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市況トレンド

平成24年度 業務概況書

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別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

●幼児教育振興法案

2000 年 12 月 輸 出 の 減 速 によりテンポはやや 鈍 化 しているものの 緩 やかな 回 復 を 続 けている 2001 年 1 月 緩 やかな 回 復 を 続 けているが そのテンポは 輸 出 の 減 速 により 鈍 化 している 2001 年 2 月 緩 やかな 回 復 を 続 け



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2016年夏のボーナス見通し

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

記者発表資料

市街化区域と市街化調整区域との区分

資料3 家電エコポイント制度の政策効果等について

2

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

130117_『高齢社会をむかえた東京23区の将来 人口と建物の関係から見て

●電力自由化推進法案

平 成 27 年 度 第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 の 運 用 資 産 額 は 2 兆 4,339 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +2.05%となりました 実 現 収 益 率 は +1.19%です

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Microsoft Word - H25年度の概要

(2) 都 市 計 画 区 域 市 街 化 区 域 市 街 化 調 整 区 域 の 変 遷 1 都 市 計 画 区 域 の 変 遷 2 市 街 化 区 域 及 び 市 街 化 調 整 区 域 の 変 遷 旧 石 巻 市 ( 単 位 :ha) ( 単 位 :ha) 変 更 都 市 計 画 区 域 行

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt


公表表紙

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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

目 次 第 1 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 1. 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 2. 施 行 者 の 名 称 1 第 2 施 行 地 区 1 1. 施 行 地 区 の 位 置 1 2. 施 行 地 区 位 置 図 1 3. 施 行 地 区 の 区 域 1 4

参 考 改 正 災 害 対 策 基 本 法 1 ( 災 害 時 における 車 両 の 移 動 等 ) 第 七 十 六 条 の 六 道 路 管 理 者 は その 管 理 する 道 路 の 存 する 都 道 府 県 又 はこれに 隣 接 し 若 しくは 近 接 する 都 道 府 県 の 地 域 に 係

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

Taro-H19退職金(修正版).jtd

スライド 1

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

新 市 建 設 計 画 の 変 更 に 係 る 新 旧 対 照 表 ページ 変 更 後 変 更 前 表 紙 安 中 市 松 井 田 町 合 併 協 議 会 安 中 市 松 井 田 町 合 併 協 議 会 平 成 27 年 3 月 変 更 安 中 市 6 2. 計 画 策 定 の 方 針 (3) 計

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Microsoft Word - 目次.doc

スライド 1

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タイトル

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17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

 三郷市市街化調整区域の整備及び保全の方針(案)

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

Microsoft Word - H27概要版

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

第 40 回 中 央 近 代 化 基 金 補 完 融 資 推 薦 申 込 み 公 募 要 綱 1 公 募 推 薦 総 枠 30 億 円 一 般 物 流 効 率 化 促 進 中 小 企 業 高 度 化 資 金 貸 付 対 象 事 業 の 合 計 枠 2 公 募 期 間 平 成 28 年 6 月 20


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経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

Microsoft Word - 006第Ⅰ章第2節.doc

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

は し が き

PowerPoint プレゼンテーション

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

m07 北見工業大学 様式①

Microsoft Word - 結果・異動プレス_ _clean.doc

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

Microsoft Word - 2章.doc

資 料 -6 平 成 20 年 度 第 2 回 北 陸 地 方 整 備 局 事 業 評 価 監 視 委 員 会 特 定 構 造 物 改 築 事 業 事 後 評 価 説 明 資 料 平 成 20 年 11 月 北 陸 地 方 整 備 局 -0-

高砂熱_株式会社丸誠株式に対する公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ_


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スライド 1

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対 象 者 株 式 (1,287,000 株 ) 及 び 当 社 が 所 有 する 対 象 者 株 式 (1,412,000 株 )を 控 除 した 株 式 数 (3,851,673 株 )になります ( 注 3) 単 元 未 満 株 式 も 本 公 開 買 付 けの 対 象 としております なお

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

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Microsoft PowerPoint - 基金制度

事 業 概 要 利 用 時 間 休 館 日 使 用 方 法 使 用 料 施 設 を 取 り 巻 く 状 況 や 課 題 < 松 山 駅 前 駐 輪 場 > JR 松 山 駅 を 利 用 する 人 の 自 転 車 原 付 を 収 容 する 施 設 として 設 置 され 有 料 駐 輪 場 の 利 用

