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てきた 問 題 点 を 今 一 度 検 討 する 必 要 があるものと 思 われる このような 問 題 意 識 の 下 本 論 は 以 下 のように 展 開 される 道 路 は 本 来 無 料 と 規 定 されているにもかかわらず 高 速 道 路 が 有 料 である 理 由 を 明 らかに するため 高 速 道 路 が 有 料 道 路 制 度 により 整 備 されるにいたった 背 景 を 述 べる そして 有 料 道 路 制 度 及 び 道 路 公 団 による 有 料 道 路 の 建 設 管 理 は 道 路 網 整 備 の 一 つの 手 法 であるこ とを 述 べる 続 いて 有 料 道 路 制 度 による 道 路 整 備 の 帰 結 である 償 還 主 義 について 検 討 する 償 還 主 義 については 道 路 公 団 時 代 に 費 用 負 担 の 公 平 性 に 関 する 議 論 が 存 在 した その 議 論 は 高 速 道 路 料 金 の 無 料 化 にも 通 じることから 改 めて 本 論 で 検 討 する そして 高 速 道 路 ネットワーク 全 体 の 費 用 を 一 括 して 償 還 する 制 度 である 料 金 プール 制 の 概 要 を 説 明 する 料 金 プール 制 の 下 では ある 路 線 の 料 金 収 入 が 他 の 路 線 の 借 入 金 の 返 済 に 充 てられるという 意 味 での 内 部 補 助 が 生 じる 料 金 プール 制 は 高 速 道 路 ネットワークの 整 備 するための 手 段 であるので ネットワーク 目 標 により 路 線 間 に 生 じる 内 部 補 助 の 意 味 は 異 なってくる しかし 我 が 国 の 高 速 道 路 ネットワーク 目 標 はあまり 明 確 でないことから 路 線 間 に 生 じる 内 部 補 助 の 意 味 も 必 ずしも 明 確 でないことを 示 す そして 受 益 と 負 担 の 乖 離 から 生 じた 内 部 補 助 に 対 する 批 判 への 対 応 画 一 料 率 制 について 整 理 検 討 を 行 う そして 最 後 に 今 後 検 討 を 行 うべき 課 題 を 指 摘 する 2. 有 料 道 路 制 公 団 方 式 による 高 速 道 路 整 備 の 背 景 先 に 述 べたように わが 国 では 道 路 に 関 する 基 本 法 である 道 路 法 によって 道 路 無 料 開 放 の 原 則 が 定 められており その 整 備 は 主 に 公 的 主 体 によって 行 われている 道 路 は 利 用 者 に 無 料 で 開 放 されるものである 以 上 その 整 備 財 源 は 一 般 財 源 により 賄 われることが 適 切 であ る しかし わが 国 では 道 路 特 定 財 源 制 度 および 有 料 道 路 制 度 のように 道 路 利 用 者 の 負 担 による 整 備 財 源 制 度 が 採 用 されてきた その 背 景 には 以 下 のことがあげられる わが 国 の 道 路 は 本 格 的 な 馬 車 交 通 の 時 代 を 経 験 しなかったこと 明 治 期 以 降 鉄 道 優 先 の 政 策 が 行 われていたこと そして 第 2 次 世 界 大 戦 中 に 酷 使 され その 修 繕 が 放 置 されていた ことから 戦 後 その 整 備 水 準 は 著 しく 低 いものであった 戦 後 復 興 及 び 急 速 なモータリゼ ーションの 発 展 に 対 応 するためにも 早 急 に 道 路 の 整 備 改 善 が 必 要 とされていたが 戦 争 の ため 日 本 経 済 は 疲 弊 しており 一 般 財 源 による 安 定 的 な 財 源 が 得 られなかったので わが 国 の 道 路 整 備 は 遅 々としてすすまなかった このような 道 路 資 本 ストック 及 び 道 路 整 備 財 源 が 不 足 している 状 況 の 中 で サービス 受 益 者 の 負 担 による 整 備 原 則 つまり 受 益 者 負 担 の 原 則 が 導 入 され 道 路 網 を 整 備 する 方 法 として 2 つの 財 源 調 達 方 式 が 採 用 されることとなった 250

その 1 つが 揮 発 油 税 をはじめとする いわゆるガソリン 税 を 一 般 道 路 整 備 財 源 にあてる 特 定 財 源 制 度 であり もう 1 つが 有 料 道 路 制 度 である 後 者 の 有 料 道 路 制 度 は 1952 年 に 制 定 された 旧 道 路 整 備 特 別 措 置 法 によって 本 格 的 に 認 め られ 国 または 地 方 公 共 団 体 が 道 路 を 整 備 する 際 に 借 入 金 を 用 いて 道 路 を 建 設 し 完 成 し た 道 路 の 通 行 料 金 収 入 でもって 借 入 金 を 返 済 するという 方 式 ( 償 還 主 義 )が 採 用 された 償 還 主 義 と 道 路 無 料 開 放 の 原 則 に 従 うと 道 路 が 有 料 にて 供 せられるのは 借 入 金 を 返 済 する までの 間 であり 有 料 道 路 は 償 還 後 無 料 で 開 放 される つまり 有 料 道 路 制 は 基 本 的 には 法 律 上 の 時 限 的 措 置 であり 道 路 を 整 備 するための 一 つの 手 法 である そして 高 速 自 動 車 国 道 をはじめとする 高 