産 大 法 学 47 巻 2 号 (2013. 10) 公 的 年 金 制 度 の 残 された 課 題 の 考 察 (1) 無 年 金 低 年 金 問 題 芝 田 文 男 Ⅰ はじめに 2010 年 11 月 末 の 公 的 年 金 の 加 入 者 数 は 6,457 万 人 20-59 歳 人 口 の 98.6% であり 非 加 入 者 は 1.4% にすぎない また 60 歳 以 上 の 公 的 年 金 受 給 者 ( 恩 給 受 給 者 を 除 く) は 3,534 万 人 うち 65 歳 以 上 の 受 給 者 は 2,894 万 人 で 65 歳 以 上 人 口 の 97% であり 未 受 給 者 ( 支 給 開 始 年 齢 に 達 しない 者 や 裁 定 請 求 がまだの 者 も 含 む) は 88.6 万 人 と 3 % にすぎず (1) 公 的 年 金 制 度 は 国 民 生 活 に 定 着 しているといえる さらに 別 の 統 計 (2) によれ ば 2011 年 の 65 歳 以 上 の 者 がいる 世 帯 1,942 万 世 帯 の 49% を 占 める 高 齢 者 世 帯 ( 高 齢 者 のみ 又 は 高 齢 者 と 未 成 年 者 のみの 世 帯 ) 9,581 万 世 帯 の 1 世 帯 当 たり 平 均 所 得 307.2 万 円 のうち 公 的 年 金 恩 給 は 207.4 万 円 と 67.5% を 占 めており 公 的 年 金 が 老 後 生 活 を 支 える 主 柱 の 役 割 を 果 たしてい ることがわかる 65 歳 以 上 の 者 がいる 世 帯 のうち 子 と 同 居 世 帯 の 割 合 は 1989 年 の 60% から 2001 年 48% 2011 年 42% と 低 下 傾 向 にあり 前 述 の 高 齢 者 世 帯 の 平 均 所 得 のうち 子 の 仕 送 り 企 業 年 金 個 人 年 金 他 の 占 め る 比 率 は 2011 年 で 5 % 程 度 にとどまるなど 家 族 による 支 えは 低 下 傾 向 に ある しかし 公 的 年 金 加 入 者 の 29% を 占 める 第 1 号 被 保 険 者 のうち 法 定 免 除 ( 生 活 保 護 受 給 など 負 担 能 力 がない 者 ) 申 請 免 除 学 生 納 付 特 例 若 年 者 納 付 猶 予 など 全 額 保 険 料 の 納 付 が 免 除 されている 者 は 2011 年 に (162) 151
30.4% となっており この 期 間 の 納 付 が 後 でなされなければその 期 間 に 対 応 する 基 礎 年 金 は 国 庫 負 担 分 (2008 年 以 前 は 1/3 2009 年 以 降 は 1/2) の 年 金 しか 受 給 できない また 残 り 70% の 納 付 対 象 者 のうちその 4 割 は 保 険 料 を 滞 納 している これは 第 1 号 被 保 険 者 全 体 の 約 28% 全 公 的 年 金 制 度 加 入 者 の 約 8 % に 相 当 する 老 齢 年 金 を 主 体 とする 公 的 年 金 制 度 が 抱 える 主 要 問 題 として 指 摘 され ることが 多 いのは 1 年 金 制 度 への 未 加 入 保 険 料 の 未 納 その 他 の 要 因 による 無 年 金 低 年 金 問 題 2 65 歳 以 上 人 口 の 全 人 口 に 対 する 比 率 で ある 高 齢 化 率 が 2010 年 で 23% (3) と 世 界 一 高 く 今 後 少 子 化 の 継 続 により 2060 年 には 高 齢 化 率 が 39.9% になると 予 想 されていることや 経 済 の 低 成 長 状 態 が 続 くことによる 制 度 の 持 続 可 能 性 に 対 する 懸 念 3 現 在 の 年 金 受 給 世 帯 は 保 険 料 負 担 よりも 数 倍 の 年 金 を 受 給 しているが これか らの 若 い 世 帯 は 保 険 料 負 担 に 対 する 年 金 の 受 給 額 の 倍 率 が 低 く 世 代 間 の 不 公 平 があるとされている 問 題 である その 他 女 性 や 非 正 規 労 働 者 に 対 する 年 金 制 度 の 課 題 等 社 会 の 変 化 に 対 応 しきれていない 問 題 もいくつか 指 摘 されているが 制 度 の 在 り 方 を 議 論 する 上 で 相 互 に 関 連 し 時 に 相 矛 盾 する 要 請 を 生 む 主 要 課 題 が 上 記 の3 点 であることは 大 方 の 賛 成 を 得 られ ると 思 われる 本 稿 ではそのうちの 無 年 金 低 年 金 問 題 に 主 題 をおいて 以 下 Ⅱで これまでの 年 金 改 正 の 概 要 及 びその 影 響 並 びに 無 年 金 低 年 金 者 の 現 状 と 今 後 影 響 を 及 ぼしそうな 事 項 も 含 めた 原 因 の 分 析 を 行 う Ⅲでこの 問 題 のさまざまな 解 決 策 を 評 価 考 慮 する 際 の 視 点 を 整 理 した 上 で 抜 本 的 改 革 案 や 現 行 制 度 の 改 善 案 として 今 まで 提 案 されてきた 対 策 について メ リット デメリット ( 制 度 の 持 続 可 能 性 等 他 の 要 請 との 衝 突 などの 問 題 点 )を 整 理 し 考 察 を 行 うこととしたい 注 (1) 厚 生 労 働 省 平 成 22 年 公 的 年 金 加 入 状 況 調 査 (2) 厚 生 労 働 省 国 民 生 活 基 礎 調 査 平 成 23 年 152 (161)
( 3 ) 2010 年 数 値 : 総 務 省 統 計 局 国 勢 調 査 報 告 2060 年 数 値 : 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 日 本 の 将 来 推 計 人 口 (2012 年 1 月 推 計 ) 出 生 数 中 位 死 亡 数 中 位 推 計 Ⅱ 無 年 金 低 年 金 状 態 の 発 生 とその 原 因 の 分 析 1 老 齢 年 金 制 度 の 改 正 経 緯 と 無 年 金 低 年 金 への 影 響 (1) 1973 年 改 正 までの 年 金 額 の 充 実 時 期 老 齢 年 金 を 主 体 とする 公 的 年 金 制 度 は 高 齢 による 稼 得 能 力 喪 失 に 対 し て 老 後 生 活 の 安 定 を 図 ることが 目 的 であるので 戦 後 国 民 年 金 が 1961 年 に 創 設 されて 国 民 皆 年 金 が 達 成 されて 以 降 は 給 付 水 準 の 改 善 が 目 標 とさ れ 改 正 の 節 目 ごとに 水 準 が 改 定 されていった これらは 無 年 金 低 年 金 問 題 の 改 善 に 資 する 改 正 である 1973 年 にはそれまでの 月 何 万 円 という 実 額 ベースの 引 上 げから 1 厚 生 年 金 については 当 時 の 27 年 加 入 で 現 役 加 入 者 の 平 均 賃 金 の 60% 程 度 と いう 所 得 代 替 率 方 式 が 導 入 されるとともに 2 物 価 上 昇 率 に 応 じて 年 金 額 を 改 定 する 物 価 スライド 制 が 導 入 された (2) 制 度 の 持 続 可 能 性 等 の 観 点 による 見 直 しと 無 年 金 低 年 金 対 策 皮 肉 にも 福 祉 元 年 と 言 われた 1973 年 に 生 じた 石 油 ショックで 日 本 の 高 度 経 済 成 長 は 終 わり 高 齢 化 の 進 行 とともに 制 度 の 効 率 化 の 観 点 からの 見 直 しが 始 まる a.1985 年 改 正 1985 年 改 正 は 1 農 業 や 自 営 業 人 口 の 減 少 による 加 入 者 減 少 で 制 度 の 存 続 が 危 うくなっていた 国 民 年 金 を 国 民 共 通 の1 階 部 分 の 年 金 である 基 礎 年 金 に 改 組 した これは 自 営 業 等 の 国 民 年 金 制 度 の 存 続 という 意 味 で 制 度 の 持 続 可 能 性 に 資 する 改 正 であったが 同 時 に 2 老 齢 基 礎 年 金 を 満 額 納 付 の 場 合 月 5 万 円 の 水 準 とした これは 老 後 生 活 の 基 礎 的 部 分 を 保 (160) 153
