寺 嶋 弘 道 アブストラクト コンピューター 技 術 の 発 展 に 伴 い コーパスが 構 築 され それらのコーパスが 言 語 教 育 で 応 用 できるようになってきた 学 習 者 がコーパスを 使 い 学 習 する 方 法 はデータ 駆 動 型 学 習 (Data-driven-Learning)と 呼 ばれ 学 習 者 がオーセンテ ィック(authentic)な 言 語 に 大 量 に 触 れながら 学 習 できるという 特 徴 がある しかし 現 在 データ 駆 動 型 学 習 が 日 本 語 教 育 で 広 く 取 り 入 れられているとはいえなく そういった 実 践 例 もほとんど 見 られない そこで 本 稿 では 日 本 語 教 育 分 野 におけるデータ 駆 動 型 学 習 の 基 礎 的 な 資 料 となるよう データ 駆 動 型 学 習 の 方 法 その 効 果 と 問 題 点 問 題 の 改 善 方 法 について 整 理 し 本 学 におけるデータ 駆 動 型 学 習 の 取 り 組 みについて 報 告 した キーターム:コーパス データ 駆 動 型 学 習 漢 字 語 彙 学 習 コロケーション 1. はじめに 現 在 のコンピューター 技 術 の 発 展 に 伴 い コンピューター 上 で 扱 うことができる 大 規 模 なテキスト( 以 下 コーパス)の 構 築 が 進 んでいる コーパスの 言 語 教 育 分 野 への 応 用 としては 教 材 作 成 教 育 語 彙 の 選 定 などが 代 表 的 であるが 学 習 者 がコーパスそのものを 活 用 し 学 習 するという 方 法 も 提 案 されてきた このような 学 習 方 法 はデータ 駆 動 型 学 習 (Data-driven-Learning)と 呼 ばれ コーパスの 構 築 とコンコーダンサーと 呼 ばれる 検 索 システムの 開 発 が 進 んでいる 現 在 だからこそ 可 能 な 学 習 方 法 となっている データ 駆 動 型 学 習 はバーミンガム 大 学 教 授 であった Tim Johns らによ って 提 唱 された 学 習 方 法 で 英 語 教 育 分 野 において 積 極 的 に 取 り 入 れられてきたものである Tim Johns の 他 にも Chris Tribble Mike Scott Guy Aston Sylvia Bernardini といった 研 究 者 が 学 習 者 自 身 が 探 究 者 となる(learner as researcher) という 発 想 に 基 づき 学 習 者 が 直 接 コーパスを 利 用 する 方 法 を 取 り 入 れている( 投 野 2003) 日 本 語 教 育 においても 英 語 教 育 の 知 見 を 応 用 し データ 駆 動 型 学 習 を 行 うための 自 学 自 習 用 教 材 を 開 発 した 中 條 他 (2009)の 取 り 組 みがあるが データ 駆 動 型 学 習 というアプローチそのものが 十 分 に 知 られていないのが 現 状 である そこで 本 稿 では 日 本 語 教 育 分 野 におけるデータ 駆 動 型 学 習 の 基 礎 的 な 資 料 となるよう データ 駆 動 型 学 習 の 方 法 その 効 果 と 問 題 点 問 題 の 改 善 方 法 について 整 理 したい そして 実 際 に 本 学 で 行 っているデータ 駆 動 型 学 習 の 取 り 組 みについて 報 告 したい 2. データ 駆 動 型 学 習 の 方 法 とその 効 果 2.1 学 習 方 法 投 野 (2003)はコーパスを 言 語 教 育 に 応 用 する 場 合 直 接 的 なアプローチと 間 接 的 なアプローチがあるとしている 間 接 的 なアプローチとは コーパスから 得 られた 情 報 をシラバスや 教 材 の 作 成 に 生 かす 方 法 であるのに 対 し 直 接 的 なア プローチとは 学 習 者 が 自 らコンコーダンサーを 用 いる 方 法 である しかし 実 際 のデータ 駆 動 型 学 習 ではJones (1994) Tribble and Jones(1997)といった 英 語 教 育 分 野 の 先 行 研 究 に 代 表 されるように 直 接 的 アプローチと 間 接 的 アプローチ を 組 み 合 わせた 方 法 が 取 られていることが 多 い その 方 法 とは 教 師 がコーパスに 基 づき 作 成 した 教 材 を 提 供 し 学 習 者 がその 教 材 のタスクに 答 えるためにコーパスを 直 接 利 用 し 学 習 を 行 うというものである 日 本 語 教 育 分 野 においても 中 條 他 (2009)がコーパスから 得 られた 情 報 に 基 づいて 作 成 した 教 材 を DDL 教 材 とし 対 応 援 助 態 度 と いった 語 を 学 ぶための 教 材 を 開 発 している その 教 材 には 日 英 パラレルコーパスから 検 索 できるコンコーダンサーで 91
ポリグロシア 第 20 巻 (2011 年 2 月 ) 共 起 表 現 を 探 し それを 分 類 するタスク 空 欄 にされた 共 起 表 現 が 何 かを 考 えるタスク 等 が 含 まれている 一 方 直 接 的 アプローチの 例 としてはNoguchi(2004) 岩 井 (2009)のように 学 習 者 がコーパスを 直 接 利 用 し コーパスから 得 られ た 情 報 を 英 作 文 に 生 かしたものがある 日 本 語 教 育 分 野 でも 国 立 国 語 研 究 所 によるコーパスを 作 文 に 応 用 するための 研 究 プロジェクトが 進 行 中 である 1 以 上 の 先 行 研 究 はDDL 教 材 での 学 習 や 作 文 の 支 援 といった 目 的 でコーパスを 用 い た 例 である しかし 学 習 者 が 辞 書 や 文 法 書 などとともにコーパスを 