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No.7 アメリカ 合 衆 国 小 規 模 事 例 (そ4) 助 金 も 財 源 になっている しかし 小 規 模 事 業 体 では 連 邦 政 府 から 基 金 はもちろん 市 から 補 助 金 もまったくない が 実 状 である すなわち 給 人 口 が25 人 から100 人 規 模 小 規

[ 組 合 員 期 間 等 の 特 例 ] 組 合 員 期 間 等 については 年 齢 職 種 などにより 過 去 の 制 度 からの 経 過 措 置 が 設 けられ ており 被 用 者 年 制 度 の 加 入 期 間 ( 各 共 済 組 合 の 組 合 員 期 間 など)については 生 年 月 日

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1 平 成 27 年 度 土 地 評 価 の 概 要 について 1 固 定 資 産 税 の 評 価 替 えとは 地 価 等 の 変 動 に 伴 う 固 定 資 産 の 資 産 価 値 の 変 動 に 応 じ その 価 格 を 適 正 で 均 衡 のとれたものに 見 直 す 制 度 である 3 年 ご

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土 購 入 土 借 用 土 所 有 権 移 転 登 記 確 約 書 農 転 用 許 可 書 ( 写 ) 農 転 用 届 出 受 理 書 ( 写 ) 土 不 動 産 価 格 評 価 書 土 見 積 書 ( 写 ) 又 は 売 買 確 約 書 ( 写 ) 土 売 主 印 鑑 登 録 証 明 書 売 主

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

別紙3

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Aug 8, 2016 中 国 経 済 情 報 2016 年 8 月 号 内 容 1. 伊 藤 忠 拠 点 が 見 た 中 国 経 済 情 勢 (1) 新 常 態 を 先 取 りする 地 域 製 造 業 は 不 振 ながら サービス 業 のすそ 野 は 拡 大 三 次 産 業 主 導 の 成 長 への 移 行 が 進 む (2) 新 たなけん 引 役 として 期 待 される 中 西 部 地 域 製 造 業 や 小 売 り サ ービス 業 が 好 調 二 次 産 業 三 次 産 業 とも 高 い 成 長 (3) 過 剰 生 産 解 消 に 苦 しむ 地 域 重 厚 長 大 型 の 製 造 業 の 不 振 が 続 く 産 業 構 造 の 転 換 に 遅 れ Summary 伊 藤 忠 拠 点 が 見 た 中 国 経 済 の 現 状 ~ 成 長 の 中 心 は から 中 西 部 へ~ では 伊 藤 忠 商 事 の 中 国 各 拠 点 の 協 力 を 得 て 今 年 7 月 上 旬 に 現 地 の 景 況 感 についてのアンケート 調 査 を 実 施 した その 結 果 中 西 部 地 域 の 景 況 感 が 相 対 的 に 良 好 地 域 の 景 況 感 が 悪 い 西 高 東 低 の 状 況 が 続 いていることが 確 認 された 地 域 では 鋼 材 や 石 炭 ガラス セメントなどの 過 剰 生 産 業 種 を 中 心 とした 製 造 業 の 景 気 が 悪 く 一 方 で 教 養 娯 楽 分 野 などサービス 消 費 が 幅 広 く 拡 大 している 名 目 GDP に 占 める 三 次 産 業 のシェアは 既 に 二 次 産 業 を 上 回 っており 新 常 態 と 呼 ばれる 三 次 産 業 主 導 の 安 定 成 長 を 他 の 地 域 に 先 駆 けて 実 現 しつつある 中 西 部 地 域 は 自 動 車 関 連 や 小 売 り サービス 分 野 インフラ 関 連 など 景 気 の 良 い 業 種 が 目 立 つ 中 西 部 の 実 質 GDP 成 長 率 は 他 の 地 域 に 比 べて 高 いが その 背 景 には 西 部 大 開 発 に 始 まる 一 連 の 政 策 的 な 支 援 がある また 中 西 部 の GDP に 占 める 産 業 別 シェアは 依 然 として 二 次 産 業 が 三 次 産 業 を 上 回 っており 補 助 金 や 税 制 優 遇 などもあって 二 次 産 業 が 経 済 の 柱 となっている ただ 三 次 産 業 もシェアを 高 めるなど 堅 調 な 拡 大 を 続 けており 中 西 部 は 一 昔 前 の 上 海 北 京 のように 二 次 産 業 三 次 産 業 がともに 高 い 成 長 を 続 ける 段 階 にある 2. まとめ 成 長 の 中 心 は から 中 西 部 へ 主 席 研 究 員 武 田 淳 (03-3497-3676) takeda-ats @itochu.co.jp 主 任 研 究 員 須 賀 昭 一 (03-3497-3678) suga-s @itochu.co.jp 地 域 は 過 剰 生 産 業 種 を 中 心 とした 重 化 学 工 業 の 不 振 が 目 立 つほ か 石 油 石 炭 業 界 などの 資 源 分 野 も 苦 戦 している 鉱 工 業 生 産 総 額 の 上 位 には 鉄 鋼 やセメント ガラスなどの 過 剰 生 産 業 種 や 石 油 などの 鉱 物 資 源 関 連 産 業 が 並 んでおり 主 力 である 二 次 産 業 の 成 長 率 は 他 の 地 域 を 下 回 っている GDP に 占 める 三 次 産 業 の 割 合 は 上 昇 傾 向 にあるが 未 だ 二 次 産 業 を 下 回 っており 産 業 構 造 の 転 換 が 遅 れていることが 低 成 長 につながっている 以 上 の 状 況 にマクロ 的 な 分 析 を 加 えると は 経 済 の 成 熟 化 に 伴 って 成 長 ペースが 鈍 化 する 成 熟 先 進 地 域 に 分 類 され 成 長 の 原 動 力 は 三 次 産 業 であり は 未 成 熟 のうちに 構 造 的 な 問 題 を 抱 えた 停 滞 後 進 地 域 中 西 部 は 成 長 余 地 が 大 きく 成 長 率 が 相 対 的 に 高 い 発 展 中 後 進 地 域 となろう 中 国 経 済 における の 圧 倒 的 な 存 在 感 は 変 わらないが 成 長 という 意 味 では 中 西 部 に 中 心 が 移 りつつある

