転 位 へ 誘 導 することで 前 鋸 筋 がより 伸 張 さ れ これに 筋 連 結 を 持 つ 外 腹 斜 筋 の 伸 張 も 得 られやすくなる( 図 2) 2) 肩 甲 骨 は 上 方 回 旋 外 転 位 へ 誘 導 し 固 定 し た 状 態 で 骨 盤 を 後 方 回 旋 下 制 する 伸 張 側 の 肩 関 節 屈 曲 に 加 え 外 旋 位 にすることで より 広 背 筋 の 伸 張 が 得 られやすくなる( 図 3) a b c 図 1 図 2 図 3 ( 文 献 1 より 引 用 ) 大 腿 筋 膜 張 筋 大 腿 筋 膜 張 筋 は 片 脚 支 持 の 状 態 において 過 度 の 股 関 節 内 転 ( 骨 盤 の 下 制 ) 膝 関 節 の 内 反 およ び 外 旋 の 制 動 などに 働 く このため いわゆる 過 度 の knee in や knee out 足 部 の 過 外 転 回 内 な どによる 下 腿 過 外 旋 位 など 様 々な 不 良 姿 勢 に 起 因 して 過 負 荷 による 障 害 を 来 しやすく 臨 床 的 に 治 療 の 対 象 になることが 多 い 評 価 Modified Ober test と Modified Thomas test を 実 施 する Modified Thomas test は 背 臥 位 で 伸 長 側 の 大 腿 部 以 遠 をベッド 端 から 下 ろし 対 側 下 肢 は 深 く 屈 曲 する 大 腿 筋 膜 張 筋 の 短 縮 や 過 緊 張 があれば 伸 長 側 の 股 関 節 は 外 転 内 旋 位 となる また 腹 臥 位 にて 股 関 節 中 間 位 および 外 転 位 で 股 関 節 伸 展 角 度 の 差 を 計 測 する 股 関 節 中 間 位 に 比 べて 外 転 位 の 方 が 明 らかに 大 きくなる 場 合 大 腿 筋 膜 張 筋 の 短 縮 を 疑 う -13-

ストレッチ 方 法 1) 側 臥 位 にて 非 伸 張 側 の 下 肢 は 屈 曲 位 に 保 持 す る 骨 盤 を 固 定 し 伸 張 側 の 下 肢 を 股 関 節 伸 展 内 転 外 旋 方 向 へ 誘 導 する( 図 4) この 方 法 のポイントは 1 伸 張 側 下 肢 の 重 み を 利 用 すること2 非 伸 張 側 下 肢 を 深 く 屈 曲 し 骨 盤 後 傾 位 に 保 持 することである 2) 大 腿 部 以 遠 をベッド 端 から 下 ろした 状 態 での 背 臥 位 にて 非 伸 張 側 の 下 肢 は 屈 曲 位 に 保 持 す る 伸 張 側 の 下 肢 を 股 関 節 伸 展 内 転 外 旋 方 向 へ 誘 導 する さらに 各 筋 が Spiral Line 2) に 準 じて 伸 張 されるように 考 慮 し 各 体 節 の 伸 張 位 を 選 択 することで 大 腿 筋 膜 張 筋 の 伸 張 効 率 を 高 めることが 可 能 である( 図 5) 図 4 ( 文 献 1 より 引 用 ) Spiral Line 右 板 状 筋 左 菱 形 筋 左 前 鋸 筋 左 外 腹 斜 筋 右 内 腹 斜 筋 右 大 腿 筋 膜 張 筋 筋 の 伸 張 位 頸 部 左 回 旋 左 肩 甲 骨 上 方 回 旋 左 肩 甲 骨 上 方 回 旋 体 幹 左 回 旋 体 幹 左 回 旋 股 関 節 伸 展 内 転 図 5 ( 文 献 2 より 引 用 ) 引 用 文 献 1) 井 上 悟 監 修, 小 柳 磨 毅, 中 江 徳 彦, 上 野 隆 司 編 集 :アスリートケアマニュアル ストレッ チング. 文 光 堂, 2007. 2) 板 場 英 行, 石 井 慎 一 郎 訳 :アナトミー トレ イン 第 2 版. 医 学 書 院, 2012. ( 565-0871 大 阪 府 吹 田 市 山 田 丘 2-15) -14-

