マグロを釣った



Similar documents
航空隊及び教育航空隊の編制に関する訓令

ずれの 年 度 においても これら 在 職 機 関 と 住 商 エアロシステム 株 式 会 社 との 間 で 締 結 された 契 約 の 総 額 が 当 該 年 度 における 住 商 エアロシステム 株 式 会 社 の 売 上 額 の 総 額 に 占 める 割 合 (いずれの 年 度 も0%)は 2

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

岡山県警察用航空機の運用等に関する訓令

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>


Microsoft PowerPoint - 経営事項審査.ppt

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

Microsoft Word 第1章 定款.doc

(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

航空隊等の内部組織に関する達

honbu-38H06_kunrei31

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

基 地 交 付 金 等 に 関 す る 要 望 書

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

<4D F736F F D20D8BDB8CFC8BCDED2DDC482A882E682D1BADDCCDFD7B2B1DDBD8B4B92F E646F63>

●電力自由化推進法案

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

< F2D926E88E6895E977089DB81608E528CFB8CA78C788E4082CC8D71>

参 考 改 正 災 害 対 策 基 本 法 1 ( 災 害 時 における 車 両 の 移 動 等 ) 第 七 十 六 条 の 六 道 路 管 理 者 は その 管 理 する 道 路 の 存 する 都 道 府 県 又 はこれに 隣 接 し 若 しくは 近 接 する 都 道 府 県 の 地 域 に 係

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

別紙3

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程


送 信 局 を 電 気 通 信 事 業 者 に 貸 し 付 けるとともに 電 気 通 信 事 業 者 とあらかじめ 契 約 等 を 締 結 する 必 要 があること なお 既 に 電 気 通 信 事 業 者 において 送 信 局 を 整 備 している 地 域 においては 当 該 設 備 の 整 備

Microsoft Word - H27概要版

                         庁議案件No

学校安全の推進に関する計画の取組事例

Microsoft Word 役員選挙規程.doc

自衛官俸給表の1等陸佐、1等海佐及び1等空佐の(一)欄又は(二)欄に定める額の俸給の支給を受ける職員の占める官職を定める訓令

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

< F2D AFA CD90AE94F58C7689E62E6A7464>

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

Microsoft Word - H24様式(那珂市版).doc

Microsoft Word - H22.4.1市費産休・育休臨任要綱.doc

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

(8) 危 険 物 火 災 等 で 逗 子 北 化 学 1を 必 要 とする 火 災 指 令 時 は 逗 子 北 1を 同 時 編 成 する (9) 未 承 認 対 象 物 からの 即 時 通 報 は 当 該 署 所 の1ケ 部 隊 編 成 とする (10) 通 常 災 害 時 及 び 異 常 災

定款  変更

< F2D8AC493C CC81698EF3928D8ED2816A2E6A7464>

航空機の防衛生産・技術基盤に必要な論点・視点

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

4 松 山 市 暴 力 団 排 除 条 の 一 部 風 俗 営 業 等 の 規 制 及 び 業 務 の 適 正 化 等 に 関 する 法 律 等 の 改 正 に 伴 い, 公 共 工 事 から 排 除 する 対 象 者 の 拡 大 等 を 図 るものです 第 30 号 H H28.1

18 国立高等専門学校機構

Taro-01 議案概要.jtd

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,

公表表紙

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

一般競争入札について

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

Microsoft Word - 全国エリアマネジメントネットワーク規約.docx

< F2D AFA CD90AE94F58C7689E62E6A7464>

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

Taro-条文.jtd

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

( の 復 旧 ) 3. 南 相 馬 市 エリアの 避 難 指 示 解 除 準 備 区 域 及 び 居 住 制 限 区 域 内 の 路 線 数 ( ) 10 路 線 うち 被 災 した 路 線 ( 工 区 ) 数 10 路 線 52 箇 所 うち 応 急 対 策 を 実 施 した 路 線 ( 工 区

(8) 日 本 国 籍 を 有 し 日 本 国 憲 法 及 びその 下 に 成 立 した 政 府 を 暴 力 等 で 破 壊 すること を 主 張 する 団 体 等 その 他 を 結 成 し 又 は 加 入 し 若 しくは 協 力 していないことを 証 明 又 は 誓 約 し 若 しくは 保 証 で

Microsoft PowerPoint 資料6 技術基準.ppt [互換モード]