表 1 主 な 厚 生 年 金 国 民 年 金 の 改 正 における 給 付 水 準 の 見 直 し 状 況 厚 生 年 金 の 水 準 1965 年 改 正 20 年 拠 出 平 均 賃 金 で 月 1 万 円 年 金 1966 年 改 正 1969 年 改 正 月 額 2 万 円 年 金 国 民 年 金 の 水 準 2009 年 改 正 基 礎 年 金 の 国 庫 負 担 率 を 1/2 に 引 き 上 げる (2009 2010 年 度 の 暫 定 措 置 ) 2012 年 改 正 年 金 の 受 給 資 格 を 基 礎 年 金 25 年 納 付 から 10 年 納 付 に 短 くする と 年 金 生 活 過 去 物 価 スライドしなかった 特 例 水 準 (2.5% 分 ) の 3 年 間 による 解 消 者 支 援 給 付 金 支 給 法 32 年 加 入 で 夫 婦 加 算 込 みで 現 役 加 入 者 の 68% の 水 準 だったため 40 年 加 入 でも 68% 程 度 となるよう 修 正 1994 年 改 正 年 金 代 替 率 の 基 準 を 現 役 の 平 均 賃 金 か 老 齢 基 礎 年 金 は 月 6.5 万 円 ら 可 処 分 所 得 に 変 更 厚 生 年 金 の 基 礎 年 金 相 当 部 分 の 支 給 開 始 年 齢 の 60 歳 から 65 歳 へ 引 上 げ (2013 年 度 までに 引 き 上 げ) 1999 年 改 正 保 険 料 引 上 げ 幅 抑 えるため 報 酬 比 例 部 分 を5% 引 下 げ 報 酬 比 例 部 分 の 支 給 年 齢 を 2013 年 か ら 25 年 に 向 け 65 歳 に 引 上 げる 年 金 支 給 開 始 後 は 賃 金 スライドせず 物 価 スライドのみとする 2004 年 改 正 マクロ 経 済 スライド 制 導 入 ( 長 寿 化 の 影 響 で 年 金 総 額 が 増 え 少 子 化 の 影 響 で 被 保 険 者 1 人 当 たりの 負 担 が 増 大 しないように 基 礎 年 金 厚 生 年 金 ともに 1 人 当 たりの 年 金 額 を 長 寿 化 少 子 化 に 応 じて 引 下 げる ) 保 険 料 を 毎 年 計 画 的 に 引 上 げ 厚 生 年 金 は 18.3% 国 民 年 金 は 16,900 円 (2004 年 価 格 ) に 達 したらそれ 以 上 は 引 上 げない ( 保 険 料 上 限 固 定 方 式 ) 年 金 積 立 金 を 100 年 程 度 の 間 に 給 付 費 の 1 年 分 程 度 に 取 崩 す 厚 生 年 金 の 非 正 規 労 働 者 の 受 給 資 格 の 一 部 緩 和 厚 生 年 金 と 共 済 年 金 の 統 合 (2015 年 10 月 から) 出 典 : 厚 生 労 働 省 の 法 改 正 資 料 から 筆 者 作 成 25 年 拠 出 月 5 千 円 ( 夫 婦 で 1 万 円 年 金 ) 夫 婦 で 月 額 2 万 円 年 金 1973 年 改 正 加 入 27 年 で 現 役 加 入 者 の 平 均 賃 金 25 年 加 入 付 加 年 金 加 算 で 夫 婦 月 5 万 円 ( 石 油 ショック) 60% に 相 当 する 年 金 を 支 給 * 物 価 スライド 導 入 (5% 超 え 物 価 変 動 した 時 に 年 金 も 変 動 率 に 応 じて 改 定 1985 年 改 正 国 民 年 金 を 国 民 共 通 の 第 1 層 部 分 の 基 礎 年 金 に 改 組 基 礎 年 金 月 5 万 円 基 礎 年 金 の 国 庫 負 担 の 1/2 の 引 上 げへ の 着 手 2009 年 度 までに 完 了 する 方 針 基 礎 年 金 の 国 庫 負 担 率 1/2 の 恒 久 化 (2014 年 度 から) 一 定 の 低 所 得 者 の 基 礎 年 金 受 給 者 に 年 金 生 活 支 援 給 付 金 支 給 法 により 年 金 とは 別 の 給 付 金 を 支 給 障 するという 考 えに 立 ち 1979 年 の 全 国 消 費 実 態 調 査 の65 歳 単 身 者 の 消 費 支 出 から 教 養 娯 楽 費 雑 費 等 を 差 し 引 いた 額 に 1980 年 以 降 の 物 価 上 昇 率 を 勘 案 した 額 が 47,600 円 であったことから 5 万 円 とされたと 厚 生 労 働 省 の 事 務 局 は 説 明 している (4) この 改 正 事 項 は 無 年 金 低 年 金 問 題 に 資 154 (159)
するものである 他 方 1973 年 改 正 時 に 27 年 加 入 男 子 の 年 金 を 現 役 加 入 者 の 賃 金 の 60% 水 準 としていたが 男 子 の 年 金 は 成 熟 化 して 40 年 加 入 が 生 じる 頃 には 平 均 賃 金 の 83% までになる 計 算 であった これでは 保 険 料 負 担 が 高 くなり 制 度 の 持 続 可 能 性 が 損 なわれるという 考 え 方 から 3 厚 生 年 金 の 夫 と 専 業 主 婦 をモデル 世 帯 とした 場 合 に 平 均 的 な 賃 金 の 夫 の 厚 生 年 金 と 夫 婦 2 人 の 基 礎 年 金 の 合 計 が 40 年 加 入 でも 1980 年 時 点 の 現 役 賃 金 の 68% 程 度 の 水 準 から 超 えないように 報 酬 から 年 金 額 を 算 定 するときに 使 用 する 給 付 乗 率 を 引 き 下 げる 改 正 を 行 った これは 年 金 額 を 抑 え 現 役 層 の 負 担 を 抑 制 するという 意 味 で 世 代 間 の 不 公 平 を 是 正 する 働 きもある b.1994 年 改 正 1994 年 改 正 では 制 度 の 持 続 可 能 性 の 観 点 から 1 年 金 水 準 の 所 得 代 替 率 を 決 める 際 に 比 較 する 現 役 の 所 得 を 平 均 賃 金 から 税 と 社 会 保 険 料 を 控 除 した 可 処 分 所 得 に 変 更 し 年 金 を 決 める 際 に 比 較 する 所 得 水 準 の 物 差 しを 低 くすることで 年 金 の 給 付 水 準 を 抑 えるとともに 2 厚 生 年 金 の 基 礎 年 金 相 当 部 分 の 支 給 開 始 年 齢 を 60 歳 から 65 歳 に 2013 年 までかけ て 引 上 げていくこととした 1は 現 役 就 労 層 が 税 や 社 会 保 険 料 負 担 で 実 際 に 使 えるのは 可 処 分 所 得 であることに 着 目 しているので 世 代 間 の 不 公 平 問 題 にも 着 目 している c.1999 年 改 正 1999 年 改 正 では 制 度 の 持 続 可 能 性 の 観 点 から 1 厚 生 年 金 の 報 酬 比 例 部 分 を5% 引 き 下 げたが 基 礎 年 金 の 水 準 引 下 げは 行 われなかった 2 厚 生 年 金 の 報 酬 比 例 部 分 の 支 給 開 始 年 齢 も 2013 年 から 2025 年 までか けて 65 歳 に 引 き 上 げることとされた 3 厚 生 年 金 国 民 年 金 ともに 受 給 開 始 後 の 年 金 については 賃 金 水 準 に 応 じて 引 上 げず 物 価 スライドによ る 変 更 のみとした ただし 通 常 賃 金 上 昇 率 は 物 価 上 昇 率 より 高 いと 想 定 されているので そうすると 年 金 を 受 給 開 始 してから 次 第 に 現 役 就 労 年 齢 (158) 155
層 との 所 得 代 替 率 より 悪 化 して 行 くことになる そこで 新 規 にもらい 始 め る 者 の 所 得 代 替 率 の 8 割 を 下 限 として それ 以 降 は 賃 金 水 準 によるスライ ドに 戻 りそれ 以 上 所 得 代 替 率 が 下 がらないようにする 方 針 としている こ れらは 世 代 間 の 不 公 平 の 改 善 にも 資 するものである d.2004 年 改 正 従 来 の 改 正 は 将 来 の 年 金 水 準 を 一 定 程 度 維 持 することを 制 度 改 正 の 第 一 の 目 的 としていたが 2004 年 改 正 では 保 険 料 の 引 上 げ 等 の 現 役 就 労 層 の 負 担 上 昇 を 抑 えることを 第 一 の 目 的 にし そのために 年 金 給 付 の 方 を 引 き 下 げるという 方 向 に 変 わった このため 1 保 険 料 水 準 は 厚 生 年 金 国 民 年 金 ともに 毎 年 少 しずつあげつつ 厚 生 年 金 でいうと 2017 年 に 18.3% まで 上 げたらその 後 は 引 き 上 げない 保 険 料 上 限 固 定 方 式 をとった 2 保 険 料 以 外 に 基 礎 年 金 の 国 庫 負 担 を 2009 年 までに 1/3 から 1/2 に 引 き 上 げる 方 針 とし 2004 年 度 から 着 手 することとした 3 年 金 の 積 立 金 を 2100 年 頃 には 年 金 1 年 分 までに 取 り 崩 し 年 金 財 源 の 足 しにする 方 針 が 決 められている 4 マクロ 経 済 スライド 制 度 を 導 入 し 長 寿 化 の 影 響 で 年 金 総 額 が 増 えることや 少 子 化 の 影 響 で 被 保 険 者 1 人 当 たりの 負 担 が 増 大 することを 防 ぐために 基 礎 年 金 厚 生 年 金 ともに 1 人 当 たり 年 金 額 を 長 寿 化 少 子 化 の 進 行 状 況 に 応 じて 引 下 げる 仕 組 みを 導 入 した ただし 賃 金 や 物 価 が 上 昇 する 際 に 賃 金 又 は 物 価 スライドにより 年 金 額 を 引 上 げる 範 囲 で 調 整 することとし 名 目 年 金 額 を 下 回 らないこととした これは 財 産 権 の 侵 害 と 言 われることに 対 する 配 慮 であり 名 目 年 金 額 下 限 型 とい う 以 上 いずれも 制 度 の 持 続 可 能 性 の 維 持 と 現 役 の 保 険 料 負 担 の 抑 制 という 意 味 で 世 代 間 の 不 公 平 の 改 善 を 目 的 としている 他 方 低 年 金 対 策 としては 4 マクロ 経 済 スライドを 導 入 すること で 給 付 水 準 が 下 がりすぎないように 前 述 の 厚 生 年 金 の 夫 と 専 業 主 婦 とい う 世 帯 をモデル 年 金 世 帯 として 平 均 的 な 賃 金 の 夫 の 厚 生 年 金 と 夫 婦 2 人 の 基 礎 年 金 (40 年 満 期 ) という 世 帯 単 位 の 裁 定 時 の 年 金 額 が 現 役 就 労 層 の 平 均 可 処 分 所 得 の 50% 水 準 を 下 回 ることが 明 らかになった 場 合 には 156 (157)
