Microsoft Word - Ł\”ƒ.doc



Similar documents
Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

定款  変更

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

<4D F736F F D208CF689768ED C8FE395FB978E8CEA8BA689EF814592E88ABC2E646F63>

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

<4D F736F F D208E9197BF A955B895E93AE82CC8B4B90A C982C282A282C42E646F6378>

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

Microsoft Word - 目次.doc

<4D F736F F D A94BD837D836C B4B92F62E646F6378>

定款

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

第 3 章 会 員 ( 会 員 の 資 格 ) 第 5 条 協 会 の 会 員 は 協 会 の 目 的 に 賛 同 して 入 会 した 次 の 各 号 に 掲 げる 者 とする (1) 軽 種 馬 を 生 産 する 者 (2) 軽 種 馬 を 育 成 する 者 (3) 馬 主 (4) 調 教 師 (

スライド 1

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

Microsoft Word - 全国エリアマネジメントネットワーク規約.docx

財団法人○○会における最初の評議員の選任方法(案)

<4D F736F F D F93878CA797708F4390B3816A819A95CA8B4C976C8EAE91E682538B4C8DDA97E12E646F6378>

財政再計算結果_色変更.indd

m07 北見工業大学 様式①

Microsoft Word 第1章 定款.doc


スライド 1

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

二 資本金の管理

Taro-H19退職金(修正版).jtd

財団法人山梨社会保険協会寄付行為

公表表紙

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

[ 組 合 員 期 間 等 の 特 例 ] 組 合 員 期 間 等 については 年 齢 職 種 などにより 過 去 の 制 度 からの 経 過 措 置 が 設 けられ ており 被 用 者 年 制 度 の 加 入 期 間 ( 各 共 済 組 合 の 組 合 員 期 間 など)については 生 年 月 日

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

< F2D E633368D86816A89EF8C768E9696B18EE688B5>

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

桜井市外国人高齢者及び外国人重度心身障害者特別給付金支給要綱

H28記入説明書(納付金・調整金)8

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

個 人 所 得 課 税 ~ 住 宅 ローン 控 除 等 の 適 用 期 限 の 延 長 2 4. 既 存 住 宅 に 係 る 特 定 の 改 修 工 事 をした 場 合 の 所 得 税 額 の 特 別 控 除 居 住 年 省 エネ 改 修 工 事 控 除 限 度 額 バリアフリー 改 修 工 事 平

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

 

兵庫県公立学校教職員等財産形成貯蓄事務取扱細則

平成21年9月29日

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

2 前 項 前 段 の 規 定 にかかわらず 年 俸 制 教 職 員 から 申 し 出 があった 場 合 においては 労 使 協 定 に 基 づき その 者 に 対 する 給 与 の 全 額 又 は 一 部 を 年 俸 制 教 職 員 が 希 望 する 金 融 機 関 等 の 本 人 名 義 の 口

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

1

PowerPoint プレゼンテーション

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>


( 会 員 資 格 の 取 得 ) 第 6 条 本 会 の 会 員 になろうとする 者 は 別 に 定 める 入 会 届 により 申 し 込 みを し 理 事 会 の 承 認 を 得 なければならない ( 会 員 の 権 利 義 務 ) 第 7 条 会 員 は 本 会 の 事 業 活 動 につき そ

退職手当とは

【労働保険事務組合事務処理規約】

労働時間と休日は、労働条件のもっとも基本的なものの一つです

いう )は 警 告 をしたときは 速 やかに その 内 容 及 び 日 時 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申 出 をした 者 に 通 知 しなければならないこととされ また 警 告 をし なかったときは 速 やかに その 旨 及 び 理 由 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

工 事 名 渟 城 西 小 学 校 体 育 館 非 構 造 部 材 耐 震 改 修 工 事 ( 建 築 主 体 工 事 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 平 成 28 年 2 月 23 日 ( 火


(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

Microsoft Word 行革PF法案-0概要

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

2 条 ) ア 育 児 休 業 の 対 象 とならない 職 員 ( 法 第 2 条 及 び 条 例 第 2 条 関 係 ) (ア) 臨 時 的 に 任 用 される 職 員 (イ) 育 児 休 業 に 係 る 期 間 を 任 期 と 定 めて 採 用 された 職 員 (ウ) 勤 務 延 長 職 員 (

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

1_扉-配布用.indd

●幼児教育振興法案

Microsoft PowerPoint - 基金制度


<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

< F2D C93FA967B91E5906B8DD082CC94ED8DD0>

税金読本(8-5)特定口座と確定申告

鳥 取 国 民 年 金 事 案 177 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 の 昭 和 37 年 6 月 から 38 年 3 月 までの 国 民 年 金 保 険 料 については 納 付 していたものと 認 められることから 納 付 記 録 を 訂 正 することが 必 要 である 第 2 申

大阪府電子調達システムの開発業務 (第一期)に係る仕様書案に対する意見招請のお知らせ

(10) 本 工 事 の 契 約 締 結 日 において 現 場 代 理 人 を 工 事 現 場 に 常 駐 で 配 置 し 得 ること ただし 本 入 札 の 一 般 競 争 入 札 参 加 申 込 書 の 提 出 日 現 在 において 3カ 月 以 上 直 接 的 かつ 恒 常 的 な 雇 用 関

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

第4回税制調査会 総4-1

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

奨学事業戦略部個人情報ファイル簿


弁護士報酬規定(抜粋)

2. 前 項 の 規 定 にかかわらず 証 券 会 社 等 又 は 機 構 を 通 じた 届 出 の 対 象 となっていない 事 項 については 当 会 社 の 定 める 書 式 により 株 主 名 簿 管 理 人 宛 に 届 け 出 るものとす る ( 法 人 株 主 等 の 代 表 者 ) 第

PowerPoint プレゼンテーション

クレジットカード納付導入に伴う指定代理納付書の選定に係る実施要領

Microsoft Word - (課×県・指定)【頭紙】「精神障害者保健福祉手帳の診断書の記入に当たって留意すべき事項について」等の一部改正について.rtf

係 に 提 出 する 2 財 形 担 当 係 は 前 項 の 規 定 による 財 形 貯 蓄 等 の 申 込 みがあった 場 合 には 当 該 申 込 みの 内 容 を 点 検 し 財 形 貯 蓄 等 の 契 約 の 要 件 ( 第 6 条 に 規 定 する 基 準 を 含 む )を 満 たしている

工 事 名 能 代 南 中 学 校 体 育 館 非 構 造 部 材 耐 震 改 修 工 事 ( 建 築 主 体 工 事 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 平 成 28 年 5 月 24 日 ( 火

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

する 婦 人 相 談 所 その 他 適 切 な 施 設 による 支 援 の 明 記 禁 止 命 令 等 をすることが できる 公 安 委 員 会 等 の 拡 大 等 の 措 置 が 講 じられたものである 第 2 改 正 法 の 概 要 1 電 子 メールを 送 信 する 行 為 の 規 制 ( 法

