ISHIZUE 141 No. http://www.bmi.or.jp 10 2009 OCTOBER 財団法人 日本ビルヂング経営センター BMI 日本ビル経営管理士会 JBMS JAPAN BUILDING MANAGEMENT INSTITUTE/ JAPAN BUILDING MANAGERS SOCIETY 特集 環境配慮設計について 三菱地所設計の環境への取り組み 株式会社三菱地所設計 設備設計部 機械設備設計室 副室長 佐藤茂
ビル 経 営 管 理 士 試 験 平 成 21 年 度 ビル 経 営 管 理 士 試 験 は12 月 13 日 ( 日 )に 実 施 申 込 受 付 は10 月 31 日 まで 過 去 5 年 間 の 試 験 実 施 結 果 及 び 合 格 基 準 時 間 割 試 験 平 成 16 年 度 平 成 17 年 度 平 成 18 年 度 平 成 19 年 度 平 成 20 年 度 受 験 申 込 者 名 360 365 397 770 715 平 均 年 齢 歳 39.3 39.1 38.6 39.8 38.2 女 性 名 11 26 17 53 66 受 験 者 名 321 323 342 698 641 出 席 率 % 89.2 88.5 86.1 90.6 89.7 試 験 合 格 者 名 205 229 225 482 488 合 格 率 % 63.9 70.9 65.8 69.1 69.9 平 均 年 齢 歳 38.7 38.3 37.6 40.1 38.2 女 性 名 8 13 8 27 36 合 否 基 準 ( 点 以 上 ) 3 科 目 合 計 点 180 180 180 197 180 企 画 立 案 点 48 51 46.5 58 46 賃 貸 営 業 点 58 50 61 68 64 管 理 運 営 点 52 56 54 67.5 64 試 験 日 平 成 21 年 12 月 13 日 ( 日 曜 日 ) 10:50 ~ 11:00 注 意 事 項 説 明 11:00 ~ 12:00 1 時 限 : 企 画 立 案 業 務 (60 分 90 点 ) 12:00 ~ 13:00 昼 食 13:00 ~ 13:10 注 意 事 項 説 明 13:10 ~ 14:10 2 時 限 : 賃 貸 営 業 業 務 (60 分 90 点 ) 14:10 ~ 14:20 休 憩 14:20 ~ 14:30 注 意 事 項 説 明 14:30 ~ 15:30 3 時 限 : 管 理 運 営 業 務 (60 分 90 点 ) 15:30 ~ 15:40 休 憩 15:40 ~ 15:50 注 意 事 項 説 明 15:50 ~ 16:50 4 時 限 : 総 合 記 述 (60 分 30 点 ) 科 目 免 除 制 度 があります ビル 経 営 管 理 講 座 平 成 21 年 度 ビル 経 営 管 理 講 座 が 終 了 前 年 比 9 人 増 の539 名 が 受 講 2 ISHIZUE October 2009
ISHIZUE NEWS 日 本 ビル 経 営 管 理 士 会 スキルアップセミナー 開 催 の 報 告 と 開 催 予 定 のご 案 内 日 本 ビル 経 営 管 理 士 会 では 会 員 を 対 象 に 会 員 の 資 質 の 向 上 を 図 る 目 的 でスキルアップセミナーを 実 施 している このほどスキルアップセミナーが 仙 台 東 京 九 州 名 古 屋 で 開 催 された なお 今 後 西 日 本 でも 開 催 を 予 定 している スキルアップセミナー 仙 台 スキルアップセミナー 東 京 スキルアップセミナー 九 州 スキルアップセミナー 名 古 屋 ビル 経 営 管 理 士 会 スキルアップセミナー のご 案 内 右 記 の 通 り ビル 経 営 管 理 士 会 スキルアップセミナーを 開 催 しま すので 奮 ってご 参 加 下 さい 西 日 本 スキルアップセミナー 日 時 :12 月 18 日 13:30 ~ 16:30 場 所 : 全 日 大 阪 会 館 4 階 テ ーマ:ビル 賃 貸 借 関 係 者 の 倒 産 とビルオーナーの 対 応 講 師 : 佐 藤 貴 美 法 律 事 務 所 弁 護 士 佐 藤 貴 美 氏 詳 細 は セ ン ター ホ ー ム ペ ージ( http://www.bmi.or.jp)をご 覧 下 さい No.141 ISHIZUE 3
三 菱 地 所 設 計 の 環 境 へ の 取 り 組 み 株 式 会 社 三 菱 地 所 設 計 設 備 設 計 部 機 械 設 備 設 計 室 副 室 長 佐 藤 茂 三 菱 地 所 設 計 では これからの 環 境 配 慮 型 社 会 において 持 続 可 能 なま ちづくりを 進 めて 行 くべく 設 計 事 務 所 として 大 丸 有 地 区 をはじめ 多 く の 建 物 の 設 計 にかかわる 中 で 常 々 環 境 に 配 慮 した 建 物 の 設 計 を 目 指 し 写 真 1 二 番 町 ガーデン 壁 面 緑 化 ている また 環 境 に 関 わる 情 報 の 収 集 提 案 を 行 うことを 主 たる 目 的 に 環 境 技 術 検 討 委 員 会 を 立 ち 上 げ 各 種 環 境 負 荷 低 減 技 術 および 手 法 について メニューの 抽 出 技 術 的 課 題 の 整 理 予 想 される 効 果 の 算 出 等 を 行 っ ている この 他 にも 省 エネに 関 するいくつかのグループが 検 討 を 行 っており これら 成 果 と 既 存 ビルの 豊 富 な 実 測 デー タを 踏 まえ 新 築 ビル リニューアルビルへの 省 エネ 提 案 を 積 極 的 に 行 い より 多 くの 建 物 に 環 境 負 荷 低 減 技 術 を 導 入 して 環 境 配 慮 型 社 会 の 一 助 となるべく 継 続 的 な 努 力 を 行 っている 本 稿 では 建 物 におけるCO 2 排 出 量 削 減 に 有 効 な 代 表 的 3 項 目 (1 熱 負 荷 の 低 減 2 自 然 エネルギー 利 用 3 設 備 システムの 効 率 化 )の 環 境 配 慮 技 術 について 弊 社 が 設 計 にかかわった 事 例 を 交 えながら 紹 介 する Ⅰ 1. 