マクロ 経 済 スライドで 自 動 的 に 年 金 額 を 引 き 下 げることを 中 止 し 制 度 を 見 直 すという 年 金 代 替 率 による 下 限 の 設 定 がされている ただし 後 述 の ように 低 年 金 で 老 後 生 活 が 困 窮 するのは 自 営 業 者 や 非 正 規 労 働 者 の 期 間 が 長 く ほとんど 基 礎 年 金 しか 受 給 できず かつ 結 婚 しなかったり 夫 婦 のどちらかが 死 亡 した 場 合 などの 高 齢 単 身 世 帯 であるので この 年 金 代 替 率 の 基 準 となっているモデル 年 金 を 下 限 としても 基 礎 年 金 のみ 受 給 の 単 身 者 の 低 年 金 対 策 には 効 果 がない また 前 述 2で 述 べたように マ クロ 経 済 スライドは 基 礎 年 金 についても 同 様 に 引 き 下 げられることや 1999 年 改 正 の3に 述 べたように 年 金 支 給 開 始 後 は 賃 金 スライドがなくな り 物 価 スライドしかないのだが 支 給 開 始 後 もマクロ 経 済 スライドによ り 物 価 上 昇 に 応 じて 上 げるべき 年 金 額 を 上 げないという 形 で 年 金 額 の 実 質 的 価 値 が 減 少 していくことから 65 歳 の 年 金 裁 定 時 点 で 50% を 超 える 所 得 代 替 率 であっても 85 歳 ころには 新 規 裁 定 者 の 所 得 代 替 率 の 下 限 の8 割 である 40% に 近 い 水 準 に 所 得 代 替 率 が 落 ちることになる これらの 改 正 により 1985 年 改 正 による 基 礎 年 金 創 設 時 の 老 後 生 活 の 基 礎 的 部 分 の 購 買 力 を 維 持 するという 基 礎 年 金 の 額 設 定 の 考 え 方 は 失 われている e.2009 年 改 正 2009 年 改 正 で 基 礎 年 金 の 国 庫 負 担 割 合 は 暫 定 的 に 1/2 に 引 き 上 げられ た これは 2004 年 改 正 で 決 められた 方 針 が 実 行 されたものだが 前 年 か らはじまったリーマンショックで 増 税 どころではなく 恒 久 的 な 財 源 がな いため 2009 年 度 と 2010 年 度 のみについて 財 政 投 融 資 特 別 会 計 にあっ た 積 立 金 を 取 り 崩 す いわゆる 埋 蔵 金 を 財 源 に 基 礎 年 金 の 国 庫 負 担 を 1/2 に 暫 定 的 に 引 き 上 げた これは 就 労 年 齢 層 の 保 険 料 引 上 げを 抑 制 する ため 制 度 の 持 続 可 能 性 や 世 代 間 の 不 公 平 是 正 に 資 する 改 正 だが 同 時 にⅠはじめにで 触 れたように 保 険 料 が 全 額 免 除 される 期 間 も 国 庫 負 担 分 は 年 金 が 支 給 されるので 国 庫 負 担 が 1/3 から 1/2 に 引 き 上 げられるこ とは 低 年 金 対 策 に 資 することにもなる (156) 157
f.2012 年 改 正 (3 つの 年 金 関 連 法 の 改 正 と 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 制 度 ) 2012 年 には 国 民 年 金 等 の 一 部 改 正 法 公 的 年 金 制 度 の 財 政 基 盤 及 び 最 低 保 障 機 能 の 強 化 等 のための 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 被 用 者 年 金 制 度 の 一 元 化 等 を 図 るための 厚 生 年 金 保 険 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 と 年 金 制 度 とは 別 制 度 で 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 の 支 給 に 関 する 法 律 が 成 立 した 制 度 の 持 続 可 能 性 の 見 地 の 改 正 としては 1 同 じ 年 に 出 され た 消 費 税 引 上 げ 法 案 で 財 源 の 目 途 がつくため 基 礎 年 金 国 庫 負 担 割 合 につ いて 消 費 税 が8%に 引 上 げられる 2014 年 4 月 から 1/2 に 恒 常 化 するこ とになった これは 2009 年 改 正 で 述 べたように 全 額 免 除 期 間 の 年 金 底 上 げという 低 年 金 対 策 に 資 する 要 素 もある 2 1999 2001 年 の 間 に 物 価 が 下 がったのに 下 方 向 の 物 価 スライドを 政 治 的 判 断 により 行 わなかった 年 金 額 の 特 例 水 準 2.5% 分 を 2012 年 度 から 3 年 間 で 引 き 下 げて 解 消 する こととなった これは 制 度 の 持 続 可 能 性 とともに 世 代 間 の 不 公 平 是 正 にも 役 立 つと 説 明 されている 3 被 用 者 年 金 が 一 元 化 され 厚 生 年 金 と 共 済 年 金 が 2015 年 10 月 から 2 階 部 分 は 厚 生 年 金 に 統 合 されることとな り 制 度 内 容 も 厚 生 年 金 に 合 わされ 保 険 料 水 準 も 厚 生 年 金 と 同 水 準 に 計 画 的 に 引 き 上 げられるとともに 恩 給 受 給 資 格 のある 者 への 国 庫 負 担 が 一 部 減 額 となり 3 階 部 分 が 廃 止 されることとなった これも 広 い 意 味 では 制 度 の 持 続 可 能 性 や 世 代 間 の 不 公 平 に 資 する 改 正 と 言 える 無 年 金 低 年 金 対 策 を 目 的 とする 改 正 としては 4 年 金 の 受 給 資 格 について 基 礎 年 金 に 25 年 以 上 加 入 することが 必 要 であったものを 10 年 以 上 加 入 すれば 受 給 できるように 緩 和 した 2007 年 度 の 旧 社 会 保 険 庁 の 調 べ (5) によると 65 歳 以 上 の 無 年 金 者 は 42 万 人 で そのうち 加 入 期 間 が 10 年 以 上 だが 25 年 に 満 たない 者 が 約 4 割 であるので 17 万 人 以 上 が 無 年 金 状 態 を 解 消 する 可 能 性 があり 無 年 金 対 策 となる ただし 10 年 で 年 金 が 受 給 されると 考 えてそれ 以 上 保 険 料 納 付 をしない 者 が 今 後 増 えれ ば 低 年 金 者 はかえって 増 えるおそれはある 5 非 正 規 労 働 者 の 厚 生 年 金 適 用 資 格 が 少 し 緩 和 された 従 来 通 常 の 労 働 者 の 3/4 未 満 の 労 働 時 間 ( 週 30 時 間 未 満 ) しかない 非 正 規 労 働 者 は 厚 生 年 金 適 用 事 業 所 に 雇 用 され 158 (155)
ていても 厚 生 年 金 の 加 入 資 格 がなく 事 業 主 は 保 険 料 の 半 分 を 負 担 せず 月 に 15,040 円 (2013 年 度 ) の 保 険 料 を 労 働 者 が 全 額 負 担 して 国 民 年 金 に 加 入 し 将 来 その 期 間 に 対 応 する 年 金 は 基 礎 年 金 のみということであった これについて 週 20 時 間 以 上 賃 金 が 月 額 8.8 万 円 以 上 の 非 正 規 労 働 者 であり かつ 従 業 員 が 501 人 以 上 の 事 業 所 に 雇 用 されている 場 合 は 厚 生 年 金 に 加 入 できることとした ただし 週 20 時 間 以 上 の 労 働 者 という 条 件 だけであれば 370 万 人 の 非 正 規 労 働 者 が 対 象 になるが あまりに 低 賃 金 の 者 まで 対 象 とすると 基 礎 年 金 より 低 い 保 険 料 で 基 礎 年 金 のみの 受 給 者 より 高 い 保 障 を 得 られることとの 不 公 平 問 題 が 生 じるという 主 張 や 非 正 規 労 働 者 を 多 く 雇 用 する 飲 食 業 流 通 業 界 の 抵 抗 もあり 月 額 賃 金 中 小 企 業 の 免 除 等 の 前 述 の 限 定 条 件 が 加 えられた このため 新 たに 加 入 資 格 を 得 る 非 正 規 労 働 者 は 25 万 人 程 度 と 推 計 されている (6) 6 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 の 支 給 に 関 する 法 律 により 家 族 全 員 が 市 町 村 民 税 非 課 税 で 前 年 の 年 金 収 入 とその 他 の 収 入 の 合 計 額 が 基 礎 年 金 の 満 額 ( 年 77 万 円 ) 以 下 で ある 者 に 対 して 1) 基 準 額 5000 円 に 納 付 済 み 月 数 を 480 月 (40 年 間 全 部 納 付 した 場 合 の 月 数 ) で 割 った 比 率 をかけた 額 を 支 給 すること 2) 免 除 期 間 に 対 応 して 基 礎 年 金 の 1/6 に 相 当 する 給 付 金 を 支 給 することという 低 年 金 者 への 給 付 金 による 補 てんが 行 われることとなった この 給 付 は 民 主 党 政 権 下 で 政 府 提 案 した 際 には 年 金 額 の 加 算 として 年 金 法 の 中 で 規 定 されていたが 自 民 党 と 公 明 党 による 修 正 要 求 の 中 で 年 金 とは 別 の 福 祉 的 給 付 として 位 置 付 けられた 1) の 措 置 の 意 味 は 民 主 党 が 将 来 抜 本 改 正 を 行 い 導 入 したいと 考 えている 最 低 限 保 障 年 金 の 額 7 万 円 と 満 期 加 入 した 時 の 基 礎 年 金 額 との 差 額 が 約 5000 円 であるが これを 保 険 料 未 納 者 期 間 がある 者 にまで 給 付 すると 保 険 料 納 付 意 欲 をそぐことを 考 慮 して 全 納 した 場 合 の 総 月 数 (480 月 ) に 対 する 実 際 に 納 付 した 月 数 の 比 率 (いわ ば 納 付 率 ) を 5000 円 にかけることとしたものである 2) は 低 所 得 で 保 険 料 負 担 能 力 がない 旨 の 免 除 の 届 出 をすれば 全 額 免 除 の 場 合 でも 基 礎 年 金 に 国 庫 負 担 率 をかけた 額 が 支 給 されるが そのように 負 担 能 力 がないがき ちんと 免 除 手 続 をして 可 能 な 限 り 保 険 料 納 付 の 努 力 をした 者 に 対 して 基 (154) 159
