無罪判決後の勾留に関する意見書



Similar documents
答申書

弁護士報酬規定(抜粋)

に 公 開 された 映 画 暁 の 脱 走 ( 以 下 本 件 映 画 1 という ), 今 井 正 が 監 督 を 担 当 し, 上 告 人 を 映 画 製 作 者 として 同 年 に 公 開 された 映 画 また 逢 う 日 まで ( 以 下 本 件 映 画 2 という ) 及 び 成 瀬 巳

別 紙

Microsoft Word - 諮問第82号答申(決裁後)

< 現 在 の 我 が 国 D&O 保 険 の 基 本 的 な 設 計 (イメージ)> < 一 般 的 な 補 償 の 範 囲 の 概 要 > 請 求 の 形 態 会 社 の 役 員 会 社 による 請 求 に 対 する 損 免 責 事 由 の 場 合 に 害 賠 償 請 求 は 補 償 されず(

スライド 1

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

答申第585号

いう )は 警 告 をしたときは 速 やかに その 内 容 及 び 日 時 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申 出 をした 者 に 通 知 しなければならないこととされ また 警 告 をし なかったときは 速 やかに その 旨 及 び 理 由 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申

発 覚 理 由 違 反 態 様 在 日 期 間 違 反 期 間 婚 姻 期 間 夫 婦 間 の 子 刑 事 処 分 等 1 出 頭 申 告 不 法 残 留 約 13 年 9 月 約 9 年 11 月 約 1 年 10 月 2 出 頭 申 告 不 法 入 国 約 4 年 2 月 約 4 年 2 月 約

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

Microsoft Word - 2 答申概要.doc

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

Microsoft Word - 制度の概要_ED.docx

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第081号.doc

する 婦 人 相 談 所 その 他 適 切 な 施 設 による 支 援 の 明 記 禁 止 命 令 等 をすることが できる 公 安 委 員 会 等 の 拡 大 等 の 措 置 が 講 じられたものである 第 2 改 正 法 の 概 要 1 電 子 メールを 送 信 する 行 為 の 規 制 ( 法

1

<947A957A8E9197BF C E786C73>

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

目 次 市 民 税 の 減 免 に つ い て 1 減 免 の 一 般 的 な 留 意 事 項 2 減 免 の 範 囲 お よ び 減 免 割 合 3 1 生 活 保 護 法 の 規 定 に よ る 保 護 を 受 け る 者 3 2 当 該 年 に お い て 所 得 が 皆 無 と な っ た

加 算 税 制 度 の 見 直 し 等 1. 現 行 制 度 の 概 要 関 税 においては 国 税 ( 輸 入 貨 物 に 対 する 内 国 消 費 税 を 含 む 以 下 同 じ ) の 制 度 と 同 様 の 過 少 申 告 加 算 税 無 申 告 加 算 税 及 び 重 加 算 税 の 制

<4D F736F F D D31208EC096B18F438F4B8E7793B1834B FC92F BD896694C5816A2E646F6378>

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

を 行 わなければならない 適 正 な 運 用 方 針 を 厳 格 に 運 用 することによっては じめて 人 がみだりにその 容 ぼう 等 を 撮 影 されない 自 由 や 権 利 の 保 護 と 犯 罪 発 生 の 抑 止 という 防 犯 カメラの 設 置 目 的 との 調 和 が 実 現 され

もの( 交 通 事 故 事 件 に 係 るものを 除 く ) 3 重 大 な 交 通 事 故 事 件 とは 次 に 掲 げる 交 通 事 故 事 件 をいう (1) 死 亡 ひき 逃 げ 事 件 車 両 等 の 交 通 により 人 が 死 亡 した 場 合 において 道 路 交 通 法 ( 昭 和

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

PowerPoint プレゼンテーション

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

とする ( 減 免 額 の 納 付 ) 第 6 条 市 長 は 減 免 を 受 け た 者 が 偽 り そ の 他 不 正 な 方 法 に よ り 減 免 の 決 定 を 受 け た こ と を 知 っ た と き 前 の 申 告 が あ っ た と き 又 は 同 条 第 2 項 の 規 定 によ

