ロシアの 軍 事 行 動 は 直 接 または 代 理 の 軍 事 力 の 形 で 地 域 の 安 全 保 障 を 損 なっている イランも 国 際 社 会 に 戦 略 課 題 を 示 している 北 朝 鮮 の 能 力 は 直 接 近 隣 諸 国 特 に 韓 国 と 日 本 に 脅 威 を 及 ぼす 中 国 の 行 動 はアジア 太 平 洋 地 域 に 緊 張 をもたらしている ロシア イラン 北 朝 鮮 中 国 が 米 国 やその 同 盟 国 と 直 接 軍 事 対 決 を 追 求 しているとは 考 えられない しか しいずれも 国 際 社 会 が 共 通 政 策 共 有 メッセージ 組 織 的 行 動 を 使 って 集 団 で 対 応 すべき 深 刻 な 安 全 保 障 上 の 懸 念 (serious security concerns) になっている 国 名 の 順 番 にいかなる 意 味 があるか 微 妙 だが 7 月 1 日 に 発 表 された 米 国 の 軍 事 戦 略 (National Military Strategy : NMS) 2015 の 一 部 である NMS2015 は これらの 国 特 に 中 国 に 対 し 脅 威 (Threat) や 侵 略 (Aggression) を 避 け 監 視 (Monitor) など 抑 制 的 な 表 現 を 使 う 従 来 の 方 法 から 国 際 社 会 が と 限 定 的 ながら より 脅 威 に 近 い 深 刻 な 安 全 保 障 上 の 懸 念 というメッセージで 警 告 した これは 初 めてのことである 米 国 は 大 統 領 が 安 全 保 障 戦 略 (National Security Strategy : NSS) 国 防 長 官 が 国 防 戦 略 (National Defense Strategy:NDS) 統 合 参 謀 本 部 議 長 が 軍 事 戦 略 (NMS) を 上 下 一 連 の 戦 略 3 文 書 として 作 成 する これらはおおむ ね 4 年 ごとに 大 統 領 就 任 年 または 翌 年 を 基 準 に 議 会 報 告 される 国 防 総 省 の 内 部 指 針 的 な 性 格 の 国 防 報 告 に 限 り 4 年 ごとの 国 防 計 画 見 直 し (Quadrennial Defense Review:QDR) を 代 表 文 書 として 議 会 報 告 される 本 来 上 位 から 下 位 の 順 に 発 表 されるのが 筋 だが 軍 事 嫌 いと もいわれる 二 期 目 (2013 年 1 月 就 任 ) のオバマ 大 統 領 1969 年 防 衛 大 学 校 1974 年 同 研 究 科 を 卒 業 陸 上 自 衛 隊 入 隊 後 陸 上 幕 僚 監 部 教 育 訓 練 部 長 第 9 師 団 長 を 歴 任 2000 年 から 三 井 物 産 戦 略 研 究 所 研 究 主 幹 ハーバード 大 学 上 席 客 員 研 究 員 などを 経 て 現 職 は QDR2014 に 遅 れること 1 年 政 権 半 ばを 過 ぎた 2015 年 2 月 に NSS2015 を 7 月 に NMS2015 を 発 表 し ようや くこれらを 完 成 させた それ 以 前 の 2012 年 には 国 防 総 省 が 初 めて 発 表 した 国 防 戦 略 指 針 (Defense Strategic Guidance : DSG) 2012 を 自 身 がペンタゴンに 赴 きカ バーストーリーを 述 べることで 大 統 領 容 認 文 書 であると 見 せ る 異 例 の 行 為 もあったが その 後 二 期 目 に 入 ってもしば らく 安 全 保 障 戦 略 を 発 表 しなかったため 逆 に 責 任 逃 れだっ たと 揶 揄 されたこともある その 状 況 を 図 表 1 に 示 した 戦 略 3 文 書 発 表 の 遅 れは 議 会 と 軋 轢 が 多 く 対 中 対 決 も 避 けたい 大 統 領 の 政 治 姿 勢 に 由 来 すると 考 えられ るが このたびの NMS2015 は 共 和 党 色 の 強 い 議 会 に 配 慮 し 中 国 との 対 決 色 があらわになるのもいとわず 国 としての 戦 略 転 換 を 公 式 に 認 めたことになる オバマ 政 権 の 対 中 政 策 は 大 統 領 自 身 の 軍 事 依 存 し ない 政 策 への 志 向 中 国 が 国 際 社 会 のステークホルダー になることへの 期 待 そして 中 国 の 経 済 的 魅 力 が 基 本 に あるといわれてきた しかし 中 国 の 南 シナ 海 や 東 シナ 海 での 一 方 的 な 行 動 や 受 け 入 れ 難 い 新 型 大 国 関 係 という 主 張 に 対 し 2014 年 ごろから 徐 々に 態 度 を 硬 化 させた 6 月 末 にワシントン DC で 開 かれた 第 7 回 米 中 戦 略 経 済 対 話 も 環 境 や 経 済 問 題 を 主 に 127 の 合 意 がなさ れたものの 安 全 保 障 問 題 では 海 空 安 全 行 動 メカニズ ム や 軍 事 行 動 に 関 する 事 前 通 報 メカニズム 以 外 に 実 りある 合 意 はほとんどなされなかった ここに 戦 略 3 文 書 特 に 2015 年 に 入 ってその 傾 向 をあらわにし 始 めた NSS2015 から NMS2015 に 至 る 変 化 を 通 じ 主 に 米 国 の 対 中 軍 事 戦 略 を 分 析 したい 図 表 1 戦 略 3 文 書 とその 発 表 時 期 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007
