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Transcription:

フランスにおける 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 成 立 とその 養 成 課 程 日 本 に 示 唆 するもの 佐 藤 順 子 抄 録 本 稿 では, 初 めにフランスにおいて Le conseiller en économie sociale familiale ( 以 下,CESF 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーと 称 する) 国 家 資 格 が 成 立 するまでの 経 緯 とその 変 遷 について 述 べる 次 に,どのようにして CESF が 養 成 されるかについて 焦 点 をあて,CESF の 養 成 を 行 っているドゥー 県 にあるフランシュ=コンテ 地 方 圏 社 会 労 働 研 究 所 および 実 習 の 受 入 れを 行 っているドゥー 県 Union Départementale des Associations Familiales (UDAF) での 聴 取 り 調 査 をもとに,CESF 国 家 資 格 取 得 のた めの 養 成 課 程 と 実 習 についてのアウトラインを 紹 介 し, 最 後 に 日 本 への 示 唆 について 考 える 手 がかりを 提 示 するものである キーワード: 家 庭 経 済 ソーシャルワーカー, 家 庭 科 教 育, 社 会 福 祉 的 介 入, 家 計 管 理 支 援 は じ め に Le conseiller en économie sociale familial ( 以 下,CESF または 家 庭 経 済 ソーシャルワー カー(1) と 称 する) は,フランス 独 自 のソーシャルワーカーであり,2009 年 9 月 1 日 付 の 労 働 労 使 関 係 家 族 連 帯 および 都 市 問 題 担 当 省 令 職 業 の 定 義 および 介 入 の 状 況 によると, その 職 と 職 の 在 り 方 は 次 のように 定 義 されている すなわち, CESF は 国 家 資 格 のソーシャルワーカーであり, 日 常 生 活 ( 消 費, 住 居, 社 会 復 帰 および 職 業 復 帰, 食 生 活 健 康 管 理 ) の 領 域 における 評 価 (evaluation) が 職 務 の 中 心 を なすものである 具 体 的 には,CESF は 生 活 困 窮 者 または 収 支 困 難 者 住 居 の 確 保 多 重 債 務 失 業 などの 問 題 を 抱 える 者 の 支 援 活 動 を 行 ない,ソーシャルワーカーとして 倫 理 を 重 視 し, クライアントとの 協 働 作 業 において 介 入 を 行 なう また,CESF による 支 援 活 動 は 人 口 の 高 齢 化 自 立 支 援 身 障 者 児 童 の 保 護 などの 領 域 にもおよび, 公 的 または 民 間 の 各 種 機 関 地 方 165

フランスにおける 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 成 立 とその 養 成 課 程 ( 佐 藤 順 子 ) 公 共 団 体 社 会 福 祉 機 関 アソシアシオン (2) 公 営 および 民 間 住 宅 宿 泊 施 設 共 済 保 険 国 立 病 院 後 見 人 業 務 の 領 域 において 業 務 を 行 う (3) とされている CESF についての 研 究 は,1991 年 に 石 黒 由 美 子 フランスにおける 消 費 者 ソーシャル ワーカーによる 家 計 管 理 援 助 (4) によって 初 めて 日 本 に 紹 介 され,その 後,2010 年, 陣 内 恭 子 によって 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 国 家 資 格 CESF 家 計 管 理 のできる 人 材 育 成 と 資 格 導 入 のヒント (5) として 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 養 成 システムについての 調 査 が 行 われ,2011 年 に 佐 藤 順 子 がパリ 市 およびアンジュ 市 の 家 族 手 当 金 庫 における 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 実 践 活 動 について 聴 き 取 り 調 査 結 果 を 紹 介 している (6) このように, 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーについての 先 行 研 究 はまだまだ 希 少 であるが, 調 査 研 究 の 今 日 的 意 義 は 次 の 点 にあると 思 われる すなわち, 日 本 では 家 計 管 理 は 個 々の 世 帯 の 自 律 にゆだねられており, 他 者 または 他 機 関 による 家 計 管 理 支 援 の 必 要 性 が 認 識 されて 来 な かった 背 景 があったと 言 えよう しかし, 状 況 は 大 きく 変 わりつつある その 契 機 について 述 べると 以 下 のとおりである 近 年, 多 重 債 務 問 題 が 社 会 問 題 化 して 国 民 的 関 心 事 となったことを 背 景 に,2010 年 6 月, 借 り 手 に 対 する 与 信 の 厳 格 化 を 柱 にした 改 正 貸 金 業 法 が 完 全 施 行 された と 同 時 に, 改 正 資 金 業 法 完 全 施 行 前 の 2010 年 4 月, 金 融 庁 貸 金 業 プロジェクトチーム 改 正 貸 金 業 法 について によって, 借 り 手 の 目 線 に 立 った 10 の 方 策 が 発 表 され, 多 重 債 務 者 等 の 生 活 再 建 事 業 再 生 のための 多 様 なセーフティネットの 充 実 強 化 を 趣 旨 とした 次 の 取 組 みが 標 榜 された (7) すなわち, 返 済 新 規 借 入 れが 困 難 になった 消 費 者 事 業 者 に 対 して 多 重 債 務 のカウンセリン グや 経 営 相 談 を 実 施 し, 返 済 に 問 題 がないと 認 められる 場 合 には, 生 活 資 金 事 業 資 金 等 の 必 要 な 資 金 を 貸 し 付 けるセーフティネットの 充 実 強 化 を 図 っていくことが 必 要 とされている, というものである この 方 策 の 趣 旨 である 多 重 債 務 者 等 の 生 活 再 建 事 業 再 生 のための 多 様 なセーフティネッ トの 充 実 強 化 の 実 現 を 考 えるとき, 制 度 体 制 の 充 実 のためには 担 い 手 に 求 められる 専 門 性 を 涵 養 することは 欠 かせない 本 稿 で 取 り 上 げる 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーは, 従 来, 日 本 においてソーシャルワーカー が 踏 み 込 んで 来 なかった 家 庭 の 経 済 的 問 題 に 取 組 むことを 職 務 に 含 んでいる そのため, 職 の 成 立 と 養 成 課 程 について 調 査 研 究 することは, 今 日, 日 本 における 多 重 債 務 をかかえる 世 帯 を はじめ, 世 帯 の 経 済 的 問 題 をはじめとする, 生 活 上 の 困 難 さの 解 決 を 支 援 できる 人 材 の 育 成 に あたって 示 唆 を 得 ることができると 考 える 本 稿 では, 初 めにフランスにおいて CESF 国 家 資 格 が 成 立 した 経 緯 について 概 観 し, 資 格 の 成 立 からその 変 遷 について 述 べる 次 に,CESF 養 成 学 校 と 実 習 先 での 聴 取 り 調 査 結 果 を 紹 介 し, 最 後 に 今 後 の 日 本 への 示 唆 について 考 えたい 166

