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日 本 企 業 による 香 港 シンガポールでの 上 場 の 概 要 2012 年 第 5 号 ( 通 算 第 14 号 ) 編 集 :キャピタル マーケッツ プラクティス グループ I. はじめに II. HKEx での 上 場 III. SGX での 上 場 IV. 日 本 法 令 との 整 合 性 : 免 除 制 度 V. HKEx と SGX の 比 較 VI. おわりに 弁 護 士 安 部 健 介 03-6212-8323 kensuke.ambe@mhmjapan.com 弁 護 士 タム ピーター 03-6266-8786 peter.tam@mhmjapan.com I. はじめに アジア 地 域 各 国 における 証 券 取 引 所 の 成 長 ないし 活 動 が 注 目 を 集 めています 2012 年 6 月 末 時 点 では 上 海 証 券 取 引 所 に 上 場 する 企 業 の 時 価 総 額 が2 兆 4,110 億 米 ドルで 世 界 第 6 位 香 港 証 券 取 引 所 (HKEx)に 上 場 す る 企 業 の 時 価 総 額 が2 兆 3,760 億 米 ドルで 世 界 第 7 位 深 セン 証 券 取 引 所 に 上 場 する 企 業 の 時 価 総 額 が1 兆 1,490 億 米 ドルで 世 界 第 10 位 となっており 一 定 の 存 在 感 を 示 しております いずれの 取 引 所 も 同 時 点 でなお 世 界 第 3 位 を 保 持 している 東 京 証 券 取 引 所 (3 兆 3,850 億 米 ドル)には 及 ばないものの 前 年 度 の6 月 末 の 時 価 総 額 と 比 較 した 場 合 上 海 香 港 及 び 深 センはそれぞれ2.3% 5.2% 及 び8.9% 成 長 していたのに 対 し 東 京 の 成 長 は1.8%に 止 まりました 1 とりわけ HKEx については 2009 年 から2011 年 まで3 年 連 続 で 新 規 上 場 に 伴 う 新 規 株 式 公 開 (IPO)による 調 達 金 額 が 世 界 第 1 位 となり 大 型 IPO も 多 く 見 られます 一 方 シンガポール 証 券 取 引 所 (SGX)に2012 年 6 月 末 時 点 で 上 場 する 企 業 の 時 価 総 額 は6,620 億 米 ドルと なっており 上 記 各 取 引 所 と 比 較 すると 規 模 は 小 さいですが 前 年 度 と 比 較 した 場 合 には10% 以 上 成 長 しており アジアの 中 では 現 在 最 も 成 長 している 証 券 取 引 所 の 一 つといえます また SGX に 上 場 する 会 社 の4 割 以 上 は 外 国 企 業 となっており アジアで 最 も 国 際 的 な 取 引 所 であることも 大 きな 特 徴 として 挙 げられます 急 成 長 するアジア 市 場 のトレンドに 呼 応 するように 近 時 ではアジアでの 上 場 を 検 討 する 日 本 企 業 からの 問 い 合 わせが 増 えてきており アジア キャピタル マーケッツへの 日 本 企 業 の 関 心 が 高 まっていることが 伺 われます SBIホールディングス 株 式 会 社 ( 以 下 SBI といいます )によるHKExでの 上 場 (2011 年 4 月 ) 株 式 会 社 ダイナ ムジャパンホールディングス( 以 下 ダイナム といいます )によるHKExでの 上 場 (2012 年 8 月 )はいずれもメディ アで 大 きく 取 り 上 げられ 記 憶 に 新 しいところです 今 後 もアジアでの 上 場 を 視 野 に 入 れる 日 本 企 業 が 続 くものと 思 われます 本 稿 では こうした 活 発 な 活 動 及 び 著 しい 成 長 を 見 せているアジアの 各 証 券 取 引 所 のうち 最 近 特 に 日 本 企 業 に 注 目 されている HKEx 及 び SGX の 上 場 制 度 に 関 して 日 本 企 業 による 株 式 上 場 にフォーカスして 概 説 いたしま す II. HKEx での 上 場 (I) 上 場 株 式 市 場 HKEx には メインボード (Mainboard) 及 び GEM 市 場 (Growth Enterprise Market)と 呼 ばれる 二 つ の 株 式 市 場 があります メインボードは いわゆる 本 則 市 場 として 一 定 の 規 模 を 有 する 優 良 企 業 の 上 場 を 想 定 し ており その 上 場 審 査 基 準 は 比 較 的 厳 格 です 一 方 GEM 市 場 は いわゆる 新 興 市 場 として 本 則 市 場 の 上 場 基 準 を 満 たさない 新 興 企 業 や 成 長 企 業 による 上 場 を 想 定 しており その 上 場 審 査 基 準 は 比 較 的 柔 軟 です なお GEM 市 場 はメインボードへのステップアップのためにあるものと 位 置 づけられ GEM 市 場 からメインボードへの 指 定 替 えの 手 続 が 用 意 されています もっとも 最 近 の 外 国 企 業 の 上 場 事 例 を 見 ますと メインボードへの 直 接 上 場 が 圧 倒 的 に 多 数 となっており SBI 及 びダイナムの 事 例 もいずれもメインボードへの 直 接 上 場 です 以 下 では 日 本 企 業 が HKEx で 上 場 する 際 に 利 用 する 可 能 性 が 高 いと 思 われるメインボードを 中 心 に 説 明 い たします 1 World Federation of Exchanges 2012 半 期 市 場 ハイライト(http://www.world-exchanges.org/files/files/ 1st%20half%20%202012%20WFE%20market%20highlights%20with%20comments.pdf) 当 事 務 所 は 本 書 において 法 的 アドバイスを 提 供 するものではありません 具 体 的 案 件 については 個 別 の 状 況 に 応 じて 弁 護 士 にご 相 談 頂 きますようお 願 い 申 し 上 げます

