設 計 不 具 合 場 所 打 PCちげた 外 ケーブル 1/8 外 ケーブル 構 造 に 関 する 設 計 不 具 合 防 止 にはどのようなものがあるか 目 次 ( 原 則 共 通 不 具 合 事 例 原 則 PC 橋 において 外 ケーブル 工 法 は 内 ケーブル 工 法 に 比 べ 部 材 厚 を 薄 くできること コンクリート の 打 設 性 能 の 向 上 橋 りょう 完 成 後 の 維 持 管 理 が 容 易 となるなど 多 くの 利 点 がある しかし 一 方 でプ レストレスの 導 入 に 比 較 的 大 容 量 のテンドンが 使 用 されることから 定 着 部 や 偏 向 部 に 耐 久 性 が 求 め られ 橋 りょうの 規 模 や 条 件 によってその 形 状 や 設 計 方 法 は 様 々なものとなっている 工 事 を 発 注 する 前 の 基 本 設 計 あるいは 詳 細 設 計 段 階 でこのような 詳 細 な 計 画 が 困 難 である 場 合 に は 簡 易 計 算 までを 必 須 とし FEMなどそれ 以 上 の 詳 細 検 討 は 詳 細 設 計 あるいは 実 施 ( 照 査 ) 設 計 段 階 で 詳 細 な 検 討 をすべき との 申 し 送 りを 必 須 とすることが 不 具 合 を 防 止 するために 重 要 となる 共 通 設 計 基 準 規 準 類 に 明 確 な 記 述 がないなどにより 設 計 者 が 見 落 としや 判 断 ミスをしやすい 外 ケーブ ル 構 造 の 共 通 的 な 事 項 を 以 下 に 示 す なお 詳 細 は 次 項 以 降 の 共 通 Q-1~Q-4 を 参 照 のこと 共 通 Q-1 具 体 的 な 部 材 寸 法 設 定 方 法 ( 偏 向 部 )の 考 え 方 共 通 Q-2 具 体 的 な 簡 易 計 算 の 検 討 項 目 ( 補 強 鉄 筋 押 抜 きせん 断 )の 考 え 方 共 通 Q-3 FEM 解 析 結 果 にもとずく 鉄 筋 量 算 出 方 法 の 考 え 方 (コンクリート 引 張 応 力 範 囲 鉄 筋 許 容 応 力 度 鉄 筋 配 置 範 囲 ) 共 通 Q-4 予 備 ケーブルの 必 要 性 不 具 合 事 例 設 計 基 準 規 準 類 に 明 確 な 記 述 がないなどが 原 因 で 発 生 した 外 ケーブル 構 造 の 設 計 不 具 合 事 例 を 以 下 に 示 す なお 詳 細 は 次 項 以 降 の 事 例 Q-1 を 参 照 のこと 事 例 Q-1 緊 張 順 序 を 考 慮 せずにケーブル 配 置 を 決 定 し ジャッキがセットできない 場 合
設 計 不 具 合 場 所 打 PCちげた 外 ケーブル 2/8 共 通 Q-1 部 材 寸 法 ( 偏 向 部 )の 設 定 はどのように 考 えればよいか 共 通 A-1 外 ケーブル 偏 向 部 の 形 状 の 決 定 方 法 に 関 して 基 準 類 に 明 確 な 記 述 がない 特 になし 外 ケーブルの 偏 向 部 は 偏 心 量 を 確 保 し 緊 張 力 を 主 げたに 確 実 に 伝 達 するための 構 造 であり その 形 状 形 式 として 図 -1に 示 す 1 隔 壁 形 式 2リブ 形 式 3 突 起 形 式 がある 図 -1 偏 向 部 の 構 造 形 式 偏 向 部 の 厚 さは PC 鋼 材 の 曲 線 部 がその 全 長 にわたり 偏 向 部 内 におさまる 必 要 がある 実 績 としては 図 -2に 示 すようなPC 鋼 材 の 理 論 接 触 長 の 両 端 に100mm 程 度 の 余 裕 を 持 たせる 場 合 が 多 い しかし 1ヶ 所 に 集 中 的 に 偏 向 部 を 設 置 したり 曲 上 げ 角 が 大 きいなどの 理 由 により 偏 向 部 に 大 きな 偏 心 力 が 作 用 する 場 合 は コンクリートの 部 材 耐 力 や 補 強 鉄 筋 の 配 置 から その 形 状 が 決 定 する 場 合 もあり 十 分 に 検 討 してから 形 状 を 決 定 するとよい 図 -2 偏 向 部 の 厚 さ また 偏 向 部 内 は 鋼 管 等 によって 空 洞 となっていることから 予 備 孔 を 設 けたりPC 鋼 材 を 集 中 的 に 配 置 した 場 合 には 偏 向 部 周 辺 に 局 部 的 な 応 力 が 発 生 しやすい そのため PC 鋼 材 同 士 のあきを 確 保 し 十 分 な 間 隔 を 確 保 できるような 形 状 としたほうがよい 参 考 文 献 1) 設 計 要 領 第 二 集 : 日 本 高 速 道 路 株 式 会 社 ( 平 成 20 年 8 月 ) 2) 外 ケーブルを 用 いたPC 橋 梁 の 設 計 マニュアル: 高 速 道 路 技 術 センター( 平 成 8 年 3 月 ) 3)PC 橋 梁 の 耐 久 性 向 上 に 関 する 設 計 施 工 マニュアル: 高 速 道 路 技 術 センター( 平 成 13 年 3 月 )
設 計 不 具 合 場 所 打 PCちげた 外 ケーブル 3/8 共 通 Q-2 外 ケーブルの 定 着 部 と 偏 向 部 の 簡 易 計 算 を 行 うにあたって 具 体 的 にどのような 検 討 項 目 について 評 価 すればよいか 共 通 A-2 偏 向 部 に 対 する 補 強 方 法 が 具 体 的 に 示 されていないため 配 筋 要 領 や 補 強 鉄 筋 算 出 方 法 が 千 差 万 別 となっている また 横 げた 定 着 部 において 外 ケーブル 導 入 緊 張 力 によって 発 生 する 割 裂 に 対 する 検 討 押 し 抜 きせん 断 に 対 して 検 討 が 行 なわれていない 場 合 がある 道 示 Ⅲ P327 18.5.3 構 造 細 目 横 げた 定 着 部 参 考 資 料 1) 8 章 2-4-3 曲 げ せん 断 に 対 する 設 計 : 平 面 FEM 解 析 ( 平 面 格 子 解 析 )により 断 面 力 を 算 出 する 押 し 抜 きせん 断 に 対 する 設 計 : 道 示 Ⅲ4.6による 押 し 抜 きせん 断 応 力 度 を 算 出 する : 荷 重 作 用 位 置 が 断 面 端 近 くにある 場 合 せん 断 抵 抗 面 は 横 けたを 貫 通 せず 主 げた 側 面 に でてしまうため 図 -1に 示 すようなせん 断 抵 抗 面 を 考 える 割 裂 に 関 する 設 計 図 -1 せん 断 抵 抗 面 : 割 裂 応 力 に 対 する 補 強 鉄 筋 量 の 算 出 上 記 設 計 要 領 第 二 集 の 方 法 に 加 えて 図 -1に 示 すコンクリートせん 断 抵 抗 面 におけるせん 断 伝 達 耐 力 の 照 査 を 行 う 必 要 がある せん 断 伝 達 耐 力 に 対 する 照 査 : 終 局 荷 重 (PC 鋼 材 引 張 強 度 あるいは 降 伏 点 強 度 )に 対 して 参 考 資 料 3)P147 9.2.2.5に よるせん 断 伝 達 耐 力 の 照 査 を 行 う 偏 向 部 参 考 資 料 2) P36 参 考 資 料 1)P8-20にも 簡 易 計 算 方 法 が 示 されており 上 記 方 法 と 基 本 的 には 同 様 となっているが T1について 隔 壁 形 式 とリブ 形 式 は 全 引 張 力 の50%を 鉄 筋 で 負 担 させる となっている
設 計 不 具 合 場 所 打 PCちげた 外 ケーブル 4/8 以 下 に 横 げた 定 着 部 の 押 し 抜 きせん 断 に 対 する 検 討 事 例 を 示 す 押 抜 きせん 断 に 対 する 検 討 事 例 1 道 示 Ⅲ4.6による 押 し 抜 きせん 断 応 力 度 を 算 出 する 検 討 方 法 は 以 下 の 通 りとする コンクリートの 押 抜 きせん 断 応 力 度 は 次 式 により 算 出 する τp= P/(bp d) P : 押 し 抜 き 力 (kn) bp : 断 面 の 分 布 形 状 を 部 材 の 有 効 高 の1/2の 距 離 だけ 離 れた 面 へ 45 の 角 度 で 投 影 した 形 状 の 外 周 の 長 さ(mm) ( 図 -2 参 照 ) d : 部 材 断 面 の 有 効 高 (mm) d/2 載 荷 面 bp 図 -2 bpの 取 り 方 押 抜 きせん 断 に 対 する 検 討 事 例 2 参 考 資 料 1)P8-16~17 における 定 着 部 の 簡 易 計 算 方 法 を 以 下 に 示 す