2015 年 アスリートケア 学 生 交 流 会 NHO 近 畿 中 央 胸 部 疾 患 センター 上 江 田 勇 介 平 成 27 年 10 月 25 日 に 大 阪 保 健 医 療 大 学 にて 2015 年 アスリートケア 学 生 会 員 交 流 会 が 開 催 さ れました 1 年 生 から 4 年 生 の 学 生 会 員 計 14 名 が 参 加 されました まず 武 庫 川 女 子 大 学 の 武 岡 健 次 先 生 より 学 生 会 員 の 参 加 可 能 な 行 事 の 紹 介 があり どのような 活 動 ができるかを 真 剣 にメモ をしている 参 加 者 の 姿 勢 が 印 象 的 でした 次 に 四 條 畷 学 園 大 学 の 川 崎 純 先 生 から テーピ ングの 基 礎 の 基 礎 と 題 して 講 義 実 技 がありま した 講 義 はテーピングの 種 類 保 存 方 法 テー ピングを 切 る 方 法 の 説 明 がありました 特 に 印 象 的 だったのが 非 伸 縮 テープを 上 手 く 切 れない 学 生 会 員 に 講 師 の 先 生 方 が 指 導 して 上 手 く 切 れた 時 の 笑 顔 でした 私 自 身 何 気 なく 実 施 している ことを 理 論 的 に 説 明 しながら 学 生 会 員 に 伝 える 難 しさと 先 生 方 の 指 導 力 を 学 ぶことができまし た 実 技 では 下 腿 三 頭 筋 のアシストテープが 実 施 されました 初 めてテーピングを 実 施 する 学 生 会 員 も 多 く 苦 戦 しながらも 一 生 懸 命 学 んでいまし た また 参 加 者 がお 互 いに 自 然 とフィードバック しあっている 姿 もみられました アスリートケア 学 生 会 員 を 経 験 した 私 から ア スリートケア 学 生 会 員 ~ 経 験 を 振 り 返 ってみて ~ というテーマでお 話 しさせていただきました 入 会 のきっかけや 現 場 で 学 んだこと 今 につな がることを 述 べるなかで 資 料 や 発 表 について 真 剣 な 眼 差 しで 聞 いてくれている 学 生 会 員 の 姿 が とても 印 象 的 でした また 自 己 紹 介 グループワークでは みなさん 堂 々と 自 己 紹 介 をしている 姿 に 積 極 的 で 素 晴 ら しいと 感 じました 今 後 どのようなことがしたい かも 話 し 合 うことができ 学 生 会 員 と 講 師 の 交 流 もでき 有 意 義 な 時 間 となりました 最 後 に 今 後 とも 学 生 会 員 との 繋 がりを 大 事 に し 臨 床 に 出 てからも 継 続 してくれることを 願 い ながら 学 生 サポート 部 として 活 動 していこうと 感 じました 講 義 風 景 グループワーク ( 591-8025 大 阪 府 堺 市 北 区 長 曽 根 町 1180) 15

第 4 回 北 大 阪 スポーツ 傷 害 研 究 会 講 演 内 容 報 告 ラグビー 選 手 における 肩 反 復 性 脱 臼 後 のリハビリテーション 行 岡 病 院 リハビリテーション 科 小 川 卓 也 1) 1) 井 上 泰 博 2) 大 阪 電 気 通 信 大 学 小 柳 磨 毅 肩 関 節 脱 臼 はラグビー 選 手 に 頻 繁 にみられるスポ ーツ 外 傷 の1つであり その 多 くはタックル 時 に 発 生 する また 他 競 技 と 比 べラグビー 選 手 では 術 後 ( 特 に 鏡 視 下 手 術 後 )にも 高 い 再 発 率 が 報 告 されてお り タックル 技 術 の 問 題 が 一 因 子 として 挙 げられる われわれは 日 本 ラグビーフットボール 協 会 ( 安 全 推 進 委 員 会 )が 提 唱 しているタックル 姿 勢 を 正 し い 姿 勢 として 反 復 性 肩 関 節 前 方 脱 臼 のラグビー 選 手 のタックル 姿 勢 の 2 次 元 動 作 解 析 