<5461726F31322D8CA48B8695F18D908169899393A1816A2E6A7464>



Similar documents
2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

No3. 人 工 乾 燥 材 ( 低 温 乾 燥 材. 燻 煙 乾 燥 材 ) 120mm 120mm 4000mm No4. 天 然 乾 燥 材 120mm 120mm 4000mm No5. 天 然 乾 燥 材 120mm 120mm 4000mm No6. 人 工 乾 燥 材 ( 低 温 乾

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

積 載 せず かつ 燃 料 冷 却 水 及 び 潤 滑 油 の 全 量 を 搭 載 し 自 動 車 製 作 者 が 定 める 工 具 及 び 付 属 品 (スペアタイヤを 含 む )を 全 て 装 備 した 状 態 をいう この 場 合 に おいて 燃 料 の 全 量 を 搭 載 するとは 燃 料

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

01.活性化計画(上大久保)

16 日本学生支援機構

<4D F736F F D F93878CA797708F4390B3816A819A95CA8B4C976C8EAE91E682538B4C8DDA97E12E646F6378>

第 1 条 適 用 範 囲 本 業 務 方 法 書 は 以 下 の 性 能 評 価 に 適 用 する (1) 建 築 基 準 法 施 行 令 ( 以 下 令 という ) 第 20 条 の7 第 1 項 第 二 号 表 及 び 令 第 20 条 の 8 第 2 項 の 認 定 に 係 る 性 能 評

総合評価点算定基準(簡易型建築・電気・管工事)

18 国立高等専門学校機構

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

< DB8CAF97BF97A6955C2E786C73>

Microsoft Word - No.10 西村.doc

1 平 成 27 年 度 土 地 評 価 の 概 要 について 1 固 定 資 産 税 の 評 価 替 えとは 地 価 等 の 変 動 に 伴 う 固 定 資 産 の 資 産 価 値 の 変 動 に 応 じ その 価 格 を 適 正 で 均 衡 のとれたものに 見 直 す 制 度 である 3 年 ご

資 料 -6 平 成 20 年 度 第 2 回 北 陸 地 方 整 備 局 事 業 評 価 監 視 委 員 会 特 定 構 造 物 改 築 事 業 事 後 評 価 説 明 資 料 平 成 20 年 11 月 北 陸 地 方 整 備 局 -0-

2 平 均 病 床 数 の 平 均 病 床 数 では 療 法 人 に 対 しそれ 以 外 の 開 設 主 体 自 治 体 社 会 保 険 関 係 団 体 その 他 公 的 の 規 模 が 2.5 倍 程 度 大 きく 療 法 人 に 比 べ 公 的 病 院 の 方 が 規 模 の 大 き いことが

<4D F736F F D F8DC4955D89BF92B28F915F8D4C93638DBB90E895942E646F63>

Taro-H19退職金(修正版).jtd

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

< F2D A C5817A C495B6817A>

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

別紙3

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

<93798D488E7B8D488AC7979D977697CC5F F96DA8E9F2E786264>

文化政策情報システムの運用等

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.


6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

<4D F736F F D208FE DC926E8BE6926E8BE68C7689E681408C7689E68F912E646F63>

公表表紙

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

認証対象接合金物

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

m07 北見工業大学 様式①

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

Microsoft Word [公表用資料]_様式1-1.doc

試 験 概 略 試 験 目 的 同 同 一 一 規 規 格 格 の の 電 電 熱 熱 線 線 式 式 ヒーティングユニットを2 台 台 並 並 べ べ 片 片 方 方 のユニットに 遠 遠 赤 赤 外 外 線 線 放 放 射 射 材 材 料 料 である アルミ 合 金 エキスパンションメタルを 組

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果


表紙

Microsoft Word 印刷ver 本編最終no1(黒字化) .doc

< F2D8AC493C CC81698EF3928D8ED2816A2E6A7464>

<8C9A90DD94AD90B696D88DDE939982CC8DC48E918CB989BB82C98AD682B782E98E9696B18EE688B CC FC90B3816A2E786477>

一般競争入札について

Microsoft Word - 論文最終.doc

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

川崎市木造住宅耐震診断助成金交付要綱

1.H26年エイズ発生動向年報ー概要

草 加 都 市 計 画 事 業 新 田 西 部 土 地 区 画 整 理 事 業 土 地 評 価 基 準 ( 目 的 ) 第 1 この 基 準 は 土 地 区 画 整 理 法 ( 昭 和 29 年 法 律 第 119 号 ) 第 3 条 第 4 項 の 規 定 により 草 加 市 が 施 行 する 草

耐震改修評定委員会での検討事項                 2000,4,13

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

<4D F736F F D AC90D1955D92E CC82CC895E DD8C D2816A2E646F63>

Ⅰ 平成14年度の状況

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

和 光 市 駅 南 口 地 区 地 区 計 画 整 備 計 画 の 内 容 地 区 計 画 の 方 針 名 称 和 光 市 駅 南 口 地 区 地 区 計 画 位 置 和 光 市 本 町 の 一 部 和 光 市 丸 山 台 一 丁 目 面 積 約 8.6ha 区 域 の 整 備 開 発 及 び 保

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

平成19年9月改定

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

(別紙3)保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正する(案)

< E95FB8CF689638AE98BC689FC90B390A CC8CA992BC82B582C982C282A282C E90E096BE8E9E8E9197BF2E786477>

資料1:勧告の仕組みとポイント 改【完成】

Microsoft Word - 土木報告No.3頁.doc

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

2 県 公 立 高 校 の 合 格 者 は このように 決 まる (1) 選 抜 の 仕 組 み 選 抜 の 資 料 選 抜 の 資 料 は 主 に 下 記 の3つがあり 全 高 校 で 使 用 する 共 通 の ものと 高 校 ごとに 決 めるものとがあります 1 学 力 検 査 ( 国 語 数

木材の圧縮試験

<817993FA967B8E E A E815B817A B F976C8EAE82502D322E786C73>

定款  変更

別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

<4D F736F F D A94BD837D836C B4B92F62E646F6378>

JTCCM製品認証審査要綱

目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

Microsoft PowerPoint - 総合型DB資料_県版基金説明用.pptx

目 次 第 1 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 1. 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 2. 施 行 者 の 名 称 1 第 2 施 行 地 区 1 1. 施 行 地 区 の 位 置 1 2. 施 行 地 区 位 置 図 1 3. 施 行 地 区 の 区 域 1 4

スライド 1

守 口 市 立 東 小 学 校 大 久 保 小 学 校 の 統 合 実 施 計 画 目 次 第 1 守 口 市 における 学 校 統 合 の 背 景 1 第 2 東 小 学 校 と 大 久 保 小 学 校 の 統 合 について 1 第 3 統 合 校 の 学 校 づくりについて 2 第 4 東 小

耐 震 診 断 受 付 期 間 4 月 16 日 ( 月 )~1 月 31 日 ( 木 ) 予 定 戸 数 100 戸 1 補 助 の 条 件 次 のすべての 要 件 に 該 当 すること (1) 市 民 自 らが 所 有 し 居 住 していること (2) 昭 和 56 年 5 月 31 日 以 前

平成24年度 業務概況書

加 古 川 市 市 街 化 調 整 区 域 における 地 区 計 画 制 度 の 運 用 基 準 ( 概 要 ) 第 1 章 総 則 運 用 基 準 の 目 的 地 区 計 画 制 度 の 運 用 により 良 好 な 居 住 環 境 の 維 持 及 び 育 成 を 目 的 とする ( 第 1 条 )

4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

Transcription:

低 位 利 用 広 葉 樹 材 の 高 付 加 価 値 化 技 術 の 開 発 ( 県 単 課 題 平 成 12 年 ~ 平 成 16 年 ) 研 究 報 告 遠 藤 啓 二 郎 目 次 要 旨 Ⅰ はじめに 2 Ⅱ 試 験 方 法 2 1 県 産 広 葉 樹 中 小 径 材 の 材 質 特 性 および 乾 燥 特 性 調 査 2 2 県 産 コナラ 材 の 効 率 的 乾 燥 スケジュールの 検 討 4 3 スギ-コナラ 異 樹 種 積 層 材 の 性 能 評 価 5 4 コナラおよびキリ 材 を 用 いた 床 材 (フローリング)の 性 能 評 価 7 Ⅲ 結 果 と 考 察 9 1 県 産 広 葉 樹 中 小 径 材 の 材 質 特 性 および 乾 燥 特 性 調 査 9 2 県 産 コナラ 材 の 効 率 的 乾 燥 スケジュールの 検 討 10 3 スギ-コナラ 異 樹 種 積 層 材 の 性 能 評 価 12 4 コナラおよびキリ 材 を 用 いた 床 材 (フローリング)の 性 能 評 価 16 Ⅳ おわりに 20 Ⅴ 引 用 文 献 21 要 旨 低 位 利 用 広 葉 樹 材 の 高 付 加 価 値 化 ならびに 建 材 としての 利 用 拡 大 を 目 的 として 本 県 産 の 広 葉 樹 中 小 径 材 の 材 質 特 性 や 乾 燥 特 性 を 調 査 し そのうち 県 内 で 最 も 多 くの 蓄 積 を 有 す るコナラ 材 および 本 県 が 全 国 有 数 の 産 地 であるキリ 材 を 主 たる 対 象 として 製 品 の 試 作 と 性 能 評 価 を 行 った その 結 果 以 下 の 知 見 を 得 た (1) 県 内 における 広 葉 樹 中 小 径 材 の 利 用 実 績 や 蓄 積 等 を 考 慮 し コナラ ミズキ ホオノ キ クリ キリを 対 象 として 強 度 特 性 および 表 面 性 能 を 調 査 した 結 果 特 にミズキ コナ ラ 材 が 優 れた 性 能 を 有 することを 確 認 した (2) 天 然 乾 燥 を 併 用 したコナラ 材 の 人 工 乾 燥 スケジュールについて 検 討 した 結 果 2~3 カ 月 間 の 天 然 乾 燥 を 経 て 仕 上 げに 人 工 乾 燥 を 行 った 場 合 人 工 乾 燥 時 間 の 短 縮 が 可 能 であ った しかし これらの 併 用 スケジュールにおいて 天 然 乾 燥 のみと 比 較 して 乾 燥 歩 留 り の 向 上 効 果 は 認 められなかった (3) コナラ 材 の 高 い 強 度 性 能 を 活 かし 外 層 部 にコナラ 材 内 層 部 にスギ 材 を 配 置 した 異 樹 種 積 層 材 は ほぼ 理 論 値 どおりの 高 い 曲 げヤング 係 数 が 得 られるとともに 想 定 した 曲 げ 強 さを 満 たした しかし スギ-コナラ 間 の 接 着 性 能 について 現 行 の 構 造 用 集 成 材 の 日 受 理 日 平 成 17 年 10 月 12 日 - 1 -