性 行 為 とは 性 交 及 び 性 交 類 似 行 為 と 同 義 であり( 昭 和 40 年 7 月 12 日 新 潟 家 裁 長 岡 支 部 決 定 ) わいせつな 行 為 とは いたずらに 性 欲 を 刺 激 興 奮 せしめたり その 露 骨 な 表 現 によって 健 全 な 常 識 のある

3 申 立 人 らの 申 立 てに 対 して 被 申 立 人 が 裁 定 委 員 会 で 行 った 2015 年 5 月 12 日 付 け 裁 定 (2015 年 ( 裁 ) 第 3 号 裁 定 )のうち 被 申 立 人 は 被 申 立 人 強 化 委 員 会 決 定 のとおり D クルーを 代 表

特 定 が 必 要 であり, 法 7 条 の 裁 量 的 開 示 を 求 める 第 3 諮 問 庁 の 説 明 の 要 旨 1 本 件 開 示 請 求 について 本 件 開 示 請 求 は, 処 分 庁 に 対 して, 特 定 法 人 が 大 森 税 務 署 に 提 出 した, 特 定 期 間 の

<4D F736F F D B3817A8E9096E291E D86939A905C>

福 山 市 では, 福 山 市 民 の 安 全 に 関 する 条 例 ( 平 成 10 年 条 例 第 12 号 )に 基 づき, 安 全 で 住 みよい 地 域 社 会 の 形 成 を 推 進 しています また, 各 地 域 では, 防 犯 を 始 め 様 々な 安 心 安 全 活 動 に 熱 心

Microsoft Word - 20年度(行個)答申第2号.doc

二 資本金の管理

役員退職手当規程

(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第076号.doc

ような 厚 生 年 金 基 金 関 係 の 法 改 正 がなされており (2)については 平 成 16 年 10 月 1 日 から (1) 及 び(3)については 平 成 17 年 4 月 1 日 から 施 行 されている (1) 免 除 保 険 料 率 の 凍 結 解 除 ( 母 体 企 業 (

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

Microsoft Word - 20ガイドラインリーフレット案4ページ

<4D F736F F D20D8BDB8CFC8BCDED2DDC482A882E682D1BADDCCDFD7B2B1DDBD8B4B92F E646F63>

●労働基準法等の一部を改正する法律案

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

Microsoft Word - 12 職員退職手当規程_H 改正_

募集要項

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

Taro-29職員退職手当支給規程

Ⅴ Ⅵ 目 予 算 編 成 のフローチャートと 決 算 書 類 19 図 表 6 予 算 編 成 のフローチャート 20 図 表 7 収 支 報 告 書 貸 借 対 照 表 財 産 目 録 備 品 台 帳 モデル 21 滞 納 金 回 収 に 関 する 管 理 会 社 の 業 務 と 役 割 25

(2) 勤 続 5 年 を 超 え 10 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の140 (3) 勤 続 10 年 を 超 え 20 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の180 (4)

国 税 クレジットカード 納 付 の 創 設 国 税 のクレジットカード 納 付 については マイナンバー 制 度 の 活 用 による 年 金 保 険 料 税 に 係 る 利 便 性 向 上 に 関 するアクションプログラム( 報 告 書 ) においてその 導 入 の 方 向 性 が 示 されている

(3) 区 分 所 有 法 第 7 条 の 先 取 特 権 の 実 行 滞 納 管 理 費 等 に 係 る 債 権 は 区 分 所 有 法 第 7 条 の 先 取 特 権 の 被 担 保 債 権 となってい るため 債 務 名 義 ( 確 定 判 決 等 )を 取 得 せずとも 先 取 特 権 の

T T VWAPギャランティ 取 引 とは T T VWAPギャランティ 取 引 とは これまでの 成 行 や 指 値 とは 異 なる 東 海 東 京 証 券 が 提 供 する 新 しい 形 の 売 買 方 法 です その 方 法 とは 1 金 融 商 品 取 引 所 ( 以 下 取 引 所 )に

(5) 事 業 者 等 自 転 車 及 び 自 動 車 の 製 造 輸 入 販 売 又 は 修 理 を 業 として 行 っている 者 及 びそ れらの 者 の 団 体 並 びにその 他 の 事 業 者 をいう (6) 所 有 者 等 自 動 車 の 所 有 権 占 有 権 若 しくは 使 用 権 を

