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●幼児教育振興法案

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

学校安全の推進に関する計画の取組事例

就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

答申第585号

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

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った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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PowerPoint プレゼンテーション

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18 国立高等専門学校機構

Taro-08国立大学法人宮崎大学授業

m07 北見工業大学 様式①

4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

34 県 立 鶴 岡 工 業 高 等 校 ( 全 日 制 ) 工 業 科 ( 機 械 科 電 気 電 子 科 情 報 通 信 科 建 築 科 環 境 化 科 ) 次 のいずれかに 該 当 する 1 文 化 的 活 動 や 体 育 的 活 動 において 地 区 大 会 を 経 て 県 大 会 に 出

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農


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(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

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PowerPoint プレゼンテーション

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

別記

資料2-2 定時制課程・通信制課程高等学校の現状

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( 教 育 職 員 免 許 状 の 取 得 ) 第 9 条 教 育 職 員 免 許 状 ( 幼 稚 園 教 諭 二 種 免 許 状 )を 取 得 しようとする 者 は 教 育 職 員 免 許 法 に 基 づき 別 表 2に 掲 げる を 修 得 しなければならない 2 教 育 職 員 免 許 状 の

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

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セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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Microsoft Word - 諮問第82号答申(決裁後)

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守 口 市 立 東 小 学 校 大 久 保 小 学 校 の 統 合 実 施 計 画 目 次 第 1 守 口 市 における 学 校 統 合 の 背 景 1 第 2 東 小 学 校 と 大 久 保 小 学 校 の 統 合 について 1 第 3 統 合 校 の 学 校 づくりについて 2 第 4 東 小

Microsoft Word - 交野市産業振興基本計画 doc

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

1. 前 払 式 支 払 手 段 サーバ 型 の 前 払 式 支 払 手 段 に 関 する 利 用 者 保 護 等 発 行 者 があらかじめ 利 用 者 から 資 金 を 受 け 取 り 財 サービスを 受 ける 際 の 支 払 手 段 として 前 払 式 支 払 手 段 が 発 行 される 場 合

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

公表表紙

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

16 日本学生支援機構

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第076号.doc

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

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0605調査用紙(公民)

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

1.はじめに わが 国 での 急 速 な 少 子 化 の 進 行 等 を 踏 まえ 次 代 の 社 会 を 担 う 子 どもが 健 やかに 生 まれ 育 成 される 環 境 の 整 備 を 目 的 とした 次 世 代 育 成 支 援 対 策 推 進 法 が 平 成 15 年 7 月 に 制 定 され

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

別 紙

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発 表 の 流 れ 1 事 業 概 要 2 評 価 票 の 記 載 内 容 について 3 指 標 について 4 事 業 内 容 について 5 提 案 のまとめ 2

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代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

3 体 制 整 備 等 (1) 全 ての 特 定 事 業 主 が 共 同 して 取 組 むものとする () 総 務 部 人 事 管 理 室 人 事 課 を 計 画 推 進 の 主 管 課 とし 全 ての 市 職 員 により 推 進 する (3) 実 施 状 況 を 把 握 し 計 画 期 間 中 で

自衛官俸給表の1等陸佐、1等海佐及び1等空佐の(一)欄又は(二)欄に定める額の俸給の支給を受ける職員の占める官職を定める訓令

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

事 業 概 要 利 用 時 間 休 館 日 使 用 方 法 使 用 料 施 設 を 取 り 巻 く 状 況 や 課 題 < 松 山 駅 前 駐 輪 場 > JR 松 山 駅 を 利 用 する 人 の 自 転 車 原 付 を 収 容 する 施 設 として 設 置 され 有 料 駐 輪 場 の 利 用

弁護士報酬規定(抜粋)

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(2) 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 保 育 の 必 要 な 子 どものいる 家 庭 だけでなく 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 のために 利 用 者 支 援 事 業 や 地 域 子 育 て 支 援 事 業 な

4 松 山 市 暴 力 団 排 除 条 の 一 部 風 俗 営 業 等 の 規 制 及 び 業 務 の 適 正 化 等 に 関 する 法 律 等 の 改 正 に 伴 い, 公 共 工 事 から 排 除 する 対 象 者 の 拡 大 等 を 図 るものです 第 30 号 H H28.1


(Microsoft Word - \203A \225\345\217W\227v\227\314 .doc)

(2) 広 島 国 際 学 院 大 学 ( 以 下 大 学 という ) (3) 広 島 国 際 学 院 大 学 自 動 車 短 期 大 学 部 ( 以 下 短 大 という ) (4) 広 島 国 際 学 院 高 等 学 校 ( 以 下 高 校 という ) ( 学 納 金 の 種 類 ) 第 3 条

Microsoft Word 行革PF法案-0概要

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共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

(3) 調 査 の 進 め 方 2 月 28 日 2 月 28 日 ~6 月 30 日 平 成 25 年 9 月 サウンディング 型 市 場 調 査 について 公 表 松 戸 市 から 基 本 的 な 土 地 情 報 サウンディングの 実 施 活 用 意 向 アイデアのある 民 間 事 業 者 と

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

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平成24年度開設予定大学院等一覧(判定を「不可」とするもの)

02【発出】280328福島県警察職員男女共同参画推進行動計画(公表版)

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

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ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

Transcription:

