第 4 回 日 本 仙 腸 関 節 研 究 会 プログラム 抄 録 集 会 期 :2013 年 11 月 2 日 ( 土 ) 会 場 : 東 京 国 際 フォーラム 東 京 都 千 代 田 区 丸 の 内 3-5-1 会 長 : 仙 台 社 会 保 険 病 院 村 上 栄 一 共 催 : 日 本 仙 腸 関 節 研 究 会 久 光 製 薬 株 式 会 社
-プログラム- 日 時 : 平 成 25 年 11 月 2 日 ( 土 ) 15:00~18:30 会 長 挨 拶 15:00~15:05 仙 台 社 会 保 険 病 院 村 上 栄 一 演 題 発 表 15:05~16:35 座 長 : 東 北 大 学 整 形 外 科 准 教 授 小 澤 浩 司 1 仙 腸 関 節 機 能 障 害 に 高 率 に 合 併 する 絞 扼 性 末 梢 神 経 障 害 について 非 特 異 的 腰 痛 の 原 因 の 一 つとして (6 分 ) 今 給 黎 総 合 病 院 リハビリテーション 部 勝 山 誠 他 2 仙 腸 関 節 近 傍 での 中 殿 皮 神 経 絞 扼 の 解 剖 学 的 研 究 (6 分 ) 横 浜 市 立 大 学 運 動 器 病 態 学 紺 野 智 之 他 3 あぐら( 腰 部 前 屈 )で 腰 痛 が 悪 化 した 上 殿 皮 神 経 障 害 の 2 例 - 仙 腸 関 節 障 害 との 鑑 別 - (6 分 ) 釧 路 労 災 病 院 脳 神 経 外 科 千 葉 泰 弘 他 4 胸 腰 椎 圧 迫 骨 折 に 仙 腸 関 節 性 疼 痛 を 合 併 した2 症 例 (6 分 ) 秋 田 組 合 総 合 病 院 整 形 外 科 鵜 木 栄 樹 他 5 仙 腸 関 節 ブロック 治 療 に 抵 抗 する 難 治 性 仙 腸 関 節 障 害 症 例 の 腰 椎 骨 盤 単 純 レントゲン 検 査 所 見 の 検 討 (6 分 ) よしだ 整 形 外 科 クリニック 整 形 外 科 吉 田 眞 一 6 難 治 性 仙 腸 関 節 障 害 に 対 する 骨 シンチグラフィーの 有 用 性 SPECT/CT による 画 像 診 断 (6 分 ) 今 給 黎 総 合 病 院 整 形 外 科 古 賀 公 明 他 7 仙 腸 関 節 不 安 定 症 に 対 する 骨 盤 ベルトの 効 果 - 足 圧 分 布 による 評 価 の 試 み- (6 分 ) 医 療 法 人 社 団 大 智 会 市 橋 クリニック 臨 床 歩 行 医 学 研 究 所 市 橋 研 一 他 1
8 急 性 腰 痛 における enthesis へのブロック 療 法 の 効 用 - 不 良 姿 勢 の 是 正 が 治 療 効 果 をもたらす- (6 分 ) 徳 山 整 形 外 科 徳 山 博 士 9 急 性 腰 痛 症 における 仙 腸 関 節 障 害 MRI 所 見 とAKA 療 法 (6 分 ) 小 手 指 整 形 外 科 柑 本 晴 夫 他 10 仙 腸 関 節 障 害 に 対 する 高 周 波 熱 凝 固 術 症 例 の 臨 床 的 検 討 (6 分 ) 東 邦 大 学 医 療 センター 大 橋 病 院 脊 椎 脊 髄 センター 伊 藤 圭 介 他 製 品 説 明 16:35~16:45 経 皮 吸 収 型 持 続 性 疼 痛 治 療 剤 ノルスパンテープについて 久 光 製 薬 株 式 会 社 基 調 講 演 16:50~17:50 座 長 : 東 邦 大 学 医 学 部 整 形 外 科 学 講 座 ( 大 橋 ) 教 授 武 者 芳 朗 基 調 講 演 1 体 に 触 ってわかる 腰 痛 の 真 実 医 療 法 人 菊 野 会 菊 野 病 院 副 院 長 古 賀 公 明 基 調 講 演 2 仙 腸 関 節 障 害 がわかれば 非 特 異 的 腰 痛 の 多 くがわかる 仙 台 社 会 保 険 病 院 副 院 長 腰 痛 仙 腸 関 節 センター 長 村 上 栄 一 パネルディスカッション ~ 患 者 さんを 交 えてフリートーキング~ 18:00~18:30 仙 腸 関 節 障 害 と 初 めて 診 断 されて 司 会 黒 澤 大 輔 ( 仙 台 社 会 保 険 病 院 ) パネリスト 芳 賀 恵 美 子 ( 宮 城 県 ) パネリスト 帖 佐 康 寛 ( 鹿 児 島 県 ) 2
演 題 発 表 1 仙 腸 関 節 機 能 障 害 に 高 率 に 合 併 する 絞 扼 性 末 梢 神 経 障 害 について 非 特 異 的 腰 痛 の 原 因 の 一 つとして 勝 山 誠 1) 山 崎 数 馬 1) 松 下 卓 矢 1) 佐 藤 珠 葵 1) 都 外 川 希 1) 松 永 俊 二 古 賀 公 明 2) 2) 今 給 黎 総 合 病 院 リハビリテーション 部 1) 整 形 外 科 2) はじめに 腰 痛 の 85%は 原 因 が 不 明 であると 報 告 されている 実 際 に 手 術 やリハビ リテーションを 施 行 するも 改 善 しない 腰 痛 を 経 験 することは 珍 しくない 神 経 根 刺 激 や 関 節 由 来 の 疼 痛 以 外 の 腰 痛 の 原 因 を 明 らかにするために 腰 痛 難 治 例 に 共 通 する 腰 部 臀 部 の 圧 痛 点 を 調 査 検 討 したので 報 告 する 対 象 および 方 法 一 年 以 上 保 存 的 治 療 を 施 行 するも 数 値 評 価 スケール NRS(Numeric Rating Scale)が 常 に4 以 上 を 認 める 難 治 例 44 例 を 対 象 とした 男 性 11 女 性 33 名 26 歳 ~72 歳 平 均 年 齢 51 歳 である 1987 年 clinical orthopedics and related research に 記 載 された Thomas N. Bernard. Jr.