1 ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 の 事 業 税 の 課 税 について ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 は 収 入 金 額 を 課 税 標 準 として 収 入 割 の 申 告 となります ( 法 72 条 の2 72 条 の 12 第 2 号 ) ガス 供 給 業 とその 他 の 事

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

Transcription:

シンガポールにおける 最 近 の 選 挙 制 度 の 動 向 ( 財 ) 自 治 体 国 際 化 協 会

目 次 はじめに :シンガポールの 最 近 の 選 挙 事 情 概 要 ⅰ 第 1 章 政 治 資 金 規 正 法 1 第 1 節 背 景 1 第 2 節 動 機 1 第 3 節 影 響 1 第 4 節 匿 名 の 寄 付 2 第 5 節 寄 付 ができる 者 及 び 総 計 で 10,000 ドル 以 上 の 寄 付 の 取 り 扱 い 2 第 6 章 パンフレット 印 刷 のようなサーヴィスの 形 態 での 寄 付 2 第 7 節 寄 付 報 告 書 は 一 般 公 開 されない 3 第 8 節 まとめ 3 第 2 章 電 子 投 票 4 第 1 節 背 景 4 第 2 節 動 機 4 第 3 節 電 子 投 票 の 手 順 4 第 4 節 安 全 確 保 ( 不 正 投 票 の 防 止 )の 方 策 5 第 5 節 論 議 5 第 3 章 海 外 投 票 7 第 1 節 海 外 投 票 の 理 由 7 第 2 節 海 外 投 票 の 有 権 者 資 格 7 第 3 節 海 外 投 票 の 段 取 り 8 第 4 節 投 票 日 8 第 5 節 論 議 8 第 6 節 突 然 の 決 定 の 変 更 9 第 7 節 決 定 変 更 に 関 する 論 議 9 第 8 節 選 挙 人 名 簿 のコンピュータによる 確 認 9 第 4 章 供 託 金 の 引 き 上 げ 10 第 5 章 コンピュータなどによる 選 挙 運 動 11 第 1 節 背 景 11 第 2 節 影 響 12 第 3 節 論 議 - 自 由 化 又 は 規 制 14

第 6 章 複 数 選 挙 区 での 立 候 補 禁 止 15 第 7 章 多 くの 無 投 票 当 選 16 第 1 節 背 景 16 第 2 節 影 響 18 第 8 章 結 論 19 参 考 22 附 表 1 24 附 表 2 25 附 表 3 26 政 治 団 体 の 寄 付 報 告 書 及 び 宣 誓 書 早 見 表 27 あとがき 28

シンガポールの 最 近 の 選 挙 事 情 はじめに シンガポールでは 原 則 として 議 会 議 員 選 挙 が 5 年 ごと 大 統 領 選 挙 が 6 年 ごとに 行 わ れる 首 相 府 の 管 轄 下 の 選 挙 局 がこの2つの 選 挙 事 務 を 管 理 している ( 注 前 回 の 議 会 議 員 総 選 挙 が 1997 年 1 月 2 日 1) に 行 われたので 次 回 の 選 挙 は 2002 年 8 月 までに 実 施 されなければならなかった そこで ゴー チョクトン 首 相 は 昨 年 (2000 年 )12 月 という 相 当 早 い 時 期 に 与 党 の 選 挙 戦 略 の 構 想 を 練 り 上 げていた ( 注 今 年 (2001 年 )に 入 って 9 月 28 日 には 選 挙 人 名 簿 2 ) の 縦 覧 開 始 10 月 18 日 には 議 会 の 解 散 が 行 われ 選 挙 告 示 日 は 10 月 25 日 に 投 票 日 は 9 日 後 の 11 月 3 日 に 設 定 され た シンガポールの 選 挙 日 程 はその 突 発 性 速 攻 性 に 特 徴 ( 野 党 に 十 分 な 選 挙 準 備 態 勢 を とらせないため)があるが 今 回 の 総 選 挙 は その 中 でも 最 たるものとなった ( 注 3 ) 2 001 年 11 月 3 日 の 総 選 挙 の 前 には グループ 選 挙 区 15 1 人 区 9の 合 計 24の 選 挙 区 があった グループ 選 挙 区 数 1 人 区 数 合 計 の 選 挙 区 数 は 選 挙 の 度 に 変 動 する ( 注 4 ) 今 回 は 総 選 挙 の 1 月 前 に( 候 補 者 の 戦 場 ともいうべき) 選 挙 区 が 再 線 引 きされ その 結 果 14のグループ 選 挙 区 と9の 1 人 区 の 計 23の 選 挙 区 で 現 行 より 1 名 増 の 84 の 議 席 が 争 われることとなった ( 詳 細 は 附 表 3 参 照 ) 与 党 People s Action Party( 人 民 行 動 党 ; 以 下 PAP という )が 選 挙 告 示 日 の 10 月 25 日 に 84 議 席 中 55 議 席 を 無 投 票 当 選 で 獲 得 したので 投 票 日 を 待 たずして 引 き 続 き 政 権 を 担 当 することとなった ちなみに 55 議 席 という 数 は 1968 年 の 総 選 挙 以 来 最 大 の 無 投 票 当 選 の 数 である 残 り 29 議 席 で 投 票 が 行 われる( 選 挙 が 争 われる) 結 果 となった そ の 内 訳 は 1 人 区 が 9 選 挙 区 グループ 選 挙 区 が4(1997 年 選 挙 の6 選 挙 区 から 大 幅 な 減 少 )である この 大 量 の 無 投 票 当 選 が 2001 年 選 挙 の 特 徴 で PAP の 新 人 候 補 者 のうち 18 ( 注 1) シンガポールでは 選 挙 後 最 初 の 議 会 が 開 会 されてから 議 員 の 任 期 が 始 まる 1997 年 1 月 2 日 の 総 選 挙 後 の 最 初 の 議 会 は 1997 年 5 月 に 開 会 された したがって 任 期 は 2002 年 5 月 までとなるが 議 会 解 散 後 3ヶ 月 以 内 に 選 挙 を 行 う こととなっているので 2002 年 8 月 までに 選 挙 を 実 施 すればよいということになる ( 注 2) < 選 挙 人 名 簿 > 選 挙 権 を 有 するすべてのシンガポール 国 民 ( 永 住 権 保 持 者 は 含 まれない)の 名 前 を 登 録 国 家 登 録 局 が 所 有 している 資 料 に 基 づき 原 則 として 自 動 的 に 登 録 定 期 的 に 更 新 直 近 の 総 選 挙 から3 年 以 内 に 更 新 ( 今 回 は 1999 年 6 月 )され 選 挙 区 ごとに 調 整 さらに 今 回 の 総 選 挙 では 2001 年 9 月 26 日 付 の 官 報 により 2001 年 8 月 31 日 が 登 録 基 準 日 とされたため 基 準 日 に 21 歳 以 上 になっている(1980 年 8 月 31 日 以 前 に 生 まれた)シンガポール 国 民 が 選 挙 人 名 簿 の 登 録 対 象 となった 調 整 後 は 14 日 間 の 縦 覧 に 供 され 自 己 の 登 録 に 関 する 訂 正 等 の 申 立 て 及 び 他 人 の 登 録 に 関 する 異 議 の 申 立 てに 対 応 縦 覧 を 経 て 確 定 された 選 挙 人 名 簿 が 次 回 の 選 挙 に 使 用 される ( 注 3) 選 挙 日 程 に 関 してゴー チョクトン 首 相 は 当 初 総 選 挙 は 2002 年 の 早 期 に 実 施 する 予 定 であったが 2001 年 9 月 11 日 アメリカ 合 衆 国 でのテロ 事 件 後 に 気 持 ちが 変 わった 差 し 迫 った 課 題 特 にテロ 事 件 以 降 より 深 刻 となった 不 況 下 での 職 の 創 設 といった 課 題 に 集 中 して 取 り 組 むことができるように 早 期 に 選 挙 を 実 施 すべきだと 思 った と 語 っ ている ちなみに 1980 年 以 降 の 多 くの 選 挙 では 選 挙 区 の 区 割 り 変 更 の 発 表 から 選 挙 の 告 示 日 までに 少 なくとも 1 月 以 上 の 間 隔 があった 唯 一 の 例 外 は 1991 年 の 総 選 挙 で 区 割 り 変 更 の 発 表 から 2 日 後 に 議 会 解 散 その 7 日 後 が 選 挙 の 告 示 日 であった ( 注 4) グループ 選 挙 区 は マレー 系 インド 系 又 はその 他 の 少 数 民 族 (ユーラシアンなど)から 議 会 に 代 表 を 送 れること を 保 証 するために 4 名 から 6 名 のグループを 選 出 単 位 (その 中 に 少 なくとも 1 名 はマレー 系 インド 系 又 はその 他 の 少 数 民 族 を 含 まねばならない)として 議 会 議 員 を 選 出 するためのものと 紹 介 されている 制 度 の 変 更 はシンガポールの 常 で 従 来 の 4 名 のグループ 選 挙 区 は 2001 年 の 総 選 挙 では 姿 を 消 し 5 名 及 び 6 名 のグループ 選 挙 区 のみとなった