使 用 すれば 指 導 者 がいない 場 面 でも 自 分 の 疑 問 を 解 決 することができる( 梅 咲 2008)という 指 摘 もあるように データ 駆 動 型 学 習 を 学 習 者 自 らがコーパスを 用 いる 過 程 で 生 じる 学 習 だと 捉 えれば 様 々な 目 的 でデータ 駆 動 型 学 習 を 導 入 することが 可 能 である データ 駆 動 型 学 習 の 特 徴 は 帰 納 的 な 学 習 が 行 える 点 であると 説 明 されることがある( 中 條 2008) その 典 型 的 な 学 習 は 大 規 模 なデータから 用 例 を 検 索 できるというコンコーダンサーの 特 徴 を 生 かし 帰 納 的 に 文 法 的 規 則 性 やよく 使 用 される 共 起 表 現 を 発 見 するというものである コンコーダンサーはソート 機 能 で 類 似 した 表 現 を 近 くに 表 示 できるた め より 短 時 間 での 発 見 が 期 待 できる しかし データ 駆 動 型 学 習 は 必 ず 帰 納 的 なアプローチを 取 らなければならない わけではない たとえば 演 繹 的 に 学 んだ 内 容 が 具 体 的 にどのように 使 用 されているかを 検 証 しながら 個 々の 例 から 学 ぶ 方 法 を 取 り 入 れることも 可 能 である コーパスの 中 には 演 繹 的 に 学 んだ 内 容 とは 異 なる 場 合 もあるため そのよう な 例 外 は 新 たな 知 識 を 獲 得 する 機 会 となる また 投 野 (2003)はデータ 駆 動 型 学 習 には 分 散 型 (divergent)と 収 斂 型 (convergent)の 学 習 方 法 があるとしている 分 散 型 というのはデータを 観 察 し 出 した 結 論 が 学 習 者 によって 異 なるというもので 収 斂 型 というのは 教 師 の 側 で 学 習 者 が 到 達 する 結 論 をあらかじめ 用 意 し 最 終 的 に 学 習 者 が 共 通 理 解 を 得 ることを 目 指 すものである あらかじめ 結 論 を 準 備 する 収 斂 型 の 場 合 教 師 が 直 接 その 結 論 を 教 えれば 時 間 の 無 駄 も 省 くことができるが 先 にも 述 べたようにデ ータ 駆 動 型 学 習 は 学 習 者 が 自 らコンコーダンサーを 用 いる 過 程 で 学 ぶことが 重 視 されるため そのような 方 法 を 取 らな いのが 特 徴 である 2.2 データ 駆 動 型 学 習 の 効 果 Jones (1994)はデータ 駆 動 型 学 習 の 特 徴 としてオーセンティック(authentic)な 言 語 に 大 量 に 触 れられるという 点 を 挙 げている 教 師 が 教 材 や 授 業 で 示 す 用 例 や 辞 書 に 含 まれる 用 例 は 量 に 限 りがあり 不 自 然 なものもある しかし デ ータ 駆 動 型 学 習 は 実 際 に 文 脈 がある 中 で 使 用 された 大 量 の 言 語 表 現 に 学 習 者 が 触 れながら 学 習 できるという 効 果 が ある また コーパスはどのような 表 現 がよく 使 用 されるのかを 示 す 実 証 的 資 料 となるため コーパスを 辞 書 や 文 法 書 とと もに 使 用 すれば 非 母 語 話 者 でも 自 分 で 疑 問 を 解 決 できる 可 能 性 があると 考 えられている( 梅 咲 2008) そのため デ ータ 駆 動 型 学 習 を 授 業 で 導 入 することにより 言 語 学 習 するうえで 有 効 な 学 習 ストラテジーを 教 えることができる さらに 演 繹 的 なアプローチであっても 帰 納 的 なアプローチであっても 主 体 的 に 分 析 しなければならないのがデー タ 駆 動 型 学 習 の 特 徴 であるため 多 くの 言 語 を 観 察 する 学 習 環 境 を 提 供 し 繰 り 返 し 観 察 することで 学 習 者 の 言 語 現 象 に 対 する 分 析 力 を 高 められる 可 能 性 もある 学 習 者 が 自 ら 目 標 言 語 についての 発 見 をしていくという 意 味 では データ 駆 動 型 学 習 は 認 知 心 理 学 の 第 一 人 者 であるブルーナー(1963)が 提 唱 した 発 見 学 習 と 通 じるところがあり 発 見 学 習 と 同 じような 学 習 効 果 が 期 待 できる 可 能 性 がある たとえば 水 越 (1975)はブルーナーが 提 唱 した 発 見 学 習 の 効 果 として 法 則 を 発 見 しようという 身 構 えた 心 を 育 成 できる 学 習 への 動 機 を 高 められる 記 憶 が 長 く 保 持 されるとい った 点 を 挙 げている ブルーナーが 提 唱 した 発 見 学 習 は 子 供 への 科 目 教 育 を 対 象 にしているが データ 駆 動 型 学 習 にお いてもそのような 効 果 が 実 際 にあるのか 今 後 明 らかにしていく 必 要 がある 2.3 データ 駆 動 型 学 習 の 問 題 点 ここではデータ 駆 動 型 学 習 における 問 題 点 とその 改 善 方 法 を 考 察 したい まず データ 駆 動 型 学 習 の 問 題 点 としては コーパスの 難 易 度 の 問 題 やコーパスに 含 まれるテキストのテーマといったように コーパスそのものと 関 わるものがあ る そのような 問 題 を 改 善 するために コンコーダンサーでは 様 々な 工 夫 がされている たとえば 国 立 国 語 研 究 所 が 公 開 しているKOTONOHAの 場 合 は ジャンルや 期 間 を 選 択 でき 2 東 京 国 際 大 学 の 川 村 氏 他 が 公 開 しているJpwac-L2 では 92