らの 非 特 異 的 腰 痛 の 特 徴 についての 報 告 を 参 考 にして 仙 腸 関 節 機 能 障 害 の 腰 部 臀 部 の 圧 痛 点 ( 仙 腸 関 節 および 椎 間 関 節 の 圧 痛 点 は 除 外 )を 評 価 した 触 診 と 透 視 下 局 所 ブロックによる 効 果 判 定 によって 疼 痛 部 位 を 同 定 した 結 果 坐 骨 神 経 30 例 上 殿 神 経 13 例 後 大 腿 皮 神 経 10 例 外 側 大 腿 皮 神 経 11 例 陰 部 神 経 14 例 上 殿 皮 神 経 25 例 であった NRS が 高 値 である 症 例 は 広 範 囲 に 圧 痛 点 を 認 め NRS が 低 値 である 症 例 は 部 分 的 に 圧 痛 点 を 認 めた 考 察 Bernard らの 報 告 の 通 りブロックによって 圧 痛 部 位 の 疼 痛 が 軽 減 することか ら 同 部 位 の 絞 扼 性 末 梢 神 経 障 害 である 可 能 性 が 高 いと 考 えられる また 経 験 的 に 仙 腸 関 節 に 対 する 徒 手 療 法 によってこれらの 圧 痛 が 軽 減 することから 仙 腸 関 節 機 能 障 害 の 腰 部 臀 部 の 圧 痛 点 は 骨 盤 周 囲 筋 スパズムが 増 悪 することによって 二 次 的 に 発 生 し ていると 考 えられる NRS が 高 値 である 症 例 は 広 い 範 囲 で 骨 盤 周 囲 筋 のスパズムが 発 生 するために 広 範 囲 に 圧 痛 点 を 認 めたと 考 えられる 結 論 絞 扼 性 末 梢 神 経 障 害 は 非 特 異 的 腰 痛 の 原 因 の 一 つであると 考 えられ 臨 床 上 極 めて 重 要 である 非 特 異 的 腰 痛 治 療 において 常 に 絞 扼 性 末 梢 神 経 障 害 を 念 頭 に 治 療 する 必 要 があると 考 えられる 3
演 題 発 表 2 仙 腸 関 節 近 傍 での 中 殿 皮 神 経 絞 扼 の 解 剖 学 的 研 究 紺 野 智 之 青 田 洋 一 國 谷 洋 齋 藤 知 行 曲 寧 林 省 吾 河 田 晋 一 伊 藤 正 裕 横 浜 市 立 大 学 運 動 器 病 態 学 横 浜 市 立 脳 血 管 医 療 センター 東 京 医 科 大 学 人 体 構 造 学 講 座 はじめに 上 殿 皮 神 経 は 腸 骨 稜 を 乗 り 越 える 際 に 通 過 する osteofibrous tunnel における 絞 扼 が 腰 痛 の 原 因 となることが 既 に 報 告 されている 一 方 S1 S3 後 枝 に 由 来 し 大 殿 筋 を 貫 き 皮 下 組 織 に 分 布 する 知 覚 神 経 である 中 殿 皮 神 経 における 絞 扼 性 神 経 障 害 の 報 告 は ない 解 剖 学 的 に 中 殿 皮 神 経 のなかにも 腸 骨 を 乗 り 越 える 神 経 が 存 在 し 臨 床 的 にも 同 部 に 疼 痛 を 有 する 症 例 が 少 なくないため 本 研 究 では 中 殿 皮 神 経 絞 扼 を 解 剖 学 的 に 調 査 した 対 象 と 方 法 解 剖 用 ご 遺 体 4 体 ( 男 女 比 3:4 死 亡 時 平 均 年 齢 89.42 歳 )の 7 側 の 中 殿 皮 神 経 を 調 査 した 上 殿 皮 神 経 を 腸 骨 稜 高 位 で 同 定 し 内 尾 側 に 展 開 して 後 上 腸 骨 棘 より 内 尾 側 に 分 布 する 神 経 を 同 定 した この 神 経 の 走 行 を 中 枢 側 に 向 かって 確 認 した その 際 中 殿 皮 神 経 が 腸 骨 を 乗 り 越 える 際 に 腹 側 と 背 側 がそれぞれ 腸 骨 と 筋 膜 で 覆 われた 部 分 を osteofibrous tunnel と 定 義 した 結 果 全 例 で 中 殿 皮 神 経 は 上 後 腸 骨 棘 の 尾 側 を 走 行 していた 2 体 2 側 では 上 後 腸 骨 棘 の 内 尾 側 下 後 腸 骨 棘 の 外 頭 側 で 中 殿 皮 神 経 が 腸 骨 を 乗 り 越 えていた 1 例 では 中 殿 皮 神 経 が 腸 骨 を 乗 り 越 える 部 位 は 上 後 腸 骨 棘 から 腸 骨 に 沿 って 約 9.1mm 内 尾 側 であった 同 部 位 ではこの 神 経 は 腸 骨 と 腰 背 筋 膜 で 囲 まれた osteofibrous tunnel を 通 過 してい た この 神 経 の 起 始 は S2 であった 考 察 我 々は 上 殿 皮 神 経 障 害 が 原 因 の 腰 痛 患 者 に 対 しブロックが 有 効 であり, 一 時 的 に 有 効 だが 症 状 の 再 燃 を 繰 り 返 す 一 時 的 有 効 例 に 対 しては osteofibrous tunnel の 開 放 術 が 有 効 であることを 報 告 した また 解 剖 学 的 研 究 において osteofibrous tunnel を 通 過 する 上 殿 皮 神 経 に 肉 眼 的 絞 扼 所 見 が 認 められた 今 回 中 殿 皮 神 経 も osteofibrous tunnel を 走 行 する 場 合 がみられ 中 殿 皮 神 経 における 絞 扼 性 障 害 が 腰 痛 下 肢 痛 の 一 因 となることが 示 唆 された 4