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

m07 北見工業大学 様式①

17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

<4D F736F F D208DE3905F8D8291AC8B5A8CA48A948EAE89EF8ED0208BC696B18BA492CA8E64976C8F BD90AC E378C8E89FC92F994C5816A>

財団法人○○会における最初の評議員の選任方法(案)

新 行 財 政 改 革 推 進 大 綱 実 施 計 画 個 票 取 組 施 策 国 や 研 究 機 関 への 派 遣 研 修 による 資 質 向 上 の 推 進 鳥 インフルエンザ 等 新 たな 感 染 症 等 に 対 する 検 査 技 術 の 習 得 など 職 員 の 専 門

Microsoft Word - 交野市産業振興基本計画 doc

Microsoft Word - 結果・異動プレス_ _clean.doc

Ⅰ 平成14年度の状況

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第081号.doc

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

47 高 校 講 座 モ オ モ 圏 比 較 危 述 覚 普 第 章 : 活

( 参 考 ) 国 家 戦 略 特 別 区 域 法 ( 平 成 25 年 法 律 第 107 号 )( 抄 ) 国 家 戦 略 特 別 区 域 法 及 び 構 造 改 革 特 別 区 域 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 27 年 法 律 第 56 号 ) による 改 正 後 (

主要生活道路について

東京都立産業技術高等専門学校

定款

示 とする 原 処 分 を 行 ったところ 異 議 申 立 てが 提 起 されたものである なお, 本 件 対 象 文 書 の 一 部 開 示 決 定 に 係 る 審 査 会 への 諮 問 は2 度 目 であ り, 前 回 の 一 部 開 示 決 定 について,その 決 定 は 妥 当 である 旨

< F2D E633368D86816A89EF8C768E9696B18EE688B5>

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

(15) 兵 庫 県 道 高 速 湾 岸 線 (16) 神 戸 市 道 高 速 道 路 2 号 線 (17) 兵 庫 県 道 高 速 北 神 戸 線 (18) 神 戸 市 道 高 速 道 路 北 神 戸 線 (19) 神 戸 市 道 高 速 道 路 湾 岸 線 のうち 上 り 線 については 神 戸


・モニター広告運営事業仕様書

西関東書式

<4D F736F F D208A7789EF8B4B96F189FC90B394C E37944E313393FA D89EF8FB A>

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 135,6 243,7 185,8 222,9 261,9

<4D F736F F D F303088A4926D8CA78E8497A EF68BC697BF93998C798CB895E28F958BE08CF D6A2E646F63>

●幼児教育振興法案

税制面での支援

目 次 第 1 章 総 則 第 1 節 計 画 の 目 的... 1 第 1 計 画 の 目 的 1 第 2 計 画 の 策 定 1 第 3 計 画 の 構 成 2 第 4 用 語 の 意 義 2 第 2 節 計 画 の 前 提 条 件... 3 第 1 自 然 条 件 3 第 2 社 会 条 件

Taro-契約条項(全部)

Transcription:

