立 川 基 地 跡 地 昭 島 地 区 に 係 る 猛 禽 類 保 護 方 策 について 報 告 書 立 川 基 地 跡 地 昭 島 地 区 に 係 る 猛 禽 類 保 護 方 策 検 討 委 員 会 平 成 22 年 10 月 18 日
第 1 本 報 告 の 位 置 付 け 平 成 20 年 4 月 下 旬 立 川 基 地 跡 地 昭 島 地 区 ( 以 下 本 地 という )で 絶 滅 のおそれのあ る 野 生 動 植 物 の 種 の 保 存 に 関 する 法 律 の 国 内 希 少 野 生 動 植 物 種 に 指 定 されている 猛 禽 類 (オ オタカ)の 営 巣 が 確 認 された これを 受 けて 関 東 財 務 局 は 専 門 家 意 見 をヒアリングする 等 希 少 猛 禽 類 調 査 を 開 始 した さらに 本 地 で 予 定 している 土 地 区 画 整 理 事 業 ( 以 下 本 事 業 と いう )の 実 施 にあたり 希 少 猛 禽 類 との 共 生 を 図 るため 平 成 21 年 6 月 4 日 に 学 識 経 験 者 を 委 員 とする 猛 禽 類 保 護 方 策 検 討 委 員 会 ( 以 下 委 員 会 という )を 設 置 した 委 員 会 では 希 少 猛 禽 類 のこれまでの 調 査 結 果 を 受 け 本 事 業 へ 希 少 猛 禽 類 保 全 策 を 早 期 に 反 映 させるため 検 討 内 容 について 以 下 のとおりとりまとめた 第 2 本 事 業 の 概 要 1. 事 業 の 目 的 等 本 地 は 長 い 間 基 地 もしくは 基 地 跡 地 として 地 域 に 閉 ざされた 空 間 となっていた そのた め 東 側 の 国 営 昭 和 記 念 公 園 を 除 く 3 方 を 市 街 地 に 囲 まれた 状 態 にもかかわらず 希 少 猛 禽 類 が 営 巣 する 環 境 が 残 されてきた しかし 昭 島 市 立 川 市 の 中 心 市 街 地 に 近 い 立 地 にも 関 わら ず 交 通 の 分 断 等 開 発 の 遅 れが 課 題 となっていることから 地 元 地 方 公 共 団 体 が 策 定 した 立 川 基 地 跡 地 昭 島 地 区 利 用 計 画 を 踏 まえ 土 地 区 画 整 理 事 業 により 核 都 市 にふさわしい 広 域 的 な 機 能 や 業 務 商 業 機 能 の 導 入 を 図 ることとした 本 地 に 賑 わいと 活 気 を 創 出 するとともに 地 域 のシンボルである 国 営 昭 和 記 念 公 園 の 緑 を 活 用 し 環 境 や 景 観 に 配 慮 した 質 の 高 い 生 活 空 間 を 形 成 することを 事 業 の 目 的 としている 2. 事 業 の 概 要 (1) 所 在 地 東 京 都 昭 島 市 福 島 町 築 地 町 中 神 町 及 び 東 京 都 立 川 市 泉 町 上 砂 町 (2) 位 置 JR 青 梅 線 東 中 神 駅 前 に 位 置 し 国 営 昭 和 記 念 公 園 に 隣 接 している (3) 面 積 事 業 面 積 約 70ha (4) 計 画 施 設 都 市 計 画 道 路 公 園 業 務 商 業 施 設 等 複 合 施 設 及 び 住 宅 国 利 用 の 施 設 ( 具 体 的 な 利 用 計 画 は 別 添 1のとおり) 第 3 現 時 点 での 希 少 猛 禽 類 調 査 結 果 関 東 財 務 局 は 希 少 猛 禽 類 飛 翔 の 情 報 を 受 け 平 成 20 年 4 月 より 専 門 家 意 見 をヒアリン グしながら 希 少 猛 禽 類 調 査 を 開 始 した さらに 本 事 業 において 希 少 猛 禽 類 との 共 生 を 図 るため 平 成 21 年 6 月 に 委 員 会 を 設 置 した これまでの 希 少 猛 禽 類 調 査 結 果 では 平 成 20 年 営 巣 後 途 中 放 棄 21 年 繁 殖 22 年 繁 殖 となっている また 本 調 査 開 始 前 年 の 平 成 19 年 は 国 営 昭 和 記 念 公 園 内 のサクラ 類 での 営 巣 が 分 かっている 1
