Microsoft Word - 統合0811.docx



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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有


経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

1_2013BS(0414)

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

第316回取締役会議案

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

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平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

(1) 貸 借 対 照 表 ( 平 成 26 年 11 月 30 日 現 在 ) ( 単 位 : 千 円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 4,623,985 流 動 負 債 3,859,994 現 金 及 び 預 金 31,763 支 払 手 形

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

連結計算書

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

公表表紙

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

 

(2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 該 当 事 項 はありません (3) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 作 成 に 係 る 会 計 処 理 の 原 則 手 続 表 示 方 法 等 の 変 更 当

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2

Microsoft Word - H25年度の概要

<重要な会計方針及び注記>

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

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(2) 支 状 況 保 育 所 ( 定 員 60 人 以 上 ) 支 状 況 は 次 とおりです 1 総 入 構 成 比 は 割 合 が88.1% 活 動 外 入 が2.1% 特 別 入 が9.8%でした 2 構 成 比 は 運 営 費 入 が80.1% 経 常 経 費 補 助 金 入 が17.8%

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財

< E95FB8CF689638AE98BC689FC90B390A CC8CA992BC82B582C982C282A282C E90E096BE8E9E8E9197BF2E786477>

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

市況トレンド

情 報 通 信 機 器 等 に 係 る 繰 越 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 計 算 上 控 除 される 金 額 に 関 する 明 細 書 ( 付 表 ) 政 党 等 寄 附 金 特 別 控 除 額 の 計 算 明 細 書 国 庫 補 助 金 等 の 総 収 入 金 額 不 算 入 に 関


●電力自由化推進法案

18 国立高等専門学校機構

平成24年度 業務概況書

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

科 売 上 原 価 売 上 総 利 益 損 益 計 算 書 ( 自 平 成 26 年 4 月 1 日 至 平 成 27 年 3 月 31 日 ) 目 売 上 高 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 営 業 利 益 営 業 外 収 益 受 取 保 険 金 受 取 支 援 金 補 助 金 収 入 保


m07 北見工業大学 様式①

2000 年 12 月 輸 出 の 減 速 によりテンポはやや 鈍 化 しているものの 緩 やかな 回 復 を 続 けている 2001 年 1 月 緩 やかな 回 復 を 続 けているが そのテンポは 輸 出 の 減 速 により 鈍 化 している 2001 年 2 月 緩 やかな 回 復 を 続 け

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

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損 益 計 算 書 ( 自 平 成 23 年 4 月 1 日 至 平 成 24 年 3 月 31 日 ) 金 額 ( 単 位 : 百 万 円 ) 売 上 高 99,163 売 上 原 価 90,815 売 上 総 利 益 8,347 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 4,661 営 業 利 益

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16 日本学生支援機構

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

平成29年2月期 第2四半期決算短信

Microsoft Word - 07②-2 補足説明資料1.docx

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

弁護士報酬規定(抜粋)

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ): 無 新 規 - 社 ( 社 名 ) 除 外 - 社 ( 社 名 ) (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

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タイトル

添 付 資 料 の 目 次 1.サマリー 情 報 (その 他 )に 関 する 事 項... 2 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動... 2 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用.

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1 ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 の 事 業 税 の 課 税 について ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 は 収 入 金 額 を 課 税 標 準 として 収 入 割 の 申 告 となります ( 法 72 条 の2 72 条 の 12 第 2 号 ) ガス 供 給 業 とその 他 の 事

注 記 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 無 (2) 会 計 方 針 の 変 更 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 修 正 再 表 示 1 会 計 基 準 等 の 改 正 に 伴 う 会 計 方 針 の 変 更 : 無 2 1

Microsoft Word - ①AMC決算公告(大会社).doc

貸 借 対 照 表 内 訳 表 212 年 3 月 31 日 現 在 公 益 財 団 法 人 神 奈 川 県 公 園 協 会 科 目 公 益 目 的 事 業 会 計 収 益 事 業 等 会 計 法 人 会 計 内 部 取 引 消 去 合 計 Ⅰ 資 産 の 部 1. 流 動 資 産 現 金 預 金

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

は し が き

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国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

文化政策情報システムの運用等

6-1 第 6 章 ストック オプション 会 計 設 例 1 基 本 的 処 理 Check! 1. 費 用 の 計 上 ( 1 年 度 ) 2. 費 用 の 計 上 ( 2 年 度 )- 権 利 不 確 定 による 失 効 見 積 数 の 変 動 - 3. 費 用 の 計 上 ( 3 年 度 )-

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私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

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事 業 概 要 利 用 時 間 休 館 日 使 用 方 法 使 用 料 施 設 を 取 り 巻 く 状 況 や 課 題 < 松 山 駅 前 駐 輪 場 > JR 松 山 駅 を 利 用 する 人 の 自 転 車 原 付 を 収 容 する 施 設 として 設 置 され 有 料 駐 輪 場 の 利 用


記者発表資料

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Microsoft Word - (会社法用) 期_02.計算書類.doc

科 目 予 算 額 決 算 額 差 異 Ⅱ 投 資 活 動 収 支 の 部 1. 投 資 活 動 収 入 特 定 資 産 取 崩 収 入 13,811,848 62,532,864 48,721,016 退 職 給 付 引 当 資 産 取 崩 収 入 2,811,848 54,237,864 51,

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

スライド 1

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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

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平成22年度

平成28年11月期第3四半期決算短

市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

 

Transcription:

建 設 経 済 の 最 新 情 報 ファイル m o n t h l y RESEARCH INSTITUTE OF CONSTRUCTION AND ECONOMY 研 究 所 だ よ り No. 306 2014 8 CONTENTS 視 点 論 点 1 Ⅰ. 建 設 企 業 の 資 金 需 要 動 向 について 2 Ⅱ. 2014 2015 年 度 の 建 設 投 資 見 通 し 15 Ⅲ. 建 設 関 連 産 業 の 動 向 -セメント 生 コンクリート- 24

建 設 費 高 騰 がもたらすもの 専 務 理 事 長 谷 川 啓 一 当 研 究 所 では 7 月 24 日 に 建 設 投 資 見 通 し(2014 年 度 2015 年 度 )を 発 表 した 対 前 年 度 比 伸 び 率 は 2014 年 度 で 1.8% 2015 年 度 は 3.8%と 2 年 度 連 続 しての 低 下 と 予 想 している その 詳 細 につい ては 本 号 記 事 をご 覧 いただきたいが ここでは 建 設 コスト 上 昇 の 影 響 について 考 えてみたい 過 日 あるマンション ディベロッパーの 経 営 者 から 建 築 費 の 急 激 な 上 昇 は 地 価 上 昇 の 抑 制 要 因 と なるのではないか という 趣 旨 のお 話 を 伺 った 3 大 都 市 圏 の 公 示 地 価 が 上 昇 に 転 じたこの 時 期 にと は 思 いながらも 建 設 投 資 見 通 しで 分 譲 マンション に 供 給 戸 数 の 絞 り 込 みを 指 摘 していることもあり 調 べてみた マンション 分 譲 価 格 ( 首 都 圏 平 均 ) i は 2013 年 に は 前 年 比 +8.6%(m2 単 価 で+8.1%) 2014 年 1~6 月 も 前 年 同 期 比 +5.7%(m2 単 価 で+5.2%)と 上 昇 し ている また マンション 分 譲 価 格 の 年 収 倍 率 iiは 2012 年 の 6.0 倍 から 2013 年 には 6.3 倍 に 上 昇 し 最 高 を 更 新 している 2013 年 の 分 譲 価 格 上 昇 は 消 費 増 税 に 伴 う 駆 け 込 み 需 要 が 一 因 としても 2014 年 は 建 築 費 上 昇 による 影 響 が 大 きいと 考 えられる 国 土 交 通 省 地 価 LOOK レポート ( 平 成 26 年 第 1 四 半 期 )によれば 東 京 都 区 部 では 建 築 費 の 上 昇 を 懸 念 材 料 としつつもマンション 需 要 の 旺 盛 な 地 区 では 地 価 上 昇 傾 向 がみられるとしているが 一 部 には 地 価 にマイナスの 影 響 あるいは 地 価 抑 制 要 因 と 指 摘 されている RC 集 合 住 宅 の 建 築 費 指 数 ( 標 準 指 数 対 象 都 市 : 東 京 ) iii は 2013 年 には 前 年 比 +3.3% 2014 年 1~ 6 月 では 前 年 同 期 比 +6.8%と 上 昇 しており 販 売 が 好 調 で 建 設 費 高 騰 を 吸 収 可 能 な 地 区 に 絞 り 込 むと いうデベロッパーの 販 売 戦 略 がマンション 販 売 戸 数 の 減 少 として 表 れていると 考 えられる 建 設 費 上 昇 の 要 因 のひとつである 技 能 労 働 者 の 需 給 ひっ 迫 による 人 件 費 上 昇 は 今 では 労 働 人 口 の 不 足 という より 構 造 的 な 問 題 として 指 摘 されるよ うになってきている もう 一 つの 要 因 である 建 設 資 材 価 格 上 昇 も 円 安 による 素 材 価 格 や 燃 料 価 格 の 上 昇 電 気 料 金 値 上 げの 影 響 など 現 在 の 経 済 環 境 社 会 環 境 という 構 造 的 な 問 題 を 反 映 しているといえ る こうしたファンダメンタルな 人 件 費 上 昇 資 材 価 格 上 昇 に 加 え 東 日 本 大 震 災 からの 復 旧 復 興 需 要 リーマンショックからの 立 ち 直 り 消 費 増 税 等 による 急 激 な 建 設 投 資 増 加 が 建 設 コストを 上 昇 か ら 高 騰 に 加 速 させた 側 面 も 否 定 できない 建 設 費 高 騰 はマンション 販 売 戸 数 の 減 少 を 引 き 起 こしているが 小 売 業 の 一 部 では 建 設 費 高 騰 から 出 店 を 抑 制 するという 方 針 を 打 ち 出 す 企 業 も 出 て いる 空 前 の 建 設 ラッシュ ともいわれる 建 設 投 資 の 増 加 が 建 設 費 の 高 騰 から 建 設 投 資 抑 制 投 資 額 減 少 という 負 の 連 鎖 に 陥 ることは 避 けなければ ならない 2015 年 度 の 民 間 建 設 投 資 の 伸 び 率 は+1.9%と 実 質 GDP 成 長 率 +1.3%を 若 干 上 回 る 水 準 になると 予 想 されている 消 費 増 税 の 反 動 減 が 影 響 している 2014 年 度 を 除 けば リーマンショックの 影 響 が 薄 れた 2011 年 度 以 降 では 最 低 の 伸 び 率 となった 急 激 な 変 動 から 適 度 な 変 動 への 緩 慢 な 変 化 が 建 設 投 資 の 持 続 可 能 な 増 加 基 調 への 移 行 という 好 影 響 をもたらすことを 期 待 したい i 不 動 産 経 済 研 究 所 資 料 による ii 公 益 財 団 法 人 不 動 産 流 通 近 代 化 センター 資 料 によ る(2013 年 は 同 手 法 で 筆 者 が 試 算 ) iii 一 般 財 団 法 人 建 設 物 価 調 査 会 資 料 による - 1 -

Ⅰ. 建 設 企 業 の 資 金 需 要 動 向 について 1.はじめに 建 設 投 資 額 は 2011 年 度 から 増 加 に 転 じ 2013 年 度 では 49.5 兆 円 と 2010 年 度 比 で 18% 7.6 兆 円 増 加 している 主 要 建 設 会 社 40 社 の 2013 年 度 決 算 では 受 注 高 は 前 年 度 比 で 19% 増 加 し 売 上 高 も 前 年 度 比 7% 3 年 間 では 18% 増 加 している 一 般 的 には 企 業 の 売 上 高 増 加 業 容 拡 大 に 伴 い 運 転 資 金 や 設 備 投 資 等 の 資 金 需 要 が 増 加 することから 外 部 負 債 による 資 金 調 達 も 増 加 することが 想 定 される しかしながら 建 設 業 では 受 注 高 売 上 高 ともに 増 加 しているにもかかわらず 借 入 金 の 減 少 傾 向 が 続 いている 本 稿 は 建 設 投 資 が 増 加 傾 向 にあるにもかかわらず 建 設 業 の 借 入 金 が 減 少 傾 向 にある 要 因 に ついて 主 として 法 人 企 業 統 計 調 査 ( 四 半 期 別 及 び 年 次 別 ) 1 をもとに 建 設 企 業 の 資 金 動 向 について 主 に 資 金 需 要 の 観 点 から 考 察 を 試 みるものである なお 法 人 企 業 統 計 は 以 下 のような 特 徴 があることから 本 稿 での 資 金 需 要 動 向 の 考 察 に は 限 界 があることについてご 容 赦 いただきたい 1 法 人 企 業 統 計 は 標 本 抽 出 調 査 であり 資 本 金 額 の 小 さい 階 層 においては 抽 出 率 が 低 い( 資 本 金 1 億 円 未 満 の 階 層 で 約 0.8%を 抽 出 ) 2 抽 出 対 象 企 業 が 毎 年 度 見 直 される( 一 部 の 資 本 金 階 層 ではローテーション サンプリン グ 手 法 を 導 入 ) 3 四 半 期 別 調 査 では 四 半 期 決 算 を 実 施 していない 法 人 も 多 いことから 速 報 性 には 優 れる が 精 度 が 落 ちる 4 調 査 項 目 が 限 定 的 であり 建 設 業 の 特 性 に 応 じた 分 析 に 必 要 と 思 われる 勘 定 科 目 等 が 細 分 化 されていない 2 5 資 金 需 給 は 資 産 および 負 債 純 資 産 の 増 減 により 推 計 されている なお 本 稿 は 筆 者 の 個 人 的 見 解 推 測 によるものであり 当 研 究 所 としての 見 解 を 示 すも のではないことを 予 めお 断 りする 1 財 務 省 が 法 人 の 企 業 活 動 の 実 態 を 明 らかにすることを 目 的 として 実 施 している 統 計 調 査 年 次 別 と 四 半 期 別 があり 年 次 別 は 2012 年 度 まで 四 半 期 別 は 2013 年 度 1~3 月 期 まで 発 表 されている 本 稿 では 四 半 期 別 調 査 についてはその 旨 を 記 載 している また 年 次 別 調 査 について 四 半 期 別 と 資 本 金 階 層 を 合 わせ る 観 点 から 資 本 金 階 層 1 千 万 円 以 上 を 対 象 としている 2 例 えば 建 設 企 業 では 工 事 受 注 時 等 に 受 領 する 前 受 金 ( 未 成 工 事 受 入 金 )の 負 債 純 資 産 合 計 に 占 める 構 成 割 合 が 5% 以 上 と 比 較 的 高 いにもかかわらず 法 人 企 業 統 計 では その 他 流 動 負 債 として 調 査 され ている -2 -