礎 年 金 の 1/6 相 当 の 給 付 金 を 加 算 するというものである なお 政 府 の 当 初 案 では 高 所 得 者 の 基 礎 年 金 額 の 国 庫 負 担 分 を 所 得 に 応 じて 少 し 減 額 する 内 容 も 組 み 込 んでいたが これは 国 会 における 法 案 修 正 でなくなった 2 無 年 金 低 年 金 の 実 態 (1) 厚 生 年 金 受 給 者 ( 基 礎 年 金 相 当 額 含 む) 厚 生 労 働 省 の 2011 年 度 厚 生 年 金 保 険 国 民 年 金 保 険 事 業 年 報 によると 厚 生 年 金 の 年 金 受 給 額 ( 基 礎 年 金 額 相 当 部 分 含 む) の 階 層 別 の 支 給 者 数 は 表 2 のとおりである 表 2 厚 生 年 金 保 険 老 齢 年 金 の 年 金 月 額 階 層 別 受 給 権 者 数 (2011 年 度 末 ) 年 金 月 額 万 円 合 計 以 上 未 満 5 5 10 10 15 15 20 20 25 25 30 30 平 均 年 金 月 額 合 計 男 子 女 子 千 人 14,840 408 3,295 4,162 3,425 2,885 619 46 149,334 円 割 合 % 100.0 2.7 22.2 28.0 23.1 19.4 4.2 0.3 千 人 10,153 156 1,174 2,329 3,036 2,802 612 45 170,265 円 割 合 % 100.0 1.5 11.6 22.9 29.9 27.6 6.0 0.4 千 人 4,687 252 2,121 1,833 389 83 8 0 103,989 円 割 合 % 100.0 5.4 45.3 39.1 8.3 1.8 0.2 0 厚 生 年 金 の 平 均 月 額 は 全 体 で 14.9 万 円 男 子 は 17 万 円 女 子 は 10 万 円 であり 全 体 では 10-15 万 円 の 階 層 が 最 も 多 く 28.0% 男 子 では 15-20 万 円 の 階 層 が 最 も 多 く 29.9% 女 子 は 5-10 万 円 の 階 層 が 最 も 多 く 45.3% となっている 5 万 円 未 満 の 者 が 全 体 で 2.7% 男 子 で 1.5% 女 子 で5.4% いるのは 男 女 ともに 基 礎 年 金 相 当 特 別 支 給 分 の 厚 生 年 金 の 支 給 開 始 年 齢 についての 前 述 の 1994 年 改 正 により 2001 年 度 から 60 歳 台 前 半 に 引 き 上 げつつあるため ここ 数 年 の 60 歳 時 点 の 新 規 裁 定 額 は 報 酬 比 例 部 分 のみを 支 給 されていることによる 例 えば 2011 年 度 の 新 規 裁 定 者 の 年 金 額 でみると 5 万 円 未 満 の 者 が 全 体 で 175 千 人 いる これについては 多 くは 60 歳 定 年 後 も 継 続 雇 用 等 により 就 労 収 入 をえることも 多 いため 160 (153)
それほど 深 刻 の 問 題 が 生 じていないと 思 われる また 女 子 の 場 合 につい ては 結 婚 による 早 期 退 職 で 厚 生 年 金 の 加 入 期 間 が 数 年 と 短 い 者 がいるこ とも 影 響 していると 思 われる いずれにしても 厚 生 年 金 受 給 者 や 夫 が 厚 生 年 金 受 給 者 である 妻 にとってさほど 低 年 金 により 深 刻 な 問 題 は 生 じて いないことがわかる (2) 国 民 年 金 受 給 者 ( 基 礎 年 金 のみ 及 び 自 営 業 等 による 旧 国 民 年 金 の 老 齢 年 金 受 給 者 ) 2011 年 度 の 国 民 年 金 の 老 齢 年 金 受 給 者 は 2,650 万 人 いるが うち 基 礎 年 金 受 給 者 が 2,466 万 人 (93.1%) であり 自 営 業 者 等 の 旧 国 民 年 金 法 によ (7) る 拠 出 制 老 齢 年 金 通 算 老 齢 年 金 等 のみを 受 給 している 者 は 184 万 人 と 既 に 少 数 派 となっている 受 給 額 の 階 層 別 の 支 給 者 数 は 表 3 のとおりである 表 3 国 民 年 金 老 齢 年 金 の 年 金 月 額 階 層 別 受 給 権 者 数 (2011 年 度 末 ) 年 金 月 額 万 円 合 計 以 上 未 満 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 6 6 7 7 平 均 年 金 月 額 合 計 男 子 女 子 千 人 26,504 117 352 1,112 3,515 3,715 5,085 11,175 1,433 54,612 円 割 合 % 100.0 0.4 1.3 4.2 13.3 14.0 19.2 42.2 5.4 千 人 11,524 11 58 214 790 1,019 1,918 7,133 381 59,200 円 割 合 % 100.0 0.1 0.5 1.9 6.9 8.8 16.6 61.9 3.3 千 人 14,980 106 294 898 2,725 2,697 3,167 4,042 1,053 51,083 円 割 合 % 100.0 0.7 2.0 6.0 18.2 18.0 21.1 27.0 7.0 国 民 年 金 の 平 均 月 額 は 全 体 で 5.5 万 円 弱 男 子 は 5.9 万 円 女 子 は 5.1 万 円 であり 全 体 男 子 女 子 ともに 6-7 万 円 の 基 礎 年 金 満 額 程 度 の 階 層 が 最 も 多 いが 4 万 円 未 満 が 全 体 で 19.2% 男 子 で 9.4% 女 子 で 26.9% と なっている 単 身 65 歳 以 上 の ( 有 業 者 なし) の 家 計 支 出 額 をみると 衣 食 住 の 基 礎 的 消 費 額 が 67,819 円 保 健 医 療 費 を 加 えた 額 が 76,150 円 そ れに 交 通 通 信 費 を 加 えた 額 が 89,120 円 それに 教 育 教 養 娯 楽 費 を 加 え (152) 161
(8) た 額 が 108,200 円 その 他 の 消 費 も 入 れた 家 計 支 出 額 総 額 は 146,264 円 で ある 従 って 基 礎 年 金 満 額 水 準 の6.6 万 円 でも 基 礎 的 消 費 額 に 少 し 足 り ず 4 万 円 未 満 の 年 金 では 夫 婦 二 人 の 年 金 を 合 わせても 老 後 生 活 は 大 変 厳 しい 状 況 にあることが 予 想 される 3 低 年 金 問 題 の 原 因 低 年 金 問 題 の 現 在 及 び 今 後 深 刻 化 する 主 な 原 因 は 3 つである 1 未 納 未 加 入 ( 免 除 を 含 む) 低 所 得 のため 保 険 料 を 免 除 する 者 について 見 ると 法 定 申 請 で 全 額 免 除 となっている 者 は 361 万 人 (1 号 被 保 険 者 の 19.3%) であり 免 除 期 間 に 対 応 する 年 金 額 は 基 礎 年 金 額 に 国 庫 負 担 率 (2008 年 度 分 までは 1/3 2009 年 度 から 1/2) をかけた 額 に 減 額 される また これらの 免 除 手 続 を していない 者 の 保 険 料 納 付 状 況 については 2011 年 度 の 現 年 度 分 で 本 来 納 付 すべき 月 数 のうち 未 納 の 月 数 の 比 率 は 41.4% に 及 んでいる なお 2009 年 度 分 についてみると 現 年 度 分 の 未 納 率 は 40% だったが 2011 年 (9) 度 までの 督 促 努 力 で 35% までに 改 善 している ただ 世 帯 の 総 所 得 階 層 別 の 1 号 被 保 険 者 の 滞 納 者 の 比 率 をみると 所 得 400 万 円 以 上 の 世 帯 が 23.4% (10) に 上 っており 未 納 者 のすべてが 貧 困 であるわけではない 2 基 礎 年 金 の 繰 上 げ 受 給 非 正 規 労 働 者 等 が 60 歳 以 上 で 雇 用 先 が 見 つけられずに 基 礎 年 金 の 支 給 開 始 年 齢 を 繰 り 上 げることにより 年 金 が 減 額 されることである 基 礎 年 金 は 本 来 65 歳 支 給 であり かつての 国 民 年 金 のようにほとんどの 加 入 者 が 自 営 業 や 農 民 なら 定 年 もなく 就 労 し 続 けられるということだったが 1 号 被 保 険 者 の 就 業 状 況 をみると 失 業 者 や 学 生 等 の 無 職 の 者 が 38.9% と 最 大 であり 次 いで 雇 用 者 が 36% (うち 常 用 雇 用 者 7.7% 臨 時 パート が28.3%) であり 自 営 業 者 は 14.4% その 家 族 従 業 者 は 7.8% (11) にすぎない このように 1 号 被 保 険 者 の 多 くは 不 安 定 就 業 者 であり 65 歳 より 前 に 生 活 の 糧 の 一 部 とするために 基 礎 年 金 の 支 給 開 始 を 繰 り 上 げる 傾 向 がある しかし 支 給 開 始 時 期 を 1 月 はやめると 年 金 額 は 生 涯 0.5% 減 額 され 60 162 (151)