1. 伊 藤 忠 拠 点 が 見 た 中 国 経 済 情 勢 では 伊 藤 忠 商 事 の 中 国 各 拠 点 の 協 力 を 得 て 今 年 7 月 上 旬 に 現 地 の 景 況 感 についての アンケート 調 査 を 実 施 した その 概 要 は 下 表 の 通 りであるが 前 回 (2015 年 9 月 )の 結 果 と 比 較 すると 中 西 部 地 域 の 景 況 感 が 相 対 的 に 良 好 地 域 の 景 況 感 が 悪 い 西 高 東 低 の 状 況 が 続 いている ただし 前 回 の 調 査 では 極 めて 良 好 だった 中 西 部 の 成 都 が 良 好 に 一 段 階 低 下 し 極 めて 悪 い 状 況 であった 大 連 が 中 立 に 一 段 階 上 昇 したため 極 めて 良 好 極 めて 悪 い とする 地 域 がなくなり ばらつき 度 合 いは 縮 小 した 伊 藤 忠 中 国 拠 点 から 見 た 各 地 域 の 経 済 情 勢 地 域 評 価 (5 段 階 ) 2015 年 9 月 2016 年 7 月 西 部 地 域 : 内 モンゴル 陝 西 寧 夏 甘 粛 重 慶 四 川 貴 州 雲 南 広 西 青 海 チベット 新 疆 東 北 3 省 : 黒 竜 江 吉 林 遼 寧 前 回 との 比 較 黒 竜 江 省 北 京 市 - - - 3 中 立 天 津 市 3 中 立 3 中 立 新 疆 ウイグル 自 治 区 中 部 地 域 : 山 西 河 南 安 徽 湖 南 湖 北 江 西 内 モンゴル 自 治 区 遼 寧 省 吉 林 省 上 海 市 4 やや 悪 い 4 やや 悪 い 山 東 省 青 島 2 やや 良 好 4 やや 悪 い 青 海 省 寧 夏 回 族 自 治 区 山 西 省 北 京 市 天 津 市 河 北 省 山 東 省 浙 江 省 寧 波 3 中 立 4 やや 悪 い 甘 粛 省 陝 西 省 河 南 省 江 蘇 省 広 東 省 広 州 2 やや 良 好 2 やや 良 好 吉 林 省 長 春 4 やや 悪 い 4 やや 悪 い チベット 自 治 区 四 川 省 重 慶 市 湖 北 省 安 徽 省 江 西 省 上 海 市 浙 江 省 黒 竜 江 省 哈 爾 浜 3 中 立 3 中 立 貴 州 省 湖 南 省 福 建 省 遼 寧 省 大 連 5 極 めて 悪 い 3 中 立 雲 南 省 広 西 チワン 族 自 治 区 広 東 省 中 西 部 重 慶 市 - - - 2 やや 良 好 四 川 省 成 都 1 極 めて 良 好 2 やや 良 好 海 南 省 地 域 : 北 京 天 津 河 北 山 東 江 蘇 上 海 浙 江 福 建 広 東 海 南 〇 は 伊 藤 忠 拠 点 所 在 地 また 今 回 のアンケート 結 果 をマクロ 統 計 と 併 せて 見 ると 以 下 で 述 べるように 各 地 域 における 景 気 の 実 態 が より 立 体 的 に 浮 かび 上 がってきた (1) 新 常 態 を 先 取 りする 地 域 製 造 業 は 不 振 ながらサービス 業 のすそ 野 は 拡 大 ( 沿 海 部 )における 景 気 の 現 状 評 価 は 対 象 となった 6 都 市 ( 北 京 天 津 上 海 青 島 寧 波 広 州 )のうち やや 良 好 が 1 ヶ 所 ( 広 州 ) 中 立 が 2 ヶ 所 ( 北 京 天 津 ) やや 悪 いが 3 ヶ 所 ( 上 海 青 島 寧 波 )であり 結 果 はばらついたが 平 均 的 には 中 立 から やや 悪 い 寄 りの 状 況 と 言 える における 景 気 が 悪 い 業 種 分 野 としては 鋼 材 や 石 炭 ガラス セメントなどの 過 剰 生 産 業 種 を 中 心 とした 製 造 業 が 多 く 挙 げられた とりわけ 前 回 から 景 気 判 断 が 悪 化 した 青 島 と 寧 波 は それぞ れ 化 学 や 繊 維 といった 特 定 の 製 造 業 で 業 績 の 悪 化 が 指 摘 されている また 消 費 分 野 においても ぜ 2

