甘 味 甘 味 は 万 人 に 最 も 好 まれる 味 そして 甘 さを 生 み 出 す 砂 糖 は さまざまな 料 理 や 食 品 に 使 用 され 多 様 な 味 の 世 界 を 生 み 出 しています しかし 一 方 で は 健 康 志 向 やダイエット 願 望 から 甘 味 や 砂 糖 に 対 してマイナスイメージも 存 在 します 改 めて 甘 味 や 砂 糖 が 食 品 のおいしさにどのような 影 響 を 与 えているのか 健 康 とどのような 関 係 があるのかを 探 ってみました 糖 類 は 貯 蔵 エネルギー 甘 味 は 年 齢 人 種 性 別 を 超 えてだれにでも 好 まれる 味 で す 子 どもにとって 甘 いものイコールおいしいものであり 大 人 でも 疲 れたときには 甘 いものが 欲 しくなります それは 甘 味 が 消 化 吸 収 が 速 くて 即 効 性 のエネルギー 源 になる 砂 糖 など 糖 類 のシグナルになっているからです 糖 類 は 炭 水 化 物 とも 呼 ばれます 植 物 は 太 陽 のエネルギ ーを 利 用 して 光 合 成 によって 炭 酸 ガスと 水 からデンプンな どの 炭 水 化 物 を 作 ります できた 炭 水 化 物 は 多 様 な 糖 の 形 で 茎 や 根 や 果 実 に 蓄 えられて 植 物 の 生 命 活 動 のエネルギ ーに 利 用 されます ジャガイモならデンプン 果 物 ではショ 糖 やブドウ 糖 や 果 糖 サトウキビの 茎 やテンサイの 根 にはシ ョ 糖 としてたくさん 蓄 えられます 砂 糖 は 自 然 に 存 在 する このショ 糖 を 取 り 出 して 純 粋 な 結 晶 にしたものです 製 法 が 異 なる 上 白 糖 と 黒 砂 糖 ショ 糖 はさまざまな 植 物 に 含 まれていますが 一 般 の 家 庭 で 使 われる 上 白 糖 やグラニュー 糖 などの 原 料 となるのはサト ウキビとテンサイです どちらが 原 料 でも 精 製 して 出 来 る 砂 糖 に 変 わりはありません これらの 砂 糖 は 原 料 からショ 糖 の 結 晶 だけを 取 り 出 したもので 分 蜜 糖 と 呼 ばれます 黒 砂 糖 の 場 合 は 製 法 が 異 なり 原 料 であるサトウキビの 搾 り 汁 からざっと 不 純 物 を 除 き 濃 縮 したもので 含 蜜 糖 と 呼 ば れ ショ 糖 以 外 の 成 分 が15 25% 含 まれています 砂 糖 は 純 度 が 高 いほど 上 品 でさっぱりとした 甘 さになり 他 の 成 分 が 含 まれるとかえって 甘 さが 強 まり 風 味 が 生 じま す 黒 砂 糖 が 強 い 甘 味 を 持 ち 風 味 があるのはそのためです さまざまな 種 類 の 砂 糖 は 結 晶 の 大 きさの 違 いや 甘 さの 違 いを 活 かして 用 途 によって 使 い 分 けられます( 図 表 1) 図 表 1 分 蜜 糖 種 類 白 ざら 糖 中 ざら 糖 グラニュー 糖 上 白 糖 三 温 糖 砂 糖 の 種 類 と 用 途 用 途 リキュール 高 級 菓 子 類 ゼリー 煮 物 漬 物 一 般 家 庭 用 加 工 食 品 用 一 般 家 庭 用 パン カステラ ジャム 菓 子 類 煮 物 漬 物 液 糖 業 務 用 ( 各 種 飲 料 加 工 食 品 ) 角 砂 糖 一 般 家 庭 用 (コーヒー 紅 茶 ) 氷 砂 糖 果 実 酒 用 粉 砂 糖 洋 菓 子 顆 粒 状 糖 冷 たい 飲 料 果 物 等 に 種 類 原 料 用 途 黒 砂 糖 サトウキビ 菓 子 類 和 三 盆 糖 サトウキビ( 竹 糖 ) 和 菓 子 含 カエデ 糖 サトウカエデの 樹 液 料 理 菓 子 蜜 (メイプルシロップ) 糖 ソルガム 糖 スイートソルガム 菓 子 シロップ (ロゾク 糖 ) ヤシ 糖 サトウヤシの 樹 液 料 理 菓 子 橋 本 仁 高 橋 明 和 編 砂 糖 の 科 学 朝 倉 書 店 2006 より 作 成 上 白 糖 日 本 では 砂 糖 といえば 上 白 糖 が 一 般 的 ですが 上 白 糖 は 日 本 独 特 のもので 欧 米 ではグラニュー 糖 が 一 般 的 です 上 白 糖 グラニュー 糖 白 ざら 糖 はどれ もショ 糖 の 純 度 が 高 く ほぼ 結 晶 の 大 きさに 違 いがあるだけです ただし 上 白 糖 は しっとり 感 を 出 すためにビスコと 呼 ばれる 転 化 糖 (ブドウ 糖 と 果 糖 の 混 合 物 )を 微 量 添 加 しています