速 道 路 は 主 に 有 料 道 路 制 による 整 備 が 行 われている 旧 道 路 整 備 特 別 措 置 法 においては 国 または 地 方 公 共 団 体 は 建 設 資 金 を 政 府 の 資 金 運 用 部 特 別 会 計 から 借 り 入 れることとされていたが 事 業 の 効 率 的 運 営 と 資 金 源 の 拡 大 ( 民 間 資 金 の 活 用 )を 目 的 として 1956 年 に 道 路 公 団 法 が 成 立 し 日 本 道 路 公 団 が 設 立 された 続 いて 1959 年 に 首 都 高 速 道 路 公 団 が 1962 年 に 阪 神 高 速 道 路 公 団 が そして 1970 年 に 本 州 四 国 連 絡 橋 公 団 が 設 立 された 2 これら 日 本 道 路 公 団 ( 以 下 道 路 公 団 )をはじめとする 道 路 関 係 四 公 団 の 設 立 により 従 来 国 が 直 轄 で 行 っていた 有 料 道 路 の 建 設 が 道 路 公 団 方 式 によりな されるようになった 有 料 道 路 は 償 還 主 義 を 採 用 し 償 還 後 無 料 とされていることから 道 路 公 団 は 償 還 費 用 を 料 金 収 入 によって 償 った 後 解 散 される つまり 道 路 公 団 は 恒 久 的 事 業 ではなく 有 限 的 事 業 であった 道 路 公 団 の 目 的 は 有 料 道 路 の 新 設 改 築 維 持 修 繕 その 他 の 管 理 を 総 合 的 かつ 効 率 的 に 行 うこと 等 によって 道 路 の 整 備 を 促 進 し 効 率 的 な 交 通 に 寄 与 することであった 有 料 道 路 を 新 設 することは 道 路 公 団 の 業 務 であったが 具 体 的 にどこに 道 路 を 建 設 するかといった 基 本 計 画 や 整 備 計 画 は 国 土 開 発 幹 線 自 動 車 道 建 設 審 議 会 ( 会 議 )などによって 決 められ 国 土 交 通 大 臣 ( 旧 建 設 大 臣 )による 施 行 命 令 に 基 づいてその 建 設 は 行 われており 公 団 自 身 は 投 資 決 定 主 体 としての 機 能 を 有 していなかった 道 路 公 団 の 目 的 や 業 務 そして 公 団 が 投 資 意 思 決 定 主 体 としての 機 能 を 有 していないこと から 分 かるように 道 路 公 団 方 式 は 公 的 主 体 によって 計 画 決 定 された 高 速 道 路 網 を 建 設 管 理 するひとつの 手 法 であった 3. 償 還 主 義 わが 国 の 高 速 道 路 で 採 用 している 有 料 道 路 制 は 高 速 道 路 の 建 設 資 金 を 借 入 金 でまかない 当 該 道 路 を 利 用 することによる 料 金 収 入 でもって 借 入 金 元 利 と 維 持 管 理 費 用 を 償 うという 償 還 主 義 を 伴 った 制 度 である 償 還 主 義 自 体 は 道 路 関 係 四 公 団 民 営 化 以 降 も 維 持 されており 251

基 本 的 には 道 路 公 団 時 代 と 違 いはない そこで 本 節 では 道 路 公 団 時 代 の 償 還 主 義 について 主 に 検 討 する ここで 単 一 路 線 のみでの 償 還 を 考 え 料 金 及 び 利 子 率 が 償 還 期 間 を 通 じて 一 定 であり 車 種 区 分 をしないと 仮 定 すると 償 還 主 義 は 以 下 のように 数 式 を 用 いて 表 される (2.1) t: 年 次 (t=1 は 供 用 年 次 ) T: 償 還 期 間 p: 料 金 水 準 D t (p):t 期 の 需 要 関 数 K: 建 設 費 用 O t :t 期 の 維 持 管 理 費 用 γ: 利 子 率 2.1 式 は 償 還 時 点 での 料 金 収 入 総 額 が 同 時 点 での 建 設 費 と 維 持 管 理 費 の 総 額 と 等 しいこ とを 意 味 する ここで 償 還 期 間 利 子 率 建 設 費 維 持 管 理 費 用 が 外 生 的 に 与 えられ 需 要 関 数 が 想 定 されると 料 金 のみが 内 生 的 に 決 定 される つまり 償 還 時 点 での 料 金 収 入 総 額 が 同 時 点 での 建 設 費 用 と 維 持 管 理 費 の 総 額 と 等 しくなるよう 料 金 が 設 定 される 明 らかな ように 償 還 主 義 は 償 還 期 間 を 通 じて 収 支 を 償 うことを 要 求 しており 単 年 度 での 収 支 均 衡 を 要 求 していない また 料 金 は 総 収 入 と 総 費 用 とが 等 しくなるよう 設 定 されることから 高 速 道 路 事 業 において 利 潤 は 存 在 しない したがって 各 年 における 収 入 と 金 利 維 持 管 理 費 などとの 差 額 は 高 速 道 路 の 建 設 資 金 の 償 還 に 充 てられている 3 各 年 の 料 金 収 入 額 と 費 用 の 差 を 借 入 金 の 返 済 に 充 てていることは 通 常 の 企 業 会 計 方 式 に おける 利 益 償 却 を 行 っているとされ 批 判 されることがある しかし 償 還 主 義 の 下 では 利 潤 が 存 在 していないので その 批 判 は 適 当 でない 4 一 般 に 高 速 道 路 の 投 資 は 巨 額 であり その 耐 用 期 間 も 長 期 