2. 建 設 業 貸 出 残 高 推 移 図 表 1 は 日 本 銀 行 が 発 表 している 貸 出 先 別 貸 出 金 残 高 の 貸 出 額 合 計 建 設 業 製 造 業 につ いて 2008 年 度 末 (2009 年 3 月 末 )を 100 とした 指 数 の 推 移 をグラフ 化 したものである 図 表 1 貸 出 金 残 高 推 移 指 数 (2008 年 度 末 =100) 105.0 100.0 95.0 90.0 85.0 80.0 75.0 3 月 6 月 9 月 12 月 3 月 6 月 9 月 12 月 3 月 6 月 9 月 12 月 3 月 6 月 9 月 12 月 3 月 6 月 9 月 12 月 3 月 2008 年 度 2009 年 度 2010 年 度 2011 年 度 2012 年 度 2013 年 度 全 業 種 合 計 建 設 業 製 造 業 ( 出 典 ) 日 本 銀 行 貸 出 先 別 貸 出 金 をもとに 当 研 究 所 で 作 成 年 度 内 における 貸 出 金 残 高 の 変 動 に 着 目 すると 共 通 の 傾 向 として 第 1 四 半 期 に 減 少 した 残 高 が 第 2 四 半 期 から 第 3 四 半 期 にかけて 徐 々に 増 加 した 後 に 減 少 に 転 じるという 傾 向 がみ られるが 建 設 業 ではそうした 変 動 がより 顕 著 であること 第 1 四 半 期 における 残 高 減 少 幅 が 大 きいことが 特 徴 といえる 図 表 2 は 建 設 業 に 対 する 貸 出 金 残 高 の 四 半 期 ごとの 推 移 を 示 したものである 図 表 2 建 設 業 に 対 する 貸 出 金 残 高 推 移 残 高 ( 兆 円 ) 25.0 100.0 指 数 (2008 年 度 末 =100) 100.0 20.0 22.3 20.6 21.0 21.2 95.2 94.2 20.6 19.3 19.6 19.7 19.5 18.5 18.9 19.1 18.8 17.7 18.2 18.2 18.1 17.0 17.6 17.8 17.7 95.0 15.0 92.8 92.6 90.0 10.0 86.8 88.1 88.7 87.6 85.1 86.0 84.7 85.0 83.1 5.0 81.6 81.8 81.5 80.0 79.3 78.9 79.9 79.6 0.0 76.4 3 月 6 月 9 月 12 月 3 月 6 月 9 月 12 月 3 月 6 月 9 月 12 月 3 月 6 月 9 月 12 月 3 月 6 月 9 月 12 月 3 月 2008 年 2009 年 度 2010 年 度 2011 年 度 2012 年 度 2013 年 度 度 国 内 銀 行 信 用 金 庫 その 他 金 融 機 関 合 計 指 数 75.0 ( 出 典 ) 日 本 銀 行 貸 出 先 別 貸 出 金 をもとに 当 研 究 所 で 作 成 -3 -

貸 出 金 残 高 は 2008 年 度 末 からの 5 年 間 で 4 兆 5 千 億 円 20.4% 減 少 しているが 前 年 度 比 較 では 2012 年 度 に 約 7,100 億 円 (3.7%) 減 少 し 2013 年 度 には 約 4,300 億 円 (2.3%) 減 少 と 年 度 ごとの 減 少 額 減 少 率 ともに 徐 々にではあるが 低 下 傾 向 にある また 四 半 期 ごとの 推 移 をみると 第 1 四 半 期 に 大 きく 減 少 し その 減 少 額 は 少 ない 年 度 でも 約 1 兆 円 減 少 率 は 5%を 超 えている その 後 は 第 2 四 半 期 第 3 四 半 期 と 徐 々に 残 高 は 増 加 し 第 4 四 半 期 は 若 干 の 減 少 あるいはほぼ 横 這 いとなる 傾 向 がみられる 図 表 3 は 法 人 企 業 統 計 ( 四 半 期 別 )をもとに 建 設 業 の 四 半 期 ごとの 金 融 機 関 借 入 金 残 高 増 減 を 累 計 したものである 図 表 3 金 融 機 関 借 入 金 残 高 増 減 推 移 ( 四 半 期 ごと 累 計 ) ( 億 円 ) 15,000 10,000 5,000 0-5,000-10,000-15,000 6 月 末 9 月 末 12 月 末 3 月 末 2008 年 度 2009 年 度 2010 年 度 2011 年 度 2012 年 度 2013 年 度 ( 出 典 ) 財 務 省 法 人 企 業 統 計 ( 四 半 期 別 ) をもとに 当 研 究 所 で 作 成 2009 年 度 は 第 2 四 半 期 に 残 高 が 減 少 している 2012 年 度 は 第 4 四 半 期 も 残 高 が 増 加 して いるなど 年 度 ごとに 差 異 は 見 受 けられるものの 図 表 2 と 同 様 に 第 1 四 半 期 に 大 きく 減 少 し た 後 第 2 四 半 期 から 第 3 四 半 期 にかけて 残 高 を 増 加 させ 第 4 四 半 期 には 再 び 減 少 に 転 じ るという 年 度 内 における 残 高 増 減 傾 向 を 確 認 することができる また 2009 年 度 以 降 は 年 度 末 までの 残 高 増 減 額 累 計 がマイナスとなっており 前 年 度 比 で 残 高 が 減 少 していることが 確 認 できる こうした 傾 向 は 建 設 工 事 進 捗 に 伴 い 第 2 四 半 期 から 第 3 四 半 期 あるいは 第 4 四 半 期 にか けては 資 金 需 要 が 増 加 するものの 次 年 度 の 第 1 四 半 期 に 資 金 が 回 収 されるという 資 金 循 環 が 建 設 業 においては 特 に 顕 著 であることを 示 している また 図 表 3 では 2011 年 度 から 2013 年 度 にかけて 年 度 末 の 残 高 増 減 額 累 計 が 上 方 にシフ トしていることが 確 認 できる 図 表 2 でも 指 摘 したように 建 設 業 の 借 入 金 残 高 は 減 少 傾 向 が 続 いているものの 減 少 率 等 には 鈍 化 の 傾 向 が 見 受 けられることから 建 設 投 資 額 の 増 加 に 伴 う 資 金 需 要 増 加 の 兆 しと 考 えてもよさそうである -4 -

3. 建 設 業 における 資 金 需 要 と 資 金 調 達 の 概 要 3.1 資 金 需 要 と 資 金 調 達 の 区 分 本 稿 における 資 金 需 要 資 金 調 達 の 区 分 について 触 れておきたい 一 般 的 に 企 業 の 資 金 繰 りは 営 業 活 動 及 び 投 融 資 活 動 に 伴 う 資 金 需 要 と 利 益 留 保 等 ( 企 業 活 動 による 収 益 及 び 減 価 償 却 費 等 ) 及 び 増 資 等 による 自 己 資 金 並 びに 借 入 金 等 の 外 部 負 債 に よる 資 金 調 達 との 差 異 を 手 元 の 現 金 預 金 等 で 調 整 している 本 稿 では 図 表 4 に 例 示 した 法 人 企 業 統 計 の 限 定 された 勘 定 科 目 等 の 増 減 額 をもって 資 金 需 要 資 金 調 達 と 見 做 す 3 こととした 図 表 4 主 な 勘 定 科 目 の 増 減 と 資 金 需 要 調 達 資 金 需 要 製 品 又 は 商 品 仕 掛 品 原 材 料 貯 蔵 品 の 増 減 営 業 活 動 資 金 企 業 間 信 用 差 額 4 その 他 流 動 資 産 負 債 売 上 債 権 ( 受 取 手 形 割 引 手 形 売 掛 金 )の 増 加 買 入 債 務 ( 支 払 手 形 買 掛 金 )の 減 少 その 他 の 流 動 資 産 の 増 加 その 他 の 流 動 負 債 の 減 少 投 融 資 活 動 資 金 有 形 固 定 資 産 ( 減 価 償 却 費 を 含 む) 土 地 の 増 加 無 形 固 定 資 産 の 増 加 有 価 証 券 ( 一 時 保 有 有 価 証 券 投 資 有 価 証 券 )の 増 加 繰 延 資 産 の 増 加 その 他 投 資 の 増 加 その 他 の 固 定 負 債 の 減 少 資 金 調 達 利 益 留 保 等 外 部 負 債 資 本 調 達 利 益 剰 余 金 の 増 加 減 価 償 却 費 引 当 金 等 その 他 純 資 産 の 増 加 社 債 の 増 加 借 入 金 の 増 加 割 引 手 形 ( 受 取 手 形 割 引 残 高 )の 増 加 資 本 金 資 本 剰 余 金 の 増 加 新 株 予 約 権 の 増 加 現 金 預 金 の 増 減 3 本 稿 では 便 宜 上 資 産 の 増 加 負 債 の 減 少 と 資 産 の 減 少 負 債 の 増 加 との 差 額 を 資 金 需 要 と 見 做 すなど 一 般 的 な 概 念 の 資 金 需 要 資 金 調 達 とは 一 致 しない 4 棚 卸 資 産 売 上 債 権 の 増 減 と 買 入 債 務 の 増 減 との 差 額 を 企 業 間 信 用 差 額 として 分 類 した -5 -

このため 以 下 のような 問 題 点 を 含 んでいるなどから 分 析 結 果 に 限 界 があることを 予 めご 承 知 いただきたい 1) 図 表 4 に 示 した 資 金 需 要 資 金 調 達 の 項 目 分 類 と 勘 定 科 目 等 の 分 類 とは 対 応 関 係 にお いて 妥 当 性 正 確 性 を 欠 いているケースがある 5 2) 資 産 及 び 負 債 純 資 産 の 増 減 が 資 金 需 要 資 金 調 達 と 関 係 しない 勘 定 科 目 等 6もあるが 本 稿 では 便 宜 上 そうした 勘 定 科 目 の 増 減 も 含 めて 資 金 需 要 あるいは 資 金 調 達 と 見 做 して いる 3.2 資 金 需 要 資 金 調 達 の 概 要 図 表 5 は 法 人 企 業 統 計 をもとに 最 近 6 年 間 (2013 年 度 は 四 半 期 別 調 査 による)の 建 設 業 における 資 金 需 要 資 金 調 達 のバランス 7 を 整 理 したものである 図 表 5 建 設 業 の 資 金 の 需 要 調 達 バランス ( 単 位 : 億 円 ) 2008 年 度 2009 年 度 2010 年 度 2011 年 度 2012 年 度 2013 年 度 営 業 活 動 資 金 -2,332-1,441-7,584-5,612-5,612-8,628 投 融 資 活 動 資 金 10,624 13,730 2,483 10,979 10,979 18,608 資 金 需 要 8,292 12,289-5,101 5,367 5,367 9,980 利 益 留 保 等 8,514 11,920 11,917 15,354 15,354 35,356 外 部 負 債 5,009 2,587-15,291-594 -594-6,920 資 本 調 達 等 -2,661-843 -799-884 -884-2,656 資 金 調 達 10,861 13,664-4,173 13,876 13,876 25,780 需 要 調 達 差 額 -2,569-1,375-928 -8,509-8,509-15,799 現 金 預 金 残 高 増 減 2,569 1,375 928 8,509 8,509 15,799 現 金 預 金 手 持 月 数 1.61 1.86 1.94 1.95 1.95 2.23 2013 年 度 は 四 半 期 別 調 査 の 四 半 期 ごと 増 減 の 累 計 ( 出 典 ) 財 務 省 法 人 企 業 統 計 をもとに 当 研 究 所 で 作 成 資 金 需 要 をみると 営 業 活 動 資 金 は 毎 年 度 マイナス( 営 業 活 動 に 伴 う 資 金 需 要 が 前 年 度 比 で 減 少 )であり 投 融 資 活 動 資 金 需 要 ( 投 融 資 残 高 の 増 加 )が 特 に 少 なかった 2010 年 度 で は 資 金 需 要 全 体 でも 約 5,100 億 円 のマイナス( 資 金 需 要 の 減 少 )となっている 一 方 資 金 調 達 についてみると 2010 年 度 以 降 は 自 己 資 金 調 達 ( 利 益 留 保 等 及 び 資 本 調 達 による 資 金 調 達 )が 資 金 需 要 を 上 回 っており 外 部 負 債 による 資 金 調 達 は 必 要 のない 状 況 だ ったことが 分 かる 5 ( 例 ) 未 成 工 事 受 入 金 は 前 受 金 として 企 業 間 信 用 差 額 に 分 類 されるべき 勘 定 科 目 だが 法 人 企 業 統 計 では その 他 流 動 負 債 として 集 計 されている 6 ( 例 ) 有 価 証 券 投 資 の 増 加 は 投 融 資 活 動 資 金 として 資 金 需 要 の 一 項 目 としているが 時 価 評 価 額 上 昇 に 伴 う 残 高 増 加 は 原 則 として 資 金 需 給 に 影 響 しない 7 投 融 資 活 動 に 伴 う 資 金 需 要 が 1 兆 円 を 超 えるなど 建 設 業 の 投 資 は 抑 制 されてきたというこれまでの 指 摘 と 反 するデータもみられるが 勘 定 科 目 単 位 での 増 減 にのみ 着 目 した 結 果 であり 法 人 企 業 統 計 に 基 づく 分 析 の 限 界 ともいえる -6 -