を 行 った その 結 果 健 側 と 比 較 し 脱 臼 側 では 1 脊 柱 後 彎 の 増 大 2 高 重 心 3 身 体 中 心 より 遠 位 部 でのコンタクト4タ ックル 側 への 体 幹 側 屈 が 特 徴 としてあげられ 脱 臼 症 例 では 不 良 な 姿 勢 を 呈 していたことがわかった 当 院 では これらの 問 題 点 に 対 する 治 療 として バンカート 修 復 術 後 3ヶ 月 以 降 をアスレチックリハ ビリテーション 期 とし 段 階 的 なトレーニングプロ トコルの 実 施 下 肢 を 含 めた 柔 軟 性 と 支 持 性 の 獲 得 タックルフォーム 指 導 の3つを 柱 として 実 施 してい る 段 階 的 プロトコルは 4 段 階 の 課 題 達 成 型 の 体 幹 トレーニングとなっている 体 幹 の 前 方 安 定 性 はフ ロントブリッジ 姿 勢 で 行 い 側 方 安 定 性 はサイドブ リッジ 姿 勢 にて 行 う 下 肢 を 含 めた 柔 軟 性 と 支 持 性 の 評 価 は Deep squat test を 用 いている 評 価 結 果 に 基 づいて 下 肢 および 体 幹 のストレッチングを 実 施 する タックルフォーム 指 導 は 身 体 の 中 枢 部 で 相 手 と 接 触 すること 低 い 重 心 でタックル 側 の 肩 と 同 側 の 下 肢 を 踏 み 込 むパワーフット 脇 を 閉 めた 両 上 肢 で 相 手 を 掴 むバインディングの3 点 を 中 心 に 行 い タックルスキル 向 上 を 目 的 としている 以 上 の アスレチックリハビリテーションを 実 施 した 結 果 術 前 に 認 めた 不 良 なタックル 姿 勢 は 術 後 に 健 患 の 差 が 無 くなり 改 善 していることが 明 らか となった( 図 1) 先 行 研 究 において 不 良 なタック ル 姿 勢 では 上 肢 外 傷 のリスクが 高 くなると 報 告 され ており 少 しでも 再 発 率 を 低 下 させるには 術 後 に 正 しいタックル 姿 勢 を 獲 得 させてから 復 帰 させるべ きと 考 えられる 術 前 患 側 術 後 患 側 図 1 術 前 後 におけるタックル 姿 勢 の 変 化 1) 井 上 泰 博 小 川 卓 也 ほか: 反 復 性 脱 臼 のラグビ ー 選 手 のタックル 姿 勢 : 動 作 解 析 による 検 証. 第 11 回 肩 の 運 動 機 能 研 究 会 :59,2014. 2) 井 上 泰 博 小 川 卓 也 ほか:ラグビー 選 手 の 肩 反 復 性 前 方 脱 臼 術 前 後 のタックル 姿 勢 の 変 化. 第 12 回 肩 の 運 動 機 能 研 究 会 :104,2015. 1) 530-0021 大 阪 府 大 阪 市 北 区 浮 田 2-2-3 2) 575-0063 大 阪 府 四 條 畷 市 清 滝 1130-70 16

< 助 成 研 究 報 告 > ~ 保 健 医 療 学 学 会 第 5 回 学 術 集 会 発 表 ~ 前 足 部 の 足 底 挿 板 が 片 脚 着 地 動 作 の 接 地 に 及 ぼす 影 響 社 会 医 療 法 人 純 幸 会 関 西 メディカル 病 院 里 田 由 美 子 他 4 名 背 景 非 接 触 型 の 前 十 字 靭 帯 損 傷 ( 以 下 ACL)は 着 地 や 切 り 返 し 動 作 の 接 地 初 期 に 生 じるとされる 着 地 動 作 の 姿 勢 と ACL にかかる 負 荷 について Walter 1) らは 接 地 初 期 の 股 関 節 と 膝 関 節 の 屈 曲 角 が 大 きい 緩 やかな 着 地 では ACL への 張 力 が 小 さかっ たと 報 告 している 片 脚 着 地 動 作 と 足 底 挿 板 の 関 係 では ヒールウェッジなど 後 足 部 に 対 する 足 底 挿 