平成24年度 厚生年金基金制度の現状 全国測量業厚生年金基金
はじめに AIJ 投 資 顧 問 会 社 による 年 金 資 産 消 失 事 件 に 端 を 発 し 厚 生 年 金 基 金 特 に 総 合 型 厚 生 年 金 基 金 制 度 への 信 頼 を 損 なうような 報 道 が 散 見 され 加 入 事 業 所 の 皆 様 は 全 国 測 量 業 厚 生 年 金 基 金 の 状 況 に ついても ご 心 配 いただいていることと 思 われます 厚 生 年 金 基 金 制 度 に 対 する 偏 見 や 誤 解 に 基 づく 報 道 も あり 厚 生 年 金 基 金 にとって 設 立 以 来 の 逆 風 となっております しかし 見 方 を 変 えれば 厚 生 年 金 基 金 制 度 が 広 く 世 間 に 認 知 されたとも 言 えます 当 資 料 は 新 聞 TV 等 マスコミ 報 道 を 受 け 当 基 金 へお 問 い 合 わせいただいた 質 問 等 を 基 に 作 成 してお ります 総 合 型 厚 生 年 金 基 金 は 全 国 に500 近 くあり 各 基 金 で 加 入 員 受 給 者 数 と 資 産 規 模 等 に 大 きな 相 違 があり 一 概 に 大 半 の 総 合 型 厚 生 年 金 基 金 と 論 じるには 無 理 がありますが 厚 生 年 金 基 金 の 代 行 部 分 や 予 定 利 率 の 設 定 等 全 厚 生 年 金 基 金 に 共 通 する 事 項 も 含 め 当 基 金 の 現 状 についてご 理 解 いただければ 幸 いです 1
全 国 測 量 業 厚 生 年 金 基 金 の 概 況 平 成 24 年 3 月 31 日 現 在 区 分 概 要 区 分 概 要 設 立 年 月 日 昭 和 47 年 4 月 1 日 ( 単 位 : ) 設 立 形 態 理 事 等 任 期 職 員 数 直 近 再 計 算 直 近 変 更 計 算 総 合 型 加 算 型 ⅠA 型 代 議 員 44 人 理 事 20 人 平 成 22 年 4 月 8 日 ~ 平 成 25 年 4 月 7 日 14 人 平 成 22 年 3 月 31 日 平 成 22 年 4 月 30 日 掛 金 区 分 基 本 標 準 掛 金 加 算 標 準 掛 金 加 算 特 別 掛 金 事 務 費 掛 金 事 業 主 20.0 9.0 6.0 2.0 加 入 20.0 員 項 目 事 業 所 数 加 入 員 数 (1 社 あたり) 平 均 年 齢 平 均 標 準 給 与 掛 金 収 入 掛 金 収 納 率 年 金 受 給 者 数 給 付 額 ( 年 金 + 一 時 金 ) 成 熟 度 ( 人 数 ベース) ( 金 額 ベース) 年 金 資 産 額 修 正 総 合 利 回 り 設 立 時 335 社 10,480 人 (31.3 人 ) 31.4 歳 59,306 円 3 億 円 0 人 0 億 円 0% 0% 3 億 円 21 年 度 22 年 度 23 年 度 1,031 社 35,101 人 (34.0 人 ) 44.5 歳 345,461 円 86.5 億 円 97.5% 19,103 人 82.9 億 円 54.4% 95.8% 1,462 億 円 20.22% 1,007 社 35,454 人 (35.2 人 ) 44.9 歳 339,840 円 87.7 億 円 98.2% 20,507 人 90.3 億 円 57.8% 103.0% 1,465 億 円 0.33% 982 社 34,549 人 (35.1 人 ) 44.9 歳 340,592 円 85.9 億 円 99.0% 21,768 人 92.9 億 円 63.0% 108.1% 1,473 億 円 1.44% 2