教 育 実 践 学 研 究 19,2014 79 家 庭 科 教 育 における 意 思 決 定 能 力 と 批 判 的 思 考 力 に 関 する 教 材 開 発 Teaching material device about decision making and critical thinking on Home Economics Education 土 橋 由 紀 DOBASHI Yuki * 志 村 結 美 SHIMURA Yumi ** 要 約 : 本 報 告 は 意 思 決 定 能 力 と 批 判 的 思 考 力 (クリティカルシンキング)の 概 念 を 整 理 し 大 学 生 の 批 判 的 思 考 力 の 実 態 を 明 らかにし その 結 果 を 踏 まえ 高 等 学 校 家 庭 科 におけるパソコンを 用 いた 意 思 決 定 能 力 と 批 判 的 思 考 力 の 育 成 を 目 指 した 教 材 開 発 を 行 うことを 目 的 としている 結 果 本 調 査 対 象 者 である 大 学 生 は 自 己 の 立 場 を 認 識 し 誠 実 に 物 事 を 判 断 することができるが 客 観 的 に 判 断 する 力 情 報 を 集 める 力 物 事 を 懐 疑 的 に 捉 える 力 が 弱 い 傾 向 が 明 らかとなった それらを 踏 まえ 意 思 決 定 能 力 批 判 的 思 考 力 に 関 係 が 深 い 高 等 学 校 家 庭 科 における 消 費 者 教 育 のパソコン 教 材 見 て 知 って 考 えて 消 費 者 として 暮 らす を 開 発 し 授 業 実 践 を 行 った 結 果 意 思 決 定 能 力 と 批 判 的 思 考 力 の 育 成 に 一 定 の 成 果 をあげることができた 今 後 の 課 題 は 高 校 生 の 実 態 にあったさらなる 教 材 開 発 を 行 うことである キーワード: 家 庭 科 教 育 意 思 決 定 能 力 批 判 的 思 考 力 教 材 開 発 Ⅰ. 研 究 目 的 現 在 の 青 少 年 は 自 制 心 や 規 範 意 識 の 希 薄 化 生 活 習 慣 の 確 立 が 不 十 分 であることや 問 題 行 動 等 いじめや 自 殺 体 力 の 低 下 など 心 と 身 体 の 状 況 について 課 題 が 少 なくない また 自 己 肯 定 感 が 低 い 傾 向 にあり 学 習 や 将 来 の 生 活 に 対 して 無 気 力 であったり 不 安 を 感 じたりしている 子 どもが 増 加 しているとともに 友 達 や 仲 間 のことで 悩 む 子 どもが 増 えるなど 人 間 関 係 の 形 成 に 困 難 かつ 不 得 手 になっている 現 状 が 見 られている 1 一 方 生 活 のマネジメント 力 の 低 下 により 自 己 破 産 や 多 重 債 務 に 陥 る 青 少 年 が 増 加 傾 向 にある 将 来 の 展 望 を 持 つことができず 目 先 の 幸 福 に 満 足 している 青 少 年 の 実 態 が 消 費 者 問 題 に 反 映 され ていると 言 えよう そのほかにも 青 少 年 を 取 り 巻 く 消 費 者 問 題 は 多 く 存 在 している 今 日 消 費 者 被 害 は 2004 年 度 のピークに 比 べ 減 少 はしているものの 85 万 件 を 超 える 相 談 が 寄 せられている 2 2009 ~ 2013 年 度 における 20 歳 未 満 の 学 生 の 相 談 内 容 の 分 類 を 見 ると 安 全 衛 生 が 最 も 多 く 次 いで 品 質 機 能 役 務 品 質 契 約 解 約 が 多 い 3 消 費 者 として 安 全 かつ 正 しい 判 断 ができ る 力 を 身 につけることが 重 要 とされる これらの 消 費 者 問 題 は 社 会 の 一 員 として 生 きる 高 校 生 に とって 身 近 に 起 こりうる 問 題 であり 回 避 するための 知 識 技 術 を 得 るためにも 消 費 者 教 育 は 依 然 として 重 要 である 2004 年 6 月 に 消 費 者 基 本 法 が 施 行 され 消 費 者 の 自 立 支 援 が 重 視 されるようになり その 後 2009 年 4 月 に 消 費 者 行 政 の 一 元 化 を 目 的 として 消 費 者 庁 が 設 置 された 2012 年 12 月 には 自 立 のた めの 消 費 生 活 に 関 する 教 育 に 加 えて 消 費 者 市 民 社 会 の 形 成 に 参 画 する 消 費 者 の 育 成 を 目 的 とした 消 費 者 教 育 推 進 法 が 施 行 され 一 層 の 消 費 者 教 育 の 充 実 が 求 められている * 教 育 人 間 科 学 部 研 究 生 山 梨 県 立 富 士 北 稜 高 等 学 校 ** 社 会 文 化 教 育 講 座