Ⅰ CESF の 揺 籃 期 1 CESF の 3 つの 源 流 CESF は 当 初, 現 在 のように 職 業 として 成 り 立 つことは 想 定 されていなかった その 源 流 は 17 世 紀 にまでさかのぼり,その 出 自 も 異 なる 経 緯 をたどって 来 たと 言 えよう 資 格 として 創 設 されるまでには 長 い 時 間 の 経 過 と 遷 移 があり,ここでは 17 世 紀 以 降 の 3 つの 源 流 について 述 べる 1つ 目 の 流 れは,17 世 紀 末 に 貴 族 階 級 の 子 女 に 対 する 家 政 教 育 としてドゥ マントノン 夫 人 がエコール ド サンシールを 設 立 したことに 端 緒 がある その 目 的 は, 貴 族 階 級 の 子 女 が 家 庭 に 入 ってから 主 婦 として 家 計 のやりくりなどができるように, 一 般 教 養 と 実 践 的 知 識 を 教 え ることにあった その 後,19 世 紀 初 頭 にナポレオン 一 世 の 要 請 に 応 えてドゥ カンポン 夫 人 が 戦 死 した 軍 人 の 子 女 を 対 象 としたレジョン ドヌール 学 校 を 設 立 した 2つ 目 の 流 れは,19 世 紀 後 半 から 起 こってきたフランス 都 市 部 での 動 きに 起 源 を 発 するもの である それは 労 働 者 階 級 の 子 女 を 教 化 するプログラムとして, 家 庭 の 整 理 整 頓 貯 蓄 老 後 の 備 え 衛 生 に 関 する 知 識 などを 実 際 の 生 活 に 生 かすことを 目 的 とした 教 育 であり,また, 中 産 階 級 の 子 女 に 対 しては, 女 性 の 役 割 を 妻 母 主 婦 として 定 義 し, 家 庭 で 果 たすべき 役 割 を 身 につけることを 目 的 とするものであった 3 つ 目 の 流 れは, 農 村 に 起 源 を 発 するものである 農 村 の 過 疎 化 を 危 惧 した 地 元 の 名 士 たち はその 防 止 策 として, 農 村 での 生 活 の 質 を 向 上 させ, 若 者 が 農 村 に 残 ることを 目 的 とした 教 育 プロジェクトを 立 ち 上 げたことにあった CESF の 成 立 ちは 以 上 の 3 つの 流 れを 源 流 とし,19 世 紀 に 入 ると 都 市 および 農 村 で 展 開 を 見 る すなわち,1873 年 にランスに 初 めての 家 庭 科 学 校 が 創 設 され,1881 年 にパリで 義 務 教 育 の 補 習 授 業 として 家 庭 科 の 授 業 が 加 えられ,1882 年 には 初 等 教 育 の 課 程 において 家 庭 科 が 正 式 に 導 入 されるに 至 った また, 農 村 部 での 学 校 としては 1886 年 にブルターニュ 地 方 のコエット=ローゴンに 初 の 農 業 家 政 科 学 校 が 創 設 された 以 上, 見 てきたように CESF の 業 務 の 端 緒 は 貴 族 階 級 や 軍 人 の 子 女 が 身 につけるべき 教 養 技 能 として 出 発 し,その 後, 労 働 者 階 級 あるいは 中 産 階 級 の 子 女 が 家 庭 を 切 り 盛 りし, 女 性 役 割 を 遂 行 するためのツールとして,あるいは 農 村 民 が 生 活 を 向 上 させるための 手 立 てとして, 時 代 の 要 請 に 応 じてその 役 割 を 担 ってきたと 言 えよう その 後 20 世 紀 に 入 ると, 家 庭 科 教 育 から CESF の 国 家 資 格 の 成 立 とその 見 直 しに 至 るまで の 流 れを 見 出 すことができ, 以 下, 特 徴 的 な 6 期 に 分 けて 述 べる 167

フランスにおける 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 成 立 とその 養 成 課 程 ( 佐 藤 順 子 ) 2 家 庭 科 教 育 から CESF 国 家 資 格 の 成 立 と 見 直 し 1. 第 1 期 家 庭 科 教 育 の 必 要 性 に 対 する 認 識 その 第 1 期 は 1916 年 1942 年 である この 時 期, 家 政 教 育 者 が 青 年 および 成 人 を 指 導 し, 工 場 や 作 業 場 などの 職 場 または 家 庭 を 訪 問 し, 家 政 に 関 する 研 修 を 行 った 1916 年 にはア メット 大 司 祭 の 要 請 により,パリに 社 会 家 庭 家 政 研 究 所 が 創 設 され,それを 契 機 とし て,1924 年 1926 年 にかけて, 特 に 繊 維 産 業 が 活 発 であったフランス 北 部 東 部 および 南 東 部 の 大 企 業 において 市 民 家 政 科 センターが 数 多 く 創 設 されていった 2. 第 2 期 家 庭 科 教 育 の 義 務 化 次 いで 第 2 期 は1942 年 1960 年 である この 時 期 には, 学 校 教 育 において 家 庭 科 教 育 が 制 度 化 され,1942 年, 就 学 した 全 ての 女 子 に 対 して 100 時 間 の 家 庭 科 の 科 目 履 修 が 義 務 付 けら れた さらに, 家 庭 科 は 教 科 として 専 門 学 校 や 農 業 学 校 など 全 ての 学 校 においても 導 入 され,また, 家 庭 科 専 門 の 教 職 課 程 が 創 設 されたのもこの 時 期 であった それに 伴 い, 政 府 による 家 庭 科 教 員 の 免 許 についての 統 制 はより 厳 密 なものとなっていった 具 体 的 には,1950 年 10 月 24 日 付 の 省 令 によって, 家 庭 科 教 員 免 状 の 取 得 にかかる 期 間 は 3 年 間 とされ, 第 2 学 年 次 終 了 後 に 実 施 される 試 験 の 合 格 者 のみが 第 3 学 年 次 の 課 程 を 履 修 でき, 履 修 後 に 免 許 状 が 取 得 できることとなった 3. 第 3 期 義 務 教 育 としての 家 庭 科 教 育 から 社 会 に 開 かれた 家 政 教 育 へ 第 3 期 は1959 年 1960 年 で,この 時 期 はフランスの 教 育 改 革 とも 連 動 して 数 多 くの 変 革 が 着 手 された まず, 義 務 教 育 期 間 が 16 歳 まで 延 長 されると 同 時 に,それまで 行 なわれていた 家 庭 科 履 修 の 義 務 付 けがなくなった そのため, 家 庭 科 教 員 の 身 分 は 保 障 されなくなり, 義 務 教 育 におけ る 家 庭 科 教 員 から 家 政 学 を 教 える 専 門 学 校 における 教 員 への 転 身 を 余 儀 なくされていった 一 方 で,1960 年 以 降 のフランスでは 社 会 生 活 や 日 常 生 活 が 大 きな 変 容 を 遂 げていく 従 来 の 個 人 商 店 から 大 規 模 なショッピングセンターの 開 店, 新 しい 家 電 機 器 の 普 及, 消 費 者 金 融 業 の 発 達, 新 規 の 販 売 方 法 などについて, 消 費 者 は 正 しい 知 識 を 持 たずに 新 しい 消 費 環 境 に 適 合 することが 難 しくなって 行 く その 結 果, 国 民 が 家 庭 生 活 を 営 むにあたって, 消 費 者 として 生 活 環 境 の 変 化 に 順 応 できるよう, 新 しい 知 識 や 技 術 の 習 得 することが 必 要 となっていった こうした 状 況 を 踏 まえ, 広 く 国 民 に 向 けた 家 政 教 育 が 必 要 であるとの 認 識 が 広 まり, 同 時 に, 家 政 教 育 が 従 前 の 義 務 教 育 における 家 庭 科 教 育 としてではなく, 成 人 に 対 して 行 なわれる 家 政 教 育 としての 社 会 的 役 割 が 広 く 認 知 されるようになった 168