第 4 現 時 点 での 営 巣 地 の 評 価 1. 営 巣 地 の 環 境 本 地 は 東 側 に 隣 接 した 国 営 昭 和 記 念 公 園 と 共 に 市 街 地 に 残 された 貴 重 な 緑 となっている これまでの 希 少 猛 禽 類 調 査 では 平 成 19 年 に 国 営 昭 和 記 念 公 園 内 ( 国 営 昭 和 記 念 公 園 からの 情 報 )で 平 成 20 年 から 22 年 には 本 地 で 希 少 猛 禽 類 の 営 巣 が 確 認 されている 平 成 19 年 は 比 較 的 人 の 立 ち 入 りが 少 ない 国 営 昭 和 記 念 公 園 内 こもれびの 丘 に 近 接 して 営 巣 し また 本 地 内 においても 西 側 市 道 に 接 近 しているものの 人 が 立 ち 入 らない 環 境 で 営 巣 ( 平 成 21 年 22 年 には 繁 殖 に 成 功 )している なお 営 巣 林 としては 大 径 木 が 少 なくやや 貧 弱 であるが 今 後 市 街 地 に 残 された 営 巣 地 として 希 少 猛 禽 類 が 営 巣 し 続 ける 可 能 性 が 十 分 考 えられる 2. 採 餌 等 の 環 境 希 少 猛 禽 類 調 査 の 結 果 国 営 昭 和 記 念 公 園 内 のみんなの 原 っぱや 水 鳥 の 池 付 近 での 探 餌 や 狩 り 行 動 が 度 々 確 認 され また 本 地 内 でも 停 留 探 餌 狩 り 行 動 が 度 々 確 認 されている 繁 殖 が 成 功 した 平 成 21 年 では 成 鳥 雄 が 不 明 となる 6 月 まで 雛 3 個 体 を 育 雛 しており 監 視 カメラ 調 査 でも 日 中 満 遍 なく 餌 の 持 ち 込 みが 行 われていた また 平 成 22 年 でも 雛 2 個 体 を 育 雛 し ており 同 様 に 日 中 満 遍 なく 餌 の 持 ち 込 みが 行 われていたことから 採 餌 環 境 として 本 地 なら びに 国 営 昭 和 記 念 公 園 を 含 めた 周 辺 地 域 において 一 つがい 分 の 環 境 容 量 があるものと 考 えら れる 第 5 猛 禽 類 との 共 生 を 図 るための 対 応 策 1. 対 応 策 についての 考 え 方 これまでの 本 地 及 びその 周 辺 での 希 少 猛 禽 類 の 営 巣 は 人 の 立 ち 入 りが 少 ないゾーンを 選 好 しており 本 地 のような 市 街 地 で 希 少 猛 禽 類 の 営 巣 環 境 を 保 つためには 希 少 猛 禽 類 保 護 区 域 供 用 区 域 を 明 確 にすることが 重 要 であると 考 えられる また 本 地 東 側 に 隣 接 する 国 営 昭 和 記 念 公 園 ( 約 180ha)の 環 境 を 維 持 することが 重 要 であ り 国 営 昭 和 記 念 公 園 との 連 携 が 不 可 欠 である 2. 対 応 策 についての 検 討 結 果 (1) 希 少 猛 禽 類 保 護 区 域 本 地 内 に 人 が 立 ち 入 らないことを 担 保 できる 樹 林 を 保 護 区 域 として 本 事 業 の 土 地 利 用 計 画 において 確 保 できる 最 大 の 面 積 を 保 全 整 備 する( 保 護 区 域 は 別 添 2に 図 示 する) 同 保 護 区 域 は 本 地 の 中 央 を 南 北 に 通 る 予 定 の 都 市 計 画 道 路 ( 昭 島 3 2 11 号 国 営 公 園 西 線 ) 東 側 に 整 備 し 探 餌 狩 り 行 動 等 の 確 認 が 多 い 国 営 昭 和 記 念 公 園 との 連 携 を 図 る なお 調 査 の 結 果 保 護 区 域 の 範 囲 に 営 巣 に 適 していると 考 えられる 樹 木 が 複 数 本 確 認 さ れたことから 平 成 21 年 の 非 繁 殖 期 に 人 工 代 替 巣 を 複 数 個 所 設 置 して 繁 殖 を 誘 導 するため の 措 置 を 講 じた (2) 供 用 区 域 本 地 のうち 立 ち 入 り 禁 止 の 保 護 区 域 以 外 を 供 用 区 域 と 位 置 付 ける 探 餌 狩 り 行 動 が 多 く 確 認 されている 本 地 東 側 に 隣 接 する 国 営 昭 和 記 念 公 園 ( 約 180ha) 2