外 皮 負 荷 低 減 事 例 壁 面 緑 化 千 代 田 区 建 二 番 町 低 層 部 高 層 部 住 宅 持 階 建 建 物 ( 事 務 所 店 舗 階 以 上 共 同 住 宅 ) 落 着 緑 豊 立 地 住 宅 小 規 模 商 業 業 務 施 設 共 存 土 地 建 建 物 建 設 地 域 環 境 阻 害 大 型 業 務 施 設 町 並 作 求 二 番 町 低 層 部 階 階 外 壁 ( 北 西 面 ) 約 m2 壁 面 緑 化 行 壁 面 緑 化 各 階 帯 状 行 構 成 植 物 点 滴 式 潅 水 自 動 潅 水 備 壁 面 緑 化 行 日 射 適 度 遮 蔽 効 果 植 物 蒸 散 作 用 外 壁 面 温 度 低 下 効 果 得 外 壁 面 温 度 低 下 二 番 町 自 体 熱 負 荷 低 減 並 防 止 寄 与 周 辺 低 層 建 物 二 番 町 執 務 者 間 視 線 遮 効 果 図 1 二 番 町 ガーデン 壁 面 緑 化 部 分 断 面 4 ISHIZUE October 2009
2. 大 阪 市 梅 田 建 超 商 業 用 途 複 合 超 高 層 基 準 階 熱 負 荷 有 利 東 西 眺 望 確 保 日 射 熱 負 荷 低 減 採 用 店 舗 低 層 白 色 変 化 与 日 射 熱 配 慮 高 層 部 概 念 図 示 通 間 ( ) 自 動 制 御 日 射 時 熱 自 然 対 流 外 部 排 出 図 2 内 通 気 層 行 考 方 寸 法 小 高 層 部 分 熱 的 性 能 年 月 実 測 行 日 射 量 多 外 気 温 度 高 日 画 像 室 内 側 表 面 温 度 低 抑 図 3 *1 本 建 物 値 m2 年 基 準 値 対 % 低 減 外 皮 負 荷 低 減 事 例 ダブルスキンファサード *1: 実 測 した 数 値 を 用 いた 再 試 算 値 は 180.8 MJ/m2 年 3. 外 皮 負 荷 低 減 事 例 エアフローウィンドウ 千 代 田 区 建 丸 内 三 菱 地 所 丸 内 再 構 築 第 第 一 弾 位 置 付 建 物 環 境 配 慮 重 点 削 減 抑 制 対 策 徹 底 地 上 階 地 下 階 塔 屋 階 事 務 所 店 舗 図 2 概 念 図 図 3 概 念 図 サーモカメラ 画 像 図 4 概 念 図 エアフローウィンドウ 断 面 図 基 準 階 外 装 全 方 位 採 用 室 内 直 射 日 光 侵 入 軽 減 窓 上 軒 部 分 ( 水 平 庇 ) 及 窓 両 袖 壁 部 分 ( 縦 柱 ) 各 所 約 cm 突 出 高 度 制 御 電 動 実 装 確 実 日 射 遮 蔽 制 御 昼 光 利 用 眺 望 快 適 性 確 保 同 時 実 現 図 4 空 調 余 剰 排 気 ( ) 内 経 由 受 日 射 熱 除 去 上 部 排 出 仕 組 冬 期 面 写 真 2 基 準 階 ダブルスキン 内 観 (ブリーゼタワー) 写 真 3 建 物 外 観 ( 丸 の 内 パークビル) 写 真 4 基 準 階 窓 廻 り( 丸 の 内 パークビル) 防 止 室 内 空 気 幅 木 部 分 吸 込 快 適 性 高 吸 込 空 気 温 度 熱 回 収 排 気 切 替 自 動 制 御 行 高 温 排 気 効 果 的 利 用 行 実 大 実 験 実 測 値 日 射 熱 取 得 率 熱 貫 流 率 部 発 揮 極 熱 的 性 能 高 確 認 ( 値 ) 高 性 能 高 機 能 窓 採 用 空 調 化 実 現 性 有 効 率 向 上 寄 与 No.141 ISHIZUE 5
Ⅱ 自 然 利 用 1. 自 然 エネルギー 利 用 事 例 超 高 層 ビルにおける 自 然 換 気 システム Ⅰ 紹 介 階 階 階 自 然 換 気 可 能 自 然 換 気 居 住 者 直 接 操 作 縦 細 長 自 然 換 気 用 小 扉 開 閉 行 図 5 管 理 者 操 作 内 側 清 掃 電 動 自 動 用 大 開 小 扉 開 閉 基 本 的 居 住 者 委 気 象 条 件 生 恐 風 圧 対 対 策 行 一 般 室 内 外 圧 力 差 大 外 部 風 速 大 自 然 換 気 量 大 超 高 層 外 部 風 速 大 状 況 考 状 況 有 効 自 然 換 気 行 工 夫 実 施 今 回 採 用 換 気 流 路 途 中 調 整 弁 機 構 備 定 風 量 装 置 外 部 風 速 大 一 定 以 上 風 量 室 内 入 図 5 採 用 開 発 工 場 耐 風 圧 水 密 試 験 自 然 換 気 特 性 性 能 確 認 実 験 行 小 扉 開 閉 居 住 者 委 上 重 要 居 住 者 省 上 有 効 開 閉 行 対 本 建 物 空 調 設 定 温 度 運 転 予 約 行 上 自 然 換 気 関 情 報 掲 載 屋 上 計 測 外 気 温 度 湿 度 風 速 及 降 雨 情 報 中 央 監 視 装 置 演 算 処 理 自 然 換 気 有 効 知 図 6 開 閉 居 住 者 判 断 一 般 居 住 者 環 境 関 意 識 高 見 昨 今 啓 発 装 置 役 割 少 担 期 待 自 然 換 気 窓 秋 期 ( 年 ~ 月 ) 運 用 状 況 図 7 示 気 温 低 月 下 旬 ~ 月 窓 開 放 行 為 減 少 月 初 旬 ~ 中 旬 外 気 温 窓 開 放 相 関 外 気 冷 房 適 気 温 積 極 的 窓 開 