安 全 保 障 戦 略 NSS2015 は 本 来 議 会 報 告 される べき 基 準 の 大 統 領 就 任 後 150 日 以 内 を 大 きくずれ 込 み 中 間 選 挙 も 終 わった 2015 年 2 月 にやっと 発 表 された そ のボリュームも 第 一 期 就 任 時 の NSS2010 の 58 ページ に 比 べ 3 分 の 2 に 満 たない 33 ページとコンパクトなものに なった そこでは まず 国 益 を 定 義 し 国 益 の 優 先 で ある 安 全 繁 栄 価 値 そして 国 際 秩 序 の 順 に 記 述 し NSS2010 と 同 じ 記 述 要 領 になった しかし NSS2010 で 三 本 柱 からなる 基 盤 構 築 関 与 世 界 秩 序 の 増 進 という 米 国 自 身 による 世 界 への 戦 略 的 アプローチを 強 く 打 ち 出 した のと 異 なり 同 盟 国 友 好 国 との 協 調 を 前 提 とする 控 えめ な 表 現 に 変 わり 政 権 の 成 果 と 米 国 の 抱 えるリスクをより 強 く 訴 える 国 民 説 得 型 に 変 化 した その 概 要 を 図 表 2 に 示 した NSS2015 の 最 大 の 特 徴 は 米 国 のリーダーシップ 1 および リードする という 用 語 をそれぞれ 35 回 36 回 と 各 ページに 平 均 して 1 回 以 上 登 場 させたことである まさ に 相 対 的 な 力 の 弱 まりを 意 識 し 米 国 単 独 での 世 界 秩 序 維 持 の 難 しさを 表 明 するとともに 世 界 における 存 在 感 と 従 来 に 変 わらぬ 決 意 を 強 調 することで 米 国 民 を 鼓 舞 するものに なった 具 体 的 な 表 現 を 挙 げれば 米 国 のリーダーシップは 引 き 続 き 強 力 であり 続 けるが 資 源 と 影 響 力 は 無 限 ではな い に 始 まり 世 界 秩 序 維 持 に 関 し 外 交 優 先 だが 米 国 の 国 民 生 活 および 同 盟 国 の 安 全 が 脅 かされれば 単 独 でも 軍 事 力 を 行 使 する しかし 国 益 への 直 接 的 な 脅 威 が なければ 同 盟 国 友 好 国 と 負 担 を 分 担 する と 記 述 す ることで 軍 事 力 行 使 の 抑 制 と 同 盟 国 友 好 国 への 依 存 協 調 を 前 面 に 訴 えている また それぞれの 国 の 色 分 けも 明 らかにした 第 一 期 オ バマ 政 権 が 打 ち 出 したアジアへのリバランス 政 策 を 具 体 化 する 方 法 として 日 韓 豪 タイ フィリピン 特 に 日 韓 豪 との 同 盟 および 交 流 の 強 化 ならびに 条 約 上 の 義 務 の 遂 行 を 打 ち 出 すことで 負 担 を 共 有 したい 同 盟 国 を 明 示 するととも に インドを 日 本 以 上 の 頻 度 で 登 場 させ 協 力 を 期 待 する 優 先 国 としている 一 方 注 視 懸 念 の 対 象 として ロシアが 16 回 中 国 が 11 回 登 場 する しかし 両 国 に 対 するトーンには 違 いがある 中 国 に 対 しては 建 設 的 関 係 を 発 展 させる 対 象 国 であること を 前 提 に 海 洋 安 全 保 障 貿 易 人 権 などの 国 際 ルールの 支 持 を 期 待 し その 一 方 で 軍 事 力 の 近 代 化 やアジアでの 影 響 力 拡 大 を 注 視 するというように 期 待 と 注 視 をバランスさせ ている しかし ロシアに 対 しては ウクライナが 7 回 登 場 する ことで 分 かるようにこの 問 題 に 焦 点 を 当 て 冷 戦 後 の 国 際 秩 序 を 危 険 にさらしているとし このため 侵 略 を 抑 止 し その 戦 略 的 能 力 を 警 戒 し 抵 抗 する 同 盟 国 や 友 好 国 を 支 援 する と 強 い 不 満 の 表 明 で 長 く 続 けてきた 穏 やかな 表 現 を 対 決 色 の 強 い 表 現 に 変 えている 米 中 間 には 相 互 確 証 破 壊 経 済 とも いわれる 強 い 経 済 関 係 があるため 安 全 保 障 問 題 を 安 全 保 障 要 因 と 経 済 要 因 を 調 和 させて 判 断 せざるを 得 ないのに 対 し 米 露 間 には 経 済 関 係 がほとんど 存 在 しないため 安 全 保 障 要 因 だけで 判 断 できるという 背 景 の 違 いも 存 在 する NSS2015 の 位 置 付 けを 今 世 紀 における 米 国 のリーダー シップを 維 持 強 化 するための 将 来 ビジョンの 提 供 にあるとし ていることも 特 徴 の 一 つである 文 書 の 性 格 が 長 期 的 に 米 国 の 取 り 組 むべき 安 全 保 障 の 方 向 性 を 明 らかにすることにあり それは 米 国 主 導 の 同 盟 