疾 患 モデル 科 学 参 考 資 料 II 各 論 1.マウス 1) 特 徴 マウスは 成 熟 しても 体 重 が 50g 以 上 にはならないため 実 験 動 物 を 初 めて 扱 う 技 術 者 や 研 究 者 にも 取 扱 いが 容 易 である そのため 遺 伝 学 腫 瘍 学 免 疫 学 等 広 い 分 野 で 使 用 されており 実 験 動 物 として 用 いられている 動 物 種 の 中 で 最 も 多 くのデータが 報 告 されている 成 熟 時 体 長 : 約 8cm 尾 長 : 約 7cm 体 重 :30g 前 後 寿 命 :2-2.5 年 妊 娠 期 間 哺 乳 期 間 :ともに 約 20 日 系 統 : 約 1000 系 統 が 国 際 登 録 されているのに 加 え 毎 年 遺 伝 子 改 変 動 物 が 数 多 く 報 告 されてい る 代 表 的 な 系 統 の 特 徴 を 表 に 示 す 系 統 特 性 A AKR BALB/c CBA C3H/He C57BL/6 DBA/2 アルビノで 多 くの 亜 系 (サブライン)がある 自 然 発 症 肺 腫 瘍 が 認 められる 寿 命 はSPF 動 物 になると 比 較 的 長 い アルビノ 亜 系 によっては 太 りすぎて 繁 殖 が 難 しい 4~5 ヶ 月 齢 頃 より 胸 腺 の 腫 脹 を 伴 う 白 血 病 を 高 発 する アルビノで 多 くの 亜 系 があるとともに 歴 史 の 古 い 系 統 である 多 くの 研 究 に 使 用 されている 寿 命 は 比 較 的 長 く 高 齢 になるとリンパ 系 の 腫 脹 が 見 られる 野 生 色 で 歴 史 が 古 い 系 統 である 亜 系 により 免 疫 反 応 に 差 が 認 められる 寿 命 は 長 いほうである C3H 系 のマウスと 同 様 網 膜 の 変 性 を 起 こす 遺 伝 子 によりほとんど 物 がみえない ビタミンKに 感 受 性 が 高 い 野 生 色 多 くの 亜 系 があり 特 性 に 差 が 認 められる 乳 因 子 により 高 い 乳 がんの 発 生 がみられ メスの 寿 命 はこの 発 生 率 に 影 響 される オスには 高 い 肝 癌 の 発 生 が 認 められる 網 膜 の 変 性 遺 伝 子 (rd)により 視 力 はゼロに 等 しい 黒 色 体 型 は 比 較 的 小 さく 離 乳 期 に 脱 毛 することがある 自 然 発 症 腫 瘍 が 少 ないので 寿 命 は 長 い 無 眼 白 内 障 などが 多 くみられる 淡 褐 色 (ダイリュートブラウン) 目 は 黒 出 産 仔 数 が 少 ないので 繁 殖 は 難 しい 聴 原 発 作 がみられる 体 重 の 割 合 対 する 脳 の 比 重 は 低 く 心 臓 に 石 灰 の 沈 着 が 多 くみられる 2) 飼 育 管 理 環 境 : 動 物 の 健 康 を 保 つために 動 物 室 に 入 ったらまず ガイドラインを 基 準 に 設 定 されている 温 度 (22-24 ) 湿 度 (50-60%) 換 気 (12-15 回 / 時 間 )の 状 況 をチェックする 習 慣 を 身 につけると 1
よい これらの 設 定 範 囲 内 から 大 きくはずれている 場 合 には すみやかにセンター 教 職 員 に 連 絡 す る 給 餌 : 動 物 の 健 康 状 態 を 知 る 上 で 飼 料 の 消 費 量 は 大 事 なチェックポイントになる 給 餌 量 は 適 量 にすべきで 多 すぎる 飼 料 の 供 給 は 吸 湿 により 変 質 を 招 くので 好 ましくない 給 餌 器 の 中 に 吸 湿 し て 固 まった 飼 料 がある 場 合 は 給 餌 器 を 交 換 しないとカビが 発 生 する 給 水 : 給 水 作 業 で 重 要 なことは 漏 水 のないようしっかり 栓 をし 給 水 ビンを 逆 さにしても 水 がでない ことを 確 認 することである 漏 水 による 事 故 は 以 外 と 多 いため ケージに 給 水 ビンをセットアップ 後 再 度 漏 水 していないかチェックするとよい 給 水 ビンの 先 管 が 床 敷 き(チップ)に 触 れても 漏 水 が 生 じるため セットアップ 後 の 確 認 も 重 要 である 自 動 給 水 装 置 の 場 合 は ケージ 交 換 ごとに 先 管 に 食 べかすや 床 敷 きが 詰 まってないか 確 認 する 必 要 がある ケージ 交 換 :ケージ 交 換 は 飼 育 作 業 の 中 で 重 要 な 作 業 の 一 つであり 動 物 の 健 康 状 態 を 把 握 する 最 もよいときである 必 要 数 の 交 換 用 ケージ( 洗 浄 乾 燥 必 要 であれば 滅 菌 したもの)に 床 敷 き(チ ップ)を 適 当 量 入 れる 動 物 は1 匹 ずつつかみあげ 新 しいケージに 移 す このときに 動 物 の 行 動 被 毛 の 色 つや 汚 れ 脱 毛 と 外 傷 の 有 無 眼 鼻 口 尾 肛 門 などに 色 形 汚 れ 外 傷 の 有 無 を 観 察 する 必 要 に 応 じ 体 重 を 測 定 する カードに 記 録 されている 動 物 数 と 実 際 の 数 が 合 うことを 確 認 する 給 餌 器 に 飼 料 を 補 充 し フタを 完 全 に 閉 じて 新 しい 給 水 ビンをセットアップする 棚 を 清 拭 し ケージを 元 の 位 置 に 戻 して 飼 育 室 の 掃 き 掃 除 拭 き 掃 除 を 行 ってケージ 交 換 作 業 が 終 了 す る 器 具 器 材 の 洗 浄 消 毒 滅 菌 :ケージ 給 餌 器 フタ 給 水 ビン 等 は 交 換 後 洗 浄 必 要 であれば 消 毒 滅 菌 する 特 に 給 水 ビンの 栓 と 先 管 は 十 分 にブラシで 洗 浄 し 飼 料 の 食 べかすを 除 去 すること が 大 事 である 性 別 判 定 : 生 後 3 4 週 齢 になると 容 易 に 肛 門 と 外 部 生 殖 器 の 距 離 と 外 部 生 殖 器 の 様 子 で 判 定 できる 雌 は 肛 門 と 外 部 生 殖 器 の 距 離 が 短 く 外 部 生 殖 器 の 突 出 が 少 ない 雄 は 距 離 が 長 く 外 部 生 殖 器 の 突 出 が 大 きく また 精 巣 が 下 降 していることから 判 定 できる 幼 若 な 場 合 特 に 出 産 後 数 日 のものは 肛 門 と 外 部 生 殖 器 の 距 離 外 部 生 殖 器 の 突 出 の 程 度 ( 雌 では 小 さく 雄 では 大 