一 方 文 部 科 学 省 中 央 教 育 審 議 会 答 申 幼 稚 園 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 及 び 特 別 支 援 学 校 の 学 習 指 導 要 領 の 改 善 について (2008) では 思 考 力 判 断 力 表 現 力 等 の 育 成 が 重 要 であるとさ れた その 学 習 活 動 として 1 体 験 から 感 じ 取 ったことを 表 現 する2 事 実 を 正 確 に 理 解 し 伝 達 す る3 概 念 法 則 意 図 などを 解 釈 し 説 明 したり 活 用 したりする4 情 報 を 分 析 評 価 し 論 述 する 5 課 題 について 構 成 を 立 て 実 践 し 評 価 を 改 善 する6お 互 いの 考 えを 伝 え 合 い 自 らの 考 えや 集 団 の 考 えを 発 展 させると 挙 げている 4 この 学 習 活 動 のうち 4 情 報 を 分 析 評 価 し 論 述 する 5 課 題 について 構 想 を 立 て 実 践 し 評 価 を 改 善 する 等 は 本 研 究 のテーマである 意 思 決 定 能 力 や 批 判 的 思 考 力 と 関 連 性 が 強 く 意 思 決 定 能 力 や 批 判 的 思 考 力 を 育 成 することの 重 要 性 が 認 められて いると 言 えよう また 答 申 (2008)において 家 庭 科 における 改 善 の 基 本 方 針 では 消 費 者 教 育 の 推 進 資 源 や 環 境 に 配 慮 する 力 の 育 成 等 の 課 題 を 踏 まえ 社 会 の 変 化 に 対 応 し 学 習 や 実 際 の 生 活 において 課 題 を 発 見 し 解 決 できる 能 力 を 育 成 するために 自 ら 課 題 を 見 いだし 解 決 を 図 る 問 題 解 決 的 な 学 習 をよ り 一 層 重 視 する 5 とされ さらに 改 善 の 具 体 的 事 項 として 高 等 学 校 家 庭 科 では 社 会 の 一 員 と して 生 活 を 創 造 する 意 思 決 定 能 力 を 習 得 させることを 明 確 にする 6 とされた 以 上 を 踏 まえて 高 等 学 校 家 庭 科 の 学 習 指 導 要 領 (2010) において 意 思 決 定 能 力 に 関 する 内 容 は 全 ての 共 通 科 目 において 取 り 入 れられ 家 庭 科 教 育 において 育 みたい 基 礎 的 基 本 的 な 能 力 の 一 つとなっている 自 分 にあった 消 費 行 動 を 行 うには 批 判 的 思 考 を 働 かせて 意 思 決 定 を 行 うことが 重 要 である 批 判 的 思 考 は 意 思 決 定 の 過 程 における 重 要 な 思 考 であり 優 れた 意 思 決 定 を 行 うには 批 判 的 思 考 が 不 可 欠 とされる これにより 高 等 学 校 家 庭 科 において 消 費 者 教 育 を 実 践 するにあたり 意 思 決 定 能 力 と 批 判 的 思 考 力 を 関 連 させて 授 業 を 行 うことは 大 変 有 意 義 であると 考 えられる また 実 践 にあたり 批 判 的 思 考 力 意 思 決 定 能 力 を 育 む 学 習 過 程 として 生 徒 がより 具 体 的 に 思 考 を 深 めることができる 主 体 的 な 学 習 の 展 開 を 工 夫 することが 不 可 欠 である その 点 からパソコン を 用 いた 教 材 は 具 体 的 な 場 面 の 映 像 等 を 取 り 入 れることにより 擬 似 体 験 ができ より 身 近 に 捉 えることができること 生 徒 個 々 人 のペースによる 主 体 的 な 学 びができること 等 により 有 効 である と 言 える そこで 本 研 究 では 意 思 決 定 能 力 と 批 判 的 思 考 力 の 概 念 を 整 理 し 大 学 生 の 批 判 的 思 考 力 の 実 態 を 明 らかにし その 結 果 を 踏 まえ 高 等 学 校 家 庭 科 において 生 徒 が 主 体 的 に 学 習 できるパソコン を 用 いた 教 材 を 開 発 し その 成 果 の 検 証 を 行 うことを 目 的 とする Ⅱ. 研 究 方 法 研 究 の 流 れは 以 下 の 通 りである 1. 意 思 決 定 能 力 と 批 判 的 思 考 力 に 関 する 概 念 の 整 理 2. 大 学 生 の 批 判 的 思 考 力 の 実 態 調 査 の 実 施 調 査 方 法 : 質 問 用 紙 調 査 法 調 査 期 間 :2008 年 10 月 下 旬 ~ 11 月 上 旬 調 査 人 数 :A 大 学 大 学 生 男 子 24 名 女 子 46 名 計 70 名 調 査 内 容 : 宮 元 らが 作 成 した 批 判 的 思 考 志 向 性 尺 度 7 を 参 考 に 30 項 目 設 定 し 7 尺 度 で 実 施 したが 分 析 を 簡 潔 に 行 うために5 尺 度 にまとめた 30 項 目 は Zechmeister & Johnson による 批 判 的 思 考 の 10 の 特 性 に 分 類 されている 8 分 析 方 法 :SPSS により カイ 二 乗 検 定 と 因 子 を 抽 出 するためのバリマックス 回 転 による 因 子 分 析 を 行 った -80-