名 が 無 投 票 で 議 員 に 選 出 されることとなった 2001 年 選 挙 の 投 票 日 においても PAP が 独 立 以 来 3 番 目 に 高 い 得 票 率 を 得 て 2 選 挙 区 を 除 き すべての 議 席 を 獲 得 するという 地 滑 り 的 勝 利 を 収 めた 与 党 PAP は 総 有 効 投 票 の75.3%の 得 票 を 得 たが これは 1968 年 選 挙 の86.7% 1980 年 選 挙 の77. 7%に 次 ぐ 3 番 目 に 高 い 得 票 率 で 前 回 1997 年 選 挙 の65%の 得 票 率 から10ポイント 上 昇 した ( 注 5 ) 本 レポートの 目 的 は 政 治 献 金 規 制 法 2000(the Political Donation Act 2000) 電 子 投 票 (E-voting) 海 外 投 票 (Overseas Voting)のような 選 挙 制 度 の 新 しい 要 素 の 特 徴 を 簡 潔 に 紹 介 することにある もっとも 電 子 投 票 と 海 外 投 票 を 実 施 するための 議 会 議 員 選 挙 法 ( 改 正 法 )the Parliamentary Elections (Amendment) Bill は 議 会 の 議 決 を 経 て 成 立 はし たものの これら2つの 新 しい 投 票 方 式 は 結 果 的 には 今 回 の 選 挙 には 適 用 されなかった それにもかかわらず 本 レポートは この3つの 新 しい 要 素 を 導 入 した 政 府 の 理 論 的 根 拠 その 適 切 性 と 必 要 性 について 議 論 し 併 せてそれらが 引 き 起 こした 論 争 についても 焦 点 を 当 てることとしている 本 レポートは また 供 託 金 の 13,000 ドルへの 引 き 上 げや 5 名 及 び 6 名 のグループ 選 挙 区 の 増 加 (への 傾 斜 )といった 選 挙 管 理 上 の 修 正 にも 触 れる 予 定 である 政 権 政 党 及 び 野 党 の 将 来 の 方 向 性 について 言 及 して 結 びとすることとしている ( 財 ) 自 治 体 国 際 化 協 会 シンガポール 事 務 所 長 ( 注 5 ) 今 回 の 総 選 挙 が 11 月 3 日 に 行 われ 最 初 の 議 会 が 11 月 23 日 に 開 会 されたので 次 の 総 選 挙 は 5 年 3 月 後 の 2007 年 2 月 23 日 までに 実 施 されることとなる

概 要 1984 年 シンガポール 建 国 の 第 1 世 代 から 第 2 世 代 への 政 権 移 譲 に 当 たって ゴ ー ケンスイ 副 首 相 は 我 々は 非 常 にユニークな 政 治 情 勢 の 中 にいる 他 の 民 主 主 義 諸 国 であれば 我 々が 行 っているようなことは 必 要 ないし 実 際 考 えるに 及 ばないで あろう 他 の 選 択 肢 として 野 党 が 常 に 準 備 されているからである しかし これは わが 国 には 当 てはまらない 我 々は 次 の 総 選 挙 での 議 員 閣 僚 の 大 幅 な 入 れ 替 え 作 業 を 準 備 中 であり 24 名 以 上 の 候 補 者 が 細 心 すぎる 位 の 選 抜 過 程 を 経 て 選 び 抜 かれた 次 の 総 選 挙 を 経 て 我 々の 政 権 に 参 画 する 予 定 の 諸 君 に ようこそわが 政 権 へ 諸 君 の 中 には 早 くから 全 身 全 霊 を 打 ち 込 むべき 神 聖 な 職 務 ( 政 治 ) への 参 画 を 自 負 していたものもいるであろう その 夢 が( 次 の 総 選 挙 を 経 て) 実 現 するのである 諸 君 は 現 在 のシンガポールの 到 達 点 を 頂 点 とみなすのではなく 次 の 新 たなる 高 峰 を 目 指 すためのベースと 考 えてほしい と 述 べている ( Old Guard, New Guard and Other Establishments と 題 する 1984 年 9 月 25 日 のスピーチから) 長 々と 引 用 したのは 他 でもない 20 年 近 くたって, 第 2 世 代 から 第 3 世 代 への 政 権 移 譲 の 前 提 となる 総 選 挙 が 2001 年 11 月 3 日 に 執 行 されたが 政 治 情 勢 はまった く 変 わりなかったばかりか そのユニークさがより 顕 著 となったからである 第 1 に 従 来 から 弱 かった 野 党 が 消 滅 しそうな 位 に 弱 くなったこと 第 2 に 今 回 の 選 挙 で 第 3 世 代 を 新 しい 感 覚 で 支 えるべき 新 人 候 補 25 名 が 能 力 人 柄 活 動 実 績 の 実 証 の 上 に 数 次 に 及 ぶ 与 党 幹 部 の 面 接 を 経 て 選 び 抜 かれたこと ちなみに 第 3 世 代 の 中 核 とみなされている 40 歳 代 のリー シェンロン 副 首 相 テォ チーヘン 教 育 相 ジョージ ヨー 通 産 相 などは 相 当 の 閣 僚 経 験 を 経 て いつでも 政 権 を 受 け 取 れる 態 勢 にある 第 3 に 84 議 席 のうち 3 分 の 2 にあたる 55 議 席 が 無 投 票 当 選 ( 全 員 が 与 党 議 員 ) で 議 席 が 確 定 したこと などである また 一 方 では こうした 政 治 情 勢 とは 別 に 実 際 の 選 挙 の 執 行 面 で IT 先 進 国 で 金 融 ハブ 情 報 ハブのシンガポールらしく 電 子 投 票 (e-voting)や 海 外 投 票 (oversea voting)の 動 きやコンピュータによる 選 挙 運 動 のルール 化 やコンピュータでの 選 挙 人 名 簿 のチェックなどの 新 しい 様 相 も 多 くみられた 本 レポートは こうした 最 新 のシンガポールの 選 挙 事 情 を 2001 年 の 総 選 挙 を 中 心 に 説 明 したもので シンガポール 事 務 所 のシェリー 調 査 員 がまとめたレポートを 所 長 の 平 谷 ができるだけ 原 文 のリズムを 崩 さないように 適 宜 補 足 説 明 を 加 えながら 翻 訳 したものである なお 選 挙 制 度 そのものについては 平 谷 著 シンガポールの 選 挙 制 度 ( 自 治 研 究 第 75 巻 第 11 号 )を 参 照 していただきたい ⅰ