HELI-5 マグロを 釣 った 掃 海 ヘリコプタ KV107ⅡA 義 若 基 日 本 ヘリコプタ 協 会 名 誉 顧 問 米 国 ヘリコプタ 学 会 名 誉 会 員 海 に 展 張 していた 掃 海 具 をV107Aへ 揚 収 中 機 雷 掃 海 用 のケーブル カッタに 一 匹 のマグロが 喰 いついて 釣 り 上 げられ 海 上 自 衛 隊 第 111 航 空 隊 員 の 夕 餉 の 食 卓 を 賑 わせたのは 事 実 であった 世 界 にヘリコプタは 多 いが マグロを 釣 ったヘリコプタは 海 上 自 衛 隊 の 掃 海 ヘリコプタ V107A( 川 重 コード KV107ⅡA 3)だけであろう 写 真 は 海 自 第 111 航 空 隊 発 刊 しらさぎV107A 除 籍 記 念 写 真 集 から 転 載 した 1990 平 成 2 年 3 月 海 上 自 衛 隊 岩 国 基 地 でV107 A 掃 海 ヘリコプタの 除 籍 記 念 式 典 が 行 われ 我 が 国 最 初 の 掃 海 ヘリコプタV107Aはこの 式 典 をもって 退 役 し そのバ トンをシコルスキ 社 製 大 型 ヘリコプタMH53Eに 渡 した それから 既 に 20 年 MH53Eにも 幕 引 きの 時 が 近 付 いてき た 後 継 機 にはアグスタ 社 MCH101ヘリコプタが 選 ばれ 川 重 はそのプライム コントラクタとして 再 び 海 自 掃 海 ヘリ コプタのシステム 開 発 を 担 当 することとなった 50 年 前 海 自 へのV107 売 り 込 みに 参 画 し 世 界 に 先 駆 けてヘリコプタ 掃 海 にチャレンジした 筆 者 にとっては 感 懐 も 一 入 である V107は 1958 昭 和 33 年 から 川 崎 航 空 機 工 業 株 式 会 社 ( 後 に 川 崎 重 工 に 統 合 合 併 ) 西 明 石 工 場 で 導 入 が 計 画 され 最 初 の 販 売 先 としては 海 上 自 衛 隊 の 掃 海 ヘリコプタに 的 が 絞 られていた 1960 昭 和 35 年 12 月 初 旬 昭 和 36 年 度 国 家 予 算 政 府 案 で 海 上 自 衛 隊 にV107 2 機 の 調 達 がヘ リコプタ 掃 海 の 試 験 用 として 認 められて ボーイング バートル 社 とのV107 技 術 援 助 契 約 が 認 可 さ れ 発 効 した 同 年 12 月 中 旬 川 航 東 京 事 務 所 で 当 時 の 最 高 幹 部 永 野 岐 阜 四 本 神 戸 両 製 作 所 長 出 席 の 大 会 議 が 開 かれ V107の 事 業 展 開 は 岐 阜 工 場 でと 明 石 から 岐 阜 へV107の 移 管 が 決 定 された 1961 昭 和 36 年 1 月 1 日 付 けの 発 令 私 は 高 橋 忠 男 課 長 ( 後 に 日 飛 取 締 役 )に 従 って 岐 阜 へ 転 勤 した それから 苦 節 10 年 川 重 がV107A 3 掃 海 ヘリコプタを 開 発 して 1974 昭 和 49 年 日 本 に 初 めてヘリコプタ 掃 海 専 任 の 部 隊 海 上 自 衛 隊 第 111 航 空 隊 が 広 島 県 岩 国 市 に 誕 生 した V107A 掃 海 ヘリコプタの 計 画 機 数 は 当 初 12 機 であった しかし 第 1 次 から 第 6 次 契 約 までの 計 9 機 の 納 入 をもって 1974 昭 和 49 年 秋 突 如 1975 昭 和 50 年 度 から 海 上 自 衛 隊 V107Aの 調 達 打 ち 切 り 開 発 費 未 回 収 という 防 衛 庁 契 約 では 他 に 例 を 見 ない 無 念 な 結 末 となった この 調 達 突 然 打 ち 切 りの 理 由 として 昭 和 49 年 ボーイング バートル 社 製 の 回 転 翼 スパーに 製 造 欠 陥 が 発 見 され その 特 別 検 査 の 為 にV107 全 機 グランドと 言 う 大 問 題 の 発 生 が 考 えられた また 一 方 では V107 Aの 掃 海 システムが 使 い 物 にならないとの 噂 が 社 内 外 で 相 当 流 布 されていたようで これが 今 でも 時 に 話 題 に 上 ることがある しかし これらはV107A 調 達 打 ち 切 りの 真 の 理 由 であったのだろうか 1

