はじめに 近 年 はエルニーニョ 現 象 のため 高 温 の 日 が 何 日 も 続 くようになってきまし た また 原 発 停 止 による 節 電 のため 冷 房 をなるべく 使 わず じっと 暑 さを 耐 え しのぐ 生 活 を 強 いられるようになってきました 高 温 の 日 には 熱 中 症 搬 送 者 が 何 人 いたかが 報 道 され この 人 数 が 暑 さのバロメータになっています 私 たち 人 間 を 含 めた 恒 温 動 物 は 生 体 恒 常 性 (ホメオスターシス)を 働 かせるこ とによって 外 気 温 にかかわらず 体 温 を 一 定 に 保 ち 生 命 を 維 持 しています 夏 の 暑 さに 対 応 するため 放 熱 すると 基 礎 代 謝 ( 生 命 を 維 持 するのに 最 小 限 必 要 なエネルギー 代 謝 のこと) が 高 くなり 体 内 のタン 白 質 が 多 く 消 費 されます さらに 発 汗 による 過 剰 なミネラル 喪 失 脱 水 など も 起 こります 結 局 猛 暑 の 条 件 下 では 身 体 が 気 候 の 変 動 に 順 応 できず 生 体 恒 常 性 が 保 てなくなります これが 夏 バテ と 言 われる 様 々な 症 状 につながり 体 力 や 免 疫 力 を 減 退 させる 原 因 となっています ちょっと 涼 しくなった 9 月 ごろになって その 症 状 が 出 てきます だるい 冷 える めまいがする 食 欲 不 振 下 痢 便 秘 肌 が 荒 れる 髪 がばさつく などと 言 った 症 状 です 昨 年 までは に 縁 がなかった 人 でも 年 を 重 ねるごとに 体 力 が 衰 え 摂 取 する 栄 養 の 吸 収 効 率 が 下 がってくるため 今 年 は の 症 状 が 出 てくるかも 知 れませんね そんなあなたに 症 状 の 説 明 と 対 策 をお 教 えしましょう 目 次 ページ 1. 汗 とミネラル 2 2. 食 欲 不 振 3 3. 自 律 神 経 の 乱 れ 3 4. 糖 質 の 過 剰 摂 取 4 5.まとめ 4 5.あとがき 5 1
1. 汗 とミネラル 体 温 の 調 節 は 発 熱 と 放 熱 によっておこなわれていますが それに 重 要 な 役 目 を 果 たすのが 汗 の 分 泌 です 日 常 皮 膚 から 汗 として 放 散 される 水 分 量 は 600~ 700ml/ 日 で 水 が 蒸 発 するとき 蒸 発 熱 として 体 熱 を 放 散 し ます 汗 はただの 水 ではなく 表 1に 見 られるように ナトリウ ムやカリウムを 中 心 に 多 くのミネラルが 含 まれており 発 汗 とともに 失 われていきます ここでミネラルは 体 の 中 で どんな 働 きをしているかを 説 明 しましょう ナトリウム: 血 清 中 の 陽 イオンの 90% 以 上 を 占 め 水 分 の 保 持 や 浸 透 圧 の 調 節 をしている カリウム: ナトリウムと 同 じように 細 胞 内 外 の 液 の 陽 イオンとなり 浸 透 圧 の 調 整 をして 細 胞 の 大 きさを 一 定 にしている この 時 細 胞 内 の 過 剰 なナトリウムを 外 にくみ 出 している また 神 経 の 興 奮 や 心 筋 の 働 きをサポートしたり 核 酸 などの 高 分 子 化 合 物 を 安 定 化 している カルシウム: 99%は 骨 の 材 料 として 固 定 されている 血 液 中 のカルシウムは 心 筋 収 縮 や 血 液 の 凝 固 に かかわっている 細 胞 内 のカルシウムは 細 胞 の 浸 透 圧 や 細 胞 に 出 入 りする 物 質 を 調 整 して いる マグネシウム: 300 種 以 上 の 酵 素 反 応 の 補 助 因 子 となっていて 人 体 に 存 在 するほとんどの 酵 素 の 活 性 化 に 関 与 している 塩 素 : 血 液 中 の 陰 イオンの 多 くを 占 めて ph を 調 節 している 発 汗 による 水 分 やミネラルの 消 耗 は 直 ちに 補 給 をしない 限 り 循 環 血 液 量 は 低 下 し 脱 水 症 状 になり ます 循 環 血 