はじめに 社 会 人 に 対 する 教 育 訓 練 の 必 要 性 は 以 前 から 論 じられ 官 民 それぞれの 機 関 より 各 種 の 調 査 報 告 としてまとめられているところである 特 に 現 在 では 本 格 的 な 知 識 社 会 を 迎 え 生 涯 教 育 の 重 要 さが 強 調 されるなか 大 学 大 学 院 などの 高 等 教 育 機 関 で の 社 会 人 に 対 する 教 育 が 注 目 されてきている 我 が 国 における 社 会 人 向 け 教 育 訓 練 の 状 況 は 少 なくとも 国 際 的 に 恵 まれた 状 況 に はなく 特 に 大 学 大 学 院 レベルの 教 育 訓 練 の 機 会 は 都 市 部 などに 限 定 されてい る 本 調 査 は 大 学 院 等 に 対 するアンケート/ヒアリング 調 査 及 び 社 会 人 向 けアンケ ート 調 査 を 行 い 大 学 大 学 院 など 高 等 教 育 機 関 の 抱 える 課 題 教 育 訓 練 を 受 ける 社 会 人 側 の 課 題 を 明 確 化 することに 主 眼 を 置 いた 現 在 職 業 能 力 開 発 施 設 等 で 実 施 している 社 会 人 向 け 教 育 訓 練 では その 導 入 部 分 において 一 定 の 成 果 を 上 げているものの 多 様 な 価 値 観 に 対 応 した 高 度 な 人 材 養 成 と いう 点 では 残 念 ながら 細 分 化 されすぎた 個 々のニーズに 対 応 しうる 仕 組 みにはなっ ていない このため より 高 度 な 内 容 の 教 育 訓 練 については 大 学 大 学 院 と 連 携 しながら 企 業 および 社 会 人 のニーズを 取 り 込 んで 先 端 的 な 分 野 を 中 心 とした 教 育 訓 練 を 従 来 の 制 度 にとらわれず 実 施 することが 社 会 人 に 対 する 教 育 訓 練 を 充 実 させることとな る 本 報 告 書 が 今 後 社 会 人 に 対 する 教 育 訓 練 をどのように 展 開 すればよいのか また どのような 潜 在 的 な 個 人 ニーズがあり それをどのように 訓 練 に 織 り 込 めるかなどを 検 討 する 際 の 様 々な 場 面 で 活 用 されれば 幸 いである なお 調 査 実 施 にあたりアンケート 及 びヒアリングの 回 答 に 御 協 力 いただいた 方 々に 心 から 感 謝 申 し 上 げます 2005 年 3 月 職 業 能 力 開 発 総 合 大 学 校 能 力 開 発 研 究 センター 所 長 池 本 喬 三 iii

産 学 連 携 等 による 大 学 大 学 院 等 における 社 会 人 向 け 訓 練 コースの 設 定 に 係 る 調 査 研 究 委 員 名 簿 及 び 執 筆 担 当 (50 音 順 ) 氏 名 所 属 執 筆 担 当 池 野 順 一 埼 玉 大 学 大 学 院 理 工 学 研 究 科 生 産 環 境 科 学 講 座 助 教 授 伊 藤 英 樹 職 業 能 力 開 発 総 合 大 学 校 能 力 開 発 研 究 センター 調 査 研 究 室 研 究 員 第 3 章 稲 川 文 夫 独 立 行 政 法 人 労 働 政 策 研 究 研 修 機 構 人 材 育 成 部 門 主 任 研 究 員 上 坂 淳 一 東 北 職 業 能 力 開 発 大 学 校 教 授 岡 本 愛 子 ( 株 ) 富 士 通 総 研 第 一 コンサルティング 本 部 シニアコンサルタント 小 岩 屋 正 文 東 海 職 業 能 力 開 発 大 学 校 援 助 計 画 課 長 辻 栄 一 職 業 能 力 開 発 総 合 大 学 校 能 力 開 発 研 究 センター 調 査 研 究 室 室 長 序 章 第 3 章 前 田 亮 東 アジア 民 族 技 術 研 究 所 所 長 平 尾 智 隆 法 政 大 学 キャリアデザイン 学 部 資 料 室 キャリアアドバイザー 第 1 章 ( 注 ) 執 筆 担 当 が 重 なる 部 分 は 共 同 執 筆 事 務 局 辻 栄 一 伊 藤 英 樹 松 中 孝 二 永 野 朝 子 職 業 能 力 開 発 総 合 大 学 校 能 力 開 発 研 究 センター 調 査 研 究 室 室 長 職 業 能 力 開 発 総 合 大 学 校 能 力 開 発 研 究 センター 調 査 研 究 室 研 究 員 雇 用 能 力 開 発 機 構 本 部 職 業 能 力 開 発 管 理 部 管 理 課 長 補 佐 雇 用 能 力 開 発 機 構 本 部 職 業 能 力 開 発 管 理 部 基 盤 整 備 係 長 ( 所 属 は 2005 年 3 月 現 在 ) iii

