関 西 障 害 者 歯 科 臨 床 研 究 会 第 8 回 研 究 集 会 抄 録 集 寄 り 添 う 歯 科 医 療 ~ 患 者 支 援, 保 護 者 支 援 ~ 大 会 長 : 芦 田 欣 一 ( 滋 賀 県 歯 科 医 師 会 会 長 ) 実 行 委 員 長 : 谷 仁 史 ( 滋 賀 県 歯 科 医 師 会 理 事 ) 日 時 : 平 成 28 年 7 月 17 日 ( 日 )10 時 00 分 から 16 時 40 分 会 場 :ピアザ 淡 海 ( 滋 賀 県 大 津 市 におの 浜 1-1-20 TEL.077-527-3315) 主 催 : 関 西 障 害 者 歯 科 臨 床 研 究 会 ( 会 長 吉 田 春 陽 ) 後 援 :( 一 社 ) 滋 賀 県 歯 科 医 師 会 ( 一 社 ) 滋 賀 県 歯 科 衛 生 士 会 協 賛 :( 一 社 ) 日 本 障 害 者 歯 科 学 会
大 会 長 挨 拶 関 西 障 害 者 歯 科 臨 床 研 究 会 第 8 回 研 究 集 会 大 会 長 滋 賀 県 歯 科 医 師 会 会 長 芦 田 欣 一 関 西 障 害 者 歯 科 臨 床 研 究 会 第 8 回 研 究 集 会 を 滋 賀 県 歯 科 医 師 会 の 担 当 で 開 催 させ ていただくこととなりました 琵 琶 湖 畔 のこの 地 に 多 くの 会 員 の 先 生 方 に 御 参 集 い ただき 誠 にありがとうございます 今 回 の 研 究 集 会 のテーマは 寄 り 添 う 歯 科 医 療 患 者 支 援 保 護 者 支 援 といた しました 障 害 者 歯 科 は 障 害 者 福 祉 医 療 の 一 分 野 であり 歯 科 治 療 を 通 じて 障 害 者 の 方 々と 関 係 のもてる 貴 重 な 場 でありますが 診 療 を 提 供 する 側 にも 様 々な 患 者 支 援 が 必 要 となることが 少 なくありません また 歯 科 疾 患 が 生 活 習 慣 病 の 側 面 をも つことから 保 護 者 介 助 者 の 支 援 も 必 要 となります 今 回 の 特 別 講 演 では 滋 賀 で 培 われた 障 がい 支 援 の 理 念 と いのち の 可 能 性 と 題 して 障 害 者 医 療 福 祉 に 携 わっておられる びわこ 学 園 医 療 福 祉 センター 草 津 施 設 長 医 師 の 口 分 田 政 夫 先 生 に 御 講 演 いただきます ご 存 知 の 方 も 多 いと 思 い ますが びわこ 学 園 は 日 本 の 障 害 者 福 祉 を 切 り 開 いた 第 一 人 者 と 知 られる 糸 賀 一 雄 氏 が 創 設 された 重 症 心 身 障 害 児 施 設 です 午 後 の 教 育 講 演 Ⅰでは 食 に 寄 り 添 う 歯 科 衛 生 士 の 役 割 私 たちはチームの 一 員 と 題 して 長 年 在 宅 口 腔 ケアに 携 われている 米 原 市 地 域 包 括 医 療 センター ふ くしあ 歯 科 衛 生 士 の 石 黒 幸 枝 先 生 に 御 講 演 いただきます 教 育 講 演 Ⅱでは 障 害 者 歯 科 医 療 における 家 族 支 援 哲 学 対 話 をとおして 見 える 世 界 と 題 して 青 木 健 太 先 生 ( 大 阪 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 博 士 後 期 課 程 大 阪 大 学 歯 学 部 附 属 病 院 障 害 者 歯 科 治 療 部 特 任 研 究 員 ) 稲 原 美 苗 先 生 ( 神 戸 大 学 大 学 院 人 間 発 達 環 境 学 研 究 科 准 教 授 )に 御 講 演 いただきます 今 回 の 研 究 集 会 では 視 点 の 異 なった 観 点 からの 御 提 言 を 頂 ければと 思 います 最 後 に 本 研 究 集 会 主 催 者 である 関 西 障 害 者 歯 科 臨 床 研 究 会 吉 田 春 陽 会 長 ならびに 研 究 会 事 務 局 の 多 大 なるご 支 援 ご 協 力 に 対 しお 礼 申 し 上 げます 平 成 28 年 7 月 17 日