第 1 章 政 治 献 金 規 制 法 (The Political Donation Act) 第 1 節 背 景 政 治 献 金 規 制 法 案 (The Political Donation Bill)は 2000 年 5 月 に 初 めて 議 会 で 議 論 さ れ 2001 年 2 月 15 日 から 施 行 された この 法 律 は 外 国 人 が 資 金 提 供 を 通 じて 国 内 政 治 に 介 入 するのを 防 ぐためのものである この 法 律 は また 政 治 団 体 候 補 者 又 は 選 挙 代 理 人 が 許 可 された 資 金 提 供 者 以 外 の 者 からの 寄 付 を 受 けることを 禁 止 し 併 せて 匿 名 の 寄 付 の 受 け 取 りを 制 限 しようとするもの である 第 2 節 動 機 こうした 規 制 をするのは 何 もシンガポールが 最 初 という 訳 ではない 多 くの 国 々 例 えばアメリカ 合 衆 国 カナダ インド フランス 日 本 香 港 台 湾 ドイツといった 国 々 も 既 に 外 国 からの 政 治 献 金 を 禁 止 又 は 制 限 する 法 律 を 有 している 大 韓 民 国 では 政 治 資 金 法 (Political Funds Act)に 基 づき 外 国 人 及 び 外 国 企 業 ( 大 韓 民 国 の 国 籍 所 持 者 が 経 営 している 外 国 企 業 を 除 く)は いかなる 政 党 へも 政 治 資 金 を 提 供 することは 認 められない 英 国 も 同 様 に 最 近 政 党 選 挙 及 び 住 民 投 票 法 案 (Political parties, Elections and Referendum Bill) を 導 入 した 2000 年 5 月 22 日 議 会 での 第 2 読 会 の 場 でウォン カンセン 内 務 相 は 次 のように 説 明 した 外 国 人 が 直 接 シンガポールの 政 治 団 体 の 主 義 を 支 持 したり 候 補 者 に 投 票 したりするよ り 政 治 団 体 や 候 補 者 を 支 持 するために 献 金 することの 方 がより 合 法 である という 理 由 はどこにもない シンガポールの 政 治 は シンガポール 国 民 のためだけに 行 われるべきである 政 治 的 に 脆 弱 な( 外 国 の 干 渉 や 侵 略 を 受 けやすい) 島 国 の 国 家 として 国 内 政 治 に 外 国 からの 干 渉 を 取 り 除 く 必 要 がある もっとも 最 近 そんな 事 例 があって 法 律 を 改 正 しなけ ればならないという 訳 ではないが 実 際 2001 年 の 総 選 挙 においても この 新 しい 規 制 に 違 反 した 政 党 や 候 補 者 は 全 くなかった 第 3 節 影 響 この 法 律 に 基 づいて 政 党 及 び 候 補 者 は 外 国 のグループからの 寄 付 を 受 けることができ なくなった 今 回 初 めて 2001 年 の 総 選 挙 に 立 候 補 した 候 補 者 は 前 年 受 けた 寄 付 がすべ て 合 法 であると 証 明 するために 政 治 献 金 証 明 書 を 選 挙 の 告 示 日 に 提 出 するよう 求 めら れた 政 治 献 金 証 明 書 は 立 候 補 予 定 者 が 遅 くとも 選 挙 告 示 日 の 2 日 前 までに 選 挙 前 寄 付 報 告 書 及 び 宣 誓 書 を 政 治 的 寄 付 登 録 所 に 提 出 した 場 合 に 選 挙 告 示 日 の 前 日 まで に 発 行 される 政 党 政 治 機 関 大 統 領 選 挙 又 は 議 会 議 員 選 挙 の 候 補 者 及 び 選 挙 代 理 人 のほか 同 一 の 政 党 に 暦 年 で 1 年 以 内 に( 数 回 の 小 額 寄 付 に 分 けた 場 合 でも) 合 計 して 10,000 ドル 以 上 1