歳 支 給 (5 年 12 月 =60 月 繰 上 げ) の 場 合 0.5% 60=30% で 30% 年 金 は 減 額 される 国 民 年 金 の 受 給 者 全 体 の 中 で 年 金 の 繰 上 げ 受 給 をしている 者 は 2011 年 度 末 で 41.7% となっている 新 規 裁 定 者 のうち 繰 上 げ 受 給 を する 者 は 2011 年 度 で 25.3% と 全 体 の 比 率 より 低 いが 依 然 1/4 を 占 め 近 年 の 非 正 規 雇 用 者 の 比 率 増 を 反 映 しているのか 2008 年 度 の 22.0% より 増 (12) 加 している 3 マクロ 経 済 スライドと 既 裁 定 者 の 年 金 改 定 が 物 価 スライドのみとされることに よる 年 金 額 の 低 下 まだ 事 実 上 発 動 していないので 現 状 の 低 年 金 の 原 因 ではないが 今 後 利 いてくる 要 素 としては Ⅱ 1(2)c d で 見 たように 1999 年 改 正 で 裁 定 後 の 年 金 受 給 者 の 年 金 額 は 賃 金 スライドをやめ 物 価 スライドのみとしたこ と 2004 年 改 正 でマクロ 経 済 スライドを 基 礎 年 金 にも 等 しく 適 用 するこ とから 65 歳 時 点 で 平 均 賃 金 水 準 だった 厚 生 年 金 被 保 険 者 の 夫 と3 号 被 保 険 者 で 基 礎 年 金 のみというモデル 年 金 世 帯 で 現 役 就 労 層 の 平 均 可 処 分 所 得 の 50% を 下 回 らないという 下 限 は 65 歳 以 降 も 物 価 スライドからマク ロ 経 済 スライドの 減 少 が 差 し 引 かれるので 1999 年 改 正 時 から 示 されてい る 新 規 裁 定 者 の 8 割 という 下 限 が 働 くとしても 20 年 経 過 する 85 歳 頃 には 50% 8 割 =40% 近 くの 所 得 代 替 率 に 落 ち 込 んでいる 特 に 基 礎 年 金 のみ 受 給 者 にとっては 現 状 の 満 額 の 基 礎 年 金 水 準 (6.6 万 円 ) でも 2010 年 度 の 家 計 調 査 の 単 身 65 歳 世 帯 の 衣 食 住 の 基 礎 的 消 費 額 (67,819 円 ) を 下 回 っていることから 老 後 生 活 の 基 礎 的 消 費 を 賄 うことは 困 難 な 状 況 と なる 注 (4) 1984 年 8 月 20 日 衆 議 院 社 会 労 働 委 員 会 での 公 明 党 沼 川 議 員 の 質 問 に 対 す る 吉 原 年 金 局 長 の 答 弁 (5) 公 的 年 金 制 度 の 財 政 基 盤 及 び 最 低 保 障 機 能 の 強 化 等 のための 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 の 概 要 資 料 による 厚 生 労 働 省 ホームページ 第 180 回 国 会 提 出 法 案 の 概 要 より (6) 当 初 民 主 党 政 権 が 提 出 した 政 府 案 では 賃 金 月 額 7.8 万 円 以 上 の 者 を 対 象 と (150) 163
し その 案 では 45 万 人 が 厚 生 年 金 に 加 入 できるとの 試 算 があったが 自 民 党 及 び 公 明 党 との 修 正 合 意 で 賃 金 月 額 8.8 万 以 上 の 者 に 限 定 され 25 万 人 の 加 入 見 込 みに 減 少 した (7) 厚 生 労 働 省 厚 生 年 金 保 険 国 民 年 金 保 険 事 業 年 報 (2011 年 度 ) (8) 総 務 省 統 計 局 2010 年 家 計 調 査 年 報 (9) 厚 生 労 働 省 厚 生 年 金 保 険 国 民 年 金 事 業 年 報 (2011 年 度 ) (10) 厚 生 労 働 省 平 成 23 年 国 民 年 金 被 保 険 者 実 態 調 査 (11) 厚 生 労 働 省 平 成 23 年 国 民 年 金 被 保 険 者 実 態 調 査 (12) 厚 生 労 働 省 厚 生 年 金 保 険 国 民 年 金 事 業 年 報 (2011 年 度 ) Ⅲ 無 年 金 低 年 金 対 策 に 関 する 様 々な 年 金 改 革 案 並 びに 福 祉 的 給 付 の 評 価 検 討 現 在 までに 主 張 されている 各 種 改 革 案 の 無 年 金 低 年 金 対 策 に 関 す る 評 価 検 討 を 行 うため 以 下 1 で 評 価 検 討 の 視 点 を 整 理 し 2 で 各 対 策 案 のメリット デメリットを 比 較 評 価 した 後 3 で 現 時 点 の 望 ましい 無 年 金 低 年 金 対 策 について 簡 単 な 考 察 を 試 みたい 1 評 価 検 討 の 視 点 まず 各 案 の 評 価 検 討 を 行 う 基 準 又 は 視 点 を 整 理 したい (1) 無 年 金 低 年 金 対 策 への 効 果 安 定 度 無 年 金 低 年 金 対 策 という 観 点 からの 解 決 に 資 する 効 果 とその 安 定 度 は 改 革 案 のメリットとして 当 然 評 価 基 準 となる (2) 制 度 の 持 続 可 能 性 世 代 間 の 不 平 等 への 影 響 無 年 金 低 年 金 者 の 老 後 生 活 を 救 済 するために 税 財 源 や 加 入 者 の 保 険 料 を 引 き 上 げることで 寛 大 な 給 付 を 行 い 解 決 することはできるが 増 税 社 会 保 険 料 の 増 大 は 制 度 の 持 続 可 能 性 を 危 うくするという 主 張 や 就 労 年 齢 層 の 犠 牲 であまり 保 険 料 負 担 をしなかった 者 の 救 済 をすると 世 代 間 の 不 平 等 を 是 正 どころか 悪 化 させるという 反 対 意 見 に 直 面 する (3) 社 会 保 険 方 式 の 保 険 料 納 付 意 欲 への 影 響 や 不 公 平 感 社 会 保 険 料 方 式 をとり 保 険 料 納 付 と 給 付 の 対 価 性 を 維 持 する 場 合 保 険 164 (149)
料 を 納 付 しない 者 を 寛 大 に 等 しく 救 うことには 正 直 者 がばかをみる 不 公 平 感 を 生 み 保 険 料 納 付 意 欲 という 制 度 の 基 盤 を 損 なうことになる これは 仮 に 税 方 式 に 移 行 する 場 合 でも 社 会 保 険 方 式 時 代 の 未 納 者 にも 満 額 給 付 をすると 同 じく 不 公 平 感 を 生 み 出 す( 移 行 期 の 問 題 ) (4) 貧 困 救 済 について 社 会 保 障 による 普 遍 主 義 的 対 応 と 低 所 得 者 への 福 祉 給 付 という 選 別 主 義 的 対 応 のどちらによるべきかという 価 値 観 の 対 立 年 金 制 度 という 一 般 人 も 対 象 とする 社 会 保 障 で 貧 困 問 題 に 対 応 して 所 得 再 分 配 の 仕 組 みを 取 り 入 れるべきという 寛 大 な 普 遍 主 義 志 向 と 貧 困 問 題 はフローの 所 得 調 査 だけでなくストックの 資 産 調 査 家 族 の 扶 養 能 力 も 考 慮 できる 社 会 福 祉 的 給 付 で 対 応 すべきという 選 別 主 義 志 向 の 価 値 観 の 対 立 がある もっとも 市 場 原 理 主 義 を 愛 し 官 僚 的 介 入 を 嫌 う 小 さな 政 府 志 向 者 の 中 には 貧 困 かどうかでなく 市 民 かどうかで 一 律 に 給 付 するベーシッ クインカム 支 持 者 もいる ただし この 主 張 をする 者 は 比 較 的 最 低 限 の ベーシックインカム 的 基 礎 年 金 の 他 は 厚 生 年 金 を 民 営 化 したり 生 活 保 護 等 官 僚 的 裁 量 が 伴 う 福 祉 制 度 をできるだけ 整 理 縮 小 すべきという 主 張 を 併 せて 行 うので 貧 困 者 にとっては 必 ずしも 寛 大 な 対 策 とならない 可 能 性 がある 2 各 対 策 案 の 評 価 検 討 の 視 点 に 基 づく 比 較 検 討 抜 本 的 年 金 制 度 改 革 案 と 現 行 制 度 を 前 提 とした 対 策 案 について メリッ トである 前 述 1(1) とデメリット 問 題 点 である 前 述 1(2) (4) の 基 準 視 点 で 比 較 検 討 してみたい (1) 抜 本 改 革 案 a. 民 主 党 案 [ 制 度 の 概 要 ] 全 国 民 に 所 得 比 例 年 金 を 支 給 する 税 財 源 の 最 低 保 障 年 金 の 対 象 を 無 年 金 低 年 金 者 のみに 限 定 する (A 案 )から 中 程 度 の 年 金 受 給 者 の 一 部 まで 対 象 とする (B-D 案 )のバリ (148) 165