いたく 禁 止 令 の 影 響 などで 需 要 の 低 迷 が 続 く 酒 類 時 計 バッグなど 高 級 な 消 費 財 やレストランなど いわゆる ぜいたく 消 費 分 野 が 低 迷 しているとのコメントが 多 く 見 られた 一 方 景 気 が 良 い 業 種 分 野 としては 教 育 やペット 楽 器 など いわゆる 教 養 娯 楽 分 野 への 支 出 が 旺 盛 で サービス 消 費 が 幅 広 く 拡 大 している 様 子 が 窺 われた 所 得 水 準 の 上 昇 に 伴 って 個 人 消 費 の 高 度 化 が 進 んでいる 模 様 である また 自 動 車 関 連 のほか 粉 ミルクや 玩 具 などの 子 ども 用 品 空 気 清 浄 器 や 浄 水 器 などの 環 境 関 連 商 品 については 消 費 のみならず 製 造 業 も 好 調 という 指 摘 もあった 三 次 産 業 主 導 の 成 長 への 移 行 が 進 む このように 地 域 では 製 造 業 などの 二 次 産 業 が 低 迷 する 一 方 で 個 人 消 費 関 連 を 中 心 とする 三 次 産 業 のすそ 野 が 広 がっている この 様 子 を 名 目 GDP の 産 業 別 シェアで 確 認 すると 三 次 産 業 のシェアは 2010 年 には 二 次 産 業 を 約 5%ポイント 程 度 下 回 る 44.3%で あったが 2013 年 に 逆 転 し 2015 年 には 二 次 産 業 を 約 7%ポイント 上 回 る.8%まで 上 昇 した 後 述 の 通 り 他 の 地 域 では 依 然 として 二 次 産 業 のシェアが 三 次 産 業 を 上 回 っており 地 域 は 三 次 産 業 を 中 心 とす る 経 済 構 造 への 転 換 が 最 も 進 んでいる 地 域 だと 言 える 過 去 を 振 り 返 ると 地 域 は 1979 年 の 改 革 開 放 後 上 海 の 浦 東 新 区 やシンセンを 筆 頭 とする 経 済 特 区 など 中 央 政 府 の 政 策 的 後 押 しと 沿 海 部 の 地 理 的 優 位 性 を 活 かした 輸 出 拠 点 として 中 国 経 済 の 発 展 をけん 引 してきた しかしながら 近 年 は 人 件 費 や 人 民 元 相 場 の 上 昇 によって こうした 輸 出 に 軸 足 を 置 いた 経 済 発 展 モデルは 限 界 にきているため 政 府 は 三 次 産 業 ( 個 人 消 費 ) 主 導 の 経 済 発 展 モ デルへ 転 換 し 持 続 的 な 成 長 を 目 指 す 方 針 に 移 行 しつつある こうした 流 れを 受 けて 習 近 平 政 権 は 2014 年 に 三 次 産 業 主 導 の 安 定 成 長 を 新 常 態 (ニューノーマル) と 命 名 し 中 国 全 体 を 輸 出 投 資 主 導 の 過 度 な 高 成 長 から 緩 やかに 減 速 させ 新 常 態 にソフトランディングさせる 目 標 を 掲 げた 東 部 地 域 はまさに こうした 新 常 態 を 他 の 地 域 に 先 駆 けて 実 現 しつつある 地 域 と 言 うことができよ う (%) 52 48 46 44 42 名 目 GDPの 産 業 別 シェアの 推 移 二 次 産 業 ( ) 三 次 産 業 ( ) ( 注 ) 一 次 産 業 はおおむね5~6%で 横 ばい (2) 新 たなけん 引 役 として 期 待 される 中 西 部 地 域 製 造 業 や 小 売 り サービス 業 が 好 調 中 西 部 ( 成 都 重 慶 ) 地 域 の 拠 点 が 見 た 景 気 の 現 状 評 価 は どちらも やや 良 好 であった 詳 細 を 見 ると 重 慶 では 製 造 業 の 柱 の 一 つであるノー トパソコンの 生 産 が 伸 び 悩 んでいるとの 指 摘 があった ものの 総 じて 景 気 が 良 い 業 種 分 野 についてのコメ ントが 目 立 った 例 を 挙 げると 自 動 車 産 業 について 自 動 車 販 売 台 数 上 位 10 都 市 (2015 年 1~10 月 ) ( 万 台 ) 都 市 名 省 販 売 台 数 都 市 名 省 販 売 台 数 成 都 四 川.0 鄭 州 河 南 23.9 深 セン 広 東 35.4 蘇 州 江 蘇 23.5 北 京 直 轄 32.8 西 安 陝 西 21.4 重 慶 直 轄 31.5 上 海 直 轄 20.5 南 京 江 蘇 24.1 武 漢 湖 北 19.9 ( 注 ) 網 掛 けは 新 規 ナンバープレート 数 を 制 限 している 都 市 3