本 農 林 規 格 を 満 足 するには 至 らなかった (4) 積 層 後 に 再 割 加 工 したコナラ 集 成 材 から 試 作 したフローリングについて 幅 方 向 の 膨 潤 収 縮 が 無 垢 材 と 比 較 して 少 ないことを 確 認 した さらに 両 面 に 溝 加 工 を 施 すことで 歪 形 化 や 幅 反 りがある 程 度 抑 制 可 能 なことを 見 いだした (5) 会 津 桐 から 作 成 したフローリングを 用 いて 簡 便 な 方 法 による 傷 回 復 性 や 衝 撃 吸 収 性 の 試 験 をした 結 果 高 い 傷 回 復 性 と 衝 撃 吸 収 性 を 有 することを 確 認 した また 熱 ロール プレスによる 表 面 熱 処 理 について 検 討 した 結 果 撥 水 性 や 表 面 性 状 に 新 たな 付 加 価 値 を 見 いだした Ⅰ はじめに 本 県 は 全 国 第 4 位 の972 千 haの 森 林 を 有 しており 県 内 の 民 有 林 のうち 広 葉 樹 林 の 占 める 割 合 は 約 60%を 占 め 本 県 の 広 葉 樹 資 源 は 資 源 量 が 豊 富 である 南 会 津 地 域 を 中 心 と して 価 値 の 高 い 大 径 材 が 建 材 や 家 具 木 工 用 材 として 利 用 されてきた しかしながら 大 径 材 資 源 は 枯 渇 し ブナ 等 の 広 葉 樹 天 然 林 資 源 の 伐 採 が 制 限 されていることもあり 製 材 用 として 用 いられる 有 用 広 葉 樹 資 源 の 生 産 量 は 年 々 減 少 傾 向 にある 1) このような 背 景 から 県 内 で 生 産 される 広 葉 樹 材 のうち 約 9 割 は パルプチップ 用 材 と してのいわゆる 低 位 利 用 にとどまっている これらは 建 材 として 利 用 するだけのまとま った 量 を 確 保 することが 難 しいことや 利 用 の 際 の 基 礎 資 料 となる 乾 燥 特 性 や 物 理 的 性 質 が 明 らかになっていないこともあり 本 県 においては 建 材 としての 利 用 事 例 は 乏 しいの が 現 状 である 2) 3) 本 研 究 においては まず 広 葉 樹 資 源 の 蓄 積 や 広 葉 樹 の 利 用 実 態 に 関 する 調 査 結 果 を 基 に 建 材 として 利 用 の 可 能 性 を 有 すると 思 われる5 樹 種 を 選 択 し 材 質 特 性 および 乾 燥 特 性 の 把 握 を 行 った その 結 果 をふまえて 県 内 において 最 も 豊 富 な 蓄 積 を 有 しながら 建 材 としてほとんど 利 用 されていないコナラ 材 に 着 目 し 有 効 利 用 の 可 能 性 を 探 るため 天 然 乾 燥 を 組 み 合 わせた 乾 燥 試 験 を 行 い 乾 燥 コストの 低 減 と 乾 燥 歩 留 りの 向 上 を 試 みた さらに 高 い 強 度 性 能 表 面 性 能 を 活 かした 異 樹 種 積 層 材 や 床 材 としての 利 用 を 想 定 し た 集 成 化 技 術 について 検 討 を 行 い 製 品 の 試 作 と 性 能 評 価 を 行 った また 我 が 国 有 数 の 産 地 である 会 津 の 桐 材 について 中 小 径 材 の 付 加 価 値 向 上 を 図 る 目 的 で 近 年 積 極 的 な 利 用 がなされている 床 材 利 用 に 際 しての 表 面 性 能 および 寸 法 安 定 性 について 検 証 を 行 った さらに 表 面 性 能 の 向 上 と 塗 装 によらない 着 色 技 術 として 熱 ロー ルによる 表 面 熱 処 理 について 検 討 し 性 能 評 価 を 行 ったので 報 告 する Ⅱ 試 験 方 法 1 県 産 広 葉 樹 中 小 径 材 の 材 質 特 性 および 乾 燥 特 性 調 査 (1) 供 試 材 表 -1に 示 す 広 葉 樹 中 小 径 材 5 樹 種 (コナラ クリ ホオノキ ミズキ キリ)につい て 林 業 研 究 センターの 多 田 野 および 川 内 試 験 林 ならびに 会 津 中 通 り 地 域 より 長 さ 約 1.8mの 素 材 を 入 手 し 供 試 材 とした - 2 -

表 -1 供 試 材 ( 素 材 )の 概 要 (2) 乾 燥 モデル 試 験 表 -1に 示 す 樹 種 のうち 人 工 乾 燥 に 関 する 既 往 のデータが 少 ないコナラ ホオノキ ミズキについて 乾 燥 性 の 難 易 を 比 較 するため 乾 燥 試 験 を 行 った 素 材 から 厚 さ30mm 幅 110mmの 板 を30 枚 採 材 し 中 央 部 で2 分 割 して 長 さを700mmに 調 整 した さらに 中 央 部 付 近 より 初 期 含 水 率 測 定 用 の 試 験 片 を 採 取 した( 図 -1) そして 試 験 材 の 一 方 は 表 - 2に 示 すスケジュールで 恒 温 恒 湿 器 内 で 人 工 乾 燥 を 行 い もう 一 方 は 室 内 において 天 然 乾 燥 を 行 った なお 人 工 乾 燥 スケジュールは 予 備 試 験 として 行 った100 急 速 乾 燥 試 4) 験 の 結 果 を 基 に 決 定 した 表 -2 人 工 乾 燥 スケジュール 乾 燥 試 験 中 の 含 水 率 のモニタリングは 試 験 材 の 重 量 を 定 期 的 に 測 定 することにより 行 った 乾 燥 後 乾 燥 によって 生 じた 割 れの 長 さについて 木 口 割 れ 材 面 割 れに 分 けて 評 価 した また 乾 燥 前 後 の 試 験 材 の 中 央 部 付 近 の 寸 法 から 収 縮 率 を 矢 高 から 幅 ぞりを 測 定 した さらに 乾 燥 終 了 後 には 木 口 より20cm 内 側 の 部 分 において 試 験 片 を 採 取 し 全 乾 法 により 含 水 率 を 求 めた 図 -1 乾 燥 モデル 試 験 における 試 験 材 の 作 成 方 法 (3) 無 欠 点 小 試 験 体 による 強 度 試 験 前 項 で 天 然 乾 燥 もしくは 人 工 乾 燥 を 行 った 試 験 材 について 室 内 において 十 分 に 養 生 を 行 い 含 水 率 を12% 前 後 に 調 湿 した 後 半 径 方 向 20mm 接 線 方 向 20mm 繊 維 方 向 320mmの 無 欠 点 小 試 験 体 を 作 成 した そして JIS Z 2101に 準 拠 し 万 能 試 験 機 ( 島 津 製 作 所 製 ) - 3 -