4. 第 4 期 経 済 社 会 家 族 の 領 域 に 関 する 高 等 技 術 者 免 許 状 の 創 設 第 4 期 は1960 年 1970 年 で, 成 人 に 対 する 家 政 教 育 の 必 要 性 が 広 く 認 識 されて 以 降, 家 政 学 を 教 える 教 員 を 養 成 する 教 育 機 関 は 教 育 プログラムと 教 育 方 法 の 見 直 しに 着 手 していった 家 庭 家 政 科 教 育 の 改 良 審 議 会 の 作 業 により,1969 年 6 月, 省 令 によって 経 済 社 会 家 族 の 領 域 に 関 する 高 等 技 術 者 免 許 状 (Brevet de Technicien Superieure. (BTS)) が 創 設 され, その 後 の 1970 年 5 月, 通 達 によって 家 政 学 を 教 える 教 員 の 養 成 センターが 私 立 専 門 学 校 に 転 身 を 図 っていった 1970 年 以 降 は, 従 来 からの CESF の 活 動 領 域 であった 経 済 社 会 家 族 の 領 域 が 社 会 福 祉 の 分 野 に 分 類 され, 特 にクライアントに 対 する 規 範 的 で 適 応 主 義 的 なアプローチが 見 直 され, 社 会 の 発 展 や 変 化 を 重 視 したアプローチの 重 要 性 が 増 していった この 社 会 の 発 展 や 変 化 を 重 視 したアプローチの 特 徴 として 具 体 的 には 次 の 3 点 が 挙 げられて いる 1 支 援 の 対 象 となるグループおよびクライアントの 社 会 的 経 済 的 復 帰 を 目 標 とするこ と,2 クライアントの 中 にある 既 存 の 可 能 性 を 活 用 すること,3 コミュニティ 内 でのクライ アントの 関 係 性 を 重 視 し,クライアントが 主 体 となって 集 う 場 を 提 供 すること,である このように,1970 年 以 降 の CESF の 業 務 の 変 化 において 最 も 特 徴 的 な 点 は,クライアント のかかえる 課 題 に 対 するアプローチが 変 化 したことにある すなわち, 変 容 する 社 会 に 対 して クライアントが 参 入 (insertion) できることを 目 標 に,クライアントの 持 つ 力 を 活 用 し,クラ イアント 同 士 のつながりを 重 視 してクライアントの 集 う 場 を 提 供 するというアプローチである そのためには, 課 題 を 中 心 に 据 えた 包 括 的 なアプローチが 必 要 であることから, 専 門 領 域 間 の 垣 根 が 取 り 払 われ, 複 数 の 専 門 領 域 にまたがる 養 成 科 目 が 必 要 とされて 行 ったのである 5. 第 5 期 CESF 国 家 資 格 の 成 立 その 後,フランソワ マルカール 氏 が 全 国 家 族 手 当 金 庫 (Caisses National dʼallocations Familiales CNAF) による 出 資 を 得 て,CESF の 養 成 についての 調 査 を 行 なった 結 果,1973 年 に CESF 国 家 資 格 免 許 状 が 創 設 される 省 令 が 出 され,ここに 国 家 資 格 としての 成 立 を 見 る こととなった 6. 第 6 期 CESF 国 家 資 格 の 見 直 し 最 終 期 の 1991 年 1992 年 は CESF の 職 務 内 容 についての 見 直 しが 検 討 され,フランソワ アバレア 氏 を 中 心 に, 学 校 および 省 庁 に 対 して 行 われた 全 国 レベルでの 調 査 が 1994 年 まで 続 けられ,CESF の 職 務 改 革 に 先 鞭 がつけられた 2006 年 9 月 には CESF 資 格 の 改 革 のための 作 業 グループが 設 置 され, 作 業 グループは 国 民 教 育 省, 社 会 福 祉 事 業 総 局, 労 働 組 合, 使 用 者, 社 会 経 済 研 究 機 関 の 全 国 団 体 である Groupement National des Institut Régional du Travail Social (GNI),ソーシャルワーカーの 教 育 お 169

フランスにおける 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 成 立 とその 養 成 課 程 ( 佐 藤 順 子 ) よび 研 究 機 関 のフランスにおける 連 合 体 である Association Francaise des Organisms de Formation et de Recherche entravail Social (AFORTS) などが 参 画 して 設 置 され,2007 年 12 月 まで 作 業 が 続 けられた そして2009 年 9 月 1 日 付 の 省 令 により, 社 会 福 祉 的 介 入 による 日 常 生 活 の 広 範 囲 な 課 題 に 対 応 できる CESF の 育 成 に 力 点 が 置 かれた 養 成 課 程 を 柱 とする 改 革 が 施 行 され, 現 在 に 至 っ ている (8) Ⅱ 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 養 成 課 程 次 に, 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 養 成 課 程 について 紹 介 する 2011 年 9 月 に 筆 者 が 訪 問 したドゥー 県 ブザンソン 市 にある 養 成 校 である Le Institut Régional du Travail Social (IRTS) フランシュ=コンテにおいて 使 用 されている CESF 国 家 資 格 養 成 課 程 における 職 務 の 基 本 事 項 は 表 1の 通 りである (9) 職 能 の 領 域 DC (11) 1/ 日 常 生 活 の 領 域 における 社 会 教 育 を 目 的 とし た 助 言 と 評 価 DC1A DC1A DC1A DC1A DC1B 表 1 職 能 の 基 本 事 項 職 能 職 能 の 指 標 C (10) 1. 4 消 費, 住 居, 社 会 復 帰, 食 クライアントのニーズの 見 極 めを 行 う 生 活 健 康 管 理 の 領 域 にお 情 報 やデータを 収 集 する いて 技 術 学 習 を 行 う 収 集 した 情 報 を 選 別 する 技 術 学 習 内 容 を 作 成 し,フォローする データと 情 報 の 組 織 化 を 行 う 問 題 を 発 見 し, 管 轄 部 署 への 伝 達 を 行 う C1. 5 地 元 住 民 と 関 係 機 関 を 交 既 に 存 在 する 社 会 資 源 を 完 全 かつ 適 切 に 分 析 を 行 え,ローカルレベルにおけ う る 環 境 の 管 理 のためのプロ 実 現 性 のある, 状 況 に 応 じた 解 決 策 を 実 施 する ジェクトを 考 案, 策 定 する プロジェクトの 方 法 論 の 習 得 と 実 施 を 行 う C1. 8 提 供 した 業 務 の 質 を 見 極 め 手 順 並 びに 取 決 めを 順 守 する る 異 常 と 問 題 を 検 知 する クライアントの 満 足 度 を 評 価 する 修 正 策 の 提 案 を 行 う C1. 9 チームの 連 携, 調 整 整 合 性 のあるチームのメンバーによる 介 入 をおこ なう 職 能 を 考 慮 する さまざまな 制 約 を 考 慮 する スケジュール 策 定 に 参 加 する 状 況 に 見 合 った 作 業 方 法 を 提 案 する C1. 6 家 計 の 策 定 ; 収 入 借 入 書 収 入 と 支 出 を 見 極 める 類 の 作 成 を 行 なう 家 計 の 仕 組 みを 考 慮 する 家 計 のプレゼンテーションを 行 う 170