1.AIJ 問 題 の 報 道 について 今 回 の 事 件 は AIJという 投 資 顧 問 会 社 が 虚 偽 の 運 用 報 告 で 厚 生 年 金 基 金 等 から1500 億 円 以 上 の 年 金 資 産 を 受 託 し その 殆 どを 消 失 させたという 詐 欺 事 件 でしたが マスコミは 国 の 年 金 を 代 行 する 厚 生 年 金 基 金 の 管 理 体 制 が 甘 いため 自 ら が 招 いたというような 報 道 に 変 わってきました 主 な 報 道 は 中 小 零 細 企 業 で 設 立 している 総 合 型 厚 生 年 金 基 金 の 大 半 は 国 の 代 行 部 分 まで 毀 損 している 大 半 の 総 合 型 厚 生 年 金 基 金 は 解 散 したくても 代 行 部 分 まで 毀 損 しているため 仮 に 解 散 したら 連 鎖 倒 産 を 引 き 起 こす 可 能 性 がある 厚 生 年 金 基 金 の 予 定 利 回 りは5.5%と 高 い 予 定 利 率 を 設 定 しているため 無 理 な 運 用 によって 不 足 金 が 発 生 した 大 半 の 厚 生 年 金 基 金 は 資 産 運 用 のプロがいないため AIJのような 投 資 顧 問 会 社 に 付 け 込 まれた 給 付 が 掛 金 を 上 回 る 給 付 超 過 となっている 厚 生 年 金 基 金 は 積 立 金 が 枯 渇 し 将 来 の 給 付 が 賄 えない 3
2. 厚 生 年 金 基 金 について 厚 生 年 金 基 金 は 1 企 業 で 設 立 する 単 独 型 と 企 業 グループが 共 同 で 設 立 する 連 合 型 当 基 金 のように 同 業 同 種 の 複 数 企 業 で 設 立 す る 総 合 型 の3 種 類 の 設 立 形 態 があります 平 成 22 年 度 末 の 集 計 では 全 国 の 厚 生 年 金 基 金 数 は595 基 金 です 設 立 形 態 別 では 単 独 型 47 連 合 型 53 総 合 型 495 基 金 となっています 資 産 規 模 の 分 布 は 下 の 表 のように62%が200 億 円 以 下 33%が1000 億 円 以 下 当 基 金 のように1000 億 円 を 超 える 基 金 は 僅 か5%です 資 産 規 模 別 一 覧 ( 平 成 23 年 3 月 末 時 点 ) 100 億 円 未 満 100 億 円 ~200 億 円 200 億 円 ~300 億 円 300 億 円 ~500 億 円 500 億 円 ~1000 億 円 1000 億 円 以 上 181 基 金 186 基 金 88 基 金 66 基 金 43 基 金 31 基 金 1 基 金 あたりの 平 均 加 入 員 数 =7,508 名 ( 全 加 入 員 数 / 基 金 数 ) 4
3. 厚 生 年 金 基 金 制 度 のしくみ 基 金 は 厚 生 年 金 保 険 の 老 齢 厚 生 年 金 ( 報 酬 比 例 年 金 とも 言 います ) 部 分 を 国 に 代 わって 受 けもちながら 基 金 独 自 の 上 積 み 給 付 をすることを 目 的 として 創 設 された 制 度 です 国 の 年 金 当 基 金 の 年 金 厚 生 年 金 保 険 に 加 入 した 人 に 支 給 される 年 金 基 金 に 加 入 した 期 間 分 の 年 金 は 基 金 から 支 給 報 酬 比 例 年 金 ( 老 齢 厚 生 年 金 ) 代 行 加 算 部 分 加 算 年 金 一 時 金 プラスアルファ 基 本 部 分 ( 基 本 年 金 ) 当 基 金 が 独 自 に 給 付 設 計 している 年 金 基 金 の 加 入 期 間 と 給 与 に 応 じた 年 金 や 一 時 金 を 支 給 代 行 部 分 に 増 額 される 基 金 の 上 積 み 分 終 身 年 金 として 支 給 厚 生 年 金 保 険 の 全 加 入 期 間 を 国 が 再 評 価 等 の 調 整 をして 支 給 賃 金 の 再 評 価 分 と 物 価 スライド 分 賃 金 の 再 評 価 分 と 物 価 スライド 分 ( 基 金 代 行 分 も 含 む) 厚 生 年 金 基 金 厚 生 年 金 保 険 すべての 人 が 加 入 する 全 国 民 共 通 の 年 金 年 金 を 受 けられる 年 齢 と なった 時 国 から 支 給 定 額 年 金 = 国 民 年 金 ( 老 齢 基 礎 年 金 ) 定 額 年 金 ( 老 齢 基 礎 年 金 ) スライド 部 分 や 障 害 厚 生 年 金 障 害 基 礎 年 金 及 び 遺 族 厚 生 年 金 は 基 金 で 代 行 しませんので 国 から 全 額 支 給 されます 5