の 環 境 を 維 持 しつつ 本 地 と 国 営 昭 和 記 念 公 園 との 緑 の 連 続 性 を 確 保 するとともに 保 護 区 域 の 周 辺 環 境 を 整 えることが 重 要 である ついては 別 添 1 に 図 示 した 環 境 保 全 用 地 のうち 別 添 2に 図 示 した 保 護 区 域 を 除 く 部 分 については 保 護 区 域 に 対 する 緩 衝 地 帯 とし それにふさわしい 環 境 整 備 を 検 討 する そのた め 環 境 保 全 用 地 を 分 断 する 都 市 計 画 道 路 および 国 営 昭 和 記 念 公 園 昭 島 口 通 路 の 緑 被 化 等 を 提 案 し 連 続 性 のある 緑 地 として 確 保 する また 保 護 区 域 北 側 に 隣 接 する 区 域 についても 緩 衝 地 帯 とし 立 ち 入 り 制 限 が 可 能 な 土 地 利 用 とする その 他 各 々の 施 設 機 能 上 支 障 の 無 い 範 囲 で 国 が 整 備 を 計 画 している 施 設 の 屋 上 緑 化 及 び 壁 面 緑 化 や 土 地 区 画 整 理 事 業 において 設 置 を 義 務 付 けられている 公 園 等 の 緑 地 公 園 化 残 堀 川 沿 いは 帯 状 に 緑 化 を 図 り 街 路 樹 緑 道 の 整 備 等 可 能 な 限 り 緑 を 担 保 し 緑 被 率 の 確 保 に 努 める 本 事 業 による 環 境 変 化 は 相 当 程 度 あり 希 少 猛 禽 類 保 護 区 域 等 の 緑 地 の 担 保 保 全 策 を 図 るが 不 確 実 性 も 当 然 内 包 する そのため 専 門 家 の 意 見 をヒアリングしながら 事 業 中 事 業 後 のモニタリング 継 続 的 な 希 少 猛 禽 類 保 護 区 域 供 用 区 域 の 管 理 を 行 う これらにより 将 来 的 に 希 少 猛 禽 類 営 巣 の 可 能 性 を 確 保 することが 本 事 業 と 希 少 猛 禽 類 との 共 生 を 図 る 上 で 望 ましい 対 応 策 となると 判 断 した 第 6 まとめ 委 員 会 は 本 地 に 希 少 猛 禽 類 保 護 のための 保 護 区 域 を 設 定 するほか 保 護 区 域 への 人 工 代 替 巣 の 設 置 現 状 の 緑 を 財 産 として 残 す 工 夫 をしつつ 供 用 区 域 に 建 設 する 施 設 の 機 能 上 支 障 の 無 い 範 囲 で 屋 上 緑 化 壁 面 緑 化 及 び 緑 被 率 の 確 保 希 少 猛 禽 類 の 生 息 状 況 調 査 の 継 続 等 の 方 策 をとる 前 提 で 希 少 猛 禽 類 の 営 巣 環 境 を 確 保 することとした 今 後 の 対 応 については 以 下 のとおりとする 1. 監 視 計 画 希 少 猛 禽 類 の 生 息 状 況 調 査 を 継 続 し データの 蓄 積 を 引 き 続 き 行 う 監 視 カメラ 調 査 結 果 を 基 に 行 動 パターンを 解 析 し 工 事 中 における 特 異 的 な 行 動 の 監 視 その 他 の 対 応 のためのマニュアルを 策 定 する 2. 事 業 計 画 上 の 配 慮 (1) 保 護 区 域 a. 広 さ 保 護 区 域 の 広 さは 約 5.6ha とする b. 管 理 方 針 保 護 区 域 は 常 時 立 ち 入 り 禁 止 とする 保 護 区 域 を 容 易 に 立 ち 入 りできない 柵 で 囲 う 保 護 区 域 での 餌 の 解 体 場 所 飛 翔 空 間 確 保 のための 下 草 刈 り 枝 打 ちを 定 期 的 に 行 う (2) 供 用 区 域 a. 緩 衝 地 帯 北 側 緩 衝 地 帯 の 広 さは 約 5.2ha とし 人 の 立 ち 入 り 制 限 が 可 能 な 土 地 利 用 ( 施 設 を 含 む) とする なお 施 設 建 設 にあたっては 可 能 な 限 り 現 存 する 自 然 を 生 かす 工 夫 をする 3