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

諮問第1号

Microsoft Word - 通達(参考).doc

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

Speed突破!Premium問題集 基本書サンプル

必 要 なものとして 政 令 で 定 める 原 材 料 等 の 種 類 及 びその 使 用 に 係 る 副 産 物 の 種 類 ごとに 政 令 で 定 める 業 種 をいう 8 この 法 律 において 特 定 再 利 用 業 種 とは 再 生 資 源 又 は 再 生 部 品 を 利 用 することが

国 税 通 則 法 の 見 直 しについて(23 年 度 改 正 ) 税 務 調 査 手 続 の 明 確 化 更 正 の 請 求 期 間 の 延 長 処 分 の 理 由 附 記 等 国 税 通 則 法 の 大 幅 な 見 直 しを 実 施 主 な 改 正 事 項 1. 税 務 調 査 手 続 ( 平

教育資金管理約款

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

した 開 示 決 定 等 に 当 たっては, 法 11 条 を 適 用 して, 平 成 23 年 5 月 13 日 まで 開 示 決 定 等 の 期 限 を 延 長 し, 同 年 4 月 11 日 付 け 防 官 文 第 号 により,1 枚 目 を 一 部 開 示 した そして, 同 年

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

入札公告 機動装備センター

Microsoft Word - 不正アクセス行為の禁止等に関する法律等に基づく公安

Taro-契約条項(全部)

報告書(案)

< E8BE08F6D2082C682B DD2E786C7378>

者 が 在 学 した 期 間 の 年 数 を 乗 じて 得 た 額 から 当 該 者 が 在 学 した 期 間 に 納 付 すべき 授 業 料 の 総 額 を 控 除 した 額 を 徴 収 するものとする 3 在 学 生 が 長 期 履 修 学 生 として 認 められた 場 合 の 授 業 料 の

任意整理について | 多重債務Q&A | 公益財団法人 日本クレジットカウンセリング協会

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

連結計算書

弁護士が精選! 重要労働判例 - 第7回 学校法人専修大学(地位確認等反訴請求控訴)事件 | WEB労政時報(WEB限定記事)

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証債務の整理に係る課税関係の整理

通 知 カード と 個 人 番 号 カード の 違 い 2 通 知 カード ( 紙 )/H27.10 個 人 番 号 カード (ICカード)/H28.1 様 式 (おもて) (うら) 作 成 交 付 主 な 記 載 事 項 全 国 ( 外 国 人 含 む)に 郵 送 で 配 布 希 望 者 に 交

27-045人事規程270401

Ⅲ 相 続 財 産 の 分 割 に 関 する 確 認 事 項 1 遺 言 がありますか? 有 遺 言 公 正 証 書 又 は 家 公 証 人 役 場 等 要 月 日 無 庭 裁 判 所 の 検 認 を 受 否 ( 通 ) けた 遺 言 書 2 死 因 贈 与 があります 有 贈 与 契 約 書 要

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

5 長 野 地 裁 H 強 盗 殺 人, 死 体 遺 棄 H H ( 東 京 高 裁 ) H 横 浜 地 裁 H 殺 人 H H 静 岡 地 裁 H 殺 人, 死 体 遺 棄, 強

【労働保険事務組合事務処理規約】

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

* 解 雇 の 合 理 性 相 当 性 は 整 理 解 雇 の 場 合 には 1 整 理 解 雇 の 必 要 性 2 人 員 選 択 の 相 当 性 3 解 雇 回 避 努 力 義 務 の 履 行 4 手 続 きの 相 当 性 の 四 要 件 ( 要 素 )で 判 断 され る 部 門 閉 鎖 型

< F2D E C68CC2816A939A905C91E630378D862E6A>

資 格 給 付 関 係 ( 問 1) 外 国 人 Aさん(76 歳 )は 在 留 期 間 が3ヶ 月 であることから 長 寿 医 療 の 被 保 険 者 ではない が 在 留 資 格 の 変 更 又 は 在 留 期 間 の 伸 長 により 長 寿 医 療 の 適 用 対 象 となる 場 合 には 国

1 法 の 適 用 に 関 する 通 則 法 における 規 律 (1) 失 踪 の 宣 告 の 国 際 裁 判 管 轄 ア 法 制 審 議 会 国 際 私 法 ( 現 代 化 関 係 ) 部 会 における 議 論 等 1 不 在 者 が 生 存 していたとされる 最 後 の 時 点 において 日 本