国 友 好 国 との 協 調 による 国 際 秩 序 の 維 持 だとしているのである その 点 で 米 国 が 前 面 に 立 ち 将 来 の 世 界 に 関 与 するとした NSS2010 よりトーンを 下 げている 総 じて 冷 戦 後 のロシアとの 協 調 および 中 国 の 勃 興 を 踏 まえた 国 際 秩 序 維 持 への 協 力 期 待 という 流 れは 薄 まる 方 向 に 変 化 し 始 めたようである 図 表 2 安 全 保 障 戦 略 NSS2015 項 目 内 容 米 国 の 強 力 であり 続 けるが 資 源 と 影 響 力 は 無 リーダーシップ 限 ではない 外 交 優 先 だが 米 国 の 国 民 生 活 および 同 軍 事 力 の 行 使 盟 国 の 安 全 が 脅 かされれば 単 独 でも 軍 事 力 行 使 国 益 への 直 接 的 脅 威 がなけれ ば 同 盟 国 友 好 国 と 負 担 を 分 担 アジア 太 平 洋 地 域 重 視 を 推 進 日 韓 豪 など リバランス 政 策 との 同 盟 を 近 代 化 し 同 盟 国 間 の 交 流 を 推 進 日 韓 豪 などへの 条 約 上 の 義 務 を 守 る 建 設 的 関 係 を 発 展 させる 海 洋 安 保 貿 易 中 国 人 権 などで 国 際 ルールや 規 範 の 支 持 を 求 め 軍 の 近 代 化 やアジアでの 影 響 力 拡 大 を 注 視 冷 戦 後 の 国 際 規 範 を 危 険 にさらしている ロシア 侵 略 を 抑 止 し 戦 略 的 能 力 を 警 戒 し ロ シアに 抵 抗 する 同 盟 国 や 友 好 国 を 支 援 イスラム 国 (ISIL) 壊 滅 に 向 け 有 志 連 合 イラク 軍 シリ ア 反 体 制 派 と 連 携 1 米 国 が 主 導 して 作 り 上 げた 戦 後 の 国 際 秩 序 を 外 交 や 軍 事 などあらゆる 手 段 を 使 って 自 ら 先 頭 に 立 ち 維 持 発 展 させること
全 19 ページの 比 較 的 短 い NMS2015 は NSS2015 に 続 きほぼ 5 カ 月 後 の 2015 年 7 月 に 発 表 された これは 本 来 非 公 表 文 書 として 米 軍 向 けに 毎 年 作 成 される 軍 事 戦 略 の 一 部 を 公 表 したものである しかし コンパク トな 割 に 主 張 は 明 確 で 国 名 としてロシア 8 回 中 国 6 回 イラン 5 回 北 朝 鮮 を 2 回 挙 げ テロ 暴 力 的 過 激 組 織 (violent extremist organizations : VEO) イスラム 国 (Islamic State of Iraq and the Levant : ISIL) などの 表 現 も 頻 用 し 図 表 3 に 示 すように 非 国 家 紛 争 ハイブリッ ド 紛 争 2 国 家 間 紛 争 を 連 続 する 脅 威 3 と 認 識 可 能 性 は 低 いとしつつも 従 来 以 上 に 大 国 との 国 家 間 紛 争 を 強 調 す るようになった 一 般 に 安 全 保 障 の 視 点 で 書 かれる NSS はやや 穏 健 に 軍 事 の 視 点 で 書 かれる NMS はやや 強 硬 に 書 かれる 傾 向 にあるが 戦 略 3 文 書 の 発 表 が 概 して 2 年 に 及 ぶので この 間 の 情 勢 変 化 もあって 脅 威 の 評 価 は 発 表 時 期 によっ 図 表 3 紛 争 の 連 続 性 大 規 模 軍 事 力 と 高 度 な 軍 事 技 術 を 敵 を 撃 破 するために 複 数 の 領 域 で 使 用 WMD A2/AD システム グロー バル 攻 撃 システム 海 中 プラットホーム 先 進 サイバー 手 段 対 宇 宙 システム その 他 能 力 使 用 の 可 能 性 意 図 的 に 曖 昧 にし 主 導 権 を 確 保 し 敵 を 無 力 化 するため 通 常 戦 力 と 非 正 規 部 隊 を 併 用 伝 統 的 軍 事 力 と 非 対 称 型 システ ムの 両 方 を 使 用 する 可 能 性 政 府 を 弱 体 化 させ 大 衆 支 配 を 獲 得 するため 小 部 隊 とネットワーク を 使 用 IED 小 型 兵 器 プロパガ ンダおよびテロ 使 用 を 含 む 可 能 性 出 所 :NMS2015 図 1 を 筆 者 翻 訳 ても 変 わり 得 る そして 7 月 に 発 表 された NMS2015 は 2 月 に 発 表 された NSS2015 をさらに 発 展 させる 形 で 非 国 家 紛 争 として 暴 力 的 過 激 組 織 やイスラム 国 を ハイブリッド 紛 争 でロシアを そして 国 家 間 紛 争 で 中 国 を 脅 威 として 認 識 する 最 初 になった これは 2013 年 以 来 予 算 の 強 制 削 減 (Sequestration) が 続 くなかで 2016 年 度 予 算 審 議 の 山 場 を 迎 える 2015 年 7 月 に 発 表 されたこととも 関 係 する つまり 予 算 の 制 約 が 世 界 秩 序 の 維 持 特 にロシアや 中 国 という 大 国 の 挑 戦 への 対 応 を 困 難 にしているという 認 識 を 議 会 に 強 く 訴 える 意 味 合 いもあるのである 