放 確 認 満 足 やや 満 足 中 立 やや 不 満 足 不 満 足 図 5 ダブルスキンサッシ 自 然 換 気 眺 望 性 が 確 保 されている 開 放 感 がある 室 内 が 明 るい 眩 しさを 感 じる 窓 から 熱 を 感 じる 室 内 が 暗 い 画 面 への 映 り 込 みがある 閉 塞 感 がある 動 作 音 が 気 になる 自 動 で 動 くことが 気 になる 気 象 に 追 従 していないときがある その 他 0 2 4 6 8 10 12 [ 人 ](N=39) 図 10 明 治 安 田 生 命 ビルブラインド 制 御 に 関 する アンケート 調 査 結 果 図 6 WEBサーバー 上 のお 知 らせ 図 8 ブラインド 自 動 制 御 概 念 図 図 7 窓 の 運 用 実 態 図 9 日 本 テレビタワー30 階 照 明 電 力 ( 実 測 値 ) 写 真 5 日 本 テレビタワーの 日 射 測 定 装 置 6 ISHIZUE October 2009
2. 自 然 エネルギー 利 用 事 例 ブラインド 自 動 制 御 と 照 明 調 光 制 御 による 昼 光 利 用 システム Ⅰ 熱 負 荷 抑 制 性 能 向 上 普 及 比 較 的 大 開 口 持 省 良 好 眺 望 両 立 建 物 紹 介 高 性 能 窓 適 切 日 射 遮 蔽 行 一 層 効 果 発 揮 適 切 制 御 日 射 遮 蔽 温 熱 環 境 向 上 昼 光 室 内 導 入 照 明 制 御 組 合 照 明 電 力 大 幅 削 減 日 射 無 時 間 帯 眺 望 確 保 開 放 感 等 快 適 性 向 上 可 能 東 京 都 港 区 建 日 本 北 西 及 南 東 面 大 開 口 採 用 全 自 動 制 御 導 入 日 射 遮 蔽 制 御 屋 外 晴 曇 ( 直 射 日 光 有 無 ) 判 定 曇 場 合 ( 羽 ) 水 平 巻 上 晴 場 合 当 該 季 節 時 刻 太 陽 位 置 計 算 日 射 遮 蔽 可 能 角 度 計 算 割 出 最 大 限 開 放 日 射 遮 蔽 制 御 上 要 晴 曇 判 定 従 来 日 射 計 判 定 行 晴 天 時 明 曇 天 時 区 別 正 確 判 定 本 来 昼 光 利 用 適 明 曇 天 時 閉 得 制 御 消 極 的 得 日 本 晴 天 曇 天 正 確 判 定 装 置 ( 太 陽 追 尾 型 直 射 照 度 検 出 装 置 写 真 5 特 許 第 号 ) 開 発 気 象 状 況 追 従 適 切 日 射 遮 蔽 適 切 昼 光 導 入 行 図 9 日 照 明 電 力 使 用 量 昼 間 照 明 電 力 % 以 上 削 減 ( 水 色 部 分 ) 照 明 電 力 量 削 減 照 明 発 熱 負 荷 削 減 冷 房 負 荷 削 減 同 様 制 御 行 千 代 田 区 明 治 安 田 生 命 調 査 図 10 割 以 上 執 務 者 制 御 受 入 確 認 写 真 6 太 陽 光 発 電 パネル( 丸 の 内 パークビル) 3. 自 然 エネルギー 利 用 事 例 超 高 層 ビルにおける 太 陽 光 発 電 パネル Ⅰ 紹 介 丸 内 屋 上 塔 屋 階 大 規 模 太 陽 光 発 電 設 置 多 結 晶 太 陽 光 発 電 総 数 枚 容 量 超 高 層 屋 上 設 置 都 内 最 大 超 高 層 屋 上 設 置 場 合 風 圧 荷 重 大 度 傾 斜 設 置 太 陽 電 池 発 電 電 力 低 圧 動 力 系 統 連 系 容 量 的 基 準 階 全 照 明 賄 容 量 年 間 発 電 量 試 算 建 物 消 費 年 間 電 力 量 % 程 度 削 減 寄 与 Ⅲ 設 備 効 率 化 1. 設 備 システムの 効 率 化 事 例 超 高 効 率 照 明 器 具 各 種 センサーによる 調 光 制 御 照 明 用 消 費 電 力 一 般 全 消 費 量 以 上 占 削 減 環 境 配 慮 上 極 有 効 手 段 Ⅰ 紹 介 丸 内 照 明 計 画 本 建 物 採 用 環 境 配 慮 技 術 中 最 重 要 項 目 基 本 天 井 用 照 明 器 具 採 用 一 般 的 灯 用 ( 付 ) 採 用 事 例 多 場 合 最 大 照 度 設 計 照 度 ( 設 定 照 度 ) 大 超 調 光 減 光 安 定 器 特 性 的 % 近 効 率 上 最 大 照 度 設 計 照 度 乖 離 大 大 丸 内 反 射 板 形 状 塗 装 色 塗 装 方 法 見 直 No.141 ISHIZUE 7
写 真 7 丸 の 内 パークビル 基 準 階 写 真 8 明 治 安 田 生 命 ビル 明 治 生 命 館 図 11 氷 蓄 熱 システム 概 念 図 図 12 氷 蓄 熱 システムからの 特 徴 的 な 冷 水 供 給 従 来 照 明 器 具 効 率 高 超 高 効 率 照 明 器 具 採 用 灯 用 ( 白 色 付 ) 最 大 照 度 確 保 最 大 照 度 設 計 照 度 灯 用 対 約 % 省 実 現 照 明 制 御 基 準 全 照 度 設 置 初 期 照 度 補 正 昼 光 利 用 照 明 制 御 行 他 機 械 室 廊 下 諸 室 加 客 用 便 所 客 用 階 段 各 所 人 感 設 可 能 限 無 駄 点 灯 避 配 慮 2. 