このような 資 金 の 需 要 調 達 状 況 から 建 設 業 における 現 金 預 金 の 手 元 流 動 性 は 厚 みを 増 しており 現 金 預 金 手 持 月 数 ( 現 金 預 金 残 高 / 月 間 平 均 売 上 高 )は 上 昇 傾 向 にある 法 人 企 業 統 計 ( 四 半 期 別 )で 2013 年 度 の 状 況 をみると 2012 年 度 までと 同 様 に 営 業 活 動 資 金 はマイナスが 続 いており 自 己 資 金 の 調 達 が 資 金 需 要 を 上 回 っている 資 金 需 要 と 自 己 資 金 調 達 との 差 額 は 2012 年 度 以 上 に 拡 大 しており 現 金 預 金 残 高 も 前 年 度 比 で 一 段 と 増 加 し 手 元 流 動 性 の 余 裕 度 が 増 している 図 表 3 で 確 認 したように 金 融 機 関 借 入 金 残 高 の 減 少 幅 が 縮 小 したとはいえ 2013 年 度 も 減 少 傾 向 が 継 続 していることはこうした 建 設 業 の 資 金 需 要 資 金 調 達 バランスを 反 映 したもの であるといえる 4. 資 金 需 要 4.1 営 業 活 動 資 金 (1) 営 業 活 動 資 金 の 推 移 図 表 6 は 営 業 活 動 資 金 を 内 訳 項 目 ごとに 示 したものである 図 表 6 営 業 活 動 資 金 の 内 訳 ( 単 位 : 億 円 ) 2008 年 度 2009 年 度 2010 年 度 2011 年 度 2012 年 度 1 棚 卸 資 産 増 減 -8,133-25,568-11,409-2,746-3,546 2 売 上 債 権 増 減 -11,683-16,141-9,427 11,880 6,498 3 買 入 債 務 増 減 -12,516-27,911-4,855 12,862 6,288 4 企 業 間 信 用 差 額 (1+2-3) -7,300-13,797-15,981-3,728-3,337 5 その 他 流 動 資 産 増 減 -4,448 818-330 -528 3,615 6 その 他 流 動 負 債 増 減 -9,416-11,539-8,727 1,356 5,269 7 その 他 流 動 資 産 負 債 (5-6) 4,969 12,356 8,397-1,884-1,654 8 資 金 需 要 合 計 (4+7) -2,332-1,441-7,584-5,612-4,991 ( 出 典 ) 財 務 省 法 人 企 業 統 計 をもとに 当 研 究 所 で 作 成 営 業 活 動 に 伴 う 資 金 需 要 は 毎 年 度 マイナス( 前 年 度 比 で 減 少 )で 推 移 しているが その 内 訳 を 見 てみると 2008 年 度 ~2010 年 度 と 2011 年 度 以 降 では 以 下 の 点 において 違 いがみら れる 1)2010 年 度 までは 棚 卸 資 産 売 上 債 権 買 入 債 務 ともに 減 少 しているが 2011 年 度 以 降 は 棚 卸 資 産 のマイナス 幅 が 縮 小 する 一 方 で 売 上 債 権 買 入 債 務 はプラスに 転 じている 2)その 他 流 動 資 産 負 債 ではその 他 流 動 負 債 が 2010 年 度 まではマイナスで 推 移 していたも のが 2011 年 度 以 降 はプラスに 転 じている 3)2011 年 度 以 降 は 企 業 間 信 用 差 額 その 他 流 動 資 産 負 債 ともにマイナスとなっているが その 金 額 は 2010 年 度 までと 比 較 して 相 対 的 に 縮 小 している また 2010 年 度 以 前 では -7 -

企 業 間 信 用 差 額 のマイナスがその 他 流 動 負 債 のマイナスにより 調 整 されているようにも 見 える こうしてみると 2010 年 度 までと 2011 年 度 以 降 の 運 転 資 金 需 要 増 減 には 構 造 的 な 違 いが あるように 見 受 けられることから その 要 因 について 検 討 する (2) 企 業 間 信 用 差 額 企 業 間 信 用 差 額 は 棚 卸 資 産 売 上 債 権 買 入 債 務 から 構 成 されるが その 増 減 要 因 につい て 売 上 高 の 増 減 と 回 転 期 間 の 変 動 の 観 点 から 検 討 する 1) 売 上 高 の 増 減 売 上 高 は 2011 年 度 まで 減 少 を 続 け 2012 年 度 にようやく 増 加 に 転 じている 回 転 期 間 が 一 定 であれば 棚 卸 資 産 等 の 増 減 は 売 上 高 の 増 減 に 比 例 する 図 表 7 は 回 転 期 間 を 前 年 度 と 同 水 準 と 仮 定 し 売 上 高 増 減 に 伴 う 棚 卸 資 産 等 の 増 減 を 試 算 したものである 図 表 7 売 上 高 減 少 による 棚 卸 資 産 残 等 の 増 減 への 影 響 試 算 ( 単 位 : 億 円 ) 2008 年 度 2009 年 度 2010 年 度 2011 年 度 2012 年 度 売 上 高 ( 月 平 均 ) 88,773 85,865 76,988 75,201 79,309 棚 卸 資 産 増 減 -12,648-5,459-11,744-2,603 5,928 売 上 債 権 増 減 -17,090-6,381-19,582-4,160 9,759 買 入 債 務 増 減 -15,561-5,655-15,631-3,439 8,399 企 業 間 信 用 差 額 -14,177-6,185-15,695-3,324 7,288 ( 出 典 ) 財 務 省 法 人 企 業 統 計 をもとに 当 研 究 所 で 作 成 売 上 高 の 減 少 に 伴 い 2011 年 度 までは 棚 卸 資 産 売 上 債 権 買 入 債 務 ともに 減 少 するが 図 表 6 との 比 較 でみれば 2009 年 度 は 棚 卸 資 産 増 減 と 買 入 債 務 増 減 で 試 算 結 果 と 約 2 兆 円 を 超 える 差 異 が 生 じている また 2011 年 度 については 売 上 高 減 少 に 伴 い 売 上 債 権 買 入 債 務 は 減 少 するものと 試 算 されているが 実 際 には 1 兆 円 を 超 える 増 加 となっていることから その 要 因 は 回 転 期 間 の 変 動 によるものと 考 えられる 2) 回 転 期 間 の 変 動 回 転 期 間 の 変 動 を 分 析 するにあたっては 回 転 期 間 の 分 子 は 資 産 負 債 の 年 度 末 での 残 高 で あること 分 母 は 当 該 年 度 の 月 間 平 均 売 上 高 であることから 売 上 高 との 関 係 において 以 下 の 点 に 留 意 する 必 要 がある 1 棚 卸 資 産 及 び 買 入 債 務 は 次 年 度 以 降 の 売 上 高 との 関 連 性 が 強 い 2 売 上 債 権 の 回 転 期 間 は 約 2 ヶ 月 であり 当 該 年 度 後 半 ( 特 に 第 4 四 半 期 )の 売 上 高 に 影 響 される -8 -

こうした 観 点 も 含 め 図 表 6 の 棚 卸 資 産 等 の 増 減 額 と 図 表 7 の 試 算 結 果 とのかい 離 が 大 き い 2009 年 度 の 棚 卸 資 産 と 買 入 債 務 の 回 転 期 間 2011 年 度 の 売 上 債 権 と 買 入 債 務 の 回 転 期 間 について 確 認 する 図 表 8 は 月 間 平 均 売 上 高 と 棚 卸 資 産 売 上 債 権 買 入 債 務 の 回 転 期 間 の 推 移 を 図 示 したも のである 棚 卸 資 産 の 回 転 期 間 は 2009 年 度 に 前 年 度 比 で 0.56 ヶ 月 2003~2007 年 度 の 平 均 (1.7 ヶ 月 )との 比 較 でも 0.38 ヶ 月 低 下 し 1.32 ヶ 月 となっている 2009 年 度 以 降 の 回 転 期 間 変 動 幅 は 最 大 でも 0.2 ヶ 月 以 内 に 収 まっていること 等 から 2009 年 度 に 棚 卸 資 産 回 転 期 間 に 影 響 を 及 ぼすような 変 化 が 生 じた 可 能 性 が 考 えられるが 本 件 については 後 記 (4) 工 事 契 約 会 計 基 準 適 用 の 影 響 で 触 れている 図 表 8 企 業 間 信 用 差 額 に 係 わる 回 転 期 間 回 転 期 間 ( 月 ) 売 上 高 ( 億 円 ) 2.50 95,000 2.40 2.30 2.20 90,000 2.10 2.00 1.90 85,000 1.80 1.70 1.60 80,000 1.50 1.40 1.30 75,000 1.20 1.10 1.00 70,000 2008 年 度 2009 年 度 2010 年 度 2011 年 度 2012 年 度 棚 卸 資 産 ( 月 ) 売 上 債 権 ( 月 ) 買 入 債 務 ( 月 ) 売 上 高 ( 月 平 均 ) ( 出 典 ) 財 務 省 法 人 企 業 統 計 をもとに 当 研 究 所 で 作 成 買 入 債 務 の 回 転 期 間 は 2008 年 度 から 2009 年 度 にかけて 低 下 してきたが その 後 2010 年 度 から 2011 年 度 にかけて 従 来 を 若 干 上 回 る 水 準 にまで 上 昇 している 年 度 末 における 買 入 債 務 残 高 は 次 年 度 以 降 の 売 上 高 の 先 行 指 標 ともいえるものである 売 上 高 の 前 年 度 比 減 少 率 は 2009 年 度 の 3.2%から 2010 年 度 には 10.3%に 拡 大 していることから 2009 年 度 末 の 買 入 債 務 残 高 が 試 算 結 果 以 上 に( 回 転 期 間 の 低 下 幅 以 上 に) 減 少 したものと 考 えられる 同 様 に 売 上 高 の 前 年 度 比 は 2011 年 度 の 2.3% 減 少 から 2012 年 度 に 5.4% 増 加 したことから 2011 年 度 の 買 入 債 務 が 試 算 結 果 以 上 に 増 加 したものと 考 えられる 一 方 2011 年 度 における 売 上 債 権 回 転 期 間 は 前 年 度 比 で 0.05 ヶ 月 しか 上 昇 していない 2011 年 度 の 売 上 高 は 前 年 度 比 で 2.3% 減 少 しているものの 四 半 期 別 法 人 企 業 統 計 で 第 4 四 半 期 の 売 上 高 増 減 を 確 認 すると 前 年 度 比 で 2010 年 度 の 6.7% 減 少 に 対 し 2011 年 度 は 2.5% 増 加 に 転 じたことが 売 上 債 権 が 試 算 結 果 以 上 に 増 加 した 要 因 と 考 えられる -9 -