第2回 制度設計専門会合 事務局提出資料

( 減 免 の 根 拠 等 ) 第 1 条 こ の 要 綱 は, 地 方 税 法 第 条 の 規 定 に 基 づ く 市 税 条 例 第 6 9 条 の 2 の 規 定 を 根 拠 と す る 身 体 障 害 者 等 に 対 す る 軽 自 動 車 税 の 減 免 の 具 体 的 な 対

件名

t-149.xdw


Transcription:

無 罪 判 決 後 の 勾 留 に 関 する 意 見 書 2015 年 ( 平 成 27 年 )10 月 21 日 日 本 弁 護 士 連 合 会 第 1 意 見 の 趣 旨 刑 事 訴 訟 法 第 345 条 に, 第 2 項 として, 判 決 で 無 罪 の 言 渡 しがあったときは, 上 訴 審 において 原 判 決 が 破 棄 されるまで, 新 たに 勾 留 状 を 発 することはできな い との 条 文 を 新 設 すべきである 第 2 意 見 の 理 由 1 本 意 見 書 の 概 要 推 定 無 罪 は, 近 代 刑 事 司 法 の 大 原 則 である 何 人 も 有 罪 が 確 定 するまでは, 無 罪 が 推 定 されているのであるから,まして, 被 告 人 が 裁 判 で 無 罪 を 言 い 渡 さ れた 場 合 には,その 理 は 一 層 強 く 妥 当 する したがって, 判 決 で 無 罪 の 言 渡 し があったときには, 少 なくとも, 上 訴 審 において 当 該 判 決 が 破 棄 され, 有 罪 が 宣 告 されるまでは, 当 該 被 告 人 を 無 罪 として 扱 い, 身 体 を 拘 束 すべきではない しかしながら, 現 実 においては, 無 罪 判 決 がなされても, 罪 を 犯 したと 疑 う に 足 りる 相 当 の 理 由 があるとして, 勾 留 を 認 められることがある 本 意 見 書 は, その 不 当 性 を 解 消 するために, 刑 事 訴 訟 法 の 改 正 を 求 めるものである 2 無 罪 判 決 後 の 勾 留 決 定 により 生 じる 不 利 益 無 罪 判 決 後 に 勾 留 決 定 される 例 は, 特 に 外 国 人 が 被 告 人 である 場 合 などに 多 数 生 じている 一 般 的 に 在 留 資 格 がない 外 国 人 が 一 審 で 無 罪 判 決 を 受 けると, 退 去 強 制 させられるために, 検 察 官 が 控 訴 した 場 合,これに 伴 い, 当 該 外 国 人 に 対 してしばしば 勾 留 状 が 発 せられている いわゆる 東 京 電 力 女 性 社 員 殺 害 事 件 では, 一 審 ( 東 京 地 裁 平 成 12 年 4 月 14 日 判 決 )で 無 罪 判 決 を 受 けた 外 国 人 被 告 人 に 対 し, 記 録 の 送 付 を 受 けた 東 京 高 等 裁 判 所 が, 罪 を 犯 したと 疑 うに 足 りる 相 当 の 理 由 があるとして 勾 留 を 認 め,その 判 断 を 最 高 裁 判 所 も 是 認 し( 最 高 裁 第 一 小 法 廷 平 成 12 年 6 月 27 日 決 定 判 例 時 報 1718 号 19 頁 以 下 平 成 12 年 決 定 という ) 1, 未 決 勾 留 が 継 続 することとなった 同 事 件 の 被 告 人 は 平 成 9 年 3 月 に 最 初 に 逮 捕 1 第 一 審 で 無 罪 とされた 被 告 人 を 再 勾 留 するためには, 実 質 的 な 審 理 が 始 まり, 一 審 判 決 が 破 棄 さ れ 有 罪 となる 可 能 性 があると 判 断 されることが 必 要 であるとする 遠 藤 光 男 裁 判 官, 藤 井 正 雄 裁 判 官 の 反 対 意 見 がある 1

