Microsoft Word - スタンプ、ポイントカード活性化のヒント

スタンプ ポイントカード 活 性 化 のヒント 東 北 ジャイロ 流 通 研 究 所 小 柳 剛 照

1 スタンプの 意 義 1)スタンプ 誕 生 の 背 景 商 業 の 世 界 では 大 が 小 を 圧 倒 する という 傾 向 が 長 期 にわたって 続 いています さらに 郊 外 へ の 大 型 店 の 相 次 ぐ 進 出 で 大 が 小 を 圧 倒 する 傾 向 はさらに 顕 著 になりました 対 照 的 に 小 さな 店 の 集 積 である 商 店 街 には 来 街 者 が 減 少 し 空 き 店 舗 が 目 立 つようになっています そのため 商 店 街 では 後 継 者 不 足 業 績 低 迷 などの 悩 みが 日 常 的 に 語 られるのが 実 情 です 零 細 商 店 は 品 揃 えでは 大 型 店 にかないません 価 格 競 争 を 量 販 店 と 展 開 したら そ れこそ 自 滅 しかねません そこで あまりお 金 をかけず 小 さな 店 でもできるサービス 手 段 として 考 案 されたのが スタンプ 事 業 でした 方 法 としては シャチハタ 印 鑑 やゴム 印 を 押 していくスタンプカード 方 式 と シール を 台 紙 に 貼 る 方 式 があります でもここでは 双 方 を 併 せて スタンプ 事 業 という 表 現 で 統 一 することにします スタンプ 事 業 は 最 寄 品 業 種 にルーツがあります 最 寄 品 とは 消 費 者 が 普 段 の 暮 らしに 必 要 な 商 品 で できれば 近 くの 店 で 買 えればありがたい と 思 う 商 品 たとえば 青 果 鮮 魚 精 肉 のいわゆる 生 鮮 三 品 それに 豆 腐 や 惣 菜 などが 真 っ 先 にあげられます これらの 商 品 は 一 回 あたりの 購 入 単 価 は 低 くても 頻 繁 に 利 用 してもらえる という ところが 特 徴 の 業 種 です さて 顧 客 のことを 英 語 では customer といいます customer の custom とは 習 慣 ということ つまり 店 を 訪 れて 買 い 物 するのを 習 慣 にしている 消 費 者 が 顧 客 です 一 度 の 購 入 金 額 は 安 くても 毎 日 買 い 物 をしてくれるのは ありがたいこと そういう 方 たちへのサービスとして スタンプが 誕 生 したものです 2

一 度 の 買 い 物 金 額 は 少 なくても その 都 度 スタンプがもらえるというサービスがあれ ば 毎 日 の 買 い 物 ごとにスタンプは 次 第 にたまっていきます いわば ちりも 積 もれば 山 となる 効 果 といえます つまりスタンプは お 客 様 の 来 店 頻 度 を 高 める 上 で 効 果 があると 期 待 できるものです また スタンプがたまることが 楽 しくなってくれば もう 少 し 余 分 に 買 って もっと スタンプをもらいたい という 欲 求 も 生 まれてくるでしょう たとえば 100 円 でスタン プ 1 枚 とすれば 180 円 の 買 い 物 ではスタンプは 1 枚 だけ それなら 20 円 ちょっと 買 い 物 を 増 やせば スタンプが2 枚 もらえるということに 気 づくでしょう それは 消 費 者 も うれしいし 店 にとってもうれしいこと だからスタンプは 売 る 側 も 買 う 側 も 関 係 者 がみんなうれしくなるシステムなのです 3

2)スタンプ 事 業 の 広 がり 小 規 模 店 でも 実 施 可 能 な 手 法 としてスタンプが 注 目 され 最 寄 品 店 以 外 の 業 種 もやってみようと いう 意 欲 が 高 まりました そこで 衣 類 生 活 用 品 家 電 製 品 等 消 費 者 が 品 定 めのため 数 店 を 見 て 歩 くような 買 い 回 り 品 業 種 の 店 も スタンプに 挑 戦 するようになりました 買 い 回 り 品 の 店 は 消 費 者 が 毎 日 買 い 物 する 店 ではありません でもスタンプを 実 施 すれば 確 実 にメリットが 生 まれます それは 1 最 寄 品 より 買 い 物 額 が 大 きいのが 一 般 的 なので 消 費 者 は 買 い 物 の 際 たくさんのス タンプがもらえます たくさんのスタンプがもらえれば 大 きな 満 足 感 が 生 まれます すると 消 費 者 をひきつける 力 が 強 くなり お 買 い 物 を 促 進 する 効 果 が 発 揮 されるこ とになります 2 スタンプを 実 施 していることで スタンプを 実 施 していない 店 との 差 別 化 が 図 られま す 3 スタンプがたくさんもらえる 店 という 評 判 が 広 がれば 従 来 の 商 圏 外 から 訪 れる お 客 が 増 える 可 能 性 が 生 まれます つまり 自 店 の 商 圏 が 広 がることになります これらの 効 果 が 期 待 できることから 買 い 回 り 品 の 店 も 積 極 的 にスタンプ 会 に 加 わる ようになりました その 結 果 各 地 のスタンプ 会 とも 多 くの 業 種 がそろうことで 消 費 者 の 多 様 な 買 い 物 やサービス 需 要 に 応 えられるようになっていきました 4

消 費 者 にとっては 野 菜 を 買 うのも 洋 服 を 買 うのも 買 い 物 は 買 い 物 です 何 を 買 っ ても どんなサービスにも お 金 を 払 うごとにスタンプがもらえれば 消 費 者 はありがた いと 感 じます こうして 各 地 にスタンプ 会 が 生 まれていったものです しかし 現 状 では 売 り 上 げ 低 迷 に 陥 っているスタンプ 会 が かなりの 数 にのぼります 特 に 参 加 店 が 物 販 中 心 の 場 合 それが 顕 著 に 表 れているようです では 物 販 中 心 の スタンプ 事 業 は なぜ 伸 び 悩 むようになるのでしょうか 消 費 者 にとっては まちに 出 かける という 際 お 金 を 使 うのは 商 店 での 買 い 物 だけと いうことはありません 飲 食 店 での 食 事 クリーニングの 依 頼 散 髪 タクシー 乗 車 等 サービス 関 連 での 支 出 を 伴 うことも 結 構 あります もしもそれらの 業 種 がスタンプ 会 に 加 盟 していないとすると 消 費 者 にとっては スタンプをくれる 店 もあるけど くれない 店 もある ということが 不 満 として 心 に 蓄 積 していきます するとどうしても スタンプ の 満 足 度 が 低 下 することは 避 けられません したがって スタンプ 会 の 運 営 には 商 圏 内 のほとんどの 業 種 を 網 羅 するということが 大 きな 目 標 というになります 現 状 を 見 ると 全 国 の 多 くのスタンプ 会 が 物 販 中 心 の 運 営 というのが 実 情 できればサービス 業 種 の 加 入 を 促 進 して まちのどの 店 でもスタンプ がもらえる という 体 制 確 立 が 望 まれるところです 5