設 備 システムの 効 率 化 事 例 大 規 模 氷 蓄 熱 システムの 高 効 率 運 用 と 重 要 文 化 財 の 再 生 明 治 安 田 生 命 昭 和 建 造 物 初 重 要 文 化 財 指 定 明 治 生 命 館 ( 年 竣 工 ) 保 存 再 生 上 都 心 街 区 一 体 再 開 発 重 要 文 化 財 特 別 型 特 定 街 区 制 度 適 用 生 命 保 険 会 社 本 社 機 能 含 大 規 模 複 合 施 設 最 新 技 術 備 超 高 層 建 築 物 歴 史 的 建 造 物 共 存 目 指 計 画 本 街 区 空 調 要 新 建 物 設 大 規 模 氷 蓄 熱 ( 約 ) 大 規 模 化 課 題 過 冷 却 方 式 *2 固 有 問 題 解 決 丸 内 立 地 高 効 率 確 保 信 頼 性 環 境 性 経 済 性 高 構 築 図 11 本 氷 蓄 熱 種 類 特 徴 的 冷 水 取 出 氷 蓄 熱 特 徴 生 低 温 冷 水 ( 以 下 ) 保 存 建 物 ( 明 治 生 命 館 ) 冷 媒 自 然 循 環 *3 供 給 重 要 文 化 財 持 意 匠 性 歴 史 性 保 最 新 事 務 所 要 求 機 能 性 省 性 対 応 空 調 実 現 一 夜 間 製 氷 運 転 時 凍 結 防 止 工 程 製 造 氷 核 融 解 熱 *4 呼 冷 水 本 計 画 通 常 大 気 放 熱 冷 水 基 準 階 事 務 所 躯 体 蓄 熱 用 熱 源 活 用 氷 躯 体 両 蓄 熱 高 効 率 化 基 準 階 外 側 複 層 採 用 躯 体 蓄 熱 時 放 熱 抑 対 応 行 高 効 率 化 様 々 取 組 竣 工 後 年 度 夏 期 時 実 測 目 標 達 成 *2 過 冷 却 方 式 : 水 を 零 下 2 度 程 度 まで 過 冷 却 して 外 へ 放 出 し 蓄 熱 槽 入 り 口 附 近 でこれを 撹 乱 して 過 冷 却 を 解 消 ( 結 氷 )すると 共 に 2% 程 度 の 氷 を 晶 出 させ これをくり 返 して 氷 を 作 る 方 式 *3 冷 媒 自 然 循 環 システム: 冷 媒 を 気 体 時 と 液 体 時 の 比 重 差 によって 自 然 循 環 させることで 搬 送 動 力 を 不 要 と した 水 を 使 用 しない 空 調 システム *4 氷 核 融 解 熱 : 製 氷 器 の 凍 結 防 止 のた め 汲 み 上 げ 冷 水 に 含 まれる 氷 核 を 融 解 させる 際 に 得 られる 冷 水 8 ISHIZUE October 2009
図 13 冷 暖 フリービル 用 マルチエアコン 図 15 高 顕 熱 冷 房 制 御 の 有 無 による 絶 対 湿 度 の 違 い 図 14 高 顕 熱 冷 房 制 御 の 概 念 図 図 16 高 顕 熱 冷 房 制 御 の 有 無 による 消 費 電 力 の 違 い 3. 設 備 システムの 効 率 化 事 例 ビル 用 マルチエアコンの 高 顕 熱 比 冷 房 制 御 による 動 力 の 削 減 冷 暖 用 ( 地 上 階 事 務 所 ) 個 別 制 御 性 室 内 機 毎 冷 房 暖 房 自 由 選 択 機 能 性 建 物 内 空 調 負 荷 特 性 対 応 広 普 及 建 築 物 衛 生 的 環 境 確 保 関 法 律 ( 管 理 衛 生 法 ) 改 正 空 気 環 境 厳 密 調 整 要 求 対 応 換 気 外 気 導 入 加 湿 機 能 合 持 外 気 処 理 機 時 刻 別 室 内 絶 対 冷 暖 房 負 荷 処 理 用 室 内 機 冷 暖 構 築 事 例 多 一 方 近 年 事 務 所 機 器 増 加 建 物 気 密 性 向 上 冬 期 冷 房 負 荷 発 生 傾 向 結 果 外 気 処 理 機 加 湿 室 内 機 冷 房 運 転 除 湿 行 除 湿 余 計 消 費 本 来 必 要 以 上 加 湿 量 必 要 事 例 見 東 京 都 中 央 区 建 本 館 課 題 対 応 冬 期 冷 房 負 荷 発 生 場 合 室 内 機 冷 媒 蒸 発 温 度 従 来 冷 房 運 転 時 高 ( 表 面 温 度 高 ) 制 御 除 湿 運 転 行 制 御 ( 高 顕 熱 冷 房 制 御 ) 開 発 依 頼 製 品 化 導 入 図 14 図 15 年 月 同 一 条 件 運 転 場 合 高 顕 熱 冷 房 制 御 湿 度 : 加 湿 制 御 開 始 絶 対 湿 度 徐 々 上 昇 高 絶 対 湿 度 維 持 絶 対 湿 度 逆 下 除 湿 確 認 時 消 費 電 力 見 図 16 場 合 比 常 時 低 値 示 : ~ : 平 均 消 費 電 力 対 高 顕 熱 冷 房 制 御 実 施 以 上 省 4. 設 備 システムの 効 率 化 事 例 熱 媒 過 流 量 制 御 システムに よる 冷 凍 機 の 高 効 率 運 転 地 域 冷 暖 房 施 設 冷 熱 温 熱 供 給 広 範 囲 及 効 率 地 域 削 減 大 影 響 一 方 施 設 構 成 大 型 冷 熱 源 中 間 期 冬 期 低 負 荷 時 供 給 先 冷 水 返 温 度 低 下 温 度 差 設 計 通 確 保 課 題 実 測 明 図 17 冷 水 温 度 差 減 少 単 位 熱 量 冷 水 流 量 増 加 過 剰 冷 水 流 量 需 要 家 側 要 求 本 来 必 要 台 数 以 上 冷 凍 機 運 転 得 状 況 結 果 冷 凍 機 負 荷 率 低 下 大 効 率 低 下 現 象 主 需 要 家 No.141 ISHIZUE 9