き い)あるいは 乳 房 の 数 (メスでは 乳 房 の 数 が5 対 で オスでは1 対 のみ)により 判 定 することができる 3) 実 験 補 助 体 重 測 定 : 体 重 測 定 は 動 物 の 健 康 状 態 を 知 る 重 要 な 項 目 である 体 重 の 変 化 は 環 境 状 況 の 変 化 が 起 こっていないか 飼 育 管 理 が 正 しく 行 われているか そして 実 験 による 影 響 が 出 ていないかな どを 知 る 重 要 な 手 がかりとなる マウスの 場 合 体 重 計 は 秤 量 100g 感 量 0.1gものが 便 利 である 一 般 的 には 動 物 が 逃 亡 しないよ うに 箱 等 を 秤 量 皿 の 上 に 取 り 付 け その 中 に 動 物 を 静 かに 入 れて 測 定 する 動 物 の 保 定 固 定 法 : 実 験 処 理 を 行 なう 時 その 目 的 を 達 成 するために 動 物 を 器 具 を 用 いずに 一 時 拘 束 状 態 にすることを 保 定 という 一 方 固 定 とは 器 具 を 用 いて 拘 束 状 態 にすることをいう 実 験 2
処 置 を 正 確 かつ 確 実 に 実 施 できるか 否 かは 保 定 固 定 法 にかかっているので 繰 り 返 し 練 習 し し っかり 身 につけておかねばならない (1) 経 口 投 与 時 の 保 定 :ケージのフタなどにマウスをのせ 軽 く 尾 を 手 前 に 引 くと 動 物 は 抵 抗 し 体 を 伸 ばすので 反 対 の 手 の 親 指 と 人 差 し 指 でマウスの 頸 部 をしっかりつかみ さらに 背 部 皮 膚 を 中 指 と 薬 指 でつかみ 持 ち 上 げる このとき 薬 指 の 先 でマウスの 尾 根 部 を 押 さえると 動 物 は 手 の 中 でおとなしくなる この 方 法 は 首 が 動 かないようにすることが 重 要 なポイントとなる (2) 静 脈 内 投 与 に 用 いる 固 定 : 静 脈 内 投 与 には 尾 静 脈 が 利 用 される 動 物 の 大 きさにより 適 当 な 固 定 器 を 選 び 動 物 を 固 定 器 に 入 れる 動 物 の 体 は 固 定 され 尾 のみが 固 定 器 外 に 出 る 尾 を 十 分 に 消 毒 し 血 管 を 怒 張 させ 左 右 いずれかの 静 脈 血 管 が 水 平 にみえるように 左 手 で 固 定 する このとき 左 手 は 実 験 台 にしっかり 固 定 しておくことが 大 切 である (3) 腹 空 内 投 与 時 の 保 定 : 経 口 投 与 に 用 いる 保 定 法 で 動 物 を 持 ち 上 げ 尾 根 部 と 左 後 肢 を 薬 指 や 小 指 で 保 定 する 頭 部 を 腹 部 より 低 い 位 置 にし 下 腹 部 を 良 く 見 えるようにすると 腸 管 や 肝 臓 を 傷 つけない 位 置 に 針 を 刺 入 することができる (4) 皮 下 投 与 時 の 保 定 :マウスはケージのフタにはわせたままでよい 背 部 皮 膚 を 大 きくつまみあげ その 位 置 に 動 物 の 頭 部 から 針 を 刺 入 するか またはやや 左 寄 りの 背 部 皮 膚 をつかみ 尾 部 より 針 を 刺 入 することができる (5) 筋 肉 内 投 与 に 用 いる 保 定 :マウスをケージのフタにはわせ 右 手 で 尾 を 引 くと 動 物 は 抵 抗 して 体 を 伸 ばすので 左 手 で 大 きく 背 部 皮 をつかみ フタの 上 にやや 押 さえ 気 味 に 保 定 する このと き 右 後 肢 が 術 者 の 前 に 位 置 するようにする 2.ラット 1) 特 徴 ラットは 栄 養 学 繁 殖 学 腫 瘍 学 薬 理 学 等 のために マウスについで 広 い 分 野 の 研 究 に 使 用 され ている マウスに 比 べ 体 が 大 きい 分 血 液 やその 他 の 生 体 材 料 が 多 く 利 用 できるので 有 利 である 成 熟 時 体 長 : 約 20-25 cm 尾 長 : 約 15-20 cm 体 重 :オス 300-700g メス 200-400g 寿 命 : 2-2.5 年 妊 娠 期 間 哺 乳 期 間 :ともに 約 20 日 系 統 :ラットの 代 表 的 な 系 統 として 高 血 圧 自 然 発 症 ラットSHR 単 純 性 肥 満 モデルであるZuckerラ ット T 細 胞 機 能 不 全 であるヌードラット 肝 炎 を 発 症 する LECラット 等 やクローズドコロニーとして 汎 用 されるSD 系 及 びWistar 系 である 2) 飼 育 管 理 方 法 :マウスの 項 参 照 3) 実 験 補 助 体 重 測 定 :マウスの 項 参 照 3
ラットの 場 合 体 重 計 は 秤 量 500-1000g 感 量 0.5-1.0g のもので 動 物 が 動 いても 針 が 大 きく 揺 れ ない 制 動 式 のものが 良 い 動 物 の 固 定 法 :マウスの 項 参 照 (1) 経 口 投 与 時 の 保 定 : ラットが 幼 弱 な 場 合 :マウスと 同 様 に 行 う 頚 背 部 の 皮 膚 を 大 きくつかむとき 首 が 動 かないよう にしっかりつかむことが 重 要 である ラットが 成 獣 な 場 合 :ラットを 背 部 からつかみ 術 者 の 胸 にはわせ 人 差 し 指 と 中 指 の 間 に 頭 を 挟 むようにして 持 ち 上 げる 尾 は 小 指 で 挟 むか またはラットの 後 肢 を 術 者 の 胸 に 押 し 付 けて 保 定 する (2) 静 脈 内 投 与 時 の 固 定 :マウスの 項 参 照 (3) 腹 腔 内 投 与 時 の 保 定 :マウスの 項 参 照 (4) 皮 下 投 与 時 の 保 定 :マウスの 項 参 照 (5) 筋 肉 内 投 与 時 の 保 定 :ラットは 背 部 より 人 差 し 指 と 中 指 の 間 に 頭 を 挟 むようにして 持 ち 上 げる もう 一 方 の 手 で ラットの 臀 部 を 抑 えながら 親 指 で 後 肢 のつけ 根 をしっかり 固 定 し 術 者 の 前 に 出 す 3.