3)スタンプは 足 し 算 サービス 店 から 消 費 者 へのサービスはいろんな 手 法 がありま す ノベルティグッズ 提 供 配 達 御 用 聞 きなど た だ 現 代 でもっとも 一 般 的 であり 強 力 なサービスと いえるのは 値 引 き でしょう もちろん 中 小 小 売 店 でも 値 引 き は 実 施 してきたサービスです 商 店 街 でも 歳 末 などのセールでの 値 引 きは どこでも 実 施 されてきました しかし 最 近 は 商 店 街 の 歳 末 セールがめっきり 減 っています 値 引 きセールを 実 施 しても お 客 が 来 てくれない という 商 店 主 の 声 が 聞 かれるように 消 費 者 は 商 店 街 のセールにはそれほど 魅 力 を 感 じ なくなっているのが 現 状 です 中 小 小 売 店 が1 割 引 2 割 引 を 実 施 しても 郊 外 量 販 店 の 中 には 日 常 的 にそれを 超 える 値 引 き 率 の 店 がザラにあります だから 商 店 街 のセールで 値 引 きをアピールして も 消 費 者 をひきつける 力 が 弱 くなっていることは 否 めません 店 頭 に SALE の ポスターを 貼 っていても それにひかれて 店 内 に 入 る 消 費 者 は 少 ないはずです 量 販 店 の 値 引 きは たしかに 商 店 街 にとっては 強 敵 でも 量 販 店 にとっても 値 引 き こそが 最 大 の 強 敵 でしょう なぜなら 消 費 者 が 値 引 きにひかれて 量 販 店 に 足 を 運 んで も 近 くにそれ 以 上 の 安 売 り 量 販 店 が 現 れれば 消 費 者 はさっさとそちらの 店 に 乗 り 換 えるからです 結 局 値 引 きサービスでアピールする 店 は 値 引 き 以 外 のサービスはなかなかできま せん そして 値 引 きで 集 客 を 図 っても それを 上 回 る 値 引 きの 店 が 現 れれば 対 抗 す るにはさらに 過 激 な 値 引 き 率 を 提 案 するしかないものです 結 局 値 引 きでアピールす る 店 は 値 引 き 合 戦 でお 互 いの 首 を 絞 めあうという 宿 命 にありそうです 6

消 費 者 には 飽 きる という 習 性 と 慣 れる という 習 性 があります いくら 安 いと いっても いつも 同 じ 商 品 群 では 飽 きるし 値 引 きというサービスでアピールしても 消 費 者 は 次 第 にその 値 引 き 率 に 慣 れてきます 大 幅 値 引 きの 店 を 宣 言 してしまったら 定 価 販 売 に 戻 すことは 困 難 でしょう さらに その 大 幅 値 引 きにしても 何 度 も 利 用 し ているうちには 消 費 者 はその 値 引 き 額 を 当 たり 前 と 思 うようになってくるように なります そういう 値 引 きサービスは いわば 引 き 算 のサービス 小 さな 店 には そういう 引 き 算 の 戦 いは 継 続 できるはずがありません ではスタンプ 事 業 はどうでしょう ス タンプの 場 合 は ほぼ 定 価 で 買 ってもらって そこにスタンプをプラスするというサー ビス つまりは 足 し 算 のサービスということです 足 し 算 サービスなら 小 さな 店 でも 実 施 可 能 です さらに 値 引 きという 引 き 算 には トータルして 原 価 割 れを 起 こすわけにはいかないという 下 限 がありますが 足 し 算 で 何 かをプラスしていくサービスには 上 限 は 何 もありません 足 し 算 すべきものを 変 える 工 夫 があれば 消 費 者 は 飽 きることがないのです つまり 足 し 算 サービスは いつま でも 継 続 することが 可 能 ということです え スタンプ 事 業 では そんなこともやってくれるの! という 喜 びを 提 供 すれば 消 費 者 に 満 足 の 足 し 算 はどこまでもできそうです スタンプは 足 し 算 サービスに 適 し た 有 効 な 道 具 だから もっともっと 価 値 をもたせることを 考 えてほしいものです 7

2 スタンプ 先 進 事 例 を 探 る 千 歳 烏 山 商 店 街 スタンプ 事 業 先 進 地 として 多 くの 関 係 者 が 真 っ 先 に 名 前 を 挙 げるのが 千 歳 烏 山 商 店 街 です 大 型 店 量 販 店 の 林 立 する 新 宿 まで 電 車 で 十 数 分 という 立 地 にありながら ダイ ヤスタンプ により 地 元 消 費 者 を 顧 客 としてひきつけてきた 商 店 街 です 小 銭 が 落 ちていても 拾 わないが スタンプなら 拾 う そんな 伝 説 的 なうわさが 普 通 に 語 られるのは スタンプが 地 元 にいかに 浸 透 しているかをうかがわせる 話 平 成 7 年 にはスタンプ 売 り 上 げが3 億 円 を 超 えて 烏 山 方 式 は 全 国 に 広 く 知 られるところとなりました きっかけは 昭 和 40 年 西 友 出 店 に 対 し 商 店 街 が 危 機 感 をもって 始 めた 事 業 でし た 大 型 店 への 顧 客 流 出 や 安 売 り 競 争 突 入 による 疲 弊 を 防 ぐには 中 小 小 売 店 にもでき る 消 費 者 にとって 魅 力 的 な 方 式 でなければいけません そこで お 買 い 物 100 円 ごとに スタンプシール 1 枚 を 渡 し 台 紙 が 満 帖 になると 500 円 として 現 金 同 様 に 使 える とい うスタンプ 事 業 を 開 始 しました スタンプは 事 前 に 加 盟 店 が 事 務 局 から 購 入 するもの そして 消 費 者 に 買 い 物 ごとに スタンプを 提 供 し 満 帖 台 紙 での 買 い 物 に 対 応 します 加 盟 店 は 満 帖 台 紙 を 事 務 局 に 持 っ ていけば 500 円 に 換 えてくれます 事 務 局 の 運 営 費 は 個 店 がスタンプを 購 入 した 金 額 と 満 帖 台 紙 引 取 りの 差 額 から 捻 出 されます さらには 金 融 機 関 との 提 携 で 預 金 もできるし イベントの 際 の 利 用 演 劇 チケットや 旅 行 には 満 帖 台 紙 がさらに 力 を 発 揮 する 工 夫 をしました それらが 利 用 者 の 満 足 度 を 高 め て 業 績 が 伸 び 続 けたものです 千 歳 烏 山 商 店 街 のスタンプ 事 業 には 地 元 の 業 種 ほとんどが 参 加 していますし 旅 行 者 の 買 い 物 にもスタンプを 提 供 します スタンプに 価 値 を 持 たせる 日 々の 努 力 が 全 国 のト ップランナーであり 続 けるカギでしょう 現 在 はICチップつきポイントカードと 併 せ しっかりと 地 元 消 費 者 に 定 着 しているものです 8