演 題 発 表 3 あぐら( 腰 部 前 屈 )で 腰 痛 が 悪 化 した 上 殿 皮 神 経 障 害 の 2 例 - 仙 腸 関 節 障 害 との 鑑 別 - 千 葉 泰 弘 1) 井 須 豊 彦 1) 岩 本 直 高 1) 金 景 成 2) 森 本 大 二 郎 3) 伊 藤 康 裕 穂 刈 正 昭 1) 磯 部 正 則 1) 井 上 聖 啓 4) 1) 釧 路 労 災 病 院 脳 神 経 外 科 日 本 医 科 大 学 千 葉 北 総 病 院 脳 神 経 センター2) 1) 横 浜 新 緑 総 合 病 院 脳 神 経 外 科 札 幌 山 の 上 病 院 神 経 内 科 4) 3) はじめに 非 特 異 的 腰 痛 のなかに 仙 腸 関 節 障 害 や 筋 筋 膜 性 疼 痛 などが 含 まれるが 上 殿 皮 神 経 障 害 (SCNE)の 割 合 も 決 して 少 なくないと 我 々は 考 えている 今 回 あぐら ( 腰 部 前 屈 )で 悪 化 する 腰 痛 で 腸 骨 稜 上 ~ 上 後 腸 骨 棘 周 辺 に 圧 痛 を 有 する 症 例 に 対 し SCNE 治 療 を 行 い 良 い 経 過 が 得 られた 2 症 例 を 経 験 したため ここで 報 告 する 症 例 1 79 歳 男 性 平 成 17 年 に 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 に 対 し 手 術 を 施 行 し 腰 下 肢 痛 は ほぼ 消 失 していた 平 成 24 年 10 月 頃 より 草 むしり 中 に 悪 化 し 立 位 で 改 善 するとい う 腰 痛 が 進 行 座 位 困 難 重 いものも 持 ち 上 げられなくなった 腸 骨 稜 上 内 側 ~ 上 後 腸 骨 棘 周 辺 に 圧 痛 を 確 認 あぐらで 腰 痛 は 増 強 した 圧 痛 部 へのブロック 注 射 にて 腰 痛 はほぼ 消 失 するも 効 果 は 持 続 しなかった SCNE を 考 え 手 術 目 的 で 11 月 に 当 科 入 院 となった 症 例 2 75 歳 女 性 腰 下 肢 痛 と 間 欠 跛 行 があり 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 の 診 断 で 投 薬 治 療 がなされていた 起 立 時 や 長 時 間 の 座 位 で 腰 痛 は 悪 化 し 平 成 23 年 7 月 に 仙 腸 関 節 障 害 と SCNE の 診 断 でブロック 治 療 を 行 い 腰 痛 は 軽 減 しかしその 効 果 は 持 続 せず 同 年 12 月 に SCNE 手 術 を 施 行 術 直 後 から 腰 痛 はほぼ 消 失 両 下 肢 のしびれは 消 失 した 平 成 24 年 4 月 頃 から 座 位 になると 腰 痛 を 自 覚 SCNE 手 術 部 位 より 内 側 の 腸 骨 稜 上 ~ 上 後 腸 骨 棘 周 辺 に 圧 痛 を 確 認 仙 腸 関 節 ブロックの 効 果 は 乏 しかったが 腸 骨 稜 上 内 側 のトリガーブロックは 著 効 した その 効 果 は 持 続 せず 平 成 25 年 5 月 に 手 術 目 的 で 当 科 入 院 となった 治 療 結 果 ともに 局 所 麻 酔 下 で 手 術 を 施 行 腸 骨 稜 上 内 側 ( 圧 痛 部 位 )で 胸 腰 筋 膜 下 に 皮 神 経 がみつかった 神 経 の 絞 扼 を 解 除 してフリーにし 圧 痛 の 消 失 を 確 認 術 直 後 からあぐらでの 腰 痛 の 出 現 なく その 効 果 は 現 在 まで 持 続 している 結 語 あぐら( 腰 部 前 屈 )で 悪 化 する 腰 痛 で 腸 骨 稜 上 ~ 上 後 腸 骨 棘 周 辺 に 圧 痛 を 有 する 症 例 に 対 し SCNE 治 療 を 行 い 良 い 経 過 が 得 られた 2 症 例 を 経 験 したため 報 告 した 5
演 題 発 表 4 胸 腰 椎 圧 迫 骨 折 に 仙 腸 関 節 性 疼 痛 を 合 併 した2 症 例 鵜 木 栄 樹 阿 部 栄 二 村 井 肇 小 西 奈 津 雄 小 林 孝 阿 部 利 樹 若 林 育 子 鈴 木 真 澄 秋 田 組 合 総 合 病 院 整 形 外 科 胸 腰 椎 圧 迫 骨 折 に 合 併 した 仙 腸 関 節 性 疼 痛 の2 症 例 を 経 験 したので 報 告 する 症 例 1 :74 歳 女 性 主 訴 : 右 殿 部 痛 右 鼡 径 部 痛 現 病 歴 :2010 年 8 月 初 旬 より 誘 因 なく 右 腰 殿 部 痛 が 生 じ 右 鼡 径 部 痛 も 生 じるよ うになった 9 月 3 日 当 院 を 受 診 した 初 診 時 所 見 : 痛 みは 坐 位 にて 増 悪 し 右 側 臥 位 で 寝 ることができない 神 経 所 見 は 特 