は 関 連 産 業 が 集 積 している 重 慶 において 内 需 向 けの 生 産 販 売 が 好 調 であり 成 都 でも 販 売 状 況 は 良 好 成 都 の 自 動 車 販 売 台 数 は 渋 滞 緩 和 のため 購 入 規 制 を 実 施 している の 大 都 市 を 抑 えて 第 1 位 (2015 年 1~10 月 ) 重 慶 も 4 位 となるなど 中 西 部 地 域 の 大 都 市 は 中 国 における 自 動 車 産 業 拡 大 の 一 翼 を 担 っている 様 子 がうかがえた 自 動 車 以 外 でも ネット 消 費 を 含 む 小 売 サービス 消 費 は 旺 盛 であり また 世 界 遺 産 が 多 い 四 川 省 で は 成 都 への 年 間 訪 問 客 数 が 2009 年 の 5 千 万 人 程 度 から 2015 年 には 2 億 人 近 くまで 約 4 倍 に 拡 大 観 光 業 が 好 調 のようである さらに 沿 海 部 に 比 べてインフラ 整 備 が 遅 れている 中 西 部 地 域 においては 空 港 の 整 備 拡 張 高 速 鉄 道 網 の 整 備 が 急 速 に 進 むなどインフラ 需 要 も 旺 盛 という 指 摘 もあった ( 百 万 人 ) 年 間 訪 問 客 数 ( 国 内 ) 300 北 京 2 上 海 成 都 200 1 100 0 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 二 次 産 業 三 次 産 業 とも 高 い 成 長 比 較 的 良 好 な 経 済 情 勢 にある 中 西 部 の 実 質 GDP 成 長 率 ( 前 年 同 期 比 )の 推 移 を 見 ると 2009 年 頃 から や を 上 回 っており 2015 年 は ベースの 成 長 率 が 前 年 同 期 比 +6.9% が 7.9% が+5.1%にとどまる 中 で 中 部 +8.2% 西 部 +8.6%と 相 対 的 に 高 成 長 を 維 持 した かつて 中 西 部 は 内 陸 で 海 に 面 しておらず 山 地 や 砂 漠 が 多 くを 占 める 自 然 条 件 もあり 交 通 社 会 イ ンフラの 整 備 が 遅 れ 経 済 発 展 も 立 ち 遅 れていた し ( 前 年 比 %) 15.5 14.5 13.5 12.5 11.5 10.5 9.5 8.5 7.5 6.5 5.5 4.5 実 質 GDP 成 長 率 の 推 移 中 部 西 部 2000200120022003200420052006200720082009201020112012201320142015 2. 統 計 の 作 成 元 が 異 なるため 値 は 各 地 方 の 平 均 値 と 一 致 しない かしながら 2000 年 に 打 ち 出 された 西 部 大 開 発 や 最 近 では 一 帯 一 路 政 策 中 部 地 域 におい ては 2006 年 の 中 部 崛 起 計 画 などの 政 策 支 援 によって 道 路 鉄 道 網 の 整 備 が 急 速 に 進 み これ を 弾 みとして 上 記 の 通 り 他 の 地 域 を 上 回 る 高 い 成 長 を 続 けている また 中 西 部 地 域 の GDP に 占 める 産 業 別 のシェア を 見 ると 二 次 産 業 が 低 下 し 三 次 産 業 が 上 昇 してい る 傾 向 は と 同 様 であるが 依 然 として 二 次 産 業 のシェア(46.6% 2015 年 )が 三 次 産 業 (42.0%) を 上 回 っており 現 在 の 状 況 は 概 ね の 2010 年 頃 と 同 じ 割 合 となっている つまり 中 西 部 におい て 二 次 産 業 は 引 き 続 き 経 済 の 大 きな 柱 であり 自 動 車 や IT 産 業 の 一 大 集 積 地 となりつつある 現 状 が 示 すように 補 助 金 や 税 制 などの 政 策 的 支 援 交 通 (%) 55 45 35 30 インフラ 整 備 コストを 含 めた 人 的 資 源 確 保 の 優 位 性 地 場 需 要 への 期 待 などを 背 景 に 成 長 を 続 けている 4 名 目 GDPの 産 業 別 シェアの 推 移 二 次 産 業 ( 中 西 部 ) 三 次 産 業 ( 中 西 部 ) 2. 一 次 産 業 は11~13% 台 で 推 移