旧 日 本 語 能 力 試 験 のLevel4(4 級 )~Level1(1 級 ) さらに 上 級 のLevel0 の 選 択 ができ 表 示 される 難 易 度 を 変 えること ができる 3 そのような 機 能 を 用 いることで コーパスそのものに 関 わる 問 題 は 軽 減 できると 思 われる 次 に 考 えられるのが 学 習 者 のデータ 駆 動 型 学 習 に 対 する 態 度 である データ 駆 動 型 学 習 というのは 新 しい 学 習 方 法 であるため そのような 学 習 を 経 験 したことがない 学 習 者 が 多 い 多 くのデータを 主 体 的 に 分 析 する 能 力 が 求 められる データ 駆 動 型 学 習 を 紹 介 しても 自 分 に 合 わないと 考 える 学 習 者 もいると 思 われる そのため データ 駆 動 型 学 習 の 導 入 に 当 たってはガイダンスを 設 け データ 駆 動 型 学 習 にどんなメリットがあるかを 説 明 しておく 必 要 がある また 学 習 者 のコンコーダンサーの 使 い 方 についても 注 意 が 必 要 である コンコーダンサーが 高 機 能 になっているた め パソコンに 苦 手 意 識 を 持 っている 学 習 者 はコンコーダンサーの 機 能 を 説 明 しても 十 分 に 理 解 できないおそれがあ る また コンコーダンサーで 検 索 する 場 合 も 語 の 変 化 や 文 構 造 を 意 識 した 検 索 方 法 を 習 得 しておかなければ 欲 しい 情 報 を 正 確 に 取 り 出 せない そのため ガイダンスの 中 でコンコーダンサーの 機 能 効 果 的 な 検 索 方 法 などを 説 明 して おく 必 要 がある 最 後 にデータ 駆 動 型 学 習 を 行 っても 必 ず 欲 しい 情 報 が 得 られるわけではないという 問 題 もある コーパスの 規 模 に も 限 界 があるため 低 頻 度 の 表 現 になると 欲 しい 情 報 が 見 つけられないということもある また 例 外 が 多 すぎて 共 通 性 を 発 見 できないということも 考 えられる そのような 問 題 を 改 善 するためには 事 前 に 教 師 がコンコーダンサー で 調 査 し 学 習 項 目 から 外 すことや 中 條 (2008)のように 発 見 までの 過 程 を 教 材 化 することで 自 主 的 な 発 見 学 習 を 導 くという 方 法 が 考 えられる 3. 日 本 語 教 育 で 活 用 できるコーパス 最 初 にも 述 べたように 近 年 データ 駆 動 型 学 習 を 行 うために 必 要 なコーパスが 公 開 されるようになり このような 学 習 方 法 が 可 能 になっている しかし コーパスには 著 作 権 の 問 題 があるため それほど 多 くのコーパスが 公 開 されている わけではない また コーパスが 公 開 されたとしても 1 億 語 規 模 のコーパスでは 低 頻 度 語 の 現 象 を 明 らかにするため には 十 分 ではないという 考 え 方 もある( 石 川 2009) そのため 荻 野 (2008) 石 川 (2008)のように 身 近 なものとし て 存 在 している WWW を 一 つの 巨 大 なコーパスと 見 なす 考 え 方 すなわち WAC(Web as Corpus)というアプローチも 存 在 している たとえば Google などの 検 索 エンジンを 用 いれば 検 索 した 表 現 が WWW 上 にどれぐらい 存 在 するのかがヒッ ト 件 数 として 表 示 される そのようなヒット 件 数 を 手 がかかりに 言 語 現 象 を 調 査 することが 可 能 なのである しかし それらは 研 究 者 による 言 語 研 究 という 立 場 で 述 べられているもので 学 習 者 による 言 語 学 習 となると いく つかの 問 題 が 考 えられる まず 考 えられるのは WWW 上 にある 検 索 エンジンは コンコーダンサーのようにKWIC (Key Word in Context) 表 示 及 びソートができないため 4 言 語 学 習 には 向 かないという 点 である コンコーダンサーを 用 いれば 検 索 した 語 を 中 心 に 置 き その 前 後 にどのような 共 起 語 が 用 いられるかを 視 覚 的 に 分 析 することが 可 能 である しかし Google 等 の 検 索 エンジンを 用 いて 共 起 表 現 を 探 そうとしても そのような 機 能 がないため 手 間 がかかってしまう ま た WWWにあるテキストの 難 易 度 や 質 の 点 から 考 えても WWWをコーパスとして 見 なし 学 習 者 が 言 語 学 習 に 活 用 するに は 無 理 があるように 思 われる やはり データ 駆 動 型 学 習 のためには 理 論 的 にサンプリングされたコーパスと 専 用 の 検 索 システムが 必 要 である 現 在 日 本 語 教 育 においてデータ 駆 動 型 学 習 への 活 用 が 期 待 できるのは WEB 上 で 公 開 されているKOTONOHAとJPwac-L2 である 5 現 在 前 者 は 4600 万 語 後 者 は 1300 万 語 規 模 のコーパスから 検 索 が 可 能 である 以 下 KOTONOHAとJPwac-L2 に 分 け その 機 能 を 説 明 したい 3.1 KOTONOHA の 機 能 KOTONOHA とは 国 立 国 語 研 究 所 が WEB 上 で 公 開 しているコンコーダンサーで 同 研 究 所 で 構 築 している 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コーパス( 以 下 BCCWJ)から 検 索 を 行 うことができる BCCWJ の 特 徴 は 書 籍 白 書 Yahoo 知 恵 袋 といった 多 様 な 内 容 が 含 まれていること そして 母 集 団 の 特 性 が 反 映 されるよう 構 築 されていることである 現 在 (2010 年 3 月 ) 検 索 対 象 となっているのは 一 般 の 書 籍 からのサンプル(8821 件 約 2500 万 語 ) 政 府 刊 行 白 書 からのサンプル(1500 件 約 500 万 語 ) 過 去 30 年 間 の 国 会 会 議 録 からのサンプル(159 会 議 約 500 万 語 ) 2005 年 度 版 の 検 定 教 科 書 からの 93