の 寄 付 をした 者 は 寄 付 報 告 書 及 び 宣 誓 書 を 政 治 的 寄 付 登 録 所 に 提 出 しなければならな い 第 4 節 匿 名 の 寄 付 この 法 律 は 政 治 団 体 が 当 該 団 体 の1 会 計 年 度 を 通 じて 5,000 ドル 未 満 の 匿 名 の 寄 付 を 受 けることができるとしている 同 様 に 候 補 者 も 選 挙 告 示 日 の 前 に 行 われる 宣 誓 の 日 か ら 数 えて 前 12 ヶ 月 の 間 に 5,000 ドル 未 満 の 匿 名 の 寄 付 を 受 けることができる この 5,000 ドルという 金 額 は 本 当 の 善 意 の 寄 付 者 が 小 額 の 寄 付 をするのを 認 めること と 匿 名 を 隠 れ 蓑 にして 重 大 な 外 国 の 寄 付 が 行 われないように 抜 け 穴 をふさぐという2つの 要 請 を 満 たすために 採 用 されたものである もし 政 治 団 体 又 は 候 補 者 に 1 名 の 匿 名 の 寄 付 者 から 5,000 ドル 以 上 の 小 切 手 の 提 供 が あった 場 合 は 当 該 政 治 団 体 又 は 候 補 者 はその 小 切 手 を 受 け 取 ることはできず 提 供 の 日 から 30 日 以 内 に 当 該 小 切 手 を 小 切 手 発 行 銀 行 へ 返 却 しなければならない 個 々の 匿 名 の 寄 付 は 総 体 として 取 り 扱 われるので 2,3のより 小 さな 寄 付 に 分 割 する ことはできない 例 えば 匿 名 の 寄 付 を 既 に 4,000 ドル 受 け 取 っている 場 合 に 新 たに 3,000 ドルの 匿 名 の 寄 付 の 提 供 があった 時 は 3,000 ドルを(999 ドル 99 セントと 2000 ドル 1 セントに) 分 割 して 4,999 ドル 99 セントまで 匿 名 の 寄 付 を 受 けるというようなことはで きない これは その 政 治 団 体 又 は 候 補 者 に 寄 付 する 場 合 に 匿 名 のままでいたいという 善 意 の 寄 付 者 の 思 いを 慮 った 取 り 扱 いである ( 分 割 すれば その 過 程 で 寄 付 者 の 氏 名 がで てしまうので) 第 5 節 寄 付 ができる 者 及 び 総 計 で 10,000 ドル 以 上 の 寄 付 の 取 り 扱 い 寄 付 ができる 者 は 21 歳 以 上 のシンガポール 国 民 又 は 事 業 を 専 ら 若 しくは 主 にシンガ ポール 国 内 で 行 っているシンガポールの 管 轄 下 にある 企 業 である 永 住 権 保 有 者 21 歳 未 満 のシンガポール 国 民 並 びに 協 会 労 働 組 合 互 助 会 慈 善 団 体 協 同 組 合 及 び 相 互 保 険 のような 団 体 は 寄 付 ができない 政 治 団 体 は いかなる 寄 付 でも 受 け 取 った 段 階 で 領 収 書 を 寄 付 者 に 発 行 するとともに 寄 付 の 詳 細 及 び 寄 付 者 の 属 性 ( 具 体 的 には 氏 名 住 所 寄 付 の 額 受 領 日 )を 記 録 しな ければならない 寄 付 者 の 同 一 政 党 に 対 する 寄 付 の 総 額 が 暦 年 で 1 年 の 間 に 10,000 ドル 以 上 となった 場 合 には 当 該 寄 付 者 は 寄 付 報 告 書 及 び 宣 誓 書 を 政 治 的 寄 付 登 録 所 に 提 出 しなければならない 第 6 節 パンフレットの 印 刷 のようなサーヴィスの 形 態 での 寄 付 印 刷 会 社 がただで 政 治 団 体 に 印 刷 サーヴィスを 提 供 した 場 合 それは 政 治 団 体 に 対 す る 当 該 印 刷 会 社 の 寄 付 とみなされる 政 治 団 体 はそのサーヴィスを 受 け 取 る 前 に その 印 刷 会 社 が 寄 付 できる 者 ( 上 述 した 基 準 のシンガポールの 企 業 かどうか)を 確 認 しなければ ならない さらに 記 録 に 残 し その 価 値 が 10,000 ドル 以 上 の 場 合 には 寄 付 報 告 書 及 び 宣 誓 書 を 政 治 的 寄 付 登 録 所 に 提 出 しなければならない 2

ただし この 法 律 の 規 制 の 対 象 となるのは 選 挙 時 に 個 人 の 選 挙 を 応 援 する 目 的 で 行 わ れる 寄 付 (ポスターの 印 刷 など)に 限 られる 第 7 節 寄 付 報 告 書 は 一 般 公 開 されない 政 治 的 寄 付 登 録 所 に 提 出 された 寄 付 報 告 書 は 原 則 として 一 般 公 開 されない というの も 一 般 公 開 が 政 治 団 体 や 候 補 者 に 対 する 寄 付 できる 者 の 寄 付 を 抑 制 する 方 向 に 働 く 恐 れ があるからである 第 8 節 まとめ この 法 律 は シンガポールの 国 内 政 治 過 程 から 外 国 の 影 響 を 排 除 し 続 けるという 目 的 か ら 見 れば 賞 賛 さるべきものである 政 治 団 体 は 受 け 取 った 寄 付 を 計 算 し 記 録 するという 多 少 の 手 間 ひまは 必 要 となるが シンガポールの 政 治 過 程 の 独 立 と 高 潔 さを 保 持 し 続 けるという 観 点 からは この 程 度 の 手 間 ひまはものの 数 ではない (p28 : 政 治 団 体 の 寄 付 報 告 書 及 び 宣 誓 書 早 見 表 ) 3

第 2 章 電 子 投 票 (Electronic Voting : e-voting) 第 1 節 背 景 現 在 シンガポールは 議 会 議 員 選 挙 大 統 領 選 挙 ともに 投 票 用 紙 による 投 票 システムを 採 っている しかしながら ベルギー オランダ アメリカ 合 衆 国 で 採 用 されている 様 々 なタイプの 電 子 投 票 システムを 検 証 した 後 政 府 は パソコンを 基 礎 にしたタッチスクリ ーン 方 式 を 選 択 することとした 政 府 は また 有 権 者 が 当 該 システムに 慣 れることがで きるように 当 初 は 限 定 された 地 域 で 導 入 する 計 画 を 立 てていた ところが 総 選 挙 が 突 発 的 に 行 われたため このシステムの 導 入 を 次 の 選 挙 まで 延 期 せざるを 得 なかった とい うのも このシステムをテストする 時 間 的 余 裕 も このシステムを 使 えるようにするため の 大 衆 教 育 を 国 民 に 実 施 する 時 間 的 余 裕 もなかったからである 第 2 節 動 機 投 票 用 紙 による 投 票 システムは 人 手 がかかって 仕 方 がないこと 選 挙 局 が 公 共 部 門 が 順 次 民 営 化 されていく 傾 向 から ( 他 の 部 局 の) 公 務 員 を 選 挙 担 当 の 公 務 員 として 駆 り 出 すことがますます 困 難 になっていくであろうと 予 見 していたことから 電 子 投 票 システム が 採 用 された また 電 子 投 票 システムは 便 利 で 時 間 の 節 約 にもなる コンピュータとタッチスクリーンのモニターは 選 挙 後 は 他 の 用 途 にも 活 用 できるので 選 挙 の 合 間 の 保 管 維 持 及 びシステムの 旧 弊 化 (に 伴 う 更 新 )の 問 題 も 生 じない 電 子 投 票 は また 従 来 の 投 票 用 紙 投 票 のあいまいさを 減 少 させるとともに より 速 い 投 票 の 集 計 ができるようになる 第 3 節 電 子 投 票 の 手 順 1 投 票 者 はチェックのために( 本 人 確 認 のために)ID カードを 提 示 した 後 係 員 の 指 示 に 従 って 指 定 された 投 票 ブースに 向 かう コンピュータのスクリーンには 投 票 用 紙 の イメージの 表 示 が 現 れてくる それは 従 来 慣 れ 親 しんでいる 投 票 用 紙 のイメージと 全 く 同 様 のものである 2 投 票 ブースごとにタッチスクリーンのコンピュータが 置 かれており 投 票 者 はスクリ ーンの 所 定 の 箇 所 にタッチすることにより 使 用 言 語 (シンガポールでは 英 語 中 国 語 マレー 語 タミール 語 の 4 言 語 が 公 用 語 なので)を 選 択 することができる 3 スクリーンには その 選 挙 区 で 競 っている 政 党 及 び 候 補 者 の 詳 細 とともに アイコン ( 印 )があらわれる 投 票 者 は スクリーンの 一 定 箇 所 にタッチすることにより 選 択 した 政 党 を 指 し 示 し 次 いで 投 票 を 行 う 4 スクリーン 上 の 投 票 の 確 認 の 文 字 が 点 滅 する その 投 票 の 複 写 が 別 の 安 全 確 実 な( 透 明 な) 箱 の 中 の 機 器 に 打 ち 出 され 保 管 される 試 行 が 成 功 すれば 選 挙 局 は 従 来 の 方 式 を 全 廃 して 新 システムに 切 り 替 える 予 定 であ る 4