を 用 いて スパン280mmで 曲 げ 試 験 を 行 った 試 験 体 数 は36 体 (コナラについては72 体 ) とした また 曲 げ 試 験 終 了 後 の 試 験 片 の 端 部 から 繊 維 方 向 40mmの 試 験 片 を 切 り 出 し 縦 圧 縮 試 験 に 供 した さらに 表 面 性 能 の 評 価 としてブリネル 硬 さ 試 験 も 併 せて 行 った 半 径 方 向 15mm 接 線 方 向 15mm 繊 維 方 向 40mmの 試 験 体 を 各 樹 種 ごとに6 体 (コナラについて は12 体 )ずつ 作 成 し JIS Z 2101に 準 拠 して 板 目 面 における 硬 さを 測 定 した 2 県 産 コナラ 材 の 効 率 的 乾 燥 スケジュールの 検 討 (1) 供 試 材 県 内 の 中 通 り 地 域 産 の 長 さ 約 2mのコナラ 丸 太 34 本 を 供 試 材 料 とした( 写 真 -1) 素 材 の 年 輪 幅 径 級 等 について 表 -3に 示 す 素 材 は 厚 35mmまたは40mm 幅 120mmの 断 面 におい て 採 取 可 能 な 限 り 製 材 を 行 った なお 得 られた ひき 板 の 総 数 は143 枚 であり 製 材 歩 留 りは 約 36.3% であった 表 -3 コナラ 素 材 の 概 要 写 真 -1コナラ 素 材 の 外 観 径 級 末 口 径 密 度 平 均 年 輪 幅 動 的 ヤング 係 数 林 齢 (cm) (cm) (g/cm3) (mm) (GPa) 平 均 値 (A.V.) 23.6 0.98 3.0 12.2 標 準 偏 差 (STD) 40~50 年 2.2 0.05 0.6 1.4 18~28 最 小 値 (MIN) 生 20.5 0.91 2.2 9.4 最 大 値 (MAX) 28.7 1.11 4.2 14.6 (2) 乾 燥 方 法 製 材 後 のひき 板 は 室 内 に 桟 積 みして 天 然 乾 燥 を 行 った これらを3 区 分 し 1 天 然 乾 燥 2カ 月 + 人 工 乾 燥 2 天 然 乾 燥 3カ 月 + 人 工 乾 燥 3 天 然 乾 燥 4カ 月 の3 条 件 で 乾 燥 試 験 を 行 った 乾 燥 試 験 の 詳 細 および 人 工 乾 燥 スケジュールについて 表 -4に 示 す 天 然 乾 燥 期 間 における 含 水 率 の 減 少 傾 向 は 定 期 的 に 重 量 を 測 定 することにより 行 った 人 工 乾 燥 は 桟 木 間 隔 50cmで 行 い 桟 積 上 部 に 約 1tの 重 錘 を 載 荷 した また あらか じめ 長 さ50cmの 試 験 材 を 各 天 然 乾 燥 条 件 ごと2 体 ずつ 作 成 し その 含 水 率 ( 重 量 )をもと にスケジュールの 変 更 を 行 った 表 -4 乾 燥 試 験 の 詳 細 および 人 工 乾 燥 スケジュール 天 然 乾 燥 試 験 本 数 乾 燥 方 法 日 数 人 工 乾 燥 初 期 含 水 率 ( 本 ) ( 日 ) (%) 1 天 然 乾 燥 2カ 月 + 人 工 乾 燥 44 61 実 施 57.4 (5.1) 2 天 然 乾 燥 3カ 月 + 人 工 乾 燥 43 92 実 施 60.4 (5.7) 3 天 然 乾 燥 4カ 月 56 121-60.3 (5.3) 初 期 含 水 率 の 上 段 : 平 均 値 下 段 ()は 標 準 偏 差 を 示 す 含 水 率 範 囲 乾 球 温 度 ( ) 湿 球 温 度 ( ) ~25% 50 45 20~25% 50 44 15~20% 55 45 12~15% 60 45 10~12% 60 42-4 -

乾 燥 終 了 後 全 ての 板 材 は 厚 さ32mmもしくは28mm 幅 108mmにモルダー 仕 上 げを 行 い 材 面 割 れ 等 の 欠 点 を 除 去 した 段 階 で 乾 燥 歩 留 りを 算 出 した さらに 木 口 より 約 20cm 内 側 の 部 位 において 試 験 片 を 採 取 し 全 乾 法 により 含 水 率 を 求 めた 3 スギ-コナラ 異 樹 種 積 層 材 の 性 能 評 価 (1) 供 試 材 前 項 で 作 成 したコナラひき 板 (ラミナ)( 厚 28または32mm 幅 108mm)およびスギラミ ナ( 厚 25または30mm 幅 108mm)を 用 いた なお スギラミナは 全 て 通 しラミナとして 用 いた (2)ひき 板 (ラミナ)の 機 械 等 級 区 分 機 械 等 級 区 分 は 打 撃 法 により 行 った 各 測 定 時 において 供 試 材 の 寸 法 と 重 量 を 測 定 し 材 の 容 積 密 度 を 求 めた 続 いて 供 試 材 の 木 口 面 をハンマーで 打 撃 して FFTアナ ライザーにより 材 の 固 有 振 動 数 を 測 定 し 動 的 ヤング 係 数 を 求 めた (3) 縦 つぎおよびフィンガージョイント(FJ) 分 散 幅 はぎラミナの 作 成 機 械 等 級 区 分 を 行 ったコナララミナは ラミナの 等 級 がほぼ 等 しくなるように 振 り 分 け フィンガージョイント( 以 下 FJ)による 縦 つぎを 行 った なお フィンガー 部 の 幅 ピ ッチは15mm 3.8mm 縦 つぎ 時 の 圧 締 圧 は 約 0.8MPaとし 接 着 剤 は 市 販 の 水 性 高 分 子 イソ シアネート 系 接 着 剤 を 用 いた また FJ 材 を 作 成 した 後 に 積 層 後 再 割 加 工 したFJ 分 散 幅 はぎラミナ( 以 下 幅 はぎラミナとする )は 厚 28mm 4plyとし 最 終 的 にモルダー にて25mm 105mmに 仕 上 げた( 図 -3) 図 -3 縦 つぎおよび 幅 はぎラミナの 作 成 手 順 (4)コナララミナの 引 張 試 験 前 項 で 作 成 した 縦 つぎラミナ 幅 はぎラミナ および 縦 つぎを 行 っていない 通 しラミナ 各 12 体 ( 厚 25mm 幅 105mm 長 さ1500mm)を 引 張 り 試 験 に 供 した 試 験 は 実 大 強 度 試 5) 験 機 ( 前 川 試 験 機 製 作 所 製 )を 用 いて 構 造 用 集 成 材 の 日 本 農 林 規 格 に 準 拠 し チャック 間 距 離 を60cmとして 実 施 し 最 大 荷 重 より 引 張 強 さを 算 出 した (5)スギ-コナラ 異 樹 種 積 層 材 の 作 成 FJによる 縦 つぎや 寸 法 調 整 および 機 械 等 級 区 分 を 行 ったコナララミナ スギラミナを 用 いて 図 -4に 示 す 断 面 構 成 の 中 断 面 集 成 材 ( A~D 幅 105mm 高 さ180mm 長 さ3650mm E F 幅 105mm 高 さ150mm 長 さ3000mm)を 作 成 した 試 験 体 数 は 各 条 件 ごと3 体 ずつと - 5 -

した( 計 18 体 ) 図 -4 スギ-コナラ 異 樹 種 積 層 材 の 仕 様 TYPE Cの 最 外 層 ラミナは スギ 厚 15mm,コナラ 厚 15mmの 複 合 ラミナである 2 積 層 材 の 作 成 条 件 は ラミナに 市 販 の 水 性 高 分 子 イソシアネート 系 接 着 剤 を 約 300g/m 両 面 塗 布 し コールドプレスを 用 いて 約 1MPaの 圧 力 で24 時 間 圧 締 した 解 圧 後 一 週 間 養 生 させたのち 所 定 の 寸 法 にモルダーにて 仕 上 げを 行 った 写 真 -2 積 層 材 の 作 成 状 況 (6) 等 価 断 面 法 による 曲 げヤング 係 数 の 推 定 積 層 材 の 曲 げ 剛 性 (ヤング 係 数 積 層 材 の 中 立 軸 に 関 する 断 面 2 次 モーメント)は 下 式 のように 各 層 の 曲 げ 剛 性 の 和 として 表 され 両 辺 をIで 割 ることによって 曲 げヤング 6) 係 数 の 推 定 が 可 能 である したがって 今 回 作 成 した 異 樹 種 積 層 材 についても ラミナ の 動 的 ヤング 係 数 から 積 層 材 のヤング 係 数 を 推 定 し その 適 合 性 を 評 価 した EI = ΣEiIi-nn' E: 積 層 材 のヤング 係 数 I : 積 層 材 の 中 立 軸 に 関 する 断 面 2 次 モーメント - 6 -