ポリグロシア 第 20 巻 (2011 年 2 月 ) サンプル(412 件 約 100 万 語 ) Yahoo! 知 恵 袋 からのサンプル(45725 件 約 500 万 語 ) Yahoo!ブログ からのサ ンプル(24027 件 約 500 万 語 )の6 種 類 のデータ 合 計 4600 万 語 である 図 1は KOTONOHA で 検 索 を 開 始 する 画 面 である 検 索 する 際 には チェックボックス 機 能 を 用 い ジャンル 及 び 期 間 を 設 定 することができる ジャンルは 先 に 述 べた BCCWJ に 含 まれるジャンルを 検 索 に 含 めるのかどうかを 選 択 できる さらに 各 ジャンルの+をクリックすると より 細 分 化 したジャンルが 表 示 される たとえば 書 籍 の 場 合 であれば NDC 番 号 で 0~9 無 分 類 で 選 ぶことができる 一 方 期 間 の 場 合 出 版 された 期 間 を 限 定 し 検 索 することができる 検 索 された 結 果 は 図 2のように 検 索 語 の 左 右 に 出 現 する 表 現 が 見 やすく 表 示 される ソート 機 能 で 左 右 の 表 現 を 並 び 換 えれば 同 じ 表 現 がどれぐらいあるかを 知 ることができる 検 索 語 の 左 側 でソートをする 場 合 は 左 文 脈 右 側 の 場 合 は 右 文 脈 をクリックすればよい KOTONOHA は 検 索 結 果 が 500 件 以 上 の 場 合 一 旦 コーパス 全 体 を 検 索 したうえで 無 作 為 に 500 件 を 選 んで 表 示 するようになっている 図 1KOTONOHA の 検 索 画 面 94
図 2KOTONOHA の 検 索 結 果 3.2 JPwac-L2 の 機 能 Jpwac-L2 というのは もともとSketch Engineと 呼 ばれるコーパス 検 索 ツールに 搭 載 されたJPwacと 呼 ばれるコーパスか ら 抽 出 したデータである 6 JpwacはWEB 上 の5 万 ページから 収 集 し 整 理 された4 億 語 規 模 のコーパスであるが Jpwac-L2 はそのデータから1 億 語 を 抽 出 し その 抽 出 したデータにいくつかの 条 件 を 設 定 し その 条 件 に 合 った 文 を 抽 出 した 用 例 コーパスである Jpwac-L2 に 入 れるための 条 件 は 1)1 文 の 長 さが 25 語 以 下 2)20% 以 上 の 記 号 や 数 字 を 含 まない 3) 日 本 語 以 外 の 表 記 を 含 まない 4) 句 点 で 終 わっている 5) 少 なくとも 一 つの 動 詞 形 容 詞 形 容 動 詞 あるいは 助 動 詞 を 含 むというものである このコーパスは 以 上 の 条 件 を 含 んだ 文 で 構 成 された 約 1300 万 語 規 模 のコーパスである 図 3は Jpwac-L2 で 検 索 を 開 始 する 画 面 である 検 索 する 際 には ドロップダウンリスト 機 能 により 使 用 するコーパ スのレベルを 設 定 することができる レベル 設 定 は 旧 日 本 語 能 力 試 験 の Level4(4 級 )~Level1(1 級 ) さらに 上 級 の Level0 から 選 択 でき 各 レベルの 文 には 当 該 レベルより 上 のレベルの 語 は 含 まないこと 当 該 レベルの 語 を 10% 以 上 含 むことという 条 件 が 設 定 されている 検 索 結 果 は KOTONOHA と 同 様 KWIC 表 示 されるが チェックボックスの 機 能 で 各 語 のレベルやレンマ 形 品 詞 などを 表 示 させることや キーワードや 左 右 の 表 現 をソートすることも 可 能 である KOTONOHA の 機 能 と 異 なる 点 として 表 示 件 数 に 限 界 がないこと レンマでの 検 索 も 可 能 である 点 が 挙 げられる 図 4は 取 り 組 む という 語 を 検 索 し 検 索 語 の 左 側 のテキストでソートを 行 った 画 面 である 95
ポリグロシア 第 20 巻 (2011 年 2 月 ) 図 3 JPWac-L2 の 検 索 画 面 図 4JPWac-L2 の 検 索 結 果 96
4. 本 学 におけるデータ 駆 動 型 学 習 の 取 り 組 み 4.1 コロケーション 学 習 の 重 要 性 最 後 に 実 際 に 本 学 で 取 り 組 んでいるデータ 駆 動 型 学 習 について 報 告 したい 日 本 語 教 育 では 漢 字 語 彙 学 習 の 方 法 として 様 々な 方 法 が 提 案 されているが その 中 でも 効 果 的 な 学 習 方 法 としてよく 挙 げられるものの 一 つに 語 の 共 起 関 係 の 学 習 ( 以 下 コロケーション 学 習 7 )がある( 加 納 2000) 語 彙 学 習 の 中 で 共 起 関 係 を 学 べば 意 味 的 にまとまりのある 語 彙 のネットワークを 形 成 することができ 語 彙 量 を 効 率 的 に 増 やすことができるというメリットがある また 正 確 な 意 味 の 理 解 及 び 用 法 の 理 解 