(3)その 他 流 動 資 産 流 動 負 債 法 人 企 業 統 計 では 様 々な 勘 定 科 目 がその 他 流 動 資 産 その 他 流 動 負 債 として 一 括 して 集 計 されているが 本 稿 では 建 設 業 会 計 において 特 有 な 勘 定 科 目 である 未 成 工 事 受 入 金 につ いて 検 討 してみたい 法 人 企 業 統 計 では 建 設 業 特 有 の 勘 定 科 目 である 未 成 工 事 支 出 金 が 棚 卸 資 産 とし て 計 上 されているのに 対 し 前 受 金 である 未 成 工 事 受 入 金 は その 他 流 動 負 債 に 計 上 される その 他 流 動 負 債 は 2008 年 度 から 2010 年 度 にかけて 約 1 兆 円 減 少 を 続 けてきた 後 2011 年 度 から 増 加 に 転 じている この 間 の 未 成 工 事 受 入 金 の 増 減 については 一 般 財 団 法 人 建 設 産 業 経 理 研 究 機 構 ( 旧 建 設 産 業 経 理 研 究 所 )が 編 集 発 行 している 建 設 業 の 経 営 建 設 業 の 経 理 各 号 に 掲 載 されている 決 算 データで 確 認 した 建 設 業 の 経 営 建 設 業 の 経 理 には 建 設 業 全 体 の 損 益 計 算 書 貸 借 対 照 表 等 の 平 均 値 が 掲 載 されている 同 資 料 によれば 未 成 工 事 受 入 金 の 負 債 純 資 産 合 計 に 占 める 構 成 比 率 は 2008 年 度 の 10.9%から 2009 年 度 には 7.2%に 低 下 し 2010 年 度 以 降 は 5% 台 後 半 で 推 移 している この 間 1 社 平 均 残 高 は 2009 年 度 に 67 億 円 減 少 2010 年 度 にも 24 億 円 減 少 した 後 2011 年 度 には 5 億 円 増 加 している 2009 年 度 における 集 計 対 象 企 業 が 130 社 であ ることを 考 えれば 2009 年 度 の 未 成 工 事 受 入 金 の 減 少 額 は 約 8,700 億 円 と 推 定 される また その 他 流 動 負 債 増 減 に 占 める 未 成 工 事 受 入 金 の 比 率 は 2009 年 度 で 約 9 割 2010 年 度 でも 約 7 割 以 上 となっている こうしたことから 法 人 企 業 統 計 におけるその 他 流 動 負 債 の 増 減 は 未 成 工 事 受 入 金 増 減 が 大 きく 影 響 していると 推 測 できる また 未 成 工 事 受 入 金 も 買 入 債 務 と 同 様 に 次 年 度 以 降 の 売 上 高 の 先 行 指 標 として 売 上 高 の 増 加 傾 向 期 には 増 加 し 売 上 高 の 減 少 傾 向 期 では 減 少 するものと 推 測 される なお 未 成 工 事 受 入 金 の 増 減 要 因 として 以 下 のことが 考 えられる 1) 未 成 工 事 受 入 金 の 対 象 となる 建 設 工 事 受 注 高 の 増 減 2) 手 持 工 事 の 進 捗 による 売 上 高 ( 工 事 進 行 基 準 売 上 を 含 む)への 振 替 (4) 工 事 契 約 会 計 基 準 適 用 の 影 響 建 設 業 では 2009 年 度 (2009 年 4 月 1 日 以 降 開 始 する 事 業 年 度 )から 工 事 契 約 会 計 基 準 が 強 制 適 用 となった 基 準 適 用 により 未 成 工 事 支 出 金 ( 棚 卸 資 産 )は 完 成 工 事 原 価 に 未 成 工 事 受 入 金 (その 他 流 動 負 債 )は 工 事 進 行 基 準 売 上 高 に 振 り 替 えられ 合 わせて 完 成 工 事 未 収 入 金 ( 売 上 債 権 )も 計 上 される 2009 年 度 における 棚 卸 資 産 の 大 幅 な 減 少 は 売 上 高 減 少 の 影 響 もあるが 工 事 契 約 会 計 基 準 適 用 による 影 響 が 大 きいものと 考 えられる 前 掲 の 建 設 業 の 経 営 2010 年 3 月 決 算 版 で 確 認 してみると 2009 年 度 の 未 成 工 事 支 出 金 の 構 成 比 率 は 前 年 度 比 5.50%ポイント 低 下 に 対 し 売 上 債 権 の 構 成 比 率 は 0.17%ポイント しか 上 昇 しておらず 一 方 で 未 成 工 事 受 入 金 は 3.7%ポイント 低 下 している - 10 -

2009 年 度 に 棚 卸 資 産 回 転 期 間 の 低 下 幅 に 対 し 売 上 債 権 回 転 期 間 の 上 昇 幅 が 限 定 的 だった 理 由 として 未 成 工 事 受 入 金 (その 他 流 動 負 債 )の 減 少 によるところが 大 きいと 考 えられる (5) 総 括 上 記 の 検 討 結 果 から 営 業 活 動 資 金 需 要 については 以 下 のようなまとめをしている 1)2010 年 度 までの 売 上 高 減 少 が 継 続 する 期 間 においては 一 般 企 業 と 同 様 に 資 産 負 債 ともマイナス 傾 向 が 続 くことから 営 業 活 動 に 伴 う 資 金 需 要 は 低 下 してきた 2)2011 年 度 以 降 の 売 上 高 の 下 げ 止 まりから 売 上 高 増 加 に 転 換 する 期 間 においては 棚 卸 資 産 の 増 加 売 上 債 権 の 増 加 等 により 資 金 需 要 は 増 加 するものの 工 事 受 注 の 好 調 を 反 映 し 未 成 工 事 受 入 金 が 増 加 することにより 営 業 活 動 に 伴 う 資 金 需 要 は 限 定 的 なものにと どまると 考 えられる こうした 状 況 は 前 掲 の 建 設 業 の 経 営 建 設 業 の 経 理 に 掲 載 されている 資 料 ( 図 表 9) からも 確 認 することができる 図 表 9 によれば 立 替 資 産 ( 営 業 債 権 + 未 成 工 事 支 出 金 )と 立 替 負 債 ( 営 業 債 務 + 未 成 工 事 受 入 金 )との 差 額 はプラスで 推 移 しており 工 事 受 注 に 伴 う 立 替 資 金 需 要 は 発 生 しているが 2009 年 度 以 降 は 立 替 差 額 が 前 年 度 比 でマイナスが 続 いており 年 度 末 での 比 較 では 営 業 活 動 に 伴 う 資 金 需 要 は 減 少 していることがわかる 2012 年 度 の 立 替 差 額 の 前 年 度 比 減 少 幅 は 縮 小 してきているが 2013 年 度 の 売 上 高 増 加 率 は 2012 年 度 を 上 回 る 水 準 であることから 未 成 工 事 受 入 金 も 増 加 していることが 推 測 される こうした 傾 向 は 工 事 受 注 高 が 横 這 いあるいは 減 少 に 転 じるまで 継 続 するものと 考 えられる が 建 設 業 の 手 元 流 動 性 は 増 加 してきており 借 入 金 の 増 加 にまで 至 るかどうかは 不 透 明 と 考 えている 図 表 9 立 替 資 産 負 債 差 額 の 推 移 ( 単 位 : 百 万 円 ) 2008 年 度 2009 年 度 2010 年 度 2011 年 度 2012 年 度 営 業 債 権 48,617 44,132 44,942 50,278 51,881 未 成 工 事 支 出 金 20,895 11,247 8,360 7,398 6,719 当 立 替 資 産 69,512 55,379 53,302 57,676 58,600 期 営 業 債 務 41,507 35,143 36,484 41,672 43,024 残 未 成 工 事 受 入 金 17,139 10,336 8,285 8,915 8,718 高 立 替 負 債 58,646 45,479 44,769 50,587 51,742 立 替 差 額 10,866 9,900 8,533 7,089 6,858 営 業 債 権 -1,086-3,875-706 5,400 1,600 未 成 工 事 支 出 金 -2,716-9,668-3,258-1,084-686 前 立 替 資 産 -3,802-13,543-3,964 4,316 914 期 営 業 債 務 -3,977-6,144 96 4,887 1,350 比 未 成 工 事 受 入 金 -2,804-6,766-2,437 506-197 立 替 負 債 -6,781-12,910-2,341 5,393 1,153 立 替 差 額 2,979-633 -1,623-1,077-239 年 度 により 集 計 対 象 企 業 が 変 動 することから 当 期 末 残 高 の 増 減 と 前 期 末 比 は 一 致 しない ( 出 典 ) 一 般 財 団 法 人 建 設 産 業 経 理 研 究 機 構 建 設 業 の 経 営 建 設 業 の 経 理 をもとに 当 研 究 所 で 作 成 -11 -

4.2 投 融 資 活 動 資 金 について 投 融 資 活 動 資 金 については 企 業 の 事 業 に 不 可 欠 な 設 備 投 資 等 と 企 業 の 財 務 活 動 の 一 環 でもある 有 価 証 券 投 資 融 資 その 他 の 投 資 とに 分 けて 資 金 需 要 をみる 必 要 がある 法 人 企 業 統 計 に 基 づく 投 融 資 活 動 資 金 の 内 訳 を 図 示 した 図 表 10 をもとに 以 下 の 二 点 についてのみ 簡 単 に 触 れておきたい 図 表 10 投 融 資 活 動 資 金 内 訳 ( 億 円 ) 20,000 15,000 10,000 5,000 0 5,000 10,000 15,000 2008 年 度 2009 年 度 2010 年 度 2011 年 度 2012 年 度 2013 年 度 事 業 活 動 資 産 財 務 活 動 資 産 等 その 他 固 定 負 債 設 備 投 資 (SWを 除 く) 減 価 償 却 費 ( 出 典 ) 財 務 省 法 人 企 業 統 計 をもとに 当 研 究 所 で 作 成 (2013 年 度 は 四 半 期 別 調 査 の 四 半 期 ごと 増 減 を 累 計 したもの) (1) 事 業 活 動 資 産 企 業 の 事 業 活 動 に 必 要 不 可 欠 な 設 備 投 資 等 の 事 業 活 動 資 産 投 資 ( 減 価 償 却 前 の 事 業 活 動 資 産 増 加 額 )は 2009 年 度 と 2012 年 度 には 減 価 償 却 費 を 上 回 っているが 最 近 10 年 間 で 見 て も 事 業 活 動 資 産 投 資 が 減 価 償 却 費 を 上 回 ったことはこの 2 年 度 のみである 事 業 活 動 資 産 投 資 が 減 価 償 却 費 の 範 囲 内 でしか 行 われないということは 実 質 的 には 事 業 活 動 資 産 投 資 に 伴 う 新 たな 資 金 調 達 は 不 要 ということになる 建 設 経 済 レポートでも 指 摘 されているように 建 設 投 資 が 縮 小 していく 過 程 で 企 業 がいかに 設 備 投 資 を 縮 小 し 身 軽 な 経 営 を 目 指 してきたかを 示 しているといえよう 設 備 投 資 (SW を 除 く)は 2003~2007 年 度 平 均 で 減 価 償 却 費 を 3,675 億 円 ( 年 間 では 5.8 千 億 円 ~ 2.3 千 億 円 ) 下 回 っていたが 2008~2012 年 度 平 均 では 620 億 円 ( 年 間 で は 2.2 千 億 円 ~+1.0 千 億 円 ) 2009 年 度 と 2012 年 度 には 減 価 償 却 費 を 上 回 る 水 準 となっ ている 法 人 企 業 統 計 ( 四 半 期 別 )で 2013 年 度 の 設 備 投 資 を 確 認 すると 減 価 償 却 費 を 約 5,400 億 円 上 回 る 水 準 となっており 建 設 業 における 設 備 投 資 意 欲 の 回 復 とみることができ よう - 12 -

(2) 財 務 活 動 資 産 財 務 活 動 資 産 の 増 減 は 有 価 証 券 投 資 ( 投 資 目 的 及 び 一 時 保 有 目 的 )と 融 資 その 他 の 投 資 に 分 類 することが 出 来 るが 多 くの 年 度 において 有 価 証 券 残 高 の 増 減 による 影 響 が 大 きく 見 受 けられる( 有 価 証 券 投 資 額 は 2008 年 度 に 約 1 兆 円 減 少 2012 年 度 には 約 7 千 億 円 増 加 ) 事 業 活 動 に 必 要 な 資 産 取 得 に 消 極 的 であった 建 設 業 が 有 価 証 券 投 資 に 積 極 的 であったと は 考 えにくい 図 表 11 は 日 経 平 均 株 価 の 前 年 度 末 比 較 と 有 価 証 券 投 資 額 の 増 減 を 図 示 したものである 図 表 11 有 価 証 券 投 資 額 残 高 増 減 有 価 証 券 残 高 増 減 ( 億 円 ) 15,000 日 経 平 均 株 価 前 年 度 比 ( 円 ) 6,000.00 10,000 4,000.00 5,000 2,000.00 0 0.00 5,000 2,000.00 10,000 4,000.00 15,000 2003 年 度 2004 年 度 2005 年 度 2006 年 度 2007 年 度 2008 年 度 2009 年 度 2010 年 度 2011 年 度 2012 年 度 有 価 証 券 残 高 増 減 日 経 平 均 前 年 度 末 比 6,000.00 ( 出 典 ) 有 価 証 券 残 高 増 減 は 財 務 省 法 人 企 業 統 計 をもとに 当 研 究 所 で 作 成 これを 見 ても 明 らかなように 有 価 証 券 投 資 額 の 増 減 は 日 経 平 均 株 価 との 連 動 性 が 強 いこ とから 有 価 証 券 残 高 の 増 減 は 主 として 評 価 損 益 による 影 響 によるものと 考 えられる なお 有 価 証 券 の 時 価 評 価 に 伴 う 評 価 損 益 は 所 有 目 的 により 当 該 年 度 の 損 益 として 処 理 されるほか 有 価 証 券 評 価 差 額 金 繰 延 税 金 負 債 等 に 影 響 を 及 ぼすが 本 稿 では 有 価 証 券 残 高 の 増 減 は 主 として 時 価 評 価 に 伴 うものであり 資 金 の 需 要 調 達 とは 直 接 的 な 関 係 がないこと を 指 摘 するにとどめる - 13 -