第 8 回 タイムスケジュール 9:30 受 付 開 始 10:00 開 会 大 会 長 あいさつ 芦 田 欣 一 先 生 ( 滋 賀 県 歯 科 医 師 会 会 長 ) 10:05 特 別 講 演 滋 賀 で 培 われた 障 がい 支 援 の 理 念 と いのち の 可 能 性 口 分 田 政 夫 先 生 ( 医 師,びわこ 学 園 医 療 福 祉 センター 草 津 施 設 長 ) 12:00 昼 休 憩 13:15 会 員 総 会 13:25 教 育 講 演 Ⅰ 食 に 寄 り 添 う 歯 科 衛 生 士 の 役 割 ~ 私 たちはチームの 一 員 ~ 石 黒 幸 枝 先 生 ( 米 原 市 地 域 包 括 医 療 福 祉 センター ふくしあ 歯 科 衛 生 士 ) 14:55 休 憩 15:00 教 育 講 演 Ⅱ 障 害 者 歯 科 医 療 における 家 族 支 援 哲 学 対 話 をとおして 見 える 世 界 稲 原 美 苗 先 生 ( 神 戸 大 学 大 学 院 人 間 環 境 学 研 究 科 人 間 発 達 専 攻 学 び 系 講 座 准 教 授 ) 青 木 健 太 先 生 ( 大 阪 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 博 士 後 期 課 程, 大 阪 大 学 歯 学 部 附 属 病 院 障 害 者 歯 科 治 療 部 特 任 研 究 員 ) 16:30 閉 会 式
特 別 講 演 滋 賀 県 で 培 われた 障 がい 児 者 支 援 の 理 念 と いのち の 可 能 性 びわこ 学 園 医 療 福 祉 センター 草 津 施 設 長 医 師 口 分 田 政 夫 先 生 略 歴 昭 和 59 年 鳥 取 大 学 医 学 部 卒 業 昭 和 59 年 滋 賀 医 科 大 学 小 児 科 研 修 医 昭 和 60 年 滋 賀 医 大 小 児 科 の 研 修 の 一 環 として6か 月 間 第 一 びわこ 学 園 研 修 で 勤 務 昭 和 61 年 京 都 第 二 赤 十 字 病 院 小 児 科 修 練 医 昭 和 63 年 日 野 中 央 ( 現 日 野 記 念 ) 病 院 小 児 科 医 長 平 成 3 年 国 立 療 養 所 紫 香 楽 病 院 小 児 科 医 長 平 成 9 年 第 一 びわこ 学 園 園 長 平 成 19 年 びわこ 学 園 医 療 福 祉 センター 草 津 ( 第 一 びわこ 学 園 から 改 名 ) 施 設 長 理 事 活 動 その 他 先 天 性 金 属 代 謝 異 常 症 の 神 経 病 理 の 研 究 にて 学 位 主 な 研 究 実 践 領 域 : 障 害 児 者 医 療 ( 特 に 重 症 心 身 障 害 児 医 療 発 達 障 害 医 療 ) 活 動 : 日 本 重 症 心 身 障 害 福 祉 協 会 理 事 ( 専 門 看 護 師 研 修 部 会 担 当 ) 日 本 重 症 心 身 障 害 学 会 理 事 日 本 発 達 障 害 学 会 評 議 員 日 本 小 児 神 経 学 会 評 議 員 全 国 重 症 心 身 障 害 児 ( 者 )を 守 る 会 評 議 員 小 児 連 絡 協 議 会 重 症 児 ( 者 ) 小 児 在 宅 医 療 委 員 会 委 員 糸 賀 財 団 理 事 滋 賀 県 自 立 支 援 協 議 会 代 表 滋 賀 県 小 児 重 症 心 身 障 害 児 ( 者 ) 在 宅 医 療 委 員 会 代 表 など 著 書 重 症 心 身 障 害 児 者 診 療 看 護 ケア 実 践 マニュアル( 診 断 と 治 療 社 共 同 編 集 ) 障 害 児 の 栄 養 水 分 電 解 質. 北 住 映 二, 他 編 : 子 どもの 摂 食 嚥 下 障 害, 永 井 書 店 ( 分 担 執 筆 ) 疾 患 別 の 栄 養 療 法 重 症 心 身 障 害 児. 小 児 臨 床 栄 養 学 診 断 と 治 療 社 ( 分 担 執 筆 )など 滋 賀 県 には 戦 後 障 がい 児 者 児 者 を 受 け 止 め 可 能 性 を 見 いだしてきた 療 育 の 歴 史 がある 糸 賀 一 雄 の 提 唱 した 人 と 生 まれて 人 間 となる という 発 達 保 障 や こ の 子 らを 世 の 光 に という 理 念 に 結 実 した 医 療 の 現 場 では 障 がい 児 者 と 特 定 の 時 間 で 特 定 の 場 所 で 例 えば 歯 の 痛 みの 治 療 を 受 けるという 特 定 の 関 係 性 で 出 会 う そこは 時 間 的 空 間 的 関 係 的 に 点 である 点 での 医 療 現 場 で 障 がい 児 者 に 接 