されてから, 一 審 の 無 罪 判 決 後 も 身 体 拘 束 されたまま, 控 訴 審 で 有 罪 判 決 を 受 け, 平 成 15 年 に 上 告 が 棄 却 され 刑 が 確 定 して 服 役 した その 後, 平 成 24 年 11 月 7 日, 再 審 により 無 罪 が 確 定 したが,これに 伴 う 身 体 拘 束 の 不 利 益 と 被 告 人 の 防 御 権 行 使 に 及 ぼした 影 響 は 無 視 し 得 ない その 後 も, 一 審 で 無 罪 判 決 を 受 けた 外 国 人 被 告 人 が 控 訴 審 段 階 で 勾 留 決 定 さ れる 事 例 は 続 いている( 最 高 裁 第 三 小 法 廷 平 成 19 年 12 月 13 日 決 定 判 例 時 報 1992 号 152 頁, 最 高 裁 第 二 小 法 廷 平 成 23 年 10 月 5 日 決 定 等 ) 前 記 平 成 19 年 12 月 13 日 決 定 は, 控 訴 審 でも 無 罪 判 決 が 言 い 渡 され, 検 察 官 が 上 告 せずに 確 定 したが, 被 告 人 が 帰 国 できたのは 一 審 判 決 後 約 8か 月 間 の 勾 留 の 後 であった 一 審 無 罪 判 決 後 の 勾 留 決 定 が, 無 実 の 被 告 人 に 対 する 身 体 拘 束 を 長 期 化 させる 結 果 となっている 無 罪 判 決 後 の 勾 留 の 問 題 は 被 告 人 が 外 国 人 の 場 合 のみに 生 じるものとはいえ ない 原 審 で 有 罪 とされた 日 本 国 籍 の 被 告 人 が 控 訴 審 で 無 罪 となった 殺 人 被 告 事 件 ( 一 審 京 都 地 裁 平 成 23 年 5 月 18 日 判 決, 控 訴 審 大 阪 高 裁 平 成 24 年 1 2 月 12 日 判 決 )では, 結 果 として 勾 留 決 定 はなされなかったものの, 控 訴 審 における 無 罪 判 決 後 に, 検 察 官 が 控 訴 審 裁 判 所 に 対 して 職 権 による 勾 留 を 申 し 立 て, 無 罪 判 決 を 得 た 被 告 人 が 勾 留 の 危 険 にさらされた このように, 無 罪 判 決 後 に 勾 留 決 定 がなされる 危 険 性 は, 被 告 人 が 外 国 人 で ある 場 合 のみならず, 無 罪 判 決 を 得 た 全 ての 被 告 人 において 生 じうる 3 無 罪 判 決 後 の 勾 留 に 関 する 最 高 裁 判 例 上 述 の3つの 最 高 裁 決 定 は,いずれも 一 審 無 罪 判 決 後 の 勾 留 決 定 を 肯 定 して いる その 理 由 として, 平 成 12 年 決 定 は, 第 一 審 裁 判 所 が 犯 罪 の 証 明 がない ことを 理 由 として 無 罪 の 判 決 を 言 い 渡 した 場 合 であっても, 控 訴 審 裁 判 所 は, 記 録 等 の 調 査 により, 右 無 罪 判 決 の 理 由 の 検 討 を 経 た 上 でもなお 罪 を 犯 したこ とを 疑 うに 足 りる 相 当 な 理 由 があると 認 めるときは, 勾 留 の 理 由 があり,かつ, 控 訴 審 における 適 正, 迅 速 な 審 理 のためにも 勾 留 の 必 要 性 があると 認 める 限 り, その 審 理 の 段 階 を 問 わず, 被 告 人 を 勾 留 することができ, 所 論 のいうように 新 たな 証 拠 の 取 調 べを 待 たなければならないものではない とした( 最 高 裁 第 二 小 法 廷 平 成 23 年 10 月 5 日 決 定 同 旨 ) 平 成 12 年 決 定 には, 被 告 人 が 不 法 在 留 中 の 外 国 人 である 場 合 に 特 有 の 不 都 合 について, 二 人 の 裁 判 官 の 反 対 意 見 が ある 反 対 意 見 は, 出 入 国 管 理 及 び 難 民 認 定 法 に 基 づく 退 去 強 制 手 続 の 行 政 処 分 と 刑 事 訴 訟 法 に 基 づく 身 体 拘 束 処 分 との 調 整 規 定 がないために, 不 法 在 留 中 の 外 国 人 である 被 告 人 に 対 しては, 退 去 強 制 の 手 続 により 国 外 に 退 去 させられ 2