投 票 された 投 票 用 紙 のすべての 記 録 が 中 央 集 約 システムに 保 存 され 投 票 時 間 の 終 了 と 同 時 に 投 票 の 集 計 が 自 動 的 電 子 的 に 行 われる 投 票 が 行 われなかった 場 合 又 はわざとすべての 政 党 に 投 票 することにより 無 効 票 と なるように 細 工 したような 場 合 は 白 票 として 記 録 される 第 4 節 安 全 確 保 ( 不 正 投 票 の 防 止 )の 方 策 安 全 確 保 ( 不 正 投 票 の 防 止 )のため 選 挙 担 当 官 は 電 子 投 票 システムを 点 検 することが できる ( 具 体 的 には 電 子 投 票 直 接 記 録 マシン Direct Recording Electronic(DRE) voting machines のことで 投 票 日 の 前 に 複 数 の 政 党 又 は 選 挙 代 理 人 の 立 会 いの 下 での 点 検 ) 点 検 後 当 該 マシンは 封 印 され 投 票 日 当 日 に 取 り 出 され 封 印 が 解 かれる それぞれの 投 票 所 では 投 票 管 理 官 が 投 票 日 当 日 マシンの 使 用 開 始 前 に 当 該 機 器 にい かなる 不 正 な 細 工 も 施 されていない 旨 の 確 認 をしなければならない 万 一 のシステムダウンや 停 電 に 備 えて 技 術 者 及 び 予 備 の 発 電 機 が 用 意 されている しかしながら 仮 に 全 部 のシステムが 機 能 しなくなった 場 合 には 後 ほど 投 票 用 紙 によ る 投 票 を 行 うか 改 めて 同 様 の 電 子 投 票 (DRE)を 行 うかのいずれかとなり 振 り 出 しに 戻 ら ざるを 得 なくなるかもしれない この 場 合 には 日 を 改 めて 1 週 間 以 内 の 別 の 日 に 延 期 す ることもできる 停 電 によって 生 じる 中 断 を 防 止 するため 電 子 投 票 システムを 採 用 している 投 票 所 には 予 備 の 発 電 機 を 用 意 する ハッカーを 防 止 するため 電 子 投 票 システムと 集 計 センターとの 間 はオンラインで 接 続 しない 第 5 節 論 議 ほとんどのシンガポール 国 民 が IT の 実 務 的 知 識 を 有 するようになってきているし こ のように 技 術 的 に 進 んでいることを 政 府 も 活 用 すべきなのだが より 高 齢 の 世 代 は 新 しい 機 器 に 適 応 することが 困 難 と 思 うかもしれない ( 注 6 ) DRE マシンは 投 票 者 により 困 惑 をもたらすかもしれない カリフォルニア 工 科 大 学 及 びマサチューセッツ 工 科 大 学 の 最 近 の 研 究 によれば 電 子 投 票 は 無 効 票 を 増 加 させる 方 に 働 くと 報 告 されている 他 のいかなるシステムによる 場 合 よ りも パンチカードや DRE マシンシステムによった 場 合 の 方 が 無 効 投 票 の 率 が 平 均 して 高 いという 有 意 の 記 録 が 現 れている そこで 国 民 がよりこの 電 子 投 票 システムに 馴 染 めるようになるために できるだけ 早 期 に 国 民 に 積 極 的 な 大 衆 教 育 プログラムを 提 供 する 必 要 がある ( 注 6 ) シンガポールでは 最 近 の 新 聞 の 調 査 によれば ATMs( 現 金 自 動 支 払 機 )を 利 用 するより 銀 行 の 支 店 で 順 番 待 ちをする 方 が 好 きと 言 う 者 もいる このことは 国 民 の 中 に 未 だに 新 しい 技 術 を 使 うことがで きない 又 は 使 うのが 嫌 である 者 がいるということを 示 している 5

より 親 近 感 を 持 てるように 議 会 議 員 選 挙 法 ( 改 正 法 )の 追 加 規 定 第 50 条 D は スク リーン 上 の 投 票 用 紙 のイメージは( 従 来 の) 投 票 用 紙 の 様 式 と 全 く 同 様 の 様 式 とすると 規 定 している 選 挙 局 は パイロット 選 挙 区 だけでなく 全 国 民 を 対 象 にコミュニティクラブや 近 隣 シ ョッピングセンターといった 身 近 な 多 くの 場 所 で 拡 充 された 大 衆 教 育 プログラムを 提 供 す る 予 定 である 投 票 日 当 日 には デモンストレーション( 展 示 ) 用 のマシンが 投 票 所 に 設 置 される 予 定 である 仮 に 投 票 者 が(これだけ 教 育 したとしても)まだ 助 けを 必 要 とするような 場 合 に は 選 挙 担 当 官 達 が このデモンストレーション( 展 示 ) 用 のマシンで 投 票 のやり 方 を 教 えることで 投 票 の 手 助 けをする 予 定 である 6