一 方 三 次 産 業 についても 卸 売 小 売 業 のほか 成 都 を 中 心 とした 四 川 省 では 観 光 業 が 好 調 であり 金 融 や 物 流 拠 点 としても 期 待 されるなど 二 次 産 業 を 上 回 る 成 長 によって GDP に 占 めるシェアを 高 めている このように 中 西 部 は 一 昔 前 の 上 海 北 京 のように 二 次 産 業 三 次 産 業 がともに 高 い 成 長 を 続 ける 段 階 にあり 今 や 経 済 成 長 という 意 味 では に 代 わる 存 在 となる 地 域 であろう (3) 過 剰 生 産 解 消 に 苦 しむ 地 域 重 厚 長 大 型 の 製 造 業 の 不 振 が 続 く 地 域 の 景 気 の 現 状 評 価 については 3 都 市 のうち 中 立 が 2 ヶ 所 ( 哈 爾 濱 大 連 ) やや 悪 い が 1 ヶ 所 ( 長 春 )であり 良 好 がない 分 全 体 として やや 悪 い 状 況 にあると 言 える なかでも 過 剰 生 産 業 種 を 中 心 とした 重 化 学 工 業 の 不 振 が 目 立 っている また 粗 鋼 生 産 量 国 内 第 4 位 (2015 年 ) の 鞍 山 鉄 鋼 の 大 規 模 な 人 員 削 減 方 針 のほか 石 油 石 炭 業 界 などの 資 源 分 野 の 苦 戦 が 各 拠 点 で 指 摘 されている 一 方 で においても スポーツジムやダイエット などの 健 康 カラオケなどの 娯 楽 子 ども 用 品 インテ リアなどの 生 活 関 連 消 費 観 光 業 が 好 調 であり 三 次 産 業 もすそ 野 が 広 がりつつある 側 面 が 見 られた また 自 動 車 販 売 も 回 復 基 調 との 指 摘 もあった 鉱 工 業 生 産 総 額 のシェア(2014 年 ) その 他 51% 自 動 車 12% 石 油 11% 鉄 鋼 9% 食 品 加 工 10% 非 金 属 (セ メント ガ ラス 等 ) 7% ( 備 考 ) 遼 寧 統 計 年 鑑 (2014 年 ) 吉 林 統 計 年 鑑 (2014 年 ) 黒 竜 江 統 計 年 鑑 (2014 年 )より 作 成 産 業 構 造 の 転 換 に 遅 れ は 伝 統 的 に 重 化 学 工 業 が 盛 んな 地 域 であり 鉱 工 業 生 産 総 額 の 上 位 には 鉄 鋼 やセメント ガラス などの 過 剰 生 産 業 種 や 石 油 などの 鉱 物 資 源 関 連 産 業 が 並 ぶ 政 府 は 過 剰 生 産 業 種 に 対 して 生 産 抑 制 を 強 い ており これらの 業 種 が 多 い では 2013 年 から 二 次 産 業 の 成 長 率 が 他 の 地 域 を 下 回 っている 2015 年 には 前 年 比 で+2.7%まで 低 下 し GDP 成 長 率 を 大 き く 押 し 下 げる 要 因 となった における 設 備 の 過 剰 度 合 いは 投 資 比 率 ( 固 定 資 産 投 資 / 名 目 GDP)を 見 れば 一 目 瞭 然 である 投 資 比 率 は リーマン ショック 以 降 平 均 で 概 ね 45% 程 度 で 推 移 しており これ 自 体 も 日 本 のピークである 37%(1973 年 度 )を 大 きく 上 回 っているが で は 60% 台 にも 達 しており もはや 異 常 とも 言 える 水 準 である 1 今 後 も 相 当 の 長 期 に 渡 り 過 剰 設 備 削 減 のた 1 なお 周 知 の 通 り 中 国 の GDP 統 計 は 各 地 域 の GDP 統 計 の 数 値 を 集 計 しても ベースの 数 値 と 大 きく 乖 離 しており 5 18 16 14 12 10 ( 前 年 比 %) 8 6 4 2 西 部 各 地 域 の 二 次 産 業 成 長 率 中 部 2. 統 計 の 作 成 元 が 異 なるため 値 は 各 地 方 の 平 均 値 と 一 致 しない 65 60 55 45 35 30 25 ( 名 目 GDP 比 %) 投 資 比 率 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