3 スタンプ 事 業 苦 戦 の 背 景 千 歳 烏 山 方 式 には 全 国 の 商 業 者 が 注 目 し 多 くの 市 町 村 で スタンプ 事 業 が 展 開 されるようになりました しかし このとこ ろ 聞 こえてくるのは 業 績 不 振 という 話 がほとんど 会 員 減 少 や スタンプ 売 り 上 げ 低 下 から ついにはスタンプ 事 業 を 廃 止 す るケースも 少 なからずあります 中 には スタンプの 不 振 を 打 開 しようと ポイントカードに 移 行 するケースもあります が それでも 業 績 を 回 復 できないことが 多 いようです その 辺 の 事 情 を 考 えてみましょう 1)スタンプ 事 業 がなぜ 低 迷 するのか スタンプ 事 業 が 衰 退 する 一 番 の 理 由 は 出 し 惜 しみ スタンプは 足 し 算 サービスであり 手 軽 な 販 促 手 段 だからスタンプ 経 費 は 販 促 費 という 必 要 経 費 なのに 加 盟 店 の 中 には 値 引 き という 錯 覚 を 起 こす 人 がいます 事 務 局 にお 金 を 払 って 買 ってきたものを お 客 に 差 し 上 げるのだから その 分 の 値 引 きをしていることになる と 考 えてしまう 結 果 です そう 考 えると 店 主 はスタンプを 出 す 相 手 を 選 ぶようになります たとえば 次 の ような 店 は よく 見 られることでしょう 値 引 き 品 は 値 引 きサービスをしているから スタンプを 出 さない タバコは 利 益 率 が 低 いからスタンプを 出 さない 旅 行 者 はこの 先 は 二 度 と 来 ることがないからスタンプを 出 さない 修 理 費 は 買 い 物 ではないからスタンプを 出 さない 子 供 や 男 性 客 は たぶんスタンプを 出 さなくても 文 句 を 言 わないから 出 さない これらはすべて 店 側 の 勝 手 な 言 い 訳 にすぎません そしてこういう 店 は 確 実 に スタ ンプだけでなく 店 の 売 り 上 げも 減 少 するのが 普 通 加 盟 店 の 中 にそういう 店 が 増 えてい けば スタンプ 会 全 体 の 魅 力 と 活 力 が 低 下 するのは 避 けられない 現 象 でしょう 9

2)ポイントカードへ 移 行 してみても そこで スタンプ 事 業 の 低 迷 を 打 開 しようと ポイントカ ードに 切 り 替 えたところもあります カードのほうがスマー トだし スタンプシールを 貼 る 手 間 もかかりません 大 型 店 の 多 くも 実 施 しているサービスであり 消 費 者 にもなじみが 深 く 浸 透 しやすいと 考 えてのことでしょう でも 結 果 はどうでしょうか スタンプをポイントカード に 切 り 替 えても 業 績 が 確 実 に 回 復 したという 話 はほとんど 聞 かれません それはなぜ でしょうか 紙 のスタンプからポイントカードにすれば 打 点 するだけの 単 機 能 であっても 読 み 取 り 機 のリース 代 やメンテナンス 費 がかかります つまり スタンプよりも 個 店 の 経 費 が 確 実 にかかることになります すると 何 が 起 きるでしょう カードシステムでは レジで カードをお 持 ちですか? と 言 って お 客 にカードを 出 してもらうのが 普 通 でも 経 費 を 節 約 したい 店 主 はふと 考 えます レジで カード をお 持 ちですか? を 言 わなければ カードを 出 さないお 客 には ポイントを 提 供 する 必 要 がなくなる つまり スタンプの 出 し 惜 しみ の 時 と 同 じように ポイント の 出 し 惜 しみ が あちこちの 店 で 起 こるようになるのが 怖 いところです そして 運 営 上 の 全 体 経 費 という 課 題 紙 のスタンプなら 落 としたり 失 くしたり する 消 費 者 は 多 いものですが カードに 打 点 したポイントは 消 えてなくなることはあり ません つまり 満 点 カードでの 回 収 率 は スタンプの 満 帖 台 紙 での 回 収 率 よりも 高 く なりやすく スタンプ 事 業 実 施 時 以 上 に 大 きな 負 担 となるものです スタンプをポイントカードに 切 り 替 えたところで その 本 質 は 足 し 算 サービスであり 販 促 費 であることに 変 わりがありません そこを 理 解 しないでカードに 移 行 しても 成 果 が 上 がらないのは 当 然 といえるでしょう 10