図 表 2 糖 類 の 種 類 糖 類 単 糖 類 二 糖 類 オリゴ 糖 多 糖 類 糖 アルコール ブドウ 糖 果 糖 ガラクトースなど ショ 糖 ( 砂 糖 ) 麦 芽 糖 乳 糖 トレハロース など フラクトオリゴ 糖 パラチノースオリゴ 糖 ガラクトオリゴ 糖 ラフィノースなど デンプン セルロース グリコーゲン ペクチ ン グルコマンナン ガラクタンなど キシリトール エリスリトール マルチトール ソルビトールなど 温 度 や 時 間 で 変 化 する 甘 味 砂 糖 は 化 学 的 にはショ 糖 と 呼 ばれ ブドウ 糖 と 果 糖 が 結 合 したものです ブドウ 糖 と 果 糖 はそれ 以 上 分 解 されない 単 糖 類 で これが 結 合 したショ 糖 は 二 糖 類 に 分 類 されます 単 糖 類 が 数 個 結 合 したものをオリゴ 糖 単 糖 類 が 多 数 結 合 したも のを 多 糖 類 といいます( 図 表 2) 一 般 的 に 単 糖 類 オリゴ 糖 は 甘 味 がありますが 多 糖 類 には 甘 味 がありません 糖 類 は 種 類 によって 甘 味 の 強 さ 甘 味 を 感 じる 時 間 の 長 さ 温 度 による 変 化 に 違 いがあります( 図 表 3) 砂 糖 は 温 度 にかかわらず 甘 さがほぼ 一 定 ですが 果 糖 は 低 温 では 甘 く 高 温 では 甘 さが 減 少 します フルーツを 冷 やして 食 べると 甘 さが 増 しておいしくなるのはそのためです 図 表 3 甘 味 の 時 間 変 化 温 度 による 変 化 橋 本 仁 高 橋 明 和 編 砂 糖 の 科 学 朝 倉 書 店 2006 ブドウ 糖 糖 類 の 中 でも 最 も 吸 収 されやすく 小 腸 から 直 接 吸 収 されるので 消 化 の 必 要 がなく すぐにエネルギーとして 利 用 されます 甘 味 は 砂 糖 の70%ですが さわ やかな 甘 味 が 特 徴 です 果 糖 果 糖 は 果 物 や 蜂 蜜 の 中 に 多 く 存 在 する 糖 で 天 然 の 糖 の 中 で 最 も 甘 い 糖 です 甘 さは 砂 糖 の1.2 1.7 倍 すっきりしたキレのよい 甘 さです オリゴ 糖 本 来 はショ 糖 などもオリゴ 糖 に 入 りますが 最 近 よく 言 われるオリゴ 糖 はバイ オテクノロジーで 作 られた 生 理 特 性 のあるものを 指 しています
砂 糖 が 生 み 出 す 日 本 料 理 の 多 彩 な 味 の 世 界 日 本 料 理 で 砂 糖 は 甘 辛 く 煮 込 んだお 惣 菜 や 照 焼 き 三 杯 酢 すき 焼 酢 飯 など なくてはならない 調 味 料 です 西 洋 料 理 では 砂 糖 はあまり 使 われませんが お 菓 子 やジャム 作 り などには 欠 かせません さまざまな 料 理 で 砂 糖 が 使 われるのは 単 に 甘 味 をつける のだけが 目 的 ではありません 甘 味 には 他 のどの 味 とも 調 和 し 多 様 な 味 を 作 り 出 す 性 質 があるためです 醤 油 と 砂 糖 の 甘 辛 い 味 付 けは 砂 糖 の 甘 味 が 塩 味 の 刺 激 を 適 度 に 緩 和 し ます 甘 味 と 酸 味 は お 互 いの 味 を 緩 和 させ 穏 やかで 柔 ら かい 甘 さと 酸 味 の 味 になります また 日 本 料 理 では 表 だって 甘 味 を 感 じさせることなく 隠 し 味 として 