第 3 章 海 外 投 票 (Overseas Voting) 第 1 節 海 外 投 票 の 理 由 1997 年 の 議 会 議 員 総 選 挙 の 統 計 によれば 約 43,000 名 の 有 権 者 率 にして 有 権 者 総 数 の2% 強 が 海 外 に 居 住 していると 選 挙 局 は 推 計 していた 更 に 何 年 も 海 外 に 住 んでいて 長 期 にわたって 選 挙 人 名 簿 の 登 録 が 更 新 されていない 者 も 相 当 数 いると 見 込 まれる それで 外 務 省 は 経 済 の 国 際 化 を 背 景 に 当 時 よりも 多 くのシンガポール 国 民 が 海 外 で 働 いたり 勉 強 したりしている 点 を 考 慮 して 現 在 海 外 にいるシンガポール 国 民 は 約 1 0 万 人 と 推 計 している ( 前 回 の 選 挙 時 )より 多 くのシンガポール 国 民 が 海 外 に 居 住 していることを 認 識 したの で 政 府 は 5ヵ 所 の 在 外 公 館 ( 大 使 館 )すなわち 北 京 キャンベラ 香 港 ロンドン ワシントンで 海 外 投 票 を 施 行 することとしていた この5つの 在 外 公 館 が 選 ばれたのは 中 国 オーストラリア 香 港 ヨーロッパ アメ リカに 相 当 数 のシンガポール 国 民 が 居 住 していることに 加 えて 当 該 在 外 公 館 が 選 挙 を 実 施 するための 十 分 なスタッフを 有 しているためである 第 2 節 海 外 投 票 の 有 権 者 資 格 現 行 の 選 挙 法 は シンガポールに 通 常 居 住 しているシンガポール 国 民 のみが 選 挙 できる と 規 定 している 厳 格 に 解 釈 すれば シンガポールに 通 常 居 住 していないシンガポール 国 民 は 選 挙 人 名 簿 に 登 録 されないということになる そこで 海 外 投 票 が 認 められるため には 通 常 居 住 している という 定 義 が 拡 張 されなければならなかった 改 正 法 第 3 項 は 議 会 議 員 選 挙 法 第 5 条 を 修 正 し 住 民 でないシンガポール 国 民 をシンガポールに 通 常 居 住 している とみなし 海 外 投 票 のための 登 録 前 の 5 年 間 に 合 計 2 年 以 上 のシンガポール での 居 住 暦 がある 場 合 に 限 って 有 権 者 として 選 挙 人 名 簿 に 登 録 することができるようにし た 5 年 間 というのは 議 会 議 員 の 法 定 の 通 常 の 任 期 に 対 応 するものである ( 注 7 ) もっとも 5 年 間 に 合 計 2 年 以 上 のシンガポールでの 居 住 暦 という 基 準 は 政 府 の 命 で 海 外 に 職 務 又 は 勉 学 で 派 遣 された 国 民 及 びその 家 族 には 適 用 されない また 政 府 の 承 認 を 受 けた 国 際 機 関 に 勤 務 する 者 も 同 様 である というのも 政 府 の 命 を 受 けて 海 外 で 長 期 にわたって 勤 務 する 者 や 政 府 派 遣 の 留 学 生 の 中 には (この 要 件 に 合 致 せず)たまたま 選 挙 権 を 失 うものがいるかもしれない 点 を 配 慮 したものである また 居 住 暦 の 要 件 は 選 挙 区 決 定 のため また 2 重 投 票 防 止 のための 必 要 な 前 提 条 件 ともなる シンガポールの 議 会 選 挙 は 選 挙 区 をベースに 行 われる 従 って シンガポ ールでの 住 居 は 選 挙 期 間 中 に 投 票 する 特 定 の 選 挙 区 を 割 り 振 るための 基 準 となりうる ( 注 7 ) 海 外 投 票 の 登 録 資 格 として ( 本 国 での) 居 住 要 件 を 必 要 とするのは 国 際 的 に 見 てもそれ 程 珍 しいこ とではない ニュージーランドでは 出 国 後 3 年 以 内 カナダでは 出 国 後 5 年 以 内 の 国 民 に 限 って 海 外 投 票 の 登 録 資 格 を 有 するとされている この 両 国 とも 政 府 の 役 人 及 びその 家 族 については この 居 住 要 件 は 不 要 とされている インドやイスラエルのように 外 交 官 及 び 政 府 特 使 に 限 って 海 外 投 票 を 認 めている 国 も ある 7

また シンガポールでの 住 居 を 基 準 とした 特 定 の 選 挙 区 の 割 り 振 りなしでは 容 易 に 2 重 投 票 が 可 能 となり しかも それを 見 つけ 出 すのが 困 難 となるからである 投 票 しようとする 海 外 に 居 住 するシンガポール 国 民 は いまだに 住 宅 を 所 有 している 又 は 何 らかの 関 連 を 有 しているシンガポールの 住 所 を 登 録 しなければならない というのも このシンガポールの 住 所 が 彼 又 は 彼 女 が 属 する 選 挙 区 を 決 定 する 際 の 基 礎 として 使 われ るからである 2 重 ( 多 重 ) 投 票 を 防 止 するために シンガポールの 住 所 は 自 身 又 は 親 戚 の 所 有 する 家 屋 に 属 するものに 限 られる 友 人 の 所 有 する 家 屋 は 認 められない もし 友 人 の 所 有 する 家 屋 を 認 めるとすると 友 人 の 定 義 が 困 難 であるので シン ガポールの 住 所 としてあらゆる 人 物 の 住 所 を 利 用 することが 可 能 となってしまうからであ る 第 3 節 海 外 投 票 の 段 取 り 海 外 で 投 票 しようとする 有 権 者 は 選 挙 局 又 は 在 外 公 館 の1つで 事 前 の 登 録 をしなけ ればならない これによって 選 挙 局 は 必 要 な 資 材 を 決 定 し 準 備 することができる 海 外 投 票 のための 登 録 は シンガポールにおける 選 挙 人 名 簿 の 縦 覧 期 間 と 同 時 期 に 在 外 公 館 で 開 始 される この 海 外 投 票 のための 登 録 は 21 日 間 行 われる これは シンガポー ルにおける 選 挙 人 名 簿 の 縦 覧 期 間 の 14 日 間 よりも 7 日 間 長 くなっている 海 外 の 有 権 者 に 登 録 の 情 報 が 届 き 在 外 公 館 に 登 録 のために 出 向 くのに 余 分 の 時 間 がかかることを 慮 っ た 措 置 である 第 4 節 投 票 日 海 外 投 票 は シンガポールでの 投 票 日 にできる 限 り 近 づけて 行 われる 海 外 投 票 は シンガポールでの 投 票 開 始 より 早 く 開 始 することはできるが シンガポー ルでの 投 票 終 了 よりも 遅 く 終 了 することはできない ロンドンの 大 使 館 での 投 票 を 例 にとると シンガポールで 午 後 8 時 に 投 票 が 終 了 した 時 点 では ロンドンは 正 午 に 過 ぎない そこで 有 権 者 に 十 分 な 投 票 時 間 を 与 えるために シンガポールでの 投 票 終 了 よりも 遅 く 終 了 することはできないので シンガポールの 投 票 日 の1 日 前 に 実 施 されることとなろう 第 5 節 論 議 国 家 公 務 員 及 び 国 費 留 学 生 を 例 外 とした 5 年 間 に 合 計 2 年 以 上 のシンガポールでの 居 住 暦 という 基 準 は (エリートと 一 般 人 とは) 違 いがあるのだということをあらわにすること によって 有 権 者 の 間 に1つの 特 権 階 級 を 創 り 出 したようにもみえる しかしながら 政 府 は 国 家 公 務 員 と 国 費 留 学 生 は 義 務 の 履 行 として 海 外 に 派 遣 されて いるので 彼 らが 選 挙 時 にシンガポールにいなかったというだけの 理 由 で 投 票 権 を 奪 うこ とは 問 題 であろうと 説 明 して 正 当 化 に 努 めている 8