職 能 の 領 域 DC 1/ 日 常 生 活 の 領 域 における 社 会 教 育 を 目 的 とし た 助 言 と 評 価 DC2/ DC2 の 作 業 全 般 を 通 し, 倫 理 観 に 根 差 した 姿 勢 が 貫 かれなければならない 社 会 福 祉 的 介 入 特 に 予 防 的 措 置 として,グループに 対 する 介 入 を 構 築 する ISIC (12) 日 常 生 活 の 領 域 におけるクライ アント 集 団 の 利 益 のための 社 会 福 祉 的 介 入 DC1B DC1C DC1C DC1C 職 能 職 能 の 指 標 C1. 7 個 人 向 けまたは 集 団 向 け 活 確 保 された 家 庭 の 収 入 を 管 理 する 動 の 予 算 管 理 を 行 う バランスシートのプレゼンテーションを 行 う 決 められた 期 限 を 順 守 する 定 期 的 なフォローを 実 施 する C1. 1 日 常 生 活 に 関 連 した 社 会 現 多 種 多 様 な 情 報 源 を 調 査 する 象 を 分 析 するための 技 術 時 機 を 得 た 情 報 を 活 用 する 的, 科 学 的, 法 的 なモニタ 選 定 された 情 報 を 整 理 し, 発 信 する リングを 行 う ソーシャルワークに 関 する 問 題 を 明 らかにする 研 究 を 推 進 する C1. 2 知 識, 技 術, 経 験 の 変 遷 実 践 や 自 己 評 価 に 関 する 客 観 的 な 分 析 を 行 う 推 移 を 考 慮 した 上 で, 自 ら 自 らの 経 験 を 伝 授 する 能 力 を 養 う の 実 践 経 験 や 専 門 性 を 時 代 や 状 況 に 合 わせる C1. 3 個 人,グループ, 機 関 に 対 し, 意 思 決 定 の 一 助 となる ようなアドバイス 業 務 およ び/または 情 報 活 動 を 行 う DC2AB C2. A. 1 日 常 生 活 の 領 域 において, プロジェクトの 方 法 論 を 実 行 する グループに 対 し 集 団 的 なア 状 況 の 理 解 に 必 要 となる 全 てのデータを 収 集 する ドバイスや 情 報 提 供 を 推 クライアント 各 人 の 潜 在 能 力 を 見 出 し, 価 値 を 見 進, 参 加,かつ/または 考 案, 出 す 指 揮 する 必 要 となるパートナーを 特 定 し, 動 員 する 優 先 順 位 のついた 行 動 プランを 作 成 する 成 果 を 評 価 する 修 正 調 整 のための 行 動 を 実 行 する DC2AB C2. A. 2 集 団 レベルの 支 援 の 関 係, グループに 対 する 社 会 福 祉 的 介 入 の 方 法 論 を 実 行 する 伴 走 を 実 行 する グループを 指 導 するための 技 術 を 習 熟 する C2. A. 3 グループと 交 渉 した 支 援 計 グループ 構 成 員 間 の 衝 突 や 対 立 に 対 処 するための 画 を 作 成 し, 伴 走, 実 行 す 技 術 を 習 熟 する る グループダイナミックスの 概 念 を 理 解 する DC2AB C2. A. 4 共 通 の 問 題 を 抱 えるグルー グループに 共 通 した 問 題 点 を 見 出 す プのメンバーの 抱 える 問 題 グループ 構 成 員 の 可 能 性, 潜 在 能 力 を 見 出 し, 価 を 共 有 化 することを 目 的 と 値 づける した 行 動 を 指 揮 指 導 する グループの 組 織 化 および 自 治 を 支 援 する 消 費, 住 居, 社 会 復 帰, 食 生 活, 健 康 管 理 などの 分 野 において 専 門 資 料 を 探 し, 収 集 し, 活 用 する 収 集 した 情 報 をまとめ, 伝 え, 配 布 する 情 報 のアップデートを 行 う クライアントに 向 けて 適 切 かつ 有 用 な 情 報 を 選 択 し, 提 供 する 情 報 をクライアントに 適 応 した 内 容 とする 近 隣 ネットワークの 構 築 発 展 に 貢 献 する ( 例 : 交 流 ネットワーク, 知 識 のネットワークなど) 地 域 の 社 会 福 祉 プロジェクトの 発 展 に 参 画 する 171

フランスにおける 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 成 立 とその 養 成 課 程 ( 佐 藤 順 子 ) 職 能 の 領 域 ISIC 日 常 生 活 の 領 域 におけるクライ アント 集 団 の 利 益 のための 社 会 福 祉 的 介 入 ISAP (13) 日 常 生 活 の 領 域 における 社 会 福 祉 的 介 入 による クライアントへ の 支 援 ISAF (14) 日 常 生 活 の 領 域 における 社 会 福 祉 的 介 入 による 指 導 と 教 育 DC3/ 業 務 の 広 報 DC2AB DC2AB DC2AB DC2AB DC2AB DC2C DC2C DC2C DC3 職 能 職 能 の 指 標 C2. A. 5 地 域 における 活 力 や 推 進 力 地 域 の 分 析 を 行 う を 見 つけて 分 析 する ニーズの 診 断 を 行 う プロジェクト 方 法 論 を 的 確 に 活 用 する C2. A. 6 地 域 に 既 存 の 活 力 や 推 進 力 地 域 環 境 にある 社 会 資 源 を 見 つけ 動 員 する に CEFS の 活 動 を 盛 り 込 必 要 となるパートナーを 動 員 する み,かつ/または,これらの 創 設 および 展 開 に 参 画 する 予 防 的 および 問 題 解 決 の 観 点 からクライアントと 共 に 個 別 プロジェクトを 策 定 する C2. B.1 クライアントの 状 況 診 断 を 行 う 状 況 の 理 解 に 必 要 なデータを 収 集, 選 択, 分 析 す る クライアントの 潜 在 能 力 を 見 出 し, 価 値 付 ける 複 雑 な 状 況 を 全 ての 観 点 から 分 析 する C2. B.2 支 援 計 画 を 交 渉 して 策 定 状 況 に 応 じた 人 間 関 係 構 築 のための 技 術 を 使 う し, 伴 走, 実 行, 評 価 する 地 域 で 賄 えるリソース ( 人 材 財 源 など) を 動 員 する 行 動 に 優 先 順 位 をつける 実 際 に 得 られた 成 果 と 当 初 目 標 との 差 を 測 定 する C2. B.3 介 入 の 成 果 を 評 価 する 修 正 調 整 のための 行 動 を 定 義, 実 行 する 状 況 分 析 の 結 果 をクライアントとシェアする C2. C. 1 日 常 生 活 の 領 域 においてグ ニーズの 分 析 に 基 づき, 教 育 養 成 の 希 望 状 況 を ループおよび 個 人 と 共 に 教 見 極 め,クライアントまたはグループの 関 心 事 項 育 のための 行 動 を 考 案 する を 見 つけ 出 す グループワーク 参 加 者 の 知 識, 能 力, 知 識 への 関 心 度 などに 基 づき, 参 加 者 と 協 力 して 教 育 養 成 を 作 成 する 状 況 とクライアントに 適 合 した 方 法 を 探 求 し,か つ/または 考 案 する グループの 養 成 講 座 ( 講 座 内 容, 目 標, 評 価 基 準 ) を 企 画 する C2. C. 2 指 導 および 教 育 のための 行 動 を 指 揮 する C2. C. 3 実 施 された 行 動 を 評 価 する 指 揮 指 導 の 技 術 を 習 熟 する クライアントのコンピタンスおよび 知 識 を 生 か し, 評 価 する 評 価 ツールを 考 案, 構 築 する クライアントを 交 えて, 総 括 表 を 作 成 する 期 待 成 果 と 実 際 に 得 られた 成 果 を 分 析 する C3. 1 市 民,CESF などやその 所 情 報 の 精 密 度, 新 しさ, 正 確 性 に 留 意 し, 広 報 内 属 機 関 に 向 けた 戦 略 的 な 広 容 の 選 定 を 行 う 報 の 仕 方 を 考 案 し, 作 成 す クライアントに 対 し 適 合 した 広 報 手 段 を 選 択 する る 適 合 した 広 報 媒 体 を 作 成 する 適 合 した 情 報 テクノロジーを 活 用 する 情 報 を 処 理, 管 理 する ( 重 要 な 事 項 を 総 括, 報 告 書, 書 簡, 活 動 報 告 書 などの 形 で 整 理,レイアウ トする) 172