をしながら 語 彙 学 習 をするためには コロケーション 学 習 が 有 効 である 森 田 (1989)は 語 の 意 味 や 用 法 を 明 らかにするためには 明 らかにしたい 語 の 主 体 や 対 象 どのような 文 型 で 使 用 されるかなどを 考 える 必 要 性 があることを 述 べている つまり 学 習 者 は 語 を 単 体 で 理 解 するのではなく 文 法 的 な 共 起 語 語 彙 的 な 共 起 語 をともに 理 解 することで 意 味 の 理 解 や 用 法 の 習 得 が 効 果 的 に 行 えるといえる 本 学 においてもそれらの 効 果 に 注 目 し コロケーション 学 習 を 漢 字 語 彙 学 習 の 中 に 積 極 的 に 取 り 入 れてきた 寺 嶋 他 (2009)は 教 材 の 中 で 学 習 する 語 と 共 起 語 を 提 示 し 学 習 者 がそれらの 語 で 短 文 を 完 成 するという 学 習 方 法 を 実 践 している その 結 果 コロケーション 学 習 は 中 級 の 段 階 ではコロケーションに 対 する 意 識 により 大 きな 変 化 をもたらし 内 容 がより 複 雑 になる 上 級 Ⅰの 段 階 では 表 現 力 を 向 上 させる 手 段 になると 学 習 者 により 強 く 認 識 されていることがわか った しかし 実 際 に 提 示 されている 共 起 語 は 限 定 されているという 問 題 があるため 学 習 者 自 身 が 共 起 表 現 を 調 べら れるように 指 導 することが 課 題 となっていた そこで 2008 年 秋 学 期 から 上 級 Ⅱにおいて 学 習 者 自 身 がコーパスを 用 い て 共 起 する 表 現 を 調 べ 短 文 を 作 るという 漢 字 語 彙 学 習 方 法 を 導 入 している 4.2 本 学 におけるデータ 駆 動 型 学 習 の 概 要 本 学 の 日 本 語 上 級 Ⅱという 授 業 は 週 に 4 クラス(95 分 /1 クラス) 1 学 期 間 ( 約 90 時 間 )をかけて 学 習 を 行 う 上 級 Ⅱでは 一 つのテーマに 基 づき 読 解 発 表 レポート 作 成 を 行 っている たとえば 2010 年 春 学 期 は 環 境 問 題 がテー マの 中 心 にあり コンビニのレジ 袋 の 有 料 化 コンビニの 24 時 間 営 業 クロマグロ 資 源 の 問 題 などが 具 体 的 な 学 習 テー マであった 2008 年 秋 以 前 はそのような 活 動 を 行 うために テーマに 合 った 語 彙 を 選 定 し 語 とその 読 み 方 が 書 かれた リストを 渡 し それを 各 自 で 自 学 するように 指 導 していた その 背 景 には 限 られた 指 導 時 間 の 中 で 読 む 書 く とい ったスキル 指 導 に 重 点 を 置 いているため 授 業 内 で 十 分 に 語 彙 の 指 導 ができないという 現 状 があったからである しか し 語 彙 リストだけの 学 習 では 使 用 する 文 脈 やコロケーションに 対 する 理 解 が 進 まないため 表 現 力 がなかなか 向 上 し ないという 問 題 があった そのため 日 本 語 上 級 Ⅱでは 学 習 者 自 身 で 漢 字 語 彙 が 効 果 的 に 学 習 できるような 指 導 が 必 要 であった 現 在 は 同 様 のリスト 8 を 渡 した 後 かぼす というデータ 駆 動 型 学 習 を 支 援 するシステムを 用 い 漢 字 語 彙 学 習 を 指 導 している かぼす というのは (Kanji and Vocabulary Learning Support tool) のことで Excelをベースに 開 発 したソフトウエアである かぼす は Excel 日 本 語 のフォントが 入 っているWindowsのパソコンであれば 使 用 す ることができる かぼす は 使 用 者 が 自 由 にコンテンツデータを 入 力 することができ コンテンツデータを 入 力 する ことでフラッシュカード 空 欄 補 充 問 題 などが 自 動 的 に 生 成 される 機 能 がある 上 級 Ⅱの 学 習 者 は 先 に 述 べたKOTONOHA やJPwac-L2 を 用 いて コロケーションの 情 報 やそのコロケーションを 用 いた 短 文 を かぼす に 入 力 するというデータ 駆 動 型 学 習 を 行 えば 作 成 したデータで 自 動 的 に 生 成 される 練 習 問 題 で 学 習 することが 可 能 である 9 図 5は かぼす を 起 動 したときの 画 面 で データを 入 力 するさいはData Entryのボタンをクリックすると 図 6の 画 面 が 表 示 される また かぼす の 学 習 ツールで 学 ぶ 場 合 は 図 5の 画 面 で 選 択 すると Flash Card( 図 7) Kanji Card( 図 8) Typing ( 図 9)といった 画 面 が 表 示 される 2.3 でも 述 べたように データ 駆 動 型 学 習 を 導 入 するためには 学 習 の 意 義 やコンコーダンサーの 使 い 方 などのガイ ダンスが 重 要 になる そこで 授 業 の 最 初 にガイダンスを 行 った 表 1は データ 駆 動 型 学 習 のガイダンスと かぼす の 使 い 方 のガイダンスの 流 れを 示 している まずコーパスの 紹 介 やコンコーダンサーの 使 い 方 を 説 明 した 後 間 違 った 表 現 を 直 す 類 語 表 現 の 中 でよく 使 われる 表 現 を 選 ぶ ある 語 とよく 共 起 する 表 現 を 探 す 品 詞 ごとによく 共 起 する 表 97