砂 糖 を 使 うことで 独 特 の 風 味 と 奥 行 きを 作 り 出 しています 甘 味 は 味 の 強 弱 の 許 容 範 囲 が 広 いことも 特 長 として 挙 げ られます たとえば おいしいと 感 じられる 塩 分 濃 度 は す まし 汁 で0.6 0.8% 前 後 の 狭 い 範 囲 ですが 砂 糖 は 隠 し 味 に 少 量 使 うものから 3 10% 程 度 の 煮 物 さらに 大 量 に 使 う 煮 豆 や 餡 などまでおいしく 食 べられます( 図 表 4) こうした 甘 味 の 特 長 が 調 味 料 としての 砂 糖 の 利 用 価 値 を 高 めているのです 図 表 4 料 理 の 砂 糖 濃 度 橋 本 仁 高 橋 明 和 編 砂 糖 の 科 学 朝 倉 書 店 2006
調 理 における 砂 糖 の 多 様 な 効 果 砂 糖 が 多 くの 料 理 や 加 工 食 品 に 利 用 されているのは 味 だ けではなく 砂 糖 に 溶 解 性 吸 水 性 保 水 性 加 熱 変 化 など 物 理 的 化 学 的 なさまざまな 特 性 があり その 特 性 が 料 理 や 食 品 のおいしさに 役 立 っているためでもあります( 図 表 5) 砂 糖 の 保 水 性 は 腐 敗 を 防 止 するほか デンプンの 老 化 防 止 や 油 脂 の 酸 化 防 止 にも 役 立 っています 保 存 食 品 であるジ ャムには 砂 糖 は 欠 かせません それは 防 腐 効 果 があるためだ けでなく 砂 糖 が 果 物 中 のペクチンをゲル 化 してゼリー 状 に 固 めるからです 照 焼 きなどの 調 理 では 砂 糖 が 加 熱 によってアメ 状 になっ て 照 りができ おいしそうな 焼 き 色 も 生 み 出 します 砂 糖 は 加 熱 によってその 状 態 が 変 化 し 約 105 で 粘 性 を 帯 びたシロ ップ 状 になり 130 ぐらいからアメ 状 になり さらに150 ぐらいになると 褐 色 にカラメル 化 します 照 焼 きなどでは 醤 油 に 含 まれるアミノ 酸 とメイラード 反 応 を 起 こして 茶 褐 色 の 焼 き 色 と 香 りが 醸 し 出 されます その 他 にも 砂 糖 には イーストの 醗 酵 を 促 進 したり 乳 化 を 促 進 し 泡 立 ちを 保 持 する 働 き たんぱく 質 の 凝 固 抑 制 作 用 など さまざまな 性 質 があります これら 砂 糖 独 特 の 性 質 は お 菓 子 作 りをはじめ さまざまな 食 品 加 工 に 利 用 され 食 生 活 に 潤 いをもたらしています 図 表 5 砂 糖 の 多 様 な 効 果 親 水 性 特 徴 効 果 腐 敗 の 防 止 酸 化 防 止 デンプンの 老 化 防 止 ペクチンのゲル 化 乳 化 泡 立 ち 保 持 たんぱく 質 凝 固 抑 制 氷 点 降 下 褐 変 反 応 発 酵 の 促 進 加 熱 変 化 食 品 調 理 例 ジャム 加 糖 練 乳 ビスケット クッキー あん 羊 かん 餅 菓 子 ジャム マーマレード ゼリー メレンゲ ホイップクリーム プリン 卵 焼 き アイスクリーム クッキー カステラの 焼 き 色 パン シャンパン キャラメル ヌガー ドロップ 砂 糖 の 科 学 ( 財 団 法 人 科 学 技 術 教 育 協 会 出 版 部 ) ほかより 作 成 自 由 水 と 結 合 水 砂 糖 は まわりの 水 分 を 吸 収 し 取 り 込 んだ 水 分 を 離 しません 食 品 中 の 水 分 は 自 由 に 動 き 回 れる 自 由 水 と 食 品 中 の 成 分 に 結 合 して 束 縛 されている 結 合 水 とに 分 けられます 結 合 水 は 蒸 発 しにくく 微 生 物 が 繁 殖 できません 砂 糖 を 多 く 使 った 食 品 は この 結 合 水 が 多 くなるため 保 存 性 が 高 く また 乾 燥 しにくく いつまでもみずみずしく 柔 らかい 状 態 を 保 ちます