るおそれがあることから, 上 訴 審 において 被 告 人 が 不 在 のまま 審 理 がなされる ことにより 支 障 が 生 じるおそれや 将 来 の 刑 の 執 行 確 保 のために 勾 留 が 認 められ やすいが, 退 去 強 制 手 続 と 刑 事 手 続 の 調 整 に 関 する 規 定 の 不 備 の 責 任 を 被 告 人 に 転 嫁 すべきではなく, 被 告 人 が 不 法 在 留 者 であっても,そのことだけで 勾 留 を 正 当 化 することはできず, 特 段 の 事 情 がなく 被 告 人 を 勾 留 すべきでないとし た 最 高 裁 第 三 小 法 廷 平 成 19 年 12 月 13 日 決 定 ( 以 下 平 成 19 年 決 定 と いう )は, しかし, 刑 訴 法 345 条 は, 無 罪 等 の 一 定 の 裁 判 の 告 知 があった ときには 勾 留 状 が 失 効 する 旨 規 定 しており, 特 に, 無 罪 判 決 があったときには, 本 来, 無 罪 推 定 を 受 けるべき 被 告 人 に 対 し, 未 確 定 とはいえ, 無 罪 の 判 断 が 示 されたという 事 実 を 尊 重 し,それ 以 上 の 被 告 人 の 拘 束 を 許 さないこととしたも のと 解 されるから, 被 告 人 が 無 罪 判 決 を 受 けた 場 合 においては, 同 法 60 条 1 項 にいう 被 告 人 が 罪 を 犯 したことを 疑 うに 足 りる 相 当 な 理 由 の 有 無 の 判 断 は, 無 罪 判 決 の 存 在 を 十 分 に 踏 まえて 慎 重 になされなければならず, 嫌 疑 の 程 度 としては, 第 1 審 段 階 におけるものよりも 強 いものが 要 求 されると 解 するの が 相 当 である としながらも, 無 罪 判 決 後 の 勾 留 を 肯 定 した このように, 最 高 裁 判 所 は, 退 去 強 制 を 被 告 人 を 勾 留 することで 回 避 することに 批 判 的 な 平 成 12 年 決 定 反 対 意 見 等 をも 受 けて, 犯 罪 の 嫌 疑 の 程 度 で 絞 りをかけてはいるが, 結 局, 控 訴 審 が 刑 事 訴 訟 法 第 60 条 1 項 の 要 件 である 被 告 人 が 罪 を 犯 したこ とを 疑 うに 足 りる 相 当 な 理 由 があると 判 断 したときには,いつでも 職 権 で 勾 留 決 定 ができるとしている 4 無 罪 判 決 による 勾 留 状 の 失 効 の 趣 旨 現 行 刑 事 訴 訟 法 第 345 条 が, 無 罪 のほか, 免 訴, 刑 の 免 除, 刑 の 執 行 猶 予, 公 訴 棄 却 ( 第 338 条 第 4 号 による 場 合 を 除 く), 罰 金, 科 料 について,その 裁 判 の 告 知 があればその 確 定 前 であっても 勾 留 状 が 失 効 すると 定 めているのは, 被 告 人 の 逃 亡 のおそれが 減 少 し, 刑 の 執 行 確 保 のための 身 体 拘 束 の 必 要 性 が 少 なくなるためであるとされている しかし, 免 訴 その 他 の 裁 判 とは 異 なり, 無 罪 判 決 の 場 合 の 失 権 効 は, 単 に 身 体 拘 束 の 必 要 性 の 点 からだけではなく, 第 一 審 判 決 の 内 容 を 直 ちに 被 告 人 の 身 柄 の 処 理 に 反 映 させようとしたものであり, 無 罪 という 実 体 判 断 から 導 かれて いると 考 えるべきである 無 罪 判 決 があったときは, 無 罪 の 理 由 のいかんにか かわらず, 身 体 の 拘 束 を 解 くというのが, 刑 訴 法 第 345 条 の 定 めるところで あり, 法 は 身 体 拘 束 からの 解 放 を 当 然 に 要 請 しているのである したがっ 3