側 設 備 起 因 低 負 荷 時 温 度 差 確 保 困 難 事 実 確 認 熱 源 側 対 応 冷 凍 機 熱 媒 ( 冷 水 ) 流 量 定 格 以 上 通 過 冷 凍 機 運 転 台 数 抑 制 台 当 負 荷 率 上 結 果 大 幅 向 上 可 能 技 術 開 発 都 内 工 事 当 本 導 入 図 19 年 間 時 間 別 分 布 実 績 従 来 比 較 示 以 下 時 間 帯 従 来 ( 灰 色 ) 台 運 転 必 要 本 ( 緑 色 赤 色 ) 台 対 応 伴 大 幅 改 善 中 間 期 冬 期 日 間 電 力 消 費 量 従 来 試 算 対 期 間 中 電 力 消 費 量 約 削 減 確 認 5. 設 備 システムの 効 率 化 事 例 高 捕 集 効 率 厨 房 フード 商 業 施 設 飲 食 店 舗 多 消 費 型 施 設 都 内 某 所 大 規 模 複 合 用 途 実 測 飲 食 店 舗 面 積 比 率 消 費 量 全 体 超 事 例 見 多 消 費 型 一 因 厨 房 換 気 設 備 厨 房 換 気 1 調 理 伴 油 脂 煙 蒸 気 臭 気 ( 以 降 調 理 ) 排 出 2 熱 排 出 3 人 員 用 換 気 目 的 設 風 量 割 合 的 1 大 半 占 一 般 厨 房 捕 集 効 率 悪 調 理 過 程 発 生 高 温 高 湿 調 理 捕 集 燃 焼 機 器 輻 射 熱 共 厨 房 全 体 環 境 悪 化 傾 向 調 理 人 上 部 場 合 強 風 速 調 理 器 具 向 上 昇 気 流 ( 調 理 ) 乱 捕 集 効 率 悪 化 要 因 補 図 17 運 転 実 態 の 分 析 / 冷 水 往 き 返 り 温 度 差 の 変 動 ( 減 少 ) 図 20 高 捕 集 効 率 厨 房 フード (DRV) 概 念 図 DRV 未 稼 働 時 ( 一 般 排 気 フードを 想 定 ) 図 18 熱 媒 過 流 量 制 御 システムの 概 念 DRV 稼 動 時 排 気 風 量 1,800CMH 排 気 風 量 1,400CMH 図 19 時 刻 別 システム COPの 年 間 分 布 図 21 スモークマシンによる 煙 フード 漏 出 実 験 10 ISHIZUE October 2009
下 面 風 速 上 ( ~ ) 排 気 風 量 増 一 般 的 結 果 膨 大 換 気 量 必 要 厨 房 用 動 力 外 気 処 理 伴 熱 大 量 消 費 千 代 田 区 建 大 規 模 複 合 用 途 飲 食 店 舗 上 記 問 題 解 決 捕 集 効 率 高 開 発 社 打 診 同 問 題 認 識 既 開 発 途 上 製 品 改 良 加 超 高 効 率 排 気 ( ) 完 成 複 数 店 舗 納 入 超 高 効 率 排 気 ( 以 下 ) 給 排 気 一 体 型 似 構 造 最 大 特 徴 渕 設 回 転 吹 出 厨 房 給 気 一 部 内 側 向 状 気 流 発 生 調 理 外 漏 最 小 限 抑 可 能 側 面 ( 前 面 ) 大 面 積 持 吹 出 口 設 厨 房 給 気 低 速 吹 出 厨 房 内 緩 空 気 流 作 業 環 境 改 善 捕 集 効 率 高 面 速 低 抑 ( 以 下 ) 設 計 可 能 換 気 量 一 般 採 用 写 真 9 高 捕 集 効 率 厨 房 フード (DRV) 時 比 % 削 減 作 業 環 境 改 善 目 的 設 置 ( ) 不 要 負 担 並 削 減 寄 与 Ⅳ 環 境 負 荷 低 減 技 術 大 別 1 取 組 ( 取 組 ) 手 法 2 取 組 困 難 手 法 分 紹 介 事 例 Ⅲ 厨 房 図 22 事 務 所 ビルの 用 途 別 延 床 面 積 割 合 ( 母 数 801 等 ) 11 59 2 2.7 9 除 全 1 手 法 一 方 事 務 所 用 途 別 延 床 面 積 割 合 見 図 22 全 体 約 近 占 ( 自 社 兼 含 ) 内 消 費 量 ( 電 力 量 ) 着 目 専 有 部 消 費 空 調 分 含 超 確 認 建 物 全 体 消 費 取 組 省 推 進 限 界 () 参 加 必 要 側 省 与 技 術 仕 組 導 入 今 後 環 境 配 慮 型 建 物 重 要 要 素 考 以 下 例 示 1. 2. 3. 今 後 求 削 減 建 設 運 用 携 全 関 係 者 参 加 必 要 不 可 欠 三 菱 地 所 設 計 環 境 配 慮 型 社 会 構 築 一 員 環 境 配 慮 建 築 先 導 役 持 続 可 能 貢 献 考 17.8 38.6 40.9 図 23 2005 年 度 電 気 使 用 量 の 用 途 別 内 訳 メーカー 省 エネ 製 品 機 器 の 製 造 設 計 事 務 所 省 エネシステム の 構 築 提 案 事 業 主 省 エネシステムの 導 入 施 工 者 省 エネシステムの 施 工 図 24 今 後 求 められる 更 なる 省 エネに 必 要 な 取 り 組 み ビル 管 理 者 省 エネシステムの 最 適 運 用 ユーザー 省 エネの 為 の 努 力 出 典 : 賃 貸 収 益 不 動 産 (テナントビル)における 複 数 事 業 者 (ビルオーナー テナント) 連 携 省 エネルギーモデル 事 業 (FS 事 業 ) 成 果 報 告 書 平 成 19 年 10 月 ユーザーの 参 加 が 必 要 今 後 求 められる 更 なる 省 エネ CO 2 削 減 No.141 ISHIZUE 11
難 局 の 時 代 PM 東 京 海 上 日 動 ファシリティーズ 株 式 会 社 名 古 屋 支 店 / 大 阪 支 店 部 長 ( 営 業 開 発 担 当 ) vol.2 プ ロパティマネジャー( 以 下 PMr と 記 す )のビル 賃 貸 事 業 での 役 割 はより 重 く 広 範 になってきている 一 方 でPM 業 者 間 の 競 争 は 激 化 しており 賃 料 収 入 が 減 少 傾 向 にあることもあり 業 務 を 通 じて 得 られるPM 報 酬 は 減 少 の 傾 向 にあると 考 えられる 今 回 は 東 京 ビジネス 地 区 の 賃 貸 事 務 所 を 例 にとりPM 業 者 が 得 る 報 酬 について 整 理 した 上 で この 報 酬 をベースに 一 人 のPMrが 担 当 する 延 べ 床 面 積 をシミュ レーションすることでPMrの 生 産 性 につ いて 考 察 する PM 報 酬 以 下 報 酬 と 業 務 量 の 関 係 を 簡 素 化 しモデルとして 説 明 するために 次 の 式 で 表 される 単 位 報 酬 を 使 用 する 単 位 報 酬 は PMrが 物 件 を 受 託 としたときに 得 られる 賃 貸 面 積 1m2あたりの 報 酬 の 期 待 値 と 捉 えることができる 単 位 報 酬 = 得 られる 報 酬 賃 貸 可 能 面 積 12 ISHIZUE October 2009