板 が 片 脚 着 地 動 作 に 及 ぼす 影 響 を 調 査 した 報 告 は 散 見 されるが 着 地 初 期 に 床 と 接 地 する 前 足 部 に 対 する 足 底 挿 板 の 介 入 効 果 を 検 証 した 報 告 は 渉 猟 し 得 た 範 囲 ではみられない 目 的 本 研 究 の 目 的 は 前 足 部 の 足 底 挿 板 が 片 脚 着 地 動 作 の 接 地 期 において 姿 勢 と 床 反 力 に 及 ぼす 影 響 を 検 証 することである 方 法 対 象 は 下 肢 に 傷 害 のない 若 年 女 性 12 名 (20.8±1.4 歳 157.3±3.7cm 53.8±3.0kg)であ る 30cm 台 からの 片 脚 着 地 動 作 を 裸 足 (1 回 目 ) 足 底 挿 板 ( 前 足 部 横 アーチパッド: 以 下 横 アーチ( 図 1)) 裸 足 (2 回 目 )の 3 条 件 で 行 わせた 運 動 計 測 は 床 反 力 計 三 次 元 動 作 解 析 装 置 を 用 いて 下 肢 の 関 節 角 度 床 反 力 を 接 地 初 期 (IC) 床 反 力 鉛 直 成 分 (Fzmax)に 分 けて 算 出 した また 衝 撃 緩 衝 性 を 示 す 荷 重 変 化 率 (Fz ピーク 値 / IC から Fzmax までの 到 達 時 間 )を 算 出 した 統 計 処 理 には 反 復 測 定 による 分 散 分 析 を 用 いた(p<0.05) 尚 被 験 者 には 本 研 究 の 主 旨 を 説 明 し 同 意 を 得 た 結 果 IC と Fzmax における 膝 関 節 足 関 節 の 関 節 角 度 Fz ピーク 値 Fzmax までの 到 達 時 間 および 荷 重 変 化 率 のいずれも 3 条 件 間 に 有 意 差 を 認 めなかっ た しかし IC から Fzmax までの 膝 関 節 屈 曲 角 (12 名 中 8 名 )は 裸 足 (1 回 目 )に 対 し 横 アーチ 条 件 で 増 加 する 傾 向 にあった( 図 2) Fz ピーク 値 (12 名 中 8 名 )および 荷 重 変 化 率 (12 名 中 9 名 )は 裸 足 に 比 べて 横 アーチ 条 件 で 減 少 傾 向 であった( 図 3) 考 察 横 アーチパッドによって 着 地 時 の 膝 関 節 屈 曲 角 が 増 加 し Fz ピーク 値 と 荷 重 変 化 率 が 減 少 傾 向 を 示 したのは パッドによる 前 足 部 の 剛 性 保 持 とア ーチパッドの 素 材 (SORBO )により 衝 撃 が 吸 収 された ためと 考 えられた これは 下 肢 関 節 の 屈 曲 ( 足 関 節 は 2) 背 屈 )と 着 地 の 衝 撃 は 反 比 例 するとの 君 島 らの 報 告 を 支 持 する 結 果 であった 本 研 究 の 結 果 から 横 アーチの 挿 入 によって 着 地 動 作 の 接 地 期 に 着 地 時 の 衝 撃 を 緩 衝 できる 可 能 性 が 示 唆 された 結 語 片 脚 着 地 動 作 では 裸 足 に 比 べ 横 アーチ 条 件 で Fz ピーク 値 と 荷 重 変 化 率 が 減 少 するものが 多 かった 横 アーチでは IC から Fzmax 間 の 膝 関 節 屈 曲 角 が 裸 足 に 比 べ 増 大 したものが 多 く 片 脚 着 地 動 作 時 の 衝 撃 を 吸 収 できた 人 が 多 かった (deg) 図 1 横 アーチ 角 度 増 加 (deg) 角 度 増 加 角 度 減 少 角 度 減 少 膝 屈 曲 角 度 変 化 量 足 背 屈 角 度 変 化 量 図 2 IC から Fzmax 間 の 角 度 変 化 量 (%BW) Fz ピーク 値 減 少 (%BW/ms) 荷 重 変 化 率 現 象 Fz ピーク 値 増 加 荷 重 変 化 率 増 加 Fz ピーク 値 荷 重 変 化 率 図 3 Fz ピーク 値 と 荷 重 変 化 率 引 用 文 献 1) Walter A. et al,: The effects of single-leg landing technique on ACL loading.j Biomech. Jul 7:44(10):1845-51.2011. 