記 するもの 無 く ラセーグテストは 陰 性 であ った One finger test Newton テスト 陽 性 で 長 後 仙 腸 靱 帯 腸 骨 筋 に 圧 痛 を 認 め た 経 過 : 身 体 所 見 より 右 仙 腸 関 節 性 疼 痛 を 強 く 疑 い 初 診 同 日 仙 腸 関 節 ブロック を 施 行 した 再 現 痛 と VAS 改 善 率 で 7 割 のブロック 効 果 が 得 られ 右 仙 腸 関 節 痛 と 診 断 した 他 の 腰 椎 疾 患 を 否 定 するため MRI を 施 行 したところ 第 4 腰 椎 の 新 鮮 圧 迫 骨 折 を 認 めた 投 薬 とコルセットを 装 着 にて 症 状 軽 快 し 仙 腸 関 節 痛 の 所 見 も 消 失 した 症 例 2 :62 歳 女 性 主 訴 : 左 殿 部 痛 左 鼡 径 部 痛 現 病 歴 :2012 年 9 月 初 旬 農 作 業 後 より 左 腰 殿 部 痛 が 生 じ 左 鼡 径 部 痛 も 生 じるようになった 10 月 3 日 当 院 を 受 診 した 初 診 時 所 見 : 痛 みは 坐 位 にて 増 悪 した 神 経 脱 落 所 見 無 く ラセーグテストは 陰 性 であった One finger test Newton テスト 陽 性 長 後 仙 腸 靱 帯 仙 結 節 靭 帯 腸 骨 筋 に 圧 痛 を 認 め た 経 過 : 身 体 所 見 より 右 仙 腸 関 節 性 疼 痛 を 強 く 疑 い 初 診 同 日 仙 腸 関 節 ブロッ クを 施 行 した 再 現 痛 と VAS 改 善 率 で 7 割 のブロック 効 果 が 得 られ 左 仙 腸 関 節 痛 と 診 断 した 他 の 腰 椎 疾 患 を 否 定 するため MRI を 施 行 したところ 第 2 腰 椎 の 新 鮮 圧 迫 骨 折 を 認 めた 投 薬 にて 症 状 軽 快 し 仙 腸 関 節 痛 の 所 見 も 消 失 した 考 察 : 村 上 らは 胸 腰 椎 圧 迫 骨 折 後 に 仙 腸 関 節 性 疼 痛 が 合 併 することは 少 なくない とし 痛 みによる 筋 力 のアンバランスや 胸 椎 後 弯 の 増 強 によって 仙 腸 関 節 への 負 荷 が 増 大 するため と 考 察 している 本 症 例 でも 骨 折 による 痛 みが 軽 減 するとともに 仙 腸 関 節 痛 も 軽 快 したと 思 われた 6
演 題 発 表 5 仙 腸 関 節 ブロック 治 療 に 抵 抗 する 難 治 性 仙 腸 関 節 障 害 症 例 の 腰 椎 骨 盤 単 純 レントゲン 検 査 所 見 の 検 討 吉 田 眞 一 よしだ 整 形 外 科 クリニック 整 形 外 科 目 的 仙 腸 関 節 障 害 による 腰 下 肢 痛 に 対 する 仙 腸 関 節 後 方 関 節 外 靭 帯 ブロック( 以 下 仙 腸 関 節 ブロック)の 有 効 性 が 報 告 され 当 院 でも2011 年 9 月 より 施 行 し 良 好 な 治 療 成 績 が 得 られている しかしこの 中 で 定 期 的 に 繰 り 返 しブロックを 施 行 してもなお 十 分 な 疼 痛 緩 和 の 得 られない 難 治 例 がる 今 回 これら 難 治 例 の 腰 椎 骨 盤 単 純 レントゲン 検 査 所 見 の 特 徴 に 付 き 検 討 したので 報 告 する 方 法 対 象 は 腰 下 肢 痛 を 主 訴 に 当 院 外 来 を 受 診 し 仙 腸 関 節 ブロックを 行 った 約 450 例 の 内 定 期 的 に4ヶ 月 以 上 治 療 を 継 続 しても 持 続 的 かつ 一 定 以 上 の 疼 痛 緩 和 を 得 られな い47 例 ( 男 性 16 例 (34%) 女 性 31 例 (66%) 年 齢 は20~89 才 ( 平 均 58.2 才 )である 仙 腸 関 節 障 害 の 診 断 はone finger test 陽 性 かつ 仙 腸 関 節 ブロックにより 疼 痛 緩 和 が 得 ら れたことで 確 認 した レントゲン 検 査 は 単 純 腰 椎 骨 盤 正 面 撮 影 と 立 位 側 面 撮 影 立 位 動 態 撮 影 を 行 った 結 果 L5 仙 骨 化 32/47 例 (68.0%)(Castellvi 分 類 :Ia6 例 Ib14 例 IIa4 例 IIb0 例 IIIa1 例 IIIb6 例 IV1 例 ) 椎 間 板 腔 狭 小 化 24 例 (51.1%) 腰 椎 変 性 辷 り 症 10 例 (21.3%) S1 腰 椎 化 6 例 (12.8%) 腰 椎 側 彎 症 6 例 (12.8%)( 変 性 側 彎 5 例 特 発 性 側 彎 1 例 ) 股 関 節 臼 蓋 形 成 不 全 3 例 (6.4%) 腰 椎 固 定 術 後 3 例 (6,5%) 二 分 脊 椎 3 例 (6.5%) 上 位 腰 椎 強 直 1 例 (2.2%) 骨 盤 骨 折 変 形 治 癒 1 例 (2,2%) 仙 腸 関 節 片 側 部 分 癒 合 1 例 (2,2%)( 重 複 所 見 を 含 む) 考 察 一 般 に 移 行 椎 の 発 生 頻 度 は 文 献 的 にL5 仙 椎 化 4~30% S1 腰 椎 化 2%とされており 今 回 検 討 した 難 治 例 にはそれらの 頻 度 が 高 い 移 行 椎 辷 り 症 側 彎 症 など 仙 腸 関 節 や 下 位 腰 椎 の 骨 性 安 定 性 や 可 動 性 低 下 が 症 状 を 難 治 性 にしている 可 能 性 が 考 えられる 7