Ei : 各 層 のヤング 係 数 Ii-nn': 積 層 材 の 中 立 軸 に 関 する 各 層 の 断 面 2 次 モーメント (7) 曲 げ 強 度 試 験 作 成 した 異 樹 種 積 層 材 は 実 大 強 度 試 験 機 ( 前 川 試 験 機 製 作 所 製 )を 用 いて 曲 げ 強 度 試 験 に 供 した 試 験 は 構 造 用 集 成 材 の 日 本 農 林 規 格 5) の 曲 げA 試 験 に 準 拠 して 行 った( 写 真 -3) したがって タイプA~Dについては 荷 重 点 間 スパン720mm 下 部 支 点 間 スパン3240mm タイプE Fについては 荷 重 点 間 スパン600 mm 下 部 支 点 間 スパン2700mmに 設 定 した 集 成 材 は 荷 重 速 度 20mm/ 分 で 材 が 破 壊 するまで 単 調 加 力 し 中 央 部 のたわみ 量 から 曲 げヤング 係 数 を 最 大 荷 重 から 曲 げ 強 さをそれぞれ 算 出 した (8) 接 着 性 能 試 験 写 真 -3 曲 げ 強 度 試 験 の 状 況 スギ-コナラ 接 着 層 における 接 着 性 能 を 評 価 する 目 的 で 積 層 材 とは 別 に 厚 さ15mm 幅 100mm 長 さ500mmのスギ 板 目 板 およびコナラ 板 目 板 を 接 着 させた 接 着 性 能 評 価 用 試 験 体 を6 体 づつ 作 成 し 構 造 用 集 成 材 の 日 本 農 林 規 格 に 従 って 浸 せきはく 離 煮 沸 はく 離 ブロックせん 断 試 験 に 供 した また 曲 げ 試 験 後 の 積 層 材 からも 試 験 片 を 切 り 出 し 同 様 に 浸 せきはく 離 および 減 圧 加 圧 試 験 を 行 った 4 コナラおよびキリ 材 を 用 いた 床 材 (フローリング)の 性 能 評 価 (1) 供 試 材 コナラ 板 目 板 ( 厚 18mm 幅 100mm 長 さ900mm)30 枚 および 会 津 桐 中 小 径 材 ( 末 口 径 18 ~20cm)から 採 材 した 板 材 ( 厚 18mm 幅 60mm 長 さ600mm)60 枚 を 供 試 材 として 用 いた なお コナラ 材 は 人 工 乾 燥 を 行 った 材 を キリ 材 については 室 内 で2カ 月 間 天 然 乾 燥 を 行 ったものを 用 いた (2)コナラ 集 成 フローリングの 作 成 人 工 乾 燥 を 行 ったコナラ 板 目 板 ( 厚 15mm 幅 100mm 長 さ900mm ) および これらを 集 成 化 し 再 割 加 工 した 集 成 材 からフローリングを 作 成 した( 各 10 体 ) 集 成 材 は 前 項 の 幅 はぎラミナの 作 成 手 順 と 同 様 に 行 った(28mm 4PLY ) ただし 縦 つぎは 行 わず 積 層 後 の 再 割 加 工 は18mm 最 終 的 な 仕 上 がり 厚 さは15mmとして モルダーにより 実 加 工 を 行 った また 吸 放 湿 による 寸 法 変 化 に 伴 う 歪 形 化 や 幅 反 りの 発 生 を 低 減 することを 目 的 として 長 さ 方 向 に エンドマッチさせた 状 態 で 接 着 層 において 深 さ 溝 加 工 なし 溝 加 工 ( 片 面 ) 1.5mmの 溝 加 工 を 片 面 もしくは 両 面 に 行 った また 集 成 化 を 行 わない 無 処 理 の 板 目 板 に 対 しても 同 様 に 溝 加 工 を 行 った 作 成 したフローリングの 概 要 図 に ついて 図 -5に 示 す 図 -5 溝 加 工 ( 両 面 ) 溝 深 さ1.5mm フローリングへの 溝 加 工 - 7 -

(3)キリ 材 への 表 面 熱 処 理 キリ 材 への 表 面 熱 処 理 は 2 連 式 の 熱 ロ ールプレス( 菱 明 技 研 製 写 真 -4)を 用 いて 行 った ただし 加 熱 するロールはφ 400mmのみとし φ300mmのロールは 常 温 の まま 材 を 通 過 させた ロール 温 度 は240 260 280 300 の4 条 件 に 設 定 し 試 験 体 数 は1 温 度 条 件 あたり10 体 とした ロー ルの 回 転 速 度 は50cm/ 分 とし 上 下 ロール 間 隔 は17.0mmに 設 定 した 処 理 後 の 材 厚 は 写 真 -4 熱 ロールプレス 約 16.5mm( 圧 縮 量 0.5mm)であった (4)コナラおよびキリフローリングの 寸 法 安 定 性 評 価 作 成 したコナラフローリングについて 20 65%RHの 環 境 下 で45 日 間 調 湿 を 行 った 後 長 さ100mmの 試 験 片 を 切 り 出 した その 後 恒 温 恒 湿 器 内 で40 95%RH 7 日 間 40 30%RH 7 日 間 の 乾 湿 繰 り 返 し 試 験 を 行 い 膨 潤 後 および 乾 燥 後 の 材 幅 について 測 定 を 行 った また キリ 材 については コナラと 同 様 に20 65%RHで1カ 月 以 上 調 湿 を 行 った 後 50 95%RHにおいて 15 日 間 放 置 し 材 幅 方 向 の 膨 潤 率 を 求 めた さらに 材 色 変 化 につ いても 併 せて 測 定 を 行 った (5) 表 面 性 能 評 価 表 面 性 能 評 価 は コナラ 集 成 フローリングおよびキリフローリング( 無 処 理 および300 熱 処 理 ) について 1ブリネル 硬 さ 2 重 錘 落 下 による 衝 撃 によって 得 られる 落 下 痕 ( 傷 ) とその 回 復 性 3GB 反 発 係 数 4 耐 摩 耗 性 について 評 価 を 行 った なお 試 験 体 の 寸 法 は 寸 法 安 定 性 を 評 価 した 試 験 片 と 同 寸 法 のものを 用 いた ブリネル 硬 さはJIS Z 2101に 準 拠 して 1 試 験 片 について12カ 所 測 定 した 衝 撃 強 さは デュポン 衝 撃 試 験 機 ( 東 洋 精 機 製 )を 用 いて 質 量 500gの 重 錘 を 所 定 の 高 さ(100 300 500mm)から1 試 験 体 あたり3カ 所 ずつ 落 下 させ その 落 下 痕 の 深 さをダ イヤルゲージにて 測 定 した 傷 回 復 性 については 重 錘 落 下 による 衝 撃 痕 部 ( 凹 み)に 蒸 留 水 を 約 0.5ml 滴 下 し 140 に 加 熱 した 熱 盤 に 押 し 当 て 1 分 間 保 持 した その 後 室 内 にて24 時 間 放 置 後 再 び 落 下 痕 の 深 さを 測 定 し 回 復 処 理 前 後 の 深 さの 差 を 回 復 量 として 下 式 により 傷 の 回 復 率 を 求 めた 回 復 率 (%)=( 衝 撃 痕 の 深 さの 回 復 量 / 重 錘 落 下 後 の 衝 撃 痕 の 深 さ) 100 8) GB 反 発 係 数 は 日 本 道 路 協 会 発 行 の 舗 装 試 験 法 便 覧 別 冊 ( 暫 定 試 験 方 法 ) を 参 考 に して 平 滑 なコンクリート 上 に 厚 さ12mmの 合 板 を 敷 き その 上 にフローリングを 配 置 して 市 販 のゴルフボール( 規 格 品 )を1mの 高 さから 落 下 させ その 反 発 高 さをGB 係 数 とし て 評 価 した 耐 摩 耗 性 は JIS Z2101に 準 拠 し テーバー 式 摩 耗 試 験 機 ( テスター 産 業 製 ) を 用 いて 500 回 転 後 の 摩 耗 量 を 測 定 した - 8 -

Ⅲ 結 果 と 考 察 1 県 産 広 葉 樹 中 小 径 材 の 材 質 特 性 および 乾 燥 特 性 調 査 (1) 樹 種 別 の 乾 燥 特 性 表 -5に コナラ ホオノキ ミズキについて 人 工 乾 燥 および 天 然 乾 燥 試 験 を 行 った 結 果 について 示 す 30mmの 板 材 における 仕 上 がり 含 水 率 15%( 人 工 乾 燥 は12%)とした 時 の 乾 燥 日 数 ( 時 間 )は 天 然 乾 燥 では コナラ 材 で110 日 間 ホオノキとミズキで91 日 間 を 要 した また 人 工 乾 燥 では コナラ 材 が262 時 間 ホオノキが72 時 間 ミズキが120 時 間 であった 表 -5 樹 種 別 の 乾 燥 試 験 結 果 ()は 標 準 偏 差 を 示 す これらの 結 果 から ホオノキ ミズキについては 比 較 的 短 時 間 で 乾 燥 が 可 能 であると ともに 割 れの 発 生 も 木 口 割 れが 若 干 発 生 する 程 度 であり ややきつめの 乾 燥 であっても 特 に 問 題 が 生 じる 樹 種 ではないと 判 断 された また 収 縮 率 は 幅 方 向 厚 さ 方 向 ともに ほぼ 同 程 度 の 値 であり ミズキ 材 のように 厚 さ 方 向 が 幅 方 向 を 上 回 る 結 果 となったもの も 存 在 した これらは 中 小 径 材 からの 木 取 りであるため 年 輪 の 曲 率 が 大 きいことが 原 因 であると 考 えられる したがって 製 材 時 の 歩 増 寸 法 を 決 定 する 際 にはこの 点 に 留 意 す る 必 要 がある 一 方 コナラ 材 については 初 期 乾 球 温 度 55 乾 湿 球 温 度 差 4 で 前 記 の2 樹 種 に 比 較 して 緩 やかな 人 工 乾 燥 条 件 であるが 割 れや 幅 反 りの 発 生 量 は 大 きく 中 には 落 ち 込 み が 発 生 した 材 も 認 められた それでも 総 乾 燥 時 間 は262 時 間 と 約 11 日 間 を 要 したことから 短 期 間 の 人 工 乾 燥 では 損 傷 の 少 ない 乾 燥 を 行 うことが 困 難 な 材 であることが 示 唆 された 乾 燥 コストや 歩 留 りを 考 慮 すると 天 然 乾 燥 との 組 み 合 わせ 乾 燥 を 行 うことが 一 つの 改 善 策 であると 考 えられた (2) 材 質 特 性 表 -6に 無 欠 点 小 試 験 体 による 曲 げおよび 縦 圧 縮 試 験 の 結 果 について 示 す 6)9)10) 今 回 供 試 した5 樹 種 については 既 往 のデータとの 比 較 において 同 等 以 上 の 結 果 を 得 た また 広 葉 樹 中 小 径 材 に 関 しては 大 径 材 との 比 較 において 強 度 性 能 への 影 響 はほと 8) んどないことが 報 告 されており 今 回 の 試 験 結 果 も 同 様 の 結 果 を 示 した 供 試 した5 樹 種 の 中 では 特 にミズキおよびコナラの 強 度 特 性 が 優 れており コナラについては 平 均 で 2 2 15kN/mm を 超 える 高 い 曲 げヤング 係 数 が ミズキについては 平 均 で57.2N/mm というカシ 類 6) に 匹 敵 する 縦 圧 縮 性 能 が 得 られていた - 9 -