4. 厚 生 年 金 基 金 の 代 行 割 れとは? 基 金 は 国 の 年 金 を 一 部 代 行 している 関 係 で 他 の 企 業 年 金 ( 確 定 給 付 企 業 年 金 確 定 拠 出 年 金 等 )に 移 行 あるいは 解 散 する 場 合 には この 代 行 部 分 は 国 に 返 す 必 要 があります したがって 決 算 と 同 時 に 実 施 する 財 政 検 証 では 必 要 な 積 立 てがなされているか 継 続 基 準 非 継 続 基 準 の 両 面 か ら 厳 格 な 検 証 が 行 われ 積 立 不 足 が 生 じた 場 合 には 積 立 水 準 回 復 計 画 掛 金 の 引 き 上 げ 等 の 速 やかな 対 応 が 求 め られています 厚 生 年 金 基 金 の 積 立 状 況 厚 生 労 働 省 の 資 料 によれば 平 成 23 年 3 月 末 で 代 行 部 分 ( 最 低 責 任 準 備 金 )を 確 保 できなかった 基 金 は213 基 金 (595 基 金 の35.8%)もあったことから マスコミも 大 きく 取 り 上 げ ることになりました この 積 立 水 準 は 資 産 運 用 環 境 に 左 右 されリーマン 証 券 破 綻 を 受 けた 世 界 的 な 金 融 市 場 の 大 混 乱 の 影 響 をモロに 受 けた 平 成 20 年 度 では478 基 金 がいわゆる 代 行 割 れとなりました その 後 の 市 場 環 境 の 回 復 により 平 成 21 年 度 では 代 行 割 れ は242 基 金 と 半 減 し さらに22 年 度 では213 基 金 まで 減 ってき ている 状 況 です なお これらの 基 金 は 特 別 掛 金 による 不 足 金 償 却 の 手 当 をしていますので 時 間 が 解 決 することになっ ていました 年 金 資 産 1,457 億 円 最 低 責 任 準 備 金 ( 国 の 代 行 相 当 額 ) 1,276 億 円 全 国 測 量 業 厚 生 年 金 基 金 の 積 立 状 況 ( 平 成 23 年 3 月 末 ) 保 有 する 資 産 は 最 低 責 任 準 備 金 を180 億 円 強 上 回 ってる 6
5. 仮 に 基 金 が 解 散 した 場 合 の 連 鎖 倒 産 が 怖 い マスコミ 等 で 取 り 上 げられた 兵 庫 県 乗 用 自 動 車 厚 生 年 金 基 金 の 代 行 割 れ 状 態 での 解 散 について 説 明 します この 基 金 は 兵 庫 県 内 の 複 数 のタクシー 会 社 が 昭 和 45 年 1 月 に 設 立 しました 設 立 が 早 いので 受 給 者 の 給 付 は 比 較 的 高 く 受 給 者 数 も 平 成 14 年 10 月 1 日 時 点 で 加 入 員 2,756 名 に 対 して 何 倍 かになり 平 成 12 年 からの 運 用 環 境 の 悪 化 が 加 わり 積 立 不 足 が 続 き 止 む 無 く 代 行 割 れ 解 散 を 選 択 しました 兵 庫 県 乗 用 自 動 車 厚 生 年 金 基 金 が 本 来 保 有 すべき 解 散 時 の 最 低 責 任 準 備 金 ( 代 行 部 分 ) 兵 庫 県 乗 用 自 動 車 厚 生 年 金 基 金 の 解 散 時 点 の 資 産 ( 代 行 部 分 ) 71 億 円 積 立 不 足 基 本 給 付 ( 費 用 137 億 円 ) ( 国 の 代 行 部 分 ) 基 本 給 付 ( 費 用 66 億 円 ) ( 国 の 代 行 部 分 ) 給 付 引 下 げや 掛 金 引 上 げでの 再 建 を 断 念 し 71 億 円 足 りない 状 態 で 加 入 員 等 の3/4 以 上 の 同 意 を 得 て 特 例 解 散 を 選 択 特 例 解 散 とは 代 行 部 分 の 不 足 金 71 