vol.2 図 1 図 2 44 65 54 71 39 63 49 67 33 60 44 63 30 40 50 60 70 80 30 40 50 60 70 80 図 3 77 126 88 130 98 136 70 80 90 100 110 120 130 140 150 図 1 図 2 図 1 図 2 図 3 図 3 No.141 ISHIZUE 13
難 局 の 時 代 PM CM 報 酬 (コンストラクションマネジメント 報 酬 ) PM 周 辺 ビジネスから 得 られる 報 酬 図 4 10 23 8 15 0 10 20 30 ( 図 4) PMr 一 人 当 たりの 担 当 延 べ 床 面 積 ( 図 5) 14 ISHIZUE October 2009
vol.2 図 5 件 り 報 酬 単 位 報 酬 30000 25000 20000 15000 10000 5000 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 18000 20000 22000 24000 面 積 m2 生 産 性 維 持 向 上 のために 1 プロとしての PMr を 育 成 すること( 個 々の PMr の 能 力 向 上 ) 2 マネジャー 個 人 に 頼 り 過 ぎない 機 能 的 分 業 体 制 を 確 立 すること 3 協 力 業 者 ( 特 に 管 理 会 社 )を 育 成 しマネジメント 業 務 の 機 能 的 分 業 体 制 に 組 み 入 れること 4 安 定 的 且 つ 効 率 的 に 運 営 するために 業 務 手 順 書 を 整 備 すること 5 ネットワークシステムを 活 用 し 業 務 効 率 を 高 める こと(アセットマネジャーのためのシステムだけでな く PM 実 務 に 即 した 効 率 化 のためのシステムづくり) < 補 足 > No.141 ISHIZUE 15
vol.10 16 ISHIZUE October 2009
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判 例 百 選 連 載 第 23 回 山 下 渡 辺 法 律 事 務 所 弁 護 士 渡 辺 晋 Susumu Watanabe 昭 和 55 年 3 月 一 橋 大 学 卒 業 同 年 4 月 に 三 菱 地 所 入 社 平 成 2 年 3 月 三 菱 地 所 退 社 平 成 元 年 11 月 司 法 試 験 合 格 平 成 4 年 4 月 弁 護 士 登 録 ( 第 一 東 京 弁 護 士 会 ) 平 成 14 年 4 月 山 下 渡 辺 法 律 事 務 所 開 設 現 在 に 至 る 判 例 089 定 期 建 物 賃 貸 借 の 契 約 条 項 東 京 地 裁 平 成 20 年 6 月 20 日 判 決 ウエストロー ジャパン 解 説 借 地 借 家 法 38 条 が 改 正 され 定 期 建 物 賃 貸 借 の 制 度 が 導 入 されたのが 平 成 12 年 3 月 1 日 であり その 後 10 年 近 く 経 過 した この 制 度 も 相 当 広 い 範 囲 で 利 用 されるに 至 っており 最 近 では 裁 判 例 も 集 積 されつつある 判 例 089は 契 約 書 に 更 新 がないことが 一 義 的 に 明 示 されていなかったとして 借 地 借 家 法 38 条 の 適 用 がないとされた 事 案 判 例 090は 通 知 期 間 経 過 後 の 通 知 が 問 題 となった 事 案 である 定 期 建 物 賃 貸 借 は 借 地 借 家 法 上 厳 格 な 要 件 を 満 たした 場 合 の 例 外 的 な 契 約 と 扱 われている 契 約 書 の 中 で 再 契 約 の 条 項 が 定 められることは 通 常 であるが( 定 期 賃 貸 住 宅 標 準 契 約 書 ( 平 成 12 年 3 月 建 設 省 住 宅 局 長 建 設 経 済 局 長 )14 条 参 照 ) 再 契 約 と 更 新 とはその 法 律 構 成 において 本 質 的 に 異 なって いる 定 期 建 物 賃 貸 借 を 利 用 する 場 合 には 書 面 による 契 約 と 事 前 説 明 の 要 件 を 満 たすとともに 契 約 書 において 更 新 がないものとする 定 めが 明 確 になっていなければならないことに 十 分 に 留 意 しなければならない 事 案 の 概 要 裁 判 所 の 判 断 賃 貸 人 Xと 賃 借 人 Yは 平 成 15 年 7 月 ころ 従 前 からの 賃 貸 借 契 約 について 期 間 を 平 成 15 年 8 月 1 日 から 平 成 18 年 7 月 31 日 までとして 契 約 を 継 続 する 旨 の 合 意 をした このときの 賃 貸 借 契 約 書 には 本 契 約 は 平 成 12 年 3 月 1 日 制 定 の 定 期 借 家 制 度 に 基 づくものとする との 条 項 ( 本 件 特 約 )が 定 められると 同 時 に 契 約 更 新 に 関 する 条 項 も 存 在 していた Xは 平 成 18 年 7 月 31 日 の 期 間 満 了 に 際 し この 契 約 は 定 期 建 物 賃 貸 借 契 約 であるから 更 新 がない と 主 張 したが 裁 判 所 は Xの 主 張 を 認 めなかった 20 ISHIZUE October 2009