ハムスター 1) 特 徴 ハムスターはいくつかの 種 類 に 分 けられるが 国 内 で 実 験 動 物 として 使 われているのは 染 色 体 数 2n =44 のシリアンハムスター(ゴールデンハムスター)と2n=22 のチャイニーズハムスターの2 種 類 で ある 身 体 的 特 徴 として 両 頬 に 頬 袋 を 持 っていることに 加 え 性 周 期 が 安 定 しており 染 色 体 数 が 少 ないな どの 特 徴 を 活 かして 感 染 学 腫 瘍 学 歯 学 遺 伝 学 栄 養 学 生 理 学 等 の 分 野 で 利 用 されている シリアンハムスター 成 熟 時 体 長 :12-15cm 尾 長 :1.5-2.5cm 体 重 :80-140g 寿 命 :2 年 前 後 妊 娠 期 間 :15-17 日 哺 乳 期 間 :18-24 日 系 統 :ハムスター 類 の 系 統 分 類 に 関 して マウスのような 国 際 的 な 定 義 と 表 示 法 に 関 する 取 り 決 め がない そのためマウスに 準 じて 近 郊 系 クローズドコロニー ミュータント 系 に 分 類 している 現 在 までにBIO14.6 やUM-X7.1 など 約 30 系 統 の 近 郊 系 が 作 出 されている チャイニーズハムスター 成 熟 時 体 長 :8cm 前 後 尾 長 :1cm 前 後 体 重 :25-40g 寿 命 :2 年 前 後 妊 娠 期 間 :20-21 日 哺 乳 期 間 :18-20 日 系 統 :チャイニーズハムスターの 近 交 系 は 非 常 に 少 ない 自 然 発 症 糖 尿 病 の 近 交 系 がいくつかの 機 関 で 維 持 繁 殖 されているのみである 2) 飼 育 管 理 環 境 :マウスの 項 参 照 4
給 餌 : 成 熟 時 の 摂 餌 量 はシリアンハムスターで 10-15g チャイニーズハムスターで 3-4gである 給 水 :ハムスター 類 は 給 水 ビンの 先 管 に 飼 料 や 床 敷 をよくつめることがあり 漏 水 の 原 因 となるので 注 意 が 必 要 である ケージ 交 換 :ハムスターは 警 戒 心 が 強 く 興 奮 すると 激 しい 声 を 発 し 攻 撃 姿 勢 をとったりかみつい たりするので 新 しいケージに 動 物 を 移 動 させるときは 動 物 を 十 分 に 目 覚 めさせ 静 かに 水 をすく うように 両 手 で 持 ち 上 げるか 動 物 がケージの 壁 に 前 肢 をかけた 状 態 のときには 頚 背 部 の 皮 膚 をそ っとつかみあげて 移 す 器 具 器 材 の 洗 浄 消 毒 滅 菌 :ハムスターは 尿 石 がケージに 付 着 するため 洗 浄 の 際 には 薬 品 (サン アライ クエン 酸 等 )を 使 用 して 尿 石 を 除 去 することが 望 ましい 性 別 判 定 :マウスの 項 参 照 3) 実 験 補 助 体 重 測 定 :マウスの 項 参 照 動 物 の 保 定 固 定 法 : 尾 がないので ハムスター 類 の 取 り 扱 いはすべて 頚 背 部 皮 膚 によって 行 なう しっかりと 動 きを 止 めたい 場 合 は 頚 背 部 から 腰 部 にかけての 皮 膚 を 大 きくつかむ 4.スナネズミ 1) 特 徴 刺 激 によりてんかん 様 発 作 を 起 こし 脳 梗 塞 脳 虚 血 モデルが 作 成 できることから 脳 神 経 系 の 研 究 に 用 いられてきたほか 寄 生 虫 や 放 射 線 感 受 性 の 研 究 に 用 いられる 成 熟 時 体 長 :12-13cm 尾 長 : 約 9cm 体 重 :60-70g 寿 命 :2-3 年 妊 娠 期 間 :24-26 日 哺 乳 期 間 :20 日 系 統 : 現 在 近 郊 系 がいくつか 作 出 されているが 実 験 動 物 として 生 産 販 売 されている 系 統 は 少 な く 維 持 機 関 による 亜 系 (サブライン)や 突 然 変 異 によってできたアルビノ 系 などがいくつか 報 告 され ている 2) 飼 育 管 理 : 環 境 :マウスの 項 参 照 なお 湿 度 が 高 くなると 体 温 の 熱 放 散 が 難 しく むれて 被 毛 がベタベタして くるので 注 意 が 必 要 である 給 餌 : 成 熟 すると 太 りすぎるので 高 脂 肪 や 高 カロリーの 飼 料 は 避 けた 方 が 良 い 給 水 :スナネズミは 給 水 ビンの 先 管 に 飼 料 や 床 敷 をつめることがあり 漏 水 の 原 因 となるので 注 意 が 必 要 である 5
ケージ 交 換 : 動 物 を 移 す 際 に 抵 抗 している 場 合 は 無 理 に 引 っ 張 ってはならない 尾 の 皮 膚 がスッポ リ 抜 け 出 血 の 恐 れがある 器 具 器 材 の 洗 浄 消 毒 滅 菌 : 基 本 的 にはマウス ラットと 同 じである 性 別 判 定 :マウスの 項 参 照 3) 実 験 補 助 体 重 測 定 保 定 固 定 方 法 ともにマウスに 準 じて 行 なえば 良 い しかし 抵 抗 している 時 に 無 理 に 扱 うと 尾 の 皮 膚 がむけて 出 血 するので 注 意 する 5.スンクス 1) 特 徴 スンクスは 食 虫 目 トガリネズミ 科 ジネズミ 亜 科 ジャコウネズミ 属 に 属 する 小 型 哺 乳 動 物 であり ジャコ ウネズミという 和 名 をもつが 実 験 動 物 としてはげっ 歯 目 と 区 別 するために スンクス という 名 称 が 用 いられている 食 虫 目 は 哺 乳 類 の 祖 先 と 考 えられているので スンクスを 用 いることにより 従 来 のげ っ 歯 目 動 物 を 用 いた 実 験 ではできなかった 分 野 の 生 命 現 象 の 解 明 が 進 むことが 期 待 される 成 熟 時 体 長 :20-21 cm 尾 長 :7-8 cm 体 重 :オス 50-70g メス 30-50g 寿 命 :1.5-2 年 妊 娠 期 間 : 約 30 日 哺 乳 期 間 : 約 14 日 系 統 : 野 生 色 とクリーム 色 の2つがあり どちらもクローズドコロニーである 2) 飼 育 管 理 環 境 : 寒 冷 に 弱 いため 15 以 下 には 絶 対 にしないようにする 給 餌 :スンクス 用 飼 料 を 与 える 週 2 回 ほど 飼 料 の 摂 取 量 をチェックして 餌 不 足 にならないようにす る 給 水 : 水 不 足 になると 急 激 に 弱 ってしまうため 給 水 は1 日 おきに 見 回 ることが 大 切 である ケージ 交 換 : 動 物 を 神 経 質 にしないためにケージが 相 当 汚 れない 限 り 過 度 の 交 換 は 避 けた 方 がよ い 器 具 器 材 の 洗 浄 消 毒 滅 菌 :スンクスは 独 特 の 臭 いがあるため 器 具 器 材 を 他 の 動 物 と 併 用 して 使 用 するときには 十 分 に 消 毒 液 に 浸 漬 し 除 臭 しておく 必 要 がある 性 別 判 定 : 雌 の 鼠 径 部 には3 対 の 乳 頭 が 観 察 できる それらの 周 囲 ( 乳 頭 域 )には 毛 がなく 容 易 にわかる 一 方 雄 では 乳 頭 乳 頭 域 ともになく 鼠 径 部 全 体 が 毛 で 覆 われている また 陰 部 の 腹 側 を 押 すと 陰 茎 が 突 出 する 乳 頭 の 有 無 により 新 生 仔 さらに 胎 仔 でも 性 別 は 判 定 できる 6