図 表 6 体 内 に 取 り 込 まれたブドウ 糖 の 流 れ 脳 のエネルギー 源 となるブドウ 糖 ブドウ 糖 は 人 の 生 命 活 動 のエネルギー 源 として 重 要 な 栄 養 素 です ブドウ 糖 は いわば 自 動 車 のガソリンに 当 たる 人 体 の 燃 料 で 血 液 中 のヘモグロビンによって 運 ばれてきた 酸 素 と 反 応 して 燃 焼 し その 際 にエネルギーを 生 み 出 していま す( 図 表 6) 脳 は 人 体 が 消 費 するエネルギーの 約 20%という 大 量 のエ ネルギーが 必 要 ですが 飢 餓 時 を 除 き 通 常 エネルギー 源 を もっぱらブドウ 糖 に 拠 っています 脳 には 血 液 脳 関 門 と 呼 ば れる 関 所 があり 脂 肪 酸 はこの 関 所 を 通 過 できません 血 液 脳 関 門 を 通 過 できるブドウ 糖 の 供 給 が 不 足 すると 脳 はその 機 能 を 低 下 させてしまいます 人 体 組 織 中 には 糖 質 はわずか3% 以 下 しか 含 まれていない ため 糖 質 は 食 物 から 摂 らなくてはなりません 食 物 による 摂 取 エネルギーの60% 程 度 は 糖 質 から 摂 ることが 好 ましいと いわれています 神 経 活 動 が 行 われる 際 にブドウ 糖 が 使 われることから 血 中 にブドウ 糖 が 豊 富 にあると 記 憶 力 が 増 す といった 実 験 結 果 も 報 告 されています さらに ブドウ 糖 や 砂 糖 などの 甘 味 物 質 は 鎮 痛 や 快 感 作 用 の 効 果 を 持 ち ストレスを 解 消 し 安 らぎを 覚 えさせてくれるといった 報 告 もあります 食 生 活 1998 年 8 月 より 摂 取 エネルギーと 消 費 エネルギーの 差 が 脂 肪 を 蓄 積 する 糖 類 は 体 の 中 に 入 ると 消 化 器 官 の 酵 素 で 分 解 され ブドウ 糖 などの 単 糖 類 と なって 小 腸 から 吸 収 されます そして 肝 臓 へ 送 られて ブドウ 糖 以 外 の 単 糖 類 もブドウ 糖 に 転 換 され 一 部 は 多 糖 類 のグリコーゲンとなって 貯 蔵 され 残 りの ブドウ 糖 は 血 液 中 に 溶 けて 全 身 の 細 胞 に 送 られます この 血 液 中 のブドウ 糖 が 血 糖 です 血 糖 は 筋 肉 組 織 でエネルギーとして 使 われたり 筋 肉 内 でもグリコーゲンとな り さらに 余 ったブドウ 糖 は 脂 肪 組 織 で 脂 肪 に 変 えられて 蓄 えられます 肝 臓 や 筋 肉 内 のグリコーゲンや 脂 肪 として 蓄 えられたものは 次 の 食 事 で 新 た にブドウ 糖 が 補 給 されるまでの 備 蓄 エネルギー 源 になり 必 要 に 応 じて 食 事 と 食 事 の 間 に 消 費 されます この 時 摂 取 エネルギーと 消 費 エネルギーのバランスが 悪 いと 使 われないブドウ 糖 が 脂 肪 として 蓄 積 されることになるのです 心 をいやす 脳 内 物 質 とブドウ 糖 の 関 係 鬱 病 の 人 は 精 神 の 安 定 や 満 足 感 をもたらすセロトニンという 脳 内 物 質 が 少 な いとされています セロトニンは トリプトファンという 必 須 アミノ 酸 が 血 管 内 から 脳 内 に 取 り 込 まれて 生 じます トリプトファンが 脳 内 に 取 り 込 まれるには インスリンが 必 要 で インスリンはブドウ 糖 を 摂 ることで 分 泌 されます つまり 糖 類 を 摂 取 することは ストレスを 抑 え 精 神 的 安 定 を 得 ることにつながるわけで す