(II) 上 場 形 態 HKExは プライマリー リスティング 及 び セカンダリー リスティング を 区 別 しています プライマリー リステ ィングとは HKExでのみ 株 式 を 上 場 する 場 合 又 は 複 数 上 場 している 取 引 所 のうちHKExを 主 たる 取 引 所 として 株 式 を 上 場 する 場 合 を 指 します 一 方 セカンダリー リスティングとは 既 に 他 の 証 券 取 引 所 を 主 たる 取 引 所 として 上 場 している 会 社 がHKExにおいてもその 証 券 を 二 次 的 に 上 場 する 場 合 を 指 します HKExにおけるプライマリ ー リスティングとセカンダリー リスティングの 主 な 相 違 点 は その 上 場 規 則 や 香 港 の 会 社 法 制 に 関 して 遵 守 が 求 められる 程 度 にあります プライマリー リスティングでは 原 則 としてHKExの 上 場 規 則 や 香 港 の 会 社 法 にあたる 香 港 会 社 条 例 (Hong Kong Companies Ordinance)を 全 面 的 に 遵 守 することが 要 求 されますが これに 対 し てセカンダリー リスティングでは 当 該 会 社 が 既 に 他 の 主 たる 取 引 所 で 上 場 している 点 に 鑑 み 上 場 規 則 の 適 用 について 一 定 の 免 除 が 認 められます メインボードは プライマリー リスティング 及 びセカンダリー リスティングのいずれも 認 めています( 一 方 GEM 市 場 はプライマリー リスティングのみを 認 めています ) SBI の 事 例 はセカンダリー リスティングであるのに 対 し ダイナムの 事 例 はプライマリー リスティングとなっています (III) 上 場 基 準 HKEx のメインボードの 上 場 基 準 は 多 岐 にわたりますが その 主 な 内 容 は 以 下 のとおりです 但 し HKEx の 裁 量 により 要 件 が 一 部 軽 減 されることがあり 逆 に 具 体 的 事 情 により 新 たな 要 件 を 追 加 されることもあります な お 特 に 記 載 のない 限 り これらの 基 準 はプライマリー リスティング セカンダリー リスティングのいずれにも 適 用 があります 上 場 申 請 会 社 及 びその 連 結 子 会 社 の 連 結 ベースで 次 の 要 件 のいずれかを 満 たすこと: 財 務 要 件 設 立 地 会 計 基 準 上 場 適 格 性 事 業 継 続 性 1 直 近 の 事 業 年 度 に 計 上 された 株 主 配 当 可 能 利 益 額 が2,000 万 HKドル 以 上 直 近 の 事 業 年 度 以 前 の2 事 業 年 度 に 計 上 された 累 計 利 益 額 が3,000 万 HK ドル 以 上 上 場 時 における 時 価 総 額 が 2 億 HK ドル 以 上 2 上 場 時 における 時 価 総 額 が 40 億 HK ドル 以 上 直 近 の 監 査 対 象 事 業 年 度 における 売 上 高 が 5 億 HK ドル 以 上 3 上 場 時 における 時 価 総 額 が 20 億 HK ドル 以 上 直 近 の 監 査 対 象 事 業 年 度 における 売 上 高 が 5 億 HK ドル 以 上 過 去 の 3 事 業 年 度 の 合 計 営 業 キャッシュフローが 1 億 HK ドル 以 上 香 港 と 同 程 度 の 株 主 保 護 法 制 のある 地 域 であることが 必 要 : 日 本 については 上 場 申 請 者 が 具 体 的 状 況 に 応 じてその 定 款 等 に 一 定 の 修 正 を 行 うことを 条 件 に 設 立 地 として 承 認 される 2 プライマリー リスティング: 香 港 会 計 基 準 (HKFRS)もしくは 国 際 会 計 基 準 (IFRS) セカンダリー リスティング: 原 則 は HKFRS もしくは IFRS であるが IFRS による 調 整 を 記 載 する 等 のいくつ かの 要 件 を 満 たす 場 合 には 日 本 の 会 計 基 準 (J GAAP)の 適 用 も 認 められる 3 HKEx の 意 見 として 上 場 適 格 性 を 有 すること: 資 産 としてほとんど 現 金 又 は 短 期 有 価 証 券 しか 有 しない 会 社 は その 業 種 が 証 券 取 引 業 である 場 合 を 除 き 原 則 として 上 場 適 格 性 を 有 しないとされる 過 去 3 事 業 年 度 以 上 の 継 続 性 2 3 Listing Decision HKEx-LD110-1(2010 年 10 月 )(http://www.hkex.com.hk/eng/rulesreg/listrules/listdec/ Documents/ld110-1.pdf) Listing Decision HKEx-LD3-2011(2011 年 3 月 )(http://www.hkex.com.hk/eng/rulesreg/listrules/listdec/ Documents/ld3-2011.pdf) 2

経 営 陣 継 続 性 支 配 株 主 継 続 性 最 低 公 開 株 式 総 額 ( 上 場 時 の 見 込 み) 浮 動 株 式 割 合 浮 動 株 主 数 最 低 発 行 価 格 過 去 3 事 業 年 度 以 上 の 継 続 性 直 近 の 監 査 対 象 事 業 年 度 における 継 続 性 5,000 万 HK ドル プライマリー リスティング: 25% 以 上 セカンダリー リスティング: 特 になし 300 名 以 上 ( 但 し 上 位 3 名 の 浮 動 株 主 の 実 質 的 株 式 保 有 は50% 以 下 でなけれ ばならない) 特 になし (IV)ストラクチャー 1. 現 物 株 式 香 港 預 託 証 券 (HDR) HKExのメインボードで 株 式 を 上 場 する 場 合 株 式 そのもの( 現 物 株 式 )を 上 場 するほか 当 該 株 式 の 預 託 を 受 けた 香 港 の 預 託 銀 行 が 発 行 する 預 託 証 券 (Hong Kong Depository Receipt 通 称 HDR)を 上 場 することも 認 められます HDRによる 上 場 は 香 港 法 上 要 求 される 株 券 の 発 行 及 び 香 港 での 株 主 名 簿 の 備 置 を 履 行 すること が 設 立 地 準 拠 法 の 観 点 から 困 難 である 外 国 企 業 向 けの 制 度 として2008 年 に 導 入 されたものです 現 物 株 式 の 代 わりにHDRが 上 場 される 点 を 除 き 上 場 基 準 や 上 場 後 の 継 続 的 義 務 の 内 容 に 大 きな 差 異 はありませんが HDR 保 有 者 は 日 本 の 会 社 法 における 株 主 名 簿 上 の 株 主 ではなく その 権 利 義 務 の 内 容 ないし 範 囲 については 原 則 として 発 行 体 と 預 託 銀 