億 円 は 加 入 事 業 所 50 社 が 応 分 の 負 担 をし 一 括 拠 出 することが 原 則 ですが 当 該 基 金 の 場 合 21 社 は 一 括 拠 出 が 可 能 でしたが 残 る29 社 は 一 括 拠 出 が 不 可 能 であったため 10 年 間 分 割 納 付 を 国 が 特 別 に 認 めたものです 残 った 負 担 金 合 計 額 52 億 5 千 万 円 を29 社 が 連 帯 責 任 として10 年 で 分 割 納 付 1 社 当 たりの 負 担 額 平 均 は1 億 8 千 万 円 20 社 以 上 が 分 割 納 付 中 に 倒 産 や 事 業 停 止 をしたため 現 存 3 社 に 連 帯 責 任 分 が 加 算 現 行 の 特 例 解 散 ルールでは 解 散 時 の 債 務 を 全 事 業 所 が 連 帯 して 責 任 を 負 う 仕 組 みとなっていることから 健 全 な 事 業 所 まで 連 鎖 的 に 倒 産 に 追 い 込 まれてしまうことがあります このため 分 割 納 付 にかかる 連 帯 責 任 の 見 直 しが 検 討 されています 7
6. 厚 生 年 金 基 金 は5.5%と 高 い 予 定 利 回 りを 設 定 しているため 無 理 な 運 用 によって 不 足 金 が 発 生 したという 報 道 基 金 が5.5%の 予 定 利 回 りとしているのは 独 自 給 付 の 加 算 部 分 だけです この 加 算 部 分 は 給 付 債 務 の20% 程 度 を 占 めることになりますが 残 りの80%は 国 の 代 行 部 分 となります 平 成 16 年 度 から 代 行 部 分 については 国 と 基 金 の 間 における 財 政 の 中 立 化 が 実 現 し 代 行 部 分 は 国 の 運 用 利 回 りを 確 保 すれば 不 足 金 は 発 生 しないことになりました 財 政 上 必 要 な 収 益 率 は 負 債 を 代 行 部 分 と 上 乗 せ 部 分 に 分 けて 計 算 当 基 金 の 給 付 債 務 に 占 める 割 合 加 算 部 分 基 本 フ ラスα 部 分 数 理 債 務 約 2 割 予 定 利 率 5.5% ( 固 定 値 ) 代 行 部 分 は 厚 生 年 金 本 体 の 運 用 利 回 りが 目 標 ( 平 成 16 年 法 律 改 正 による 財 政 中 立 化 ) 厚 生 年 金 本 体 の 利 回 りは 実 質 1.6%( 過 去 10 年 の 平 均 ) 数 理 債 務 ( 上 積 み 部 分 )は 予 定 利 回 り5.5% 適 用 最 低 責 任 準 備 金 基 本 部 分 ( 代 行 部 分 ) 約 8 割 厚 生 年 本 体 の 運 用 利 回 り ( 変 動 値 ) したがって 当 基 金 の 運 用 利 回 り 確 保 は2.4% [ 代 行 部 分 8 割 1.6%]+[ 加 算 部 分 2 割 5.5%] 8
7. 掛 金 が 給 付 を 上 回 る 給 付 超 過 となっている 基 金 は 積 立 金 が 枯 渇 し 将 来 の 給 付 が 賄 えない 一 部 新 聞 記 事 ( 朝 日 新 聞 )では 給 付 が 掛 金 を 上 回 る 給 付 超 過 の 状 態 となっている 基 金 は 将 来 の 給 付 が 賄 えないといった 報 道 があり ました 記 事 の 内 容 は 現 時 点 の 積 立 金 に 対 し1 年 間 支 出 される 年 金 給 付 額 をもって 後 何 年 で 資 金 が 枯 渇 するといったものです この 記 事 の 決 定 的 な 誤 りは 基 金 制 度 が 存 続 する 限 り 確 実 に 入 ってくる 掛 金 収 入 不 確 実 ではありますが 資 産 運 用 による 運 用 収 益 また 財 政 方 式 が 事 前 積 み 立 て となっていることが 抜 け 落 ちていることです 3 月 30 日 に 掲 載 された 記 事 には 厚 生 労 働 省 調 べ となっていました 厚 生 労 働 省 は このような 公 表 はしていないこと 誤 った 記 事 に より 基 金 の 加 入 者 等 に 誤 解 に 基 づいた 混 乱 が 生 じていることを 同 日 朝 日 新 聞 社 長 あてに 内 容 証 明 文 書 で 記 事 内 容 の 訂 正 等 を 求 め ました 厚 生 年 金 基 金 の 財 政 方 式 国 の 厚 生 年 金 は 年 金 の 支 払 を 現 役 世 代 の 保 険 料 で 賄 う 財 政 方 式 ですが 厚 生 年 金 基 金 は 事 前 積 立 方 式 を 採 用 しています 事 前 積 立 方 式 とは? 