3) 実 験 補 助 体 重 測 定 保 定 固 定 方 法 ともにマウスに 準 じて 行 なえば 良 い 6.モルモット 1) 特 徴 モルモットは 体 内 でビタミンCを 合 成 できない 数 少 ない 動 物 種 の1つである 解 剖 学 的 特 徴 としては 尾 がなく 乳 腺 は 下 腹 部 に1 対 しかない 四 肢 は 短 く 前 肢 に4 趾 後 肢 に 3 趾 をもつ また 胸 腺 が 頸 部 の 皮 下 にある 点 があげられる アレルギー 状 態 になりやすいことや 結 核 菌 に 対 して 感 受 性 が 高 いことから 抗 生 物 質 の 力 価 検 定 やアレルギーの 研 究 に 用 いられている 成 熟 時 体 長 : 約 25cm 体 重 :800-1000g 寿 命 :5-7 年 前 後 妊 娠 期 間 :62-72 日 哺 乳 期 間 :14 日 系 統 :マウスやラット 同 様 に 系 統 が 確 立 されているが その 数 は 極 めて 少 ない 非 近 交 系 としてハートレイ 系 近 交 系 :No.2 系 No.13 系 などがある 2) 飼 育 管 理 環 境 :マウスの 項 参 照 給 餌 : 飼 料 は 市 販 のモルモット 用 固 形 飼 料 を 用 いる 成 熟 個 体 の1 日 の 給 餌 量 は 20-30gであるが モルモットは 過 食 しないため 一 度 に 多 量 を 与 えて 自 由 採 食 させても 構 わない ただし 長 期 間 給 餌 器 に 飼 料 を 入 れたままにしておくとカビが 生 えたりするため 1 回 に 与 える 量 は2-3 日 分 を 越 えない ようにする 給 水 :1 日 の 飲 水 量 は 80-120mlである 給 水 ビンで 水 を 与 える 場 合 は 口 腔 内 の 食 べかすが 先 管 に 逆 流 して 水 が 汚 れるので ビンだけでなく 先 管 も 細 いブラシを 通 してよく 洗 浄 する 必 要 がある ケージ 交 換 : 床 は 床 敷 を 敷 くか あるいは 金 網 床 を 使 用 する 床 敷 を 使 用 する 場 合 は 週 に2-3 回 交 換 する 金 網 床 すのこ 床 は 週 に1-2 回 は 交 換 する 器 具 器 材 の 洗 浄 消 毒 滅 菌 :ケージならびに 給 餌 器 給 水 ビン 等 は 定 期 的 に 洗 浄 し 消 毒 または 滅 菌 することが 望 ましい 消 毒 滅 菌 方 法 はマウスやラットのケージの 場 合 と 同 様 であるが ケージが 大 きいため 薬 剤 消 毒 が 一 般 に 広 く 行 われる 性 別 判 定 : 幼 若 モルモットでは 生 殖 器 の 外 観 だけで 雌 雄 を 判 別 するのが 難 しい 雄 では 生 殖 器 の 近 くの 下 腹 部 を 指 で 圧 迫 すると 陰 茎 (ペニス)が 突 出 するので 判 別 できる 成 熟 個 体 では 陰 茎 の 部 分 が 隆 起 しているので 外 観 だけでも 雌 雄 の 判 別 は 可 能 である モルモットは 他 の 動 物 種 と 異 なり 肛 門 と 陰 部 の 距 離 が 雌 雄 であまり 変 わらない 3) 実 験 補 助 7
体 重 測 定 :マウスの 項 参 照 モルモットの 出 生 直 後 の 体 重 は 60-120gで 成 熟 雄 では1kg 前 後 になるものもあるので 秤 量 1.5-2 kg 感 量 5gのものが 必 要 である 動 物 の 保 定 固 定 法 : (1) 静 脈 投 与 時 の 保 定 : 後 肢 の 静 脈 を 用 いる 場 合 には 片 手 でモルモットの 前 肢 を 後 頭 部 に 回 すよう にしたうえで もう 一 方 の 手 で 後 肢 の 関 節 をのばし 鼠 径 部 をしっかりとつかむ (2) 腹 腔 内 投 与 時 の 保 定 : 補 助 者 はモルモットの 前 肢 を 後 頭 部 に 回 すようにして 片 方 の 手 で 後 頭 部 をつかみ 前 躯 を 仰 向 けにする 後 肢 をのばすようにして 一 方 の 手 で 後 躯 をもって 体 躯 をのばし 頭 部 を 下 げるようにして 台 の 上 に 固 定 する (3) 皮 下 投 与 時 の 保 定 :モルモットを 作 業 台 の 上 に 置 き 移 動 しないように 補 助 者 はそれぞれの 手 のひらで 頭 部 と 臀 部 を 軽 く 押 さえる 注 射 部 位 は 頸 背 部 である (4) 筋 肉 内 投 与 時 の 保 定 : 後 肢 の 大 腿 部 の 筋 肉 に 注 射 するのがもっとも 簡 便 である モルモットを 作 業 台 にのせ 片 手 で 頭 部 を もう 一 方 の 手 で 背 部 を 包 むようにかぶせて 固 定 する (5) 皮 内 投 与 時 の 保 定 : 背 部 の 皮 膚 を 注 射 部 位 とするのが 簡 便 である 皮 下 投 与 時 の 保 定 法 に 準 じる (6) 心 臓 採 血 時 の 保 定 :モルモットでは 心 臓 採 血 がよく 行 われる 補 助 者 はその 片 手 で 前 肢 を 後 頭 部 に 回 すように 保 定 し 他 方 の 手 で 後 肢 をしっかりとつかみ 体 躯 をのばすように 保 定 する その ようにして 保 定 したモルモットの 体 躯 を 縦 または 横 に 位 置 するように 作 業 台 上 あるいは 採 血 しや すいように 採 血 者 の 手 元 に 保 定 する その 際 採 血 者 の 側 にモルモットの 腹 部 が 向 くようにする 心 臓 穿 刺 は 原 則 として 麻 酔 科 で 行 なう 7.