するとき 時 に 大 暴 れとなり 診 療 に 失 敗 する 経 験 をする パニックの 背 景 を 探 ると 要 因 が 存 在 する 本 人 は 学 校 での 活 動 を 続 けたかったのに 予 告 なしに 無 理 やり 診 察 につれてこられた 医 師 は 学 校 で 家 庭 での 困 った 状 況 を 家 族 に 聞 き 取 った そして 本 人 の 怒 りはピー クに 達 した 本 人 は 必 然 的 結 果 として 暴 れざるを 得 なかったのだ 背 景 を 面 で 理 解 すると 本 人 の 気 持 ちが 見 えてくる 点 と 点 が 出 会 う 診 療 場 面 で 重 要 なのは 相
手 を 時 間 軸 と 場 所 軸 と 関 係 性 の 3 つの 空 間 の 拡 がりで 理 解 する 想 像 力 だ こうした 拡 がりのなかで 医 療 を 行 うためには 周 囲 の 本 人 をよく 知 る 人 との 協 同 が 不 可 欠 で ある その 上 で 医 療 現 場 での 出 会 いを 積 み 重 ね 相 互 理 解 という 経 験 を 蓄 積 する 必 要 がある 点 での 診 療 が 成 功 し その 人 の 人 生 を 変 えることが 共 にある うまく 治 療 ができて 痛 みが 軽 減 すると 家 での 本 人 のイライラが 減 少 し しかりつける 必 要 のなくなった 家 族 と 本 人 との 関 係 が 改 善 し 全 体 がよい 方 向 に 向 かう この 時 医 療 の 点 の 現 場 での 実 践 が 家 族 や 人 生 という 面 全 体 によい 影 響 を 与 ることができ る 滋 賀 県 の 療 育 は 施 設 で 暮 らすなかで 練 り 上 げられてきた そこは 点 でなくお 互 いがわかり 会 える 面 であった 現 在 の 個 別 化 された 地 域 生 活 の 中 では 連 携 と 想 像 力 協 同 が 一 人 一 人 のいのちの 可 能 性 を 引 き 出 す 鍵 になるだろう
教 育 講 演 Ⅰ 食 に 寄 り 添 う 歯 科 衛 生 士 の 役 割 私 たちはチームの 一 員 米 原 市 地 域 包 括 医 療 福 祉 センター ふくしあ 歯 科 衛 生 士 石 黒 幸 枝 先 生 略 歴 滋 賀 県 立 総 合 保 健 専 門 学 校 歯 科 衛 生 学 科 卒 業 歯 科 診 療 所 勤 務 長 浜 市 健 康 推 進 課 臨 時 職 員 高 齢 者 介 護 施 設 非 常 勤 を 経 て 2006 年 2016 年 長 浜 市 地 域 包 括 支 援 課 臨 時 職 員 2010 年 2016 年 地 域 医 療 振 興 協 会 地 域 包 括 ケアセンターいぶき 非 常 勤 2015 年 1 月 現 在 湖 東 歯 科 医 師 会 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 勤 務 2015 年 10 月 現 在 北 海 道 家 庭 医 療 学 センター 浅 井 東 診 療 所 デイケアくさの 川 非 常 勤 2016 年 4 月 現 在 地 域 医 療 振 興 協 会 米 原 市 地 域 包 括 医 療 福 祉 センター ふくしあ 非 常 勤 役 職 2008 年 2014 年 滋 賀 県 歯 科 衛 生 士 会 会 長 2014 年 2016 年 滋 賀 県 歯 科 衛 生 士 会 監 事 2015 年 6 月 現 在 日 本 歯 科 衛 生 士 会 理 事 2016 年 6 月 現 在 日 本 老 年 歯 科 医 学 会 理 事 評 議 員 歯 科 衛 生 士 関 連 委 員 会 委 員 長 多 職 種 連 携 委 員 会 委 員 今 回 の 大 会 テーマは 寄 り 添 う 歯 科 医 療 ~ 患 者 支 援, 保 護 者 支 援 ~ であり 障 害 者 歯 科 に 関 わるうえで 重 要 なキーワードになる 私 は 現 在 児 童 発 達 支 援 セン ターとデイケア そして 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 に 勤 務 している 医 療 の 現 場 ではなく 福 祉 保 健 といった 診 療 室 から 離 れた 場 所 での 患 者 支 援 保 護 者 ( 家 族 ) 支 援 を 食 支 援 や 口 腔 機 能 管 理 を 通 して 報 告 する まず 