将 来 の 年 金 給 付 を あらかじめ 掛 金 で 積 立 てていく 財 政 方 式 です 加 入 員 や 受 給 者 の 人 員 年 齢 構 成 等 を 見 込 んで 掛 金 を 算 定 しています 5 年 に1 度 の 財 政 再 計 算 時 に 基 礎 率 ( 加 入 員 数 平 均 年 齢 平 均 報 酬 平 均 余 命 等 )を 見 直 して 掛 金 率 が 適 正 かを 検 証 しています 厚 生 年 金 基 金 制 度 は 給 付 が 増 加 することをあらかじめ 想 定 し 積 立 てています 9
厚 生 年 金 基 金 の 成 熟 化 の 過 程 厚 生 年 金 基 金 は 設 立 から 年 数 の 経 過 とともに 徐 々に 成 熟 化 が 進 行 します 下 図 は その 過 程 を 図 で 表 したも のです 掛 金 収 入 給 付 支 出 で 見 た 成 熟 化 の 過 程 ( 概 念 図 ) 成 熟 化 の 進 行 段 階 1 掛 金 > 給 付 2 掛 金 等 + 運 用 収 益 > 給 付 定 常 期 3 掛 金 等 + 運 用 収 益 = 給 付 運 用 収 益 給 付 等 支 出 経 過 年 数 掛 金 等 収 入 1 2 3 設 立 からしばらくの 間 は 掛 金 収 入 が 給 付 等 支 出 を 上 回 る 状 況 が 続 くため ニューマネー( 掛 金 - 給 付 )の 運 用 による 運 用 収 益 が 積 み 上 がります 概 ね30 年 ~40 年 経 過 しますと 掛 金 収 入 が 全 額 給 付 等 支 出 に 充 てられることになります ( 当 基 金 は 現 在 この 段 階 にあります ) その 後 年 金 受 給 者 の 増 加 とともに 給 付 額 等 支 出 も 増 加 し 掛 金 収 入 と 運 用 収 益 の 一 部 使 って 給 付 を 賄 うことになります 更 に 成 熟 が 進 みますと 掛 金 収 入 と 運 用 収 益 の 全 額 が 給 付 等 支 出 に 充 てられ 制 度 上 は 定 常 期 となります この 段 階 に 入 りますと 年 金 受 給 者 へ 支 給 する 国 の 代 行 部 分 相 当 額 が 多 額 となり 過 去 の 制 度 変 更 等 により 厚 生 年 金 本 体 との 間 で 生 じた 過 不 足 が 調 整 され 国 から 負 担 金 が 交 付 されますので 資 産 が 枯 渇 することはありません 注 )この 図 の 前 提 は 基 金 設 立 から 加 入 員 数 掛 金 収 入 が 一 定 また 予 定 する 運 用 収 益 が 確 保 できるというものです 時 間 の 経 過 ともに この 前 提 に 狂 いが 出 てきますので 5 年 毎 に 財 政 再 計 算 を 実 施 し 前 提 の 微 調 整 を 行 い 必 要 であれば 掛 金 の 見 直 しを 行 います 10