行 との 間 で 締 結 される 預 託 契 約 に 従 うことになります 日 本 の 証 券 取 引 所 に 上 場 している 日 本 企 業 の 株 式 は 社 債 株 式 等 の 振 替 に 関 する 法 律 により 電 子 化 されて おり 株 券 を 発 行 することができず また 証 券 保 管 振 替 機 構 (ほふり)による 振 替 決 済 が 強 制 適 用 されますので こうした 日 本 企 業 がHKExでさらに 上 場 する 場 合 には HDRを 利 用 することが 必 要 となります(SBIの 事 例 はHDR による 上 場 となります ) 一 方 日 本 の 証 券 取 引 所 に 株 式 を 上 場 していない 日 本 企 業 は 上 記 のような 制 約 はあ りませんので 株 券 発 行 を 前 提 とした 現 物 株 式 もしくはHDRの 上 場 のいずれかを 自 由 に 選 択 することができます (ダイナムの 事 例 は 現 物 株 式 の 上 場 となります ) かかる 上 場 スキームの 選 択 にあたっては それぞれのメリット デメリットを 慎 重 に 検 討 する 必 要 があります 2. 上 場 スキーム HKExのメインボードへの 上 場 は 一 般 的 には 新 規 発 行 株 式 の 公 募 や 発 行 済 株 式 の 売 出 しのほか 特 定 の 投 資 家 向 けの 私 募 (Placing) さらには 有 価 証 券 の 募 集 及 び 資 金 調 達 を 行 わない イントロダクション (Introduction)によることも 可 能 とされています いずれのスキームを 利 用 するかは 原 則 として 上 場 申 請 会 社 の 裁 量 によりますが 一 般 投 資 家 からの 強 い 需 要 が 想 定 される 場 合 には 特 定 の 投 資 家 向 けの 私 募 のみを 利 用 する ことは 認 められません また 公 募 トランシェ 及 び 私 募 トランシェを 併 用 する 場 合 には その 需 要 の 大 きさに 応 じて オファリング 全 体 の 合 計 株 式 数 のうち 一 定 の 割 合 の 株 式 数 を 公 募 トランシェに 割 り 当 てる 必 要 があります (V)スケジュール イントロダクションでない 方 法 により HKEx のメインボードへ 上 場 する 場 合 一 般 には 概 ね 下 記 のようなプロセス が 想 定 されます もっとも 案 件 の 複 雑 性 や 新 規 性 異 なる 会 計 基 準 に 基 づく 財 務 諸 表 の 作 成 日 本 の 法 令 との 整 合 性 の 検 討 並 びに 適 用 の 免 除 を 求 める 上 場 規 則 の 内 容 及 び 範 囲 等 の 事 情 により 上 場 スケジュールが 長 引 くこともあり 得 ますので 時 間 的 余 裕 をもって 準 備 することが 推 奨 されます 上 場 日 (X)の6か 月 前 ~ Xの5か 月 前 ~ HKEx に 対 して 窓 口 となる 主 幹 事 証 券 会 社 ( 慣 例 上 スポンサー と 呼 ばれ る ) 会 計 監 査 人 リーガル カウンセル 等 の 選 定 キックオフ ミーティン グ デュー ディリジェンス 開 始 目 論 見 書 (プロスペクタス)のドラフト 開 始 上 場 申 請 書 (Form A1)のドラフト 開 始 3

上 場 申 請 ( 上 場 申 請 書 及 び 目 論 見 書 の 各 ドラフトの 提 出 ) Xの3か 月 から4か 月 前 ~ HKEx 上 場 部 (Listing Division)からの 質 問 やコメント 等 に 基 づく 目 論 見 書 ドラフトの 修 正 その 他 必 要 書 類 資 料 等 の 提 出 HKEx 上 場 部 の Recommendation を 経 て HKEx 上 場 委 員 会 (Listing Committee)による 審 査 承 認 株 式 の 発 行 に 関 する 取 締 役 会 決 議 プレスリリース Xの1か 月 前 ~ 仮 目 論 見 書 交 付 プレマーケティング ロードショー ブックビルディング 引 受 契 約 の 締 結 最 終 目 論 見 書 の 交 付 及 び 登 録 X クロージング 上 場 完 了 取 引 開 始 また 上 記 プロセスは 主 に HKEx との 関 係 での 作 業 となりますが それらの 作 業 と 並 行 して 日 本 の 法 令 に 基 づ く 手 続 ( 上 場 申 請 株 式 の 発 行 に 関 する 取 締 役 会 決 議 金 融 商 品 取 引 法 に 基 づく 臨 時 報 告 書 等 の 法 定 開 示 日 本 の 証 券 取 引 所 の 上 場 規 則 に 基 づく 適 時 開 示 等 )を 進 める 必 要 があります (VI) 上 場 後 の 継 続 的 義 務 HKExのメインボードへの 上 場 完 了 後 HKExの 上 場 規 則 の 適 用 により 当 該 上 場 会 社 には 一 定 の 継 続 的 義 務 が 発 生 します まず コーポレートガバナンスの 観 点 から 一 定 の 役 員 等 の 選 任 が 要 求 されます 例 えば 取 締 役 会 には 最 低 3 名 以 上 の 独 立 非 執 行 取 締 役 (Independent Non-Executive Director)を 要 し そのうち 少 なくとも1 名 は 会 計 又 は 財 務 管 理 の 専 門 資 格 保 有 者 でなければなりません また 最 低 3 名 以 上 の 非 執 行 取 締 役 から 構 成 する 監 査 委 員 会 (Audit Committee)の 設 置 が 義 務 付 けられており その 過 半 数 は 独 立 性 を 有 し さらにそのうち 少 なくと も1 名 は 会 計 又 は 財 務 管 理 の 専 門 資 格 保 有 者 でなければなりません(なお 日 本 の 監 査 役 会 設 置 会 社 について は IV.