にわたる また 利 用 する 交 通 量 は 供 用 初 期 において 少 なく 供 用 後 時 間 が 経 過 するに 従 い 経 済 が 成 長 したり 当 該 道 路 付 近 において 産 業 立 地 が 進 んだりするなどして 増 加 する したがって 利 用 者 の 料 金 負 担 力 は 供 用 初 期 においては 弱 く 時 間 の 経 過 とともに 強 くなると 想 定 される 一 方 で 高 速 道 路 事 業 に 通 常 の 減 価 償 却 方 式 を 採 用 すると 各 年 の 施 設 の 減 価 償 却 費 を 年 ごとの 料 金 収 入 で 償 うことが 要 求 されるため 供 用 初 期 において 一 人 当 たりの 負 担 額 が 重 く 時 間 の 経 過 ととも に 軽 くなる 高 速 道 路 の 需 要 特 性 を 考 慮 すると 利 用 者 の 料 金 負 担 力 の 弱 い 時 期 に 高 い 料 金 を 課 し 負 担 力 の 強 い 時 期 に 低 い 料 金 を 課 すことになるので 施 設 の 十 分 な 利 用 につながら 252

ず 償 還 期 間 内 での 借 入 金 の 返 済 が 達 成 できない 恐 れがある このような 事 態 を 防 ぐために 償 還 主 義 は 減 価 償 却 と 支 払 い 利 子 の 負 担 を 産 出 量 ( 通 行 量 ) 比 例 で 償 却 を 行 っており 直 観 的 には 合 理 的 で 公 平 な 費 用 の 配 布 方 法 であるように 見 える また このような 方 式 は 世 代 間 収 支 相 償 という 意 味 で 世 代 間 の 内 部 補 助 を 行 っているよう にも 見 える ただし 通 路 施 設 は 供 用 期 間 中 に 輸 送 サービスを 結 合 的 に 生 産 していると 解 釈 できるから その 建 設 費 用 は 結 合 費 であり 原 因 者 を 特 定 できない したがって 当 該 路 線 の 建 設 費 用 に 関 する 時 間 的 な 内 部 補 助 は 定 義 できないことになる 一 方 で 通 路 施 設 の 建 設 費 用 が 時 間 を 通 じた 結 合 費 であり 原 因 者 を 特 定 できないことは 同 時 に 産 出 量 ( 通 行 量 ) 比 例 での 費 用 配 布 もまた 恣 意 的 な 配 布 方 法 であることを 意 味 する 高 速 道 路 の 需 要 料 金 弾 力 性 は 世 代 間 で 変 化 すると 考 えられることから 時 間 を 通 じたラムゼ イ 料 金 による 費 用 配 布 を 行 う 方 が 効 率 的 であるとの 指 摘 ( 藤 井 (1987) 杉 山 (1997))もあ る ただしその 場 合 料 金 は 供 用 初 期 において 低 く 時 間 の 経 過 とともに 高 くなることから 利 用 者 の 公 平 感 に 適 さない 費 用 配 布 方 法 である 可 能 性 が 高 いこと ラムゼイ 料 金 を 求 めるた めには 需 要 の 料 金 弾 力 性 を 計 測 する 必 要 があるが 将 来 における 弾 力 性 の 計 測 には 不 確 実 性 を 伴 い 困 難 であることが 問 題 としてあげられる 償 還 主 義 については 高 速 道 路 の 利 用 可 能 性 便 益 は 実 際 の 利 用 者 以 外 にも 生 じているにも 関 わらず その 費 用 を 料 金 収 入 のみで 償 うことは 利 用 者 だけが 費 用 の 負 担 をしていること を 意 味 し 償 還 主 義 は 利 用 者 に 過 大 な 負 担 を 強 いており 不 公 平 であるという 批 判 がある( 杉 山 (1981)) この 批 判 は 高 速 道 路 の 費 用 は 高 速 道 路 を 利 用 する 直 接 的 な 受 益 者 だけでなく 外 部 性 便 益 も 含 めたサービスのすべての 受 益 者 によってまかなわれるべきだという 意 味 での 受 益 者 負 担 原 則 の 徹 底 を 要 求 しているものと 解 釈 できる 確 かに 高 速 道 路 のような 巨 大 な 社 会 的 間 接 資 本 (インフラストラクチャー)においては 利 用 可 能 性 便 益 は 大 きいと 考 えられ 外 部 性 を 享 受 する 者 も 費 用 の 一 部 を 負 担 することが 受 益 者 負 担 の 原 則 に 適 していると 思 われる そし て 現 在 の 高 速 道 路 整 備 目 標 5 を 考 慮 すると 利 用 可 能 性 便 益 は 広 く 国 土 全 般 にいきわたる こと その 場 合 の 個 々 人 の 支 払 い 意 思 の 正 確 な 把 握 や 料 金 徴 収 に 要 する 費 用 が 多 大 になると 想 定 されること 等 を 考 慮 すると 利 用 可 能 性 便 益 に 対 する 費 用 の 回 収 は 一 括 税 によりなされ ることの 方 が 適 切 であろう したがって 高 速 道 路 の 費 用 負 担 の 方 法 は 二 部 料 金 制 を 応 用 し 利 用 可 能 性 便 益 に 対 する 支 払 いを 固 定 料 金 として 一 般 財 源 より 拠 出 し 各 利 用 者 は 利 用 に 伴 う 限 界 費 用 分 だけを 負 担 するという 方 式 も 一 つの 方 法 として 考 えられる しかし 利 用 可 能 性 便 益 を 生 んでいるのは 通 路 施 設 の 存 在 であり 高 速 道 路 における 有 料 道 路 制 が 採 用 さ れたのは 通 路 施 設 の 整 備 財 源 不 足 であったという 背 景 を 考 慮 すると 有 料 道 路 制 採 用 当 時 に おいて 一 般 財 源 からの 整 備 費 用 の 調 達 は 現 実 的 でなかったものと 思 われる ただし 近 年 の 高 速 道 路 料 金 無 料 化 論 は 建 設 費 を 含 む 総 費 用 を 直 接 的 な 施 設 利 用 者 の 負 担 により 回 収 する 253