3. 高 等 学 校 家 庭 科 におけるパソコン 教 材 見 て 知 って 考 えて 消 費 者 として 暮 らす の 開 発 4. 開 発 教 材 見 て 知 って 考 えて 消 費 者 として 暮 らす を 用 いた 授 業 実 践 実 践 期 間 :2009 年 8 月 26 日 ~9 月 17 日 実 践 対 象 : 山 梨 県 立 普 通 科 高 校 の4クラス 160 名 の 生 徒 Ⅲ. 結 果 及 び 考 察 1. 意 思 決 定 能 力 と 批 判 的 思 考 力 に 関 する 概 念 の 整 理 (1) 意 思 決 定 能 力 意 思 決 定 能 力 は 人 が 生 涯 を 通 して 健 康 で 主 体 的 な 生 活 を 送 るために 適 切 な 価 値 判 断 や 行 動 を 行 うことができる 力 として 大 切 であり 日 々の 生 活 は 意 思 決 定 の 連 続 9 で 成 り 立 っている 1) アメリカにおける 意 思 決 定 の 過 程 意 思 決 定 を 成 立 させるために 不 可 欠 である 意 思 決 定 の 過 程 は アメリカで 1960 年 代 に 小 学 校 にお ける 消 費 者 教 育 の 一 環 として 取 り 入 れられた 意 思 決 定 の 過 程 それぞれが 独 立 した 活 動 としても 行 われている クレアモント 大 学 院 教 授 であった Peter.F.Drucker 10 やミシガン 州 立 大 学 の R. Bannister ら が 表 1のように 意 思 決 定 の 過 程 をあげている 11 表 1 アメリカにおける 意 思 決 定 の 過 程 2) 日 本 における 意 思 決 定 能 力 意 思 決 定 能 力 が 家 庭 科 の 学 習 指 導 要 領 に 採 り 入 れられたのは 1999 年 告 示 からである 中 教 審 の 答 申 において 改 善 の 基 本 方 針 として 挙 げられた 環 境 に 配 慮 して 主 体 的 に 生 活 を 営 む 能 力 を 育 て るため 自 ら 課 題 を 見 出 し 解 決 を 図 る 問 題 解 決 的 な 学 習 の 充 実 を 図 る 12 という 趣 旨 を 受 け 自 ら の 生 活 課 題 を 環 境 に 配 慮 し 主 体 的 な 意 思 決 定 の 方 法 を 体 得 することを 明 確 に 示 している 13 また 意 思 決 定 の 過 程 として 問 題 の 自 覚 情 報 収 集 解 決 策 の 比 較 検 討 決 定 評 価 などの 過 程 が 記 された 14 以 上 を 踏 まえ 現 行 の 学 習 指 導 要 領 (2010) においては 家 庭 総 合 家 庭 基 礎 及 び 生 活 デザイン の3 科 目 によって 意 思 決 定 の 育 成 が 謳 われて その 重 要 性 が 増 している また 日 本 家 庭 科 教 育 学 会 は 高 等 学 校 家 庭 科 における 発 達 段 階 からみた 教 育 的 課 題 として 自 分 の 興 味 関 心 意 欲 価 値 観 に 立 脚 し これを 最 低 限 に 伸 ばし 生 活 主 体 者 として 社 会 的 自 己 実 現 をどう 図 っていくか という 価 値 判 断 や 意 思 決 定 ができる 総 合 的 認 識 を 高 めていくこと 15 が 育 む べき 力 と 述 べている さらに 個 々の 自 己 実 現 を 図 るライフスタイルにおいて 生 活 行 動 に 対 して 配 慮 すべき 事 柄 への 認 識 意 思 決 定 能 力 批 判 的 思 考 力 をいかに 身 につけさせるかということが 目 的 とされ 意 思 決 定 の 過 程 そのものの 理 解 や 体 得 が 環 境 問 題 と 消 費 者 問 題 の 共 通 の 解 決 方 法 とされ ている 16 意 思 決 定 の 過 程 は 全 てにおいて 批 判 的 思 考 力 を 常 に 持 ちながら 行 う 過 程 である 考 える こと は 批 判 的 思 考 力 を 働 かせること 17 であり 表 2にあげた 佐 藤 らの9つの 意 思 決 定 の 過 程 では 3 複 数 の 選 択 肢 や 方 法 を 考 える 4 主 観 的 客 観 的 基 準 によって 比 較 考 慮 する 等 が 批 判 的 思 考 力 と 関 連 が 深 いと 考 えられている 一 方 日 本 消 費 者 教 育 学 会 によると 意 思 決 定 とは 複 数 の 対 象 目 標 問 題 解 決 方 法 等 から -81-