で 後 述 する 規 則 の 適 用 免 除 が 受 けられる 可 能 性 があります ) さらに HKEx との 連 絡 役 となる 授 権 代 理 人 (Authorised Representative)を2 名 香 港 在 住 者 であるカンパニー セクレタリー(Company Secretary) を1 名 それぞれ 選 任 する 必 要 があります 加 えて 日 本 企 業 その 他 の 外 国 企 業 については 香 港 に 送 達 代 理 人 (Service of Process Agent)を 置 く 必 要 もあります 継 続 開 示 としては 事 業 年 度 の 末 日 から 3 か 月 以 内 に 年 次 報 告 書 半 期 決 算 日 から 2 か 月 以 内 に 半 期 報 告 書 をそれぞれ 提 出 する 必 要 がありますが 四 半 期 報 告 書 の 提 出 義 務 はありません なお これらの 財 務 資 料 は 英 語 で 作 成 され かつ 中 国 語 の 訳 文 を 付 することを 要 します 年 次 報 告 書 については 原 則 として 香 港 会 計 士 協 会 に 登 録 された 監 査 法 人 による 監 査 証 明 を 付 する 必 要 がありますが 日 本 国 内 の 監 査 法 人 による 監 査 証 明 が 認 めら れる 場 合 もあります( 例 えば SBIの 場 合 日 本 の 監 査 法 人 の 監 査 報 告 書 の 英 訳 が 香 港 で 提 出 する 年 次 報 告 書 に 付 されています ) 適 時 開 示 義 務 について HKExは 株 価 に 影 響 を 与 える(price-sensitive)と 思 われる 情 報 を 取 締 役 又 は 上 級 管 理 職 がそれを 知 った 後 には 当 該 情 報 を 合 理 的 に 実 現 可 能 な 範 囲 で 速 やかに 開 示 しなけ ればならない ことを 一 般 原 則 として 掲 げています 日 本 企 業 との 関 係 では 原 則 として 日 本 の 証 券 取 引 所 の 上 場 規 則 に 従 って 適 時 開 示 される 情 報 を 同 時 に 香 港 で 英 語 及 び 中 国 語 で 開 示 することが 要 求 されますが 個 人 株 主 や 少 数 株 主 の 保 護 を 趣 旨 とするHKEx 特 有 の 規 制 に 基 づき HKExへの 事 前 通 知 香 港 での 適 時 開 示 さらに は 株 主 全 員 に 対 する 個 別 通 知 が 求 められる 場 合 があります その 他 メインボードへの 上 場 完 了 後 に 発 生 する 義 務 として 支 配 株 主 (Controlling Shareholders)による 6 か 月 間 の 株 式 売 却 の 禁 止 一 定 の 基 準 を 超 えた 重 大 取 引 (Major Transaction 又 は Very Substantial Acquisition/Disposal) 又 は 関 連 者 取 引 (Connected Transactions)に 関 する 株 主 総 会 の 承 認 決 議 などが 規 定 されています III. SGX での 上 場 (I) 上 場 株 式 市 場 HKExと 同 様 に SGXには 本 則 市 場 となる メインボード (Mainboard) 及 び 新 興 市 場 となる カタリスト 市 場 (Catalist)という 二 つの 株 式 市 場 があります メインボードは 一 定 の 規 模 を 有 する 企 業 の 上 場 を 想 定 しており その 上 場 審 査 基 準 は 比 較 的 厳 格 です(また SGXは より 大 規 模 な 企 業 の 上 場 を 取 り 込 む 方 針 に 従 い 今 年 8 月 財 務 要 件 の 基 準 を 引 き 上 げました ) 一 方 カタリスト 市 場 の 上 場 審 査 基 準 は 比 較 的 柔 軟 ですが カタリスト 市 場 の 最 大 の 特 徴 として 上 場 するためにはSGXに 認 可 登 録 されている スポンサー 会 社 による 支 援 が 条 件 となりま す 当 該 スポンサー 会 社 は スポンサー 契 約 を 結 んだ 上 場 申 請 者 について 上 場 審 査 を 行 うとともに 上 場 後 にお 4

いてもコンプライアンスに 関 する 助 言 や 監 督 告 発 などの 継 続 的 義 務 を 負 います 現 在 SGXに 上 場 している 日 本 企 業 ( 株 式 会 社 村 田 製 作 所 (1976 年 上 場 ) 野 村 ホールディングス 株 式 会 社 (1994 年 上 場 ) 及 び 株 式 会 社 MARUWA(2000 年 上 場 ))は いずれもメインボードでのセカンダリー リスティング です 以 下 は 日 本 企 業 がSGXで 上 場 する 際 に 利 用 する 可 能 性 が 高 いと 思 われるメインボードを 中 心 に 説 明 いたしま す (II) 上 場 形 態 SGXも プライマリー リスティング 及 びセカンダリー リスティングを 区 別 しています プライマリー リスティング では 原 則 としてSGX 上 場 規 則 を 全 面 的 に 遵 守 することが 要 求 されます 一 方 セカンダリー リスティングでは 一 定 の 前 提 条 件 を 満 たす 場 合 には 原 則 として 上 場 後 の 継 続 的 義 務 は 適 用 されず SGXが 別 途 指 定 する 上 場 規 則 条 項 のみが 例 外 的 に 適 用 されることになっています 但 し 近 年 のSGXの 規 則 適 用 厳 格 化 の 方 針 により SGX により 指 定 される 上 場 規 則 条 項 の 範 囲 は 拡 大 されつつあります メインボードでは プライマリー リスティング 及 びセカンダリー リスティングのいずれも 認 められています( 一 方 カタリスト 市 場 はプライマリー リスティングのみを 認 めています ) もっとも SGX にプライマリー リスティングとし て 上 場 している 日 本 企 業 は 現 時 点 ではありません (III) 上 場 基 準 SGX のメインボードの 上 場 基 準 も 多 岐 にわたりますが その 主 な 内 容 は 以 下 のとおりです なお これらの 基 準 はプライマリー リスティング セカンダリー リスティングのいずれにも 適 用 されます 連 結 ベースで 次 の 要 件 のいずれかを 満 たすこと: 財 務 要 件 設 立 地 会 計 基 準 事 業 継 続 性 経 営 陣 継 続 性 支 配 株 主 継 続 性 浮 動 株 式 割 合 総 株 主 数 最 低 発 行 価 格 1 直 近 の 監 査 対 象 事 業 年 度 における 税 引 前 利 益 が 3,000 万 SG ドル 2 上 場 時 における 時 価 総 額 が 1.5 億 SG ドル 以 上 直 近 の 監 査 対 象 事 業 年 度 において 税 引 前 利 益 が 発 生 していること 3 上 場 時 における 時 価 総 額 が 3 億 SG ドル 以 上 直 近 の 完 了 事 業 年 度 ( 監 査 は 不 要 )において 実 際 のもしくはプロフォーマの 営 業 売 上 高 が 発 生 していること( 税 引 前 