4 これからのスタンプ 事 業 を 探 る 1) 新 しいスタンプ 事 業 の 模 索 スタンプ= 古 くさい ポイントカード= 現 代 的 そういう 通 念 を 変 える スタンプシステムも 現 れてきました 情 報 を 二 次 元 に 変 えるQRコードを スタンプ 事 業 に 応 用 しようというもの これによって 従 来 のスタンプの 出 し 方 とは 一 味 違 う 展 開 が 可 能 になります 福 島 県 では 西 会 津 町 サービス 店 会 などで 実 施 が 始 まっています QRコードには 店 名 などが 情 報 として 入 っています このコード 形 をスタンプに して 従 来 はスタンプシールを 貼 っていたところに 押 印 するというもの したがって 加 盟 店 は 自 店 用 のQRコード 入 りスタンプを 持 っていれば スタンプシールをあらか じめ 購 入 しておく 必 要 がなくなります 消 費 者 は 台 紙 が 満 帖 になれば 従 来 通 り 買 い 物 に 利 用 でき 回 収 された 台 紙 を 事 務 局 に 置 かれたスキャナーにかければ どの 店 で いくらの 買 い 物 がされたかが わかるというものです 事 務 局 はそのデータを 元 に 加 盟 店 にスタンプ 代 を 請 求 するということになります 従 来 のスタンプシールは 加 盟 店 は 事 務 局 から 事 前 購 入 それに 対 し QRコード 方 式 は 台 紙 が 利 用 された 後 の 後 払 い 加 盟 店 には 後 日 スタンプ 代 の 請 求 が 来 るの で 加 盟 店 は 発 行 枚 数 の 管 理 を 心 がけないと 請 求 書 を 見 てびっくりする というこ ともありそうです 2)カードからスタンプへの 先 祖 返 り 作 戦 ポイントカードを 長 期 間 使 っているところで 今 悩 みとしてよく 聞 かれるのが 読 み 取 り 機 の 老 朽 化 です 機 械 的 に 動 作 する 箇 所 が 長 年 の 使 用 でどうしても 老 朽 化 してく るので メンテナンスが 欠 かせません そして もう 限 度 となって 読 み 取 り 機 の 更 新 が 必 要 となった 際 には そのための 経 費 負 担 が 大 きな 課 題 となってきます 11

秋 田 県 の ショッピングプラザP が その 問 題 に 直 面 していたので 解 決 策 として 先 祖 返 り 作 戦 を 提 案 しました 現 代 的 なポイントカードシステムから 古 くさいス タンプシールへの 変 換 です そしてこれは 今 のところうまく 機 能 しています このショッピングプラザに 入 居 しているのは8 店 舗 うち 7 店 舗 で 読 み 取 り 機 が 老 朽 化 機 種 を 更 新 しても 経 費 が 軽 減 されることはないでしょうし 近 隣 の 大 型 店 もポイン トカードをそれぞれ 使 っているので カード 継 続 のメリットはそれほどないと 考 えられま した それと このショッピングプラザは 店 の 前 の 国 道 を 通 過 する 車 の 利 用 も 多 いため ポ イントカードを 持 っていないお 客 がほとんどです 通 過 客 か 地 元 客 かの 区 別 がつかないと き 各 店 のレジでは カードをお 持 ちですか? という 声 かけができにくいものです こ れもまた カード 事 業 の 業 績 を 低 迷 させていた 一 因 でしょう そこで 効 果 の 期 待 できなくなったポイントカードシステムを 思 い 切 って 廃 止 して ス タンプシールへの 転 換 を 図 ったものです 新 しい 方 式 を 古 いやり 方 に 変 えるのは 時 代 に 逆 行 しているようにも 思 えますが 冷 静 に 考 えてみると 次 のようなメリットがありま す 1 媒 体 が 紙 なので 運 営 には 紙 代 と 印 刷 代 しかかからない 2 レジで カードをお 持 ちですか? と 聞 く 必 要 がなくなるので 地 元 客 通 過 客 に 関 係 なく すっと 出 せる そして 台 紙 は 100 枚 で 満 帖 100 円 として 利 用 としました 100 枚 ならす ぐ 貯 まるし 100 枚 台 紙 なら 二 つに 折 れば 財 布 に 入 ります 財 布 の 中 にあれば 現 金 に 近 い 感 覚 になります この 満 貼 台 紙 なら 100 円 硬 貨 とまったく 同 じ 感 覚 で 使 えるも のです また 各 店 には1 枚 2 円 で 購 入 してもらうことで 事 務 局 の 運 営 費 を 捻 出 これ によって 共 同 事 業 も 推 進 しやすいよう 配 慮 したものです ポイントカードからスタンプへの 先 祖 返 り 古 いものへ 戻 すことも 一 つの 方 策 として あり だということです 12

5 スタンプ 事 業 活 性 化 のために 1) 来 店 動 機 をつくる スタンプためらんしょ は 株 式 会 社 まちづくり 会 津 に 事 務 局 がおかれ 会 津 若 松 市 内 の 多 くの 加 盟 店 により 展 開 されてき ました ただ 郊 外 への 大 型 店 進 出 が 相 次 いだことで 商 店 街 中 小 小 売 店 は 苦 戦 を 強 いられる 傾 向 が 強 まり なんらかの 対 策 が 求 められてきました そういう 状 況 では よく 大 型 店 にお 客 を 奪 われた という 言 い 方 をする 商 店 主 がい ます でも その 表 現 は 正 しくないでしょう なぜなら 大 型 店 の 従 業 員 が 商 店 街 に 乗 り 込 んで 消 費 者 を 無 理 に 引 きずっていく 光 景 などは どこにも 見 られないからです 大 型 店 が 商 店 街 のお 客 を 奪 っているのではなく それぞれの 消 費 者 が 自 分 の 意 志 で 大 型 店 に 行 く という 選 択 肢 を 選 んでいるだけの 話 です 消 費 者 行 政 では 消 費 行 動 のことを 円 の 投 票 という 言 葉 で 表 すことがあります 選 挙 のときは 有 権 者 が 使 えるの は 一 票 それをどの 候 補 者 に 入 れるかは 有 権 者 それぞれの 意 志 です 店 で 買 い 物 をするということも 財 布 の 中 の 限 ら れたお 金 で どの 店 で 何 を 買 うかは 消 費 者 それぞれの 判 断 多 くの 消 費 者 は 商 店 街 ではなく 大 型 店 に 円 の 投 票 をすることを 自 分 の 意 志 で 決 めていることになります では 商 店 街 や 中 小 小 売 店 まちなかのサービス 業 の 店 はどうすればいいのでしょう か そもそも 消 費 者 はなぜ 大 型 店 を 好 み まちなかの 店 を 敬 遠 するようになったので しょう まずはその 点 を 明 らかにするところから 活 性 化 の 道 は 始 まりそうです 13