各 自 の 決 定 基 準 に 基 づいて 選 択 し 決 定 していく 過 程 である 18 と 述 べられている また 意 思 決 定 の 過 程 を 欲 求 を 満 足 させるためのいくつかの 選 択 肢 から 最 適 と 思 われる 答 えを 選 択 する 過 程 19 と 記 し 表 2のように 意 思 決 定 の 過 程 をあげている 20 表 2 日 本 における 意 思 決 定 の 過 程 以 上 を 踏 まえ 本 研 究 では 意 思 決 定 能 力 とは 問 題 を 定 め 自 己 の 生 活 がよりよくなるよう 情 報 を 集 め 比 較 考 慮 し 責 任 をもって 行 動 をし 評 価 を 行 う 力 とする また 意 思 決 定 の 過 程 を 生 徒 が 理 解 しやすいことに 配 慮 し 以 下 の6つの 過 程 とする 1 目 標 を 定 め 問 題 を 明 らかにする 4 選 択 肢 を 比 較 し 考 慮 する 2 情 報 を 集 める 5 決 定 し 行 動 する 3 選 択 肢 をあげる 6 結 果 を 評 価 し フィードバックする (2) 批 判 的 思 考 力 1) アメリカにおける 批 判 的 思 考 力 アメリカでの 批 判 的 思 考 力 への 気 づきと 認 識 は 1930 年 代 後 半 に 始 まり 主 に 社 会 科 と 国 語 科 で 主 張 され 始 めた 用 語 である 表 面 に 出 てきたのは 1950 年 代 であり 1960 年 代 は 批 判 的 思 考 の 定 義 の 時 代 といわれるほど 多 数 の 定 義 がなされ 教 育 の 現 代 化 というスローガンとともに 脚 光 を 浴 びるが 1970 年 代 にはいったん 基 礎 学 力 重 視 の 声 にかき 消 されてしまう しかし 1980 年 に 入 り 再 び 脚 光 を 浴 び アメリカの 教 育 目 標 の 一 つに 批 判 的 思 考 力 が 掲 げられ アメリカ 全 域 で 取 り 組 みが 始 まり 現 在 に 至 っている 21 22 現 在 Ennis (1987) の 定 義 がアメリカ 教 育 界 で 最 も 受 け 入 れられている 批 判 的 思 考 力 の 定 義 となっている 表 3 アメリカにおける 批 判 的 思 考 力 の 定 義 批 判 的 思 考 力 について 入 門 書 を 書 いている Zechmeister & Johnson (1992) は 明 確 な 批 判 的 思 考 の 定 義 を 与 えてはいないが 批 判 的 思 考 = 良 い 思 考 とし また 省 察 的 な 思 考 と 同 じとし 批 判 的 思 考 は 態 度 と 技 術 からなると 述 べている 23 さらに 優 れた 批 判 的 思 考 を 持 つ 人 の 特 性 として 以 下 の 10-82-

の 特 性 と 具 体 的 な 行 動 として 30 項 目 を 記 している 24 1 知 的 好 奇 心 2 客 観 性 3 開 かれた 心 4 柔 軟 性 5 知 的 懐 疑 心 6 知 的 誠 実 さ 7 筋 道 立 っていること 8 追 求 心 9 決 断 力 10 他 者 の 立 場 の 尊 重 2) 日 本 における 批 判 的 思 考 力 日 本 の 批 判 的 思 考 研 究 には 主 に 国 語 科 教 育 教 育 学 認 知 心 理 学 からのアプローチがあり 次 のようにまとめられる 表 4 日 本 における 批 判 的 思 考 力 の 定 義 25 26 3) 家 庭 科 教 育 と 消 費 者 教 育 における 批 判 的 思 考 力 長 澤 氏 は 家 庭 科 において 批 判 的 思 考 の 導 入 がはかられなければならないのは 基 本 的 かつ 本 質 的 な 生 活 価 値 の 認 識 と 関 わり 意 思 決 定 のプロセスにおける 思 考 過 程 そのものが 価 値 の 認 識 の 確 かさを 引 き 出 すことができ 一 つ 一 つの 思 考 プロセスを 認 めながら 考 え 方 を 学 ぶことができ るからである 27 と 述 べている 家 庭 科 教 育 では 元 来 より 問 題 解 決 の 育 成 が 目 指 されていた ともすれば 問 題 を 解 くことに 焦 点 があてられることが 多 かったが 生 徒 自 身 が 問 い をたてるという 段 階 をより 重 視 していくこと が 求 められる 荒 井 氏 は 問 い をたてるからスタートし 批 判 的 思 考 力 を 用 いて 解 こうとするこ とが 必 要 であり それにより 意 思 決 定 が 可 能 になる 自 分 自 身 の 思 考 から 出 発 し 体 験 を 積 み 上 げ 問 題 の 特 定 選 択 肢 の 検 討 を 行 うことによって 意 思 決 定 能 力 と 批 判 的 思 考 力 を 鍛 えることが できる 28 29 と 述 べている 以 下 家 庭 科 教 育 消 費 者 教 育 における 批 判 的 思 考 力 の 先 行 研 究 の 一 部 を 表 5に 示 す 30 31 32 33 表 5 家 庭 科 教 育 消 費 者 教 育 における 批 判 的 思 考 力 の 先 行 研 究 -83-