ウサギ 1) 特 徴 性 質 は 非 常 に 温 順 で 取 り 扱 いやすく 大 きさも 手 ごろであることから 使 用 範 囲 の 広 い 動 物 である 発 熱 物 質 名 対 する 感 受 性 が 高 く 適 度 に 敏 感 であり 耳 静 脈 が 太 く 明 瞭 で 注 射 や 採 血 が 容 易 である 上 抗 体 を 産 生 しやすいため 血 清 の 作 製 に 古 くから 用 いられている さらに 交 尾 排 卵 動 物 のため 胎 仔 の 日 齢 が 正 確 に 把 握 できるため 催 奇 性 試 験 に 多 く 用 いられている その 他 に 薬 物 代 謝 試 験 薬 効 試 験 一 般 毒 性 試 験 などに 使 用 されている 生 理 学 的 特 徴 として 未 吸 収 の 栄 養 分 を 再 吸 収 するための 食 糞 行 動 がある また 血 液 学 的 には 好 中 球 に 相 当 するものは エオジン 好 性 の 顆 粒 を 持 つ 偽 好 酸 球 であることが 挙 げられる 成 熟 時 体 重 :2-8kg( 品 種 によりかなりの 幅 がある ) 妊 娠 期 間 :30-35 日 哺 乳 期 間 :30-45 日 系 統 :クローズドコロニー 系 統 として 日 本 白 色 種 をもとにしたKb1:JW Kbt:JW Jla:JW SIc: JW/CSK NIb:JWNなどがあり 近 郊 系 としてJWY-NIBS,JW-CSK,NWY-NIBS,DUY-NIBSなどがあ る 2) 飼 育 管 理 環 境 : 室 温 は 18-28 湿 度 は 40-60% 換 気 は 10-15 回 / 時 間 が 基 本 である 8
給 餌 : 飼 料 は 市 販 のウサギ 用 固 形 飼 料 を 用 いる 給 餌 量 は 1.5kg 前 後 のウサギで1 日 約 80g 2-3kg のもので 100-150g 妊 娠 中 及 び 哺 育 中 のもので 150-170gを 目 安 とする 給 水 :1 日 の 摂 取 量 は 300-500mlである 給 水 ビンで 与 える 場 合 は 容 量 600ml 程 度 のものを 準 備 し 毎 日 新 鮮 な 水 と 交 換 する ケージ 交 換 : 自 動 飼 育 式 架 台 受 け 皿 つきケージともにケージ 自 体 の 交 換 は 月 1 回 程 度 で 十 分 であ るが 受 け 皿 は 毎 日 水 洗 する ウサギは 尿 中 の 炭 酸 塩 が 尿 石 として 器 具 に 付 着 しやすく 水 洗 時 に はブラシなどで 完 全 に 洗 い 流 す 器 具 器 材 の 洗 浄 消 毒 滅 菌 :ケージ 給 水 ビン 等 は 水 洗 洗 浄 に 加 えて 定 期 的 に 消 毒 滅 菌 を 実 施 する 性 別 判 定 : 新 生 仔 の 性 別 判 定 が 難 しいが 見 分 け 方 としては 陰 部 と 肛 門 の 距 離 陰 門 のかたち 及 び 陰 嚢 痕 の 有 無 などによって 判 別 する 成 熟 固 体 では 雄 は 生 殖 器 近 くの 下 腹 部 を 指 で 圧 迫 すると 陰 茎 (ペニス)が 突 出 するので 判 別 できる 3) 実 験 補 助 体 重 測 定 : 測 定 は 一 定 の 時 刻 に 行 なうように 心 掛 ける 離 乳 前 の 仔 ウサギの 場 合 は 感 量 2g 秤 量 800-1kg それ 以 上 の 大 きさのウサギの 場 合 は 感 量 10g 秤 量 4-6kg 程 度 のものを 使 用 する 動 物 の 保 定 固 定 法 : 手 による 方 法 と 固 定 器 を 用 いる 方 法 がある 手 による 方 法 は 実 験 目 的 によって 様 々であり それぞれ 基 本 的 な 固 定 法 を 修 得 しておく 必 要 がある 一 方 固 定 器 には 円 筒 型 箱 型 首 かせ 型 背 位 型 などがある (1) 経 口 投 与 時 の 保 定 : 保 定 者 はウサギの 背 部 から 両 前 肢 と 耳 根 部 をしっかりと 握 って 両 前 肢 をまっ すぐ 上 にあげ 腰 部 を 股 間 にはさんで 保 定 する (2) 腹 腔 内 投 与 時 の 固 定 : 固 定 器 を 使 用 する 場 合 は 背 位 に 固 定 する 補 助 者 がいる 場 合 は 両 前 肢 の 関 節 をのばして 左 手 であわせもち 右 手 で 両 後 肢 をつかんで 保 定 する (3) 静 脈 内 投 与 時 の 固 定 : 円 筒 型 または 箱 型 固 定 器 に 入 れて 固 定 する Ⅲ 実 験 に 必 要 な 手 技 1. 投 与 方 法 : 実 験 動 物 への 投 与 は 薬 物 の 毒 性 や 代 謝 を 調 べるばかりでなく 動 物 の 麻 酔 やワクチン 接 種 のさいにも 実 施 される 本 章 では 特 にマウス ラットの 投 与 方 法 について 記 す 1) 経 口 投 与 法 : 金 属 製 胃 ゾンデが 多 く 使 用 される 術 者 自 身 が 左 手 でしっかりと 動 物 を 保 定 し( 経 口 9
投 与 時 の 保 定 参 照 ) 右 手 に 薬 液 を 入 れた 注 射 筒 を 持 つ 胃 ゾンデの 先 端 を 保 定 した 動 物 の 口 腔 内 に 入 れ 先 端 を 上 顎 に 沿 って 進 める 咽 頭 部 に 達 すると 抵 抗 を 感 じて 胃 ゾンデが 進 まなくなる そこで 胃 ゾンデを 動 物 の 体 と 平 行 にすると 食 道 に 入 るので そのまま 胃 ゾンデを 進 めることが 出 来 る 口 から 胃 までの 長 さはマウスではゾンデの 1/2-1/3 ラットでは 胃 ゾンデのほぼ 全 長 である 胃 に 入 ったら 内 筒 を 押 し 薬 液 を 投 与 する 投 与 が 終 わった 後 は 胃 ゾンデを 静 かに 速 やかに 抜 き 動 物 を ケージに 戻 す 注 意 点 としてゾンデを 進 めている 途 中 に 抵 抗 を 感 じたらゾンデを 抜 き 最 初 からやり 直 す さもないと 食 道 等 を 突 き 破 り 動 物 を 死 なせることになる 2) 静 脈 内 投 与 法 : 主 に 尾 静 脈 に 注 射 する 動 物 を 静 脈 内 投 与 用 固 定 器 に 固 定 する( 静 脈 内 投 与 に 用 いる 固 定 参 照 ) 尾 全 体 をアルコール 綿 で 消 毒 する 投 与 部 位 は 尾 端 から 1/3-1/4 で 左 右 い ずれかの 静 脈 に 注 射 針 を 刺 入 し 内 筒 を 引 き 血 液 の 入 ってくるのを 確 認 した 後 薬 液 を 注 入 する 注 射 後 は 速 やかに 針 を 抜 き 乾 綿 などで 押 さえて 止 血 する 3) 腹 腔 内 投 与 法 : 投 与 部 位 は 下 腹 部 の 正 中 線 を 左 右 いずれかにそれた 部 分 で 投 与 時 動 物 の 頭 部 が 下 になるように 保 定 