米 国 は 冷 戦 後 しばらく 唯 一 の 比 類 なき 超 大 国 であっ た ソ 連 崩 壊 で 経 済 の 低 迷 にあえぎ 存 在 感 も 希 薄 になった ロシア およびひたすら 繁 栄 を 追 求 する 中 国 は 存 在 しても ともに 脅 威 と 呼 べるほどの 実 力 を 持 ち 合 わせてはいなかっ た しかし ブッシュ 大 統 領 登 場 直 後 の 9.11 を 機 に 対 テロ 戦 争 が 始 まり 超 大 国 としての 存 在 は 揺 らぎ 始 めた 特 に その 後 のアフガニスタンからイラク 侵 攻 に 至 る 失 敗 が 米 国 のリーダーシップに 大 きな 陰 を 投 げかけた これに 対 して オバマ 大 統 領 は 初 の 黒 人 大 統 領 の 登 場 という 大 変 化 とと もに 対 テロ 戦 争 に 終 止 符 を 打 ち 米 国 に 再 び 繁 栄 と 安 定 をもたらすかのような 期 待 感 を 持 たせた 核 廃 絶 でノーベ ル 平 和 賞 を 受 賞 した 頃 がまさにピークであった しかし テ ロとの 決 別 宣 言 が 空 手 形 だと 分 かり 軍 事 力 行 使 を 過 度 に 厭 うことで 弱 腰 に 見 え さらに 二 期 目 の 中 間 選 挙 後 は 政 治 的 混 乱 も 経 験 した これを 踏 まえ ブッシュ 大 統 領 からオバマ 大 統 領 に 至 る 間 に 米 国 の 安 全 保 障 認 識 がどのように 変 化 したか 眺 めた い 図 表 4 は この 間 の 戦 略 3 文 書 の 発 表 時 期 と 脅 威 認 識 の 推 移 を 整 理 したものである 大 きな 流 れとして 9.11 以 降 10 年 余 テロや 大 量 破 壊 兵 器 を 脅 威 として 認 識 する のが 一 般 的 で ロシアや 中 国 など 大 国 に 脅 威 の 用 語 を 使 う ことはなかった それが 2015 年 に 入 り NSS2015 で 変 わ り 始 め その 後 NMS2015 で 大 きく 変 わった 子 細 に 見 ると 2013 年 末 にウクライナ 問 題 が 浮 上 そ の 後 2014 年 2 月 のクリミア 侵 攻 へつながったが それ でも 2014 年 3 月 に 発 表 された QDR2014 は 様 子 見 のため かロシアをリスクと 懸 念 しつつも 脅 威 として 認 定 することはな かった 脅 威 の 認 定 は 制 裁 で 翻 意 を 促 したにもかかわ らずハイブリッド 紛 争 による 脅 威 を 確 認 した 2015 年 2 月 の NSS2015 からである そして 7 月 の NMS2015 で 中 国 を 含 む 両 大 国 を 深 刻 な 懸 念 と 認 めるに 至 った 米 国 にとって 中 国 の 脅 威 とは 国 際 公 共 財 としての 南 シナ 海 や 東 シナ 海 で 航 海 ( 空 ) の 自 由 を 侵 害 すること 接 近 阻 止 領 域 拒 否 (Anti-Access / Area Denial : A2/AD) 2 ロシアのウクライナ 侵 攻 で 初 めて 使 用 された 用 語 特 殊 部 隊 ( 正 規 軍 ) や 民 兵 を 使 い さらに 情 報 操 作 宣 伝 工 作 政 治 経 済 工 作 などのあらゆる 手 段 も 併 用 する 新 しい 紛 争 形 態 3 紛 争 の 連 続 性 を 認 識 した 上 で 3 つの 軍 事 目 標 : 1 国 家 主 体 の 敵 の 抑 止 拒 否 および 撃 破 2 暴 力 的 過 激 組 織 の 混 乱 弱 体 化 および 撃 破 3 同 盟 国 友 好 国 のグローバルネットワークの 強 化 からなる 統 合 アプローチが 必 要 だと 提 唱 している
戦 略 4 で 第 一 列 島 線 や 第 二 列 島 線 を 支 配 下 に 置 くこと つまり 戦 後 の 世 界 秩 序 侵 害 を 意 味 する また 相 互 の 警 戒 心 から 過 度 の 接 近 をためらっていた 中 国 とロシアが ウ クライナ 問 題 を 機 に 経 済 と 安 全 保 障 の 両 面 で 接 近 し 始 め たことも 米 国 の 脅 威 認 識 の 変 化 に 影 響 している このような 環 境 にあって NMS2015 は 次 の 特 徴 も 見 せる それは 国 家 主 体 の 敵 の 抑 止 拒 否 および 撃 破 暴 力 的 過 激 組 織 の 混 乱 弱 体 化 および 撃 破 同 盟 国 友 好 国 の 世 界 的 なネットワークの 強 化 ならびに グロー バルな 統 合 作 戦 の 推 進 を 強 調 していることである ここで は しばらく 見 ることのなかった 国 家 主 体 特 に 大 国 の 脅 威 を 可 能 性 は 低 いとしつつも 重 要 度 から 抑 止 拒 否 および 撃 破 の 対 象 に 入 れ グローバルな 統 合 作 戦 の 項 目 で 核 抑 止 を 懸 念 し さらに 米 国 自 身 の 力 不 足 から 同 図 表 4 戦 略 3 文 書 の 脅 威 認 識 時 期 2015.7 2015.2 2014.3 2012.1 2011.2 2010.5 2010.2 2008.6 政 権 オバマ 二 期 オバマ 一 期 ブッシュ 文 安 保 戦 略 NSS NSS 