消 費 者 には 初 めての 店 に 入 るのが 苦 手 という 人 がたくさんいます 店 に 入 ったら 何 か 買 わないと 店 を 出 にくい という 心 理 があるからです そして まちなかの 商 店 は 店 に 入 ると 何 かを 買 わないと 店 を 出 られない という 雰 囲 気 の 店 が 多 いもの 大 型 店 な ら 買 い 物 をしなくても 見 て 歩 く 楽 しみだけ 味 わうことも 可 能 です それが 消 費 者 が 大 型 店 に 足 を 運 ぶ 傾 向 が 生 まれる 一 因 でしょう 消 費 者 が まちなかの 商 店 を 敬 遠 する 大 きな 理 由 は その 店 が 嫌 いだから ではなく その 店 には 入 ったことがないので 中 がどうなっているかわからない だから 恐 くて 入 れないから 入 らないでおく ということではないでしょうか おそらくは 店 に 入 ってもらえば 想 像 していたよりいいお 店 だった これならまた 来 てみたい と 感 じて もらえることも 多 いはず 同 じまちの 住 民 同 士 でありながら 消 費 者 は 一 生 に 一 度 も 入 らない 店 が 多 いというのが 実 情 です これって ちょっとさびしいし もったいない 話 です それなら 買 い 物 する しないにかかわらず まずは 店 に 入 ってもらう 方 法 を 考 えた いところです その 店 が どういう 店 か 知 ってもらえば 入 店 してくれた 人 のうちの 何 割 かは また 来 店 してくれることが 期 待 できるでしょう つまりは 来 店 動 機 をつく ること そこで 考 案 したのが 平 成 19 年 9 月 に 実 施 された お 宝 さがしスタンプラリー です 14

2)お 宝 さがしスタンプラリーの 意 義 会 津 若 松 市 のスタンプ 会 加 盟 店 に 提 案 した お 宝 さがしスタンプラリー は 買 い 物 不 要 のスタンプラリー 住 民 の 皆 さんに 各 店 を 巡 る 楽 しさを 味 わってもらい その 上 賞 品 が 当 たる 仕 組 みをつくることで 一 度 も 入 店 したことのない 店 のドアを 開 いて 入 店 し てもらう 工 夫 をしたものです この 案 は 二 つの 事 例 を 融 合 させて 考 案 しました ひとつは 福 島 県 の 県 南 地 区 の 商 工 会 で 実 施 された 家 族 にがおえ 展 スタンプラリー 参 加 店 内 にそれぞれ 子 供 たちが 描 いた 家 族 の 絵 を 貼 り それを 見 に 来 てもらい 訪 れた 人 の 台 紙 に 押 印 する というイベントです 矢 吹 町 商 工 会 青 年 部 の 実 施 では 120 店 が 参 加 し 80 店 以 上 回 ると 賞 品 120 店 完 走 で1 万 円 分 の 共 通 商 品 券 が 当 たるというもの で 120 店 すべて 完 走 した 人 が 数 十 名 にのぼるという 成 果 をあげました もうひとつのアイデア 源 は 東 京 の 早 稲 田 商 店 会 から 生 まれた エコステーション 空 き 缶 やペットボトルを 機 械 に 入 れるとゲームが 始 まり 野 球 ではホームラン サッカーで はみごとなゴールシーンが 見 られると 機 械 からラッキーチケットが 発 行 されるというも のです ラッキーチケットに 書 かれている 店 に 行 けば チケットに 表 示 された 商 品 のプレ ゼントなどが 受 けられます この 二 つを 併 せて 考 案 したのが 今 回 実 施 された お 宝 さがしスタンプラリー です 考 え 方 の 基 本 は 参 加 者 にとって 楽 しいこと と 得 すること それによって 来 店 動 機 をつくることが 今 回 のイベントの 大 きな 目 的 でした 消 費 者 は 一 度 も 入 ったことのない 店 に 入 るには 勇 気 がいります でも 入 る 理 由 があれば ためらわずに 入 れます スタンプラリー の 印 鑑 をください は そのためのりっぱな 理 由 になるので 消 費 者 は 平 気 で 店 のドアを 開 くことができるものです これが 来 店 動 機 を つくるということです 15

このときのスタンプラリーの 概 要 は 次 のとおりでした 参 加 店 は52 店 期 間 は 約 2 週 間 ラリーに 挑 戦 する 人 は スタンプラリー 台 紙 を 持 って 各 店 を 巡 り 入 った 店 ごとの 枠 に 各 店 のハンコを 押 してもらう 参 加 店 の 店 内 には どこかに 数 字 とひらがなの 書 いた 紙 が 貼 ってある ラリー 挑 戦 者 はそれを 見 て 台 紙 の お 宝 見 つけたで 賞 の 枠 に 紙 に 書 いてあった 番 号 のところ に 書 いてあったひらがなを 書 き 入 れる スタンプラリーのハンコは5 個 たまるごとに ウェルカム 賞 のくじ 引 きができて 参 加 店 のどこかの 店 の 賞 品 が 当 たる お 宝 見 つけたで 賞 は 店 舗 を 回 り 文 字 を 集 めると 会 津 にちなんだ 言 葉 が 浮 か び 上 がる 住 所 氏 名 を 書 いて 応 募 すれば 抽 選 で50 名 に スタンプが500 枚 プ レゼントされる みごと52 店 舗 を 制 覇 した 人 は 抽 選 で パーフェクト 賞 が5 名 に 贈 呈 される これによってスタンプラリーに 参 加 した 人 は 1 ウェルカム 賞 (ハンコ5 個 ごとにプレゼント) 2 お 宝 見 つけたで 賞 ( 隠 された 言 葉 を 見 つけてスタンプ500 枚 ) 3 パーフェクト 賞 ( 全 店 制 覇 で 高 額 高 品 質 の 逸 品 をゲット) というトリプルチャンスで 得 する し 知 らない 店 の 訪 問 と 隠 された 言 葉 探 しで 楽 しい 体 験 ができるというものです 参 加 した52 店 は すべて 会 津 若 松 市 とはいっても 車 を 使 わないと 行 けない 距 離 の 店 も あれば まちなかで 車 をどこかに 駐 車 して 歩 いて 回 らなければいけない 店 もありました そんな 面 倒 な 条 件 であっても 全 52 店 を 制 覇 した 人 が なんと22 名 も 現 れました 中 に は 最 初 の 一 週 間 で52 店 を 回 り 残 りの 一 週 間 でもう 一 度 全 店 制 覇 したつわものまでいま す 参 加 した 皆 さんにも 大 いに 楽 しんだようで お 宝 見 つけたで 賞 パーフェクト 賞 の 応 募 用 紙 の 感 想 欄 には とても 楽 しかった! またやってください! といううれしい 感 想 が 多 数 寄 せられていました お 宝 さがしスタンプラリー は 参 加 店 の 皆 さんにも 喜 んでもらえるイベントだったよ うです たとえ 買 い 物 が 目 的 でないとしても 一 度 も 来 店 したことのない 人 たちが 次 々 来 店 してくれれば 店 には 活 気 が 生 まれてきます それに せっかく 来 たのだから お 茶 で 16