2) 君 島 康 一 ら, 下 肢 の 衝 撃 緩 衝 に 関 する 生 体 力 学 的 研 究, 日 本 臨 床 バイオメカニクス 学 会 誌 (20), 101-104.1999. ( 560-0083 大 阪 府 豊 中 市 新 千 里 西 町 1-1-7-2) 17-

< 助 成 研 究 報 告 > ~ 第 55 回 近 畿 理 学 療 法 学 術 大 会 発 表 ~ 膝 関 節 疾 患 患 者 における 坐 位 での 側 方 重 心 移 動 時 の 姿 勢 制 御 機 能 医 療 法 人 田 北 会 田 北 病 院 大 木 啓 輔 他 8 名 はじめに 中 枢 神 経 疾 患 患 者 における 坐 位 バランスについての 研 究 は 数 多 く 報 告 されているのに 対 し 骨 関 節 疾 患 患 者 に おける 坐 位 での 姿 勢 制 御 能 力 の 特 性 は 示 されていない 本 研 究 では 膝 前 十 字 靭 帯 再 建 術 後 患 者 を 対 象 に 坐 位 で の 側 方 重 心 移 動 時 の 姿 勢 制 御 機 能 を 明 らかにすることを 目 的 とした 方 法 対 象 は 当 院 で 自 家 腱 ( 半 腱 様 筋 )による 前 十 字 靭 帯 再 建 術 を 施 行 した 患 者 11 名 ( 男 性 2 名 女 性 9 名 43.7±10.2 歳 )と 健 常 者 11 名 ( 男 性 2 名 女 性 9 名 37.8±5.8 歳 )とした 患 者 群 の 計 測 は 術 後 1 週 半 で 実 施 した 運 動 課 題 は 足 底 非 接 地 の 端 座 位 にて 両 肩 を 水 平 に 保 持 した まま 左 右 へ 最 大 限 に 重 心 移 動 することとし 3 回 ずつ 実 施 した 両 肩 峰 と 両 上 後 腸 骨 棘 にマーカーを 貼 付 して 後 方 からデジタルビデオカメラで 撮 影 し 動 画 解 析 ソフト( 東 総 システム 社 製 ToMoCo-Lite)を 用 いて 水 平 面 と 両 上 後 腸 骨 棘 を 結 ぶ 線 および 両 肩 峰 を 結 ぶ 線 とのなす 角 (それぞ れ 骨 盤 傾 斜 角 肩 傾 斜 角 )( 図 1) 骨 盤 に 対 する 肩 の 傾 斜 角 度 ( 立 ち 直 り 角 度 )を 計 測 した 肩 傾 斜 角 度 は 右 への 移 動 時 は 反 時 計 回 りを 正 時 計 回 りを 負 とし 左 はその 逆 として 平 均 値 を 算 出 した また 股 関 節 屈 曲 内 外 旋 体 幹 側 屈 の 関 節 可 動 域 脊 柱 側 弯 の 有 無 を 調 査 した 統 計 処 理 は 患 者 群 健 常 群 ともに 対 応 のある t 検 定 (p<0.05) を 用 いて 左 右 差 を 比 較 した また 角 度 抽 出 方 法 の 信 頼 性 を 級 内 相 関 係 数 により 求 めて 検 討 した 図 1 肩 傾 斜 角 度 骨 盤 傾 斜 角 度 の 測 定 法 結 果 肩 傾 斜 角 骨 盤 傾 斜 角 立 ち 直 り 角 度 は 患 者 群 ( 健 側 / 患 側 )が-3.7±2.9 /-5.2±2.7 ( p=0.08) 31.4±3.7 /29.2±4.1 (p=0.04) 27.7±5.4 /24.0± 4.6 (p=0.02)で 患 側 の 骨 盤 傾 斜 角 と 立 ち 直 り 角 度 が 有 意 に 低 値 であった( 図 2) 健 常 群 ( 利 き 足 / 非 利 き 足 )では それぞれ-6.5±3.8 /-5.4±4.3 (p=0.46) 33.2± 5.0 /30.3±4.6 ( p=0.18) 26.7±5.6 24.9±4.7 (p=0.47)で 有 意 差 を 認 めなかった 患 者 群 の 股 関 節 外 旋 角 度 は 有 意 に 低 値 ( 健 患 差 :8.6±6.9 p=0.02)で あった その 他 股 関 節 体 幹 の 関 節 可 動 域 は 有 意 差 が 認 められなかった また 脊 柱 の 側 弯 は 全 例 認 められ なかった 角 度 抽 出 における 級 内 相 関 係 数 は 検 者 間 では 0.89~ 0.96 検 者 内 では 0.93~0.95 であった 図 2 患 者 の 肩 骨 盤 立 ち 直 り 角 度 考 察 患 者 群 における 患 側 の 骨 盤 傾 斜 角 度 と 立 ち 直 り 角 度 は 有 意 に 低 値 を 示 した 先 行 研 究 では 坐 位 の 側 方 重 心 移 動 は 移 動 側 のハムストリングス 大 殿 筋 中 殿 筋 や 対 側 の 腹 斜 筋 脊 柱 起 立 筋 の 働 きが 必 要 であることや 運 動 量 減 少 の 経 過 がある 症 例 は 腹 筋 群 や 殿 筋 群 の 低 緊 張 が 生 じ るとされている これらの 筋 機 能 の 低 下 により 坐 位 にお ける 患 側 への 重 心 移 動 が 低 下 したと 考 えられる さらに ACL 損 傷 患 者 は 体 幹 の 安 定 性 が 低 下 するとも 報 告 されて いる 本 研 究 は ACL 損 傷 者 を 対 象 としているため 体 幹 の 安 定 性 が 低 下 していたことも 考 えられる さらに 受 傷 後 や 術 後 の 疼 痛 と 荷 重 量 の 低 下 により 立 ち 直 りに 必 要 な 腹 筋 群 や 殿 筋 群 の 筋 機 能 が 低 下 したと 考 えられる また 患 者 群 では 股 関 節 外 旋 可 動 域 が 有 意 に 低 値 であっ たが 同 疾 患 の 若 干 例 を 検 証 した 結 果 課 題 遂 行 時 の 股 関 節 外 旋 角 度 は 本 研 究 の 股 関 節 外 旋 可 動 域 よりも 低 値 であった このことから 股 関 節 外 旋 可 動 域 の 有 意 差 を 認 めるが 側 方 重 心 移 動 に 及 ぼす 影 響 は 少 ないと 考 えられ た ( 639-1016 奈 良 県 大 和 郡 山 市 城 南 町 2-13) 18-

< 助 成 研 究 報 告 > ~ 第 70 回 日 本 体 力 医 学 会 発 表 ~ 少 年 野 球 選 手 における 体 幹 回 旋 可 動 域 特 性 と 投 球 障 害 の 関 連 医 療 法 人 健 彰 会 緑 かねこ 整 形 外 科 稲 葉 考 洋 他 4 名 背 景 投 球 障 害 を 予 防 する 上 で 体 幹 の 可 動 域 は 重 要 であ るが 投 球 障 害 を 有 する 野 球 選 手 の 体 幹 回 旋 可 動 域 についての 報 告 は 一 定 の 見 解 が 得 られていない 我 々は 先 行 研 究 にて 投 球 障 害 を 有 する 少 年 野 球 選 手 の 体 幹 回 旋 可 動 域 を 調 査 し 投 球 側 への 回 旋 可 動 域 が 非 投 球 側 と 比 較 し 減 少 することを 報 告 した( 第 24 回 関 西 臨 床 スポーツ 医 科 学 研 究 会 ) しかし 投 球 障 害 を 有 する 少 年 野 球 選 手 の 障 害 特 性 を 明 らか にするためには 障 害 を 有 さない 選 手 との 比 較 が 必 要 である 目 的 本 研 究 の 目 的 は 投 球 障 害 を 有 する 少 年 野 球 選 手 と 投 球 障 害 を 有 さない 少 年 野 球 選 手 の 体 幹 回 旋 可 動 域 について 比 較 検 討 し 投 球 障 害 との 