米 国 ヘリコプタ 学 会 誌 VERTIFLITE 2000 年 ( 平 成 11 年 ) 夏 季 号 にFRANK COLUCCI 氏 寄 稿 軍 事 技 術 :ヘリコプタによる 空 中 からの 機 雷 処 理 の 中 で 次 の 記 事 を 見 つけた 1962 年 ( 昭 和 37 年 ) 米 海 軍 はヘリコプタ 掃 海 の 開 発 に 当 たり 初 めボーイング バートル 社 の CH46を 候 補 にあげたが CH46には 新 輸 送 ヘリ コプタとしての 緊 急 任 務 があり CH46を 掃 海 の 開 発 に 回 す 余 裕 が 無 かった ( 数 年 後 日 本 はヘリコプタ 掃 海 を 川 崎 バートルKV107 Ⅱ-3で 実 用 した ) 1965 年 ( 昭 和 40 年 )にシコルスキHSS-2が 米 国 海 軍 における 最 初 の 掃 海 ヘリコプタとなった HSS-2は 掃 海 時 曳 航 ケーブルが 尾 部 回 転 翼 を 破 壊 する 事 故 が 度 々 発 生 した 又 エンジンやダイナミッ ク コンポーネントの 金 属 疲 労 が 激 しく 掃 海 具 曳 航 の 1 飛 行 時 間 は 通 常 飛 行 の 8 時 間 に 相 当 するとして オーバーホール 間 隔 を 大 幅 に 短 縮 した 川 重 の 掃 海 完 全 開 発 は 米 国 HSS 2より 約 5 年 遅 れたが 独 自 アイデアによるV107Aの 機 雷 掃 海 システムは 信 頼 性 も 使 い 勝 手 の 良 さも 米 海 軍 H SS 2のそれを 遥 かに 凌 駕 し 1970 昭 和 45 年 当 時 世 界 で 唯 一 の 実 用 掃 海 ヘリコプタであったと 思 われ る 特 にMK101 係 維 機 雷 掃 海 具 の 空 中 バトンタッチは 危 険 で 困 難 な 掃 海 具 の 展 張 揚 収 回 数 を 削 減 し 1 機 約 2 5 時 間 半 の 実 掃 海 時 間 を 3 時 間 へと 延 長 した 川 重 独 自 創 案 の 運 用 操 作 方 法 で 海 上 自 衛 隊 のタンデ ム ロータ ヘリコプタKV107でのみ 具 現 された 世 界 唯 一 のオペレーションであった ヘリコプタによる 掃 海 は 気 圧 気 温 風 向 風 速 海 流 水 路 等 多 くの 運 航 パラメータ 組 み 合 わせの 中 で 複 雑 な 掃 海 具 の 展 張 曳 航 曳 航 旋 回 揚 収 時 には 掃 海 時 間 延 長 の 為 にヘリコプタ 間 での 空 中 バトンタ ッチも 行 う ヘリコプタにとっても 機 上 掃 海 隊 員 にと っても 危 険 かつ 過 酷 な 作 業 の 連 続 である シングル ロータ ヘリコプタは 尾 部 回 転 翼 による 風 見 型 安 定 性 により 向 かい 風 に 対 しては 強 いが 背 風 横 風 での 安 定 した 飛 行 は 殆 ど 不 可 能 掃 海 はタンデム ロータ ヘリコプタの 独 占 場 と 海 自 向 け 第 一 次 契 約 V107 2 機 の 輸 入 到 着 を 待 っていた 2

1963 昭 和 38 年 到 着 した1 号 機 に 装 着 されていた 掃 海 装 備 品 は 胴 体 尾 部 下 面 に 取 り 付 けられた 牽 引 力 15,000ポンド( 曳 航 ケーブル 径 5/8インチⅩ2 5フィート 長 )の 特 殊 フック 付 きウインチだけであった このウインチでも 使 えればまだ 良 かったが これが 試 作 品 実 用 に 耐 える 代 物 でなかった ここに 最 初 の 問 題 が 発 生 した 海 上 自 衛 隊 は2 号 機 用 曳 航 ウインチの 輸 入 を 見 合 わ せた このまま 何 もしないとV107 掃 海 ヘリコプタの 制 式 化 は 難 しいと 判 断 し 2 号 機 用 曳 航 システムの 開 発 に 着 手 した 許 される 開 発 期 間 は 1 年 第 1 回 日 米 合 同 掃 海 演 習 が 迫 っていた 到 底 新 規 ウインチの 開 発 は 無 理 海 自 V107 機 に 装 着 輸 入 されていた 救 助 用 ウイン チの 流 用 しかなかった 知 恵 は 出 た 独 自 構 想 のWE 6100 型 曳 航 システムを 開 発 し V107 2 号 機 に 装 着 して とにかく 第 1 回 日 米 合 同 掃 海 演 習 にV 107 1 2 号 機 2 機 共 に 参 加 させることが 出 来 た ( 第 1 回 日 米 合 同 掃 海 演 習 無 事 終 了 後 訓 練 中 にケーブルが 数 回 切 断 最 後 には 径 3/6イン チ 長 さ150フィートのウインチ ケーブルを 径 1/4インチに 改 造 交 換 をしなければならなかっ たが ) 第 1 回 日 米 合 同 掃 海 演 習 は 1966 昭 和 41 年 8 月 14 15 日 の 本 演 習 を 挟 んだ 前 後 1 週 間 前 進 基 地 を 山 口 県 小 月 に 置 き 唐 津 湾 を 掃 海 海 域 とした 海 上 自 衛 隊 掃 海 部 隊 総 力 を 挙 げての 第 1 回 日 米 合 同 掃 海 演 習 我 が 国 におけるヘリコプタ 掃 海 の 将 来 を 左 右 する 重 要 な 掃 海 演 習 であった ヘリコプタ 掃 海 を 担 当 したのは 海 上 自 衛 隊 実 験 航 空 隊 第 51 航 空 隊 総 指 揮 を 取 ったのは 名 将 薬 師 寺 司 令 ( 元 海 将 補 当 時 1 等 海 佐 ) 実 戦 さながらの 大 演 習 と なった 川 重 もヘリコプタに 起 因 する 掃 海 演 習 の 失 敗 は 絶 対 に 避 け ねばならぬと 内 野 航 空 機 事 業 本 部 副 本 部 長 以 下 岐 阜 工 場 各 担 当 部 門 の 実 力 者 6 名 が 小 月 基 地 へ 進 出 し 即 断 即 決 全 ての 処 置 が 現 地 でとれる 万 全 の 支 援 体 制 で 臨 んだ 当 時 双 発 ガスタービン ヘリコプタは 運 用 開 始 直 後 で 信 頼 性 稼 働 率 は 極 端 に 悪 く 現 在 のヘリコプタからでは 到 底 想 像 も 出 来 ないものであった V107も 例 外 ではなく One Flight One Trouble 演 習 期 間 中 我 々は 毎 日 薄 氷 の 上 に でも 居 るような 気 持 ちでV107の 帰 投 を 待 っていた 準 備 演 習 では 毎 日 不 具 合 調 整 と 修 理 とが 続 いた しかし 本 演 習 の 3