書 国 防 戦 略 QDR DSG QDR NDS 名 軍 事 戦 略 NMS NMS 非 国 家 中 国 深 刻 協 調 協 力 協 力 協 力 協 力 懸 念 と 注 視 と 競 争 協 力 と 懸 念 と 監 視 と 疑 義 監 視 脅 協 力 協 力 ロシア 威 同 上 侵 略 リスク 関 与 協 力 協 力 と 挑 戦 と 懸 念 イラン 同 上 懸 念 対 北 朝 鮮 同 上 象 WMD WMD WMD WMD WMD WMD WMD 破 滅 的 テロ テロ テロ テロ テロ テロ テロ 技 術 その 他 宇 宙 宇 宙 宇 宙 宇 宙 宇 宙 宇 宙 宇 宙 サイバー サイバー 気 候 サイバー サイバー サイバー サイバー サイバー 伝 染 病 注 :WMD= 大 量 破 壊 兵 器 盟 国 友 好 国 への 依 存 を 強 調 している つまり 脅 威 の 拡 散 と 大 規 模 化 および 自 国 の 能 力 の 制 約 を 同 盟 国 友 好 国 への 依 存 と 新 技 術 開 発 による 将 来 能 力 の 向 上 で 補 おうとす る 構 図 である 概 して 戦 略 文 書 は 戦 争 遂 行 重 視 か 将 来 投 資 重 視 かで 性 格 付 けされるが その 意 味 で NMS2015 は 将 来 投 資 型 である つまり 将 来 に 向 けた 投 資 を 早 期 に 行 うことで 対 処 態 勢 を 構 築 したいと 提 案 しているのである 米 国 は 中 国 を 可 愛 い 中 国 頼 りになる 中 国 儲 か る 中 国 と 期 待 を 込 めて 眺 める 傾 向 にあった ところが 中 国 は 軍 事 科 学 院 の 戦 略 評 価 2011 2012 2013 5 そして 国 務 院 による 国 防 白 書 2015 へとつながる 一 連 の 発 表 で 平 和 志 向 の 表 現 から 強 さへの 自 信 を 背 景 にした 本 音 の 軍 事 戦 略 をあからさまにし 始 めた 特 に 戦 略 評 価 2013 は 図 表 5 に 示 すように 克 服 すべき 対 日 障 害 が 釣 魚 島 ( 尖 閣 諸 島 ) に 限 らず 第 一 列 島 線 特 に 宮 古 海 峡 通 過 そして 日 米 同 盟 にあることを 素 直 に 認 めている 興 味 深 いことに 国 防 白 書 2015 は 国 防 全 体 をあま ねく 広 く 概 説 した 従 来 の 国 防 白 書 と 異 なり 中 国 が 軍 事 戦 略 を 開 示 しないとの 外 国 からの 批 判 に 応 える 形 で 軍 事 戦 略 に 特 記 して 記 述 するようになった その 意 味 で 国 防 費 な どのデータを 開 示 せず 軍 事 科 学 院 から 非 公 式 の 形 で 本 音 の 軍 事 戦 略 を 観 測 気 球 として 打 ち 上 げ 各 国 の 反 応 を 見 た 3 年 間 の 成 果 を 巧 みに 国 防 白 書 2015 に 反 映 する 形 をとった 逆 に 軍 事 戦 略 目 標 を 比 較 的 曖 昧 に 表 現 した 白 書 の 真 の 意 味 は 戦 略 評 価 2013 に 具 体 的 に 表 現 されて いる これらを 通 じ 南 シナ 海 や 東 シナ 海 そしてサイバー 領 域 で 米 国 との 意 見 の 相 違 が 埋 め 難 いとする 中 国 を 見 るに 及 び 米 国 は 対 中 期 待 感 を 大 きく 揺 るがせたと 考 えられる この 状 況 を 米 国 がいかに 見 ているかを 2015 年 2 月 発 刊 の 国 防 総 省 出 身 の 中 国 専 門 家 ピルズベリーの 著 作 100 年 マラソン は 実 にうまく 表 現 している そこでは 中 国 に 対 する 関 与 政 策 は 対 米 協 力 をもたらす 中 国 は 民 主 主 義 へ 向 っている 中 国 は 国 家 として 弱 体 中 国 は 米 国 のよ うになりたいと 願 っている 中 国 のタカ 派 は 弱 い という 長 い 間 に 培 われた 想 定 がすべて 錯 誤 だったと 断 じている つまり 米 国 は 建 設 的 関 与 によって 中 国 を 支 援 し 中 国 の 根 幹 を 強 く 豊 かにすれば 国 際 社 会 への 参 加 や 協 図 表 5 中 国 の 戦 略 評 価 2013 に 見 る 人 民 解 放 軍 の 考 え 方 1 海 を 経 て 6 カ 国 と 向 かい 合 っている 1 米 国 の 軍 事 的 存 在 と ( 日 本 韓 国 フィリピン マレーシア 同 盟 関 係 インドネシア ブルネイ) 2 米 軍 艦 船 と 航 空 機 が 2 釣 魚 島 ( 尖 閣 諸 島 ) 南 シナ 海 の 島 排 他 的 経 済 水 域 に 接 嶼 でも 争 議 が 日 増 しに 突 出 近 して 偵 察 することの 3 西 太 平 洋 の 第 一 列 島 線 を 通 過 しな 合 法 性 についての 米 ければ 商 船 も 軍 用 船 も 大 洋 に 出 ら 中 の 意 見 の 相 違 は 埋 れない( 宮 古 海 峡 バシー 海 峡 ) め 難 い 1 釣 魚 島 ( 経 済 的 利 益 + 大 陸 棚 の 確 保 ) 2 第 一 列 島 ( 沖 縄 列 島 ) 特 に( 宮 古 ) 海 峡 通 過 3 米 軍 / 日 米 同 盟 4 