関 係 を 明 らか にすることである さらに 股 関 節 の 回 旋 可 動 域 の 影 響 を 考 え 股 関 節 内 外 旋 可 動 域 についても 合 わせて 比 較 検 討 することとした 対 象 方 法 当 院 を 受 診 した 肩 肘 に 障 害 のある 少 年 野 球 選 手 25 名 ( 障 害 群 平 均 年 齢 12.3±1.4 歳 )と 検 診 に て 来 院 した 肩 肘 に 疼 痛 がない 少 年 野 球 選 手 25 名 ( 非 障 害 群 平 均 年 齢 13.2±2.1 歳 )を 対 象 に 体 幹 回 旋 可 動 域 及 び 股 関 節 内 外 旋 可 動 域 を 計 測 した 体 幹 回 旋 可 動 域 は 端 坐 位 で 両 足 接 地 し 両 肩 90 外 転 位 両 肘 屈 曲 位 で 肩 峰 に 手 指 を 接 触 させた 状 態 を 基 本 肢 位 とし 自 動 運 動 と 他 動 運 動 を 行 い 代 償 動 作 が 生 じないよう 十 分 注 意 して 測 定 した(1 単 位 ) 得 られた 測 定 値 は student s t-test を 使 用 し 障 害 群 と 非 障 害 群 の 比 較 を 行 った 結 果 体 幹 回 旋 可 動 域 は 障 害 群 の 投 球 側 への 回 旋 は 51.7±8.9 であり 非 障 害 群 (65.6±9.9 )と 比 較 し 有 意 に 低 値 を 示 した(p<0.01) 股 関 節 内 外 旋 可 動 域 は 非 投 球 側 の 外 旋 可 動 域 においてのみ 障 害 群 は 60.5±7.1 であり 非 障 害 群 (54.7±7.6 )と 比 較 して 有 意 に 高 値 を 示 した(p<0.01)( 表 1) 考 察 体 幹 回 旋 可 動 域 の 結 果 は 投 球 障 害 肩 の 野 球 選 手 は 非 投 球 側 と 比 べ 投 球 側 への 可 動 域 が 低 下 していた と 報 告 している 先 行 研 究 と 同 様 の 結 果 となり 投 球 障 害 を 有 する 少 年 野 球 選 手 は 投 球 側 の 体 幹 回 旋 可 動 域 減 少 を 認 めた これは 自 動 運 動 で 顕 著 となり 投 球 障 害 との 関 連 が 示 唆 された また 投 球 障 害 を 予 防 する 上 で 体 幹 回 旋 可 動 域 の 評 価 は 重 要 で 特 に 自 動 運 動 での 評 価 が 有 用 であると 示 唆 された 股 関 節 外 旋 可 動 域 の 結 果 は 骨 盤 の 動 きとの 関 係 から 投 球 側 の 体 幹 回 旋 可 動 域 減 少 に 影 響 を 与 える 可 能 性 が 考 えら れ 今 後 投 球 フォームと 合 わせて 検 討 していきたい 結 語 投 球 障 害 を 有 する 少 年 野 球 選 手 は 投 球 障 害 を 有 さ ない 少 年 野 球 選 手 と 比 較 し 投 球 側 への 体 幹 回 旋 可 動 域 の 減 少 と 非 投 球 側 の 股 関 節 外 旋 可 動 域 の 増 大 を 認 め 投 球 障 害 に 関 連 している 可 能 性 が 示 唆 された ( 538-0054 大 阪 市 鶴 見 区 緑 1-11-3) 編 集 後 記 今 年 は 4 年 に 一 度 のオリンピックイヤーです 普 段 は 関 わることの 無 いような 競 技 にも この 機 会 に 見 ることができるので 非 常 に 楽 しみです リオデジャネイロとは 時 差 が 大 きいので 夜 更 かしをして 競 技 を 見 てしまいそうで 今 から 心 配 です でも やっぱり 生 で 見 たいので 東 京 の 時 は 現 地 で 選 手 の 活 躍 を 見 た いと 思 っています 19-

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