目 次 序 章 3 第 1 節 調 査 研 究 の 背 景 3 第 2 節 本 調 査 研 究 の 目 的 3 第 3 節 調 査 研 究 体 制 と 経 過 報 告 4 第 4 節 報 告 書 の 要 約 4 第 1 章 社 会 人 教 育 の 現 状 と 課 題 9 第 1 節 社 会 人 教 育 の 概 念 と 背 景 9 第 2 節 社 会 人 教 育 の 現 状 12 第 3 節 社 会 人 教 育 を 捉 える 視 点 15 第 4 節 おわりに 19 第 2 章 アンケート 及 びヒアリング 調 査 25 第 1 節 大 学 院 向 けアンケート 調 査 の 分 析 25 第 2 節 社 会 人 向 けアンケート 調 査 51 第 3 節 大 学 大 学 院 等 におけるヒアリング 調 査 101 第 3 章 社 会 人 教 育 への 提 案 109 第 1 節 社 会 人 の 大 学 院 教 育 へのニーズ 109 第 2 節 社 会 人 の 意 見 から 見 る 大 学 院 教 育 の 課 題 109 第 3 節 社 会 人 教 育 に 求 められること 110 第 4 節 今 後 の 大 学 院 に 望 まれる 改 善 112 参 考 資 料 113 大 学 向 けアンケート 調 査 票 117 社 会 人 向 けアンケート 調 査 票 123 アンケート 調 査 自 由 回 答 134 社 会 人 教 育 に 関 する 文 献 リスト 153 iii

序 章 第 1 節 調 査 研 究 の 背 景 近 年 個 人 の 生 涯 にわたる 社 会 人 教 育 の 必 要 性 が 強 調 されている その 背 景 には 産 業 構 造 の 変 化 や 技 術 革 新 産 業 のグローバル 化 等 により 産 業 の 知 識 集 約 型 化 が 進 展 し 労 働 者 に 求 められる 職 業 能 力 も 多 様 化 高 度 化 していることがあげられる 長 期 に 亘 る 雇 用 不 安 や 漠 然 とした 社 会 不 安 などを 背 景 に 個 々の 職 業 能 力 を 高 める 必 要 に せまられていることも 事 実 である そのため 職 業 生 活 の 節 目 節 目 においては 高 度 な 専 門 的 職 業 能 力 を 習 得 するための 専 門 的 体 系 的 で 高 度 な 教 育 訓 練 が 望 まれ それら に 対 応 する 機 関 として 大 学 院 教 育 が 注 目 されてきている しかし 大 学 院 教 育 は こ のように 社 会 からの 要 望 があるにもかかわらず 社 会 人 向 けに 広 く 普 及 が 進 んでいる とは 言 い 難 いのが 現 状 である 厚 生 労 働 省 では 社 会 人 の 多 様 な 教 育 訓 練 ニーズに 応 えるため 公 共 職 業 能 力 開 発 施 設 における 職 業 訓 練 のほか 民 間 教 育 訓 練 機 関 ( 専 門 学 校 各 種 学 校 等 ) 民 間 企 業 等 に 委 託 した 職 業 訓 練 を 実 施 している さらに 平 成 13 年 度 からは 中 高 年 ホワイトカラ ー 離 職 者 の 増 加 を 受 け これらホワイトカラー 層 を 主 な 対 象 とした 大 学 大 学 院 等 に おける 高 度 な 職 業 訓 練 の 委 託 を 行 ってきたところである この 結 果 より 広 い 階 層 へ の 職 業 能 力 開 発 に 寄 与 することとはなったが これが 必 ずしも 有 効 に 機 能 していると は 言 い 難 いのが 現 状 である このため 社 会 人 教 育 としての 大 学 院 教 育 を 活 用 するためにはどのようなことが 重 要 かを 探 るため 今 一 度 現 状 を 認 識 する 必 要 がある 第 2 節 本 研 究 の 目 的 我 が 国 では 現 在 大 学 院 特 に 修 士 課 程 への 社 会 人 教 育 に 対 する 社 会 からのニーズ は 多 く また 多 くの 大 学 院 でそのニーズに 応 えるべく 様 々な 試 みがなられている 実 際 の 社 会 人 入 学 者 数 も 社 会 の 中 で 占 める 量 的 な 比 重 はいまだ 小 さいとはいえ ここ 数 年 の 間 に 確 実 な 増 加 をみせている 今 後 日 本 の 産 業 の 知 識 集 約 性 がますます 高 ま るにつれ 高 度 職 業 人 の 生 涯 にわたる 職 業 能 力 の 向 上 の 必 要 性 と この 課 題 に 対 して 大 学 院 修 士 課 程 が 果 たす 役 割 は いっそう 大 きくなると 考 えられる ここでは 大 学 大 学 院 等 において 実 施 することが 望 ましい 社 会 人 向 け 教 育 訓 練 の あり 方 の 明 確 化 を 図 るため 社 会 人 教 育 の 現 状 等 を 調 査 分 析 し 職 業 能 力 開 発 の 観 点 から 大 学 大 学 院 等 における 社 会 人 向 け 訓 練 コースのあり 方 を 検 討 するための 基 礎 資 料 を 作 成 することが 本 研 究 の 主 な 目 的 である このため 新 たに 大 学 大 学 院 に 対 するアンケート ヒアリング 調 査 社 会 人 に 対 するアンケート 調 査 を 行 うことにより 最 新 の 状 況 を 把 握 するとともに 社 会 人 教 育 に 対 する 課 題 (ミスマッチ 等 )の 要 因 を 分 析 する また 事 例 から 今 後 大 学 大 学 3