し ( 腹 空 内 投 与 時 の 保 定 参 照 ) 注 射 針 を 刺 入 する 注 射 針 を 皮 下 に5mmほ ど 進 めた 後 注 射 針 を 立 てて 腹 腔 内 に 針 を 進 める 内 筒 を 引 いて 血 液 や 黄 褐 色 の 液 体 ( 腸 管 内 容 物 )などが 入 ってこないことを 確 かめてから 薬 液 を 注 入 する 4) 皮 下 投 与 法 : 主 に 頸 背 部 に 行 う この 部 位 は 動 物 自 身 になめられず かつケージや 床 敷 などでこ すられないからである 動 物 をケージのフタの 上 などに 置 き( 皮 下 投 与 時 の 保 定 参 照 ) 左 手 の 親 指 人 差 し 指 と 中 指 で 皮 膚 をつまむ すると 三 角 形 のテントのように 皮 膚 が 盛 り 上 がるのでそこに 注 射 針 を 刺 す 内 筒 を 引 き 血 液 が 入 ってこないことを 確 かめたら 薬 液 を 注 入 する なお 注 射 針 を 皮 下 に 入 れた 後 に 左 右 にあまり 大 きく 動 かすと 血 管 あるいは 周 囲 に 組 織 を 傷 つけるので 注 意 が 必 要 で ある 5) 筋 肉 内 投 与 法 : 大 腿 部 ( 大 腿 四 頭 筋 または 大 腿 二 頭 筋 )に 行 われることが 多 い マウスの 場 合 は 左 手 で 経 口 投 与 時 と 同 じ 方 法 で 保 定 ( 筋 肉 内 投 与 に 用 いる 保 定 参 照 )し さらに 左 後 肢 を 薬 指 と 小 指 にはさんで 内 股 部 が 見 えるようにする 注 射 針 は 大 腿 内 側 のやや 後 方 から 刺 す 注 射 器 内 筒 を 引 いて 血 液 の 入 ってこないのを 確 かめたら 薬 液 を 注 入 する 筋 肉 内 で 針 を 動 かしてはならない ラット の 場 合 は 補 助 者 が 経 口 投 与 と 同 様 にもち さらに 尾 を 反 対 の 手 で 下 方 に 引 いて 下 半 身 を 動 かない ようにする そして 実 験 者 が 投 与 する 後 肢 を 左 手 で 引 っぱりながら 大 腿 外 面 に 注 射 針 を 刺 入 する その 後 はマウスと 同 様 である 10
マウス 動 物 種 別 の 投 与 経 路 と 投 与 量 投 与 法 使 用 器 具 投 与 量 注 射 筒 注 射 針 (/10gBW) 投 与 部 位 経 口 1 ml - 0.1-0.2 ml 腹 腔 内 1 ml 25-27G 0.2-0.3 ml 下 腹 部 の 正 中 線 から 左 右 どちらかに 0.5cm 程 度 離 れたところ 皮 下 1 ml 25-27G 0.1-0.2 ml 頸 背 部 静 脈 内 1 ml 25-27G 0.05-0.2 ml 尾 静 脈 筋 肉 内 1 ml 25-27G 0.03-0.05 ml 大 腿 部 ラット 投 与 法 使 用 器 具 投 与 量 注 射 筒 注 射 針 (/100gBW) 投 与 部 位 経 口 1-5 ml - 1 ml 腹 腔 内 1-10 ml 23-25G 1-2 ml 下 腹 部 の 正 中 線 から 左 右 どちらかに 1cm 程 度 離 れたところ 皮 下 1-5 ml 23-25G 1 ml 以 下 頸 背 部 静 脈 内 1-2.5 ml 23-25G 尾 静 脈 0.5 ml 程 度 1 ml 25-27G 背 中 足 静 脈 筋 肉 内 1-2.5 ml 23-25G 1 ml 大 腿 部 *スナネズミ ハムスターの 経 口 投 与 腹 腔 内 投 与 皮 下 投 与 筋 肉 内 投 与 はマウスの 要 領 で 行 うとよい モルモット 使 用 器 具 投 与 量 投 与 法 投 与 部 位 注 射 筒 注 射 針 (/ 匹 ) 経 口 1-10 ml - 7 ml 程 度 まで 下 腹 部 の 正 中 線 から 左 右 どちらかに 1-2cm 離 腹 腔 内 1-5 ml 23-24G 2 ml 程 度 まで れたところ 皮 下 1 ml 23-25G 1 ml 程 度 まで 頸 背 部 静 脈 内 1-5 ml 25-27G 1 ml 程 度 まで サフェナ 静 脈 陰 茎 静 脈 耳 翼 辺 縁 静 脈 11
筋 肉 内 1 ml 23-25G 1 ml 程 度 まで 大 腿 部 内 側 皮 内 1 ml 27G 0.05 ml 程 度 背 部 ウサギ 使 用 器 具 投 与 法 投 与 量 投 与 部 位 注 射 筒 注 射 針 経 口 10-20ml - 20ml 程 度 腹 腔 内 1-20ml 23-25G 10ml 程 度 下 腹 部 の 正 中 線 から 左 右 どちらかに 1-2cm 離 れたところ 皮 下 1-5ml 22-23G 5ml 以 下 背 部 腹 部 股 部 など 皮 下 脂 肪 の 少 ない 部 分 静 脈 10-20ml 23-25G 20ml 程 度 耳 翼 辺 縁 静 脈 筋 肉 内 1-5ml 25-27G 成 熟 ウサギ 腹 部 大 腿 部 などの 筋 肉 内 2ml 以 内 針 の 深 さ 5ml くらいが 良 い 皮 内 1ml 27G 0.1-0.2ml 背 部 2. 採 血 方 法 ( 麻 酔 下 で 行 う) 1) 眼 窩 静 脈 叢 採 血 :マウス ラット スナネズミなどの 小 動 物 に 応 用 される 動 物 を 経 口 投 与 時 と 同 じよ うに 保 定 し 下 眼 瞼 内 側 に 半 分 に 折 ったガラス 製 のヘマトクリット 管 の 折 れた 側 を 挿 入 し 目 頭 から 目 尻 に 向 かって 管 をひねるようにして 静 脈 叢 を 切 る 最 初 の 1-2 滴 は 涙 などが 混 じっているので 捨 てて 次 から 試 験 管 などに 血 液 を 集 める 採 血 後 はガーゼなどで 目 を 押 さえ 止 血 する 2) 尾 静 脈 採 血 :マウス ラットを 静 脈 内 投 与 と 同 じ 方 法 で 固 定 する 尾 根 部 から 先 端 に 向 かってアルコ ール 綿 で 尾 をよくこする 乾 燥 したガーゼでアルコールをよく 拭 きとり 尾 の 先 端 から 1/3-1/4 の 部 分 の 左 右 いずれかをカミソリで 切 る 切 ると 同 時 に 切 り 口 を 上 にすると 血 液 が 盛 り 上 がってくるので ヘマトクリット 管 やメランジュールで 採 取 する 採 血 後 は 乾 燥 したガーゼで 圧 迫 して 止 血 する 3) 後 大 静 脈 採 血 : 動 物 を 麻 酔 して 保 定 板 に 仰 向 