南 西 側 緩 衝 地 帯 の 広 さは 約 2.6ha 南 側 緩 衝 地 帯 の 広 さは 約 0.9ha とし 可 能 な 限 り 自 生 する 樹 林 を 残 し 自 然 を 生 かした 公 園 として 利 用 する b.その 他 の 区 域 計 画 地 内 の 道 路 については 自 然 環 境 に 配 慮 した 構 造 とする 特 に 保 護 区 域 に 接 する 道 路 については ロードキルを 防 止 するため 野 生 動 物 の 安 全 な 移 動 に 配 慮 した 構 造 とす る 大 径 木 については 整 備 に 支 障 の 無 い 範 囲 で 可 能 な 限 り 残 すよう 配 慮 する 可 能 な 限 り 緑 被 率 を 高 めるよう 配 慮 する 3. 事 業 実 行 上 の 配 慮 現 状 では 具 体 的 な 作 業 計 画 工 事 計 画 が 未 定 の 状 態 であることから 今 後 これらの 計 画 が ある 程 度 具 体 化 した 段 階 で 委 員 会 に 諮 り 詳 細 な 事 業 実 行 上 の 配 慮 を 行 うこととする 現 段 階 での 主 な 配 慮 事 項 は 以 下 のとおりである 繁 殖 ステージ 及 び 繁 殖 地 からの 距 離 を 考 慮 した 工 事 範 囲 工 程 を 設 定 すること 工 事 用 道 路 資 材 置 き 場 は 可 能 な 限 り 保 護 区 域 から 離 すこと 工 事 関 係 者 は 保 護 区 域 へ 立 ち 入 りさせないこと このため 工 事 に 際 しては 可 能 な 限 り 工 事 箇 所 に 仮 囲 いを 設 けること なお やむを 得 ず 立 ち 入 る 場 合 は 希 少 猛 禽 類 の 繁 殖 に 影 響 の 無 い 範 囲 で 管 理 者 の 了 解 を 得 て 立 ち 入 ることとする 騒 音 振 動 の 少 ない 工 法 により 工 事 を 実 施 すること 4. 事 業 完 了 後 の 配 慮 現 状 では 具 体 的 な 利 用 計 画 が 未 定 の 状 態 であることから 本 事 業 期 間 中 これらの 計 画 があ る 程 度 具 体 化 した 段 階 で 委 員 会 に 諮 り 詳 細 な 事 業 完 了 後 の 配 慮 について 意 見 を 求 めることと する 現 段 階 での 主 な 配 慮 事 項 は 以 下 のとおりである 事 業 区 域 内 において 建 設 される 建 物 の 外 壁 の 色 は 目 立 つ 色 を 避 けるよう 配 慮 する 建 築 物 には バードストライクを 避 ける 工 夫 ( 例 えば 鏡 効 果 の 高 い 素 材 を 使 用 しない 窓 部 分 にルーバーを 設 置 する 等 )をするよう 配 慮 する 5. 平 成 22 年 度 以 降 の 委 員 会 開 催 計 画 委 員 会 は 平 成 23 年 度 より 年 1 回 の 開 催 を 原 則 とするが 事 業 の 進 捗 状 況 に 合 わせ 随 時 に 開 催 することとする 以 上 4
利 用 計 画 図 別 添 1 立 川 3 2 38 号 国 営 公 園 西 線 立 川 市 ( 公 園 緑 地 ) ( 公 園 等 ) 公 的 利 用 ( 検 討 中 ) 昭 島 市 緑 道 国 利 用 ( 法 務 省 ) 都 利 用 ( 調 節 池 ) 国 利 用 ( 財 務 省 ) ( 検 討 中 ) 昭 島 3 2 3 号 国 営 公 園 南 線 国 営 昭 和 記 念 公 園 緑 道 民 間 利 用 環 境 保 全 用 地 昭 島 3 2 11 号 国 営 公 園 西 線 残 堀 川 JR 東 中 神 駅 民 間 利 用 ( 交 通 広 場 ) 本 事 業 区 域
保 護 区 域 図 別 添 2 立 川 市 昭 島 市 国 営 昭 和 記 念 公 園 残 堀 川 凡 例 保 護 区 域 供 用 区 域 緩 衝 地 帯 その 他 本 事 業 区 域