血 糖 値 を 調 整 するインスリン 血 液 中 のブドウ 糖 濃 度 である 血 糖 値 は 常 に 一 定 になるよ うに 保 たれています 食 事 の 直 後 にはブドウ 糖 が 補 給 される ので 血 糖 値 は 上 がります これを 下 げる 働 きをするのがイン スリン 血 液 中 に 増 えたブドウ 糖 に 反 応 して 膵 臓 から 分 泌 されるホルモンです このインスリンを 膵 臓 が 適 正 に 分 泌 できない あるいは インスリンが 正 常 に 機 能 しなくて 血 糖 が 恒 常 的 に 高 くなる のが 糖 尿 病 です 糖 尿 病 は 生 活 習 慣 病 の 代 表 的 な 疾 患 で 過 食 や 運 動 不 足 などが 要 因 と 考 えられています 食 後 の 血 糖 値 の 上 昇 を 示 す 指 標 をグリセミックインデクス (GI/Glycemic Index)と 呼 びます この 値 が 低 い 食 品 ほど 食 後 の 血 糖 が 上 昇 しにくく 糖 尿 病 を 起 こしにくいといわれて います グリセミックインデクスの 値 を 見 ると 砂 糖 はそれ ほど 高 い 値 ではないことが 分 かります( 図 表 7) 糖 尿 病 や 肥 満 によるさまざまな 症 状 を 持 つ 人 でなければ 砂 糖 の 摂 取 をきびしく 制 限 する 必 要 はないようです ただし 甘 いものばかりを 食 べると 血 糖 値 が 上 昇 して 満 腹 感 は 得 ら れますが 他 の 食 べ 物 が 食 べられなくなるので 必 要 な 栄 養 素 を 摂 取 できなくなってしまう 恐 れがあります 糖 質 が 有 効 にその 機 能 を 発 揮 するのはたんぱく 質 やビタミ ン ミネラルなどが 補 強 し 合 った 時 糖 質 以 外 の 栄 養 素 をバ ランスよく 摂 取 することが 大 切 です 図 表 7 食 品 のグリセミックインデクス 橋 本 仁 高 橋 明 和 編 砂 糖 の 科 学 朝 倉 書 店 2006
図 表 8 主 な 新 甘 味 料 の 特 性 品 名 甘 味 度 非 う 蝕 性 カロリー 特 徴 二 糖 類 ならびに オリゴ 糖 低 カロリー 虫 歯 にならない 新 甘 味 料 あまり 甘 くなくておいしい という 言 葉 が ケーキやデザー トなどに 対 するほめ 言 葉 としてすっかり 定 着 しています 最 近 は 甘 さ 控 えめがトレンド それを 裏 付 けるように 上 白 糖 グ ラニュー 糖 などの 砂 糖 類 は 市 場 規 模 の 縮 小 傾 向 が 続 いていま す 一 方 家 庭 用 甘 味 料 市 場 でシェアを 伸 ばしているのが 低 カロリーや 虫 歯 になりにくい( 非 う 蝕 性 ) 腸 内 環 境 を 整 えると いった 健 康 的 付 加 価 値 のある 新 甘 味 料 です( 図 表 8) 低 カロリーの 新 甘 味 料 には 砂 糖 の200 倍 の 甘 さを 持 つステビ アやアスパルテームなど 甘 味 が 強 く 結 果 的 に 使 用 量 が 少 量 の ためカロリーが 抑 えられるものと 糖 アルコールのエリスリト ールなど 体 内 で 吸 収 分 解 されにくいためにカロリーになら ないものの2つのタイプがあります エリスリトールは 文 字 ど おりノンカロリーです 新 甘 味 料 は 砂 糖 と 異 なり 虫 歯 の 原 因 菌 に 利 用 されませんが 糖 アルコールのキシリトールでは さらに 虫 歯 の 原 因 菌 の 活 動 を 抑 制 する 働 きもあるといわれています キシリトールは 溶 け るときに 吸 熱 反 応 が 起 こるので 口 の 中 で 爽 やかな 冷 涼 感 も 得 られ ガムやキャンディーに 利 用 されています 消 化 吸 収 の 際 にブドウ 糖 が 生 成 されない 糖 アルコールは インスリンの 分 泌 もないので カロリーコントロールの 必 要 な 人 のほか 糖 尿 病 肥 満 症 用 の 食 品 に 広 く 使 われるように なっています 日 本 での 開 発 が 進 んでいるのが フラクトオリゴ 糖 やガラク トオリゴ 糖 などのオリゴ 糖 系 の 甘 味 料 です ほとんど 消 化 吸 収 されることなく 腸 に 届 