ポリグロシア 第 20 巻 (2011 年 2 月 ) 現 を 探 すといったように コーパスを 使 う 目 的 を 確 認 しながらタスクを 行 った そして 5 回 目 のガイダンスが 終 わった 後 で 手 渡 した 語 彙 リストから 6 語 を 選 び 図 10 のような 形 式 の 紙 を 学 習 者 に 渡 した そして JPWac-L2 や KOTONOHA といったコンコーダンサー オンライン 辞 書 などで 必 要 な 情 報 を 調 べて 紙 に 書 くように 指 導 した 紙 に 書 くのは 品 詞 英 語 での 意 味 アクセントの 番 号 学 ぶ 語 の 前 に 強 く 共 起 する 語 後 ろ に 強 く 共 起 する 語 そして それらの 共 起 語 を 使 った 短 文 である 短 文 を 作 成 するという 指 導 は 寺 嶋 他 (2009)での 方 法 と 同 じで 本 学 の 学 習 者 はそのような 学 習 を 中 級 から 続 けている しかし それまでの 学 習 方 法 は 与 えられたコロ ケーションに 基 づき 短 文 を 作 成 するという 方 法 であった 6 回 目 のガイダンスでは かぼす を 配 布 し 使 い 方 のガイダンスとデータ 入 力 の 練 習 を 行 った かぼす にデー タを 入 力 するさいは 図 6の 画 面 で 行 うが そこに 入 力 する 情 報 は 図 10 で 練 習 したものと 同 じである そして ガイダン ス 終 了 時 には 各 クラスで 語 彙 リストに 基 づき データを 作 成 するように 学 習 者 に 指 示 を 出 した ただし 1 回 当 たり の 語 は 60 語 から 70 語 ほどあるため 一 人 の 学 習 者 で 全 てを 作 るのは 負 担 がある そのため 各 クラスで 担 当 を 決 めて データを 作 成 し 共 有 するようにした また 学 習 者 が 作 成 したデータには 問 題 も 見 られるため クラスで 共 有 する 前 に 教 師 は 一 人 一 人 の 学 習 者 にフィードバックを 行 った しかし この 方 法 では 学 習 者 によって 作 成 するデータが 異 なっ てしまい 指 導 する 語 が 異 なるという 問 題 が 生 じるため 共 通 に 指 導 したい 語 がある 場 合 は 図 10 の 形 式 の 紙 を 配 り 指 導 を 行 った 表 1 漢 字 語 彙 学 習 の 流 れ テーマ 回 数 内 容 コーパス 及 びコンコーダンサーの 使 い 方 の 説 明 1 間 違 った 表 現 を 確 認 し どのような 表 現 が 適 切 かをコーパスで 調 べる 例 ) 目 標 を 完 成 するために 努 力 している 類 似 した 表 現 を 示 し どちらの 表 現 がよく 使 用 されるかをコーパスで 調 べる 2 データ 駆 動 型 学 習 のた 例 ) 割 合 が 増 える / 割 合 が 高 くなる めのガイダンス NT の 部 分 でよく 使 用 される 共 起 表 現 を 調 べる 3 例 ) NT を 身 に 付 ける 品 詞 ごとでよく 使 用 される 表 現 を 調 べる 4 例 )< 形 容 詞 >+ 取 り 組 み < 名 詞 >+ 取 り 組 み < 名 詞 + 助 詞 >+ 取 り 組 む < 副 詞 >+ 取 り 組 む 紙 でのコンテンツ 作 成 ( 図 10) かぼすの 使 い 方 のため 5 かぼすの 機 能 とデータの 入 力 方 法 を 学 ぶ のガイダンス 6 かぼす を 使 ってのコンテンツ 作 成 ( 図 6) 図 5 起 動 画 面 98
図 6 データの 入 力 画 面 図 7 フラッシュカード 図 8 漢 字 カード 図 9タイピング 99
ポリグロシア 第 20 巻 (2011 年 2 月 ) 図 10 学 習 者 によるデータ 駆 動 型 学 習 の 例 4.3 実 践 したデータ 駆 動 型 学 習 の 考 察 今 回 のデータ 駆 動 型 学 習 の 特 徴 として 考 えられるのは よく 使 用 される 共 起 表 現 を 自 由 に 探 すという 点 である 共 起 表 現 を 探 すというのは 中 條 他 (2009)でも 見 られるが それらの 教 材 では ~への 対 応 に 対 応 した~ 援 助 が~ といったように 構 造 が 指 定 され その 構 造 に 当 てはまる 語 彙 的 コロケーションを 探 すようになっている そのような 学 習 は 今 回 のデータ 駆 動 型 学 習 のガイダンス(3 回 目 )で 行 っており 今 回 実 践 したデータ 駆 動 型 学 習 は より 自 由 度 と 難 易 度 が 高 いものである 学 習 者 の 中 には 複 合 語 の 表 現 ばかりを 選 ぶ 者 や 途 中 でデータを 探 すのを 諦 め コンコー ダンサーで 表 示 された 最 初 の 方 に 現 れる 共 起 表 現 を 選 び 最 後 まで 画 面 をスクロールしない 者 も 見 られた そのような 場 合 はフィードバックを 行 い より 適 切 だと 思 われるコロケーションを 取 り 上 げるよう 導 いた 100