第 6 節 突 然 の 決 定 の 変 更 2001 年 9 月 27 日 に 翌 28 日 から 海 外 の 有 権 者 の 登 録 が 開 始 され かれらに 投 票 所 入 場 券 が 発 行 されると 発 表 された 海 外 での 登 録 の 締 め 切 りは 10 月 18 日 にセットされた しかるに 登 録 が 始 まったわずか 1 日 後 に 政 府 は 2001 年 総 選 挙 に 海 外 のシンガポー ル 国 民 が 投 票 できるという 決 定 を 覆 した その 理 由 は 2001 年 9 月 11 日 の 米 国 の 同 時 多 発 テロ 事 件 以 降 の 最 重 要 の 安 全 確 保 の 観 点 である 次 いで 海 外 投 票 を 認 めるという 現 行 の 規 定 を 一 時 的 に 執 行 停 止 するための 法 律 案 が 議 会 に 上 程 された 第 7 節 決 定 変 更 に 関 する 論 議 海 外 のシンガポール 国 民 の 中 には 失 望 を 露 にし 政 策 の 変 更 によって 議 会 の 議 論 と 海 外 投 票 の 登 録 が 無 駄 になったと 感 じたものもいた この 変 更 は 性 急 ( 拙 速 )で 議 会 での 長 期 に 及 ぶ 論 議 の 末 にこの 法 案 を 議 決 した 議 員 の 努 力 を 無 にするものと 受 け 取 られている 政 府 が 言 及 した 安 全 確 保 の 観 点 は 下 手 な 言 い 訳 と 感 じる 者 もおり 彼 らは 仮 に 政 府 が ワシントンでの 投 票 を 中 止 したいというのであれば 残 りの 他 の4 都 市 での 海 外 投 票 は 予 定 通 り 実 施 すべきであるし 在 外 公 館 以 外 の 他 の 場 所 で 実 施 するという 選 択 肢 も 考 慮 すべ きであったと 論 じている 突 発 性 の 選 挙 によって 海 外 投 票 の 実 施 が 不 可 能 になったとするのがもっとも 自 然 な 理 由 であろう 政 府 は 海 外 のシンガポール 国 民 がどうしても 投 票 したいというのであれば シンガポ ールにやって 来 て 投 票 するべきだとも 提 言 している しかしながら 総 選 挙 は 短 い 周 知 期 間 で 実 施 されることが 通 例 なので この 提 言 が 現 実 的 でないことはあきらかである しかしながら 限 定 的 なものとはいえ 海 外 投 票 を 導 入 しようとする 政 府 の 動 きは 海 外 のシンガポール 国 民 を 国 内 政 治 にリンクし 国 家 への 帰 属 意 識 を 持 たせるため 第 1 歩 を 踏 み 出 したとみなすことができる そうしないと 海 外 のシンガポール 国 民 が 国 内 政 治 に 興 味 を 持 たなくなってしまう 恐 れがあるからである これは シンガポールに 長 期 にわたって 才 能 にあふれた 人 材 をつなぎとめておく 必 要 性 とも 関 連 を 有 するものである 第 8 節 選 挙 人 名 簿 のコンピュータによる 確 認 (Checking Electoral Registers Online) シンガポール 国 民 は 選 挙 人 名 簿 に 登 録 されているかどうかを 確 認 するために コミュ ニティセンターに 出 かけていって 選 挙 人 名 簿 のページをめくる 必 要 はない 選 挙 局 のウ ェブサイト(www.elections.gov.sg) 又 は e-citizen のゲート(www.citizen.gov.sg)の 関 連 箇 所 に 自 己 の ID カードナンバーと 生 年 月 日 をキーで 入 力 するだけでよい 9

第 4 章 供 託 金 の 引 き 上 げ(Election Deposit Raised to S$13,000) 選 挙 の 供 託 金 は 1988 年 6 月 に 前 年 の 議 員 報 酬 の8%とするという 方 式 に 改 めると いう 法 律 改 正 が 行 われるまでは 1,500 ドルに 固 定 されていた その 際 政 府 はこれは 泡 沫 候 補 の 立 候 補 を 防 止 するための 措 置 であると 説 明 した 爾 来 何 年 にもわたって 供 託 金 の 額 は 議 員 報 酬 の 増 額 により 著 しく 増 加 した 1988 年 には 4,000 ドル 1991 年 には 6,000 ドル 1997 年 には 8,000 ドルといった 具 合 である 昨 年 議 員 は 12 月 の 給 与 と1 月 プラス 3/4(4 分 の 3) 月 のボーナスを 得 てトー タルした 年 収 は 162,250 ドルに 上 った その8%は 12,900 ドルとなるが ( 法 律 の 規 定 で)500 ドル 単 位 で 丸 めることとされているので 13,000 ドルが 供 託 金 の 額 となった しかしながら この 新 しい 方 式 は 多 くの 野 党 には 好 感 を 持 って 受 け 取 られていないよう に 思 われる 現 下 の 厳 しい 経 済 情 勢 から 野 党 が 多 くの 議 席 を 争 うことを 防 止 するための 戦 略 と 受 け 取 られている 例 えば 5 名 のグループ 選 挙 区 では 65,000 ドルを 準 備 しな ければならないが 資 金 に 困 窮 している 野 党 やその 候 補 者 にとっては 相 当 に 重 い 額 であ る ( 注 8 ) 新 たな 政 治 献 金 規 正 法 の 施 行 とあいまって 大 口 の 寄 付 者 が 名 前 が 出 るのを 心 配 するか もしれないので 野 党 にとって 必 要 な 資 金 を 集 めることがますます 困 難 となる 供 託 金 は 候 補 者 又 は 政 党 の 得 票 数 が 有 効 投 票 総 数 の 8 分 の 1 に 達 しない 場 合 には 没 収 される ( 注 9 ) 従 って 政 党 の 候 補 者 は 選 挙 運 動 に 資 金 援 助 してくれる 支 持 者 と 自 己 の 個 人 的 な 資 金 にますます 頼 らざるを 得 ない 傾 向 が 強 まってきている ( 注 8 ) 供 託 金 の 増 額 と 附 合 するように 2001 年 の 総 選 挙 では 無 投 票 当 選 の 数 が 過 去 最 高 であったこと 投 票 が 行 われたグループ 選 挙 区 が 1997 年 の6から4に 減 少 したことを 想 起 されたい これは 与 党 PAP の 新 人 候 補 者 18 名 が 無 投 票 当 選 する 要 因 ともなった ( 注 9 ) 2001 年 総 選 挙 では 2 名 の 候 補 者 が 供 託 金 を 没 収 された 無 所 属 のタン キムチュアン 候 補 (4,9% の 得 票 )と 民 主 進 歩 党 のタン リードシェイク 候 補 (12%の 得 票 )である 10