5.まとめに 替 えて 本 稿 は 建 設 業 の 借 入 金 はなぜ 減 少 を 続 けるのかを 主 題 に 主 に 営 業 活 動 に 伴 う 資 金 需 要 に ついて 検 討 した その 結 果 営 業 活 動 に 伴 う 資 金 需 要 は 減 少 していることがわかった その 要 因 として 工 事 受 注 高 及 び 売 上 高 の 減 少 局 面 において 資 金 需 要 が 低 迷 することは 他 産 業 と 同 様 であるが 工 事 受 注 高 及 び 売 上 高 増 加 局 面 においては 未 成 工 事 支 出 金 売 上 債 権 買 入 債 務 の 増 加 に 伴 い 資 金 需 要 は 増 加 するものの 未 成 工 事 受 入 金 の 増 加 がより 大 きいことから 営 業 活 動 に 伴 う 資 金 需 要 は 限 定 的 と 考 えられる とりわけ 資 金 調 達 力 が 弱 い 中 小 建 設 業 の 資 金 繰 りにとって 公 共 工 事 における 前 払 金 発 注 者 元 請 企 業 から 支 払 われる 前 渡 金 が 好 影 響 を 及 ぼしている ものと 考 えられる しかし 2007 年 度 以 前 がそうであったように 工 事 受 注 高 のさらなる 増 加 あるいは 横 ばい から 減 少 に 転 じる 局 面 においては やがて 工 事 に 伴 う 立 替 金 の 増 加 が 未 成 工 事 受 入 金 の 増 加 を 上 回 ることが 予 想 される また 建 設 投 資 額 増 加 に 伴 い 事 業 活 動 に 必 要 な 設 備 投 資 に 伴 う 資 金 需 要 の 増 加 も 予 想 される そうした 経 営 環 境 の 変 化 に 備 えて 収 益 力 を 向 上 させ 手 元 流 動 性 を 確 保 するとともに 経 営 基 盤 の 一 層 の 強 化 に 努 めることを 期 待 したい 以 上 ( 担 当 : 専 務 理 事 長 谷 川 啓 一 ) - 14 -

Ⅱ.2014 2015 年 度 の 建 設 投 資 見 通 し 当 研 究 所 が 四 半 期 に 一 度 公 表 している 建 設 経 済 モデルによる 建 設 投 資 の 見 通 し の 概 要 です 今 回 の 見 通 しは 2014 年 7 月 24 日 に 発 表 したもので 業 界 紙 等 でも 紹 介 されています 1. 建 設 投 資 全 体 の 推 移 2014 年 度 の 建 設 投 資 は 前 年 度 比 1.8%の 47 兆 8,600 億 円 となる 見 通 しである 政 府 建 設 投 資 は 2012 年 度 補 正 予 算 の 反 動 により 前 年 度 比 5.1%となるものの 2013 年 度 の 補 正 予 算 と 2014 年 度 の 当 初 予 算 を 一 体 で 編 成 した 15 ヶ 月 予 算 の 効 果 が 発 現 するこ とにより 2012 年 度 を 超 える 投 資 額 となる 見 通 しである 民 間 住 宅 投 資 は 2015 年 からの 相 続 増 税 の 節 税 対 策 としての 貸 家 着 工 の 継 続 が 想 定 される ものの 持 家 の 駆 け 込 み 需 要 反 動 減 等 により 全 体 の 着 工 戸 数 の 減 少 は 避 けられないと 見 込 ま れ 住 宅 着 工 戸 数 については 前 年 度 比 8.1%と 予 測 する 民 間 非 住 宅 建 設 投 資 は 7 月 に 発 表 された 日 銀 短 観 で 全 産 業 の 設 備 余 剰 感 に 解 消 の 兆 しが 見 られる 中 2014 年 度 の 着 工 床 面 積 が 前 年 度 比 で 増 加 することから 民 間 非 住 宅 建 築 投 資 は 前 年 度 比 5.6% 増 となり 土 木 インフラ 系 企 業 の 設 備 投 資 も 寄 与 し 全 体 では 前 年 度 比 5.2% 増 となる 見 通 しである 2015 年 度 の 建 設 投 資 は 前 年 度 比 3.8%の 46 兆 200 億 円 となる 見 通 しである 政 府 建 設 投 資 は 来 年 度 予 算 の 全 体 像 が 現 時 点 では 不 明 であるため 国 の 直 轄 補 助 事 業 費 ( 当 初 予 算 )および 地 方 単 独 事 業 費 を 前 年 度 並 みと 仮 定 して 事 業 費 を 推 計 し 前 年 度 比 12.2%と 予 測 する 15カ 月 予 算 の 効 果 が 見 込 まれる2014 年 度 から 大 幅 な 減 少 となっているが インフラ 老 朽 化 対 策 事 業 や 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 などが 停 滞 することのないよう 適 切 な 予 算 配 分 が 望 ま れる 民 間 住 宅 投 資 は 10 月 に 消 費 税 率 が10%に 上 昇 することを 見 込 んでいるが 増 税 時 期 が 年 度 の 中 心 になるため 駆 け 込 み 反 動 減 の 影 響 は2014 年 度 に 比 べて 少 ないと 予 想 される 持 家 分 譲 戸 建 の 着 工 戸 数 が 回 復 することから 住 宅 着 工 戸 数 は 前 年 度 比 0.3% 増 と 予 測 する 民 間 非 住 宅 建 設 投 資 は 前 年 度 と 同 様 の 傾 向 が 見 込 まれ 民 間 非 住 宅 建 築 投 資 が 前 年 度 比 2.6% 増 となり 民 間 土 木 投 資 は 前 年 度 と 同 水 準 で 推 移 すると 考 えられ 全 体 では 前 年 度 比 2.0% 増 と 予 測 する - 15 -

図 表 1 建 設 投 資 の 推 移 ( 年 度 ) ( 兆 円 ) 見 込 み 見 通 し 90 80 79.0 70 19.5 66.2 25% 20% 60 50 40 30 20 10 24.3 35.2 16.0 20.3 30.0 51.6 48.7 47.9 14.2 41.9 43.3 44.2 46.0 12.4 13.0 11.0 11.3 11.4 13.3 18.4 13.0 13.4 14.1 15.7 15.3 15.6 19.0 18.0 18.6 18.7 20.6 19.5 17.2 15% 10% 5% 0 0% 1995 2000 2005 2010 2011 2012 2013 2014 2015( 年 度 ) 名 目 政 府 建 設 投 資 名 目 民 間 住 宅 投 資 名 目 民 間 非 住 宅 建 設 投 資 建 設 投 資 のGDP 比 (%) ( 単 位 : 億 円 実 質 値 は2005 年 度 価 格 ) 年 度 1995 2000 2005 2010 2011 2012 2013 2014 2015 ( 見 込 み) ( 見 込 み) ( 見 通 し) ( 見 通 し) 名 目 建 設 投 資 790,169 661,948 515,676 419,282 432,923 442,000 487,200 478,600 460,200 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 0.3% -3.4% -2.4% -2.4% 3.3% 2.1% 10.2% -1.8% -3.8% 名 目 政 府 建 設 投 資 351,986 299,601 189,738 179,820 186,108 186,900 206,000 195,400 171,600 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 5.8% -6.2% -8.9% 0.3% 3.5% 0.4% 10.2% -5.1% -12.2% ( 寄 与 度 ) 2.5-2.9-3.5 0.1 1.5 0.2 4.3-2.2-5.0 名 目 民 間 住 宅 投 資 243,129 202,756 184,258 129,779 133,750 140,900 157,400 153,000 155,800 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -5.2% -2.2% 0.3% 1.1% 3.1% 5.3% 11.7% -2.8% 1.8% ( 寄 与 度 ) -1.7-0.7 0.1 0.3 0.9 1.7 3.7-0.9 0.6 名 目 民 間 非 住 宅 建 設 投 資 195,053 159,591 141,680 109,683 113,065 114,200 123,800 130,200 132,800 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -1.8% 0.7% 4.0% -10.0% 3.1% 1.0% 8.4% 5.2% 2.0% ( 寄 与 度 ) -0.4 0.2 1.0-2.8 0.8 0.3 2.2 1.3 0.5 実 質 建 設 投 資 779,352 663,673 515,676 400,503 407,712 422,078 454,596 433,100 410,900 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 0.2% -3.6% -3.5% -2.7% 1.8% 3.5% 7.7% -4.7% -5.1% 注 )2013 年 度 までの 建 設 投 資 は 国 土 交 通 省 平 成 26 年 度 建 設 投 資 見 通 し より - 16 -

2. 政 府 建 設 投 資 の 推 移 2014 年 度 の 政 府 建 設 投 資 は 前 年 度 比 で 名 目 5.1%( 実 質 7.8%)の19 兆 5,400 億 円 と 予 測 する 国 の 直 轄 補 助 事 業 費 ( 国 費 当 初 予 算 ベース)は 2014 年 度 予 算 の 内 容 を 踏 まえ 一 般 会 計 に 係 る 政 府 建 設 投 資 を 前 年 度 当 初 予 算 比 1.9% 増 東 日 本 大 震 災 特 別 会 計 に 係 る 政 府 建 設 投 資 を 同 8.4%と 見 込 んだ 上 で 事 業 費 を 推 計 した なお 2013 年 の 補 正 予 算 に 係 る 政 府 建 設 投 資 額 は 国 土 交 通 省 の 平 成 26 年 度 建 設 投 資 見 通 し で 試 算 された2.3 兆 円 程 度 を 採 用 し そのほとんどは 今 年 度 中 に 出 来 高 として 実 現 すると 考 えている 地 方 単 独 事 業 費 は 都 道 府 県 等 の 当 初 予 算 の 動 向 を 踏 まえ 前 年 度 比 3.3% 増 とした 2014 年 度 の 政 府 建 設 投 資 の 伸 び 率 は 前 年 度 比 マイナスであるが 2013 年 度 の 補 正 予 算 と2 014 年 度 の 当 初 予 算 を 一 体 で 編 成 した 15カ 月 予 算 の 効 果 が 発 現 することにより 2012 年 度 を 超 える 投 資 額 となる 見 通 しである 予 算 執 行 前 倒 しに 向 けた 数 値 目 標 が 設 けられ 最 新 単 価 を 反 映 した 予 定 価 格 の 設 定 や 入 札 契 約 手 続 きの 簡 素 化 など 円 滑 な 施 工 に 向 けた 施 策 が 進 められており 発 注 は 通 常 よりも 円 滑 化 されるとみられる 一 方 で 技 能 労 働 者 の 人 手 不 足 も 続 いており 工 事 進 捗 が 遅 れる おそれも 大 きく 引 き 続 き 動 向 を 注 視 する 必 要 がある 2015 年 度 の 政 府 建 設 投 資 は 前 年 度 比 で 名 目 12.2%( 実 質 13.3%)の17 兆 1,600 億 円 と 予 測 する 来 年 度 予 算 の 全 体 像 が 現 時 点 では 不 明 であるため 2015 年 度 の 国 の 直 轄 補 助 事 業 費 ( 当 初 予 算 )および 地 方 単 独 事 業 費 を 前 年 度 並 みと 仮 定 して 事 業 費 を 推 計 した 15カ 月 予 算 の 効 果 が 見 込 まれる2014 年 度 から 大 幅 な 減 少 となっているが インフラ 老 朽 化 対 策 事 業 や 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 などが 停 滞 することのないよう 適 切 な 予 算 配 分 が 望 まれる - 17 -

図 表 2 政 府 建 設 投 資 の 推 移 ( 年 度 ) ( 兆 円 ) 40 35.2 見 込 み 見 通 し ( 前 年 度 比 ) 45% 5.7 30.0 4.0 30% 20 29.5 19.0 2.1 18.0 18.6 18.7 2.2 2.1 2.2 20.6 2.7 19.5 2.5 17.2 2.1 15% 26.0 16.9 15.8 16.5 16.5 17.9 17.0 0% 15.1 0-15% 1995 2000 2005 2010 2011 2012 2013 2014 2015 ( 年 度 ) 政 府 土 木 投 資 政 府 建 築 投 資 政 府 建 設 投 資 伸 び 率 年 度 1995 2000 2005 2010 2011 2012 ( 見 込 み) ( 単 位 : 億 円 実 質 値 は2005 年 度 価 格 ) 2013 ( 見 込 み) 2014 ( 見 通 し) 2015 ( 見 通 し) 名 目 政 府 建 設 投 資 351,986 299,601 189,738 179,820 186,108 186,900 206,000 195,400 171,600 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 5.8% -6.2% -8.9% 0.3% 3.5% 0.4% 10.2% -5.1% -12.2% 名 目 政 府 建 築 投 資 56,672 40,004 20,527 22,096 21,433 21,600 26,900 25,300 20,800 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -12.5% -12.0% -13.9% -0.1% -3.0% 0.8% 24.5% -5.9% -17.8% 名 目 政 府 土 木 投 資 295,314 259,597 169,211 157,724 164,675 165,300 179,100 170,100 150,800 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 10.3% -5.2% -8.3% 0.3% 4.4% 0.4% 8.3% -5.0% -11.3% 実 質 政 府 建 設 投 資 347,856 300,719 189,738 170,702 174,080 176,819 190,504 175,700 152,300 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 5.5% -6.5% -10.2% -0.3% 2.0% 1.6% 7.7% -7.8% -13.3% 注 1)2013 年 度 までの 政 府 建 設 投 資 は 国 土 交 通 省 平 成 26 年 度 建 設 投 資 見 通 し より - 18 -