8. 全 国 測 量 業 厚 生 年 金 基 金 における 運 用 の 取 り 組 み 1 運 用 委 託 機 関 の 選 定 当 基 金 は 皆 様 からお 預 かりした 掛 金 を 安 全 かつ 効 率 的 に 運 用 して 将 来 の 年 金 給 付 に 備 えるために 年 金 資 産 運 用 の 基 本 方 針 を 定 め これに 基 づいた 運 用 委 託 機 関 の 配 置 を 行 っています 運 用 委 託 機 関 の 選 定 に 当 たっては 運 用 コンサルタント 会 社 ( 注 ) の 綿 密 な 調 査 に 基 づき 推 奨 する 運 用 委 託 機 関 を 資 産 運 用 委 員 会 理 事 会 代 議 員 会 にお 諮 りしたうえで 決 定 しています ( 注 ) 当 基 金 が 契 約 を 結 んでいる タワーズ ワトソン は 全 世 界 に14,000 人 の 社 員 を 擁 するグローバルなコンサルタント 会 社 で 日 本 で 最 初 に 資 産 運 用 コンサルタント 事 業 を 始 めた 会 社 でもあり 当 基 金 は 平 成 5 年 に 資 産 運 用 に 関 する 日 本 で 第 1 号 の 顧 客 として 契 約 を 締 結 しております 新 規 採 用 候 補 の 運 用 商 品 運 用 コンサルティングによる 綿 密 な 調 査 資 産 運 用 委 員 会 プレゼンテーション 実 施 後 採 用 候 補 を 決 定 理 事 会 代 議 員 会 への 提 案 を 決 定 代 議 員 会 新 規 運 用 委 託 機 関 の 採 用 を 決 定 11
2 運 用 のプロセス 基 金 の 資 産 運 用 は 年 金 資 産 を 信 託 銀 行 生 命 保 険 会 社 投 資 顧 問 会 社 へ 委 託 して 運 用 する 委 託 運 用 が 基 本 です ( 個 別 銘 柄 の 売 買 を 指 図 したり 基 金 自 ら 売 買 をすることは 原 則 できません )したがって 基 金 に 求 められるのは ファンドマネージャー アナリスト といった 運 用 指 図 銘 柄 リサーチ 等 の 能 力 ではなく 目 標 を 達 成 するためのプロセスの 立 案 管 理 が 重 要 となります そのため 基 金 ではPlan( 計 画 )-Do( 運 用 )-See( 評 価 )という 年 金 運 用 のプロセスを 繰 り 返 し 行 うことによって 運 用 委 託 機 関 の 能 力 を 十 分 に 発 揮 できるように 運 用 コンサルタントとともに 管 理 運 営 しております PLAN ( 計 画 ) 基 金 の 運 用 目 的 を 達 成 するための 政 策 的 資 産 構 成 割 合 を 策 定 し 年 金 資 産 運 用 の 基 本 方 針 として 明 文 化 します SEE ( 評 価 ) DO ( 運 用 ) 政 策 的 資 産 構 成 割 合 に 基 づき 運 用 機 関 構 成 を 決 定 します これは 同 一 スタイルの 運 用 機 関 の 重 複 を 避 け 効 率 化 を 図 るためのものです 個 々の 運 用 機 関 の 運 用 結 果 のみならず 基 金 全 体 で 運 用 基 本 方 針 どおりに 適 正 に 運 用 が 行 われているか 評 価 分 析 を 行 います また 運 用 機 関 については 四 半 期 ごとのミーティングを 通 じて 運 用 成 績 のみならず 運 用 体 制 運 用 哲 学 等 についても 総 合 的 に 評 価 しています 12
3 安 定 的 な 収 益 確 保 に 向 けて 厚 生 年 金 保 険 と 基 金 の 財 政 の 中 立 化 により 基 金 の 代 行 部 分 は 厚 生 年 金 本 体 の 運 用 利 回 りを 確 保 すれば 良 いことになりました そのため リスク( 収 益 のブレ 幅 )を 最 小 限 に 抑 えながら 必 要 な 収 益 を 確 保 するための 政 策 的 資 産 構 成 割 合 の 見 直 しを 行 ないました 年 金 ALM 分 析 により 将 来 に 向 けての 財 政 状 況 等 の 推 計 を 行 い 必 要 な 運 用 収 益 確 保 のため 昨 年 9 月 下 旬 より 資 産 構 成 割 合 を 変 更 しました 参 考 当 基 金 とGPIFとの 資 産 構 成 割 合 の 比 較 国 内 債 券 国 内 株 式 外 国 債 券 外 国 株 式 短 期 資 金 オルタナティブ リターン リスク GPIF 67% 11% 8% 9% 5% - 3.37% 5.55% 当 基 金 旧 新 41% 30% 9% 37% 11% 4% 4% 20% - - 4.50% 8.69% 13% 13% - 18% 4.00% 6.46% * GPIF: 年 金 積 立 金 管 理 運 用 独 立 行 政 法 人 Government Pension Investment Fund * 当 基 金 の 外 国 債 券 株 式 について 半 分 は 為 替 ヘッジ 有 り 13