けに 固 定 する 外 尿 道 口 の 上 部 から 剣 状 突 起 まで 皮 膚 と 腹 筋 を 同 時 に 切 開 し 次 に 最 後 肋 骨 にそって 皮 膚 と 腹 筋 を 左 右 に 切 る そして 腸 管 を 右 側 によけ 体 の 中 央 部 に 見 える 脂 肪 組 織 をガーゼなどを 使 って 排 除 すると 暗 褐 色 の 後 大 静 脈 を 直 視 できる マウスでは 23-24G ラットでは 22Gの 針 をつけた 注 射 筒 で 採 血 する 刺 入 部 は 腎 静 脈 の 5-10 mm 下 方 である 4) 腹 大 動 脈 採 血 : 後 大 静 脈 採 血 と 同 様 に 固 定 し 開 腹 する 脂 肪 組 織 をよけて 静 脈 が 見 えたら さら に 静 脈 の 左 下 方 を 走 っている 白 桃 色 の 腹 大 動 脈 を 注 意 深 く 周 囲 の 脂 肪 組 織 などと 分 離 する マウ スでは 23-24G ラットでは 21-22Gの 針 をつけた 注 射 筒 で 採 血 する 12
5) 心 臓 採 血 :マウス ラットでは 通 常 開 胸 して 行 う 動 物 を 保 定 板 に 仰 向 けに 固 定 し 胸 部 の 皮 膚 を 切 開 する 次 に 剣 状 軟 骨 の 両 側 から 肋 骨 を 切 断 して 開 胸 する マウスでは 24-25G ラットでは 22-23Gの 針 をつけた 注 射 筒 を 用 いて 針 を 心 臓 に 刺 し 内 筒 を 引 き 採 血 する 6) 頸 静 脈 採 血 : 動 物 を 麻 酔 下 で 保 定 板 に 仰 向 けに 固 定 し 前 肢 の 付 け 根 から 眼 の 方 向 に 向 かってマ ウスでは 1.5cm ラットでは3cmほど 切 皮 する 頸 静 脈 がみえるが 静 脈 に 直 接 針 を 刺 さずに 筋 肉 を 通 して 頸 静 脈 に 注 射 針 を 刺 入 する 採 血 部 位 と 採 血 量 の 目 安 採 血 部 位 マウス ラット モルモット ウサギ 尾 静 脈 ( 一 ) 0.03-0.05 ml 0.3-0.5 ml 背 中 足 静 脈 ( 一 ) 0.1-0.3 ml 耳 翼 辺 縁 静 脈 ( 一 ) 0.5 ml 以 下 5 ml 頸 静 ( 動 ) 脈 ( 全 ) 0.5-1 ml 3-5 ml 3-5 ml 100ml(3KgBW) 心 臓 ( 一 ) 5-7 ml 15 ml まで 心 臓 ( 全 ) 0.5-1 ml 3-10 ml 5-10 ml 80-100 ml 後 大 動 脈 ( 全 ) 0.5-1 ml 2-4 ml 3-5 ml 腹 大 動 脈 ( 全 ) 0.5-1 ml 5-10 ml 5-10 ml 1 匹 当 たりの 平 均 採 血 量 ( 一 ): 一 部 採 血 ( 全 ): 全 採 血 スナネズミ ハムスターはマウスと 同 量 である 3. 除 毛 方 法 :( 場 合 によっては1)のみで 十 分 である ) 1) 動 物 を 深 麻 酔 して 手 術 に 必 要 な 範 囲 よりやや 大 きめにバリカンまたは 剪 毛 はさみで 毛 を 刈 る 毛 の 向 きと 逆 にバリカン 等 を 進 め 皮 膚 を 傷 つけないように 注 意 する 2)10% 硫 酸 バリウム 液 または 市 販 除 毛 液 をたっぷり 塗 り 5-10 分 放 置 する ぬるま 湯 に 浸 したガーゼ でていねいに 除 毛 剤 を 拭 き 取 る このとき 皮 膚 はこすらないよう 一 定 方 向 に 向 け 軽 くぬぐうこと 3)チンク 油 かオリーブ 油 をつけておくと 皮 膚 の 損 傷 を 防 ぐことができる 4. 採 尿 採 糞 方 法 1) 採 尿 方 法 : 以 下 の4つの 方 法 がある (1)1 回 採 取 法 : 尿 検 査 用 試 験 紙 による 定 性 反 応 に 利 用 小 動 物 を 背 側 から 左 手 で 保 定 し 右 手 で 下 腹 部 を 尿 道 口 に 向 けてゆっくりと 圧 迫 摩 擦 すると 排 尿 するので 尿 を 時 計 皿 などに 採 取 する (2) 蓄 尿 法 : 排 尿 量 投 与 薬 物 などの 尿 中 への 排 泄 の 有 無 生 体 内 代 謝 物 質 の 検 出 等 に 利 用 市 販 13
されている 代 謝 ケージに 動 物 を 収 容 し 一 定 期 間 内 に 排 泄 した 尿 を 採 尿 する (3)カテーテルによる 採 尿 法 : 中 動 物 に 実 施 可 能 な 方 法 で 膀 胱 内 に 貯 留 している 尿 をカテーテルに よって 強 制 的 に 採 取 する (4) 膀 胱 穿 刺 による 採 尿 法 : 動 物 の 解 剖 時 に 開 腹 し 直 接 膀 胱 から 注 射 針 で 採 尿 する 採 取 時 に 血 液 等 の 混 入 に 注 意 すること 2) 採 糞 方 法 : 採 糞 棒 ( 綿 棒 )などを 肛 門 から 挿 入 し 直 接 新 鮮 糞 を 採 取 する 方 法 がよく 用 いられる そ の 他 としてケージのトレーなどに 自 然 に 排 泄 されたものを 採 取 する 方 法 や 動 物 を 解 剖 し 腸 管 を 切 り 開 いて 盲 腸 内 容 物 を 直 接 採 取 する 方 法 もある 5. 麻 酔 法 大 きく 分 類 して 注 射 麻 酔 法 と 吸 入 麻 酔 法 の2つの 方 法 がある 1) 注 射 麻 酔 法 (1)ペントバルビタール( 向 精 神 薬 ): 静 脈 内 投 与 腹 腔 内 投 与 のいずれも 可 能 で 広 い 範 囲 の 動 物 種 で 使 用 できる ただし 重 度 の 心 血 管 系 と 呼 吸 器 系 の 抑 制 が 生 じ 抑 制 が 生 じ 本 薬 剤 は 鎮 痛 作 用 に 乏 しい 腹 腔 内 で 投 与 量 30~40mg/ml で 30~60 分 の 安 定 した 手 術 手 適 期 が 得 られ る (2)チオペンタール: 静 脈 注 射 によって 容 易 に 即 座 に 麻 酔 導 入 ができ 事 実 上 すべての 動 物 種 で 使 用 可 能 である チオペンタールは 鎮 痛 作 用 が 乏 しく 静 脈 内 注 射 後 一 時 的 な 無 呼 吸 を 生 じ る 血 管 の 周 囲 に 漏 れると 刺 激 性 がある 反 復 投 与 すると 覚 醒 時 間 が 極 めて 長 くなる (3)ケタミン( 麻 薬 H19 年 1 月 1 日 より):ほとんどの 動 物 種 を 不 動 化 させることができ 筋 肉 内 腹 腔 内 及 び 