表 -6 無 欠 点 小 試 験 体 による 曲 げおよび 縦 圧 縮 試 験 結 果 図 -5には ブリネル 硬 さ 試 験 の 結 果 に ついて 示 す ブリネル 硬 さは 比 重 の 影 響 が 大 きく 今 回 供 試 下 中 で 比 較 的 高 比 重 であるコナラ やミズキで 高 い 値 を 示 した これらの 樹 種 については 既 往 の 文 献 によるデータが 乏 しいことや 試 験 体 数 が 少 ないことから 定 量 的 な 比 較 を 行 うことはできないが 優 れた 表 面 性 能 が 期 待 できる 結 果 となった また ミズキは 県 内 でもこけし 等 の 工 芸 品 的 図 -5 樹 種 別 のブリネル 硬 さ 利 用 の 他 に 高 い 意 匠 性 を 活 かして 床 材 として 使 われている 事 例 もあり その 用 途 適 正 を 確 認 できる 結 果 であった これまでの 乾 燥 試 験 および 材 質 試 験 の 結 果 から 今 回 調 査 を 行 った 低 位 利 用 広 葉 樹 材 の うち 今 後 利 用 や 技 術 開 発 を 必 要 とする 樹 種 としては 高 い 強 度 性 能 や 表 面 性 能 を 有 し ながら 乾 燥 技 術 や 製 品 開 発 についての 実 績 が 乏 しいコナラ 材 があげられる コナラ 材 は 2) 県 内 の 広 葉 樹 資 源 のうち 約 半 数 を 占 めており 小 径 木 はシイタケ 原 木 としての 需 要 があ るが シイタケ 原 木 の 対 象 外 となる 径 級 については パルプチップ 用 材 としての 利 用 がほ とんどである 利 用 に 際 しては 損 傷 やコストの 少 ない 乾 燥 技 術 の 確 立 による 歩 留 りの 向 上 や 材 質 的 優 位 性 を 考 慮 した 用 途 開 発 が 必 要 と 考 えられる 2 県 産 コナラ 材 の 効 率 的 乾 燥 スケジュールの 検 討 前 項 の 結 果 から コナラ 材 の 乾 燥 については 人 工 乾 燥 のみでは 欠 点 や 損 傷 の 発 生 が 大 きく それらを 抑 制 するためにスケジュールを 緩 慢 にすることは 人 工 乾 燥 時 間 の 長 期 化 が 予 想 され 必 ずしも 有 効 ではないと 判 断 された したがって 乾 燥 コストの 低 減 と 歩 留 りの 向 上 を 目 的 として 天 然 乾 燥 と 人 工 乾 燥 の 組 み 合 わせによる 乾 燥 スケジュールの 検 討 - 10 -

を 行 った 図 -6に 各 試 験 区 ごとの 天 然 乾 燥 期 間 中 における 含 水 率 の 減 少 傾 向 について また 図 -7には 各 乾 燥 工 程 終 了 時 における 仕 上 がり 含 水 率 について 示 す 図 -6 天 然 乾 燥 期 間 中 の 含 水 率 の 減 少 傾 向 図 -7 乾 燥 終 了 時 の 仕 上 がり 含 水 率 天 然 乾 燥 2カ 月 3カ 月 後 の 含 水 率 は それぞれ 平 均 で28.5% 22.3%であり 天 然 乾 燥 2カ 月 でおよそ 繊 維 飽 和 点 付 近 まで 低 下 していた また 天 然 乾 燥 4カ 月 では 平 均 で 17.2%まで 低 下 していたが 天 然 乾 燥 のみで 集 成 材 やフローリングの 日 本 農 林 規 格 足 する 含 水 率 に 仕 上 げるためには さらに 長 期 間 の 乾 燥 が 必 要 であると 思 われる 図 -8には 天 然 乾 燥 2カ 月 3カ 月 後 における 人 工 乾 燥 試 験 中 の 試 験 材 の 含 水 率 の 減 少 傾 向 について 示 す 併 せて 表 -7に 今 回 行 った 乾 燥 試 験 における 乾 燥 歩 留 り 製 品 歩 留 りについて 示 す 天 然 乾 燥 を 前 処 理 に 行 うことで 期 待 される 効 果 は 人 工 乾 燥 時 間 の 短 縮 に 伴 う 乾 燥 コス トの 低 減 および 繊 維 飽 和 点 以 下 の 含 水 率 域 における 適 切 な 温 湿 度 制 御 による 割 れや 狂 いの 発 生 抑 制 である 図 -8から 単 純 に 含 水 率 15% 以 下 となるまでの 人 工 乾 燥 時 間 の 比 較 を 行 えば 天 然 乾 燥 2カ 月 では210 時 間 天 然 乾 燥 3カ 月 では140 時 間 程 度 であると 推 定 さ れる また 前 項 の 乾 燥 モデル 試 験 の 結 果 から 天 然 乾 燥 を 行 わずに 生 材 から 直 接 人 工 乾 燥 を 行 った 場 合 には 300 時 間 以 上 の 乾 燥 時 間 を 要 することが 予 想 されることから 人 工 乾 燥 時 間 の 短 縮 という 点 においては 天 乾 を 併 用 する 効 果 は 高 いといえる 一 方 乾 燥 歩 留 りについては 3 条 件 ともに 大 きな 差 は 認 められなかった この 原 因 と しては 今 回 の 乾 燥 試 験 における 歩 留 りの 低 下 の 要 因 は ほとんどが 割 れの 発 生 によるも のであり これらは 製 材 前 に 丸 太 の 状 態 もしくは 繊 維 飽 和 点 からの 乾 燥 による 収 縮 の 前 に 初 期 割 れとして 発 生 したものが 多 かったためと 考 えられる ただし 割 れの 発 生 によ って 応 力 が 開 放 されることにより 逆 に 曲 がりやねじれの 発 生 が 減 少 した 可 能 性 もあり 歩 留 りへの 影 響 についてはその 効 果 を 明 確 にすることはできなかった 11) を 満 - 11 -

表 -7 各 乾 燥 別 の 乾 燥 製 品 歩 留 り 図 -8 人 工 乾 燥 期 間 中 の 試 験 材 の 含 水 率 いずれにしても 最 終 的 に 原 木 からの 製 品 歩 留 りは 2 割 程 度 にとどまっていることか ら コナラ 材 の 乾 燥 歩 留 りを 向 上 させるためには 更 に 特 殊 な 乾 燥 方 法 や 前 処 理 方 法 につ いての 検 討 が 必 要 である 3 スギ-コナラ 異 樹 種 積 層 材 の 性 能 評 価 (1)コナララミナの 強 度 分 布 コナラ-スギの 異 樹 種 間 による 集 成 化 の 試 みは 後 藤 らによる 報 告 例 12)13) があり 高 い 曲 げ 性 能 を 有 する 材 料 の 作 成 が 可 能 であることが 明 らかにされている しかし 高 い 曲 げ 性 能 を 必 要 とする 横 架 材 レベルでの 性 能 評 価 は 行 われていない また 中 断 面 集 成 材 ま で 利 用 が 可 能 で ホルムアルデヒドを 含 まない 水 性 高 分 子 系 イソシアネート 系 接 着 剤 を 用 いた 場 合 の 強 度 性 能 や 接 着 性 能 の 適 合 性 について 以 下 の 試 験 を 実 施 した 図 -9には 生 材 時 および 乾 燥 後 のコナララミナの 動 的 ヤング 係 数 ( 以 下 :Efr)の 分 布 について 示 す 生 材 時 のEfrの 平 均 値 は 14.52GPaと 高 い 値 を 示 し 無 欠 点 小 試 験 体 の 試 験 結 果 と 同 様 に コナラ 材 が 高 い 曲 げヤング 係 数 を 有 することが 確 認 された また 乾 燥 後 のEfrの 平 均 値 は15.97GPaで1 割 程 度 増 加 した 乾 燥 後 におけるラミナの 機 械 等 級 区 分 結 果 では L140 以 上 のラミナの 出 現 割 合 は84.6%であり L160 以 上 でも47.2%と 約 半 数 を 占 める 結 果 となった 最 外 層 にL140 L160のラミナが 用 いられる 異 等 級 対 称 構 成 の 構 造 用 集 成 材 は E120-F330 E135-F375レベルであり これらの 結 果 から 現 在 中 断 面 集 成 材 として 利 用 されている ホワイトウッドやレッドウッド 集 成 材 と 同 等 以 上 の 強 度 性 能 を 有 する 積 層 材 の 作 成 が 可 能 であることが 示 唆 された - 12 -