9. 基 金 から 脱 退 する 場 合 になぜ 特 別 掛 金 が 徴 収 されるのか? 基 金 では 財 政 決 算 や 制 度 変 更 に 伴 い 生 じる 積 立 不 足 は 未 償 却 過 去 勤 務 債 務 として 特 別 掛 金 によって 一 定 の 期 間 を 設 けて 償 却 し ていくことになっています 基 金 制 度 には 国 の 代 行 部 分 である 基 本 年 金 ( 部 分 ) と 基 金 独 自 の 上 乗 せ 部 分 である 加 算 年 金 ( 部 分 ) があります 6 頁 で 述 べました ように 当 基 金 は 国 の 代 行 部 分 相 当 額 については 十 分 な 積 立 が 確 保 できていますが 加 算 部 分 で 積 立 不 足 が 生 じています この 積 立 不 足 は 未 償 却 過 去 勤 務 債 務 として 特 別 掛 金 によって 分 割 納 付 いただいておりますが 償 却 が 完 了 していない 時 に 脱 退 する 事 業 所 があった 場 合 には その 事 業 所 が 加 入 を 継 続 していれば 支 払 うであろう 特 別 掛 金 等 を 一 括 して 納 付 していただきます この 特 別 掛 金 は 脱 退 する 事 業 所 の 社 員 の 方 が 受 給 される 加 算 部 分 の 給 付 原 資 となるものです 任 意 脱 退 に 伴 う 脱 退 時 特 別 掛 金 の 算 定 イメージ 基 金 全 体 脱 退 ( 減 少 ) 事 業 所 分 年 金 資 産 未 償 却 過 去 勤 務 債 務 繰 越 不 足 金 数 理 債 務 最 低 責 任 準 備 金 ( 継 続 基 準 ) 年 金 資 産 不 足 額 内 訳 給 付 現 価 1 未 償 却 過 去 勤 務 債 務 残 高 2 繰 越 不 足 金 この 部 分 を 特 別 掛 金 として 負 担 14
10. 基 金 から 脱 退 しても 掛 金 節 減 効 果 は 限 定 的 基 金 制 度 では 国 の 年 金 の 一 部 を 代 行 する 関 係 で 代 行 部 分 に 係 る 保 険 料 については 国 への 納 付 が 免 除 され この 部 分 は 基 金 に 掛 金 と して 納 めていただきます 基 金 未 加 入 の 場 合 と 当 基 金 加 入 の 場 合 を 比 較 しますと 次 のようになります 従 業 員 8.206% 基 金 未 加 入 の 場 合 事 業 主 8.206% 従 業 員 6.206% 基 金 加 入 の 場 合 従 業 員 2.00% 事 業 主 1.70% 事 業 主 2.00% 事 業 主 6.206% 厚 生 年 金 基 金 へ 納 付 5.70% 年 金 事 務 所 へ 納 付 * 厚 生 年 金 保 険 料 率 16.412% ( 平 成 24 年 4 月 現 在 ) 年 金 事 務 所 へ 納 付 12.412% 当 基 金 に 加 入 したことによって 年 金 事 務 所 へ 納 付 する 保 険 料 は4%( 事 業 主 2% 従 業 員 2%) 減 額 ( 免 除 )し その 分 を 基 金 に 掛 金 として 納 付 していただきます また 加 算 部 分 を 賄 うための 掛 金 1.5% 基 金 を 運 営 するための 掛 金 0.2% 合 計 1.7%を 基 金 加 入 に 伴 う 増 加 費 用 として 事 業 主 に 負 担 いた だいております したがって 基 金 を 脱 退 すると 年 金 事 務 所 への 保 険 料 が4% 増 え( 基 金 加 入 によって 納 付 が 免 除 されていた 保 険 料 を 再 び 年 金 事 務 所 に 納 付 ) 負 担 軽 減 分 は 事 業 主 負 担 の1.7%となります 15