き ビフィズス 菌 など 腸 内 善 玉 菌 を 増 や す 働 きがあります 甘 いものを 避 けようとするとストレスが 発 生 し 心 理 的 にも 負 担 が 生 じます ダイエットやカロリーコントロールが 必 要 な 人 にとって 甘 味 を 楽 しみながら 健 康 な 食 生 活 を 送 れるこれら の 機 能 性 甘 味 料 の 登 場 は 朗 報 といえるでしょう フラクトオリゴ 糖 0.3 0.6 1.3 整 腸 作 用 バナナやタマ ネギに 含 まれる パラチノース 0.3 0.4 3.9 消 化 吸 収 速 度 が 砂 糖 の5 分 の1と 緩 やか トレハロース 0.3 3.9 たんぱく 質 の 変 成 防 止 作 用 デンプンの 老 化 防 止 効 果 など ガラクトオリゴ 糖 0.3 2.1 酸 や 熱 に 強 い 母 乳 に 含 まれる ラフィノース 0.2 1.4 整 腸 作 用 アトピー 改 善 作 用 豆 類 に 含 まれる 糖 アルコール キシリトール 1 3 虫 歯 の 原 因 菌 の 活 動 を 抑 える 冷 涼 感 がある エリスリトール 0.7 0.8 0 ノンカロリー 冷 涼 感 が ある マルチトール 0.6 0.8 2 麦 芽 糖 が 原 料 砂 糖 に 似 た 甘 味 と 物 性 ソルビトール 0.6 0.7 3 熱 に 強 く 浸 透 性 保 湿 性 に 優 れる 配 糖 体 ステビア 200 ー 南 米 原 産 の 菊 科 植 物 の 葉 からとれる 天 然 甘 味 料 アミノ 酸 系 アスパルテーム 200 ー 2 種 類 のアミノ 酸 からな る 合 成 甘 味 料 甘 味 度 = 砂 糖 を 基 準 (1)としたときの 甘 味 の 度 数 非 う 蝕 性 = 虫 歯 にならない 性 質 カロリー=1 gあたりの 数 量 食 生 活 1998 年 8 月 月 刊 フードケミカル 1997 年 8 月 食 品 と 開 発 1999 年 3 月 より 作 成 糖 アルコール 糖 アルコールはブドウ 糖 や 果 糖 などの 糖 を 還 元 した 化 合 物 です 消 化 酵 素 は 糖 アルコールを 分 解 できないため 糖 が 吸 収 される 小 腸 を 素 通 りして 大 腸 まで 達 します 腸 内 細 菌 の 中 には 糖 アルコールを 分 解 して 有 機 酸 にするものがあ ります 摂 取 した 糖 アルコールは この 有 機 酸 が 大 腸 から 吸 収 されてエネルギ ーとして 利 用 されます 糖 アルコールは 一 度 腸 内 細 菌 に 利 用 されているた め 元 の 糖 より 低 カロリーになるのです なお 糖 アルコールは 大 腸 での 水 分 吸 収 が 阻 害 されるため 一 度 に 大 量 に 摂 取 すると 下 痢 を 起 こす 可 能 性 があるの で 注 意 が 必 要 です 虫 歯 と 砂 糖 虫 歯 ができるのは 虫 歯 の 原 因 菌 が 砂 糖 から 水 に 溶 けない 糊 状 の 水 溶 性 グルカン という 物 質 を 作 り 歯 の 表 面 に 歯 垢 を 形 成 し この 歯 垢 を 口 内 常 在 菌 が 醗 酵 させて 酸 を 作 り 歯 のエナメル 質 を 溶 解 させるからです 参 考 資 料 : 橋 本 仁 高 田 明 和 編 砂 糖 の 科 学 朝 倉 書 店 2006 年 高 田 明 和 脳 の 栄 養 失 調 脳 とダイ エットの 危 険 な 関 係 講 談 社 2005 年 消 費 と 生 活 消 費 と 生 活 社 259 2004.9 同 271 2006.9 10 竹 澤 正 喜 菓 子 づくりからみた 砂 糖 の 機 能 性 食 生 活 Vol97 2003 年 食 生 活 1998 年 8 月 月 刊 フードケミカル 1997 年 8 月 食 品 と 開 発 1999 年 3 月 足 立 己 幸 編 砂 糖 女 子 栄 養 大 学 出 版 部 1984 年 砂 糖 の 科 学 ( 財 ) 科 学 技 術 教 育 協 会