のではなく 利 用 可 能 性 便 益 に 対 する 支 払 いとして 広 く 国 民 より 税 金 でもって 回 収 する 方 式 への 転 換 とも 解 釈 できる 償 還 主 義 については 以 上 のような 問 題 点 が 指 摘 されているものの その 時 間 的 プールの 機 能 が 高 速 道 路 の 整 備 と 利 用 を 促 進 する 役 割 を 果 たしてきたとの 評 価 が 多 い( 藤 井 (1987) 中 条 (1995)) 4. 料 金 プール 制 我 が 国 の 高 速 道 路 は 償 還 主 義 とともに 料 金 プール 制 を 採 用 している 料 金 プール 制 は 料 金 プールに 含 まれる 路 線 を 建 設 するための 借 入 金 総 額 をその 総 料 金 収 入 でもって 返 済 するとい う 制 度 である 料 金 プール 制 は 1972 年 3 月 の 道 路 審 議 会 答 申 ( 以 下 72 年 答 申 )に 基 づい て 同 年 10 月 から 採 用 された 同 答 申 は 料 金 プール 制 の 導 入 の 理 由 として 建 設 場 所 や 時 期 の 違 いにより 生 じる 料 金 差 の 平 準 化 借 入 金 の 円 滑 な 償 還 全 国 的 な 高 速 道 路 ネットワー クの 形 成 などをあげている 高 速 道 路 ネットワークを 形 成 する 際 一 度 に 全 ての 路 線 の 整 備 を 行 うことはできず 個 別 の 路 線 の 整 備 が 時 系 列 的 に 行 われる 路 線 によって 建 設 される 場 所 や 時 間 が 異 なることから 建 設 費 用 にも 差 が 生 じ 借 入 金 は 路 線 ごとに 異 なりうる 全 路 線 を 一 括 償 還 することで 建 設 時 期 や 場 所 の 違 いから 生 じる 料 金 の 差 を 平 準 化 することができる 一 方 で 建 設 費 用 や 料 金 プールに 加 入 する 時 期 が 路 線 間 で 異 なることは 当 該 路 線 建 設 の ために 調 達 した 借 入 金 以 上 に 料 金 収 入 を 得 ている 路 線 反 対 にそれ 以 下 の 料 金 収 入 しか 得 て いない 路 線 を 生 じさせる つまり 料 金 プール 制 の 下 では ある 路 線 の 料 金 収 入 が 当 該 路 線 だけでなく 他 の 路 線 の 借 入 金 の 返 済 に 充 てられるという 意 味 での 内 部 補 助 が 路 線 間 に 生 じる ことになるが ここでの 内 部 補 助 はネットワーク 全 体 の 借 入 金 を 早 期 に 返 済 する 手 段 として 機 能 していると 言 えよう また 料 金 プール 制 は 路 線 間 の 内 部 補 助 を 活 用 することで 高 速 道 路 ネットワークを 形 成 す る 手 段 にもなりうる ここで ある 路 線 から 得 られる 料 金 収 入 が 当 該 路 線 の 資 本 費 及 び 維 持 管 理 費 を 上 回 っていることを 採 算 性 が 保 たれていると 表 現 するならば たとえ 料 金 プールに 含 まれる 一 部 の 路 線 が 単 独 で 採 算 性 を 保 っていないとしても プール 全 体 の 採 算 性 が 保 たれ ている 限 り 借 入 金 の 償 還 には 基 本 的 に 差 し 支 えない したがって 路 線 別 償 還 制 の 下 では 償 還 期 間 内 に 借 入 金 を 償 還 する 見 通 しが 立 たず 整 備 が 困 難 な 路 線 であっても 料 金 プール 全 体 の 採 算 性 が 保 たれているのならば プールに 加 えることで 整 備 が 可 能 となる このように 高 速 道 路 ネットワークを 整 備 するための 手 段 として 料 金 プール 制 の 活 用 する 場 合 その 整 備 目 標 により 路 線 間 に 生 じる 内 部 補 助 の 意 味 が 異 なってくる 254

一 般 に 高 速 道 路 をはじめとする 社 会 的 間 接 資 本 の 整 備 には 資 源 配 分 の 効 率 性 のみならず 公 平 性 も 要 求 される 資 源 配 分 の 効 率 性 を 満 足 することは 必 ずしも 配 分 の 公 平 性 を 満 足 す るとは 限 らないので 高 速 道 路 の 中 には 路 線 から 生 じる 直 接 的 な 総 便 益 が 総 費 用 と 少 なくと も 等 しいような 効 率 性 を 満 たす 路 線 とそうでない 路 線 が 存 在 しうる 前 者 の 路 線 のみによって 料 金 プールを 形 成 する 場 合 を 考 える この 場 合 であっても 料 金 プ ールの 中 には 路 線 単 独 の 料 金 収 入 により 定 められた 期 間 内 で 借 入 金 を 返 済 することが 難 しい 路 線 も 存 在 しうる しかし 