院 等 で 実 施 することが 適 当 な 社 会 人 向 け 教 育 訓 練 のあり 方 を 検 討 し 社 会 人 向 け 教 育 訓 練 コースを 企 画 し 各 種 支 援 施 策 を 検 討 する 上 での 基 礎 資 料 としてまとめたもので ある さらに 調 査 結 果 については 今 後 大 学 等 の 教 育 機 関 をはじめ NPO 産 業 界 行 政 機 関 等 の 関 係 者 に 広 く 周 知 普 及 を 図 り 大 学 大 学 院 等 において 地 域 の 高 度 専 門 的 教 育 訓 練 ニーズに 即 応 した 社 会 人 向 け 教 育 訓 練 コースの 設 定 が 推 進 されることを 期 待 するものである 第 3 節 調 査 研 究 体 制 と 経 過 報 告 本 調 査 研 究 は 厚 生 労 働 省 と 平 成 16 年 9 月 に 委 託 契 約 を 結 び 調 査 研 究 の 事 務 局 を 職 業 能 力 開 発 総 合 大 学 校 能 力 開 発 研 究 センター 内 に 設 置 し 研 究 テーマ 産 学 連 携 に よる 大 学 大 学 院 等 における 社 会 人 向 け 訓 練 コース 設 定 の 推 進 として 当 該 年 度 の 研 究 事 業 を 開 始 した (1) 第 1 回 委 員 会 では 調 査 研 究 の 基 本 方 針 案 を 確 認 の 上 厚 生 労 働 省 文 部 科 学 省 民 間 調 査 研 究 機 関 の 既 刊 の 報 告 書 や 各 資 料 の 抜 粋 などを 参 考 にして 各 大 学 大 学 院 等 が 進 めている 社 会 人 向 け 教 育 訓 練 コースに 関 するアンケート ヒ アリング 内 容 の 検 討 を 行 った (2) 第 2 回 委 員 会 では アンケートの 調 査 結 果 を 基 に 現 状 を 把 握 し 問 題 を 分 析 す ることであり 方 を 討 議 した (3) 第 3 回 委 員 会 では 委 員 会 報 告 書 の 作 成 校 正 等 を 実 施 した 第 4 節 調 査 報 告 の 要 約 第 1 章 では 社 会 人 教 育 の 現 状 として 社 会 人 の 大 学 院 教 育 に 対 する 要 望 が 増 加 し ていることをあげ 社 会 人 教 育 背 景 と 現 状 について 述 べられている さらに 社 会 人 の 職 業 生 活 のライフサイクルの 視 点 から 述 べられている 個 々のキャリア 開 発 の 重 要 性 それらを 支 援 する 仕 組 みの 必 要 性 について 論 じ その 後 の 調 査 内 容 に 続 いている 第 2 章 では 大 学 院 教 育 の 現 状 と 社 会 人 の 教 育 ニーズにミスマッチがあると 考 え 大 学 院 と 社 会 人 学 生 の 双 方 に 対 して 調 査 を 実 施 することにした 大 学 院 に 対 しては 社 会 人 学 生 が 身 につけて 欲 しい 能 力 知 識 どのような 目 的 で 受 講 しているのか 修 了 者 の 価 値 を 高 めるためのあるべき 姿 について 調 査 した 社 会 人 に 対 しては 大 学 院 に 通 学 している 間 の 就 業 状 況 受 講 の 動 機 就 業 と 学 業 の 両 立 における 課 題 大 学 院 へ の 要 望 事 項 等 を 調 査 した 結 果 の 詳 細 については 第 2 章 及 び 参 考 資 料 にあるので 参 照 していただくとして 大 学 院 社 会 人 に 対 するアンケート 調 査 結 果 を 比 較 分 析 する ことで 今 後 検 討 すべき 課 題 が 浮 き 彫 りとなった 第 3 章 では 第 1 章 第 2 章 を 受 け 社 会 人 教 育 へのニーズ 大 学 院 教 育 の 課 題 4

大 学 院 社 会 行 政 に 求 められていること 今 後 社 会 人 向 け 教 育 訓 練 のあり 方 を 検 討 し 社 会 人 教 育 訓 練 コースを 企 画 する 場 合 や 各 種 支 援 施 策 の 検 討 のための 基 礎 資 料 となるような 提 案 を 行 った 本 研 究 の 報 告 にあたり 貴 重 なご 意 見 アドバイスを 述 べていただいた 各 委 員 及 び アンケート ヒアリングにお 答 えいただいた 関 係 者 の 方 々 執 筆 して 頂 いた 各 委 員 の ご 協 力 に 御 礼 申 し 上 げる 2005 年 3 月 辻 栄 一 記 5