二 つ 目 の 特 徴 は 調 べたコロケーションを 用 い 短 文 を 完 成 する 点 である 効 果 的 に 言 語 習 得 を 行 うためには 理 解 と 産 出 が 必 要 である 特 に 上 級 段 階 になると 文 章 表 現 の 指 導 が 強 調 されるが まずは 短 文 で 産 出 できる 能 力 を 身 に 付 け ることが 必 要 である そのような 理 由 から 短 文 を 完 成 させる 指 導 というのは 中 級 から 一 貫 して 行 ってきた そのた め 今 回 の 授 業 でコロケーションを 使 い 短 文 を 完 成 するということ 自 体 は それほど 抵 抗 がないようであった しか し 寺 嶋 他 (2009)が 報 告 している 例 と 同 様 に 検 索 した 以 外 の 部 分 で 不 自 然 なコロケーションを 生 成 したり コロケ ーション 以 外 の 部 分 で 文 法 的 な 間 違 いをおかしたりする 例 もみられた 他 にも 学 習 者 自 身 がコロケーションの 候 補 とし てあげた 語 を 短 文 完 成 の 中 で 全 く 使 わないという 例 前 後 にあげたコロケーションを 無 理 に 使 用 し 不 自 然 な 表 現 にな っている 例 も 見 られたため フィードバックを 行 った 三 つ 目 の 特 徴 は 学 習 者 は 語 彙 情 報 を 同 じ 形 式 でリストのようにまとめていくという 点 である 中 條 他 (2009)では たとえば 対 応 という 語 を 取 り 上 げ 様 々な 質 問 に 答 えることで 理 解 を 深 めるという 方 法 を 取 っている しかし 実 際 の 教 育 現 場 では 一 つの 語 を 学 ぶのに それほど 多 くの 時 間 をかけられないのが 現 実 である そのため できるだ けシンプルな 形 式 で 語 彙 情 報 をまとめるようにしている しかし それだけでは 単 調 な 学 習 になるという 問 題 も 考 えら れる そのため かぼす のフラッシュカード 空 欄 補 充 問 題 などといった 機 能 で 学 習 できるようにし 理 解 を 深 めら れるような 環 境 を 整 えたが 実 際 にはそのような 学 習 ツールを 用 いず かぼす で 作 成 したデータをリストとして 印 刷 し リスト 化 された 紙 に 様 々な 情 報 を 書 きこみながら 学 んでいる 学 習 者 も 多 く 見 られた 2.3 で 述 べたように コーパスの 難 易 度 に 大 変 さを 感 じている 学 習 者 もいたが そのような 学 習 者 にはコンコーダン サーに 表 示 された 文 の 内 容 を 全 て 理 解 するのではなく 検 索 語 とその 前 後 の 語 の 共 起 関 係 と 意 味 に 注 目 し 理 解 するよ う 指 導 した また コンコーダンサーの 使 い 方 がわからない 学 習 者 や 学 習 に 対 する 態 度 が 前 向 きではない 学 習 者 もいた が 練 習 と 説 明 を 重 ねるにつれ そのような 学 習 者 は 減 少 していった 学 習 者 の 中 には 最 後 までデータ 駆 動 型 学 習 に 馴 染 めないような 学 習 者 もいたが 作 成 するデータの 質 が 向 上 していった 学 習 者 レポートにもその 効 果 が 表 れている 学 習 者 も 見 られたため 今 後 詳 しく 分 析 し 指 導 方 法 を 改 善 していく 必 要 がある 5. まとめ 以 上 本 稿 では 日 本 語 教 育 でデータ 駆 動 型 学 習 を 行 うための 学 習 方 法 を 整 理 し 実 際 に 本 学 で 行 っているデータ 駆 動 型 学 習 の 取 り 組 みを 報 告 した データ 駆 動 型 学 習 はオーセンティックな 言 語 に 大 量 に 触 れることができ 学 習 者 の 疑 問 を 解 決 するための 新 たなスト ラテジーにもなると 考 えられる また 言 語 現 象 に 対 する 分 析 力 を 高 められる 可 能 性 があるだけでなく ブルーナ ーが 提 唱 した 発 見 学 習 の 効 果 と 同 じように 法 則 を 発 見 しようという 身 構 えた 心 を 育 成 できる 学 習 への 動 機 を 高 めら れる 記 憶 が 長 く 保 持 されるといった 効 果 も 得 られる 可 能 性 があり さらに 実 践 的 な 研 究 を 進 める 必 要 がある しかし データ 駆 動 型 学 習 は いくつかの 問 題 も 見 られるため 授 業 で 導 入 するさいには 注 意 が 必 要 である 今 後 は 継 続 的 に データ 駆 動 型 学 習 の 実 践 と 改 善 を 行 い データ 駆 動 型 学 習 の 可 能 性 を 探 っていきたい 注 1. 国 立 国 語 研 究 所 の 文 部 科 学 省 科 学 研 究 費 特 定 領 域 研 究 の 一 部 として 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コーパスの 構 築 が 進 められている その 中 の 一 つの 組 織 である 作 文 支 援 システム 班 がデータ 駆 動 型 学 習 を 可 能 にするシステム なつ め を 開 発 しており それによって 作 文 支 援 を 行 う 研 究 プロジェクトがある 2. 国 立 国 語 研 究 所 KOTONOHA http://www.kotonoha.gr.jp/demo/ 3. 川 村 よし 子 ( 東 京 国 際 大 学 ),クリスティナ フメリャク 寒 川 (リュブリャーナ 大 学 ) JpWac-L2 http://nl.ijs.si/jaslo/cqp/ 4.KWIC 表 示 とは Key Word in Context の 略 で 中 央 に 検 索 した 語 が 並 び その 左 右 に 文 脈 を 出 現 させる 機 能 である 左 右 の 共 起 語 を 調 べるために 使 用 される 機 能 である 5. 他 にも 東 京 工 業 大 学 留 学 生 センター 仁 科 研 究 室 で 開 発 されている なつめ がある 現 在 なつめ では 毎 日 新 101