中 国 の 戦 略 で 主 に 第 一 列 島 線 ( 日 本 列 島 沖 縄 諸 島 台 湾 フィリピン マレーシアを 結 ぶ 線 ) の 軍 事 要 点 に 米 軍 を 接 近 させず (A2) 第 一 列 島 線 内 での 活 動 を 拒 否 する (AD) というもの 5 中 国 軍 事 科 学 院 国 防 政 策 研 究 中 心 のホームページには 戦 略 評 価 2011 2012 2013 とともに 国 防 白 書 2012 中 国 武 装 力 量 的 多 样 化 运 用 など 過 去 の 国 防 白 書 が 学 術 成 果 として 掲 載 されている (2015 年 8 月 15 日 検 索 ) http://www.ams.ac.cn/portal/security/indexmain!gfzcyjzx.action?groupid=b72ee305-b399-4d0b-8fb4-4e9b62c9a54f
力 を 促 し 西 側 に 同 調 すると 考 え この 関 与 政 策 を 政 権 8 代 にわたり 何 十 年 も 続 けてきたが 全 て 失 敗 で 対 中 失 望 感 につながったというのである この 民 間 レベルでいわれて きた 考 えを NMS2015 が 初 めて 国 家 として 認 めたことになる しかし 力 が 強 くなり 存 在 感 のますます 高 まる 中 国 を 抜 きに 世 界 秩 序 の 維 持 ができないことも 十 分 認 識 しており 今 後 は 基 本 政 策 を 関 与 に 置 き 脅 威 としても 認 識 しつつ 力 で 関 与 を 促 す 軍 経 分 離 あるいは 政 経 分 離 政 策 へと 移 行 することになりそうだ 最 近 使 われるようになったフ レンドとエネミーの 複 合 語 フレネミー 中 国 はそれを 端 的 に 表 している このことは 今 後 の 両 国 間 交 渉 に 裏 チャネル や 裏 取 引 が 使 われやすくなることを 意 味 するかもしれない 対 中 軍 事 戦 略 を 強 硬 策 に 転 じようとしても サラミスライス 6 のように 小 刻 みに 戦 略 や 戦 術 を 繰 り 出 す 中 国 に 有 効 な 対 抗 手 段 が 見 つからない というのが 米 国 の 本 音 だろう 対 決 し しかも 有 利 に 進 められる 可 能 性 は 予 算 の 強 制 削 減 で 対 立 する 政 権 と 議 会 が 2016 年 度 予 算 で 折 り 合 えるか どうか つまり 国 防 予 算 で 合 意 して 将 来 の 軍 事 力 投 資 に 踏 み 切 ることができるかどうかにかかっている 米 議 会 は 図 表 6 に 示 すように 2013 年 度 以 来 国 防 予 算 を 強 制 削 減 し 続 けている 2015 年 8 月 現 在 は 2016 年 度 大 統 領 提 案 予 算 を 審 議 中 だが これに 議 会 が 決 めた 国 防 予 算 の 上 限 を 360 億 ドル 上 回 る 5,850 億 ドルが 組 み 込 まれて いる つまり この 予 算 は 強 制 削 減 の 取 り 扱 いとともに 対 中 軍 事 戦 略 を 強 硬 策 に 転 じられるかどうかのリトマス 試 験 紙 に なっているのである 裏 付 けは 2014 年 9 月 に 国 防 総 省 が 公 表 した 国 防 イノベーションイニシアチブ (Defense Innovation Initiative : DII) の 研 究 開 発 プログラムから 生 まれる 最 先 端 技 術 が 将 来 の 対 中 軍 事 戦 略 を 可 能 にするかどうかにある これは 相 殺 戦 略 ( 後 述 ) ともいわれ 米 国 の 軍 事 技 術 優 位 が 中 露 の 技 術 革 新 と 米 国 防 予 算 の 強 制 削 減 で 揺 らいでい る との 認 識 に 立 ち 中 国 の A2/AD を 成 立 させないほど の 革 新 技 術 への 投 資 を 通 じて 中 国 を 追 随 させない を 狙 いにするものである 従 来 の エアシーバトル 概 念 7 をさ らに 発 展 させ 追 随 できないほどの 新 技 術 で 対 抗 しようとす る 構 想 だが いまだ 資 金 投 与 されていないので いまは 戦 略 としての 可 能 性 を 見 極 める 段 階 でしかない ここで 相 殺 戦 略 の 説 明 をしたい 米 国 には 過 去 2 回 の 相 殺 戦 略 の 成 功 体 験 がある いずれもソ 連 に 対 するもの で 1 回 目 は 1950 年 代 のアイゼンハワー 大 統 領 による ソ 連 の 強 大 な 通 常 戦 力 に 対 して 米 国 のみが 独 占 していた 核 兵 器 で 対 抗 する ニュールック ( 大 量 報 復 戦 略 ) そし て 2 回 目 は 1970 年 代 の 米 ソの 核 パリティ 時 代 に 圧 倒 的 なソ 連 の 機 甲 戦 力 による 通 常 攻 撃 が 核 戦 争 へ 拡 大 するの を 防 ぐため 精 密 誘 導 兵 器 を 駆 使 してこれを 阻 止 する エア ランドバトル であった ともに 非 対 称 な 手 段 で 相 殺 しよ うとするもので 特 に 2 回 目 は レーガン 大 統 領 の 戦 略 防 衛 構 想 (Strategic Defense