め 固 定 資 産 投 資 が 抑 制 され 景 気 を 下 押 しすることが 予 想 される また 産 業 構 造 から 見 ると 名 目 GDP に 占 める 三 次 産 業 のシェアは 上 昇 傾 向 にあるが 2015 年 時 点 でも 二 次 産 業 の 45.2%に 対 して 三 次 産 業 は 43.4%と 下 回 って おり 未 だ 二 次 産 業 が 主 力 の 経 済 である 産 業 構 造 の 転 換 は 遅 れ 気 味 ということになろう その 原 因 は 他 の 地 域 に 比 べて 三 次 産 業 の 成 長 率 が 低 い ためである 特 に 2014 年 以 降 の 三 次 産 業 の 成 長 率 は 8% 前 後 に 低 下 他 の 地 域 が 9~10%へ 伸 びを 高 めていることと 対 照 的 である 背 景 には 所 得 環 境 の 悪 化 があり その 根 底 には 主 力 である 二 次 産 業 の 業 績 が 急 速 に 悪 化 したことがあるとみられ 経 済 の 牽 引 役 を 二 次 産 業 から 三 次 産 業 へスムーズにバトンタッチでき なったことが の 低 成 長 につながっていると 考 えられる 2. まとめ (%) 55 45 35 30 13 12 11 10 9 8 7 名 目 GDPの 産 業 別 シェアの 推 移 二 次 産 業 ( ) 三 次 産 業 ( ) 2. 一 次 産 業 は10~11% 台 で 推 移 ( 前 年 比 %) 各 地 域 の 三 次 産 業 成 長 率 西 部 中 部 2. 統 計 の 作 成 元 が 異 なるため 値 は 各 地 方 の 平 均 値 と 一 致 しない 成 長 の 中 心 は から 中 西 部 へ 以 上 のような 現 地 における 景 況 感 定 性 情 報 にマクロ 統 計 による 分 析 を 加 えると 各 地 域 の 経 済 情 勢 は 以 下 のように 整 理 できよう 一 人 当 た り G D P 前 年 比 3 ヵ 年 平 均 ( % ) 16.0 14.0 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 広 西 安 徽 四 川 山 西 貴 州 チベット 雲 南 甘 粛 江 西 河 南 黒 竜 江 一 人 当 たりGDP(2015 年 )の 水 準 と 伸 び 率 の 比 較 発 展 中 後 進 地 域 中 西 部 平 均 湖 南 湖 北 海 南 新 疆 青 海 河 北 寧 夏 重 慶 陝 西 吉 林 平 均 停 滞 後 進 地 域 中 所 得 発 展 中 先 進 地 域 山 東 遼 寧 平 均 投 資 比 率 については 各 地 域 とも ベースの 数 値 よりも 高 い 点 には 留 意 が 必 要 である それでも 60% 超 という 水 準 は 極 め て 高 いということに 変 わりはない 6 福 建 広 東 浙 江 内 モンゴル 0.0 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 一 人 当 たりGDP(ドル) 高 所 得 江 蘇 平 均 7.7% 北 京 上 海 天 津 成 熟 先 進 地 域 2. 中 西 部 の 値 は 加 重 平 均 値 3. 縦 軸 は 各 省 の2013 年 ~15 年 の 前 年 比 の 平 均 値 4. 世 界 銀 行 による 中 所 得 国 の 基 準 は 一 人 当 たりGNI 1,026~12,475ドル(2015 年 )