利 益 は 不 要 ) 特 になし シンガポール 会 計 基 準 (SGFRS) 米 国 会 計 基 準 (US GAAP)もしくは IFRS 過 去 3 事 業 年 度 以 上 の 継 続 性 ( 但 し 上 記 財 務 要 件 3をもって 上 場 する 場 合 直 近 1 事 業 年 度 以 上 の 継 続 性 で 足 りる) 過 去 3 事 業 年 度 以 上 の 継 続 性 ( 但 し 上 記 財 務 要 件 3をもって 上 場 する 場 合 直 近 1 事 業 年 度 以 上 の 継 続 性 で 足 りる) 特 になし 時 価 総 額 が 3 億 SG ドル 未 満 :25% 以 上 時 価 総 額 が 3 億 SG ドル 以 上 4 億 SG ドル 未 満 :20% 以 上 時 価 総 額 が 4 億 SG ドル 以 上 10 億 SG ドル 未 満 :15% 以 上 時 価 総 額 が 10 億 SG ドル 以 上 :12% 以 上 500 名 以 上 ( 但 し セカンダリー リスティングであり 主 たる 取 引 所 と SGX との 間 で 上 場 株 式 の 移 転 に 関 する 取 り 決 めがない 場 合 シンガポールで 500 名 以 上 もしくは 全 世 界 で 1,000 名 以 上 なお 現 時 点 では 日 本 の 金 融 商 品 取 引 所 と SGX との 間 で 上 場 株 式 の 移 転 に 関 する 取 り 決 めは 存 在 しないと 考 えられる) 0.50SG ドル 以 上 (IV)ストラクチャー 1. 現 物 株 式 グローバル 預 託 証 券 (GDR) シンガポールでは 日 本 と 同 様 にその 上 場 株 式 についてペーパーレス 制 度 が 導 入 されているため HKExと 異 なり プライマリー リスティングのみならずセカンダリー リスティングでも 現 物 株 式 の 上 場 が 可 能 となります もっ 5

とも シンガポールの 投 資 家 はSGXの 株 式 決 済 機 関 であるCentral Depository Pte Ltd.(CDP)を 経 由 してそ の 上 場 株 式 を 保 有 するところ CDPは 日 本 の 証 券 保 管 振 替 機 構 における 制 度 参 加 者 でないために セカンダリ ー リスティングの 場 合 にはかかる 投 資 家 は 日 本 の 会 社 法 上 株 主 に 該 当 しません しかしながら SGXからは 議 決 権 の 行 使 や 配 当 の 支 払 い 等 に 関 し シンガポールの 投 資 家 に 対 してもCDPを 通 じて 日 本 の 株 主 と 同 様 の 保 護 を 与 えるように 求 められることに 留 意 が 必 要 です また クロス ボーダーの 株 式 取 引 の 仕 組 み( 例 えば SGXに 上 場 している 株 式 を 日 本 の 主 たる 取 引 所 で 売 却 したい 場 合 )についても 一 定 の 工 夫 が 要 求 されます なお セカンダリー リスティングの 場 合 に 限 り グローバル 預 託 証 券 (Global Depository Receipts 通 称 GDR)による 上 場 も 認 められます GDR は 機 関 投 資 家 等 に 対 してのみその 発 行 が 許 される 一 方 その 上 場 基 準 は 株 式 より 若 干 緩 和 されます 2. 上 場 スキーム SGXのメインボードへの 上 場 スキームは HKEx と 類 似 しており 新 規 発 行 株 式 の 公 募 や 発 行 済 株 式 の 売 出 し 特 定 投 資 家 向 けの 私 募 募 集 を 行 わないイントロダクション 等 によることとなります スキームの 選 択 については 原 則 として 上 場 申 請 者 の 判 断 に 委 ねられますが 特 にセカンダリー リスティングについては SGX における 市 場 流 動 性 の 観 点 から イントロダクションではなく 募 集 売 出 し 等 を 伴 う 上 場 を 要 求 される 可 能 性 があります (V)スケジュール イントロダクションでない 方 法 によりSGXのメインボードへ 上 場 する 場 合 一 般 には 概 ね 下 記 のようなプロセス が 想 定 されます HKExの 場 合 と 同 様 に 案 件 の 複 雑 性 や 新 規 性 異 なる 会 計 基 準 に 基 づく 財 務 諸 表 の 作 成 日 本 の 法 令 との 整 合 性 の 検 討 並 びに 適 用 の 免 除 を 求 める 上 場 規 則 の 内 容 及 び 範 囲 等 の 事 情 により スケジュー ルが 長 引 くこともあり 得 ますので 時 間 的 余 裕 をもって 準 備 することが 推 奨 されます 特 に HKExについてSBIや ダイナムという 直 近 の 先 例 があるのに 対 し SGXでは 日 本 企 業 の 近 時 の 株 式 上 場 事 例 がないため SGX 及 びシ ンガポール 金 融 庁 (Monetary Authority of Singapore 通 称 MAS)による 慎 重 な 対 応 が 予 想 され 上 場 審 査 に 要 する 時 間 は 通 常 よりも 長 引 く 可 能 性 があります 上 場 日 (X)の10か 月 から 1 年 前 ~ Xの9か 月 前 ~ Xの5か 月 前 ~ Xの2か 月 から3か 月 前 ~ Xの2か 月 前 ~ Xの1か 月 前 ~ SGXに 対 する 窓 口 となる 主 幹 事 証 券 会 社 (スポンサー) 会 計 監 査 人 リー ガル カウンセル 等 の 選 定 キックオフ ミーティング デュー ディリジェンス 開 始 目 論 見 書 (プロスペクタス)のドラフト 開 始 SGX MAS への 事 前 相 談 ( 日 本 の 法 令 との 整 合 性 や 規 則 の 適 用 免 除 に 関 する 交 渉 等 ) 上 場 申 請 ( 上 場 申 請 書 及 び 目 論 見 書 の 各 ドラフトの 提 出 ) MAS に 対 する 目 論 見 書 ドラフトの 提 出 SGX からの 質 問 やコメント 等 に 基 づく 目 論 見 書 ドラフトの 修 正 SGX 上 場 委 員 会 による 審 査 上 場 承 認 レター(Eligibility to List Letter) の 取 得 MASによる 目 論 見 書 の 審 査 MASからの 質 問 やコメント 等 に 基 づく 目 論 見 書 ドラフトの 修 正 MASによるクリアランス 株 式 の 発 行 に 関 する 取 締 役 会 決 議 プレスリリース MASへの 仮 目 論 見 書 の 正 式 提 出 (lodgement) 