判 例 090 定 期 建 物 賃 貸 借 における 通 知 期 間 経 過 後 の 通 知 東 京 地 裁 平 成 20 年 12 月 24 日 判 決 LLI 解 説 定 期 建 物 賃 貸 借 では 契 約 成 立 に 関 して 更 新 がないことの 書 面 による 説 明 および 書 面 による 契 約 締 結 を 必 要 とするのに 加 え 契 約 終 了 に 関 しては 通 知 期 間 内 の 通 知 が 求 められる( 借 地 借 家 法 38 条 4 項 本 文 ) ただし もし 賃 貸 人 が 通 知 期 間 内 に 通 知 をしなくとも 通 知 期 間 の 経 過 後 建 物 の 賃 借 人 に 対 しそ の 旨 の 通 知 をした 場 合 は その 通 知 の 日 から6 月 を 経 過 した 後 は 契 約 終 了 を 賃 借 人 に 対 抗 することができる とされ て い る ( 同 項 た だし 書 ) 本 裁 判 例 は 通 知 期 間 経 過 後 に 通 知 があったケースであり 通 知 から6 月 後 の 解 約 終 了 が 認 定 された 事 案 である 定 期 建 物 賃 貸 借 が 普 及 し 契 約 数 が 多 くなると 通 知 期 間 内 の 通 知 を 失 念 する 可 能 性 も 高 くなる 定 期 建 物 賃 貸 借 を 利 用 するには 通 知 期 間 の 通 知 を 業 務 のフローに 組 み 入 れておくことは 不 可 欠 である なお 賃 貸 借 契 約 書 には 一 般 に 契 約 終 了 に 明 渡 が 完 了 していないときは 建 物 明 渡 まで 賃 料 の 倍 額 相 当 額 を 支 払 うという 条 項 が 定 められるが 本 裁 判 例 では この 規 定 が 消 費 者 契 約 法 に 違 反 するかどう かが 争 いとなり 裁 判 所 は 消 費 者 契 約 法 に 違 反 するものではないと 判 断 している 事 案 の 概 要 裁 判 所 の 判 断 (ⅰ) 賃 貸 人 Aと 賃 借 人 Yは 平 成 17 年 6 月 10 日 次 の 約 定 の 下 に 定 期 建 物 賃 貸 借 契 約 を 締 結 した 契 約 期 間 : 平 成 17 年 6 月 10 日 から 平 成 20 年 6 月 9 日 まで 使 用 損 害 金 :Yが 本 件 契 約 終 了 と 同 時 に 本 件 建 物 を 明 け 渡 さない 場 合 に 終 了 の 翌 日 から 明 渡 しに 至 るまで 賃 料 の 倍 額 及 び 管 理 費 に 相 当 する 額 の 使 用 料 を 支 払 わなければならない (ⅱ)Xは 平 成 17 年 7 月 1 日 にAから 賃 貸 人 の 地 位 を 承 継 した Yは 同 年 6 月 10 日 にこれをあらかじめ 承 諾 していた (ⅲ)Xは 平 成 19 年 12 月 19 日 契 約 の 終 了 を 通 知 する 配 達 記 録 郵 便 物 ( 甲 4 通 知 書 ) 差 し 出 したが Yが 受 領 せず 同 月 28 日 に 返 却 された (ⅳ)Xは Yに 対 し あらためて 平 成 20 年 6 月 3 日 付 で 契 約 の 終 了 通 知 ( 甲 8 通 知 書 )を 郵 送 した Yは その 受 取 を 拒 み 同 月 12 日 には 郵 便 局 での 保 管 期 間 が 経 過 した (ⅴ) 裁 判 所 は 甲 4 通 知 書 の 到 達 を 認 め ず 甲 8 通 知 書 については 保 管 期 間 が 経 過 した 平 成 20 年 6 月 12 日 から6 月 経 過 した 同 年 12 月 12 日 をもって 終 了 する と 判 断 した No.141 ISHIZUE 21
判 例 091 民 事 再 生 法 49 条 に 基 づき 契 約 解 除 された 場 合 の 違 約 金 特 約 大 阪 地 裁 平 成 21 年 1 月 29 日 判 決 判 例 時 報 2037 号 74 頁 解 説 賃 借 人 からの 期 間 内 解 約 を 無 条 件 に 認 めていたかつての 賃 貸 借 と 異 なり 最 近 では 賃 借 人 からの 解 約 を 認 めるとしても 賃 貸 借 期 間 内 に 解 約 をする 場 合 には 残 存 期 間 の 賃 料 相 当 額 を 違 約 金 として 支 払 うとする 特 約 が 付 されることが 多 い 残 存 期 間 が1 年 程 度 であれば このような 特 約 も 効 力 が 肯 定 されると みられていたが( 東 京 地 裁 平 成 8 年 8 月 22 日 判 決 ) 残 存 期 間 が 長 期 間 にわたる 場 合 に 特 約 の 効 力 が そのまま 認 められるかどうかは 必 ずしも 明 らかではなかった 本 裁 判 例 は Yが 従 来 使 用 していた 所 有 ビルをXに27 億 7500 万 円 で 売 却 し 同 時 にXがYに 賃 貸 す る いわゆるリースバックの 性 格 をもつ 賃 貸 借 において 5 年 契 約 のうち 約 6か 月 経 過 した 時 点 で 賃 借 人 から 解 除 された 事 案 である この 賃 貸 借 契 約 には Yは 賃 貸 借 期 間 中 は 本 件 賃 貸 借 契 約 を 解 除 することができない ただし Yが 残 りの 期 間 の 賃 料 相 当 額 を 支 払 った 場 合 はこの 限 りでないという 約 定 ( 本 件 約 定 1) および Yに つき 債 務 不 履 行 その 他 一 定 の 事 由 が 発 生 した 場 合 には Xは 催 告 その 他 の 手 続 を 行 うことなく 本 件 賃 貸 借 契 約 を 解 除 することができ この 場 合 Yは 残 期 間 分 の 賃 料 相 当 額 をXに 支 払 わなければならないと する 約 