液 量 が 低 下 すると 血 圧 低 下 起 立 性 低 血 圧 頻 脈 立 ちくらみ めまい 皮 膚 の 乾 燥 などの 症 状 を 生 じます さらに 脱 水 による 血 液 の 濃 度 上 昇 は 虚 血 性 疾 患 の 原 因 にもなります 血 液 濃 度 が 上 がると 尿 酸 値 も 高 くなり 痛 風 になる 人 も 出 てきます 水 分 を 補 おうと 水 やお 茶 を 一 気 に 飲 むと 胃 酸 は 薄 まり 消 化 能 力 が 低 下 するだけでなく カリウム やカルシウム マグネシウム ナトリウムなどのミネラル 不 足 によってだるくなります 逆 に 水 分 の 2
補 給 不 足 は 慢 性 的 な 脱 水 状 態 を 招 くというジレンマに 陥 ります 水 分 補 給 は 清 涼 飲 料 水 など 糖 分 濃 度 が 高 いものは 避 けて 体 液 と 浸 透 圧 が 同 じ 生 理 食 塩 水 など 体 の ph と 同 じものが 望 まれます スポーツドリンクは 体 液 に 近 いですが 糖 分 が 多 いものがあり 逆 に 喉 が 渇 くので 水 で 薄 めるのがいいです ミネラルは 細 胞 環 境 に 大 きな 変 化 がない 限 り 短 期 的 に 濃 度 は 正 常 に 保 たれています 従 ってミネ ラルの 濃 度 異 常 は 血 液 検 査 のデータには 現 れにくく 検 知 できるのは 自 覚 症 状 だけです 2. 食 欲 不 振 夏 の 暑 さに 対 抗 するため 人 体 は 汗 を 出 すためにタン 白 質 を 消 費 します さらに 夜 寝 ている 間 には 日 光 の 紫 外 線 や 皮 膚 の 乾 燥 から 体 を 修 復 しようとタン 白 質 を 消 費 します 一 方 夏 の 食 事 には そうめん や ひやむぎ が 欠 かせませんが これら 麺 類 にねぎ しょうが 漬 物 というあっさりした 食 事 ではタン 白 質 不 足 になります タン 白 質 の 需 要 を 供 給 が 満 たせなくなってきます 夏 の 食 事 はタン 白 質 を 多 くとるようにしてくだ さい またタン 白 質 を 含 む 食 材 には 亜 鉛 やヘム 鉄 が 含 まれています 亜 鉛 やヘム 鉄 は 各 種 酵 素 や 造 血 コ ラーゲンの 生 合 成 に 使 われていたり 活 性 酸 素 の 消 去 や 全 身 の 皮 膚 と 粘 膜 を 改 善 して 風 邪 などの 感 染 症 を 予 防 しています タン 白 質 を 摂 ることによって ミネラルも 補 給 できます 食 欲 がない 時 は 梅 干 しや 酢 の 物 をお 勧 めします これらに 含 まれるクエン 酸 や 酢 酸 は 唾 液 の 分 泌 を 促 してくれるため 食 欲 を 増 進 してくれます またカルシウムやマグネシウム 鉄 亜 鉛 といった ミネラルの 吸 収 を 向 上 してくれるので にはうってつけの 食 材 でしょう 3. 自 律 神 経 の 乱 れ 高 齢 になると 外 気 との 温 度 差 に 体 が 適 応 できず 自 律 神 経 が 乱 れ 暑 さに 対 する 感 受 性 が 落 ちてきま す 特 に 脱 水 や 貧 血 の 状 態 では 血 流 が 悪 くなり 体 温 の 調 節 機 構 が 乱 れてきます 高 齢 者 が 外 に いるときだけでなく 部 屋 にいるときでも 熱 中 症 になるのはこのためです 自 律 神 経 の 乱 れを 改 善 するのはヘム 鉄 ビタミン E ビタミン B 群 です ヘム 鉄 というのは 動 物 性 食 品 に 入 っているもので 植 物 に 入 っている 非 ヘム 鉄 より 吸 収 されやすい 鉄 で す 3