て, 勾 留 禁 止 の 効 力 が 失 われ, 被 告 人 を 再 勾 留 し 得 るのは, 上 訴 審 において, 無 罪 の 原 判 決 を 破 棄 するとの 新 たな 実 体 判 断 が 示 されたときに 限 定 すべきであ る( 同 旨 岩 田 誠 刑 訴 三 四 五 条 による 勾 留 状 の 失 効 と 再 勾 留 法 曹 時 報 7 巻 3 号 ) 前 掲 平 成 19 年 決 定 は, 刑 事 訴 訟 法 第 345 条 の 趣 旨 につき, 未 確 定 とはい え, 無 罪 の 判 断 が 示 されたことを 尊 重 し,それ 以 上 の 被 告 人 の 拘 束 を 許 さない としたものと 解 される と 判 示 しているが, 無 罪 の 判 断 を 単 に 尊 重 するという ことではなく, 無 罪 の 判 断 に,それ 以 上 の 被 告 人 の 拘 束 を 許 さないとする 拘 束 禁 止 の 効 力 が 含 まれていると 解 すべきである 5 無 罪 判 決 後 の 勾 留 の 不 当 性 そもそも, 裁 判 手 続 において, 身 体 拘 束 は,それ 自 体 が 自 由 を 奪 うという 意 味 で 刑 罰 に 等 しいものであり,さらには, 裁 判 の 当 事 者 としての 防 御 権 の 行 使 に 著 しい 不 利 益 をもたらし, 防 御 権 行 使 の 重 大 な 障 害 にもなりかねないもので ある 国 際 人 権 自 由 権 規 約 第 9 条 第 3 項 においては, 身 体 不 拘 束 の 原 則 を 謳 っている 国 家 の 有 する 裁 判 権 の 適 正 な 行 使 のために 被 疑 者 被 告 人 の 勾 留 を 容 認 するにしても,その 行 使 は 謙 抑 的 でなければならない また, 国 家 による 刑 罰 権 行 使 の 中 で 肝 に 銘 じるべきは, 無 実 の 人 を 処 罰 して はならない ということである ここに 刑 事 裁 判 のルールとしての 無 罪 推 定 の 原 則 が 認 められている このような 近 代 刑 事 裁 判 のルールの 下 では, 無 罪 が 推 定 されながら 裁 判 権 の 適 切 な 行 使 のために 勾 留 されていた 被 告 人 が, 裁 判 権 行 使 の 結 果, 無 罪 判 決 を 受 けたにもかかわらず 検 察 官 の 控 訴 によって 再 び 勾 留 されるという 事 態 は, 当 該 被 告 人 に 著 しい 不 利 益 を 課 すものであって, 人 権 保 障 の 観 点 から 容 認 するこ とはできない 国 家 にとって 必 要 な 刑 事 裁 判 手 続 のためという 理 由 があるにせよ, 身 体 拘 束 それ 自 体 が 与 える 不 利 益 や 防 御 権 行 使 に 対 する 著 しい 制 約 はあまりにも 大 きく, 被 告 人 が 無 罪 である 場 合 にあっては 特 に,それは 許 されざる 不 正 義 である 6 結 論 したがって, 現 行 刑 事 訴 訟 法 第 345 条 の 無 罪 と その 他 の 裁 判 とは 別 異 に 解 釈 すべきである 無 罪 判 決 の 場 合 には, 上 訴 審 に 係 属 しても 新 たに 勾 留 されることなく, 無 罪 の 原 判 決 が 破 棄 されて 差 戻 しになるか, 破 棄 自 判 で 有 罪 判 決 を 受 けた 場 合 には,その 時 点 で 改 めて, 被 告 人 の 身 体 拘 束 の 当 否 が 判 断 されるようにすべきである 4

無 罪 判 決 については, 無 罪 という 実 体 判 断 そのものに 身 体 不 拘 束 という 勾 留 を 禁 止 する 効 力 があることを 明 確 にするため, 同 条 2 項 を 新 設 し, 判 決 で 無 罪 の 言 渡 しがあったときは, 上 訴 審 において 原 判 決 が 破 棄 されるまで, 新 たに 勾 留 状 を 発 することはできない との 規 定 を 置 くべきである 5