2 日 間 は 正 に 天 佑 神 助 Ⅴ107で 敷 設 機 雷 12 個 を 発 見 し 掃 海 艇 からトランスファされた 曳 航 掃 海 具 で 係 維 機 雷 1 個 を 切 断 浮 上 させ これを 銃 撃 処 理 した 我 が 国 最 初 のヘリコプタによる 掃 海 演 習 としては 大 成 功 Ⅴ107ヘリコプタは 掃 海 機 材 要 員 を 自 力 で 輸 送 して 掃 海 するにたる 充 分 な 性 能 を 持 ち 機 動 掃 海 兵 力 として 得 難 い 潜 在 能 力 を 保 有 することが 実 証 され た との 総 合 講 評 がでた これを 受 けて 川 重 航 空 機 事 業 部 は 本 格 的 な 自 立 掃 海 シ ステムの 開 発 に 向 けて 自 主 研 究 を 開 始 した 武 人 の 用 に 立 つ 蹴 飛 ばしても 壊 れぬ 掃 海 システム を 開 発 の 狙 いとし 一 番 面 倒 な 係 維 機 雷 掃 海 具 MK101をV 107の 機 内 に 格 納 して 掃 海 域 へ 進 出 し MK101を 掃 海 域 海 面 へ 展 張 し 掃 海 し 掃 海 後 再 びMK101 掃 海 具 を 機 内 へ 揚 収 して 基 地 へ 帰 る 所 謂 自 立 MK101 掃 海 シス テムを 独 自 開 発 し 既 納 のV107 1および2 号 機 にリ トロフィットし 1969,1970 昭 和 44 45 年 度 にそれぞ れ 各 1 機 納 入 した さらに 1970 昭 和 45 年 度 から 始 まる 第 4 次 防 衛 力 整 備 計 画 に 向 けて 高 出 力 エンジンへの 換 装 互 換 性 と 重 量 軽 減 を 図 った 後 部 トランスミッションの 独 自 補 強 機 体 傾 き 角 調 整 用 ホバー トリムシステム 精 密 航 法 システム 曳 航 ヨー 角 ASEカプラー 等 各 種 新 規 システムの 開 発 装 備 掃 海 時 間 増 大 の 為 1000ガロン 大 型 燃 料 タンク ホ バリング 燃 料 補 給 システム 等 をも 装 備 して 本 機 の 基 本 的 掃 海 能 力 の 向 上 を 図 るとともに 音 響 機 雷 掃 海 用 のMK10 4 掃 海 ステムを 開 発 した これらを 全 て 組 み 込 んだ 性 能 信 頼 性 向 上 機 新 掃 海 ヘリコプタV107A 3(KV107ⅡA 3) 2 機 を 昭 和 45 年 度 ( 第 2 次 ) 契 約 として 1972 昭 和 47 年 2 月 3 月 に 各 1 機 納 入 した その 後 新 掃 海 ヘリコプタV107A 3の 調 達 運 用 は 特 に 大 きなクレームも 無 く 第 3~ 第 6 次 契 約 と 順 調 に 推 移 し 1974 昭 和 49 年 2 月 広 島 県 岩 国 市 の 海 上 自 衛 隊 基 地 に 我 が 国 で 初 めてヘリコプタによる 掃 海 専 任 の 部 隊 第 111 航 空 隊 が 編 成 された ところが 前 記 の 回 転 翼 特 別 検 査 グランド 問 題 がほぼ 収 斂 した 昭 和 49 年 夏 突 然 昭 和 50 年 度 の 予 算 要 求 からV107Aを 外 すとの 情 報 が 齎 された 回 転 翼 の 特 別 検 査 V107グランド 問 題 が 決 して 小 さな 問 題 とは 考 えてはいなかった 川 重 航 空 機 事 業 本 部 とボーイング バートル 社 とはV107の 安 全 性 確 保 に 向 けて 最 大 限 の 努 力 を 傾 注 した KV107ⅡAは その 後 1977 昭 和 52 年 に 第 1 次 契 約 が 成 立 したサウジアラビア 内 務 省 防 災 ヘリコ プタは ( 毎 年 1 週 間 に 数 百 万 人 の 回 教 徒 が 参 加 するメッカ 大 巡 礼 の 安 全 確 保 にも 大 活 躍 ) 熱 砂 飛 ぶ 燃 えるサウジアラビアで 任 務 稼 働 率 92%を 達 成 し 当 該 プロジェクトに 従 事 した 米 国 人 パイロット 整 備 士 が 米 海 軍 CH46での 運 用 経 験 と 比 べて KV107の 信 頼 性 稼 働 率 の 高 さに 驚 いたほどの 高 信 頼 ヘリコプタへと 脱 皮 していった 陸 空 両 自 衛 隊 は 調 達 を 継 続 し KV107ⅡAの 製 造 は 1990 平 成 2 年 2 月 社 内 製 造 機 番 160 号 航 空 自 衛 隊 救 難 ヘリコプタの 最 終 号 機 の 製 造 をもってその 幕 を 引 いた 4