エーションがあるが 現 在 所 得 の 多 寡 に 関 係 なく 国 庫 補 助 している 基 礎 年 年 金 の 税 財 源 を 最 低 保 障 年 金 の 財 源 として 重 点 化 するため A か ら D 案 のどれをとるかで 増 税 の 程 度 や 現 行 方 式 より 年 金 が 減 額 され る 中 所 得 者 の 数 が 大 きく 変 化 するが どの 案 をとるか 明 確 に 主 張 されて いない 以 下 のように 民 主 党 案 の 機 械 的 試 算 では A-D 案 のどれをと るかでそのデメリットへの 影 響 は 大 きく 異 なる 民 主 党 案 の 機 械 的 試 算 2012 年 2 月 10 日 民 主 党 は 野 党 の 要 求 に 応 えて 内 部 検 討 資 料 の 最 低 保 障 年 金 の 支 給 範 囲 に 関 する 4 つの 案 の 財 政 試 算 を 公 表 した 案 A 所 得 比 例 年 金 が 0 の 者 には 最 低 保 障 年 金 を 満 額 (7 万 円 ) 支 給 し 所 得 比 例 年 金 が 7 万 円 の 者 は 0 とし その 間 は 直 線 的 に 支 給 する 案 B 所 得 比 例 年 金 が 0 の 者 には 最 低 保 障 年 金 を 満 額 (7 万 円 ) 支 給 し 生 涯 平 均 年 収 520 万 円 ( 現 在 の 1 人 当 たり 現 役 平 均 年 収 260 万 円 の 2 倍 ( 夫 婦 2 人 ) であり 厚 生 年 金 のモデル 年 金 の 男 子 加 入 者 の 平 均 賃 金 水 準 ) に 対 応 する 所 得 比 例 年 金 の 者 は 0 とし,その 間 は 直 線 的 に 支 給 する 案 C 所 得 比 例 年 金 が 0 の 者 には 最 低 保 障 年 金 を 満 額 (7 万 円 ) 支 給 し 所 得 比 例 年 金 が 12.6 万 円 ( 現 行 制 度 の 男 子 単 身 の 標 準 的 な 年 金 額 ) の 者 には 0 とし その 間 は 直 線 的 に 支 給 する 最 低 保 障 年 金 を 一 部 で も 受 給 する 者 の 比 率 モデル 年 金 夫 婦 支 給 月 額 (2065 年 ) 166 (147) 表 4 民 主 党 の 公 表 した 年 金 試 算 案 A 案 B 案 C 案 D 現 行 制 度 追 加 で 必 要 となる 財 源 額 と その 消 費 税 に 換 算 した 率 2075 年 度 追 加 所 要 額 消 費 税 換 算 率 39.3% 23.4 兆 円 2.3% 48.7% 28.8 兆 円 3.3% 58.3% 37.6 兆 円 4.9% 74.9% 13.2 万 円 15.3 万 円 16.7 万 円 21.1 万 円 49.6 兆 円 7.1% なし ただし 全 員 基 礎 年 金 2 分 の1は 国 庫 補 助 18.0 万 円 24 兆 円 2.4% 出 典 : 民 主 党 新 制 度 の 財 政 試 算 のイメージ ( 暫 定 版 ) 2012 年 2 月 10 日 公 表 資 料 より 筆 者 作 成 注 : 年 金 の モデル 年 金 夫 婦 支 給 月 額 は 夫 婦 1 人 当 りの 生 涯 平 均 年 収 260 万 円 夫 の 生 涯 平 均 年 収 520 万 円 妻 専 業 主 婦 という 現 在 の 厚 生 年 金 のモデル 年 金 に 相 当 する 場 合 の 額
案 D 生 涯 年 収 が 260 万 円 に 対 応 する 所 得 比 例 年 金 の 者 にまでは 最 低 保 障 年 金 を 満 額 (7 万 円 ) 支 給 し 所 得 比 例 年 金 が 12.6 万 円 の 者 に は 0 とし その 間 は 直 線 的 に 支 給 する [メリット] 少 なくとも 低 年 金 者 ( 所 得 比 例 年 金 では 月 額 7 万 円 を 下 回 る 者 ) がいなくなるので 大 きな 改 善 となる ただ 現 行 方 式 ( 社 会 保 険 方 式 ) 時 代 の 未 納 者 には 満 額 の 最 低 保 障 年 金 を 支 給 しないような 説 明 もさ れたことがあるので そうであれば 移 行 期 の 40 年 間 ほどは 完 全 には 無 年 金 低 年 金 問 題 は 解 決 しない [デメリット] 1 持 続 可 能 性 世 代 間 不 平 等 案 D では 年 金 だけで 消 費 税 7% 引 上 げに 匹 敵 する 増 税 が 必 要 となり 持 続 可 能 性 の 面 での 反 対 が 生 じる 逆 に 案 A-C では 将 来 のモデル 世 帯 ( 現 在 の 就 労 年 齢 層 ) とされる 者 の 年 金 額 は 現 在 の 年 金 ( 現 年 金 受 給 層 ) より 大 きく 減 額 され 世 代 間 の 不 平 等 の 改 善 にならないとの 反 対 が 生 じる 2 保 険 料 納 付 意 欲 メリットの 所 で 述 べたように 現 行 制 度 の 未 納 者 にも 寛 大 に 最 低 保 障 年 金 を 満 額 支 給 すると 悪 影 響 不 公 平 感 が 高 まる 未 納 分 を 減 額 する 制 度 にすれば その 問 題 は 生 じないが 前 述 のとおり 移 行 期 のメリットの 減 少 につながる 3 貧 困 救 済 方 法 の 価 値 観 特 に 案 A に 近 い 案 になるほど 年 金 制 度 の 中 で 所 得 格 差 の 是 正 を 行 い 中 高 所 得 者 の 年 金 を 減 額 することになるので 年 金 制 度 の 中 で 所 得 再 分 配 を 行 う 普 遍 主 義 的 対 応 に 反 対 する 者 の 抵 抗 感 は 強 くなる b. 基 礎 年 金 税 方 式 案 [ 制 度 の 概 要 ] 基 礎 年 金 は 全 額 税 財 源 で ( 日 本 経 済 団 体 連 合 会 案 = 消 費 税 を 財 源 と する 連 合 案 = 消 費 税 と 旧 社 会 保 険 料 の 事 業 主 負 担 分 相 当 の 企 業 税 を 財 源 とする) 6.6-7 万 円 程 度 支 給 (146) 167
[メリット] 少 なくとも 基 礎 年 金 で 月 額 6.6-7 万 円 程 度 保 障 されるので 大 きな 改 善 となる ただ 現 行 方 式 ( 社 会 保 険 方 式 ) 時 代 の 未 納 者 には 満 額 の 最 低 保 障 年 金 を 支 給 しないようなので 移 行 期 の 40 年 間 ほどは 完 全 には 無 年 金 低 年 金 問 題 は 解 決 しない [デメリット] 1 持 続 可 能 性 世 代 間 不 平 等 税 方 式 化 による 2050 年 度 における 所 要 財 源 は 消 費 税 換 算 で 社 会 保 険 方 式 時 代 の 納 付 状 況 に 関 係 なく 一 律 に 給 付 する 案 で 7 % 相 当 未 納 期 間 に 応 じて 減 額 する 案 で6% 相 当 増 税 す (13) ることが 必 要 となり 持 続 可 能 性 の 面 での 反 対 が 生 じる また 日 本 経 団 連 が 主 張 する 税 財 源 をすべて 消 費 税 の 引 上 げで 対 応 する 方 式 では 年 金 受 給 者 は 現 役 時 代 の 保 険 料 に 加 えて 税 負 担 を 求 められ 就 労 年 齢 層 で も 消 費 税 の 増 税 による 負 担 増 は 基 礎 年 金 の 保 険 料 負 担 が 減 る 分 より 多 い と 推 計 されている 2 保 険 料 納 付 意 欲 メリットの 所 で 述 べたように 現 行 制 度 の 未 納 者 にも 寛 大 に 最 低 保 障 年 金 を 満 額 支 給 すると 悪 影 響 不 公 平 感 が 高 まるので 未 納 分 は 減 額 する 仕 組 みとするようだか その 場 合 は 移 行 期 のメリット の 減 少 につながる 3 貧 困 救 済 方 法 の 価 値 観 年 金 制 度 による 所 得 の 再 配 分 ではなく 一 律 に 税 で 保 障 するので 民 主 党 案 のような 貧 困 対 策 で 自 己 の 年 金 が 削 られるこ とへの 反 発 は 生 まれないが 1の 観 点 も 含 めて 増 税 による 大 きな 政 府 に よる 普 遍 主 義 的 対 応 への 反 対 は 予 想 される c. 年 金 民 営 化 論 [ 制 度 の 概 要 ] 厚 生 年 金 を 多 分 確 定 拠 出 型 の 民 間 年 金 に 置 き 換 える 多 分 としたのは あまり 明 確 にされていないからだが 先 ごろ 原 則 廃 止 方 針 が 決 定 された 厚 生 年 金 基 金 のような 確 定 給 付 型 とすると 年 金 資 産 が 運 用 環 境 悪 化 で 見 込 みより 減 少 し 年 金 給 付 に 必 要 な 額 を 下 回 った 場 合 企 業 等 は 追 加 拠 出 をすることになるが そのような 運 用 リスクを 企 業 が 背 負 うとは 思 われないからである 168 (145)