DC3/ 業 務 の 広 報 職 能 の 領 域 DC3 DC3 DC3 DC4A DC4A DC4B 職 能 C3. 2 市 民, 他 職 種 および 所 属 機 関 に 対 する 情 報 伝 達 を 行 う C3. 3 職 業 倫 理 に 則 った 職 業 上 の 関 係 の 構 築 を 図 る C3. 4 CESF の 職 業 上 の 知 識 を 向 上 させ, 職 能 の 伝 授 を 図 る C4. 2 制 度 上 の 論 理, 組 織 上 の 戦 略 を 尊 重 する C4. 7 クライアントと 共 に 契 約 書 類 の 作 成 に 参 加 する C4. 3 所 属 機 関 を 代 表 する 契 約 を 考 案, 作 成 する 文 書 を 作 成 する 上 司 の 承 認 を 得 る 職 能 の 指 標 職 業 倫 理 のルールを 守 った 上 で, 正 確 で 最 新 かつ 客 観 的 な 情 報 を 伝 達 する 意 思 決 定 の 一 助 となる 要 素 を 伝 達 する 質 の 高 い 表 現 によって 活 力 あるプレゼンテー ションを 行 う 所 属 機 関 および CESF の 役 割 を 推 進 する 要 素 を 紹 介 する 対 象 者 に 合 わせたプレゼンテーションを 行 う 作 業 ミーティングの 進 行 役 としての 質 を 確 保 し, グループ 活 動 の 調 整 役 としての 適 性 を 保 つ 相 手 の 話 を 聞 く 力, 状 況 を 理 解 する 力 を 身 につけ る 同 僚 や 他 機 関 との 協 働 と 向 き 合 いを 意 識 する クライアントの 多 様 性 に 合 わせたメッセージの 内 容 を 設 定 する 業 務 実 践 の 概 念 づくりを 行 う 自 己 評 価 を 行 う 実 習 先 の 業 務 ( 実 習 ) を 行 う 価 値 観, 知 識, 職 業 方 法 論 を 伝 授 し,それらを 実 践 する 制 度 上, 人 的, 財 務 上 の 観 点 などにおける 責 務 と 制 約 を 考 慮 する クライアントに 組 織, 機 関,および/または 業 務 のイメージ, 価 値 観, 任 務 を 伝 達 する C4. 4 調 停 の 役 割 を 果 たす 調 停 の 条 件 と 技 術 を 実 施 する C4. 5 交 渉 の 役 割 を 全 うする 交 渉 の 技 術 を 実 行 する C4. 6 支 援 チームの 内 部, 複 数 の 他 職 種 および 他 機 関 と 協 働 する 業 務 および/または 複 数 の 診 断, 共 同 分 析,プロジェクトを 共 同 で 作 成 し, 機 関 にまたがるチーム 作 業 実 施 する に 参 加 する 表 1の 脚 注 によると,CEFS は 家 計 に 困 難 をきたしている 世 帯 に 対 して, 家 族 構 成 員 の 役 割 を 考 慮 した 上 で, 生 産 と 消 費 の 仕 組 みをより 良 く 理 解 し, 家 計 管 理 ができるよう 確 立 された 行 動 がとれるように 支 援 することを 目 標 としている (15) 具 体 的 には,クライアントに 伴 走 するという 理 念 の 下 で, 消 費 住 居 社 会 復 帰 食 生 活 健 康 管 理 の 領 域,とりわけ,1 家 計 の 収 入 と 支 出 を 見 極 める,2 家 計 の 仕 組 みを 考 慮 す る,3 家 計 のプレゼンテーションを 行 う,4 確 保 された 家 庭 の 収 入 を 管 理 する,5 家 計 のバランスシートのプレゼンテーションを 行 う という 5 つの 領 域 を 中 心 とした 家 計 管 173

フランスにおける 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 成 立 とその 養 成 課 程 ( 佐 藤 順 子 ) 理 支 援 に 関 する 職 能 の 獲 得 がはじめに 置 かれていることが,CEFS 養 成 課 程 における 特 徴 的 な 点 と 言 えよう Ⅲ CEFS の 実 習 について 次 に,CEFS の 実 習 について 述 べる 2009 年 9 月 1 日 付 の 省 令 では, 実 習 は 次 の 6 つの 事 項 を 習 得 することを 目 的 としている 1 CEFS 固 有 の 方 法 論 および 技 術,2 職 業 人 としての 姿 勢 と 倫 理 観,3 クライアントのかか える 社 会 福 祉 問 題 の 発 見,4 実 習 先 の 組 織 体 制 の 理 解,5 クライアントとの 関 係 およびクラ イアント 同 士 の 関 係 の 構 築 方 法,6 関 係 する 他 機 関 他 職 種 の 連 携 方 法 など,である (16) IRTS フランシュ=コンテの 管 理 教 育 者 であるアニエス フォステルさんによると, 経 済 社 会 家 族 高 等 技 術 者 免 許 状 を 有 する 者 の 場 合,1 年 間 の 教 育 課 程 において 540 時 間 の 授 業 を 履 修 し, 指 定 された 現 場 で 560 時 間 の 実 習 が 行 われる ここではブザンソン 市 にあるドゥー 県 Union Départementale des Associations Familiales (UDAF) でのベルナール ゴラールさんからの 聴 き 取 り 結 果 をもとに, 以 下,CEFS の 実 習 について 述 べる UDAF はフランスの 全 土 にある 組 織 で, 主 な 業 務 は, 自 分 で 家 計 管 理 が 困 難 となった 高 齢 者, 障 害 者 や 多 重 債 務 者 に 対 する 収 入 支 出 の 管 理 支 援 を 行 なうことである 例 えば, 家 族 手 当 金 庫 からの 家 族 手 当 を 子 どものために 支 出 せず,カップルまたは 夫 婦 の 浪 費 等 のために 費 消 した 結 果, 多 重 債 務 におちいって, 子 どもの 養 育 に 対 して 必 要 な 支 弁 を 果 た せない 場 合, 県 の 社 会 福 祉 課 が 裁 判 所 に 通 告 し, 判 事 の 判 断 を 経 て, 家 族 手 当 金 庫 は 家 族 手 当 を UDAF に 管 理 を 委 託 する 仕 組 みとなっている カップルまたは 夫 婦 が 多 重 債 務 者 である 場 合 には, 県 多 重 債 務 委 員 会 での 調 停 を 経 て UDAF の 職 員 が 家 計 簿 作 成 指 導 などの 家 計 管 理 支 援 を 行 なう そして,クライアントに 家 計 管 理 能 力 がついてきたかどうか 評 価 したうえで, 家 族 手 当 を 直 接, 家 族 に 支 給 することの 適 否 について 家 族 手 当 金 庫 に 対 して 意 見 を 述 べることとなる ただし,クライアントが 認 知 症 の 高 齢 者 の 場 合 などは, 長 期 間 にわたって UDAF が 家 計 管 理 を 行 なうこともある 実 習 は,まず 実 習 生 が 職 員 の 業 務 の 見 学 や 他 機 関, 家 庭 への 同 行 訪 問 を 行 ったのち, 実 習 生 が 自 らクライアントを 担 当 して 支 援 にあたり,また,グループワークを 企 画 実 行 するなど, ほぼ 職 員 に 近 い 業 務 をおこなう 実 習 中 は IRTS フランシュ=コンテの 教 員 が 実 習 の 進 捗 状 況 を 評 価 するために 訪 問 し, 実 習 先 であるドゥー 県 UDF が 直 接, 実 習 生 に 対 して 評 価 を 行 うことはない 実 習 生 は 卒 業 後 の 職 174