3. 住 宅 着 工 戸 数 の 推 移 2009 年 夏 以 降 回 復 傾 向 が 続 いていた 住 宅 着 工 戸 数 は 2011 年 3 月 の 東 日 本 大 震 災 を 機 に 一 旦 落 ち 込 んだものの その 後 は 復 興 需 要 等 により 緩 やかな 回 復 基 調 を 継 続 している 2013 年 度 の 着 工 戸 数 は 前 年 度 比 10.6% 増 の 987,254 戸 で 4 月 から 12 月 にかけ 消 費 増 税 前 駆 け 込 み 需 要 により 着 工 戸 数 の 顕 著 な 増 加 があった 2014 年 1 月 以 降 は 持 家 分 譲 戸 建 は 反 動 減 が 続 いている 一 方 貸 家 の 着 工 戸 数 は 前 年 同 月 比 プラスで 推 移 し 続 けている 2014 年 度 は 2015 年 からの 相 続 増 税 の 節 税 対 策 としての 貸 家 着 工 の 継 続 が 想 定 されるも のの 住 宅 着 工 全 体 としては 持 家 の 駆 け 込 み 需 要 反 動 減 分 譲 マンションの 足 元 での 着 工 数 減 少 により 2013 年 度 に 比 べての 減 少 は 避 けられないと 見 込 む 2015 年 度 は 10 月 に 消 費 税 率 が 10%に 上 昇 することを 見 込 んでいるが 増 税 時 期 が 年 度 の 中 心 になるため 駆 け 込 み 反 動 減 の 影 響 は 2014 年 度 に 比 べて 少 ないと 予 想 される 持 家 分 譲 戸 建 の 着 工 戸 数 回 復 により 前 年 度 比 横 ばいの 91 万 戸 を 想 定 している ただし 人 手 不 足 による 建 設 費 の 高 騰 等 が 懸 念 材 料 である 2014 年 度 の 着 工 戸 数 は 前 年 度 比 8.1%の 90.7 万 戸 2015 年 度 は 前 年 度 比 0.3% 増 の 91.0 万 戸 と 予 測 する 持 家 は 1 月 から 消 費 増 税 駆 け 込 みの 反 動 減 による 減 少 が 現 れてきており 足 元 の 5 月 で は 前 年 同 月 比 22.9%と 1997 年 の 消 費 増 税 時 と 同 様 の 減 少 となっている 先 行 指 標 である メーカー 受 注 速 報 では 6 月 まで 4 社 平 均 でほぼ 前 年 同 月 比 20%の 落 ち 込 みが 続 いており 着 工 戸 数 の 回 復 は 今 秋 以 降 になる 見 込 みである 2014 年 度 は 前 年 度 比 20.2%の 28.2 万 戸 2015 年 度 は 同 5.8% 増 の 29.8 万 戸 と 予 測 する 貸 家 は 2015 年 の 相 続 増 税 の 節 税 対 策 投 資 物 件 とサービス 付 き 高 齢 者 向 け 住 宅 の 好 調 により 消 費 増 税 後 も 着 工 戸 数 は 前 年 同 月 比 で 上 昇 が 続 いている メーカーの 受 注 速 報 も 昨 年 10 月 以 降 前 年 同 月 比 プラスで 推 移 している 足 元 の 着 工 受 注 の 状 況 が 底 堅 く 相 続 増 税 の 節 税 対 策 の 影 響 が 2015 年 半 ば 頃 まで 継 続 すると 予 想 されることから 2014 年 度 は 前 年 度 比 7.1% 増 の 39.6 万 戸 2015 年 度 は 同 3.5%の 38.2 万 戸 と 予 測 する 分 譲 は マンションの 2 5 月 の 着 工 戸 数 が 人 手 不 足 による 建 設 費 の 上 昇 等 により 前 年 同 月 比 13.1%~ 43.1%と 落 ち 込 み その 影 響 が 続 くと 考 えられる 昨 年 10 月 以 降 も 契 約 率 は 70% 以 上 であるものの 発 売 戸 数 が 6 月 に 前 年 同 月 比 28.9%と 5 カ 月 連 続 で 減 少 し ており 供 給 戸 数 が 絞 られている( ) 戸 建 は 消 費 増 税 後 の 反 動 減 により 1 月 以 降 減 少 傾 向 が 続 いているが 今 後 回 復 が 見 込 ま れる 2014 年 度 は 分 譲 全 体 で 前 年 度 比 13.7%の 22.4 万 戸 2015 年 度 は 同 0.4% 増 の 22.4 万 戸 と 予 測 する 契 約 率 は 不 動 産 経 済 研 究 所 発 表 数 値 を 基 にした 首 都 圏 と 近 畿 圏 の 合 算 契 約 率 で 発 売 戸 数 は 同 研 究 所 発 表 の 首 都 圏 と 近 畿 圏 の 合 算 戸 数 - 19 -

図 表 3 住 宅 着 工 戸 数 の 推 移 ( 年 度 ) ( 千 戸 ) 1,600 1,484.7 実 績 見 通 し 1,400 1,200 1,000 800 1,213.2 1,249.4 775.3 819.0 841.2 893.0 987.3 907.3 910.4 600 400 200 0 1995 2000 2005 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 ( 年 度 ) 持 家 貸 家 分 譲 (マンション 長 屋 建 ) 分 譲 ( 戸 建 ) 給 与 ( 戸 数 単 位 : 千 戸 投 資 額 単 位 : 億 円 ) 年 度 1995 2000 2005 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 ( 見 通 し) ( 見 通 し) 全 体 1,484.7 1,213.2 1,249.4 775.3 819.0 841.2 893.0 987.3 907.3 910.4 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -4.9% -1.1% 4.7% -25.4% 5.6% 2.7% 6.2% 10.6% -8.1% 0.3% 持 家 550.5 437.8 352.6 287.0 308.5 304.8 316.5 352.8 281.5 297.7 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -4.9% -8.0% -4.0% -7.6% 7.5% -1.2% 3.8% 11.5% -20.2% 5.8% 着 貸 家 563.7 418.2 518.0 311.5 291.8 289.8 320.9 370.0 396.1 382.2 工 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 9.3% -1.8% 10.8% -30.0% -6.3% -0.7% 10.7% 15.3% 7.1% -3.5% 戸 分 譲 344.7 346.3 370.3 163.6 212.1 239.1 249.7 259.1 223.7 224.5 数 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -8.7% 11.0% 6.1% -40.0% 29.6% 12.7% 4.4% 3.8% -13.7% 0.4% マンション 長 屋 建 198.4 220.6 232.5 68.3 98.7 121.1 125.1 125.2 102.0 102.9 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -12.5% 13.4% 10.9% -58.9% 44.5% 22.8% 3.3% 0.1% -18.5% 0.8% 戸 建 146.3 125.7 137.8 95.3 113.4 118.0 124.5 133.9 121.6 121.6 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -3.0% 6.9% -1.2% -10.6% 19.0% 4.0% 5.6% 7.5% -9.2% 0.0% 名 目 民 間 住 宅 投 資 243,129 202,756 184,258 128,404 129,779 133,750 140,900 157,400 153,000 155,800 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -5.2% -2.2% 0.3% -21.6% 1.1% 3.1% 5.3% 11.7% -2.8% 1.8% 注 1) 着 工 戸 数 は2013 年 度 まで 実 績 2014 15 年 度 は 見 通 し 注 2) 名 目 民 間 住 宅 投 資 は2011 年 度 まで 実 績 2012 13 年 度 は 見 込 み 2014 15 年 度 は 見 通 し 注 3) 給 与 住 宅 は 利 用 関 係 別 に 表 示 していないが 全 体 の 着 工 戸 数 に 含 まれる - 20 -

4. 民 間 非 住 宅 建 設 投 資 の 推 移 2014 年 1 3 月 期 の 実 質 民 間 企 業 設 備 ( 内 閣 府 国 民 経 済 計 算 )は 前 年 同 期 比 11.6% 増 となった 海 外 経 済 の 緩 やかな 回 復 や 円 安 基 調 を 背 景 とした 輸 出 増 により 製 造 業 の 生 産 企 業 の 収 益 とも 高 まることが 予 想 され 2014 年 度 の 実 質 民 間 企 業 設 備 は 前 年 度 比 5.9% 増 2015 年 度 は 前 年 度 比 3.5% 増 と 予 測 する 民 間 企 業 設 備 投 資 のうち 約 2 割 を 占 める 建 設 投 資 は 下 記 の 通 り 緩 やかな 回 復 が 継 続 するものと 予 測 する 2014 年 度 の 民 間 非 住 宅 建 設 投 資 は 前 年 度 比 5.2% 増 の 13 兆 200 億 円 となる 見 通 しであ る 2014 年 度 の 着 工 床 面 積 は 前 年 度 比 で 事 務 所 は 3.3% 増 店 舗 は 2.0% 増 工 場 は 1.4% 増 倉 庫 は 3.0% 増 と 伸 びることが 見 込 まれ 民 間 非 住 宅 建 築 投 資 全 体 では 前 年 度 比 5.6% 増 と 予 測 する また 民 間 土 木 投 資 については 鉄 道 通 信 ガスなど 土 木 インフラ 系 企 業 の 設 備 投 資 が 高 水 準 で 推 移 するとみられる 2015 年 度 の 民 間 非 住 宅 建 設 投 資 は 前 年 度 比 2.0% 増 の 13 兆 2,800 億 円 となる 見 通 しで ある このうち 建 築 投 資 は 前 年 度 比 2.6% 増 土 木 投 資 は 前 年 度 と 同 水 準 で 推 移 していく ことが 見 込 まれる 事 務 所 は 全 国 的 に 空 室 率 賃 貸 料 は 改 善 傾 向 にあり 東 京 23 区 の 大 規 模 オフィスビル 供 給 量 は 過 去 平 均 並 みの 水 準 で 推 移 すると 予 測 されていることから 2014 15 年 度 の 着 工 床 面 積 は2013 年 度 を 上 回 る 見 込 みである 店 舗 は 建 設 コストの 上 昇 に 伴 い 出 店 計 画 を 抑 制 する 動 きが 一 部 で 見 られるものの 小 売 業 の 設 備 投 資 意 欲 は 高 く 勢 いは 鈍 化 するが 順 調 に 推 移 するとみられる 工 場 は 7 月 に 発 表 された 日 銀 短 観 では 依 然 製 造 業 における 設 備 の 余 剰 感 は 残 るものの 解 消 の 兆 しが 見 られ 設 備 投 資 意 欲 は 高 まりつつあることから 底 堅 く 推 移 するとみられる 倉 庫 は 通 販 関 連 を 中 心 に 商 品 の 集 荷 や 配 送 を 効 率 よく 進 めようとする 動 きが 加 速 化 し ており 新 たな 物 流 拠 点 を 建 設 する 動 きが 今 後 も 続 くとみられる 民 間 非 住 宅 建 設 投 資 は 今 後 も 緩 やかな 回 復 が 継 続 すると 思 われるが 技 能 労 働 者 不 足 を 主 因 とする 工 事 進 捗 の 遅 れ 建 設 コストの 上 昇 も 懸 念 され 動 向 を 注 視 する 必 要 がある - 21 -

図 表 4 民 間 非 住 宅 建 設 投 資 の 推 移 ( 年 度 ) 年 度 1995 2000 2005 2010 2011 2012 ( 見 込 み) ( 単 位 : 億 円 実 質 値 は2005 年 度 価 格 ) 2013 ( 見 込 み) 2014 ( 見 通 し) 2015 ( 見 通 し) 名 目 民 間 非 住 宅 建 設 投 資 195,053 159,591 141,680 109,683 113,065 114,200 123,800 130,200 132,800 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -1.8% 0.7% 4.0% -10.0% 3.1% 1.0% 8.4% 5.2% 2.0% 名 目 民 間 非 住 宅 建 築 投 資 110,095 93,429 92,357 69,116 69,618 71,800 79,800 84,300 86,500 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -6.8% -0.5% 3.4% -9.5% 0.7% 3.1% 11.1% 5.6% 2.6% 名 目 民 間 土 木 投 資 84,958 66,162 49,323 40,567 43,447 42,400 44,000 45,900 46,300 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 5.6% 2.5% 5.3% -10.9% 7.1% -2.4% 3.8% 4.3% 0.9% 実 質 民 間 企 業 設 備 603,261 649,864 705,989 648,763 680,010 685,164 703,262 744,554 770,496 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 3.1% 4.8% 4.4% 3.8% 4.8% 0.8% 2.6% 5.9% 3.5% 注 1)2013 年 度 までの 名 目 民 間 非 住 宅 建 設 投 資 は 国 土 交 通 省 平 成 26 年 度 建 設 投 資 見 通 し より 注 2)2013 年 度 までの 実 質 民 間 企 業 設 備 は 内 閣 府 国 民 経 済 計 算 より 図 表 5 民 間 非 住 宅 建 築 着 工 床 面 積 の 推 移 ( 年 度 ) 年 度 1995 2000 2005 2010 2011 2012 2013 2014 ( 見 通 し) ( 単 位 : 千 m2) 2015 ( 見 通 し) 事 務 所 着 工 床 面 積 9,474 7,280 6,893 4,658 5,039 5,315 4,819 4,978 4,843 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -0.6% -4.2% -4.4% -26.8% 8.2% 5.5% -9.3% 3.3% -2.7% 店 舗 着 工 床 面 積 11,955 11,862 12,466 5,727 5,173 7,403 8,326 8,493 8,620 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 13.8% -17.9% 9.7% 4.1% -9.7% 43.1% 12.5% 2.0% 1.5% 工 場 着 工 床 面 積 13,798 13,714 14,135 6,405 7,168 8,203 7,890 8,000 8,200 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 4.6% 37.6% 6.8% 17.6% 11.9% 14.4% -3.8% 1.4% 2.5% 倉 庫 着 工 床 面 積 9,994 7,484 8,991 4,234 5,361 6,248 6,842 7,047 7,399 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -1.6% 11.2% 16.3% 6.1% 26.6% 16.6% 9.5% 3.0% 5.0% 非 住 宅 着 工 床 面 積 計 68,458 59,250 65,495 37,403 40,502 44,559 47,679 49,370 50,351 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 5.3% 2.0% 3.8% 7.3% 8.3% 10.0% 7.0% 3.5% 2.0% 注 ) 非 住 宅 着 工 床 面 積 計 から 事 務 所 店 舗 工 場 倉 庫 を 控 除 した 残 余 は 学 校 病 院 その 他 に 該 当 する - 22 -