3~4 週 間 のパブリック コメント 期 間 プレマーケティング ロードショー ブックビルディング パブリック コメント 期 間 終 了 ブックビルディング 終 了 MAS への 最 終 目 論 見 書 の 登 録 (registration) 引 受 契 約 等 の 締 結 X クロージング 上 場 完 了 取 引 開 始 また 上 記 プロセスは 主 に SGX 及 び MAS との 関 係 での 作 業 となりますが 並 行 して 日 本 の 法 令 に 基 づく 手 続 等 を 進 める 必 要 があることは HKEx の 場 合 と 同 様 です (VI) 上 場 後 の 継 続 的 義 務 SGXのメインボードへの 上 場 完 了 後 SGXの 上 場 規 則 の 適 用 により 当 該 上 場 会 社 には 一 定 の 継 続 的 義 務 が 発 生 しますが 前 述 のとおり 当 該 上 場 形 態 がプライマリー リスティングか それともセカンダリー リスティングか 6

により 継 続 的 義 務 の 範 囲 は 大 きく 異 なります プライマリー リスティングの 場 合 原 則 として 上 場 規 則 を 全 面 的 に 遵 守 することが 要 求 されます まず コーポ レートガバナンスの 観 点 から 取 締 役 会 には 最 低 2 名 以 上 の 独 立 非 執 行 取 締 役 を 要 し SGXとの 連 絡 役 となる 授 権 代 理 人 2 名 やカンパニー セクレタリー1 名 の 選 任 も 求 められます また 上 場 規 則 の 別 紙 モデル 定 款 の 内 容 に 従 い 当 該 上 場 会 社 の 定 款 には 一 定 の 内 容 を 含 むことが 要 求 されます さらに 外 国 企 業 については 2 名 以 上 の 独 立 取 締 役 はシンガポール 居 住 者 でなければなりません 継 続 開 示 の 観 点 からは 法 定 開 示 義 務 として 事 業 年 度 の 末 日 から60 日 以 内 に 年 次 財 務 諸 表 半 期 決 算 日 から45 日 以 内 に 半 期 財 務 諸 表 四 半 期 決 算 日 から 45 日 以 内 に 四 半 期 財 務 諸 表 をそれぞれ 提 出 する 必 要 があります( 但 し 四 半 期 決 算 は 事 業 年 度 末 の 時 価 総 額 が7,500 万 SGドルを 上 回 る 会 社 に 関 してのみ 要 求 されます ) なお これらの 財 務 諸 表 は 英 語 で 作 成 することを 要 します 適 時 開 示 義 務 について SGXは 発 行 会 社 の 発 行 する 株 式 について 公 正 な 市 場 価 格 の 形 成 の 妨 害 を 回 避 するために 開 示 が 必 要 となる 情 報 又 は 株 価 に 対 して 重 大 な 影 響 を 与 える 情 報 については 開 示 しなければ ならない ことを 一 般 原 則 として 掲 げ さらにSGXが 定 める 一 定 の 基 準 を 超 えた 資 産 取 引 や 利 害 関 係 当 事 者 取 引 (Interested Person Transaction)についても 直 ちにその 開 示 を 求 められます 加 えて 本 国 の 法 律 改 正 によ り 株 主 の 権 利 義 務 に 影 響 がある 場 合 におけるその 内 容 の 適 時 開 示 一 定 の 基 準 を 超 えた 重 大 取 引 又 は 利 害 関 係 当 事 者 取 引 に 関 して 株 主 総 会 の 承 認 決 議 などが 要 求 されます 一 方 セカンダリー リスティングの 場 合 には 主 たる 取 引 所 において 開 示 した 情 報 や 書 類 をSGXにて 英 語 で 同 時 に 開 示 する 限 り 原 則 として 上 場 規 則 に 基 づく 上 場 後 の 継 続 的 義 務 は 適 用 されず SGXが 別 途 指 定 する 上 場 規 則 の 条 項 のみが 例 外 的 に 適 用 されるとされています もっとも 近 年 のSGXにおける 規 則 適 用 の 厳 格 化 の 方 針 により 指 定 される 上 場 規 則 条 項 の 範 囲 が 拡 大 されつつあります 例 えば シンガポール 居 住 者 である 独 立 取 締 役 1 名 の 選 任 や 授 権 代 理 人 カンパニー セクレタリーの 選 任 を 求 められる 可 能 性 があります また 主 たる 取 引 所 において 開 示 した 情 報 のみならず 法 定 開 示 書 類 ( 例 えば 有 価 証 券 報 告 書 や 臨 時 報 告 書 等 )の 英 訳 の 開 示 を 求 められたり 一 定 の 基 準 を 超 えた 重 大 取 引 又 は 利 害 関 係 当 事 者 取 引 に 関 して 株 主 総 会 の 承 認 決 議 が 必 要 とさ れるなど セカンダリー リスティングであるにもかかわらず SGXからプライマリー リスティングの 場 合 に 準 じた 一 定 の 上 場 規 則 の 条 項 の 遵 守 を 要 求 される 可 能 性 も 考 えられます IV. 日 本 法 令 との 整 合 性 : 免 除 制 度 日 本 企 業 が HKEx 又 は SGX に 上 場 する 場 合 日 本 法 令 との 整 合 性 の 観 点 から 以 下 のような 論 点 が 発 生 しま す 海 外 で 上 場 することにより 企 業 は 通 常 当 該 海 外 で 適 用 される 会 社 法 制 度 や 海 外 の 証 券 取 引 所 の 上 場 規 則 等 を 一 定 程 度 遵 守 することが 求 められますが かかる 現 地 での 規 制 の 内 容 は 日 本 企 業 に 適 用 される 日 本 の 法 令 の 内 容 とは 必 ずしも 整 合 的 でない 場 合 があります このうち 一 部 の 点 については 当 該 海 外 の 証 券 取 引 所 の 制 度 設 計 により 解 決 を 図 れるものもあります( 例 えば HKEx が 導 入 した HDR 上 場 制 度 により 日 本 の 法 令 上 要 求 される 上 場 会 社 の 株 券 電 子 化 や 証 券 保 管 振 替 機 構 による 振 替 決 済 との 整 合 性 は 一 定 程 度 確 保 できたと 思 われ ます ) 他 方 コンプライアンスやコーポレートガバナンスに 関 する 日 本 法 と 比 較 してより 厳 しい 規 制 を 遵 守 するこ とは コーポレートガバナンスの 強 化 による 会 社 の 健 全 性 をアピールすることにはなる 一 方 時 間 資 源 ないしコス トの 負 担 場 合 によっては 