静 脈 内 のいずれの 経 路 でも 投 与 できる ほとんどの 動 物 種 で 中 等 度 の 呼 吸 抑 制 が 生 じ 血 圧 が 上 昇 する キシラジンと 混 合 して 使 用 する 場 合 が 多 い 2) 吸 入 麻 酔 法 (1)エーテル( 危 険 物 第 四 類 ): 気 化 させやすく 麻 酔 瓶 などを 用 いて 初 心 者 でも 容 易 に 使 用 可 能 であ る 副 作 用 刺 激 性 があり 咳 やおびただしい 気 管 支 分 泌 物 および 唾 液 の 分 泌 がみられ 時 には 喉 頭 痙 攣 の 原 因 となる 爆 発 性 があるためその 使 用 に 当 たっては 十 分 に 注 意 する 必 要 が ある エーテルは 代 謝 を 受 けるので エーテルへの 曝 露 で 肝 臓 の 酵 素 活 性 が 誘 導 される (2)イソフラン( 劇 薬 ): 麻 酔 の 導 入 及 び 覚 醒 は 速 く そのため 麻 酔 深 度 を 容 易 に 迅 速 に 変 えることが できる 非 刺 激 性 で 非 引 火 性 である 実 験 動 物 におけるイソフランの 使 用 上 の 主 な 利 点 は 生 体 内 変 化 が 少 ないことで ほとんど 呼 気 中 に 除 去 される 点 である そのため 肝 臓 のミクロソーム 酵 素 への 影 響 は 少 なく 薬 剤 の 代 謝 および 毒 性 実 験 研 究 にはほとんど 影 響 しない (3)セボフルラン( 劇 薬 ):イソフルランに 類 似 した 特 徴 がある 強 力 な 麻 酔 薬 である セボフランは 代 謝 の 程 度 がイソフルランと 類 似 している 14
動 物 実 験 に 用 いられる 代 表 的 な 麻 酔 薬 薬 品 名 商 品 名 薬 品 含 有 濃 度 ペントバルビタール(pentobarbital) ネンブタール ソムノペンチル 50mg/ml チオペンタール(thiopenttal) ラボナール 64.8mg/ml ケタミン(ketamine) ケタラール 50 57.6mg/ml イソフルレン(isoflurane) フォーレン 100% セボフルラン(sevoflurane) セボフレン 100% ラボラトリーアニアルの 麻 酔 (PFlecknell 著 倉 林 譲 監 修 学 窓 社 1998)より 引 用 6. 安 楽 死 法 大 きく 分 類 して 化 学 的 方 法 と 物 理 的 方 法 の2つの 方 法 がある 1) 化 学 的 方 法 (1)ペイントバルビタールの 過 剰 投 与 : 通 常 の2-4 倍 量 (60-120mg/kg) 静 脈 内 に 急 速 に 注 入 す る (2) 炭 酸 ガス 吸 入 : 動 物 を 密 閉 容 器 に 入 れ 容 器 のフタを 少 し 開 けて 炭 酸 ガスの 吹 き 込 みホースを 差 し 込 み 底 に 近 いところまで 下 げ 静 かにガスを 流 し 込 む ガスが 充 満 したらガスを 止 めてホー スを 引 き 抜 き 密 閉 容 器 のフタを 閉 じる 動 物 の 呼 吸 が 完 全 に 止 まったことを 見 届 けてからさらに 10 分 間 放 置 した 後 容 器 から 動 物 を 取 り 出 す 2) 物 理 的 方 法 頸 椎 脱 臼 法 : 頸 椎 を 機 械 的 に 離 脱 させる 操 作 で 指 またはピンセットなどの 棒 状 のものを 用 いて 頸 部 と 頭 部 を 一 気 に 伸 長 する マウスと 200g 以 下 のラットに 用 いられる 熟 練 者 が 行 うことが 安 楽 死 法 としての 条 件 である 15
Ⅳ 解 剖 と 生 理 マウス 解 剖 図 およびマウス ラットにおいて 主 要 臓 器 のうち ヒトと 形 状 が 異 なる 肝 臓 肺 ならびにマウスの 生 殖 器 について 図 示 した マウス 解 剖 図 1 甲 状 腺 2 気 管 3 顎 下 腺 4 胸 腺 5 心 臓 6 肺 7 肝 臓 8 胃 9 脾 臓 10 膵 臓 11 盲 腸 12 直 腸 13 膀 胱 14 包 皮 腺 15 凝 固 腺 16 精 嚢 17 腸 間 膜 18 回 腸 19 胆 嚢 20 横 隔 膜 肝 臓 の 外 形 マウス ラットの 肝 臓 はヒトに 比 して 分 葉 が 多 い またラットには 胆 嚢 がない 1. 左 葉 2. 外 側 左 葉 3. 内 側 左 葉 4. 方 形 葉 5. 右 葉 6. 外 側 右 葉 7. 内 側 右 葉 8. 尾 状 葉 16
肺 葉 の 区 分 マウス ラットの 右 肺 は 4つに 分 葉 している T: 気 管 A: 前 葉 (S: 上 葉 ) A1: 前 葉 前 部 A2: 前 葉 後 部 P: 後 葉 (I: 下 葉 ) M: 中 葉 AC: 副 葉 マウスの 生 殖 器 メス オス 1. 卵 巣 嚢 内 の 卵 巣 1. 直 腸 13. 精 管 2. 陰 核 2. 前 立 腺 背 葉 14. 脂 肪 3. 膣 口 3. 膀 胱 切 断 部 15. 大 腿 静 脈 4. 肛 門 4. 前 立 腺 腹 葉 16. 精 管 腺 5. 陰 核 腺 5. 尿 道 球 腺 17. 凝 固 腺 6. 膣 6. 尿 道 球 18. 精 嚢 7. 骨 盤 切 断 部 7. 陰 嚢 8. 膀 胱 8. 肛 門 9. 直 腸 9. 陰 茎 10. 子 宮 10. 包 皮 腺 11. 卵 管 11. 精 巣 上 体 12. 卵 巣 12. 精 巣 17
出 典 日 本 実 験 動 物 協 会 編 実 験 動 物 の 基 礎 と 技 術 技 術 編 丸 善 1992 今 道 友 則 高 橋 和 明 信 永 利 馬 実 験 動 物 叢 書 2 実 験 動 物 の 飼 育 管 理 と 手 技 ソフトサイエンス 社 1979 近 藤 恭 司 監 修 スンクス( 実 験 動 物 としての 食 虫 目 トガリネズミ 科 動 物 の 生 物 学 ) 学 会 出 版 センター 1985 ( 社 ) 日 本 実 験 動 物 協 会 ( 財 ) 実 中 研 モニタリングセンター 編 実 験 動 物 の 微 生 物 モニタリングマニュ アル 日 本 実 験 動 物 協 会 編 実 験 動 物 の 技 術 と 応 用 入 門 編 実 践 編 アドスリー 2004 日 本 医 師 会 編 感 染 症 の 診 断 治 療 ガイドライン 医 学 書 院 2004 参 考 図 書 野 村 慎 太 郎 細 胞 工 学 別 冊 マウス 解 剖 イラストレイテッド( 動 画 でわかる 解 剖 手 技 と 細 胞 組 織 像 ) 秀 潤 社 2002 18