5.マクロ 経 済 2014 年 度 は 個 人 消 費 や 住 宅 投 資 が 駆 け 込 み 需 要 の 反 動 でマイナスに 転 じ 2013 年 度 補 正 予 算 を 含 めても 公 共 投 資 が 減 少 することから 成 長 力 は 鈍 化 する 見 通 しである 一 方 で 個 人 消 費 が 持 ち 直 しつつあることや 企 業 の 先 行 きに 対 する 見 方 に 改 善 の 兆 しが 見 られるこ とに 加 え 名 目 賃 金 も 上 昇 傾 向 にあることから 経 済 の 好 循 環 を 拡 大 するための 取 り 組 みが 確 実 に 実 施 されることが 望 まれる 外 需 についても 海 外 景 気 の 底 堅 さ 等 を 背 景 に 次 第 に 持 ち 直 しに 向 かうことが 期 待 される 2015 年 度 は 10 月 に 予 定 されている 消 費 増 税 により 個 人 消 費 や 住 宅 投 資 が 年 度 前 半 に 駆 け 込 み 需 要 の 影 響 で 増 加 するものの 年 度 後 半 には 反 動 により 減 速 すると 予 測 する また 公 的 固 定 資 本 形 成 についても 2013 年 度 補 正 予 算 が 執 行 される 2014 年 度 と 比 較 して 減 少 す ると 予 測 されることから 2014 年 度 に 引 き 続 き 持 続 的 な 経 済 成 長 につながる 取 り 組 みが 期 待 される 下 振 れリスクとしては 消 費 増 税 による 駆 け 込 み 需 要 の 反 動 減 からの 回 復 の 遅 れや 中 国 をはじめとするアジア 経 済 の 回 復 の 鈍 化 中 東 情 勢 の 悪 化 などが 挙 げられる 2014 年 度 の 実 質 経 済 成 長 率 は 前 年 度 比 0.9%と 見 込 まれる 公 的 固 定 資 本 形 成 は 前 年 度 比 7.7%の 減 少 (GDP 寄 与 度 0.3%ポイント) 民 間 住 宅 は 6.0%の 減 少 ( 同 0.2%ポ イント) 民 間 企 業 設 備 は 5.9%の 増 加 ( 同 0.8%ポイント)と 見 込 まれる 2015 年 度 の 実 質 経 済 成 長 率 は 前 年 度 比 1.3%と 予 測 する 公 的 固 定 資 本 形 成 は 前 年 度 比 13.4%の 減 少 (GDP 寄 与 度 0.5%ポイント) 民 間 住 宅 は 0.5%の 増 加 ( 同 0.0%ポイン ト) 民 間 企 業 設 備 は 3.5%の 増 加 ( 同 0.5%ポイント)と 予 測 する 図 表 6 マクロ 経 済 の 推 移 ( 年 度 ) ( 単 位 : 億 円 実 質 値 は 2005 暦 年 連 鎖 価 格 表 示 ) 年 度 1995 2000 2005 2010 2011 2012 2013 2014 ( 見 通 し) 2015 ( 見 通 し) 実 質 GDP 4,590,576 4,767,233 5,071,580 5,124,239 5,141,480 5,175,258 5,293,196 5,338,953 5,408,898 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 2.7% 2.0% 1.9% 3.4% 0.3% 0.7% 2.3% 0.9% 1.3% 実 質 民 間 最 終 消 費 支 出 2,658,908 2,750,555 2,925,785 2,997,240 3,039,102 3,084,499 3,163,629 3,145,847 3,167,581 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 2.3% 0.3% 1.9% 1.6% 1.4% 1.5% 2.6% -0.6% 0.7% ( 寄 与 度 ) 1.3 0.2 1.1 0.9 0.8 0.9 1.6-0.3 0.4 実 質 政 府 最 終 消 費 支 出 736,169 839,598 923,628 978,863 990,785 1,005,939 1,024,357 1,039,014 1,041,271 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 4.3% 4.8% 0.4% 2.0% 1.2% 1.5% 1.8% 1.4% 0.2% ( 寄 与 度 ) 0.6 0.8 0.1 0.4 0.2 0.3 0.4 0.3 0.0 実 質 民 間 住 宅 236,088 200,798 183,450 125,337 129,360 136,192 149,181 140,245 140,991 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -5.7% -0.1% -0.7% 2.2% 3.2% 5.3% 9.5% -6.0% 0.5% ( 寄 与 度 ) -0.3 0.0 0.0 0.1 0.1 0.2 0.3-0.2 0.0 実 質 民 間 企 業 設 備 603,261 649,864 705,989 648,763 680,014 685,164 703,262 744,554 770,496 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 3.1% 4.8% 4.4% 3.8% 4.8% 0.8% 2.6% 5.9% 3.5% ( 寄 与 度 ) 0.5 0.7 0.6 0.5 0.6 0.1 0.4 0.8 0.5 実 質 公 的 固 定 資 本 形 成 417,039 350,705 241,128 207,145 200,557 203,147 233,859 215,856 186,936 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 6.7% -6.1% -6.7% -6.4% -3.2% 1.3% 15.1% -7.7% -13.4% ( 寄 与 度 ) 0.6-0.5-0.3-0.3-0.1 0.1 0.7-0.3-0.5 実 質 在 庫 品 増 加 12,911 3,408 8,072-1,357-14,776-19,219-39,963-31,173-30,665 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) -241.5% -110.2% -46.3% -97.3% 988.9% 30.1% 107.9% -22.0% -1.6% ( 寄 与 度 ) 0.6 0.8-0.1 1.1-0.5-0.1-0.4 0.2 0.0 実 質 財 貨 サーヒ スの 純 輸 出 -45,087-20,874 83,487 168,467 119,742 83,591 70,677 96,418 144,096 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 596.5% 102.6% 56.0% 43.8% -28.9% -30.2% -15.4% 36.4% 49.4% ( 寄 与 度 ) -0.6 0.0 0.6 0.8-1.0-0.8-0.5 0.5 0.9 名 目 GDP 5,045,943 5,108,347 5,053,494 4,802,325 4,736,705 4,726,446 4,815,076 4,959,061 5,062,030 ( 対 前 年 度 伸 び 率 ) 1.8% 0.8% 0.5% 1.3% -1.4% -0.2% 1.9% 3.0% 2.1% 注 )2013 年 度 までは 内 閣 府 国 民 経 済 計 算 より ( 担 当 : 研 究 員 浦 辺 隆 弘 中 森 雄 也 林 田 宏 大 吉 岡 幸 一 郎 竹 内 広 悟 中 西 慎 之 介 森 田 素 久 矢 吹 龍 太 郎 河 井 佳 人 菅 原 克 典 ) - 23 -

Ⅲ. 建 設 関 連 産 業 の 動 向 -セメント 生 コンクリート- 今 月 の 建 設 関 連 産 業 の 動 向 は 社 会 資 本 の 整 備 を 行 う 上 で 必 要 不 可 欠 な 建 設 基 礎 資 材 で ある セメント 生 コンクリート についてレポートします 1.セメント 産 業 および 生 コンクリート 産 業 について まず セメント 産 業 について 第 二 次 石 油 危 機 を 契 機 に 原 燃 料 の 高 騰 や 需 要 の 低 迷 など により 生 産 設 備 の 過 剰 問 題 過 当 競 争 の 激 化 など 厳 しい 経 営 環 境 にあった この 構 造 的 不 況 を 打 破 するため 生 産 設 備 の 廃 棄 やグループ 集 約 物 流 合 理 化 など 抜 本 的 な 合 理 化 策 を 講 じてきた また 1994 年 に 秩 父 小 野 田 株 式 会 社 および 住 友 大 阪 セメント 株 式 会 社 の 両 合 併 会 社 の 発 足 さらには1998 年 に 秩 父 小 野 田 株 式 会 社 と 日 本 セメント 株 式 会 社 の 合 併 ( 現 太 平 洋 セメント 株 式 会 社 ) 宇 部 興 産 株 式 会 社 と 三 菱 マテリアル 株 式 会 社 の 共 同 販 売 会 社 の 誕 生 ( 現 宇 部 三 菱 セメント 株 式 会 社 )など 業 界 再 編 が 進 んだ このような 再 編 などにより 企 業 数 は17 社 (うち11 社 はセメント 製 造 専 業 会 社 で 6 社 は 化 学 工 業 などとの 兼 業 会 社 )となってい る(2012 年 4 月 現 在 ) また 日 本 全 国 に30のセメント 工 場 があり 石 灰 石 資 源 が 豊 富 な 北 九 州 地 区 山 口 県 と 国 内 最 大 のセメント 消 費 地 である 関 東 地 区 に 多 く 立 地 している 次 に 生 コンクリート( 以 下 生 コン) 産 業 について 生 コンの 商 品 特 性 ( 製 造 から 出 荷 までの 時 間 が90 分 程 度 と 極 端 に 短 い 注 文 生 産 である)のため 供 給 範 囲 が 限 定 されることか ら 全 国 各 地 に 生 コンプラントが 点 在 している 生 コンの 生 産 業 者 は 多 数 が 中 小 企 業 で 全 国 に3,163 社 3,456 工 場 が 存 在 する(2013 年 3 月 末 現 在 ) 2000 年 3 月 末 時 点 では4,121 社 4,662 工 場 存 在 していたが 2013 年 3 月 末 は2000 年 3 月 末 比 でそれぞれ23.2% 減 25.9% 減 と なっている これら 生 産 業 者 の 多 くは 組 合 を 結 成 し 品 質 の 向 上 や 共 同 販 売 などの 事 業 を 行 っている 組 合 には 都 道 府 県 単 位 になっている 工 業 組 合 と 地 域 的 な 業 者 の 集 まりであ る 協 同 組 合 の 二 つあり 工 業 組 合 は 業 界 全 体 の 発 展 向 上 と 技 術 面 の 指 導 事 業 や 共 同 事 業 を 行 い 協 同 組 合 は 主 として 共 同 販 売 などの 経 済 行 為 に 係 る 共 同 事 業 を 行 っている 工 業 組 合 お よび 協 同 組 合 ともに 全 国 組 織 があり それぞれ 全 国 生 コンクリート 工 業 組 合 連 合 会 および 全 国 生 コンクリート 協 同 組 合 連 合 会 が 存 在 する 前 者 の 組 織 率 は78.8% 後 者 の 組 織 率 は 63.2%となっている 両 連 合 会 は 有 機 的 に 連 携 運 用 されている - 24 -

2.セメントおよび 生 コンの 需 要 動 向 (1)セメントの 国 内 需 要 動 向 図 表 1は セメントの 国 内 需 要 および 建 設 投 資 額 の 推 移 を 示 したものである 建 設 投 資 額 と ほぼ 比 例 した 動 きを 示 している 建 設 投 資 額 が 底 であった2010 年 度 の 国 内 需 要 ( 官 需 + 民 需 ) は 1996 年 度 比 49.5% 減 の41,614 千 tとほぼ 半 減 している 東 日 本 大 震 災 以 降 の2011 年 度 以 降 は3 年 連 続 で 増 加 しており 2013 年 度 は 官 需 および 民 需 ともに 前 年 度 を 上 回 り 前 年 度 比 7.0% 増 の47,705 千 tと 増 加 傾 向 となっている 図 表 1 セメントの 国 内 需 要 および 建 設 投 資 額 の 推 移 ( 国 内 需 要 : 千 t) ( 建 設 投 資 額 : 億 円 ) 110,000 900,000 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 800,000 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 0 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ( 年 度 ) 国 内 需 要 ( 官 需 ) 国 内 需 要 ( 民 需 ) 建 設 投 資 額 ( 出 典 ) 一 般 社 団 法 人 セメント 協 会 セメント 需 給 実 績 国 土 交 通 省 建 設 投 資 見 通 し ( 注 )2012 年 度 および2013 年 度 の 建 設 投 資 額 は 見 込 み 値 2014 年 2 月 に 一 般 社 団 法 人 セメント 協 会 が 発 表 した 2014 年 度 セメント 需 要 見 通 し では 国 内 需 要 は 官 需 が 国 の 公 共 事 業 予 算 の 当 初 分 とずれ 込 みを 考 慮 した 補 正 分 を 合 算 すると 前 年 並 みとなり 民 需 が 住 宅 投 資 の 消 費 増 税 後 の 反 動 減 があるが 設 備 投 資 は 企 業 収 益 の 改 善 が 続 いていることから 緩 やかに 回 復 し 前 年 並 みと 想 定 されるとし 前 年 度 比 100.0%の48,000 千 tと 見 通 している 図 2 国 内 需 要 の 見 通 し ( 単 位 : 千 t %) 項 目 官 需 民 需 合 計 前 年 度 比 前 年 度 比 前 年 度 比 2013 年 度 見 込 み 25,000 110.1 23,000 105.1 48,000 107.7 2014 年 度 見 通 し 25,000 100.0 23,000 100.0 48,000 100.0 ( 出 典 ) 一 般 社 団 法 人 セメント 協 会 2014 年 度 セメント 需 要 見 通 し(2014 年 2 月 ) - 25 -