競 争 力 への 影 響 や 経 営 の 機 動 性 自 由 性 の 低 下 につながる 可 能 性 も 考 えられます 香 港 及 びシンガポールの 法 令 や 上 場 規 則 等 には 一 般 に 個 人 株 主 や 少 数 株 主 の 権 利 に 配 慮 した 手 厚 い 保 護 の 規 定 が 設 けられています 例 えば 前 述 のとおり HKEx 及 び SGX の 各 上 場 規 則 は 一 定 の 基 準 を 超 えた 関 連 者 取 引 利 害 関 係 当 事 者 取 引 や 重 大 取 引 について その 適 時 開 示 のみならず 個 別 株 主 への 通 知 や 株 主 総 会 の 承 認 決 議 を 義 務 付 けています これらの 義 務 は 日 本 法 上 は 要 求 されておらず とりわけ 株 主 総 会 の 承 認 決 議 を 求 める 点 は 取 締 役 会 設 置 会 社 における 株 主 総 会 の 権 限 を 定 める 日 本 の 会 社 法 第 295 条 第 2 項 との 整 合 性 が 問 題 となりえます また 関 連 者 取 引 利 害 関 係 当 事 者 取 引 について 株 主 総 会 の 承 認 決 議 を 行 う 際 HKEx 及 び SGX の 各 上 場 規 則 は 当 該 関 連 者 利 害 関 係 当 事 者 の 保 有 する 議 決 権 の 行 使 を 禁 じていますが 日 本 の 会 社 法 上 同 法 第 160 条 第 4 項 などの 明 示 的 な 規 定 がある 場 合 を 除 き 特 別 利 害 関 係 人 といえども 株 主 総 会 での 議 決 権 行 使 は 禁 止 されず( 救 済 手 段 として 著 しく 不 当 な 決 議 がされたときにその 決 議 取 消 しの 訴 えを 提 起 することと なります ) HKEx 及 び SGX の 規 制 がそのまま 適 用 されると 日 本 の 法 令 と 抵 触 する 疑 義 は 否 定 できません さら に 開 示 義 務 でも HKEx 及 び SGX の 各 上 場 規 則 において 取 引 内 容 の 詳 細 まで 開 示 を 要 求 されることが 多 く 要 請 どおりに 開 示 してしまうと 当 該 日 本 企 業 の 競 争 力 と 深 く 関 わる 重 要 情 報 まで 同 業 他 社 に 公 開 されることとなり 当 該 企 業 の 競 争 力 に 悪 影 響 を 与 えるおそれもあります こうした 問 題 点 から 香 港 又 はシンガポールでの 上 場 を 検 討 する 場 合 上 場 申 請 や 上 場 完 了 後 の 継 続 的 義 務 としてその 遵 守 を 求 められる 事 項 を 正 確 に 把 握 するとともに これらの 事 項 と 日 本 の 法 令 との 整 合 性 を 慎 重 に 分 析 し 整 合 的 でない 上 場 規 則 等 については HKEx 又 は SGX に 対 して 適 用 免 除 を 申 請 することが 重 要 となります その 際 HKEx 及 び SGX は 問 題 となる 規 則 の 適 用 を 無 条 件 に 免 除 するのではなく 当 該 規 則 の 趣 旨 に 沿 った 内 容 の 妥 協 的 な 代 替 案 の 提 示 を 求 めてくることが 多 く 免 除 に 関 する 協 議 ないし 交 渉 に 相 当 時 間 がかかることも 想 定 されますので 日 本 及 び 現 地 の 各 リーガル カウンセルと 協 議 のうえ 上 場 プロセスの 早 期 の 段 階 から HKEx 7

又 は SGX に 相 談 することが 重 要 です V. HKEx と SGX の 比 較 HKEx と SGX とを 比 較 した 場 合 それぞれに 特 有 のメリット デメリットがあるといえます HKEx については プライマリー リスティング セカンダリー リスティングともに 直 近 の 先 例 があるため これら の 先 例 を 参 照 することにより HKEx との 交 渉 をよりスムーズに 進 めることができ 上 場 までに 要 する 時 間 を 短 縮 することが 可 能 です 特 に HKEx は 既 に 先 例 (first comer)が 存 在 する 設 立 地 からの 上 場 申 請 について 当 該 上 場 申 請 会 社 (second comer)が 当 該 先 例 を 踏 襲 する 限 りにおいて 申 請 手 続 の 一 部 が 簡 略 化 されることを 公 表 しております 4 これに 対 して SGX については 日 本 企 業 の 最 近 の 株 式 上 場 事 例 がないため 上 場 までに 要 する 時 間 は 予 想 が 難 しくなる 可 能 性 があります また HKEx については IFRS との 調 整 を 開 示 する 等 の 一 定 の 要 件 を 充 たす 限 り J GAAP を 会 計 基 準 として 引 き 続 き 利 用 することができるのに 対 し SGX は J GAAP の 適 用 を 認 めていないため 上 場 後 を 含 めた 財 務 諸 表 の 作 成 及 び 監 査 にかかるコストが HKEx 上 場 に 比 べて 大 きくなる 可 能 性 があります 一 方 SGX は これまでの 実 績 から HKEx と 比 較 して 外 国 企 業 を 受 け 入 れる 態 勢 は 充 実 しているといえます 特 にセカンダリー リスティングにおける 継 続 的 義 務 については HKEx は 原 則 として 上 場 規 則 等 の 全 面 的 遵 守 を 求 めるのに 対 し SGX は 一 定 の 開 示 要 件 等 を 満 たす 限 り 原 則 として 上 場 後 の 継 続 的 義 務 は 適 用 されず その 指 定 する 上 場 規 則 条 項 のみが 例 外 的 に 適 用 されることになりますので 指 定 される 条 項 の 範 囲 が 拡 大 されつつある とはいえ SGX でのセカンダリー リスティングでは 上 場 規 則 のより 幅 広 い 適 用 免 除 を 期 待 することができるといえ るかもしれません また HKEx は 原 則 として 英 語 及 び 中 国 語 の 開 示 を 要 求 するのに 対 し SGX は 英 語 での 開 示 のみを 要 求 しており 翻 訳 に 要 する 時 間 や 費 用 の 点 からは SGX の 方 が 負 担 が 軽 減 されると 考 えられます なお アジア 市 場 での 位 置 づけとしては HKEx は 自 らを 中 国 本 土 市 場 へのゲートウェイ としてそのメリットを 掲 げているのに 対 し SGX は アジア 金 融 