図 -9 コナララミナの 動 的 ヤング 係 数 (Efr)の 分 布 (2)コナララミナの 引 張 試 験 コナラ 材 は 高 い 曲 げ 強 度 特 性 を 有 するが 針 葉 樹 等 に 比 べて 通 直 ではなく 乾 燥 によ る 損 傷 の 発 生 も 多 いことから 長 尺 ラミナの 作 成 は 事 実 上 困 難 であり 構 造 材 としての 利 用 においては 縦 つぎが 必 要 となる しかし 縦 つぎ 材 を 最 外 層 へ 配 置 した 場 合 には 縦 つ ぎ 部 からの 破 壊 が 生 じることが 予 想 されるため 曲 げ 剛 性 とともに 引 張 強 度 が 確 保 でき ているか 確 認 する 必 要 がある 特 に 接 着 部 分 における 強 度 が 木 材 の 引 張 強 さを 下 回 る 場 合 には コナラ 材 が 高 い 引 張 強 さを 有 しても 強 度 性 能 の 上 昇 にはつながらない 可 能 性 も 考 えられる 表 -8にラミナの 引 張 試 験 の 結 果 について 示 す 表 -8 コナララミナの 引 張 試 験 結 果 引 張 強 さの 平 均 値 は 縦 つぎを 行 っていないラミナで69.4N/mm 2 縦 つぎ(FJ)ラミ 2 2 ナで45.5N/mm 幅 はぎラミナで55.3N/mm であった 今 回 引 張 試 験 に 供 したラミナは 構 造 用 集 成 材 の 日 本 農 林 規 格 におけるL140 L160に 区 分 され 引 張 強 さの 基 準 値 ( 平 均 値 ) 2 2 は それぞれ32.0N/mm (L140) 37.5N/mm (L160)であるが 縦 つぎラミナ 幅 はぎラ ミナともに 上 回 る 結 果 となった しかし 縦 つぎラミナにおいては バラツキが 大 きく 2 基 準 値 を 下 限 値 (L140の 場 合 24.0N/mm )とした 場 合 には 基 準 を 満 たさない 結 果 となっ た 一 方 幅 はぎラミナにおいては 縦 つぎラミナと 比 較 してバラツキが 小 さく 最 小 値 においても 基 準 値 を 上 回 る 結 果 が 得 られた FJ 分 散 ラミナについては スギを 用 いた 場 合 縦 つぎを 行 わない 通 しラミナと 同 等 の 引 張 性 能 を 得 られることが 報 告 されており 14) - 13 -

コナラにおいても 同 様 に 引 張 強 さの 向 上 効 果 が 期 待 できるものと 思 われる (3)スギ-コナラ 異 樹 種 積 層 材 の 曲 げ 強 度 性 能 作 成 した 異 樹 種 積 層 材 のタイプ 別 の 曲 げ 試 験 結 果 について 表 -9に 示 す いずれの 積 層 材 も 想 定 したヤング 係 数 および 基 準 強 度 を 上 回 る 結 果 となり 構 造 用 集 成 材 としての 規 格 では 認 められない 中 間 層 と 最 外 層 の 強 度 差 が 大 きい 構 成 や 針 葉 樹 と 広 葉 樹 という 異 樹 種 構 成 でも 曲 げ 強 度 性 能 に 関 しては 想 定 した 強 度 が 得 られるものと 判 断 された 表 -9 スギ-コナラ 異 樹 種 積 層 材 の 強 度 性 能 また 各 構 成 別 の 曲 げ 強 さについて 比 較 を 行 うと TYPE AやTYPE Eのように 最 外 層 コ ナラ 縦 つぎラミナが 配 置 されたものは 全 て 最 外 層 フィンガー 部 から 破 壊 が 生 じており 曲 げ 強 さのバラツキが 大 きくなることが 予 想 された また コナラを 中 間 層 に 配 置 したTY PE BやTYPE Cについては コナラによる 剛 性 の 向 上 と 最 外 層 のスギラミナによる 靭 性 の 向 上 により スギ 異 等 級 集 成 材 の 最 高 等 級 と 考 えられる TYPE D(E95-F270)に 匹 敵 する 曲 げヤング 係 数 と 曲 げ 強 さが 得 られていた 図 -10には 異 樹 種 積 層 材 (スギ 中 断 面 集 成 材 TYPE Dは 除 く)における 等 価 曲 げ 剛 性 に よる 曲 げヤング 係 数 ( 計 算 値 )と 実 測 の 曲 げヤング 係 数 との 関 係 について 示 す 両 者 の 間 には 高 い 相 関 が 認 められた この 結 果 からも 異 樹 種 構 成 であっても 打 撃 法 によるグレ ーディングで 通 常 の 集 成 材 と 同 様 の 断 面 設 計 がほぼ 可 能 であるといえる ただし 若 干 ではあるが 実 測 値 が 計 算 値 を 下 回 る 傾 向 があった この 原 因 は 実 測 の 曲 げヤング 係 数 が せん 断 の 影 響 を 含 むことが 原 因 であると 考 えられるが 異 樹 種 間 接 着 の 影 響 の 有 無 につい ては 更 に 検 討 する 必 要 があるものと 思 われる - 14 -

16 ( 実 測 の 曲 げヤング 係 数 (kn/mm 14 12 10 8 77.5%であった これらは 後 藤 らが 行 っ たレゾルシノール 樹 脂 接 着 剤 を 用 いた 結 果 12) とほぼ 同 様 の 傾 向 を 示 し 特 に 問 題 のな いものであった 表 -11には 作 成 した 積 層 材 における 接 着 性 能 試 験 の 結 果 について 示 す 浸 せきは く 離 試 験 は1 回 のみの 結 果 であるが 予 備 試 験 の 結 果 とは 異 なり 基 準 を 満 たさない 試 験 体 があった これらは 全 てがスギ-コ ナラ 間 におけるはく 離 だけでなく スギy = 0.8444x + 1.3622 R 2 = 0.9457 8 10 12 14 16 等 価 断 面 法 による 曲 げヤング 係 数 (kn/mm 2 ) TYPE A TYPE B TYPE C TYPE E TYPE F 図 -10 等 価 断 面 法 による 曲 げヤング 係 数 と 実 測 値 との 関 係 (4)スギ-コナラ 間 における 接 着 性 能 表 -10には スギ-コナラ 間 における 接 着 性 能 試 験 ( 浸 せきはく 離 煮 沸 はく 離 ブロ ックせん 断 試 験 )の 結 果 について 示 す 表 -10 スギ-コナラ 接 着 層 における 接 着 性 能 試 験 結 果 浸 せきはく 離 試 験 の 結 果 一 回 目 の 試 験 には 全 ての 試 験 片 が 合 格 基 準 を 満 たしていたが 2 回 目 3 回 目 の 繰 り 返 しによって はく 離 率 は 増 大 する 結 果 となった また 煮 沸 はく 離 試 験 については 全 ての 試 験 片 で 接 着 層 のはく 離 が 発 生 し 合 格 基 準 を 満 足 することができなかった ブロックせん 断 試 験 については せん 断 2 強 さは 12.8N/mm 木 部 破 断 率 は 平 均 で 表 -11 積 層 材 の 接 着 性 能 試 験 結 果 - 15 -

コナラ 間 の 接 着 層 に 隣 接 したスギ-スギ 接 着 層 が 引 っ 張 られるようにはく 離 または 接 着 層 付 近 で 木 部 破 壊 したものも 認 められた また 前 述 した 予 備 試 験 の 結 果 をふまえ 煮 沸 はく 離 試 験 はクリアできないことが 予 想 されたことから 本 試 験 では 熱 による 影 響 が 少 ない 減 圧 加 圧 試 験 を 採 用 したが 結 果 は 煮 沸 はく 離 と 同 様 に スギ-コナラ 積 層 材 につい ては ほとんどが 不 合 格 という 結 果 であった これらのことから はく 離 の 原 因 はスギ- コナラ 間 の 膨 潤 率 の 差 によるものであることが 示 唆 された スギ-コナラ 間 における 接 着 性 能 の 問 題 は スギ-コナラを 積 層 して 構 造 材 への 利 用 を 図 る 場 合 の 課 題 の 一 つであると 言 えるが 現 行 の 日 本 農 林 規 格 の 評 価 方 法 によって 基 準 を 満 たすことは 困 難 であると 思 われる 4 コナラおよびキリ 材 を 用 いた 床 材 (フローリング)の 性 能 評 価 (1) 桐 材 への 表 面 熱 処 理 による 材 色 表 面 性 状 変 化 と 寸 法 安 定 性 への 影 響 ロールプレスは 木 材 の 表 面 を 選 択 的 に 圧 縮 または 熱 処 理 することが 可 能 であり その 16) 構 造 や 加 工 技 術 についての 研 究 は 数 多 く 実 施 されているものの キリ 材 に 適 用 した 研 究 はほとんどない * 図 -11 写 真 -5にキリ 材 における 表 面 熱 処 理 前 後 の 材 の 明 度 ( L ) 変 化 について 示 す ロール 熱 処 理 を 行 うことによって 材 色 は 暗 色 化 した 処 理 温 度 を 増 加 させるほどその 傾 向 は 顕 著 であった また 熱 処 理 を 行 うことによって 早 晩 材 の 色 調 が 明 確 となるととも 図 -11 ロール 熱 処 理 前 後 の 明 度 の 変 化 写 真 -5 処 理 温 度 別 の 表 面 熱 処 理 材 に 表 面 に 凹 凸 が 生 じ うづくり 処 理 を 施 したような 表 面 性 状 を 示 した 図 -12には 表 面 粗 さ 計 による 無 処 理 材 と 300 処 理 材 の 表 面 粗 さプロファイル 図 に ついて 示 す 図 に 示 すように ロール 熱 処 理 材 においては 表 面 の 凹 凸 が 現 れているのが わかる これらは 熱 ロール 加 工 の 特 徴 であり 通 常 の 焼 き 桐 加 工 等 で 行 われる 研 磨 工 程 を 行 わなくとも 類 似 した 表 面 性 状 への 加 工 が 可 能 であることがわかった( 写 真 -6) なお 撥 水 性 能 についても 表 面 に 水 を 滴 下 した 時 の 状 況 から 明 らかに 上 昇 しており 塗 装 工 程 の 簡 略 化 も 期 待 できるものと 考 えられる( 写 真 -7) - 16 -