Initiative : SDI 俗 にスター ウォーズ 戦 争 ) となってソ 連 崩 壊 につながったと 信 じられ ている それがいま 第 三 次 相 殺 戦 略 として 復 活 しつつある つまり 飛 行 機 に 飛 行 機 核 に 核 のような 同 種 兵 器 でなく 非 対 称 型 の 最 先 端 の 技 術 兵 器 を 開 発 配 備 することで 軍 事 的 財 政 的 に 対 抗 を 困 難 にし 敵 を 圧 倒 しようとする 米 国 の 新 技 術 に 注 目 する 戦 略 である 統 合 参 謀 本 部 は 2016 会 計 年 度 大 統 領 予 算 案 を 議 会 提 出 する 直 前 の 2015 年 1 月 従 来 進 めてきた エアシーバトル 概 念 を 発 展 的 に 解 消 し グローバルコモンズ 8 でのアクセス 機 動 統 合 概 念 (Joint Concept for Access and Maneuver in the Global Commons : JAM-GC) をスタートさせた 結 果 DII という 構 想 の 中 核 に JAM-GC が 置 かれ その 一 部 が 2016 年 度 国 防 予 算 要 求 に 盛 り 込 まれたわけである 細 部 は 2015 年 秋 の 予 算 成 立 直 前 に 公 表 されることに なっているが 提 案 予 算 には 無 人 水 中 能 力 高 速 攻 撃 兵 器 レールガン 高 エネルギーレーザなどの 新 しい 研 究 開 発 プログラムが 組 み 込 まれている いまだつまびらかに なっていないので 国 防 総 省 に 極 めて 近 い 研 究 所 戦 略 予 算 評 価 センター のマーティネージ 研 究 員 が 発 表 した 新 しい 相 殺 戦 略 に 向 かって-グローバル 戦 力 投 射 能 力 を 復 6 サラミソーセージを 少 しずつ 切 るように その 一 つずつは 戦 争 原 因 にならないが 時 間 をかけることで 大 きな 戦 略 的 変 化 になる 小 さな 行 動 のゆっくりした 積 み 重 ね 詳 しく は 筆 者 論 文 ゆっくり 真 綿 で 首 を 絞 めるように 攻 めてくる 中 国 2014.9.8 JB Press 参 照 (2015 年 8 月 15 日 検 索 ) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41630 7 中 国 の A2/AD に 対 抗 するため 海 空 戦 力 を 主 体 に 第 一 列 島 線 を 確 保 さらにその 内 側 においても 中 国 軍 を 圧 倒 しようとする 米 軍 の 作 戦 概 念 8 海 洋 宇 宙 サイバーなど 世 界 が 共 通 して 利 用 すべき 領 域 で 国 際 公 共 財 ともいわれる ここでは 南 シナ 海 や 東 シナ 海 およびその 上 空 を 意 味
(10 億 ドル) 750 500 図 表 6 米 国 防 予 算 の 推 移 と 2016 年 予 算 要 求 2013 年 予 算 は6,140 億 ドルから5,780 億 ドル に 強 制 削 減 さらにその 後 の 予 算 に 上 限 が 課 され 低 迷 している 601 534 468479 437 2016 年 予 算 は 上 限 360 億 ドル 超 える 基 本 予 算 666666 691 687 5,340 億 ドル( 総 額 5,850 645 614 億 ドル)を 要 求 578 581 560 585574 583591 597 元 するため 米 国 の 長 期 優 位 を 拡 充 - 9 を 参 考 に 考 えたい 316 345 250 彼 はその 後 米 議 会 の 証 言 台 に 立 ったので その 意 味 か その 他 海 外 遠 征 予 算 らも 評 価 に 値 する 内 容 である 基 本 予 算 提 案 は 米 軍 の 前 方 展 開 基 地 と 宇 宙 配 備 能 力 への 依 0 2001 2005 2010 2015 2020 存 を 低 減 し 予 算 節 減 のため 新 旧 能 力 を 組 み 合 わせ 拒 ( 会 計 年 度 ) 否 的 懲 罰 的 抑 止 を 重 視 し ライバルに 長 期 コストを 賦 課 し 地 理 的 優 位 と 同 盟 の 利 を 活 用 する ため 1 無 人 シス テムと 自 動 化 2 航 空 戦 力 の 航 続 距 離 の 延 伸 3 航 空 戦 力 の 低 視 認 化 4 海 中 戦 能 力 の 強 化 5 複 雑 システム 工 出 所 : 米 国 防 総 省 公 表 資 料 をもとに 筆 者 作 成 襲 し 強 調 すべき 技 術 分 野 として 1 位 置 評 定 航 法 時 間 の 正 確 性 2 高 速 攻 撃 兵 器 3 航 空 宇 宙 のイノベー ユーロ 圏 中 国 インド ションイニシアチブ 4レールガン 5 高 エネルギーレー 学 と 統 合 の 5 分 野 を 重 視 した 軍 事 技 術 に 投 資 すべきだと750 している これらは 前 述 の 大 統 領 提 案 予 算 に 組 み 込 まれ ザを 挙 げた マーティネージの 提 案 も 新 国 防 長 官 の 議 会 証 言 も 大 筋 において 重 なっている た 装 備 研 究 とも 符 合 する カーター 新 国 防 長 