4. 糖 質 の 過 剰 摂 取 夏 に 外 を 歩 いていると つい 自 動 販 売 機 で 冷 たい 飲 み 物 を 飲 んでしまいます 自 販 機 で 売 られてい るものは 大 半 が 清 涼 飲 料 水 で 糖 質 の 過 剰 摂 取 になりやすいです 特 に 30 歳 前 の 若 い 人 は 清 涼 飲 料 水 を 飲 む 割 合 が 高 いです 冷 たいコーヒーにも 糖 が 大 量 に 入 っているため 同 じです 糖 を 過 剰 摂 取 すると 糖 を 分 解 するためにビタミン B1 を 中 心 としたビタミン B 群 が 必 要 以 上 に 消 費 され 慢 性 的 な 倦 怠 感 を 感 じるようになります 清 涼 飲 料 水 を 飲 むなら 食 事 にはビタミン B 群 を 多 くふくむ 肉 魚 や 緑 黄 色 野 菜 を 積 極 的 に 食 べ るようにしてください 5.まとめ 症 状 別 に 必 要 な 栄 養 素 を 一 覧 表 にまとめます 症 状 必 要 な 栄 養 素 代 表 的 食 材 発 汗 食 欲 不 振 自 律 神 経 失 調 糖 の 過 剰 摂 取 ナトリウム カリウム カルシウム マグネシウム 塩 素 タン 白 質 亜 鉛 ヘム 鉄 ( 唾 液 分 泌 促 進 ) ヘム 鉄 ビタミン E ビタミン B 群 ビタミン B 群 塩 分 を 含 むものなら 何 でもいい ほうれん 草 納 豆 大 豆 サトイモ ニンニク 牛 乳 乳 製 品 小 魚 魚 介 類 肉 類 ほうれん 草 バナナ 塩 分 を 含 むものなら 何 でもいい 卵 肉 類 魚 大 豆 製 品 魚 介 類 牛 乳 豆 海 藻 肉 類 乳 製 品 大 豆 食 品 海 藻 野 菜 梅 干 し 酢 の 物 肉 類 乳 製 品 大 豆 食 品 海 藻 野 菜 大 豆 マヨネーズ 卵 青 身 魚 味 噌 かぼちゃ 肉 類 大 豆 製 品 ごま 魚 介 類 緑 黄 色 野 菜 肉 類 大 豆 製 品 ごま 魚 介 類 緑 黄 色 野 菜 4
6.あとがき 今 回 は 親 鴨 会 会 員 諸 氏 の 意 見 を 反 映 して やさしいものに 仕 上 げました 生 化 学 の 耳 慣 れない 用 語 は 一 切 なくして ページ 数 も 押 えました でも 私 にすればこんな 程 度 で 皆 さんに 満 足 していただける だろうかと 心 配 しています 次 回 からはもう 少 し 詳 しいものにするつもりです それにしても 事 象 ごとに 別 々の 栄 養 素 をあげるため 何 に 焦 点 を 絞 っていいのか 分 からなくなります 結 局 あまり 細 部 にこだわらず 多 くの 食 材 を 何 でも 食 べるのが 解 決 の 道 でしょうね 多 くの 食 材 とい うのは 1 日 に 30 種 類 とよくいわれますが 大 方 その 程 度 になってしまいます これが 毎 日 口 に 入 る 環 境 の 人 は 健 康 寿 命 が 長 くなること 請 け 合 いです これができない 人 はサプリで 補 うしかありませ ん そのサプリを 飲 んでいる 人 は 多 いと 思 います 通 常 のサプリの 栄 養 素 は 生 産 装 置 に 投 入 前 の 量 を 作 られた 製 品 数 で 割 ったもので 実 際 に 製 品 に 入 っているものを 分 析 して 出 したものではありません つまり 製 造 装 置 内 で 失 われたものまでカウント されているということです たとえば 材 料 や 装 置 は 水 で 洗 浄 します ビタミンB 群 やビタミンC ビタミンDなどの 水 溶 性 ビタミンはこれで 消 失 しています 安 いサプリというのは それなりに 理 由 があるのです ただ 消 費 者 はこんなこと 知 らずに 宣 伝 を 信 じて 通 販 購 入 をしています 飲 んだと いう 気 持 ちで 体 調 がよくなったと 錯 覚 しているだけかも 知 れません あくまでも 自 己 責 任 の 分 野 です から どれだけ 調 べて 購 入 するかは 消 費 者 の 自 由 ですが あえて 付 け 加 えると 病 院 で 処 方 される 鉄 製 剤 でも ある 医 者 が 分 析 機 関 で 調 べさせたら 鉄 が 入 ってなかったと 報 告 をしています 病 院 製 剤 が これなんだから もう 何 も 信 じられなくなりますね 親 鴨 会 会 員 は 知 的 レベルが 高 かったと 思 います ので 各 自 ベストと 思 われる 方 法 で 自 分 が 飲 んでいるサプリを 調 べていただければ 幸 いです 知 名 度 の 高 いメーカーだから まとも だということはないのでご 注 意 を 5