2. 大 学 生 の 批 判 的 思 考 力 の 実 態 大 学 生 の 批 判 的 思 考 力 を 批 判 的 思 考 志 向 性 尺 度 (30 項 目 )により 測 定 し 因 子 分 析 を 行 ったとこ ろ 9つの 因 子 が 抽 出 された 9つの 因 子 ごとに 項 目 の 値 をまとめ 平 均 化 して 表 したものが 図 1 である 9つの 因 子 のうち 自 分 の 考 えも ひとつの 立 場 に 過 ぎない 等 の 自 己 の 立 場 の 認 識 (85.7%) と 自 分 の 立 場 に 反 するものであっても 正 しいことは 支 持 する 等 の 誠 実 さ (85.7%) が 最 も 肯 定 的 回 答 が 多 く 反 対 に 肯 定 的 回 答 が 低 い 因 子 は 判 断 をくだす 時 には 自 分 の 好 みにとら われないようにする 等 の 客 観 性 (34.4%) や 考 え 得 る 限 りの 事 実 や 図 1 山 梨 大 学 生 における 批 判 的 思 考 志 向 性 の 実 態 証 拠 を 調 べる 等 の 情 報 収 集 能 力 ( 9つの 因 子 ) 知 的 懐 疑 心 (43.4%) であった 以 上 より 本 調 査 対 象 者 の 大 学 生 は 自 己 の 立 場 を 認 識 し 誠 実 に 物 事 を 判 断 することができるが 客 観 的 に 判 断 する 力 情 報 を 集 める 力 物 事 を 懐 疑 的 に 捉 える 力 が 弱 い 傾 向 が 明 らかになった ま た この 抽 出 された9つの 因 子 は 開 発 する 教 材 において 批 判 的 思 考 力 の 重 要 なファクターとして 提 示 することにした 3. 高 等 学 校 家 庭 科 における 意 思 決 定 能 力 と 批 判 的 思 考 力 に 関 するパソコンを 用 いた 教 材 開 発 (1) 教 材 開 発 上 のポイント 教 材 見 て 知 って 考 えて 消 費 者 として 暮 らす を 開 発 するにあたり これまでの 研 究 結 果 を 踏 まえ 開 発 のポイントをとして 以 下 の5つを 設 定 した 表 6 教 材 開 発 上 のポイント (2) パソコン 教 材 見 て 知 って 考 えて 消 費 者 として 暮 らす の 概 要 教 材 見 て 知 って 考 えて 消 費 者 として 暮 らす は 1. 消 費 者 教 育 について 学 ぼう と 2. 消 費 者 として 具 体 的 に 考 えよう の2つで 成 り 立 っている ( 図 2, 図 3) 1. 消 費 者 教 育 について 学 ぼう では 高 等 学 校 家 庭 科 における 消 費 者 教 育 分 野 で 学 習 すべき 内 容 を 体 系 的 に 学 び 理 解 を 促 すことを 目 的 とし 適 切 な 意 思 決 定 や 消 費 行 動 をとることが 消 費 者 の 責 -84-

任 であることを 自 覚 させ 消 費 行 動 は 資 源 や 環 境 に 影 響 を 与 えていることが 理 解 できるように 工 夫 した 学 習 後 に 問 題 があり 知 識 を 確 認 しながら 学 習 を 進 めることができる 2. 消 費 者 として 具 体 的 に 考 えよう では 具 体 的 な 事 例 から 体 験 的 かつ 主 体 的 に 学 習 ができる ことを 目 的 とした 自 作 の VTR を 活 用 し 視 聴 覚 に 訴 えることができるようにしたり 問 題 か ら 自 分 の 生 活 が 環 境 に 影 響 を 与 えているか 振 り 返 らせたり 自 立 度 のチェックを 行 ったり お 金 に 対 して 現 実 的 に 考 えることができるように 工 夫 した 事 例 後 には 意 思 決 定 の 過 程 を 確 認 する 画 面 や 批 判 的 思 考 力 のファクターを 確 認 する 画 面 があり 振 り 返 りしやすいように 工 夫 した パソコン 教 材 を 進 めるにあたって 進 度 に 適 したワークシートがあり 教 材 内 で 得 られた 知 識 や 考 えたことをまとめることができるように 配 慮 した 図 3 教 材 の 概 要 2. 消 費 者 として 具 体 的 に 考 えよう 図 2 教 材 の 概 要 1. 消 費 者 教 育 について 学 ぼう 右 図 はパソコン 教 材 の 具 体 的 な 画 面 である 1)ポイント1( 図 4) 教 材 の 節 目 に 批 判 的 思 考 力 を 確 認 できる 画 面 を 用 意 し 批 判 的 思 考 力 を 確 認 しながら 進 めるようにした ファクターをクリックすること で 説 明 が 確 認 できるようになっている 図 4 批 判 的 思 考 力 のポイント 2)ポイント2( 図 5) 各 事 例 の 後 にどのような 意 思 決 定 の 過 程 を 経 て 決 定 に 至 ったのか 確 認 することができるようにした また どの 批 判 的 思 考 力 を 用 いたの かも 確 認 できるようにした 図 5 意 思 決 定 の 過 程 の 確 認 -85-