市 場 へのゲートウェイ をスローガンとして 提 唱 しています したがって 中 国 本 土 への 進 出 や 中 国 での 事 業 戦 略 を 重 視 する 場 合 には HKEx を 選 択 し その 他 のアジア 地 域 ( 例 えば イン ド マレーシア ベトナム 等 )への 進 出 やこれらの 地 域 での 事 業 戦 略 を 重 視 する 場 合 には SGX を 選 択 する という 見 方 もありうるところです VI. おわりに アジア 地 域 での 上 場 については 資 金 調 達 の 多 様 化 アジア 市 場 における 知 名 度 やブランド 力 の 向 上 海 外 市 場 への 戦 略 的 拠 点 の 構 築 などのメリットがある 一 方 時 間 やコストの 負 担 海 外 の 法 制 度 の 適 用 による 法 律 上 の 問 題 点 などのデメリットにも 注 意 する 必 要 があります これらのメリット デメリットを 分 析 するためにはアジアの 国 地 域 の 上 場 制 度 及 び 実 務 上 の 問 題 点 を 正 確 に 把 握 することが 必 要 であり その 概 要 を 理 解 いただくうえで 本 稿 が 一 助 となれば 幸 いです 最 近 の 法 令 改 正 等 の 状 況 2012 年 10 月 31 日 金 融 庁 より 空 売 り 規 制 自 己 株 式 取 得 に 係 る 時 限 措 置 の 延 長 に 関 する 内 閣 府 令 告 示 の 公 布 がなされ 上 場 会 社 に 係 る 空 売 り 規 制 及 び 自 己 株 式 取 得 の 規 制 緩 和 が 2013 年 4 月 30 日 まで 延 長 されました 2012 年 10 月 31 日 金 融 庁 より 公 開 買 付 けの 5%ルール 適 用 除 外 を 満 たす 取 引 の 追 加 や 大 量 保 有 報 告 等 にお ける 記 載 事 項 の 明 確 化 等 を 内 容 とする 金 融 商 品 取 引 法 施 行 令 の 一 部 を 改 正 する 政 令 及 び 発 行 者 以 外 の 者 によ る 株 券 等 の 公 開 買 付 けの 開 示 に 関 する 内 閣 府 令 及 び 株 券 等 の 大 量 保 有 の 状 況 の 開 示 に 関 する 内 閣 府 令 の 一 部 を 改 正 する 内 閣 府 令 が 公 布 され 同 日 施 行 されました 2012 年 12 月 14 日 金 融 庁 より 持 株 会 に 基 づく 権 利 がみなし 有 価 証 券 に 該 当 しないための 要 件 を 緩 和 し 上 場 会 社 並 びにその 子 会 社 及 び 孫 会 社 の 役 員 従 業 員 が 加 入 する 持 株 会 に 限 定 されていたものを 曾 孫 会 社 の 役 員 従 業 員 が 加 入 する 持 株 会 にまで 拡 大 すること 等 を 内 容 とする 金 融 商 品 取 引 法 第 二 条 に 規 定 する 定 義 に 関 する 内 閣 府 令 及 び 有 価 証 券 の 取 引 等 の 規 制 に 関 する 内 閣 府 令 の 一 部 を 改 正 する 内 閣 府 令 が 公 布 されました 当 該 改 正 は 2013 年 1 月 1 日 から 施 行 されます 4 Guidance Letter HKEx-GL12-09(2009 年 9 月 )(http://www.hkex.com.hk/eng/rulesreg/listrules/listguid/ documents/gl12-09.pdf) 8

文 献 情 報 論 文 会 社 法 務 インサイダー 取 引 規 制 の 改 正 掲 載 誌 企 業 会 計 Vol.65 No.1 2013 年 1 月 号 著 者 藤 津 康 彦 論 文 インサイダー 取 引 規 制 課 徴 金 制 度 の 見 直 し( 平 成 24 年 金 商 法 改 正 ) 掲 載 誌 月 刊 監 査 役 No. 605 2013 年 11 月 号 著 者 藤 津 康 彦 News Asia Law & Practice の Asialaw Profiles 2013 The Guide to Asia-Pacific's Leading Domestic Law Firms にて 高 い 評 価 を 得 ました Asialaw Profiles 2013 The Guide to Asia-Pacific's Leading Domestic Law Firms にて 当 事 務 所 は Recommended firms として 紹 介 され Capital Markets を 含 む 10 の 分 野 で 特 に 高 い 評 価 を 得 ました また Asialaw recommended lawyers として 当 事 務 所 の 石 黒 徹 弁 護 士 安 部 健 介 弁 護 士 鈴 木 克 昌 弁 護 士 をはじめ 11 名 の 弁 護 士 がとりあげられました IFLR1000 にて 高 い 評 価 を 得 ました IFLR1000 (2013 Edition) で 当 事 務 所 は Capital markets を 含 む 4 分 野 でトップグ ループにランキングされました また Capital markets - debt and equity 分 野 における Leading Lawyers として 当 事 務 所 の 石 黒 徹 弁 護 士 安 部 健 介 弁 護 士 鈴 木 克 昌 弁 護 士 が 選 ばれました is a highly recommended firm in Asialaw Profiles Legal500 にて 高 い 評 価 を 得 ました The Legal 500 Asia Pacific 2013 にて 当 事 務 所 は Capital markets を 含 む 13 の 分 野 で 上 位 グループにランキングされました また Capital markets 分 野 における leading individuals として 当 事 務 所 の 石 黒 徹 弁 護 士 中 村 聡 弁 護 士 鈴 木 克 昌 弁 護 士 が 選 ばれました MORI HAMADA & MATSUMOTO has a top tier ranking in the IFLR1000 Capital Markets Bulletin 2012 年 第 5 号 ( 通 算 第 15 号 ) [2012.12.25 発 行 ] ( 当 事 務 所 に 関 するお 問 い 合 わせ) 森 濱 田 松 本 法 律 事 務 所 広 報 担 当 mhm_info@mhmjapan.com 03-6212-8330 www.mhmjapan.com 9