図 -12 ロール 表 面 熱 処 理 におけるキリ 材 の 表 面 粗 さ(うねり)のプロファイル 図 写 真 -6 ロール 熱 処 理 を 行 った 桐 フローリングの 試 作 品 ( 上 段 :300 処 理 下 段 240 処 理 ) 写 真 -7 表 面 熱 処 理 材 の 撥 水 性 ( 左 無 処 理 右 300 処 理 ) また 図 -13には 50 95%RHの 環 境 下 における 幅 方 向 の 膨 潤 率 について 示 す 幅 方 向 の 膨 潤 率 は 無 処 理 材 においても1% 程 度 であり 十 分 に 小 さいが 熱 処 理 材 では 処 理 温 度 の 上 昇 に 伴 って 低 下 傾 向 を 示 し 幅 方 向 の 寸 法 安 定 性 がさらに 向 上 した これは 熱 処 理 による 影 響 と 表 層 部 がセットまたは 固 定 されることによって 幅 方 向 の 膨 潤 に 対 して 拘 束 力 が 働 いたことによるものと 推 定 される 図 -13 ロール 熱 処 理 を 行 った 桐 材 図 -14 高 温 多 湿 条 件 下 における の 材 幅 方 向 の 膨 潤 率 (50,95%RH) 材 色 変 化 (50,95%RH) さらに 図 -14には 50 95%RHの 環 境 下 における 材 色 の 経 時 変 化 について 示 す - 17 -

今 回 の 表 面 熱 処 理 に 用 いた 桐 材 は 室 内 で2カ 月 間 天 然 乾 燥 を 行 ったものであり 特 に 天 然 暴 露 等 の 渋 抜 き 処 理 を 行 っていないが ロール 熱 処 理 材 は 表 面 が 高 温 による 熱 履 歴 を 受 けているため 結 果 として 桐 材 を 利 用 する 上 で 問 題 とされる 高 温 高 湿 条 件 における 材 色 変 化 は 小 さくなった この 結 果 は 処 理 温 度 を 高 くするほど 小 さくなる 傾 向 があり 高 温 で 当 該 処 理 を 行 う 場 合 においては 渋 抜 き 工 程 を 省 略 できる 可 能 性 を 有 するものと 考 えられる 過 去 の 報 告 においても 桐 材 を 燻 煙 熱 処 理 することによって 明 度 の 低 下 が 生 じ 15) るものの その 後 の 材 色 変 化 が 抑 制 できることが 明 らかにされており 今 回 もこれに 類 似 した 効 果 が 得 られたものと 考 えられる ただし この 効 果 を 明 確 なものとするには 変 色 の 原 因 とされる 抽 出 成 分 ( 渋 )の 量 の 影 響 や 伐 採 後 や 天 然 乾 燥 の 履 歴 をふまえた 上 で 詳 細 な 検 討 が 必 要 であるとともに さらに 長 期 にわたる 評 価 が 必 要 である (2)コナラ 集 成 フローリングの 寸 法 安 定 性 コナラ 材 は 高 比 重 であるため 吸 放 湿 に 伴 う 寸 法 変 化 が 大 きく 床 材 としての 利 用 に 際 しては 特 に 幅 方 向 の 寸 法 変 化 が 大 きい 場 合 に 施 工 後 の 収 縮 膨 潤 による 問 題 が 生 じ る 可 能 性 があり さらに 幅 ぞり(カップ)の 発 生 も 問 題 となることが 予 想 される 集 成 化 の 目 的 は 幅 方 向 に 寸 法 変 化 の 少 ない 半 径 方 向 を 意 図 的 に 配 置 することで 寸 法 変 化 を 抑 制 することと 幅 反 りの 発 生 を 抑 制 することである また 溝 加 工 は 表 面 から の 吸 放 湿 に 伴 う 短 期 的 な 表 層 部 における 膨 潤 収 縮 による 寸 法 変 化 や 反 りの 発 生 さらに 接 着 層 における 歪 形 化 を 抑 制 する 効 果 を 期 待 したものである 表 -12には コナラ 集 成 フローリングと 無 垢 フローリングにおける 乾 湿 繰 り 返 しによる 材 幅 方 向 の 寸 法 変 化 率 と 幅 反 りの 発 生 量 について 示 す 寸 法 変 化 率 は 集 成 フローリング において 無 垢 のフローリングよりも3 割 程 度 小 さい 値 を 示 した また 幅 ぞりの 発 生 量 に ついても 小 さい 値 となっており 集 成 化 の 効 果 が 認 められた また 集 成 化 フローリング においては 両 面 に 溝 加 工 を 行 うことによって 接 着 層 端 部 における 歪 形 化 が 抑 制 されると ともに( 写 真 -8) 幅 ぞりの 発 生 量 も 減 少 した なお 乾 湿 繰 り 返 しによる 接 着 層 のは く 離 は 溝 加 工 の 有 無 に 関 わらず 認 められなかった 表 -12 コナラフローリングの 乾 湿 繰 り 返 しによる 寸 法 変 化 - 18 -

これらの 結 果 から 集 成 化 や 溝 加 工 によって 寸 法 安 定 性 をある 程 度 向 上 させることが 可 能 であると 考 えられた ただし この 効 果 は 集 成 化 を 行 う 材 料 を 木 取 り( 板 目 )によ り 選 択 した 結 果 でもあり 特 に 中 小 径 材 の 利 用 という 点 においては 材 料 の 選 別 や 集 成 化 や 溝 加 工 を 行 うことで 更 なる 歩 留 りの 低 下 やコストの 増 大 は 避 けられず 現 状 採 算 コストに 見 合 う 加 工 方 法 とは 言 い 難 いもの である 今 後 コナラ 材 の 活 用 を 図 る 場 合 には 無 垢 材 でも 利 用 可 能 な 寸 法 変 化 を 許 容 でき る 施 工 方 法 の 検 討 や それを 実 証 する 可 能 性 試 験 を 行 う 必 要 があると 思 われる 写 真 -8 溝 加 工 による 歪 形 化 の 低 減 (3)コナラおよびキリフローリングの 表 面 性 能 の 比 較 これまでに コナラ 材 とキリ 材 という 物 性 の 極 端 に 異 なる 材 料 について 同 じ 床 材 料 と しての 付 加 価 値 向 上 のための 加 工 方 法 の 検 討 や 寸 法 安 定 性 評 価 を 行 ってきた 床 材 において 表 面 性 能 は 重 要 な 評 価 因 子 であり 従 来 傷 が 付 きにくい 硬 い 木 材 が 用 いら れることが 多 かったが 最 近 では キリ 材 はフローリングとして 数 多 く 活 用 されており 衝 撃 吸 収 性 や 傷 回 復 性 がPRされている しかしながら それらを 数 値 化 して 評 価 した 事 例 はほとんどない したがって 硬 質 な 材 料 (コナラ)と 軟 質 な 材 料 (キリ) さらに 表 面 を 改 質 した 材 料 (キリ 表 面 熱 処 理 材 )における 特 性 を 明 確 にする 目 的 で 表 面 性 能 を 種 々の 評 価 方 法 により 比 較 した 表 -13には 表 面 性 能 の 評 価 結 果 (ブリネル 硬 さ 傷 回 復 性 衝 撃 吸 収 性 耐 摩 耗 性 ) についてそれぞれ 示 す 表 -13 表 面 性 能 試 験 結 果 硬 さについては コナラ 材 とキリ 材 において3 倍 以 上 の 差 があり 重 錘 の 落 下 衝 撃 によ る 傷 の 深 さにおいても コナラ 材 とキリ 無 処 理 材 では いずれの 落 下 高 さにおいても2~ 3 倍 の 差 が 生 じていた しかし 回 復 処 理 後 の 傷 深 さについては 両 者 の 差 は 落 下 衝 撃 時 と 比 較 して 格 段 に 少 なくなった また 回 復 率 でみてもコナラ 材 の 値 を 上 回 っており こ のことは キリの 高 い 傷 回 復 性 を 裏 付 ける 結 果 と 言 える 表 層 部 の 傷 や 凹 みに 関 しては 簡 便 なメンテナンスにおいて 修 復 可 能 となる 場 合 などを 考 慮 して 総 合 的 な 評 価 を 行 うこと で キリのように 軟 質 で 傷 が 付 きやすいという 欠 点 を 補 填 できる 樹 種 が 存 在 するものと 思 われる 衝 撃 吸 収 性 についても キリ 無 処 理 材 のGB 係 数 は18.7であり コナラ 材 の1/3の 値 で あった また 表 面 熱 処 理 材 では 無 処 理 材 と 比 較 してGB 係 数 が 増 大 した この 原 因 とし ては 熱 処 理 材 では 表 層 部 がわずかに 圧 密 化 されており その 比 重 が 高 くなった 表 層 部 の - 19 -