地 域 包 括 医 療 福 祉 センター ふくしあ では 児 童 発 達 支 援 センターにお いて 職 員 室 で 臨 床 心 理 士 や 保 育 士 と 机 を 並 べている ここでは 療 育 教 室 と 放 課 後 等 デイサービスで 障 害 のあるお 子 さんの 口 腔 機 能 や 食 事 摂 取 の 観 察 と 提 案 を 行 っ ている 歯 みがきが 苦 手 なのは 当 たり 前 ご 飯 を 食 べることが 苦 手 で 大 きな 負 担 に なっている 児 に 対 して どのような 支 援 ができるか 模 索 する 日 々である デイケア には 口 腔 ケアを 含 めた 口 腔 機 能 管 理 をアドバイスする 立 場 で 入 職 した 診 療 所 の 医 師 看 護 師 の 医 療 職 と デイケアの 介 護 職 や 管 理 栄 養 士 を 繋 ぐことも 役 割 であり 歯 科 衛 生 士 が 利 用 者 の 口 腔 のアセスメントを 行 い 適 切 な 口 腔 ケアの 方 法 や 食 環 境 について 多 職 種 に 伝 えている 障 害 児 ( 者 )や 要 介 護 高 齢 者 の 嚥 下 に 関 わっているが どちらも 病 態 の 理 解 や 評
価 を 求 められる 現 場 である どの 場 面 でも 本 人 家 族 の 意 志 を 尊 重 しながら 支 援 を 行 い いかに 良 好 な 口 腔 の 状 態 を 継 続 できるか 制 度 や 自 分 の 立 場 を 理 解 し 責 任 をもって 関 わる 必 要 がある 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 においては 地 域 の 文 化 や 資 源 を 把 握 し 歯 科 訪 問 診 療 が 円 滑 に 進 むシステムの 構 築 につとめている 歯 科 衛 生 士 は 小 児 から 要 介 護 者 まで 命 の 入 り 口 であり 心 の 出 口 である 口 腔 に 関 われる 職 種 とし て 多 くの 期 待 が 寄 せられている 今 までは 院 内 完 結 で 終 わっていたことが 多 い 歯 科 医 療 だが 今 後 は 更 にチーム 医 療 や 多 職 種 連 携 が 求 められるだろう 常 に 熱 意 を 携 え 専 門 性 を 発 揮 しながらチー ムの 一 員 としての 役 割 を 果 たしていきたいと 考 える
教 育 講 演 Ⅱ 障 害 者 歯 科 医 療 における 家 族 支 援 哲 学 対 話 をとおして 見 える 世 界 大 阪 大 学 歯 学 部 附 属 病 院 障 害 者 歯 科 治 療 部 特 任 研 究 員 青 木 健 太 先 生 略 歴 2011 年 関 西 大 学 総 合 人 文 学 科 哲 学 倫 理 学 専 修 卒 業 2014 年 大 阪 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 博 士 前 期 課 程 修 了 2014 年 大 阪 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 博 士 後 期 課 程 在 籍 2016 年 大 阪 大 学 歯 学 部 附 属 病 院 障 害 者 歯 科 治 療 部 特 任 研 究 員 専 門 : 臨 床 哲 学 現 象 学 (M ハイデガー) 神 戸 大 学 大 学 院 人 間 環 境 学 研 究 科 人 間 発 達 専 攻 学 び 系 講 座 准 教 授 稲 原 美 苗 先 生 略 歴 1996 年 オーストラリア 国 立 ニューカッスル 大 学 文 学 部 社 会 学 科 卒 業 1997 年 オーストラリア 国 立 ニューカッスル 大 学 大 学 院 社 会 学 研 究 科 優 等 学 位 課 程 終 了 2007 年 英 国 国 立 ハル 大 学 哲 学 研 究 科 名 誉 研 究 員 (2013 年 3 月 まで) 2007 年 英 国 国 立 ハル 大 学 大 学 院 哲 学 研 究 科 博 士 課 程 修 了 (Ph.D 哲 学 博 士 ) 2010 年 スウェーデン 国 立 ウプサラ 大 学 客 員 研 究 員 短 期 (2010 年 12 月 まで) 2011 年 スウェーデン 国 立 ウプサラ 大 学 客 員 研 究 員 短 期 (2011 年 12 月 まで) 2012 年 立 教 大 学 全 