(2) 生 コンの 出 荷 量 動 向 図 表 3は 生 コンの 出 荷 量 および 建 設 投 資 額 の 推 移 を 示 したものである 先 ほど 見 たセメン トと 同 様 に 建 設 投 資 額 に 比 例 した 動 きを 示 しており 建 設 投 資 額 が 底 であった2010 年 度 に は1996 年 度 比 52.7% 減 の85,278 千 m3と 半 分 以 下 に 減 少 している しかし 2011 年 度 以 降 は3 期 連 続 で 増 加 し 2013 年 度 の 出 荷 量 は 前 年 度 比 7.3% 増 の98,850 千 m3となっている 全 国 生 コンクリート 工 業 組 合 連 合 会 協 同 組 合 連 合 会 は 2014 年 度 の 生 コン 総 出 荷 量 の 見 込 みについて 職 人 やミキサー 車 などが 不 足 傾 向 にあることから 前 年 度 比 1.8% 減 の9,360 万 m3としている その 内 訳 として 官 公 需 向 けが 前 年 度 比 5.6% 減 の3,900 万 m3 民 需 向 けが 前 年 度 比 1.1% 増 の5,460 万 m3としている 図 表 3 生 コンの 出 荷 量 および 建 設 投 資 額 の 推 移 ( 出 荷 数 量 : 千 m3) ( 建 設 投 資 額 : 億 円 ) 220,000 900,000 200,000 180,000 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 800,000 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 0 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ( 年 度 ) 出 荷 数 量 ( 官 需 ) 出 荷 数 量 ( 民 需 ) 建 設 投 資 額 ( 出 典 ) 全 国 生 コンクリート 工 業 組 合 連 合 会 および 全 国 生 コンクリート 協 同 組 合 連 合 会 (ZENNAMA) 出 荷 実 績 の 推 移 3.セメントおよび 生 コンの 価 格 動 向 (1)セメントの 価 格 動 向 図 表 4は セメント( 普 通 ポルトランドバラ)の 価 格 動 向 を 示 したものであるが 建 設 投 資 額 が 多 かった1994 年 は 高 い 水 準 であったが その 後 建 設 投 資 額 の 減 少 に 伴 い 下 落 傾 向 にあ った しかし セメントメーカー 各 社 がセメント 製 造 の 主 燃 料 である 石 炭 価 格 の 高 騰 などを 理 由 に 値 上 げを 実 施 した2008 年 以 降 から 上 昇 傾 向 となり 2013 年 には10,300 円 ( 年 平 均 )と なっている - 26 -

図 表 4 セメントの 価 格 動 向 ( 円 ) 10,500 10,000 9,500 9,000 8,500 8,000 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ( 年 ) ( 出 典 ) 一 般 財 団 法 人 建 設 物 価 調 査 会 主 要 資 材 価 格 推 移 表 ( 注 ) 東 京 を 基 準 とした 年 平 均 値 で 普 通 ポルトランドバラの 価 格 (2) 生 コンの 価 格 動 向 図 表 5は 生 コンの 価 格 動 向 を 示 したものである 1995 年 に 大 きく 上 昇 した 後 下 落 傾 向 と なる しかし 先 述 したが 生 コンの 主 原 料 であるセメントの 値 上 げにより 生 コンの 価 格 も2008 年 以 降 上 昇 している 2013 年 には12,500 円 ( 年 平 均 )と 1995 年 の13,100 円 ( 年 平 均 ) に 迫 る 価 格 水 準 にまで 上 昇 している なお この 生 コンの 価 格 は 取 引 エリアが 極 めて 限 定 的 で 地 域 の 需 給 動 向 や 協 同 組 合 など による 販 売 体 制 の 違 いによって 地 域 間 で 異 なる 図 表 6は 一 般 財 団 法 人 建 設 物 価 調 査 会 が 調 査 した2014 年 6 月 10 日 時 点 の 各 地 域 別 の 価 格 を 示 したものである 東 日 本 大 震 災 からの 復 旧 復 興 事 業 により 工 事 量 が 増 加 している 東 北 では 高 い 水 準 となっている 図 表 5 生 コンの 価 格 動 向 ( 円 ) 13,500 13,000 12,500 12,000 11,500 11,000 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ( 年 ) ( 出 典 ) 一 般 財 団 法 人 建 設 物 価 調 査 会 主 要 資 材 価 格 推 移 表 ( 注 ) 東 京 を 基 準 とした 年 平 均 値 で レディーミクストコンクリートの 価 格 - 27 -

図 表 6 生 コンの 地 域 別 価 格 ( 円 ) 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 北 海 道 東 北 関 東 北 陸 中 部 近 畿 中 国 四 国 九 州 沖 縄 ( 出 典 ) 一 般 財 団 法 人 建 設 物 価 調 査 会 主 要 建 設 資 材 の 価 格 動 向 と 地 方 市 況 4.セメントおよび 生 コンの 需 給 動 向 図 表 7は 全 国 におけるセメントおよび 生 コンの 需 給 動 向 を 示 したものであるが セメント および 生 コンとも 均 衡 状 態 にはあるが 東 日 本 大 震 災 発 災 後 の2011 年 度 以 降 は 上 昇 傾 向 とな っている なお 足 元 の2014 年 4 月 から6 月 の 状 況 を 見 ると セメントおよび 生 コンともに やや 低 下 傾 向 が 見 られ 需 給 状 況 はやや 緩 和 に 向 かっている 4.00 図 表 7 セメントおよび 生 コンの 需 給 動 向 ( 全 国 ) やや 逼 迫 3.50 3.00 均 衡 2.50 やや 緩 和 2.00 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ( 年 度 ) セメント ( バラ 物 ) ( 出 典 ) 国 土 交 通 省 主 要 建 設 資 材 需 給 動 向 調 査 ( 注 ) 年 度 平 均 に 加 工 生 コンクリート - 28 -

次 に 東 日 本 大 震 災 の 被 災 3 県 におけるセメントおよび 生 コンの 需 給 動 向 を 示 したものが 図 表 8であるが セメントは 東 日 本 大 震 災 後 上 昇 するが 均 衡 状 況 は 保 っていた 一 方 生 コン においては 2012 年 度 に 急 激 に 上 昇 し やや 逼 迫 の 水 準 にまで 達 している 図 表 7と 比 べても 被 災 3 県 における 需 給 は 厳 しい 状 況 であったことがうかがえる なお 足 元 の2014 年 4 月 から6 月 の 状 況 を 見 ると セメントおよび 生 コンともに 3.0 前 後 と なっており 均 衡 状 況 にある 4.0 図 表 8 セメントおよび 生 コンの 需 給 動 向 ( 被 災 3 県 ) やや 逼 迫 3.5 3.0 均 衡 2.5 やや 緩 和 2.0 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ( 年 度 ) セメント ( バラ 物 ) 生 コンクリート ( 出 典 ) 国 土 交 通 省 主 要 建 設 資 材 需 給 動 向 調 査 ( 注 ) 年 度 平 均 に 加 工 なお 2011 年 4 月 5 月 および9 月 調 査 については データのない 宮 城 県 を 除 いた 平 均 こうした 被 災 3 県 における 生 コンの 需 給 状 況 が 厳 しい 状 況 にあるが 先 述 のとおり 生 コン は 製 造 後 90 分 以 内 に 現 場 に 搬 入 しないといけないため 他 地 区 や 他 県 から 運 ぶということが できない そういった 背 景 から 今 後 復 興 が 本 格 化 する 中 で 国 による 生 コンプラント 建 設 が 予 定 されている 5. 今 後 の 展 望 セメントおよび 生 コンの 状 況 について 見 てきたが 東 日 本 大 震 災 を 機 に 建 設 投 資 が 増 加 に 転 じ セメントおよび 生 コンとも 需 要 が 増 加 し 需 給 動 向 は 依 然 均 衡 状 態 ではあるものの やや 逼 迫 の 水 準 に 迫 る 状 況 にある 今 後 も 景 況 感 の 改 善 による 民 間 設 備 投 資 の 回 復 や 東 京 オリンピック パラリンピックなど 建 設 投 資 が 増 加 することが 予 測 され セメントおよび 生 コンの 需 給 動 向 は 逼 迫 していく 可 能 性 が 考 えられる - 29 -

一 方 価 格 について 見 てみると 原 材 料 の 上 昇 により 値 上 げされている しかし 今 後 も 原 材 料 価 格 が 上 昇 する 可 能 性 もあり セメントおよび 生 コン 会 社 の 採 算 性 を 悪 化 させない ためには 適 正 な 価 格 設 定 が 必 要 であり 主 要 なエンドユーザーである 建 設 会 社 の 理 解 を 得 る 必 要 がある 2014 年 5 月 29 日 に 改 正 公 共 工 事 品 質 確 保 促 進 法 が 成 立 し 2015 年 4 月 から 施 行 されるが その 中 で 市 場 での 労 務 や 資 材 の 取 引 実 態 を 反 映 した 予 定 価 格 の 設 定 が 発 注 者 の 責 務 として 明 記 されている こういった 法 の 趣 旨 に 則 り 建 設 会 社 においても 適 正 な 価 格 で 受 注 し 建 設 関 連 業 界 とともに 発 展 していくことが 期 待 される ( 担 当 : 研 究 員 中 森 雄 也 ) - 30 -

編 集 後 記 ランニングバイクという 乗 り 物 をご 存 じだろうか 小 学 校 入 学 前 6 歳 までの 子 供 用 二 輪 車 で ブレーキとペダルが 無 く 足 で 地 面 を 蹴 って 進 むのでランニングバイクと 言 われている 最 近 では 幼 稚 園 で 三 輪 車 の 代 わりに 導 入 されるなど バランス 感 覚 が 養 われるというこ とで 流 行 しており 実 際 5 歳 になる 長 男 もドラマなどでよく 見 る 親 子 コマ( 補 助 輪 ) 無 し 自 転 車 練 習 を 経 験 せず 自 転 車 に 一 発 で 乗 ることが 出 来 た ただ 公 道 や 人 が 多 く 集 ま る 場 所 での 事 故 も 報 告 されており 乗 せる 場 所 に 関 して 親 のモラルが 問 われている そこで 我 が 家 では 周 囲 に 気 兼 ねなく 遊 ばせるために ランニングバイクレースに 参 加 す ることにしている 全 国 各 地 で 毎 週 のように 開 催 されており 長 男 も 出 てみたい と 言 っ たので 3 歳 の 次 男 と 一 緒 に 出 場 している ただ 初 めて 出 場 した 時 の 会 場 の 雰 囲 気 には 驚 愕 した 所 詮 子 供 の 遊 びなので ヨーイ ドン! で 走 り 出 し みんな 仲 良 くゴールと 思 っていたが 参 加 者 はほとんどレーシングチ ーム 所 属 でユニフォームも 揃 えている 走 っている 子 供 も 前 傾 姿 勢 で 必 死 こけて 泣 く 子 は 子 供 らしいが レースに 負 けて 泣 いている 子 もいる 親 もそれ 以 上 に 必 死 であり ここまで しなくても と 若 干 引 いていたのだが その 時 点 で 母 親 の 目 の 色 は 変 わっていた 親 バカ の 始 まりである チームには 入 らないものの 兄 弟 お 揃 いのユニフォームや ヘルメット プロテクター グローブなどが 次 々と 揃 いだした 少 々やり 過 ぎでは と 感 じながらも 3 歳 でゴルフクラブを 始 めて 握 り 5 歳 で お 兄 ちゃんと 一 緒 に 野 球 を 始 め 等 々 オリンピック 選 手 やプロスポーツ 選 手 が 言 ってい るのを 思 い 出 し 子 供 の 可 能 性 を 伸 ばしていくためには 親 バカ も 必 要 だと やり 過 ぎな 母 親 には 何 も 言 わないことにしてきた そんな 父 親 も 最 近 では インコースを 走 るんや! と 指 示 している 3 歳 の 次 男 に 分 かるはずもない ( 担 当 : 研 究 員 吉 岡 幸 一 郎 ) - 31 -