演 題 発 表 6 難 治 性 仙 腸 関 節 障 害 に 対 する 骨 シンチグラフィーの 有 用 性 SPECT/CT による 画 像 診 断 古 賀 公 明 1) 宮 口 文 宏 1) 山 口 聡 1) 救 仁 郷 修 1) 日 高 亮 1) 大 久 保 幸 一 飯 伏 順 一 3) 中 別 府 良 昭 4) 小 宮 節 郎 5) 2) 今 給 黎 総 合 病 院 整 形 外 科 1) 放 射 線 科 2) 放 射 線 部 鹿 児 島 大 学 放 射 線 科 鹿 児 島 大 学 整 形 外 科 4) 5) 3) 仙 腸 関 節 機 能 障 害 は 画 像 所 見 に 乏 しいため 誘 発 テストや 仙 腸 関 節 ブロックの 効 果 を 総 合 して 診 断 しているのが 現 状 である 過 去 に 仙 腸 関 節 炎 に 対 し 骨 シンチを 用 いた 画 像 診 断 が 試 みられたが プラナー 画 像 では 信 頼 性 が 低 いとの 理 由 で 現 在 は 行 われてい ない 今 回 仙 腸 関 節 機 能 障 害 難 治 ( 仙 腸 関 節 炎 ) 例 に 対 して SPECT/CT を 用 いた 画 像 診 断 を 行 い SPECT/CT の 有 用 性 について 検 討 したので 報 告 する 対 象 臨 床 症 状 理 学 ( 神 経 学 的 ) 所 見 画 像 所 見 仙 腸 関 節 ブロックにて 仙 腸 関 節 機 能 障 害 と 診 断 し 一 年 以 上 保 存 的 治 療 を 施 行 するも NRS(Numeric Rating Scale)が 常 に 4 以 上 の 疼 痛 を 有 する 31 例 ( 男 性 10 例 女 性 21 例 で 18~80 歳 平 均 49 歳 )である 症 状 が 両 側 性 である 症 例 は 28 例 ( 右 側 優 位 10 例 左 側 優 位 8 例 左 右 差 なし 10 例 )で 片 側 性 であ る 症 例 は 3 例 ( 右 側 0 例 左 側 3 例 )である 方 法 SPECT/CT 画 像 により 仙 腸 関 節 腔 内 に 集 積 するスポットを BDV(Bone Display Value)として その 集 積 度 を 評 価 した 結 果 すべての 症 例 で BDV 値 280 以 上 の 集 積 を 仙 腸 関 節 腔 内 に 認 めた 症 状 に 左 右 差 がある 28 例 は 全 例 症 状 が 強 い 仙 腸 関 節 側 により 強 い 集 積 を 認 めた 症 状 に 左 右 差 がない 3 症 例 はほぼ 同 等 の BDV 値 を 示 した 考 察 仙 腸 関 節 機 能 障 害 は 仙 腸 関 節 の 関 節 面 の 適 合 不 良 であると 考 えられる 肩 関 節 脱 臼 のように 脱 臼 時 には 激 しい 疼 痛 を 訴 えるが 整 復 されると 疼 痛 は 著 明 に 軽 減 する 一 過 性 の 仙 腸 関 節 機 能 障 害 では 画 像 評 価 は 困 難 であるが 仙 腸 関 節 機 能 障 害 を 繰 り 返 す 難 治 例 であれば 反 復 性 肩 関 節 脱 臼 で Bankart lesion や Hill-Sachs lesion などを 合 併 するように 関 節 面 に 炎 症 を 生 じる 可 能 性 がある SPECT/CT による 評 価 は 症 状 と 画 像 所 見 がよく 一 致 することから 難 治 性 仙 腸 関 節 機 能 障 害 の 診 断 には 応 用 できる 可 能 性 があることが 示 唆 された 8
演 題 発 表 7 仙 腸 関 節 不 安 定 症 に 対 する 骨 盤 ベルトの 効 果 - 足 圧 分 布 による 評 価 の 試 み- 市 橋 研 一 武 村 政 徳 医 療 法 人 社 団 大 智 会 市 橋 クリニック 臨 床 歩 行 医 学 研 究 所 はじめに 加 齢 や 疾 病 に 伴 い 立 位 姿 勢 アライメントが 変 化 するが 仙 腸 関 節 の 不 安 定 性 もその 一 つにあげられる 骨 盤 ベルト 等 外 力 によって 仙 腸 関 節 の 不 安 定 性 を 改 善 する 保 存 的 アプローチは 有 効 な 方 法 の 1 つである 当 院 でも 仙 腸 関 節 不 安 定 症 等 に 対 して 骨 盤 ベルトなどによる 介 入 を 行 い 立 位 姿 勢 アライメントの 改 善 を 経 験 している 姿 勢 アライメントは 重 心 バランスにも 影 響 し 立 位 姿 勢 アライメントの 改 善 を 重 心 動 揺 検 査 で 評 価 する 試 みが 行 われている 今 回 我 々は 足 圧 分 布 測 定 器 を 用 い 仙 腸 関 節 の 不 安 定 性 に 対 する 骨 盤 ベルトの 効 果 を 検 討 したので 報 告 する 方 法 腰 痛 等 の 症 状 で 当 院 を 受 診 した 患 者 の 内 仙 腸 関 節 の 不 安 定 性 が 疑 われる 方 20 名 ( 男 5 名 女 15 名 ;61.1±16.5 歳 )を 対 象 とした 介 入 なしと 骨 盤 をベルトで 