定 ( 本 件 約 定 2)が 定 められており これらの 約 定 の 効 力 が 争 われたが 裁 判 所 は 残 存 期 間 約 4 年 6か 月 の 賃 料 相 当 額 の 全 部 の 違 約 金 支 払 請 求 を 認 めた 賃 貸 借 期 間 満 了 までの 収 入 確 保 の 観 点 か ら 本 裁 判 例 における 判 断 は 極 めて 大 きな 意 味 をもっている なお 民 事 再 生 法 は 双 務 契 約 について 再 生 債 務 者 及 びその 相 手 方 が 再 生 手 続 開 始 の 時 において 共 にまだその 履 行 を 完 了 していないときは 再 生 債 務 者 等 は 契 約 の 解 除 をすることができるとして 双 方 未 履 行 債 務 の 契 約 解 除 権 を 定 めており( 同 法 49 条 1 項 ) 本 裁 判 例 における 賃 借 人 の 解 除 が 同 項 に 基 づ く 契 約 解 除 であったところ 同 項 に 基 づき 解 除 された 場 合 にも 違 約 金 の 特 約 に 関 する 条 項 が 適 用 される という 判 断 がなされた 点 も 重 要 である 事 案 の 概 要 裁 判 所 の 判 断 (ⅰ) 賃 貸 人 Xと 賃 借 人 Yは 平 成 17 年 3 月 16 日 賃 料 月 額 190 万 5283 円 賃 貸 借 期 間 17 年 3 月 28 日 から 平 成 22 年 3 月 27 日 として 定 期 建 物 賃 貸 借 契 約 ( 本 件 賃 貸 借 契 約 )を 締 結 した (ⅱ)Yは 平 成 17 年 5 月 9 日 大 阪 地 方 裁 判 所 において 民 事 再 生 手 続 開 始 の 決 定 を 受 けた (ⅲ)Yは Xに 対 し 平 成 17 年 9 月 22 日 付 け 通 知 書 をもって 民 事 再 生 法 49 条 1 項 に 基 づき 本 件 賃 貸 借 契 約 を 解 除 する 旨 の 意 思 表 示 をした (ⅳ)Xは 本 件 約 定 1および 本 件 約 定 2 に 基 づく 残 存 期 間 分 の 賃 料 相 当 額 を 再 生 債 権 として 届 け 出 たが これが 認 められ なかったために 再 生 債 権 の 査 定 を 求 め て 訴 えを 提 起 した 22 ISHIZUE October 2009
判 例 092 破 産 法 53 条 に 基 づき 契 約 解 除 された 場 合 の 違 約 金 特 約 東 京 地 裁 平 成 20 年 8 月 18 日 判 決 判 例 タイムズ1293 号 299 頁 解 説 破 産 法 にも 民 事 再 生 法 と 同 じく 双 務 契 約 における 双 方 未 履 行 の 場 合 の 契 約 解 除 権 が 定 められてい る( 同 法 53 条 1 項 ) 本 裁 判 例 は 破 産 法 に 基 づく 契 約 解 除 権 が 行 使 されたケースであり 民 事 再 生 法 に 基 づく 契 約 解 除 権 が 行 使 された 判 例 091と 同 様 に 違 約 金 特 約 の 効 力 が 肯 定 されている また 従 来 破 産 管 財 人 から 貸 室 の 明 渡 しを 受 ける 際 し 原 状 回 復 費 用 が 財 団 債 権 か 否 かが 争 われる こともあったが この 問 題 について 本 裁 判 例 が 財 団 債 権 と 判 断 したことも 理 解 が 必 要 である なお これらに 加 えて 賃 料 の 前 払 特 約 があり 履 行 期 が 到 来 していれば 破 産 手 続 開 始 決 定 後 の 使 用 に 相 当 する 部 分 についても 破 産 債 権 になると 判 断 された 点 も 注 目 される 事 案 の 概 要 裁 判 所 の 判 断 (ⅰ) 賃 借 人 Aと 賃 貸 人 Bは 平 成 17 年 3 月 23 日 本 件 建 物 について 期 間 を10 年 間 賃 料 月 額 2100 万 円 とする 定 期 建 物 賃 貸 借 契 約 ( 本 件 賃 貸 借 契 約 )を 締 結 し 保 証 金 として2 億 円 を 支 払 った こ の 契 約 においては 原 則 として 中 途 解 約 できない 賃 借 人 のやむを 得 ない 事 由 に より 中 途 解 約 する 場 合 は 保 証 金 は 違 約 金 として 全 額 返 還 されない 原 状 回 復 に ついて 賃 借 人 は 本 件 賃 貸 借 契 約 終 了 後 1か 月 以 内 に 本 件 建 物 を 原 状 に 回 復 して 賃 貸 人 に 明 け 渡 さなければならない との 条 項 が 付 されている (ⅱ) 本 件 賃 貸 借 契 約 における 賃 貸 人 の 地 位 は BからYに 移 転 し 平 成 19 年 6 月 4 日 Aは この 賃 貸 人 の 地 位 の 移 転 を 承 諾 した (ⅲ)Aは 同 年 9 月 7 日 破 産 手 続 開 始 決 定 を 受 け Xが 破 産 管 財 人 に 選 任 され た (ⅳ)Xは 同 年 10 月 11 日 Yに 対 し 破 産 法 53 条 1 項 に 基 づき 本 件 賃 貸 借 契 約 を 同 月 23 日 をもって 解 除 する 旨 の 意 思 表 示 を 行 い 同 月 23 日 原 状 回 復 を 行 わずに 本 件 建 物 を 明 け 渡 した Xの 違 約 金 の 支 払 義 務 の 存 否 およびY の 原 状 回 復 費 用 請 求 権 が 財 団 債 権 か 否 か 等 が 争 いとなった No.141 ISHIZUE 23
ISHIZUE NO.141 COVER PHOTO DATA CONTENTS 2 6 12 Vol.2 16 Vol.10 20 23