に 対 する 志 向 が 明 確 であり, 授 業 を 通 してすでに 知 識 と 行 動 力 を 身 につけており,また, 実 習 前 に 職 員 と 実 習 生 が 面 接 を 行 っているため, 今 まで 実 習 中 にトラブルが 起 きたことはない 養 成 学 校 の 卒 業 後 はドゥー 県 UDAF に 限 らず, 実 習 先 でそのまま 雇 用 されるケースもある また,CEFS 有 資 格 者 である UDAF の 職 員 が CEFS 養 成 学 校 の 教 員 となる 場 合 も 多 く, 実 習 に 関 しての 意 思 疎 通 が 上 手 く 図 られていると 考 えている 以 上,CEFS の 実 習 についてアウトラインを 述 べてきたが, 実 習 生 には 養 成 校 入 学 時 に 面 接 試 験 が 実 施 され, 実 習 後 は CEFS 国 家 試 験 を 控 えており,また, 実 習 先 でそのまま 雇 用 され るケースもあることから, 実 習 生 の 実 習 に 対 する 動 機 付 けと 実 習 先 でのパフォーマンスは 非 常 に 高 い 実 習 に 対 する 評 価 は 実 習 中 の 養 成 校 教 員 によって 行 われているが, 実 習 内 容 はむしろ 職 業 訓 練 に 近 い 形 で 行 なわれていると 言 えよう Ⅳ 日 本 への 示 唆 以 上 述 べてきたように,CEFS 国 家 資 格 の 成 立 に 至 る 道 筋 は 次 のようにまとめることができ よう すなわち, 当 初 は 家 庭 生 活 を 送 るための 一 般 的 な 知 識 技 能 としての 家 政 教 育 として 広 がりを 見,のちに, 義 務 教 育 として 家 庭 科 に 組 み 入 れられた その 後, 家 庭 科 教 育 は 学 校 教 育 においてのみではなく, 変 容 する 社 会 生 活 において 有 用 であることが 広 く 認 識 されて 行 った そして 国 家 資 格 としての 成 立 後 は, 社 会 福 祉 的 介 入 を 基 盤 とした CEFS の 実 践 活 動 が 広 く 社 会 に 浸 透 し, 職 としての 地 位 を 築 いてきたと 言 えよう これは, 家 庭 運 営 に 関 する 知 識 技 能 と 社 会 福 祉 的 介 入 が 一 体 化 されて,ひとびとの 生 活 上 の 諸 問 題 の 解 決 にあたる,というフランス 独 自 のソーシャルワークの 成 立 が 図 られたことを 意 味 すると 言 えよう 本 稿 のはじめに 述 べたように, 日 本 では 個 々の 世 帯 収 支 や 借 金 については 家 庭 のプライベー トな 問 題 として 捉 えられ, 家 計 管 理 は 家 族 あるいは 特 定 の 家 族 構 成 員 による 自 律 にゆだねられ ているのが 現 状 である しかし,このような 背 景 を 持 ちながらも, 多 重 債 務 題 が 社 会 問 題 化 し たことを 契 機 として, 次 に 述 べるように 家 計 管 理 支 援 についてその 必 要 性 が 認 識 される 時 期 に 来 ているのではないか 1. 生 活 資 金 事 業 資 金 の 貸 付 である 生 活 福 祉 資 金 貸 付 事 業 に 関 連 して 貸 金 業 法 改 正 に 伴 って,2009 年 10 月 より 生 活 福 祉 資 金 貸 付 事 業 における 借 受 世 帯 への 相 談 支 援 の 実 施 が 明 文 化 され, 総 合 支 援 資 金 に 関 しては 市 町 村 社 会 福 祉 協 議 会 または 都 道 府 県 社 会 福 祉 協 議 会 に 相 談 員 をおくことができるとされた 経 過 がある ただし, 相 談 員 の 勤 務 形 態 は 常 勤 非 常 勤 を 問 わず, 他 の 業 務 との 兼 務 が 可 能 とされている 175

フランスにおける 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 成 立 とその 養 成 課 程 ( 佐 藤 順 子 ) そして, 相 談 員 の 業 務 として 次 の 7 つが 挙 げられている 1 借 入 申 込 者 に 対 する 相 談 支 援 2 貸 付 けの 必 要 性, 妥 当 性 の 判 断,3 実 施 主 体 及 び 関 係 機 関 が 行 なう 支 援 内 容 の 策 定,4 借 入 申 込 者 が 行 なう 貸 付 金 償 還 計 画 作 成 の 支 援,5 関 係 機 関 との 連 携,6 貸 付 期 間 中 又 は 貸 付 後 の 定 期 的 な 相 談 支 援, 償 還 指 導,7 制 度 の 周 知,である (17) しかし, 相 談 員 は 他 の 業 務 との 兼 務 が 可 能 とされており, 相 談 員 1 人 当 たりの 担 当 世 帯 数 の 例 示 もなされていないことから, 貸 付 と 償 還 支 援 の 両 面 にわたる 支 援 にまで 至 っていない 実 態 もみられる (18) また, 生 活 福 祉 資 金 貸 付 事 業 担 当 者 に 対 する 家 計 管 理 支 援 に 関 する 研 修 も 決 して 十 分 な 状 態 であるとは 言 いがたい 現 状 にある (19) 2. 家 計 管 理 支 援 の 今 後 生 活 福 祉 資 金 貸 付 事 業 における 相 談 体 制 と 相 談 員 の 現 状 については 上 述 したとおりであるが, 平 成 24 年 7 月 5 日 付 厚 生 労 働 省 生 活 支 援 戦 略 中 間 まとめ において, 家 計 管 理 支 援 は 貸 付 と 組 み 合 わせるというかたちで 施 策 の 達 成 のために 位 置 づけられた 具 体 的 には, 生 活 困 窮 者 支 援 体 制 の 確 立 のなかで, 新 たなセーフティネットとして 多 様 な 就 労 機 会 の 確 保 と 家 計 再 建 ( 貸 付 と 相 談 支 援 )+ 居 住 の 確 保 を 果 たす,というものであ り,その 目 的 は, 就 労 可 能 層 が 生 活 保 護 に 頼 ることがないよう,また, 生 活 保 護 から 脱 却 でき ることにあるとされている しかし, 家 計 再 建 支 援 の 成 否 には 次 の 2 つの 条 件 が 必 要 であると 考 える 第 1 に, 資 金 の 借 り 手 等 にとって, 家 計 管 理 支 援 を 受 けることに 対 する 自 発 的 なインセン ティヴを 設 定 することである 筆 者 が 2011 年 2 月 に 行 った A 自 治 体 内 の 市 町 村 社 会 福 協 議 会 生 活 福 祉 資 金 貸 付 事 業 担 当 者 アンケート 調 査 結 果 によると, 申 請 しても 総 合 生 活 支 援 資 金 貸 付 に 至 らなかった 理 由 ( 複 数 回 答 ) として,57.1% が 以 前 の 貸 付 金 の 償 還 が 完 了 していない とされていた 貸 付 と 家 計 管 理 支 援 を 組 み 合 わせることで 効 果 を 発 揮 するのはこのような 事 例 においてではないだろうか (20) 第 2に, 相 談 員 としてのキャリアを 形 成 できる 実 施 体 制 を 整 備 することである 同 じく 2011 年 2 月 に 筆 者 が 実 施 した,A 自 治 体 内 の 市 町 村 社 会 福 協 議 会 生 活 福 祉 資 金 貸 付 事 業 担 当 者 アンケート 調 査 結 果 によると, 総 合 支 援 資 金 が 加 わって 相 談 者 が 増 加 しているが, 対 応 する 職 員 の 恒 常 的 な 人 件 費 が 組 まれていない との 回 答 があり, 期 待 された 相 談 業 務 を 行 なうまでに 至 らない 実 施 体 制 にある さらに,2012 年 2 月 3 月 に 行 った A 自 治 体 内 の 市 町 村 社 会 福 協 議 会 生 活 福 祉 資 金 貸 付 事 業 担 当 者 聴 き 取 り 調 査 結 果 によると, 相 談 員 の 人 件 費 は 緊 急 雇 用 創 出 臨 時 特 例 交 付 金 によるものであり, 恒 常 的 に 配 置 できない 相 談 員 の 人 件 費 は 単 年 度 予 算 であり, 次 年 度 以 降 予 算 化 されるか 不 透 明 など, 相 談 員 を 配 置 できない 現 状 につ いての 訴 えがあり (21), 相 談 員 のキャリア 形 成 には 結 びついていない 実 態 にあると 言 えよう また, 家 計 管 理 支 援 はそれだけを 目 的 とするものではない 家 計 管 理 支 援 は 家 族 のかかえる 176