設 計 不 具 合 場 所 打 PCちげた 外 ケーブル 5/8 せん 断 伝 達 に 対 する 照 査 事 例 終 局 荷 重 (PC 鋼 材 引 張 強 度 )あるいは 降 伏 点 に 対 して せん 断 伝 達 耐 力 の 照 査 を 行 う 検 討 方 法 は 以 下 の 通 りとする コンクリートのせん 断 伝 達 耐 力 は 参 考 資 料 3)P147 9.2.2.5による 次 式 により 算 出 する Vcwd={(τc+p τs sin2θ-α p fyd sinθ cosθ) Ac+Vk}/γb -----(6.3.17) τc=μ f'cdb (α p fyd-σnd)1-b τs=0.08 fyd/α α=0.75 {1-10 (p-1.7 σnd/fyd)} (ただし 0.08 3 α 0.75) なお せん 断 伝 達 に 対 する 照 査 についての 計 算 事 例 は 下 記 参 考 文 献 2) 事 例 4(P.30)を 参 照 の こと 参 考 文 献 1) 設 計 要 領 第 二 集 : 日 本 高 速 道 路 株 式 会 社 ( 平 成 20 年 8 月 ) 2) 新 技 術 評 価 事 例 (コンクリート 構 造 ) - 外 ケーブル 構 造 - :PC 建 協 ( 平 成 19 年 8 月 ) 3)コンクリート 標 準 示 方 書 [ 設 計 編 ] : 土 木 学 会 ( 平 成 20 年 3 月 ) 4) 外 ケーブル 構 造 プレキャストセグメント 工 法 設 計 施 工 規 準 :PC 技 術 協 会 ( 平 成 17 年 6 月 )
設 計 不 具 合 場 所 打 PCちげた 外 ケーブル 6/8 共 通 Q-3 FEM 解 析 結 果 から 補 強 鉄 筋 を 求 める 具 体 的 な 手 法 は どのように 考 えればよいか 共 通 A-3 外 ケーブル 構 造 で 横 げたの 配 置 する 鉄 筋 量 の 算 出 方 法 に 対 する 明 確 な 指 標 や 目 安 がない 特 になし 引 張 鉄 筋 量 の 算 出 方 法 の 一 例 1 FEM 解 析 で 得 られた 結 果 より 引 張 応 力 の 生 じる 箇 所 について 鉄 筋 を 配 置 する 方 向 の 要 素 引 張 応 力 を 求 める 2 各 要 素 において 引 張 応 力 の 方 向 と 直 交 する 要 素 面 の 面 積 を1で 算 出 した 要 素 引 張 応 力 に 乗 じる 3 2で 算 出 した 要 素 引 張 力 について 引 張 応 力 の 生 じる 範 囲 の 累 計 を 求 める ( 全 引 張 力 の 算 出 ) 4 3で 算 出 した 全 引 張 応 力 を 鉄 筋 の 許 容 応 力 度 で 除 し 必 要 鉄 筋 量 を 算 出 する 過 去 の 実 験 結 果 よりコンクリートの 引 張 応 力 度 を3.0N/mm 2 程 度 に 制 限 して 設 計 (FEM 解 析 )された 事 例 が 多 い また 鉄 筋 の 応 力 制 限 値 についても 既 往 の 実 験 及 び 施 工 実 績 により ひび 割 れ 幅 の 抑 制 効 果 が 確 認 されている100~120N/mm 2 の 範 囲 で 設 定 される 場 合 が 多 い 必 要 鉄 筋 量 算 出 例 要 素 引 張 力 の 合 計 (N) 合 計 引 張 力 に 対 する 必 要 鉄 筋 量 着 目 部 要 素 引 張 力 σsa=120n/mm2 1 3263052 必 要 鉄 筋 量 :As= T/120=3303736/120 2 40684 3303736 =27531mm2 配 置 鉄 筋 量 :D19ctc125 ( 配 置 鉄 筋 :D25 14 本 + D29 16 本 27651mm2) 参 考 文 献 1) 設 計 要 領 第 二 集 : 日 本 高 速 道 路 株 式 会 社 ( 平 成 20 年 8 月 ) 2) 外 ケーブルを 用 いたPC 橋 梁 の 設 計 マニュアル: 高 速 道 路 技 術 センター( 平 成 8 年 3 月 )