も 飲 んでいってください とおもてなしすれば それをきっかけにお 買 い 物 につながったと いう 話 も 聞 こえてきました 商 店 街 や 中 小 小 売 店 と 消 費 者 との 新 しいふれあいの 機 会 が 生 まれたように 思 われます さらに このイベントには いくつかのメリットがありました 1 運 営 経 費 が 比 較 的 かからない 経 費 は 基 本 的 には 台 紙 の 印 刷 費 と パーフェクト 賞 の 賞 品 それと お 宝 見 つけ たで 賞 で 提 供 するスタンプのみ ウェルカム 賞 の 賞 品 は 参 加 店 に 自 主 的 に 提 供 してもらうものです したがって 小 さなスタンプ 会 や 商 店 街 でも あるいは 商 店 街 が 形 成 されていない 地 区 でも 実 施 できます 2 顧 客 づくりのチャンスになる... ウェルカム 賞 の 賞 品 を 提 供 すれば 当 たった 人 が 店 を 二 度 訪 れてくれる こと になります 二 度 玄 関 を 開 けて 店 を 訪 れ 賞 品 をもらえば そこから 顧 客 になって くれる 可 能 性 が ぐんと 広 がることでしょう しかも 賞 品 は いま 店 内 にある 商 品 の 活 用 で 対 応 できますから そのための 新 たな 経 費 は 必 要 ありません 3 店 主 は 店 を 離 れる 必 要 がない スタンプラリーは 住 民 が 台 紙 を 持 って 店 を 歩 いて 回 ります だからイベントで あっても 店 主 は 店 を 離 れる 必 要 がありません ドアを 開 いて 入 ってくる 人 に て いねいに 対 応 するだけでいいのです 4 立 地 は 関 係 ない まちはずれであっても 駐 車 場 がなくても 全 店 制 覇 を 目 指 す 人 は 必 ず 訪 れてくれ ます だから 立 地 に 関 係 なく 参 加 できるものです 従 来 スタンプラリーというと お 買 い 物 をしたらスタンプを 押 します という 事 例 が ほとんどでした でも お 買 い 物 をしなくてもスタンプを 押 します というイベントにす れば ドアを 開 けて 入 ってくれる 人 数 は 飛 躍 的 に 増 えます 残 念 なことに スタンプためらんしょ 事 業 は 廃 止 になりましたが この 事 例 をモデル にして この 方 式 のスタンプラリーが 各 地 で 開 催 されるようになりました 17

喜 多 方 市 山 都 町 人 口 4 千 人 過 疎 と 高 齢 化 の 進 む 町 です が 45 店 舗 が 参 加 して 平 成 20 年 10 月 に 実 施 されました 右 が このとき 使 われた スタンプラリー 台 紙 です 岩 手 県 久 慈 市 平 成 20 年 12 月 57 店 参 加 で 実 施 されまし た その 成 功 に 自 信 を 持 ち 平 成 21 年 には 地 元 の 観 光 スポットをめぐるという 観 光 客 向 けの 変 形 スタンプラリーも 実 施 されま した 北 海 道 岩 内 町 平 成 21 年 3 月 に 66 店 舗 の 参 加 で 実 施 人 口 1 万 5 千 人 の 町 で しかも 冬 の 開 催 なのに 延 べ 1 万 7 千 人 の 人 出 がありました 一 店 舗 あたり 平 均 250 人 が 来 店 し 一 番 多 い 店 には 400 人 が 訪 れました 宮 崎 県 延 岡 市 平 成 21 年 11~12 月 に 38 店 舗 の 参 加 で 実 施 されました これまでない 楽 しいイベントと して 住 民 にも 商 店 にもたいへん 喜 ばれました この 他 にも これらの 事 例 をまねてスタンプラリーに 取 り 組 む 事 例 が 各 地 に 現 れています どうです あなたのところでも トライしてみませんか 18

3) 楽 しさを 創 造 するイベントを 消 費 者 に 足 を 運 んでもらうには 楽 しいこと と 得 す ること がポイント それにはイベント 開 催 が 効 果 的 です イベントで 消 費 者 の 注 目 を 集 め 楽 しさとお 得 感 で 足 を 運 んでもらうことを 考 えたいものです スタンプ 会 や 加 盟 店 が 実 施 するイベントというと スタ ンプ 倍 セール が 一 般 的 ただ 本 来 スタンプ 倍 セー ル では イベントといえません なぜならイベント(event)には 結 果 に 偶 然 性 が 含 まれること という 意 味 合 いがあるからです スタンプ 倍 セール はお 客 へのサービスですが お 買 い 上 げの 金 額 によって 倍 のスタンプが 必 ずもらえることが 事 前 に 分 かっているものです つまり 結 果 が 必 然 的 なの で 消 費 者 にはワクワクする 心 理 は 生 まれません では どうすればいいかといえば 簡 単 結 果 に 偶 然 性 をプラスすればいいのです 一 番 簡 単 なのは じゃんけん じゃんけんは やってみなければ どちらが 勝 つかわかりま せん 単 純 ではあっても 勝 ち 負 けがわからないからドキドキできるものです だから じ ゃんけんでお 客 様 が 勝 てばスタンプ2 倍 2 回 連 続 で 勝 てば3 倍 3 回 続 けて 勝 てば5 倍 プ レゼントします なら りっぱなイベントになるのです イベントは 一 発 花 火 そのときは 集 客 力 になっても 通 年 的 な 集 客 力 にはつながらない から 効 果 が 薄 いのではないか と 考 える 人 もいるでしょう たしかに イベントにはそ ういう 一 面 はあります しかしそれを 踏 まえた 上 でも イベントにはやってみる 価 値 があ るといえます それは イベントを 実 施 した 人 々は 確 実 に 自 信 と 実 行 力 がつくということ 自 分 たち の 自 信 と 行 動 力 を 高 めるためにも ぜひイベントには 積 極 的 に 取 り 組 んでほしいものです 19