料 金 内 の 全 ての 路 線 は 少 なくとも 総 便 益 が 総 費 用 と 等 しい 路 線 であるので 個 々の 路 線 に 対 する 利 用 者 の 支 払 意 思 総 額 は 総 費 用 を 上 回 っており 料 金 設 定 や 償 還 期 間 を 工 夫 することによって 路 線 単 独 による 借 入 金 の 返 済 は 理 論 的 には 可 能 である したがって 効 率 性 を 満 たす 路 線 は 有 料 道 路 制 による 道 路 整 備 に 適 した 路 線 であり そのよ うな 路 線 のみで 料 金 プールを 形 成 することは 内 部 補 助 を 効 率 的 な 高 速 道 路 ネットワーク 形 成 のための 手 段 として 活 用 していると 言 える 後 者 の 路 線 を 含 めたプールを 形 成 する 場 合 を 考 える この 場 合 料 金 プールの 中 には 路 線 から 生 じる 総 便 益 が 総 費 用 を 下 まわるような 路 線 も 含 まれる 総 便 益 が 総 費 用 よりも 小 さい ことは 利 用 者 の 支 払 い 意 思 総 額 が 総 費 用 よりも 小 さいことを 意 味 するので たとえ 料 金 設 定 や 償 還 期 間 を 工 夫 したとしてもその 路 線 単 独 の 料 金 収 入 による 借 入 金 の 返 済 は 見 込 めない つまり 総 便 益 が 総 費 用 よりも 小 さい 路 線 は 有 料 道 路 制 による 整 備 に 不 向 きな 路 線 であると 言 える しかし このことは 必 ずしもその 路 線 の 整 備 が 棄 却 されることを 意 味 せず いわゆ るシビルミニマムのように 市 民 生 活 一 般 に 関 する 公 平 性 の 確 保 の 観 点 からその 建 設 が 採 択 さ れることもありうる ただし そのような 路 線 を 料 金 プール 制 により 整 備 することは 市 民 生 活 一 般 の 公 平 性 を 満 たすために 内 部 補 助 を 活 用 し その 費 用 を 一 部 の 高 速 道 路 利 用 者 だけ に 負 担 させることを 意 味 する 72 年 答 申 ではプール 制 により 路 線 の 採 択 が 安 易 になることに 対 応 するために 路 線 採 択 の 原 則 として 路 線 採 択 は 全 国 的 な 高 速 自 動 車 国 道 網 の 一 環 と 考 えられる 路 線 で 路 線 別 採 算 性 に 従 えば 供 用 開 始 後 おおむね 30 年 以 内 で 償 還 が 可 能 と 推 定 される 路 線 または プ ール 全 体 の 路 線 に 余 裕 のある 場 合 に 限 り 35 年 以 内 に 償 還 可 能 と 推 定 される 路 線 にとどめる べきである との 原 則 を 示 した その 一 方 で 72 年 答 申 は 法 定 の 整 備 計 画 7,600km について は 上 記 の 基 準 によると 北 海 道 や 四 国 の 全 路 線 や 横 断 道 の 大 部 分 はプールから 除 外 されるこ とになり 全 国 自 動 車 国 道 網 の 最 適 体 系 を 形 成 させるとの 観 点 からは 適 当 でないとして 全 路 線 のプールへの 組 み 入 れを 認 めている このように 路 線 採 択 の 原 則 は 基 本 的 には 路 線 別 償 還 を 行 ったとしても 償 還 期 間 内 で 債 務 の 返 済 が 行 える 路 線 のみにより 料 金 プールを 構 成 することを 定 めている 一 方 で 原 則 に 当 て はまらないにもかかわらずプールに 加 えられた 路 線 もあることから 料 金 プール 制 は 効 率 的 な 高 速 道 路 ネットワークの 形 成 の 手 段 としてではなく 全 国 的 な 高 速 道 路 ネットワークの 形 255

成 の 手 段 として 用 いられたと 言 える また 1987 年 の 四 全 総 において 高 規 格 幹 線 道 路 網 14,000km(プール 制 で 11,520km) 計 画 が 設 定 されたが その 際 示 されたネットワーク 形 成 基 準 は 1 主 要 地 方 都 市 間 の 連 絡 2 主 要 空 港 港 湾 との 連 絡 3 大 都 市 環 状 道 路 の 整 備 4 混 雑 区 間 の 解 消 5リダンダンシー ( 冗 長 性 ) 6 の 確 保 という 効 率 上 の 基 準 に 加 えて 6 国 土 のどこからでも 高 速 道 路 ネットワ ークへのアクセスタイム 1 時 間 以 内 との 機 会 均 等 上 の 基 準 が 設 けられており 道 路 関 係 四 公 団 の 分 割 民 営 化 以 降 もその 目 標 は 変 更 されていない プール 制 で 整 備 するとされた 予 定 路 線 11,520km の 中 で 整 備 計 画 が 進 められていた 区 間 9,342km のうち 供 用 済 みの 7,367km を 除 く 1,975km の 整 備 については 分 割 民 営 化 に 先 立 つ 2003 年 の 国 土 幹 線 自 動 車 道 建 設 会 議 の 結 果 従 来 の 有 料 道 路 方 式 により 整 備 する 路 線 と 新 たに 政 府 財 源 より 建 設 し 無 料 で 開 放 する 新 直 轄 方 式 によって 整 備 する 路 線 に 区 分 された 2006 年 の 国 土 幹 線 自 動 車 