まず 地 域 は 一 人 当 たり GDP が 11,000 ドルを 超 え 概 ね 高 所 得 の 領 域 に 入 りつつある そのため 経 済 の 成 熟 化 に 伴 って 成 長 ペースが 鈍 化 する 成 熟 先 進 地 域 に 分 類 することができる 個 別 に 見 ると 一 人 当 たり GDP が 16,000~18,000 ドルに 達 する 上 海 市 や 北 京 市 天 津 市 といった 直 轄 市 が 最 先 端 の 成 熟 先 進 地 域 となり 12,000~14,000 ドル 辺 りの 江 蘇 省 浙 江 省 など 他 の の 省 が 後 を 追 う 形 となっている そして 成 長 率 は 江 蘇 省 を 除 いて 平 均 を 下 回 っており その 成 長 の 原 動 力 は 三 次 産 業 である は 一 人 当 たり GDP が 平 均 で 8,000 ドル 強 の 上 位 中 所 得 に 位 置 しているが 構 造 的 問 題 を 抱 え 成 長 が 頭 打 ちしており いわば 停 滞 後 進 地 域 の 領 域 に 落 ち 込 んでいる こうした 姿 は いわゆる 中 所 得 国 の 罠 に 陥 っているという 見 方 もできよう 省 別 に 見 ても 遼 寧 省 吉 林 省 黒 竜 江 省 のいずれも 中 所 得 にもかかわらず 成 長 率 が 低 い 停 滞 後 進 地 域 に 分 類 されている その 一 方 で 中 西 部 は 一 人 当 たり GDP が 平 均 で 6,000 ドル 強 と 低 いが その 分 成 長 余 地 は 大 き く 成 長 率 が 相 対 的 に 高 い 発 展 中 後 進 地 域 に 分 類 される 若 い 経 済 であるが 故 二 次 産 業 に おいても 成 長 余 地 が 多 く 残 されており 適 切 な 産 業 政 策 の 下 十 分 な 資 源 配 分 がなされれば 三 次 産 業 ともども 高 い 成 長 を 持 続 することが 可 能 であろう こうした 各 地 の 経 済 情 勢 を 併 せて 見 ると 規 模 の 大 きさだけでなく 先 進 的 という 意 味 でも 中 国 経 済 における 沿 海 部 地 域 の 圧 倒 的 な 存 在 感 は 変 わらないものの 経 済 成 長 という 観 点 では から 中 西 部 に 中 心 が 徐 々に 移 りつつあると 言 えるだろう 本 資 料 は 情 報 提 供 を 目 的 として 作 成 されたものであり 投 資 勧 誘 を 目 的 としたものではありません 作 成 時 点 で 伊 藤 忠 経 済 研 究 所 が 信 頼 できると 判 断 した 情 報 に 基 づき 作 成 しておりますが その 正 確 性 完 全 性 に 対 する 責 任 は 負 い ません 見 通 しは 予 告 なく 変 更 されることがあります 記 載 内 容 は 伊 藤 忠 商 事 ないしはその 関 連 会 社 の 投 資 方 針 と 整 合 的 であるとは 限 りません 7