個 店 イベントのヒント 個 店 独 自 でもかまわないし お 宝 さがしスタンプラリー 等 の 機 会 に 併 せて 実 施 しても かまいません ぜひ 個 店 でも 楽 しいイベントを 企 画 してはどうでしょうか たとえばじゃんけん 以 外 にも ダーツ さいころ くじなども OK 楽 しむ 気 ならイベン トの 材 料 は 周 囲 にいくらでもあります 来 店 客 と 店 の 側 どちらも 楽 しめるイベントを ぜひ 実 施 してみてほしいものです 千 歳 烏 山 商 店 街 の 青 果 店 では 右 のようなイベン トを 実 施 野 菜 を 持 ったお 客 を 体 重 計 に 乗 せて 合 計 キロ 数 が 指 定 のものにピッタリだったら スタン プを 50 倍 プレゼントするというもの スタンプ 50 倍 は 言 い 換 えれば 十 割 引 きです 体 重 計 に 乗 る 人 はドキドキするし みごとに 当 たった 人 は 大 喜 び したでしょう たしかにスタンプ 50 倍 プレゼントは 店 にとっては 大 変 な 負 担 でもおそら くは それを 補 って 余 りある 売 上 げをあげたものと 考 えられます ユニークな 個 店 イベント 事 例 女 子 大 生 と 指 ずもう 大 会 神 奈 川 県 のガソリンスタンドで 給 油 に 来 たお 客 は 給 油 中 に 女 子 大 生 と 指 ずもう ができるイベント 実 施 お 客 が 勝 ったら 牛 乳 1リットルパックプレゼント ガソリ ン 価 格 の 値 引 きなしでも 行 列 ができるにぎわいとなりました 百 円 で 野 菜 とり 放 題 自 動 車 販 売 店 で 百 円 でポリバケツいっぱい 野 菜 とり 放 題 というイベントを 実 施 し たら 主 婦 たちが 行 列 をつくるにぎわい いっぱい 野 菜 を 抱 えて 家 に 帰 るのが 大 変 な 人 たちを この 店 は 車 で 家 まで 送 ってあげました 実 はイベントの 目 的 は 新 車 展 示 発 売 でしたが 消 費 者 へのサービスを 前 面 に 出 したイベントとしたことで 家 まで 送 ってくれる 親 切 さが 受 けて 新 車 販 売 は 好 調 に 推 移 しました 20

商 店 街 スタンプ 会 イベントのヒント 商 店 街 やスタンプ 会 のイベントというと いわゆ る ガラポン が 広 く 行 われてきました もちろん ガラポンという 手 法 は イベントに 必 要 な 偶 然 を 伴 うものなので 継 続 していっこうにかまいませ ん ただ 景 品 については 検 討 したほうがいいケー スは 結 構 あります 従 来 ありがちだった 温 泉 ご 招 待 等 は 昔 ほどはありがたみが 減 っ ています 知 らない 人 たちといっしょに 行 くのが 嫌 われたり 日 程 が 自 分 の 希 望 と 合 わな い 等 の 理 由 があるからです 温 泉 ご 招 待 をするなら 無 料 宿 泊 券 にするなど 当 選 者 の 自 由 度 を 高 めてあげたほうがいいでしょう お 宝 さがしスタンプラリー のように まちなかを 回 遊 してもらうイベントの 場 合 は どうでしょうか そこでの 心 得 は イベントは 客 を 呼 ぶものではなく 人 を 呼 ぶ ものである ということを 関 係 者 に 周 知 しておくことです イベントを 開 催 したとき イベントを 開 いても うちの 店 の 売 上 げにはつながらなかっ た と 文 句 を 言 う 店 主 がいますが それは 間 違 い イベントは 客 を 呼 ぶものではなく 人 を 呼 ぶものだからです 住 民 の 皆 さんに まちなかで 楽 しいイベントがあることをお 知 ら せし まち 歩 きを 楽 しんでもらうこと そして 歩 いているうちに いい 店 を 発 見 すれば その 店 に 入 って 買 い 物 がしたくなるものです つまり まちに 来 てくれた 人 を 客 に 変 えるのは それぞれの 店 の 務 め イベントをしても 売 上 げが 上 がらないとぼやく 店 主 は 人 を 客 に 変 える 努 力 を 怠 っていただけの 話 であり 売 上 げが 上 がらなかったのは 自 分 のせい にすぎないといえます 21

この 指 とまれ イベントを 実 施 するなら スタンプ 会 あるいは 商 店 街 などが みんなで 足 並 みをそろえて 実 施 できるものを と 考 える 人 もいます でもこれからの 活 動 では 必 ずしも 足 並 みをそろえる 必 要 はないと 考 えられます たしかに 団 体 や 組 織 の 運 営 は みんなで 足 並 みをそろえるのが 理 想 でもいまどき みんなの 足 並 みがそろうことは ほとんどあり 得 ません 現 状 を 見 れば 自 店 の 経 営 やス タンプ 事 業 活 性 化 に 頑 張 る 店 主 がいる 一 方 で 改 善 の 意 欲 を 失 っている 経 営 者 もいます 業 種 が 異 なり 意 欲 に 差 がある 人 たちがいっしょに 動 くことを 考 えていたら いつまで 経 っても 動 き 出 せる 日 は 来 ないでしょう だから こういう 時 代 の 指 標 は この 指 とまれ いい 目 標 を 設 定 したら それに 参 加 したい 人 だけで 実 行 するということです この 指 とまれ 方 式 でイベント 等 に 挑 戦 する 場 合 心 得 が 三 つあります 1 参 加 しない 人 を 非 難 しない 意 欲 や 体 力 の 低 下 で どうしても 参 加 できない 人 もいます それぞれ その 人 なり の 事 情 があるのですから 参 加 しない 人 を 決 して 非 難 しないことです 2 参 加 しない 人 に 足 引 っ 張 りをさせない 参 加 しない 人 が 足 引 っ 張 りをすることがありがち それを 未 然 に 防 ぐよう これ は やりたい 人 だけで 勝 手 にやる 活 動 です と 念 を 押 し その 活 動 を 批 判 したり 邪 魔 をしたりしないようくぎを 刺 しておくことが 肝 心 です 3 参 加 したくなったら 喜 んで 迎 えてあげる 最 初 は 参 加 しなかった 人 から 要 請 があったら 喜 んで 迎 えてあげてください また スタンプ 会 や 商 店 街 の 会 員 でなくても 参 加 したい 人 は 混 ぜてあげましょう それが 新 たに 会 員 になってくれるきっかけにもなりますから 以 上 のことを 心 得 ておきながら この 指 とまれ の 指 を 伸 ばしてみましょう 22