[メリット] 厚 生 年 金 部 分 の 民 営 化 部 分 については 自 己 の 積 立 てた 分 し か 年 金 は 給 付 されないので 自 分 が 想 定 した 年 齢 より 長 生 きすることに よる 積 立 金 の 枯 渇 ( 長 寿 リスク) 運 用 の 失 敗 による 年 金 の 減 額 ( 運 用 リスク) インフレを 保 障 する 市 場 運 用 商 品 はほとんどないのでインフ レで 年 金 の 実 質 価 値 が 下 がること (インフレリスク) があり 老 後 保 障 の 安 定 の 効 果 はない すなわち 民 営 化 では 無 年 金 低 年 金 対 策 の 効 果 は 認 められ 難 い この 案 の 主 張 者 は b の 基 礎 年 金 税 方 式 案 とセットの 提 案 が 多 いが そちらの 評 価 は b のとおりである [デメリット] 持 続 可 能 性 等 については 二 重 の 負 担 等 様 々な 議 論 があ るが 本 稿 のテーマである 無 年 金 低 年 金 対 策 には 上 記 のとおり 効 果 がないので 次 稿 などで 分 析 したい (2) 現 行 制 度 を 前 提 とした 社 会 福 祉 的 給 付 による 解 決 策 と 年 金 制 度 のいくつかの 改 善 案 a. 年 金 制 度 では 現 行 対 策 の 延 長 でとどめ 貧 困 対 策 は 生 活 保 護 等 の 社 会 福 祉 給 付 高 齢 者 雇 用 対 策 その 他 施 策 で 対 応 [ 制 度 の 概 要 ] 年 金 制 度 としての 改 善 は 未 納 未 加 入 対 策 については 負 担 能 力 のあ る 者 への 勧 奨 及 び 滞 納 対 策 の 強 化 並 びに 事 業 主 側 の 理 解 を 得 つつ 厚 生 年 金 の 非 正 規 労 働 者 への 適 用 を 中 小 企 業 へ 漸 進 的 に 拡 大 することにと どめる 早 期 引 退 による 年 金 繰 上 げ 支 給 対 策 としては 年 金 制 度 としては 5-10 年 の 有 期 給 付 が 多 い 企 業 年 金 個 人 年 金 等 を 税 制 優 遇 や 規 制 緩 和 により 普 及 促 進 し 60 歳 前 後 の 就 労 生 活 からの 全 部 又 は 部 分 的 引 退 から 65 歳 以 上 の 公 的 年 金 の 本 格 受 給 までの つなぎ 年 金 を 充 実 する 対 策 や 高 齢 者 雇 用 を 雇 用 保 険 などの 助 成 金 で 促 進 する 施 策 にとどめる 未 納 未 加 入 失 業 健 康 等 による 稼 得 能 力 の 喪 失 に 対 しては 資 産 調 査 や 扶 養 義 務 者 による 扶 養 も 問 うことができる 生 活 保 護 等 の 社 会 福 祉 対 策 で 主 として 対 応 する (144) 169
[メリット] 年 金 制 度 の 対 策 は 現 行 施 策 の 延 長 にすぎず 顕 著 な 改 善 は 期 待 できない 今 後 マクロ 経 済 スライドや 既 裁 定 者 ( 年 金 受 給 者 ) の 物 価 スライドのみ による 改 善 が 進 むと 基 礎 年 金 額 の 低 下 が 進 行 していくので 2012 年 に 講 じた 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 により 老 後 の 基 礎 的 生 活 費 と 基 礎 年 金 満 額 との 差 額 である 5000 円 を 給 付 する 対 策 の 効 果 は 薄 れ 基 礎 年 金 のみ の 受 給 者 について 生 活 保 護 受 給 者 が 増 加 するおそれがある [デメリット] 1 持 続 可 能 性 世 代 間 不 平 等 年 金 制 度 ではコストのかかる 対 策 は 講 じな いので 年 金 制 度 の 持 続 可 能 性 に 悪 影 響 はない 生 活 保 護 が 増 加 するこ とは 財 政 面 で 悪 影 響 がでる 可 能 性 があるが 資 産 要 件 等 が 厳 しいので 年 金 制 度 による 対 応 よりはコストはかからない 可 能 性 が 高 い 2 保 険 料 納 付 意 欲 年 金 で 対 応 しないので 悪 影 響 はない 3 貧 困 救 済 方 法 の 価 値 観 生 活 保 護 の 受 給 には 厳 しい 資 産 調 査 等 のミーン ズテストがあり 恥 辱 感 (スティグマ) が 伴 う かなり 選 別 主 義 的 な 対 応 であり ある 程 度 社 会 保 障 による 普 遍 主 義 的 対 応 をとるべきという 論 者 からは 老 後 生 活 の 保 障 という 年 金 制 度 の 目 的 が 十 分 果 たされていな いという 批 判 が 生 じる b. 保 険 料 軽 減 支 援 制 度 [ 制 度 の 概 要 ] 2008 年 11 月 27 日 の 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 における 議 論 の 中 間 整 理 の 中 で 一 つの 案 として 提 案 されていた 制 度 であり 今 後 所 得 に 応 じて 全 部 一 部 免 除 の 手 続 きを 行 っている 者 は 負 担 能 力 に 応 じた 保 険 料 負 担 をしているので 満 額 の 基 礎 年 金 を 支 給 する [メリット] 今 後 は 免 除 制 度 を 通 じて 所 得 による 保 険 負 担 能 力 に 応 じて 最 大 の 努 力 をした 者 に 満 額 の 基 礎 年 金 額 を 保 障 するという 点 で 一 定 の 低 所 得 対 策 となる ただし 過 去 免 除 制 度 を 利 用 して 低 年 金 となっている 者 までは 救 われない 満 額 の 基 礎 年 金 の 水 準 自 体 が 現 時 点 でも 単 身 の65 歳 以 上 の 基 礎 的 生 活 費 を 補 うのに 少 し 足 りず かつ 今 後 マクロ 経 済 スラ 170 (143)
イドが 基 礎 年 金 にも 適 用 されること 等 でその 水 準 は 下 がっていくので 基 礎 年 金 のみの 受 給 者 の 老 後 生 活 の 安 定 効 果 は 限 定 的 である [デメリット] 1 持 続 可 能 性 世 代 間 不 平 等 税 方 式 ほどコストがかかるわけではないが 全 額 免 除 者 は 法 定 申 請 全 額 免 除 者 合 わせて 1 号 被 保 険 者 の 19% 全 公 的 年 金 加 入 者 の 約 5.5% おり 彼 らについて 国 庫 負 担 分 だけでなく 全 額 基 礎 年 金 を 保 障 することはそれなりの 財 源 を 要 すると 思 われる ただし 彼 らが 全 加 入 期 間 で 免 除 となるわけではないので 財 政 負 担 はさらに 限 定 される 保 険 料 納 付 時 点 では 貧 しかったが その 後 年 金 受 給 年 齢 時 に は 高 所 得 となった 時 に 税 負 担 で 過 去 の 保 険 料 軽 減 分 の 基 礎 年 金 を 満 額 給 付 すべきかという 問 題 が 検 討 当 時 指 摘 されていた 2 保 険 料 納 付 意 欲 保 険 料 負 担 能 力 に 応 じて 最 大 限 負 担 させるので モラ ルハザードは 生 じないと 言 えるが 保 険 負 担 能 力 を 偽 って 不 正 に 保 険 料 負 担 の 軽 減 対 象 となるおそれはある ただし これは 現 行 制 度 でも 国 庫 負 担 分 の 年 金 の 不 正 受 給 として 起 こり 得 ることである 3 貧 困 救 済 方 法 の 価 値 観 全 額 免 除 期 間 に 満 額 の 基 礎 年 金 を 保 障 するほど に 年 金 制 度 内 で 所 得 再 分 配 を 行 って 救 済 することについて 2008 年 当 時 政 府 内 で 理 解 を 得 られなかったのか 結 局 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 の 議 論 の 中 間 整 理 は 制 度 化 されなかった c. 基 礎 年 金 へのマクロ 経 済 スライドの 適 用 の 排 除 [ 制 度 の 概 要 ] 現 在 厚 生 年 金 国 民 年 金 ともに 適 用 されているマクロ 経 済 スライドを 基 礎 年 金 のみを 受 給 する 場 合 は 適 用 せず かつ 既 裁 定 後 も 物 価 スライドを 適 用 する 物 価 下 限 型 を 適 用 する いわば 基 礎 的 最 低 消 費 を 保 障 する 基 礎 年 金 の 創 設 時 の 考 え 方 を 基 礎 年 金 のみ 受 給 者 につい て 復 活 する ただし 65 歳 より 前 に 支 給 開 始 年 齢 を 繰 り 上 げた 場 合 の 年 金 減 額 はそのままとし a で 述 べたように 企 業 年 金 個 人 年 金 の 普 及 による つなぎ 年 金 の 充 実 や 高 齢 者 雇 用 対 策 で 対 応 する [メリット] 基 礎 年 金 に 対 するマクロ 経 済 スライドの 適 用 による 今 後 の 年 (142) 171