3)ポイント3( 図 6, 図 7) 情 報 収 集 能 力 を 身 につけることができる 教 材 として 図 6のように4 つの 広 告 を 提 示 し 広 告 から 情 報 を 集 め 検 討 することにより 情 報 収 集 することの 重 要 性 を 検 討 することができるようにした 広 告 をク リックすると 拡 大 され 選 択 肢 を 比 較 検 討 することができるように なっており 買 わない 意 思 決 定 を 行 った 場 合 にも 次 の 意 思 決 定 に 進 む ことができるようになっている また 知 的 懐 疑 心 を 身 につけることができる 教 材 として 図 7のよう なキャッチセールスの 対 処 方 法 に 関 する 事 例 をあげ 懐 疑 的 に 検 討 を することができるようにした 図 6 広 告 の 選 択 4)ポイント4( 図 8) 図 3の 2. 消 費 者 として 具 体 的 に 考 えよう にあるように 2-1-2 店 頭 での 洋 服 の 購 入 2-2-1 訪 問 販 売 2-2-2アポイ ントメントセールス 2-2-3 通 信 販 売 2-2-4キャッチセー ルス 2-2-5 電 話 通 信 販 売 2-2-6マルチ 商 法 において 自 作 の 視 覚 聴 覚 に 訴 える VTR 教 材 を 作 成 し 高 校 生 にとって より 具 体 的 で 主 体 的 体 験 的 に 学 習 ができるようにした 図 7 は 2-1 -2 店 頭 での 洋 服 の 購 入 を 視 聴 後 VTR 内 の 購 入 方 法 について 批 判 的 思 考 力 の 情 報 収 集 力 知 的 懐 疑 心 追 求 心 をもとに 検 討 を 行 い 意 思 決 定 の 過 程 が 確 認 を 行 い 自 分 に 置 き 換 えて 意 思 決 定 を 行 えるよ うにした 図 7 キャッチセールス 図 8 店 頭 での 洋 服 の 購 入 5)ポイント5( 図 9) 多 様 な 授 業 形 態 や 授 業 展 開 での 活 用 が 可 能 になるように 話 合 い 活 動 や 意 見 交 換 ロールプレイングを 促 すようにした 図 9の 2-2-2 アポイントメントセールス の VTR 視 聴 後 グループ 活 動 や 発 表 活 動 に 発 展 させ 他 者 の 意 見 から 自 己 の 意 見 を 客 観 的 に 捉 えることがで きるようにした 図 9 アポイントメントセールス (3) 授 業 実 践 1) 指 導 計 画 表 7 授 業 計 画 2) 授 業 内 容 11 時 間 目 意 思 決 定 の 過 程 と 批 判 的 思 考 力 2. 消 費 者 として 考 えよう の 2-1 契 約 を 活 用 -86-

夏 季 休 業 前 の 授 業 において 批 判 的 思 考 力 (クリティカルシンキング)について 説 明 を 行 ってあ り 前 時 の 復 習 から 本 時 の 授 業 を 進 めた 本 時 のパソコン 教 材 は 広 告 を 見 て 電 気 製 品 を 買 いにい こう 店 頭 での 洋 服 の 購 入 靴 を 購 入 しよう の3つのシーンが あり 教 材 を 進 めるごとに 意 思 決 定 の 過 程 を 確 認 することができ 途 中 で 批 判 的 に 考 える 問 題 が 構 成 されている 生 徒 は 一 人 一 台 のパソコ ンを 使 用 し 各 自 で 教 材 を 進 めた 授 業 後 の 生 徒 の 感 想 は 普 段 何 気 なく 考 えていたことが 意 思 決 定 の 過 程 であることを 初 めて 知 ることができた 買 い 物 について 考 えさせられた 等 であり 意 思 決 定 の 過 程 の 認 識 が 高 まり 批 判 的 思 写 真 1 授 業 風 景 考 力 の 育 成 をはかることができたと 考 えられる 表 8 1 時 間 目 意 思 決 定 の 過 程 と 批 判 的 思 考 力 指 導 案 22 時 間 目 契 約 社 会 と 消 費 者 1. 消 費 者 教 育 について 学 ぼう の 1-1 消 費 者 として を 活 用 契 約 販 売 方 法 の 多 様 化 支 払 い 方 法 の 多 様 化 など 消 費 者 市 民 社 会 の 一 員 として 必 要 な 基 本 的 基 礎 的 知 識 の 習 得 が 行 えるようになっており 用 語 の 説 明 だけでなく 問 題 を 解 き ワークシート をまとめながら 主 体 的 に 学 べる 教 材 となっている 生 徒 は 一 人 一 台 のパソコンを 使 用 し 各 自 で 教 材 を 進 めた 授 業 後 の 生 徒 の 感 想 は 例 題 や 問 題 があったので 考 えながら 授 業 をすることができた わかり やすく 消 費 者 のことやクレジットのことを 知 ることができた もっと 知 りたいと 思 った 等 であ り 主 体 的 かつ 意 欲 的 に 学 習 を 進 めることにより 消 費 者 として 必 要 な 知 識 を 身 につけることがで きたと 考 えられる 表 9 2 時 間 目 契 約 社 会 と 消 費 者 指 導 案 -87-

36 時 間 目 悪 徳 商 法 2 2. 消 費 者 として 考 えよう の 2-2 消 費 者 トラブル を 活 用 2-2 消 費 者 トラブル では 訪 問 販 売 アポイントメントセー ルス 通 信 販 売 キャッチセールス 電 話 通 信 販 売 マルチ 商 法 の 自 作 の VTR を 全 体 で 視 聴 した 後 登 場 人 物 が 騙 されてしまっ た 理 由 や 自 分 に 置 き 換 えたらどのような 行 動 をとるかを 考 え ロール プレイングを 通 してクラスで 考 えを 共 有 した ロールプレイングでは 各 グループで 消 費 者 役 と 加 害 者 役 にわかれ 断 り 方 や 騙 し 文 句 を 考 え 写 真 2 ロールプレイング 発 表 を 行 った 授 業 後 の 生 徒 の 感 想 は 実 際 の 映 像 を 見 て トラブルを 身 近 に 感 じ 怖 いと 思 った 自 分 たち で 考 えて 行 動 することができ どう 対 処 すればいいかわかった 発 表 が 楽 しかった 等 であり 消 費 者 トラブルについてより 主 体 的 体 験 的 に 学 習 ができ また グループ 活 動 やロールプレイン グを 行 うことで 自 己 の 意 見 を 客 観 的 に 捉 え 知 的 懐 疑 心 を 持 って 問 題 を 解 決 しようとする 姿 が 見 られた 表 10 6 時 間 目 悪 質 商 法 2 指 導 案 4. 今 後 の 課 題 今 後 の 課 題 として 高 校 生 の 批 判 的 思 考 力 等 の 実 態 調 査 を 行 い より 高 校 生 の 実 態 にあった 教 材 へと 発 展 させ 高 等 学 校 家 庭 科 の 授 業 において 活 用 し 生 徒 の 主 体 的 な 学 びを 促 すことができるの か 等 さらなる 検 証 を 行 うことがあげられる さらに 消 費 者 教 育 の 内 容 のみならず 家 庭 科 の 他 領 域 において 意 思 決 定 能 力 批 判 的 思 考 力 を 育 むことができるパソコン 等 ICT 教 材 を 用 いた 授 業 を 開 発 することを 追 究 していく 予 定 である -88-