締 め 仙 腸 関 節 を 固 定 した 条 件 との 比 較 で 足 圧 分 布 の 測 定 を 行 った 足 圧 分 布 測 定 器 は Gaitveiw(alFOOT 社 製 )を 用 い 静 止 立 位 検 査 及 び 平 衡 機 能 検 査 を 行 った 測 定 項 目 の うち 静 止 立 位 検 査 時 の 荷 重 バランス 左 右 各 足 の 足 圧 中 心 の 動 作 範 囲 および 踵 骨 荷 重 圧 平 衡 機 能 ( 重 心 動 揺 ) 検 査 時 の 重 心 動 揺 軌 跡 長 (30 秒 間 ) 単 位 面 積 軌 跡 長 および 前 後 左 右 方 向 の 変 位 速 度 を 3 要 因 分 散 分 析 等 で 比 較 検 討 した 結 果 および 考 察 重 心 動 揺 軌 跡 長 は 介 入 なし 69.9±35.8 骨 盤 ベルト 60.9± 26.4(mm)で 差 は 認 められなかった 単 位 面 積 軌 跡 長 もそれぞれ 5.99±3.56 5.82± 3.42(mm/mm 2 ) で 差 は 認 められなかった 一 方 静 止 立 位 検 査 時 の 左 右 各 足 の 足 圧 中 心 動 作 範 囲 面 積 はそれぞれ 0.169±0.1363 0.119±0.0849(cm 2 )で 骨 盤 をベルトで 締 め た 時 が 有 意 に 低 値 を 示 した 重 心 動 揺 検 査 では 評 価 できなかった 変 化 を 足 圧 分 布 測 定 検 査 で 示 すことができ 仙 腸 関 節 不 安 定 症 の 改 善 効 果 をより 詳 細 に 検 討 することがで きた 9
演 題 発 表 8 急 性 腰 痛 における enthesis へのブロック 療 法 の 効 用 - 不 良 姿 勢 の 是 正 が 治 療 効 果 をもたらす- 徳 山 博 士 徳 山 整 形 外 科 目 的 : 急 性 腰 痛 の 発 症 原 因 に 不 良 動 作 姿 勢 が 大 きく 関 与 している 事 は 良 く 知 られてい ることである しかし 大 部 分 の 患 者 はこのことを 理 解 していない 演 者 は 急 性 腰 痛 の 診 断 と 治 療 を 行 なう 上 で 主 訴 となった 痛 みの 体 感 覚 と 局 在 部 位 ( 主 訴 疼 痛 ポイ ント と 略 )を 同 定 しかつ その 痛 みを 再 現 せしめる 動 作 姿 勢 の 確 認 が 不 可 欠 であ ると 考 えている 本 発 表 では 主 訴 疼 痛 ポイント の 大 部 分 が 仙 腸 関 節 背 側 仙 腸 靭 帯 部 (1) 腸 骨 稜 (2) 及 び 棘 間 靭 帯 棘 突 起 部 (3)のいずれかの enthesis に あったという 診 察 結 果 から 実 施 した 各 部 位 へのブロック 注 射 の 効 果 と その 結 果 も たらされた 患 者 の 発 症 原 因 の 理 解 度 について 調 査 した 対 象 と 方 法 : 過 去 2 年 に 当 院 を 受 診 した 発 症 後 3 週 以 内 の 急 性 腰 痛 を 主 訴 とする 初 診 患 者 352 名 ( 年 齢 14~6 5 歳 )のうち 結 果 判 定 可 能 であった185 名 を 対 象 とした 主 訴 疼 痛 ポイント の 同 定 は 主 訴 の 再 現 せしめる 部 位 であり 講 演 で 詳 述 する ブロック 注 射 は 各 enthesis をターゲットとし1%キシロカイン5cc を 用 いて 行 なった ブロック 効 果 判 定 は 施 行 後 2 分 の 疼 痛 改 善 度 を NRS で 行 なった また 原 因 となった 姿 勢 動 作 の 説 明 が 理 解 度 はブロック 後 2 週 以 内 の 再 受 診 時 に YES か NO の 二 者 択 一 問 診 で 行 なった 結 果 :11 37 例 NRS 平 均 値 10 4.2 理 解 度 91/137(66.4%) 242 例 NRS 平 均 値 10 3.2 理 解 度 29/42(69.0%) 36 例 NRS 平 均 値 10 3.1 理 解 度 4/6(66.7%) であった 考 察 と 結 論 : 急 性 腰 痛 の 発 症 原 因 に 不 良 姿 勢 動 作 が 大 きく 関 与 している 事 を 患 者 に 理 解 してもらうためには 患 者 に 症 状 の 改 善 を 実 感 してもらうことが 有 効 である 今 回 の 調 査 によって 発 症 原 因 が 不 良 姿 勢 動 作 にある ことが 主 訴 疼 痛 ポイント である enthesis へのブロック 療 法 により 半 数 以 上 の 患 者 に 理 解 された 事 が 確 認 でき 今 後 の 診 断 治 療 上 考 慮 に 入 れる 価 値 があると 思 われ た 10