ポリグロシア 第 20 巻 (2011 年 2 月 ) 聞 や 青 空 文 庫 などのテキストから 検 索 が 可 能 であるが 今 後 国 立 国 語 研 究 所 の 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コーパス から 検 索 ができる 予 定 である 6.Jpwac についてはスルダノヴィッチ エリャヴェツ イレーナ 他 (2008)が 詳 しく 報 告 している 7.コロケーションの 定 義 は 野 田 (2007)に 従 う 8. 語 彙 リストは 漢 字 語 彙 テストの 数 に 合 わせ 1 回 目 ~5 回 目 までに 分 けられている 1 回 あたりに 60 語 ~70 語 の 漢 字 語 彙 が 含 まれている 9. 漢 字 語 彙 を 紙 媒 体 で 学 習 したいという 学 習 者 のために 入 力 した 情 報 をリストとしてプリントできる 機 能 練 習 問 題 がプリントアウトできる 機 能 もある 参 考 文 献 J S ブルーナー( 著 ), 鈴 木 祥 蔵, 佐 藤 三 郎 ( 訳 )(1963) 教 育 の 過 程 岩 波 書 店 Johns, T. (1994). From printout to handout: Grammar and vocabulary teaching in the context of data-driven learning. In T. Odlin (Ed.), Perspectives on pedagogical grammar (pp. 293-313). Cambridge: Cambridge University Press Noguchi,J. (2004). A Genre Analysis and Mini-Corpora Approach to Support Professional Writing by Nonnative English Speakers 英 語 コーパス 研 究 第 11 号, 英 語 コーパス 学 会,101-110 Tribble,C. and Johns,G(1997). Concordances in the Classroom, Houston: Athelstan 石 川 慎 一 郎 (2009) 日 本 語 基 本 研 究 における 非 統 制 型 統 制 型 媒 介 型 Web as Corpus の 可 能 性 - 言 語 コーパスにお ける 基 本 語 頻 度 の 安 定 性 について 特 定 領 域 研 究 日 本 語 コーパス 平 成 20 年 度 公 開 ワークショップサテライトセ ッション 予 稿 集 特 定 領 域 研 究 日 本 語 コーパス 総 括 班,29-38 石 川 慎 一 郎 (2008) 言 語 コーパスとしての WWW- 広 がる 可 能 性 - 日 本 語 学 27 巻 2 号, 明 治 書 院,10-21 岩 井 千 春 (2009) コーパス 言 語 学 を 応 用 した ESP 教 育 -- 発 見 学 習 に 基 づいた 学 習 者 自 律 大 阪 府 立 大 学 紀 要, 人 文 社 会 科 学 57 巻,1-12 梅 咲 敦 子 (2008) 英 語 教 育 とコーパス- 問 題 解 決 型 学 習 と 自 律 した 英 語 使 用 のためのコーパス 利 用 - 日 本 英 語 コミ ュニケーション 学 会 紀 要 17 巻 1 号,115-117 荻 野 綱 男 (2008) WWW をコーパスとして 利 用 する 研 究 - 文 系 と 理 系 の 観 点 から- 日 本 語 学 27 巻 2 号, 明 治 書 院,4-9 加 納 千 恵 子 (2000) 中 上 級 学 習 者 に 対 する 漢 字 語 彙 教 育 の 方 法 筑 波 大 学 留 学 生 センター 日 本 語 教 育 論 集 15, 35-46 川 村 よし 子 クリスティナ フメリャク 寒 川 (2010) Web コーパスを 活 用 したレベル 別 例 文 検 索 システムの 開 発 と 評 価 ヨーロッパ 日 本 語 教 育 Vol.14, pp. 226-233 スルダノヴィッチ エリャヴェツ イレーナ, 仁 科 喜 久 子 (2008) コーパス 検 索 ツール Sketch Engine の 日 本 語 版 とそ の 利 用 法 日 本 語 科 学 第 23 号, 国 書 刊 行 会,59-79 投 野 由 紀 夫 (2003) コーパスを 英 語 教 育 に 生 かす 英 語 コーパス 研 究 第 10 号, 英 語 コーパス 学 会,249-264 野 田 尚 史 (2007) 文 法 的 なコロケーションと 意 味 的 なコロケーション 日 本 語 学 26-11, 明 治 書 院, 18-27 中 條 清 美, 西 垣 知 佳 子, 内 山 将 夫, 原 田 康 也, 山 敦 史 (2005) 日 英 パラレルコーパスを 活 用 した 英 語 語 彙 指 導 の 試 み 日 本 大 学 生 産 工 学 部 研 究 報 告 B 第 38 巻, 日 本 大 学 生 産 工 学 部 生 産 工 学 研 究 所,17-37 中 條 清 美, 田 辺 和 子, 木 下 謙 朗, 三 橋 麻 子, 西 垣 知 佳 (2009) コーパスを 活 用 した 日 本 語 教 材 作 成 の 試 み 日 本 大 学 生 産 工 学 部 研 究 報 告 B 第 42 巻, 日 本 大 学 生 産 工 学 部 生 産 工 学 研 究 所,43-52 寺 嶋 弘 道, 小 林 潔 子 (2009) コロケーション 情 報 を 用 いた 漢 字 語 彙 学 習 の 試 み ポリグロシア 17 巻,139-149 姫 野 昌 子 (2006) 学 習 者 のためのコロケーション 辞 典 日 本 語 表 現 活 用 辞 典 の 作 成 に 際 して 日 本 語 学 25-8, 明 治 書 院, 40-5 前 川 喜 久 雄, 山 崎 誠 (2009) 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コーパス 国 文 学 解 釈 と 鑑 賞 74 巻 1 号, 至 文 堂, 15-25 水 越 敏 行 (1975) 発 見 学 習 入 門 明 治 図 書 出 版 102
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