V07A 除 籍 記 念 写 真 集 第 111 航 空 隊 の 巻 頭 言 で 織 田 勝 一 航 空 隊 司 令 は 次 ぎの 様 に はなむけ され ている しらさぎの 愛 称 で 親 しまれてきた 掃 海 ヘリコプタV107Aは ここに 26 有 余 年 にわたる 輝 かし い 歴 史 を 閉 じようとしております 思 い 起 こせば 昭 和 38 年 9 月 我 が 国 最 初 のガスタービン 搭 載 の 大 型 ヘリコプタとして 導 入 され 51 空 において 10 年 間 に 及 ぶ 掃 海 ヘリコプタとしての 開 発 試 験 が 繰 り 返 された 後 昭 和 49 年 2 月 に 海 上 自 衛 隊 唯 一 の 専 任 掃 海 部 隊 として 第 111 航 空 隊 の 発 足 を 見 ました 掃 海 具 の 展 張 揚 収 システムを 国 内 開 発 したことにより 機 内 での 操 作 が 日 本 人 の 特 性 に 適 合 したも のとなり 困 難 で 危 険 を 伴 う 作 業 にもかかわらず 安 全 の 確 保 ができ 我 々のニーズに 十 分 応 えてくれ ました 特 にその 堅 牢 さと 優 れた 操 作 性 は 海 上 自 衛 隊 の 中 でも 常 に 高 い 任 務 稼 働 率 を 維 持 し 実 践 的 システムとして 高 く 評 価 されました 導 入 以 来 今 日 まで 1 人 の 人 命 も 又 1 機 も 失 うことなく 全 機 が 完 全 にその 耐 用 時 間 を 飛 び 続 けた というこの 輝 かしい 記 録 がその 全 てを 物 語 っていると 思 います 先 輩 の 英 知 と 努 力 に 対 して 今 改 めて 感 謝 申 し 上 げる 次 第 です 掃 海 ヘリコプタV107Aは それを 知 る 私 達 の 胸 に 深 くのこるとともに 海 上 自 衛 隊 の 歴 史 を 飾 る 名 機 としてその 名 を 後 世 に 残 すものと 確 信 します そのような 思 いをこめて 懐 かしい 貴 重 な 写 真 を 部 内 外 に 広 く 求 め 写 真 集 を 作 成 しました 青 春 の 情 熱 を 傾 けた 時 代 の 思 い 出 として 頂 ければ 幸 いに 思 います 5