演 題 発 表 9 急 性 腰 痛 症 における 仙 腸 関 節 障 害 MRI 所 見 と AKA 療 法 柑 本 晴 夫 佐 々 木 通 孝 小 手 指 整 形 外 科 75 歳 未 満 の 急 性 腰 痛 症 患 者 において 腰 椎 の 可 動 域 制 限 がみられ 仙 腸 関 節 の 疼 痛 誘 発 テストで 仙 腸 関 節 障 害 と 考 えられた 患 者 33 例 につき その 症 状 と 腰 椎 MRI 所 見 AKA 療 法 の 効 果 を 検 討 した 結 果 MRI 所 見 は 椎 間 板 変 性 ヘルニアが 認 められたが 仙 腸 関 節 障 害 症 状 との 関 連 性 はみられなかった AKA 療 法 は 上 方 すべり 下 方 すべり 椎 間 関 節 モビリゼーショ ンにて 大 半 の 症 例 にて 効 果 が 得 られた MRI は 脊 椎 圧 迫 骨 折 椎 間 板 炎 腫 瘍 などの 疾 患 の 除 外 診 断 には 有 用 であるが 比 較 的 高 頻 度 に 見 られる 椎 間 板 変 性 やヘルニアの 症 例 に 対 しては 適 格 な 診 断 のもとに 施 行 される 非 侵 襲 的 な 仙 腸 関 節 障 害 の 治 療 は 有 用 であると 考 えられた 11
演 題 発 表 10 仙 腸 関 節 障 害 に 対 する 高 周 波 熱 凝 固 術 症 例 の 臨 床 的 検 討 伊 藤 圭 介 森 武 男 長 張 浩 昌 武 者 芳 朗 東 邦 大 学 医 療 センター 大 橋 病 院 脊 椎 脊 髄 センター はじめに 仙 腸 関 節 障 害 の 症 例 にはブロック 施 行 後 症 状 が 再 発 し ブロックによる 除 痛 を 繰 り 返 していても 症 状 の 改 善 に 至 っていない 症 例 は 多 く 存 在 すると 思 われる われわれは かかる 症 例 に 対 し 長 期 の 疼 痛 抑 制 効 果 と 根 治 をねらい 高 周 波 熱 凝 固 術 を 施 行 している 高 周 波 熱 凝 固 治 療 した 症 例 の 後 ろ 向 き 検 討 を 行 った 対 象, 方 法 2009 年 1 月 ~ 2013 年 3 月 に 高 周 波 熱 凝 固 治 療 を 施 行 した 症 例 のうち 追 跡 可 能 であった54 例 ( 男 性 27 例 女 性 27 例 平 均 63.5 歳 )を 対 象 とした 方 法 はX 線 透 視 下 に 仙 腸 関 節 部 にブロックを 行 い 有 効 であった 箇 所 のレントゲン 撮 影 を 施 行 同 箇 所 を 凝 固 の 目 印 とし22Gまたは18Gの 針 電 極 を 挿 入 し 通 電 刺 激 を 行 う 再 現 痛 の 現 れた 箇 所 に80 90 秒 間 の 熱 凝 固 を 施 行 した 50% 以 上 の 改 善 が 得 られたものを 有 効 とし 治 療 直 後,1 ヶ 月 後,3ヶ 月 後,6ヶ 月 後 の 疼 痛 抑 制 効 果 を 判 定 した 疼 痛 が 再 発 し VAS50% 以 上 の 症 例 に 対 し 再 度 施 行 した 5 回 以 上 施 行 した 症 例 を 難 治 症 例 とし 通 常 施 行 症 例 と 比 較 し た 結 果 治 療 後 の 合 併 症 は 認 めなかった 対 象 症 例 は 片 側 症 例 が39 例 (72%)で40 例 (74%) が 関 連 痛 としての 下 肢 痛 を 伴 っていた 罹 病 期 間 は 平 均 9.2ヶ 月 来 院 時 VASの 平 均 は6.9 来 院 時 腰 椎 ROMは30.3 度 であった 熱 凝 固 治 療 の 有 効 率 は 治 療 直 後,1ヶ 月 後,3ヶ 月 後,6ヶ 月 後 でそれぞれ100%,72.2%,46.3%,42.6% で 初 回 完 治 例 は25 例 (46.4%)であった 5 回 以 上 の 熱 凝 固 治 療 を 施 行 した 難 治 例 は6 例 であった 難 治 例 は 通 常 施 行 例 に 比 べ 罹 病 期 間 が26ヶ 月 と 長 く 来 院 時 VASが9.5と 強 い 疼 痛 を 呈 し 腰 椎 ROMが21.3 度 と 低 い 傾 向 が 認 められた 考 察 仙 腸 関 節 障 害 に 対 する 高 周 波 熱 凝 固 術 は 痛 みを 伝 達 する 神 経 線 維 をより 選 択 的 に 遮 断 するため 低 侵 襲 かつ 安 全 であり 効 果 的 な 治 療 法 と 思 われた 難 治 例 では 疼 痛 が 強 く 罹 患 期 間 が 長 く 腰 椎 の 可 動 域 が 低 下 しており 本 病 態 の 一 端 を 表 していると 思 わ れた 12
基 調 講 演 1 16:50~17:20 体 に 触 ってわかる 腰 痛 の 真 実 医 療 法 人 菊 野 会 菊 野 病 院 副 院 長 古 賀 公 明 腰 痛 の 8 割 以 上 は 原 因 不 明 であると 言 われる 腰 椎 椎 間 板 ヘルニアや 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 などの 疾 患 のように 腰 痛 の 原 因 が 明 らかな 2 割 の 患 者 は 症 状 が MRI や 脊 髄 造 影 などの 画 像 所 見 や 神 経 学 的 所 見 と 一 致 するとい うことを 意 味 している つまり 原 因 と 結 果 の 因 果 律 が 明 瞭 であると 言 える これに 対 して 腰 痛 の 8 割 以 上 が 原 因 不 明 であることは 症 状 が 画 像 所 見 や 神 経 学 的 所 見 と 一 致 し ないか 又 は 不 明 瞭 であるということを 意 味 する 21 世 紀 になっても 腰 痛 の 原 因 が 未 だに 世 界 中 で 議 論 され 結 論 を 得 られない 理 由 は 腰 痛 の 原 因 が 極 めて 