学 共 通 カリキュラム 兼 任 講 師 (2013 年 3 月 まで) 2012 年 東 京 大 学 大 学 院 総 合 文 化 研 究 科 教 養 学 部 附 属 共 生 のための 国 際 哲 学 研 究 センター(UTCP) 上 廣 共 生 学 寄 付 研 究 部 門 特 任 研 究 員 (2013 年 3 月 まで) 2013 年 大 阪 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 文 化 形 態 論 専 攻 ( 臨 床 哲 学 ) 助 教 (2016 年 3 月 まで) 2016 年 神 戸 大 学 大 学 院 人 間 環 境 学 研 究 科 人 間 発 達 専 攻 学 び 系 講 座 准 教 授 ( 現 在 に 至 る) 主 な 所 属 学 会 : 英 国 女 性 哲 学 学 会 (SWIP UK:Society for Women in Philosophy UK) 会 員 北 欧 リサーチネット ワーク:ジェンダー 身 体 保 健 医 療 (The Nordic Network Gender, Body and Health) 会 員 日 本 哲 学 会 会 員 応 用 哲 学 会 会 員 日 本 現 象 学 会 会 員 日 本 障 害 者 歯 科 学 会 会 員 日 本 健 康 教 育 学 会 会 員 ほか 専 門 分 野 :ジェンダー 理 論 身 体 論 フェミニスト 現 象 学 臨 床 哲 学 著 書 :Abject Love:Undoing the Boundaries of Physical Disability(アブジェクト ラブ: 身 体 障 害 の 境 界 への 疑 問 ),VDM Verlag,2009. ほか 多 数 私 たちは 大 阪 大 学 歯 学 部 附 属 病 院 で 哲 学 対 話 を 開 催 している 2015 年 1 月 に 第 一 回 を 開 催 して 以 来 月 1 回 ほどのペースで 今 までに 計 14 回 の 哲 学 対 話 を 行 ってきた 哲 学 対 話 に 参 加 しているのは 障 害 者 歯 科 に 通 う 子 供 の 保 護 者 だ この 研 究 報 告 で
は 哲 学 対 話 で 語 られた 内 容 について 質 的 研 究 をし その 内 容 を 報 告 する 障 害 当 事 者 とその 家 族 が 常 日 頃 生 きている 世 界 を 探 究 し 障 害 者 歯 科 医 療 における 家 族 支 援 について 考 えたい 哲 学 対 話 は 大 阪 大 学 の 学 内 研 究 助 成 未 来 知 創 造 プログラム(2014 年 度 ) を 受 けた 共 同 研 究 に 属 している この 共 同 研 究 は 障 害 者 歯 科 臨 床 心 理 学 臨 床 哲 学 小 児 家 族 看 護 学 という 4 分 野 によるプロジェクトである 4 分 野 に 共 通 する 研 究 テーマは 障 害 当 事 者 とその 家 族 支 援 である いずれも 臨 床 哲 学 の 研 究 者 である 私 たちは 臨 床 哲 学 から 研 究 テーマにアプローチし 哲 学 対 話 を 考 案 した 哲 学 対 話 とは あるテーマについて 問 い 考 える 場 である 問 いに 対 する 答 えを 出 すことよりも 対 話 をとおして 自 分 自 身 の 日 常 を 振 り 返 り また 他 の 人 の 考 え 方 や 価 値 観 に 触 れることを 主 旨 とする 参 加 者 は 平 日 の 午 前 中 に 開 催 していることも あり ほとんど 母 親 のみである さらに 子 どもがすでに 成 人 しているような ベ テランママ が 多 い 彼 女 たちの 特 徴 は 子 育 ての 中 で 少 しずつ 変 容 してきた 自 分 自 身 や 子 供 について 振 り 返 る 余 裕 をもっているということである 彼 女 たちが 対 話 し お 互 いの 共 通 点 や 違 いをもとに 語 ったことは おのずから 障 害 のある 子 どもの 母 親 を 取 り 巻 く 環 境 を 明 らかにしていく こうして 明 らかになった 障 害 のある 子 ど もの 母 親 の 日 常 から 障 害 者 の 保 護 者 を 支 援 する 可 能 性 を 探 ることができる それ は 結 果 として 障 害 当 事 者 を 支 援 することにつながるだろう