6 基 本 は 店 のレベルアップ スタンプ 事 業 は 消 費 者 への 有 効 な 販 促 策 で す 今 後 も 大 いに サービスのレベルアップを 図 っていってほしいものです ただ そこでもう 一 度 商 いの 基 本 に 立 ち 返 ってみましょう...... 消 費 者 は スタンプが 欲 しくて 買 い 物 に 来 るわ... けではありません あくまでも いい 商 品 いいサービスでの 満 足 が 得 たくて 来 店 してく れるものです スタンプはその 際 の 付 加 価 値 サービスとして 提 供 するもの 商 品 やサー ビスの 価 値 が 低 ければ スタンプを5 倍 10 倍 にしたところで 来 店 客 が 増 えるもので はありません 店 をレベルアップする そのために 取 り 組 まれている 一 つの 方 法 が 一 店 逸 品 運 動 で す 静 岡 市 の 呉 服 町 名 店 街 青 森 市 の 新 町 商 店 街 振 興 組 合 などの 取 り 組 みが よく 知 られ ているところです 一 店 逸 品 運 動 は 簡 単 にいえば どの 店 も 自 店 だけの 素 晴 らしい 商 品 やサービスをそろえること 店 は 小 さいですが この 商 品 (またはサービス)を 扱 って いるのは 当 店 だけですよ という オンリーワンづくりが 一 店 逸 品 運 動 です ただ 経 営 者 は 意 外 と 自 店 の 商 品 のどれが 逸 品 に 育 つのか 分 からないことも 多 いも のです そこで 各 地 の 一 店 逸 品 運 動 では 各 店 がそれぞれ 商 品 を 持 ち 寄 り お 互 いの 店 の 商 品 をそれぞれアドバイスしあう という 手 法 をとっています 業 種 が 違 えば 一 消 費 者 の 視 点 でそれぞれの 商 品 を 見 つめることができるからです 23

7 まちづくりに 生 かすスタンプ 事 業 郊 外 大 型 店 の 脅 威 が 強 まると 商 店 街 や 中 小 小 売 店 の 経 営 者 からは 商 店 街 活 性 化 の 支 援 を 中 小 小 売 店 をまもる 方 策 を という 声 がよく 聞 かれます 先 行 きに 不 安 を 感 じる 経 済 状 況 では そういう 悲 痛 な 声 が 聞 かれたとしても 不 思 議 ではありません ただ 住 民 サイドから 見 れば それらの 言 葉 は お 店 屋 さんの 都 合 という 風 に 見 られ かねません 消 費 者 を 味 方 にしたいなら やはり まちづくり という 言 葉 を 使 うべきで しょう 郊 外 大 型 店 は 売 上 げが 下 がればさっさと 撤 退 しても まちの 商 業 者 は 何 があ っても 住 民 の 暮 らしをまもる そういう 理 念 を 持 てば 必 ず 消 費 者 の 理 解 も 得 られるは ずです そういう 視 点 に 立 てれば スタンプをまちづくりに 役 立 てる という 発 想 も 浮 かんでく るでしょう たとえば 次 のような 方 法 はどうでしょうか スタンプ 募 金 旅 行 者 など スタンプをもらっても 使 わないという 人 は 個 店 に 置 いたスタンプ 募 金 箱 に 入 れてもらう 方 法 集 まったスタンプは 事 務 局 に 集 め 地 域 のために 役 立 てることがで きます たとえば 道 路 への 植 栽 など 環 境 整 備 にも 有 効 に 使 えそうです 地 域 通 貨 満 帖 台 紙 を 地 域 通 貨 として 活 用 する 方 法 も 考 えられそうです 地 域 の 助 け 合 いを 結 ぶ 架 け 橋 としての 使 い 方 には いろんな 可 能 性 が 広 がりそうに 思 えます 24

8 スタンプは 誰 のためか 消 費 者 の 暮 らしを 支 えること それが 地 元 で 商 業 サービス 業 を 営 む 人 たちの 使 命 のはずです そう 考 えれば スタンプ の 役 割 もおのずと 明 らかになってくるでしょう スタンプは 店 がもうけるための 手 段 では なく お 客 にもっと 喜 んでもらうためのものであるべきだ と 売 上 げが 低 迷 すると どうしたら 売 上 げが 上 がるだろうか と つい 考 えがち でも 店 主 をもうけさせてあげようと 思 って 来 店 する 消 費 者 は 一 人 もいません いい 商 品 サー ビスがあるからこそ 来 店 してくれるものです そう 店 が 得 することを 考 えていても 業 績 アップにはなりません お 客 が 喜 ぶことを 真 剣 に 追 求 してこそ 結 果 として 店 の 業 績 アップにつながるものでしょう スタンプは お 客 のた めにお 役 に 立 つという 使 命 を 遂 行 する 上 での 大 切 な 道 具 それを もっともっと 使 い こなしたいものです ここまでのヒントを 参 考 に いい 商 品 いいサービス いいイベントを 組 み 合 わせて お 客 のお 役 に 立 つ 店 輝 く 店 を 目 指 していってください 25

9 スタンプ 事 業 活 性 化 の 心 得 スタンプはもっとも 手 軽 な 販 促 手 段 だから 絶 対 出 し 惜 しみしないこと 楽 しいこと と 得 すること を 工 夫 しよう 満 足 の 足 し 算 が 業 績 アップのカギだ 個 店 イベントは 集 客 力 を 生 む ドキドキするイベントで 注 目 を 集 めよう 共 同 イベントは この 指 とまれ で そして 人 を 客 に 変 える 努 力 を 一 番 の 基 本 は 店 のレベルアップ スタンプはそれを 支 援 する 強 力 な 味 方 だ 住 民 のため 地 域 のための 発 想 をしよう まちづくり 推 進 が 商 業 活 性 化 の 道 である 26