官 も 3 月 18 日 の 2016 会 計 年 度 国 500 問 題 は DII が 膨 大 な 資 金 を 要 す 現 段 階 で 可 能 性 が 見 極 められない 新 技 術 に 依 存 しているため いまだ 戦 略 に 防 予 算 の 議 会 説 明 で ヘーゲル 前 長 官 が 始 めた DII を 踏 250 なり 得 ていないことである NMS2015 は 同 盟 国 友 好 国 の 世 界 的 なネットワーク の 強 化 を 強 く 打 ち 出 している 期 待 する 国 家 関 係 として 豪 州 日 本 韓 国 フィリピンおよびタイとの 同 盟 インド との 安 全 保 障 関 係 の 深 化 そしてニュージーランド シン ガポール インドネシア マレーシア ベトナムおよびバン グラデシュとの 友 好 関 係 を 挙 げている 東 アジアに 注 目 す れば 必 然 的 に 豪 州 と 日 本 そして 地 理 的 条 件 からフィ リピンが 柱 になる とりわけ 日 本 に 対 する 期 待 は 安 保 法 制 の 成 立 や 防 衛 力 への 投 資 を 含 め 大 きい 安 倍 政 権 も 米 国 同 様 に 力 の 伴 わない 対 話 では 中 国 を 抑 止 できないと 考 えている 中 国 は 南 西 諸 島 を 通 過 す る 海 軍 艦 艇 や 航 空 機 あるいはそれらによる 軍 事 演 習 も 活 発 化 している その 結 果 自 衛 隊 による 第 一 列 島 線 の 防 御 態 勢 強 化 で 対 応 することになった 自 衛 隊 は 平 成 26 年 度 以 降 の 中 期 防 衛 力 整 備 計 画 で 鹿 児 島 から 与 那 国 島 に 至 る 島 嶼 に 7 個 の 陸 上 基 地 を 新 設 監 視 部 隊 の 配 置 や 地 対 艦 ミサイル 地 対 空 ミサイルを 配 備 するとともに 対 潜 水 艦 能 力 の 高 い 海 上 戦 力 航 空 阻 止 可 能 な 航 空 戦 力 の 整 備 をすると 決 めた つまり 米 国 の エ アシーバトル 概 念 を 南 西 諸 島 のチェーン 化 で 補 完 するわ 0 けで 日 米 の 戦 略 が 吻 合 しつつあることを 意 味 する 将 来 ますます 軍 事 的 に 強 大 化 し それを 背 景 に 強 硬 になる 気 配 の 中 国 に 対 し 日 米 が 拒 否 的 抑 止 10 つまり 侵 略 してもそれを 拒 否 できる 力 が 存 在 する ことに 注 力 し 必 要 なら 米 国 による 懲 罰 的 抑 止 でそれを 思 いとどまらせ る 態 勢 を 構 築 する 方 向 へと 進 むことになる しかし 狙 いは 対 抗 や 脅 威 をあおることにあるのでなく 強 く 力 を 信 奉 し サラミスライスのように 現 状 変 更 を 求 め 続 ける 中 国 に 対 し 安 全 保 障 のジレンマ 11 に 陥 らぬ 配 慮 をしつつ 軍 事 的 圧 力 を 後 ろ 盾 に 交 渉 の 基 盤 構 築 を 目 指 すことにある それでもこの 対 抗 手 段 の 実 効 性 に 課 題 は 残 る それは 中 国 が 活 動 を 活 発 化 している 南 シナ 海 正 面 を 米 国 がいか なる 同 盟 国 や 友 好 国 と 抑 止 するかである 南 シナ 海 は 東 シ ナ 海 と 違 って 関 係 国 が 多 く 一 つにまとめるのは 容 易 で ない 島 々の 間 には 抜 け 道 も 多 い それを 乗 り 越 える 手 段 が 深 海 や 航 空 宇 宙 を 技 術 で 制 する DII あるいは 第 三 次 相 殺 戦 略 という 位 置 付 けになる そして その 行 方 を 占 う 最 初 が 米 国 における 今 秋 の DII や JAM-GC の 細 部 発 表 と 2016 会 計 年 度 予 算 審 議 の 動 向 になる 9 論 文 および 議 会 証 言 は 次 のサイトから 得 られる (2015 年 8 月 15 日 検 索 ) http://csbaonline.org/publications/2014/10/toward-a-new-offset-strategy-exploiting-us-long-term-advantages-to-restore-u-s-global-power-projection-capability/ http://csbaonline.org/publications/2014/12/the-role-of-maritime-and-air-power-in-dods-third-offset-strategy/ 10 抑 止 は 拒 否 的 抑 止 と 懲 罰 的 抑 止 からなる 前 者 は 攻 撃 を 阻 止 する 能 力 の 保 有 により 目 標 達 成 の 可 能 性 に 関 する 計 算 に 働 きかけ 攻 撃 を 断 念 させ 後 者 は さらに 耐 え 難 い 打 撃 を 加 えるとの 威 嚇 により 敵 のコスト 計 算 に 働 きかけ 攻 撃 を 断 念 させる 11 自 国 の 安 全 を 高 めようと 意 図 した 軍 事 力 増 強 が 相 手 国 にも 同 じ 行 動 を 促 し 双 方 欲 しないにもかかわらず 結 果 的 に 軍 事 衝 突 につながる 緊 張 の 連 鎖 反 応