金 水 準 の 低 下 には 効 果 がある ただし 被 保 険 者 時 代 に 低 所 得 故 に 免 除 を 受 けた 期 間 の 年 金 が 低 いことによる 低 年 金 には 効 果 はない [デメリット] 1 持 続 可 能 性 世 代 間 不 平 等 2004 年 改 正 時 の 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 における 検 討 では 基 礎 年 金 だけを 取 出 した 議 論 ではなかったが 既 裁 定 者 の 年 金 について 物 価 下 限 型 により 維 持 すべきかということは 議 論 された しかし そのような 措 置 をとると マクロ 経 済 スライドの 調 整 が 長 引 き 最 終 的 な 年 金 代 替 率 が 低 下 してこれからの 世 代 に 不 利 な 上 既 裁 定 者 の 年 金 水 準 に 手 をつけないことは 世 代 間 の 不 公 平 が 維 持 さ れるということから 現 在 の 既 裁 定 者 の 年 金 もマクロ 経 済 スライドが 一 律 に 適 用 される 方 式 に 対 する 賛 成 が 大 勢 を 占 めた ただし 基 礎 年 金 の み 受 給 者 に 対 象 を 限 定 すれば 財 政 負 担 等 に 対 する 影 響 は 限 定 される 2 保 険 料 納 付 意 欲 保 険 料 納 付 意 欲 には 特 に 悪 影 響 は 見 られない 3 貧 困 救 済 方 法 の 価 値 観 1に 述 べた 現 在 及 び 将 来 の 就 労 年 齢 層 の 負 担 の 上 昇 や 世 代 の 不 公 平 感 を 背 景 として 貧 困 の 救 済 を 選 別 主 義 による 社 会 福 祉 の 役 目 と 考 えるか 基 礎 年 金 に 老 後 の 最 低 限 生 活 費 の 保 障 機 能 を 持 たせるべきかという 価 値 観 の 違 いからくる 意 見 の 対 立 が 生 じ 得 る 3 簡 単 な 考 察 (1) の 抜 本 改 革 案 を 無 年 金 低 年 金 対 策 の 観 点 から 見 ると b の 基 礎 年 金 税 方 式 化 案 は その 大 幅 な 増 税 額 ( 消 費 税 の 6-7% 増 税 相 当 ) から 見 ても 実 現 が 困 難 であり a の 民 主 党 案 について 案 A の 場 合 には 増 税 額 は 限 定 されるが 平 均 的 な 中 所 得 層 も 含 めて 多 くの 者 の 年 金 額 が 減 額 されるため 合 意 を 得 ることが 難 しいと 思 われる 逆 に 案 C D では 基 礎 年 金 税 方 式 化 案 と 同 様 な 大 増 税 ( 消 費 税 の 5-7% 増 税 相 当 ) が 必 要 となり やはり 実 現 が 困 難 に 思 われる c の 年 金 民 営 化 案 は それだけでは 無 年 金 低 年 金 対 策 には 効 果 は 見 られず 解 決 策 とならない (2) の 現 行 対 策 の 改 善 策 は a では 社 会 福 祉 や 高 齢 者 雇 用 対 策 等 他 施 策 に 頼 り 年 金 制 度 は 無 年 金 低 年 金 制 度 についてほとんど 対 応 しない 172 (141)
ことになる 2012 年 改 正 で 創 設 された 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 制 度 もマク ロ 経 済 スライドの 進 行 とともに 老 後 の 最 低 生 活 費 維 持 という 効 果 は 薄 れ ていくものと 思 われる その 意 味 で c の 基 礎 年 金 のみ 受 給 者 についてのみ マクロ 経 済 スライ ドを 外 し 物 価 下 限 方 式 を 導 入 することは 検 討 の 余 地 があるように 思 わ れる また b の 所 得 に 応 じて 保 険 料 を 納 める 努 力 をした 者 に 対 して 加 算 する 方 式 については 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 の 2) の 仕 組 みを 使 い 現 在 免 除 期 間 の 老 齢 基 礎 年 金 について 1/6 相 当 の 加 算 することとなっているものを 例 えば 1/4 相 当 に 加 算 を 引 き 上 げていくとともに その 対 象 者 が 年 金 生 活 時 点 で 高 所 得 の 場 合 に 所 得 制 限 を 課 すことで b で 述 べられていた 問 題 点 に 対 応 することも 可 能 であり これについても 検 討 の 余 地 があると 思 われ る これらの (2) の b c を 基 にした 対 策 による 財 源 所 要 額 を 現 時 点 で 正 確 に 試 算 できていないので (1) の 抜 本 改 革 案 の 税 方 式 案 との 制 度 の 持 続 可 能 性 に 対 する 影 響 度 の 正 確 な 比 較 ができないが 上 記 で 述 べたとお り 抜 本 改 革 案 の 消 費 税 5-7% 増 税 相 当 の 財 源 が 必 要 になるとは 思 われな いので 検 討 する 価 値 はあると 考 える 注 (13) 内 閣 府 社 会 保 障 国 民 会 議 所 得 確 保 保 障 分 科 会 第 4 回 で 公 表 (2008 年 5 月 19 日 ) された 公 的 年 金 制 度 に 関 する 定 量 的 なシミュレーション Ⅳ おわりに 本 稿 では 以 上 のように 無 年 金 低 年 金 問 題 に 主 題 をおいて Ⅱで これまでの 年 金 改 正 の 概 要 及 び 影 響 を 述 べるとともに 基 礎 年 金 のみを 受 給 している 者 に 低 年 金 問 題 が 集 中 していること その 原 因 として 1 未 納 未 加 入 問 題 2 基 礎 年 金 の 受 給 開 始 の 繰 上 げがあること 3 今 後 影 (140) 173
響 を 及 ぼす 要 素 としてマクロ 経 済 スライドが 基 礎 年 金 にも 適 用 され 年 金 裁 定 後 も 適 用 され 続 けることにあることを 指 摘 した Ⅲでこの 問 題 に 対 する 対 策 案 を 評 価 する 視 点 として 1 無 年 金 低 年 金 対 策 への 効 果 2 制 度 の 持 続 可 能 性 世 代 間 の 不 平 等 への 影 響 3 社 会 保 険 方 式 の 保 険 料 納 付 意 欲 への 影 響 4 貧 困 救 済 方 法 としての 社 会 保 障 による 普 遍 主 義 的 対 応 と 選 別 主 義 の 価 値 観 の 対 立 を 提 示 した そして 抜 本 的 対 策 案 としての a 民 主 党 案 b 基 礎 年 金 税 方 式 案 c 年 金 民 営 化 案 を また 現 行 方 式 を 前 提 とする 案 として a 専 ら 生 活 保 護 等 の 社 会 福 祉 施 策 等 で 対 応 する 案 b 保 険 料 免 除 制 度 を 活 用 した 基 礎 年 金 の 加 算 をする 案 c 基 礎 年 金 のみの 受 給 者 に 対 してマクロ 経 済 スライドの 適 用 を 排 除 物 価 下 限 法 式 を 適 用 する 案 を 紹 介 し 先 の 視 点 による 比 較 評 価 を 行 った それらの 比 較 評 価 に 基 づく 考 察 で 抜 本 対 策 案 の a 民 主 党 案 の C-D 案 b 基 礎 年 金 税 方 式 案 は 大 増 税 が 必 要 となること a 民 主 党 案 の A-B 案 では 現 行 方 式 に 比 べて 将 来 の 年 金 受 給 者 (= 現 在 の 就 労 年 齢 層 ) について 多 くの 中 程 度 の 年 金 受 給 者 の 年 金 が 減 額 され 大 きな 反 対 が 予 想 されること c 年 金 民 営 化 案 は 無 年 金 低 年 金 対 策 への 効 果 が 認 め られないことから 解 決 策 とならないことを 指 摘 した また 現 行 制 度 を 前 提 にした 案 の 中 で c 基 礎 年 金 のみの 受 給 者 に 対 する マクロ 経 済 スライドの 適 用 排 除 や 物 価 下 限 方 式 の 適 用 を 行 うこと b に 基 づき 年 金 生 活 者 支 援 給 付 制 度 を 活 用 して 免 除 期 間 に 対 応 した 加 算 の 充 実 を 図 る 案 については 検 討 の 余 地 があるという 簡 単 な 考 察 を 示 した 考 察 で 提 示 した 現 行 制 度 を 前 提 とした 案 の 財 政 効 果 の 検 証 は 今 後 の 課 題 である また 年 金 制 度 に 残 された 課 題 である 制 度 の 持 続 可 能 性 及 び 世 代 間 の 不 公 平 問 題 に 主 眼 を 置 いた 検 討 は 次 稿 以 降 において 行 って いきたい [ 参 考 文 献 ] 厚 生 労 働 省 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 議 論 の 中 間 整 理 (2008 年 11 月 27 日 ) 厚 生 労 働 省 平 成 22 年 公 的 年 金 加 入 状 況 調 査 (2010 年 ) 174 (139)
厚 生 労 働 省 国 民 生 活 基 礎 調 査 (2011 年 ) 厚 生 労 働 省 平 成 23 年 国 民 年 金 被 保 険 者 実 態 調 査 (2012 年 ) 厚 生 労 働 省 平 成 23 年 度 厚 生 年 金 保 険 国 民 年 金 保 険 事 業 年 報 (2012 年 ) 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 日 本 の 将 来 推 計 人 口 (2012 年 ) 芝 田 文 男 2004 年 年 金 制 度 改 革 の 論 点 整 理 と 今 後 の 課 題 北 大 法 学 論 集 第 56 巻 第 3 号 pp1488-1510 (2005 年 ) 総 務 省 統 計 局 2010 年 家 計 調 査 年 報 (2011 年 ) 総 務 省 統 計 局 国 勢 調 査 報 告 (2011 年 ) 坪 野 剛 年 金 制 度 の 課 題 と 将 来 週 刊 社 会 保 障 No. 2709 株 式 会 社 法 研 (2013 年 ) 内 閣 府 社 会 保 障 国 民 会 議 所 得 確 保 保 障 分 科 会 公 的 年 金 制 度 に 関 する 定 量 的 なシミュレーション (2008) 宮 武 剛 山 崎 泰 彦 畑 満 座 談 会 将 来 の 人 口 構 造 変 化 を 踏 まえた 支 給 開 始 年 齢 引 上 げは 不 可 欠 週 刊 社 会 保 障 No. 2709 株 式 会 社 法 研 (2013 年 ) 民 主 党 新 制 度 の 財 政 試 算 のイメージ ( 暫 定 版 ) (2012 年 ) (138) 175