道 建 設 会 議 の 結 果 会 社 は 有 料 道 路 として 自 主 的 に 1,153 kmを 整 備 することを 表 明 したが プール に 組 み 込 まれる 約 8,500 kmの 整 備 区 間 が 四 全 総 のネットワーク 基 準 のうち1~6の 全 てを 満 たす 路 線 であるのか あるいは 一 部 のみを 満 たす 路 線 であるのかは 明 らかでない したが って 道 路 関 係 四 公 団 の 分 割 民 営 化 以 降 も 路 線 間 に 生 じている 内 部 補 助 の 意 味 は 明 確 でな い 先 に 述 べたように 我 が 国 の 有 料 道 路 制 度 は 一 定 期 間 で 借 入 金 の 返 済 を 行 う 償 還 主 義 を 伴 う 制 度 である 償 還 主 義 の 下 で 料 金 プール 制 が 採 用 されると 新 規 の 路 線 が 料 金 プールに 加 えられるたびに 償 還 しなければならない 借 入 金 の 総 額 は 増 加 する このことは 借 入 金 の 返 済 を 開 始 する 日 にち( 換 算 起 算 日 )を 設 定 する 際 に 以 下 のような 事 態 を 生 じさせる 一 番 早 くに 建 設 された 路 線 ( 名 神 高 速 道 路 )の 供 用 開 始 日 を 換 算 起 算 日 として 設 定 すると 料 金 プ ール 内 の 全 ての 借 入 金 を 償 還 するためには 償 還 期 間 を 長 くしない 限 り 料 金 を 上 昇 させざる を 得 なくなり 借 入 金 の 返 済 に 十 分 なほどの 高 速 道 路 の 利 用 がなされない 可 能 性 がある も う 一 方 で 最 後 に 建 設 された 路 線 の 供 用 開 始 日 を 換 算 起 算 日 に 設 定 すると 路 線 が 料 金 プー ルに 加 えられるたびに 換 算 起 算 日 が 遅 くなり 先 発 路 線 の 料 金 徴 収 期 間 が 長 くなるので 先 発 路 線 の 利 用 者 の 負 担 感 が 大 きくなる このような 事 態 に 対 処 するため 民 営 化 以 前 の 道 路 公 団 では 換 算 起 算 日 を 最 初 に 全 線 開 通 された 路 線 ( 名 神 高 速 道 路 )の 供 用 開 始 日 (1965 年 7 月 1 日 )を 基 準 年 とし その 後 の 各 路 線 の 供 用 開 始 日 までの 期 間 を 建 設 費 用 により 加 重 平 均 して 決 めていた 換 算 起 算 日 の 算 定 式 は 以 下 のように 与 えられる 換 算 起 算 日 = (3.2) K i : 路 線 i の 建 設 費 用 N i : 名 神 高 速 道 路 と 路 線 i との 供 用 開 始 日 の 差 256

i: 路 線 名 (i=0 は 名 神 高 速 道 ) 換 算 起 算 日 は(3.2) 式 のように 算 定 され 1999 年 4 月 に 行 われた 道 路 公 団 民 営 化 以 前 の 最 後 の 料 金 改 定 の 際 算 定 された 換 算 起 算 日 は 1999 年 1 月 であった ただし 当 面 の 料 金 の 上 昇 を 抑 えるために 償 還 期 間 の 延 長 は 行 われ 当 初 30 年 とされた 償 還 期 間 であったが 1995 年 4 月 の 料 金 改 定 時 より 40 年 に 1999 年 4 月 の 料 金 改 定 時 には 45 年 に 変 更 されてい る なお 道 路 関 係 四 公 団 の 分 割 民 営 化 に 伴 い 換 算 起 算 日 は 分 割 民 営 化 が 行 われた 2005 年 10 月 1 日 に 償 還 期 間 は 45 年 に 設 定 されている いずれにせよ 料 金 プール 制 の 下 では 先 発 路 線 と 後 発 路 線 間 に 内 部 補 助 が 生 じる また 料 金 プールの 中 には 路 線 単 独 での 借 入 金 の 返 済 が 困 難 である 路 線 も 存 在 することから 採 算 路 線 と 不 採 算 路 線 との 間 にも 内 部 補 助 が 生 じることになる このような 内 部 補 助 が 過 度 に 生 じると 路 線 間 で 受 益 と 負 担 が 大 きく 乖 離 することになり 利 用 者 の 間 に 不 公 平 感 が 生 じる そのような 過 度 の 内 部 補 助 を 抑 えるために 外 部 からの 補 助 が 求 められた 1983 年 より 新 規 の 地 域 開 発 型 路 線 ( 横 断 道 路 など)の 資 金 コストは 3%と 定 められ それを 上 回 る 分 は 国 か らの 補 助 で 賄 うこととされた その 他 の 路 線 の 資 金 コストが 当 時 6.5%であったことから 地 域 開 発 路 線 の 資 金 コストが 3%であったことは 路 線 単 独 での 採 算 が 見 込 めないにも 関 わ らず 料 金 プールに 組 み 込 むことで 整 備 される 路 線 への 政 府 の 補 償 であったと 判 断 できる た だし 2003 年 に 特 殊 法 人 に 対 する 国 からの 補 助 金 は 打 ち 切 られたため その 根 拠 を 問 われる ことなく 道 路 公 団 に 対 する 補 助 もまた 打 ち 切 られている 国 からの 補 助 等 の 措 置 がなされたものの 過 度 の 内 部 補 助 によって 生 じる 受 益 と 負 担 の 乖 離 