複 雑 であるからであると 言 うまでもない その 難 解 なクロスパズルを 解 く 鍵 は 関 節 由 来 の 連 関 痛 を 理 解 すること 仙 腸 関 節 の 機 能 や 働 きを 理 解 すること 脊 椎 アライメントと 仙 腸 関 節 との 関 係 を 理 解 する こと 骨 盤 や 脊 椎 下 肢 などの 絞 扼 性 末 梢 神 経 障 害 を 理 解 することなどであると 演 者 は 考 えている また 腰 痛 の 主 な 原 因 は1 神 経 根 刺 性 の 疼 痛 2 関 節 由 来 の 連 関 痛 3 絞 扼 性 末 梢 神 経 障 害 による 疼 痛 の 三 つであると 考 えている 23はもともと 画 像 では 評 価 困 難 であることが 腰 痛 の 原 因 を 不 明 瞭 にしている さらに 腰 痛 の 原 因 が 難 解 である 理 由 は123が 時 間 空 間 的 に 腰 痛 の 原 因 が 互 いに 影 響 しながら 変 化 するからである その 変 化 する 腰 痛 の 原 因 を 正 確 にどんな 時 も 把 握 するためには 患 者 さんの 体 を 直 接 触 って 診 察 する 必 要 がある なぜなら23は 体 を 触 知 しなければ 診 断 不 可 能 であるから である 従 って 腰 痛 の 真 実 ( 原 因 )は 患 者 の 体 を 触 らなければ 知 り 得 ないことになる 13
基 調 講 演 2 17:20~17:50 仙 腸 関 節 障 害 がわかれば 非 特 異 的 腰 痛 の 多 くがわかる 仙 台 社 会 保 険 病 院 副 院 長 腰 痛 仙 腸 関 節 センター 長 村 上 栄 一 [ 非 特 異 的 腰 痛 ] 原 因 の 特 定 できない 腰 痛 ( 非 特 異 的 腰 痛 )が 多 数 を 占 めるといわれる この 中 に 画 像 診 断 では 所 見 の 得 にくい 仙 腸 関 節 障 害 などの 機 能 障 害 による 腰 痛 が 多 く 含 まれていると 考 えられる [ 頻 度 と 分 布 ] 腰 痛 に 占 める 仙 腸 関 節 の 痛 みの 頻 度 は3.5%~30%と 報 告 者 間 で 異 なる が 2012 年 の1 年 間 に 当 科 で 治 療 した 新 患 の 急 性 腰 痛 患 者 ( 発 症 1か 月 以 内 )に 占 める 仙 腸 関 節 障 害 の 頻 度 は38%でギックリ 腰 の 多 くの 原 因 になっていることがわかった さら に 新 患 の 慢 性 腰 痛 患 者 ( 発 症 1か 月 以 上 )に 占 める 頻 度 は52%と 高 率 であった また2010 年 度 に 受 診 した 仙 腸 関 節 障 害 患 者 は9 歳 から90 歳 代 までの 男 女 に 幅 広 く 分 布 し 仙 腸 関 節 障 害 が 老 若 男 女 に 起 こる ありふれた 痛 みであることを 示 している そして 腰 椎 疾 患 との 合 併 例 も 少 なくなく 腰 椎 固 定 術 後 に 仙 腸 関 節 障 害 の 発 症 頻 度 が 増 加 することが 注 目 されている [ 症 状 の 特 徴 ] 疼 痛 域 仙 腸 関 節 障 害 の 自 覚 疼 痛 部 位 は 上 後 腸 骨 棘 (PSIS) 周 辺 を 中 心 とした 腰 臀 部 が 多 く 患 者 自 身 に 疼 痛 の 最 も 強 い 部 位 を 指 1 本 で 示 させるone finger testでpsis 周 辺 を 指 さす 例 が 多 い また 鼡 径 部 の 痛 みも 特 徴 的 で 多 くの 例 でdermatomeに 一 致 しな い 下 肢 の 痺 れや 痛 みを 伴 う 疼 痛 が 出 やすい 動 作 固 い 椅 子 の 座 位 仰 向 け 側 臥 位 ( 特 に 患 側 下 )が 困 難 と 訴 え る 例 が 多 い また 関 節 の 痛 みの 特 徴 である 動 作 開 始 時 ( 寝 返 り 立 ち 上 がり)に 痛 みが 出 やすく 朝 方 の 痛 みを 訴 える 例 も 少 なくない [ブロックで 診 断 ] 仙 腸 関 節 ブロックの 効 果 から 最 終 的 に 仙 腸 関 節 障 害 を 診 断 する 関 節 腔 内 よりも 関 節 後 方 の 靭 帯 へのブロックが 有 効 である ブロック 前 に 比 べて 70% 以 上 の 疼 痛 の 改 善 が 得 られれば 仙 腸 関 節 障 害 と 診 断 する [ 見 つけるのは 簡 単 ] 機 能 障 害 は 画 像 での 診 断 は 困 難 であることを 踏 まえ 腰 臀 部 と 鼡 径 部 の 痛 み! 座 位 仰 臥 位 側 臥 位 ( 患 側 下 ) 寝 返 りが 困 難! one finger test でPSIS 周 辺 を 指 させば 仙 腸 関 節 障 害 が 疑 われる! [ 非 特 異 的 腰 痛 の 実 態 ] 非 特 異 的 慢 性 腰 痛 には 心 理 社 会 的 ストレスによる 腰 痛 もあ るが 多 くは 適 切 な 診 断 と 治 療 が 行 われないために 遷 延 している 腰 痛 と 考 えられる し たがって その 中 の 主 要 な 位 置 を 占 めると 推 定 される 仙 腸 関 節 障 害 の 診 断 ができれば 非 特 異 的 腰 痛 の 多 くが 解 決 すると 考 える 14