設 計 不 具 合 場 所 打 PCちげた 外 ケーブル 7/8 共 通 Q-4 定 着 部 偏 向 部 に 設 ける 予 備 孔 の 設 定 は どのように 考 えればよいか, 予 備 孔 共 通 A-4 予 備 ケーブルの 必 要 性 や 必 要 量 に 対 する 明 確 な 指 標 や 目 安 がない 特 になし 現 状 は 将 来 予 想 される 補 修 または 補 強 に 対 して 予 備 孔 を 設 ける 場 合 が 多 い 予 備 孔 に 外 ケーブルを 配 置 することを 前 提 とした 場 合 下 記 の 対 策 を 行 う 必 要 がある 予 備 の 定 着 部 にはあらかじめ 定 着 具 と 補 強 筋 を 配 置 しておく 予 備 孔 を 配 置 する 定 着 部 偏 向 部 近 傍 にも 補 強 鉄 筋 を 配 置 しておく 外 ケーブルを 箱 げた 内 に 挿 入 できるスペースや 検 査 孔 などを 必 要 とする 緊 張 位 置 をあらかじめ 定 めておき 緊 張 ジャッキがセットできるスペースを 確 保 する 中 間 横 げた 側 で 緊 張 する 場 合 は ジャッキの 箱 げた 内 への 挿 入 運 搬 方 法 をあらかじめ 定 めておく また 緊 張 ジャッキがセット 出 来 るように 吊 り 金 具 を 配 置 するとともに 床 版 や 既 設 ケーブルと 干 渉 しないように 取 り 合 いに 留 意 し 予 備 孔 の 位 置 を 決 定 する 予 備 ケーブルは 緊 張 時 にジャッキセットしやすいように 構 造 中 心 ( 通 路 ) 側 に 配 置 する 完 成 後 において 端 横 げた 部 に 緊 張 スペースがない 場 合 には 予 備 孔 はけた 内 からの 片 引 きとして 計 画 する 外 ケーブルの 取 り 替 えについて 外 ケーブルに 万 が 一 損 傷 が 生 じた 場 合 取 り 替 えが 必 要 となることから 定 着 部 や 偏 向 部 は 二 重 管 方 式 にするなどの 対 策 を 実 施 するとよい 取 り 替 え 時 は 新 設 ケーブルを 追 加 してから 既 設 ケーブルを 切 断 するのか それとも 既 設 ケーブルを 切 断 してから 新 設 ケーブルを 追 加 するのか 荷 重 条 件 と 応 力 状 態 を 考 慮 して 施 工 順 序 を 計 画 するとよい 参 考 文 献 1) 設 計 要 領 第 二 集 : 日 本 高 速 道 路 株 式 会 社 ( 平 成 20 年 8 月 ) 2) 外 ケーブルを 用 いたPC 橋 梁 の 設 計 マニュアル: 高 速 道 路 技 術 センター( 平 成 8 年 3 月 )
設 計 不 具 合 場 所 打 PCちげた 外 ケーブル 8/8 事 例 Q-1 緊 張 順 序 を 考 慮 せずにケーブル 配 置 を 決 定 しジャッキがセットできない 場 合 がある これに 対 処 するためにはどのような 対 策 があるか 事 例 A-1 緊 張 順 序 を 考 慮 せずにケーブル 配 置 を 決 定 している 場 合 ジャッキのセットに 時 間 がかかる ある いは 緊 張 できない 場 合 がある 特 になし 緊 張 順 序 を 考 慮 して 下 記 事 項 に 留 意 しケーブル 配 置 を 決 定 する 必 要 がある 中 間 横 げた 部 でPC 鋼 材 をたすき 掛 け 配 置 とする 場 合 近 接 するケーブルの 定 着 位 置 同 士 の 間 隔 を 確 保 するだけではなく 定 着 位 置 の 上 下 に 通 過 ケーブルの 配 置 をさけることで ジャッキのセットスペースを 確 保 する 側 面 図 断 面 図 通 過 ケーブル 定 着 位 置 図 -1 適 切 な 鋼 材 配 置 例