への 批 判 が 高 まったため 1985 年 4 月 の 道 路 審 議 会 中 間 答 申 ( 以 下 85 年 中 間 答 申 )にお いて 路 線 間 の 内 部 補 助 の 限 度 が 設 定 された 同 答 申 において 内 部 補 助 を 受 ける 側 の 限 度 と しては その 路 線 の 料 金 収 入 と 国 費 等 を 合 わせた 額 程 度 までとし 内 部 補 助 をする 側 の 限 度 としてはその 路 線 の 再 取 得 費 用 とすることが 提 案 されている そのような 内 部 補 助 の 限 度 は 合 理 的 なものでなく 特 に 受 ける 側 の 限 度 は 少 なくとも 補 助 額 と 等 しい 分 位 はその 路 線 の 料 金 収 入 と 国 からの 補 助 で 持 ってまかなうべきだという 素 朴 な 公 平 感 に 基 づくものである ま た 内 部 補 助 をする 側 の 限 度 は その 路 線 の 取 得 原 価 と 再 取 得 費 用 の 差 分 までとするもので あるが 料 金 収 入 額 における 基 準 年 の 設 定 再 取 得 費 用 の 算 定 そして 評 価 期 間 の 設 定 など の 技 術 的 問 題 を 含 んでいる 道 路 関 係 四 公 団 の 分 割 民 営 化 の 結 果 料 金 プールは 各 高 速 道 路 会 社 単 位 に 設 定 されたが 路 線 間 に 生 じる 内 部 補 助 の 限 度 は 撤 廃 された したがって 各 会 社 の 料 金 プール 内 においては 路 線 間 の 内 部 補 助 により 受 益 と 負 担 の 乖 離 は 拡 大 している と 言 える 料 金 プール 制 を 勧 告 した 72 年 答 申 においては 画 一 料 率 制 の 導 入 も 勧 告 し 実 施 された 料 金 プール 制 の 採 用 は 必 ずしも 画 一 料 率 制 を 意 味 しないが 画 一 料 率 制 導 入 の 根 拠 として 高 257

速 道 路 ネットワークの 全 国 的 一 体 性 建 設 時 期 の 違 いへの 配 慮 提 供 されるものがほぼ 全 国 同 質 のサービスであること かつ 同 じ 公 団 の 経 営 にかかることなどが 理 由 にあげられた 高 速 道 路 ネットワークの 全 国 的 一 体 性 サービスの 同 質 性 については 個 々の 利 用 者 間 で 移 動 の 起 終 点 が 異 なり 料 金 負 担 力 に 差 が 存 在 するなど 利 用 者 は 必 ずしも 高 速 道 路 ネット ワークを 一 体 のものとしてみなしていない また 高 速 道 路 は 形 式 上 一 体 的 であるものの 全 く 場 所 の 異 なる A 地 点 から B 地 点 への 移 動 と C 地 点 から D 地 点 への 移 動 とではたとえ 両 者 の 移 動 距 離 が 同 じであったとしても 両 者 の 起 終 点 が 異 なる 以 上 同 質 のサービスを 提 供 しているとは 言 えない したがって 高 速 道 路 がネットワークを 形 成 していたとしても 路 線 ごとに 需 要 状 況 を 反 映 した 異 なった 料 金 を 課 しうる このように 画 一 料 率 制 は 効 率 性 の 観 点 からなされたというよりは 見 かけ 上 の 公 平 性 が 優 先 されて 採 用 されたと 言 える 有 料 道 路 制 が 高 速 道 路 ネットワークを 整 備 するための 手 段 で あり 将 来 無 料 で 開 放 されることが 前 提 とされる 以 上 料 金 プール 内 の 借 入 金 は 返 済 されな ければならないので 収 支 均 衡 の 下 での 効 率 性 を 考 慮 したラムゼイ 料 金 設 定 のように 路 線 ご との 需 要 状 況 を 反 映 した 料 金 設 定 も 考 慮 されえたであろう 7 なお 道 路 関 係 四 公 団 の 分 割 民 営 化 の 際 の 目 的 に 多 様 で 弾 力 的 な 料 金 設 定 があげられたが 現 在 (2011 年 6 月 )までの ところ 東 中 西 の 高 速 道 路 会 社 各 社 は 料 金 値 下 げなどの 料 金 弾 力 化 の 取 り 組 みを 行 って いるものの 3 社 共 同 で 行 っており 基 本 的 には 同 一 の 料 率 を 設 定 している 5.おわりに 本 論 では 高 速 道 路 が 有 料 道 路 制 公 団 方 式 による 整 備 が 行 われるにいたった 背 景 有 料 道 路 制 の 帰 結 である 償 還 主 義 全 国 的 な 高 速 ネットワーク 整 備 の 手 法 である 料 金 プール 制 をそ れぞれに 生 じた 議 論 を 交 えながら 包 括 的 に 整 理 した 最 後 に 今 後 検 討 を 行 うべき 課 題 を 示 す 我 が 国 の 道 路 ネットワークは 整 備 段 階 から 成 熟 段 階 へと 移 りつつある 限 られた 資 源 を 効 率 的 に 活 用 する 観 点 から 近 年 道 路 投 資 の 効 率 性 に 関 する 議 論 が 活 発 に 行 われている ま た ネットワークが 成 熟 段 階 にあることから 効 率 的 なネットワークの 利 用 に 関 する 議 論 も 今 後 活 発 化 するものと 思 われる しかし 高 速 道 路 をはじめとする 社 会 的 間 接 資 本 の 整 備 に は 効 率 性 のみならず 公 平 性 も 求 められる 今 後 新 直 轄 方 式 により 整 備 される 高 速 道 路 の 路 線 の 多 くは 機 会 均 等 など 公 平 性 の 観 点 から 整 備 される 路 線 であると 思 われるが 道 路 無 料 開 放 の 原 則 および 受 益 者 負 担 の 原 則 のあり 方 も 含 めて これら 路 線 のあり 方 の 議 論 を 行 う 必 要 があるものと 思 われる 258