影 響 が 大 きかったものと 思 われる 元 来 この 試 験 方 法 は 舗 装 材 に 適 用 されているもので あり 内 装 材 としての 衝 撃 吸 収 性 について 試 みられた 事 例 はない 今 回 の 試 験 結 果 からは 表 層 部 の 影 響 が 大 きいことが 予 想 され 表 層 部 と 内 層 部 の 衝 撃 吸 収 性 が 異 なる 材 料 につい ての 評 価 に 関 しては その 妥 当 性 を 含 めて 今 後 の 検 討 が 必 要 である また 耐 摩 耗 性 については コナラ 材 とキリ 材 では 摩 耗 量 として 約 4 倍 の 差 があった 当 然 であるが 下 足 歩 行 等 を 考 慮 する 場 合 には 硬 質 な 材 の 施 工 は 必 須 であると 思 われる このように 床 材 としての 表 面 性 能 については 近 年 求 められるニーズの 多 様 化 を 考 慮 すると 衝 撃 吸 収 性 等 従 来 よりも 多 手 法 による 総 合 的 な 評 価 を 行 うことで その 材 料 の 特 性 を 明 確 にすることが 可 能 と 考 えられ 利 用 の 際 の 材 料 選 択 を 行 う 上 での 判 断 材 料 とも 成 り 得 る 今 回 行 った 衝 撃 吸 収 性 や 傷 回 復 性 についての 評 価 手 法 は 簡 便 性 を 重 視 したもの であり 床 材 としての 評 価 に 対 する 妥 当 性 や 詳 細 な 差 を 評 価 する 際 の 有 効 性 は 必 ずしも 明 確 であるとは 言 えないが 数 値 による 差 別 化 を 行 うに 際 して ある 程 度 の 比 較 を 行 うこ とは 十 分 可 能 であると 判 断 される 今 回 行 った 評 価 以 外 にも 内 装 材 の 接 触 温 冷 感 等 の 感 17) 覚 的 評 価 についても 詳 細 に 数 値 化 を 試 みた 報 告 例 もあり 床 材 に 限 らず 今 後 内 装 材 と しての 評 価 を 行 う 上 で これらの 評 価 方 法 の 重 要 性 は 増 していくものと 思 われる Ⅳ おわりに これまでに 低 位 利 用 広 葉 樹 材 について 主 にコナラ 材 およびキリ 材 を 対 象 として 乾 燥 技 術 や 高 付 加 価 値 化 技 術 の 検 討 を 行 って 来 た 結 果 を 以 下 に 示 す (1) 県 内 における 広 葉 樹 中 小 径 材 の 利 用 実 績 や 蓄 積 等 を 考 慮 し コナラ ミズキ ホオノ キ クリ キリを 対 象 として 材 質 特 性 を 調 査 した 結 果 特 にミズキ コナラ 材 の 強 度 性 能 および 表 面 性 能 が 優 れていることを 確 認 した (2) 高 い 強 度 特 性 を 有 するコナラ 材 の 有 効 利 用 を 図 るため 乾 燥 手 法 についての 検 討 を 行 った その 結 果 天 然 乾 燥 を 併 用 することで 人 工 乾 燥 時 間 の 短 縮 が 図 られるものの 乾 燥 歩 留 りについては 天 然 乾 燥 のみの 場 合 との 比 較 において 優 位 性 は 得 られなかった 製 品 歩 留 りは2 割 程 度 であり コナラ 材 の 建 材 としての 利 用 においては 乾 燥 歩 留 りを 向 上 させることが 必 要 であり 現 行 の 乾 燥 手 法 によって 歩 留 りの 大 きな 向 上 を 図 ることは 困 難 であることが 予 想 された (3) コナラ 材 の 高 い 強 度 性 能 を 活 かして スギとの 異 樹 種 積 層 材 としての 利 用 を 試 み コ ナラ 縦 継 ぎ 幅 はぎラミナの 引 張 強 度 や 異 樹 種 積 層 材 の 曲 げ 強 度 特 性 について 性 能 評 価 を 行 った その 結 果 コナラ 材 の 配 置 や 断 面 構 成 によらず 想 定 した 曲 げ 強 度 はほぼ 確 保 さ れており 等 価 曲 げ 剛 性 によるヤング 係 数 の 推 定 も 可 能 であることがわかった しかし コナラ-スギ 間 の 接 着 性 能 において 構 造 用 集 成 材 の 日 本 農 林 規 格 における 基 準 を 満 たす ことはできず 接 着 性 能 の 評 価 方 法 を 含 めて 改 善 の 余 地 を 残 した (4) コナラ 材 の 高 い 表 面 性 能 を 活 かし 床 材 として 利 用 するために 寸 法 安 定 化 の 手 法 と して 集 成 化 による 幅 方 向 の 膨 潤 率 の 低 下 や 溝 加 工 における 歪 形 化 や 幅 ぞりの 低 減 につ いて ある 程 度 の 効 果 が 得 られることが 確 認 できた (5) キリ 材 のロールプレスによる 表 面 熱 処 理 について 検 討 した 結 果 表 面 熱 処 理 を 行 うこ とで 表 面 性 状 や 寸 法 安 定 性 において 新 たな 付 加 価 値 の 付 与 が 可 能 であることがわかった さらに 表 面 性 能 の 評 価 に 際 して 衝 撃 吸 収 性 や 傷 の 回 復 性 を 考 慮 した 評 価 方 法 につい - 20 -

て 試 みた 結 果 キリ 材 の 高 い 衝 撃 吸 収 性 を 数 値 により 評 価 することが 可 能 であることを 見 いだした しかしながら 今 回 行 ったいずれの 加 工 技 術 についても 実 用 化 に 際 しては 製 造 コス トや 製 品 歩 留 りについて 課 題 を 残 す 結 果 となった 材 料 の 欠 点 を 補 うための 性 能 向 上 によ る 高 付 加 価 値 化 を 図 るよりも 加 工 を 最 小 限 にして その 樹 種 が 元 来 もつ 材 料 的 優 位 性 を 実 際 の 使 用 環 境 に 則 して 適 切 に 評 価 した 上 で 実 施 工 による 事 例 を 通 して 施 工 方 法 など に 改 善 点 を 見 いだしていくことが 低 位 利 用 材 の 活 用 のためには 必 要 な 課 題 であると 考 え られる Ⅴ 引 用 文 献 1) 福 島 県 農 林 水 産 部 : 平 成 16 年 福 島 県 森 林 林 業 統 計 書 ( 平 成 15 年 度 ) 2) 福 島 県 農 林 水 産 部 : 広 葉 樹 林 整 備 指 針 ( 平 成 5 年 7 月 ) 3) 遠 藤 啓 二 郎 高 橋 宏 成 : 福 島 県 林 業 試 験 場 業 務 報 告,76-77, 第 30 号,1997 4) 寺 沢 真 著 木 材 乾 燥 のすべて : 海 青 社,394-407 5) 日 本 合 板 検 査 会 : 構 造 用 集 成 材 の 日 本 農 林 規 格 改 平 15.2 6) 林 知 行 ほか: 材 料,373-378,(51),2002 7) 森 林 総 合 研 究 所 監 修 木 材 工 業 ハンドブック( 改 訂 4 版 ) : 丸 善,P194-195 8) 日 本 道 路 協 会 : 舗 装 試 験 法 便 覧 別 冊 ( 暫 定 試 験 方 法,1996 9) 吉 田 孝 久 ほか: 長 野 県 林 試 研 究 報 告,13-20 第 3 号,1987 10) 吉 田 孝 久 ほか: 長 野 県 林 試 研 究 報 告,21-39, 第 7 号,1993 11) 日 本 合 板 検 査 会 : フローリングの 日 本 農 林 規 格 改 平 15.2 12) 後 藤 崇 志 ほか: 島 根 県 林 業 技 術 センター 研 究 報 告,11-20,(52),2001 13) 後 藤 崇 志 ほか: 林 野 庁 大 型 プロジェクト 研 究 成 果,167-175,2004 14) 橋 爪 丈 夫, 吉 田 孝 久 : 長 野 県 林 業 総 合 センター 研 究 報 告,40-47, 第 15 号,2001 15) 例 えば 金 山 公 三 : 木 材 工 業 通 信,1-9,16(2),1998 16) 石 栗 太 : 宇 都 宮 大 学 農 学 部 演 習 林 報 告,60-65, 第 39 号,2003 17) 小 畑 良 洋 ほか: 木 材 学 会 誌,132-136,46(2),2000-21 -