問 題 解 決 のきっかけとなる 役 割 を 果 たすべき 位 置 付 けにある そのためには, 市 町 村 社 会 福 祉 協 議 会 がこれまで 貸 付 相 談 を 通 して 蓄 積 してきた 相 談 援 助 のノウハウを 活 かす 必 要 があること は 言 うまでもない (22) そして, 支 援 を 求 めるクライアントが, 自 らの 状 況 や 環 境 との 関 係 を 改 善 することを 目 標 に, 家 計 管 理 支 援 を 行 なう 必 要 があると 考 える 最 後 に,フランスにおいて 家 庭 科 教 員 を 出 自 とした CESF がソーシャルワーカーとして 発 展 していった 契 機 についての 調 査 研 究 は, 日 本 におけるソーシャルワーカーのこれからの 発 展 を 考 える 上 で 有 意 義 であると 考 えられるため, 今 後 の 研 究 課 題 としたい 注 ( 1 ) conseiller は 助 言 を 与 える, 指 導 する 者 の 意 である ( デイリーコンサイス 仏 和 和 仏 辞 典 第 2 版 三 省 堂 編 集 所 2011 年 ) が, 本 稿 では conseiller en économie sociale familiale の 省 令 による 定 義 と 業 務 内 容 から cnseiller の 邦 訳 をソーシャルワーカーとした ( 2 ) アソシアシオン (Asosiation) は 前 掲 1 によると, 会, 協 会, 組 合 の 意 であるが,フランスで はその 活 動 の 種 類 は 幅 広 く,レジャーやスポーツから 社 会 貢 献 や 教 育 に 至 るまで 多 様 な 組 織 を 指 す ( 3 ) Arrête du 1 er Septembre 2009 RELATIF audiplo ME dʼtat de conseiller en économie sociale familiale および DIPLO MEdʼTAT de conseiller en économie sociale familiale の 中 から,ANNNEX Ⅰ REFERENTIEN PROFSSIONNEL より 引 用 ( 4 ) 石 黒 由 美 子 フランスにおける 消 費 者 ソーシャル ワーカーによる 家 計 管 理 援 助 季 刊 家 計 経 済 研 究 1991 年 冬 号 56-73 頁 ( 5 ) 陣 内 恭 子 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 国 家 資 格 CESF 家 計 管 理 のできる 人 材 育 成 と 資 格 導 入 のヒント 平 成 21 年 度 厚 生 労 働 省 社 会 福 祉 推 進 事 業 費 補 助 研 究 多 重 債 務 問 題 と 生 活 再 生 支 援 のこれから フランスの 先 進 事 例 から 私 たちがまなんだこと グリーンコープふくお か 42-50 頁 2010 年 ( 6 ) 佐 藤 順 子 フランスにおける 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 実 践 家 族 手 当 金 庫 を 中 心 に 佛 教 大 学 福 祉 教 育 開 発 センター 紀 要 第 8 号 151-159 頁 2011 年 ( 7 ) 金 融 庁 ホームページ http : //www.fsa.go.jp/policy/kashikin/housaku.pdf 借 り 手 の 目 線 に 立 った 10 の 方 策 より 引 用 ( 平 成 24 年 8 月 25 日 閲 覧 ) ( 8 ) France EFS 資 料 Historique de la profession de conseiller en économie sociale familiale より 引 用 ( 9 ) CESF に 固 有 の 技 術 である 家 計 の 教 育 的 行 動 とは, 家 計 に 困 難 をきたす 家 族 に 対 して 行 なわれ, 家 族 構 成 員 の 役 割 を 考 慮 した 上 で, 生 産 と 消 費 の 現 象 についてのクライアントの 理 解 を 深 め, 家 計 管 理 が 確 立 できるような 行 動 を 指 す ブリジット ブケ,ジャン=イヴ バレイル 監 修 社 会 福 祉 事 業 の 批 評 的 新 辞 典 28-29 頁 バ イヤール 出 版 社 2006 年 発 行 より 引 用 (10) C は Competence ( 職 能 コンピタンス) の 略 (11) DC は Domaine de competence ( 職 能 の 領 域 ) の 略 (12) ISIC (intervention sociale dʼintérêt collectif) は 集 団 利 益 のための 社 会 福 祉 的 介 入 という 概 念 で, その 内 容 は1988 年 に 社 会 福 祉 高 等 評 議 会 によって 構 築 された (13) ISAP (Intervention sociale dʼaideà la personne dans les domainesde la vie quotidienne) は, 支 援 の ための 社 会 福 祉 的 介 入 という 概 念 で,その 内 容 は 1996 年 に 社 会 福 祉 高 等 評 議 会 によって 構 築 され, 177