注 1 民 主 党 (2009) 民 主 党 の 政 権 政 策 2 その 他 に 1970 年 に 制 定 された 地 方 道 路 公 社 法 により 地 方 道 路 公 社 が 設 立 された 3 道 路 公 団 時 代 においては 料 金 収 入 と 費 用 との 差 は 償 還 準 備 金 として 借 入 金 の 返 済 に 充 てられていた 民 営 化 以 降 においては 各 高 速 道 路 会 社 が 計 画 料 金 収 入 と 計 画 管 理 費 の 差 分 を 貸 付 料 として 機 構 に 支 払 いを 行 っている 4 厳 密 に 言 うと 利 潤 が 存 在 しなかったのは 道 路 公 団 時 代 においてである 道 路 公 団 民 営 化 以 降 高 速 道 路 会 社 は 実 際 の 収 入 が 計 画 値 を 上 回 った 場 合 や 実 際 の 管 理 費 が 計 画 値 を 下 回 った 場 合 には その 差 額 が 会 社 の 収 益 となり 逆 の 場 合 には 会 社 の 損 失 となる ただし 実 際 の 料 金 収 入 が 計 画 料 金 収 入 の 上 下 1%を 超 えた 場 合 1%を 超 える 部 分 についてそその 期 の 貸 付 料 が 増 減 する 5 道 路 関 係 四 公 団 分 割 民 営 化 以 降 も 1987 年 に 閣 議 決 定 された 四 全 総 ( 第 四 次 全 国 総 合 開 発 計 画 )にお いて 設 定 された 高 規 格 幹 線 道 路 網 の 14,000 km 整 備 計 画 は 変 更 されていない 四 全 総 ではネットワーク 基 準 の 一 つとして 全 国 どこからも 最 寄 りのインターチェンジまで 1 時 間 でアクセス 可 能 であることを 挙 げており その 点 からすると 濃 度 に 差 はあるものと 思 われるが 利 用 可 能 性 便 益 は 全 国 的 に 行 き 渡 るものと 考 えられる 6 多 く 文 献 で redundancy を 冗 長 性 と 訳 しており 一 般 的 に 用 いられているが ここでは 代 替 性 と 訳 することが 本 来 の 意 味 として 適 当 であるとの 指 摘 が 杉 山 (forthcoming)においてなされている 7 山 内 (1987)は 名 神 高 速 道 路 東 名 高 速 道 路 のラムゼイ 料 金 の 試 算 を 行 っている 参 考 文 献 藤 井 弥 太 郎 (1987) 高 速 道 路 の 料 金 政 策 高 橋 秀 雄 編 公 共 交 通 政 策 の 転 換 pp.145~159 日 本 評 論 社 宮 川 公 男 (1980) 高 速 道 路 料 金 に 関 する 一 考 察 高 速 道 路 と 自 動 車 第 23 巻 第 7 号 pp.13~16 宮 川 公 男 (1983) 日 本 道 路 公 団 の 経 営 問 題 高 速 道 路 と 自 動 車 第 26 号 第 4 号 pp.7~12 奥 野 正 寛 篠 原 総 一 金 本 良 嗣 編 (1989) 交 通 政 策 の 経 済 学 日 本 経 済 新 聞 社 太 田 和 博 (1988) 高 速 道 路 の 料 金 水 準 決 定 問 題 公 益 事 業 研 究 vol.40 no.1 pp.67~84 太 田 和 博 (1995) 有 料 道 路 政 策 金 本 良 嗣 山 内 弘 隆 編 講 座 公 的 規 制 と 産 業 4 交 通 pp.319~333 NTT 出 版 太 田 和 博 (2004) 交 通 社 会 資 本 整 備 における 効 率 性 と 公 平 性 道 路 公 団 民 営 化 論 議 が 問 いかけたもの 高 速 道 路 と 自 動 車 第 47 巻 第 12 号 pp.7~10 太 田 和 博 (2010) 高 速 道 路 インフラ 杉 山 武 彦 監 修 竹 内 健 蔵 根 本 敏 則 山 内 弘 隆 編 交 通 市 場 と 社 会 資 本 の 経 済 学 pp.130~141 有 斐 閣 杉 山 武 彦 (1981) 料 金 プール 制 とその 周 辺 高 速 道 路 と 自 動 車 第 24 巻 第 10 号 pp.21~27 杉 山 武 彦 (1997) 道 路 投 資 評 価 と 財 務 評 価 中 村 英 夫 編 道 路 投 資 評 価 研 究 会 道 路 投 資 の 社 会 経 済 評 価 pp.240~261 東 洋 経 済 新 報 社 杉 山 雅 洋 (forthcoming) わが 国 における 有 料 道 路 制 度 高 速 道 路 の 未 完 成 路 線 に 関 する 評 価 の 問 題 方 法 論 と 需 要 予 測 日 本 交 通 政 策 研 究 会 中 条 潮 (1995) 規 制 破 壊 東 洋 経 済 新 報 社 山 内 弘 隆 (1987) 道 路 の 車 種 別 費 用 負 担 について 高 速 道 路 料 金 へのラムゼー 価 格 の 適 用 高 速 道 路 と 自 動 車 第 30 巻 第 9 号 pp.24~32 259