参 考 引 用 文 献 1 文 部 科 学 省, 中 央 教 育 審 議 会 答 申 幼 稚 園 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 及 び 特 別 支 援 学 校 の 学 習 指 導 要 領 等 の 改 善 について 2008,p15 2 国 民 生 活 センター, 消 費 者 契 約 法 に 関 連 する 消 費 生 活 相 談 の 概 要 http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/syoukeihou.html 3 国 民 生 活 センター, 消 費 生 活 相 談 データベース 2009 ~ 2013 http://datafile.kokusen.go.jp/menu/syki_menu.jsp#results 4 5 6 7 前 掲 1,p25 前 掲 1,p104 前 掲 1,p105 廣 岡 秀 一, 小 川 一 美 他 クリティカルシンキングに 対 する 志 向 性 の 測 定 に 関 する 探 索 的 研 究 三 重 大 学 教 育 学 部 紀 要 第 51 巻 教 育 科 学,2000 8 9 10 11 E.B. Zechmeister, J.E. Johnson, 宮 元 博 章, 道 田 康 司 他 Critical Thinking 北 大 路 書 房,1996,p8-10 佐 藤 文 子, 渋 川 祥 子 調 理 学 習 による 意 思 決 定 の 育 成 日 本 家 政 学 会 誌 vol.58 No10, 2007, p633 Harvaed Business Review 意 思 決 定 と 実 行 責 任 意 思 決 定 の 思 考 術 2001,p16-39 J.G.Bonnice, R. Bannister, 小 木 紀 之, 宮 原 佑 弘 監 修 賢 い 消 費 者 -アメリカの 消 費 者 の 教 科 書 家 政 教 育 社,1998,p12 12 13 文 部 科 学 省 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 家 庭 編 1999,p5 佐 藤 文 子, 川 上 雅 子 3 家 庭 科 :これからの 家 族 家 庭 生 活 において 求 められる 視 点 家 庭 科 教 育 法 高 陵 社 書 店,2001,p52 14 15 16 17 18 19 20 21 前 掲 7,p67 日 本 家 庭 科 教 育 学 会 家 庭 科 の 21 世 紀 プラン 家 政 教 育 社,1997,p28 前 掲 8,p52 今 井 光 映, 中 原 秀 樹 消 費 者 教 育 論 有 斐 閣 ブックス,1994,p66-67 日 本 消 費 者 教 育 学 会 新 消 費 者 教 育 Q&A 中 部 日 本 教 育 文 化 会,2007,p8 前 掲 12,p8 前 掲 13,p51-55 道 田 康 司 批 判 的 思 考 の 諸 概 念 : 人 はそれをなんだと 考 えているか 琉 球 大 学 教 育 学 部 紀 要 No59,2001,p110-111 22 23 24 25 26 27 中 西 千 春 批 判 的 思 考 力 を 伸 ばす 国 立 音 楽 大 学 研 究 紀 要 No37,2003.3,p85 前 掲 20,p119 前 掲 8,p8-10 前 掲 22,p88-89 前 掲 21,p205-206 長 澤 由 喜 子, 大 学 家 庭 科 教 育 研 究 会 市 民 が 育 つ 家 庭 科 : 第 2 章 家 庭 科 における 批 判 的 思 考 の 導 入 住 生 活 の 学 習 指 導 に 見 る 可 能 性 と 課 題 ドメス 出 版,2004,p149 28 日 本 家 庭 科 教 育 学 会 生 活 をつくる 家 庭 科 第 3 巻 実 践 的 なシティズンシップ 教 育 の 創 造 ドメ ス 出 版,2007,p52-54 29 30 31 荒 井 紀 子 新 しい 問 題 解 決 学 習 Plan Do See から 批 判 的 リテラシーの 学 びへ 教 育 図 書,2009,38 前 掲 20,p299-318 小 川 麻 紀 子, 長 澤 由 喜 子 家 庭 科 における 批 判 的 思 考 の 導 入 ( 第 1 報 )アメリカ 家 庭 科 教 科 書 の -89-

教 師 用 マニュアルにみる 指 導 上 の 方 略 日 本 家 庭 科 教 育 学 会 誌 第 45 巻 第 4 号,2003.1,p335 32 奥 平 大 樹, 庄 司 佳 子 他 家 庭 科 における 批 判 的 思 考 力 を 育 む 学 び 家 庭 科 の 仕 事 に 関 する 小 中 学 生 合 同 授 業 を 通 して 千 葉 大 学 教 育 研 究 実 践 研 究 第 10 号,2003 33 前 掲 29-90-