フランスにおける 家 庭 経 済 ソーシャルワーカーの 成 立 とその 養 成 課 程 ( 佐 藤 順 子 ) ソーシャルワーカーによる 意 図 的 なクライアントとの 相 互 作 用 的 な 活 動 を 指 す 支 援 を 求 めるクライアントまたは 支 援 を 受 け 入 れるクライアントが, 自 らの 状 況 や 環 境 との 関 係 を 改 善 し,ソーシャルワーカーがクライアントを 巻 き 込 んで 行 う 参 加 の 方 法 をさす ブリジット ブケ,ジャン=イヴ バレイル 監 修 社 会 福 祉 行 動 の 批 評 的 新 辞 典 321 頁 バイ ヤール 出 版 社 2006 年 発 行 より 引 用 (14) ISIF (Intervention Sociale dʼanimation et de Formation dans le domaine de la vie quotidienne の 略 で, 日 常 生 活 の 領 域 における 社 会 福 祉 的 介 入 による 指 導 と 教 育 をさす (15) DIPLO MEdʼTAT DE Conseiller en économie sociale familiale の 中 から ANNNEX ⅢREFEREN- TIEN COMPETENCES および Arrête du 1 er Septembre 2009 RELATIF au DIPLO ME dʼtat de Conseiller en économie sociale familiale の 脚 注 より 引 用 (16) 前 掲 15 より 引 用 (17) 平 成 21 年 7 月 28 日 付 厚 生 労 働 省 社 会 援 護 局 長 生 活 福 祉 資 金 ( 総 合 支 援 資 金 ) 貸 付 制 度 の 運 営 について 社 援 発 0728 第 12 号 より 引 用 (18) 2011 年 2 月 に 実 施 した A 自 治 体 内 の 市 町 村 社 会 福 協 議 会 生 活 福 祉 資 金 貸 付 事 業 担 当 者 アンケート 調 査 結 果 によると, 家 計 管 理 能 力 を 問 わないため, 未 返 済 の 問 題 が 生 じていると 思 う, 経 済 的 につまずけば, 坂 を 転 げ 落 ちるように 転 落 してしまう 現 在 の 社 会 経 済 状 況 のなかで, 貸 付 で 回 復 できる 世 帯 はかなり 限 られており, 不 正 な 借 り 入 れをなくし, 家 計 支 援 の 力 をもった 第 3 の 方 策 が 必 要, 借 りやすい 制 度 にするよりも, 家 計 管 理 指 導 を 行 ったうえで 必 要 な 融 資 を 行 うという 考 え 方 が 必 要 だが,そのためには 専 門 職 の 配 置 が 必 要 であり, 経 費 面 の 問 題 がある などの 自 由 記 述 が 見 られた 佐 藤 順 子 生 活 福 祉 資 金 貸 付 制 度 の 改 正 が 意 味 するもの 2009 年 改 正 を 中 心 に 佛 教 大 学 社 会 福 祉 学 部 論 集 第 8 号 57-77 頁 2012 年 (19) 同 じくアンケート 調 査 結 果 によると, 担 当 者 が 参 加 したことのある 研 修 として 制 度 の 知 識 に 関 するもの が 85.7% と 最 も 多 く, 次 いで 共 感 傾 聴 等 の 社 会 福 祉 援 助 技 術 が 46.4% と 続 く 一 方 で 今 後, 担 当 者 が 希 望 する 研 修 として 社 会 福 祉 社 会 保 障 制 度 や 施 策 が 67.9%, 生 活 保 護 や 制 度 が 57.1%, 次 いで 世 帯 の 家 計 管 理 指 導 援 助 の 42.9% と, 参 加 したことのある 研 修 と 希 望 する 研 修 には 乖 離 があると 言 えるだろう 前 掲 18 に 同 じ (20) 前 掲 18 に 同 じ (21) 前 掲 18 に 同 じ (22) 新 保 美 香 は2009 年 10 月 の 総 合 支 援 資 金 貸 付 創 設 以 降, 社 会 福 祉 協 議 会 への 生 活 困 難 者 からの 相 談 件 数 の 増 加 に 伴 って, 相 談 対 応 の 必 要 な 住 居 生 活 困 難 者 の 姿 が 把 握 できた 側 面 があることを 指 摘 している 新 保 美 香 生 活 再 建 を 支 えるセーフティネットのあり 方 を 考 える 生 活 福 祉 資 金 貸 付 制 度 ( 総 合 支 援 資 金 )をめぐる 課 題 を 手 がかりに 社 会 福 祉 研 究 第 114 号 61-67 頁 2012 年 貸 付 の 相 談 窓 口 である 社 会 福 祉 協 議 会 が 貸 付 相 談 を 通 してどのような 生 活 困 難 事 例 を 把 握 し, 解 決 の 手 がかりとしてどのような 役 割 を 果 たしたかを 明 らかにし, 発 信 することが 望 まれると 考 える 参 考 文 献 1 ) フランス 教 育 学 会 編 著 フランス 教 育 の 伝 統 と 革 新 2009 年 大 学 教 育 出 版 2) 浅 野 清 編 著 学 歴 社 会 フランスの 学 校 制 度 成 熟 社 会 の 教 育 家 族 雇 用 システム 日 仏 の 比 178

較 から 21-47 頁 NTT 出 版 2005 年 3 ) 村 田 尚 紀 フランスにおけるアソシアシオンの 現 状 立 命 館 大 学 人 文 科 学 研 究 所 紀 要 84 号 119 145 頁 2004 年 4 ) 松 村 祥 子 出 雲 祐 二 藤 森 宮 子 社 会 福 祉 に 関 する 日 仏 用 語 の 研 究 (2) 放 送 大 学 年 報 第 23 号 97-107 頁 2005 年 5 ) ジャック モロー 著 石 塚 秀 雄 中 久 保 邦 夫 北 島 健 一 訳 社 会 的 経 済 とは 何 か 日 本 経 済 評 論 社 1996 年 6 ) ジグムント バウマン 著 伊 藤 茂 訳 新 しい 貧 困 労 働, 消 費 主 義,ニュープア 青 土 社 2008 年 7 ) 研 究 代 表 者 西 村 隆 男 文 部 科 学 省 科 学 研 究 費 基 盤 研 究 (c) 研 究 課 題 番 号 17500501 家 計 管 理 能 力 回 復 プログラム 開 発 と 生 活 支 援 アドバイザー 制 度 導 入 に 関 する 研 究 研 究 報 告 書 8 ) 新 保 美 香 生 活 再 建 を 支 えるセーフティネットのあり 方 を 考 える 生 活 福 祉 資 金 貸 付 制 度 ( 総 合 支 援 資 金 )をめぐる 課 題 を 手 がかりに 社 会 福 祉 研 究 第 114 号 61-67 頁 2012 年 [ 謝 辞 ] 聴 き 取 りに 調 査 に 応 じて 頂 き, 貴 重 な 資 料 を 頂 戴 した Le Institut Régional du Travail Social フランシュ= コンテのアニエス フォステルさん,ドゥー 県 Union Départementale des Associations Familiales のベ ルナール ゴラールさんに 感 謝 します とりわけアニエス フォステルさんにはドゥー 県 で 働 く 社 会 福 祉 職 の 方 々との 懇 談 会,Le Institut Régional du Travail Social フランシュ=コンテの 学 生 との 交 流 の 場,およびフランス CEFS 全 国 理 事 会 に 参 加 する 機 会 を 設 けて 頂 き,CEFS についての 理 解 の 援 けとなりました 調 査 に 同 行 して 頂 いた 横 浜 国 立 大 学 教 育 人 間 科 学 部 西 村 隆 男 教 授 ならびに 訪 問 先 との 連 絡 調 整 通 訳 資 料 翻 訳 にあたってご 協 力 を 頂 いた 小 野 あけみ 氏 に 心 より 感 謝 します 本 稿 は 平 成 23 年 度 佛 教 大 学 特 別 研 究 費 による 成 果 の 一 部 である (さとう じゅんこ 佛 教 大 学 福 祉 教 育 開 発 センター) 2012 年 9 月 21 日 受 理 179