競馬をめぐる状況（短報）

短 短 競 馬 をめぐる 状 況 国 立 国 会 図 書 館 前 調 査 及 び 立 法 考 査 局 農 林 環 境 課 本 田 伸 彰 はじめに Ⅰ 我 が 国 の 競 馬 の 概 略 我 が 国 の 競 馬 は 日 本 中 央 競 馬 会 (JRA)が 主 催 する 中 央 競 馬 と 地 方 公 共 団 体 が 主 催 する 地 方 競 馬 に 分 けられる 経 済 状 況 の 悪 化 などに より 勝 馬 投 票 券 ( 馬 券 )の 売 得 金 (1) は 1990 年 代 のピーク 時 から 中 央 競 馬 では 約 6 割 地 方 競 馬 では 約 3 分 の 1 にまで 減 少 した 地 方 競 馬 では 平 成 13(2001) 年 ごろから 競 馬 場 の 廃 止 が 相 次 ぎ 競 馬 場 周 辺 の 地 域 経 済 や 雇 用 のみな らず 競 走 馬 の 供 給 元 である 馬 産 地 の 経 済 にも 暗 い 影 を 落 としている 平 成 24(2012) 年 に 競 馬 法 ( 昭 和 23 年 法 律 第 158 号 )が 一 部 改 正 され 平 成 26(2014) 年 4 月 からは 約 75% の 払 戻 率 を 主 催 者 が 勝 馬 投 票 券 の 種 類 ごとに 柔 軟 に 設 定 できるよう になったが ファンの 関 心 を 見 極 めながら 運 用 することが 求 められる 本 稿 では 競 馬 が 持 つ 様 々な 側 面 のうち 勝 馬 投 票 券 の 売 得 金 の 推 移 など 興 行 的 な 側 面 につ いて 述 べた 後 競 走 馬 の 生 産 を 通 じた 畜 産 業 振 興 の 側 面 に 着 目 し 馬 産 地 における 現 状 を 紹 介 する 我 が 国 の 競 馬 (2) には 主 催 者 が 異 なる 中 央 競 馬 と 地 方 競 馬 が 存 在 する 騎 手 や 調 教 師 の 免 許 のほか 騎 手 等 を 養 成 する 学 校 も 中 央 地 方 で 分 かれるなど 二 元 的 な 制 度 となっている 中 央 競 馬 は 戦 前 日 本 競 馬 会 (3) が 主 催 し ていた 公 認 競 馬 に 端 を 発 する 戦 後 は GHQ の 意 向 もあって 日 本 競 馬 会 が 解 散 することにな り 昭 和 23(1948) 年 の 競 馬 法 施 行 後 の 国 営 競 馬 の 時 代 を 経 て 昭 和 29(1954) 年 から 特 殊 法 人 である 日 本 中 央 競 馬 会 の 主 催 となった 一 方 地 方 公 共 団 体 が 主 催 する 地 方 競 馬 は 戦 前 地 方 の 産 馬 組 合 等 が 軍 馬 の 鍛 錬 や 育 成 の 場 として 実 施 していたものが 昭 和 21(1946) 年 の 地 方 競 馬 法 (4) ( 昭 和 21 年 法 律 第 57 号 )や 昭 和 23(1948) 年 の 競 馬 法 制 定 などを 経 て 体 系 化 されたものである (5) Ⅱ 中 央 競 馬 の 状 況 1 概 要 日 本 中 央 競 馬 会 が 主 催 する 中 央 競 馬 は 競 馬 法 と 日 本 中 央 競 馬 会 法 ( 昭 和 29 年 法 律 第 205 ⑴ 勝 馬 投 票 券 の 発 売 金 から 競 走 の 除 外 馬 が 発 生 した 際 などの 返 還 金 を 引 いたもの( 日 本 中 央 競 馬 会 競 馬 用 語 辞 典 <http://jra.jp/kouza/yougo/>) なお 本 稿 におけるインターネット 情 の 最 終 アクセス 日 は 2014 年 3 月 23 日 である ⑵ 西 洋 に 端 を 発 する 近 代 競 馬 は 我 が 国 では 多 くの 外 国 人 が 居 住 した 横 浜 で 1860 年 ごろに 始 まったとされる( 日 本 中 央 競 馬 会 近 代 競 馬 150 年 の 歴 史 <http://jra.jp/150th/history/>; 馬 事 文 化 財 団 馬 の 博 物 館 編 2. 近 代 競 馬 の 幕 開 け 特 別 展 横 浜 開 港 150 周 年 記 念 文 明 開 化 と 近 代 競 馬 馬 事 文 化 財 団, 2009, pp.11-16) ⑶ 昭 和 11(1936) 年 に 全 国 各 地 の 8 つの 民 間 の 競 馬 倶 楽 部 を 再 編 する 形 で 誕 生 した ⑷ 昭 和 23(1948) 年 の 競 馬 法 制 定 に 伴 い 内 容 が 同 法 に 引 き 継 がれて 廃 止 された ⑸ 萩 野 寛 雄 第 一 章 競 馬 谷 岡 一 郎 宮 塚 利 雄 編 著 日 本 のギャンブル 公 営 合 法 編 大 阪 商 業 大 学 アミュー ズメント 産 業 研 究 所, 2002, pp.9-36; 神 翁 顕 彰 会 続 日 本 馬 政 史 二 農 山 漁 村 文 化 協 会, 1963 等 を 参 照 国 立 国 会 図 書 館 調 査 及 び 立 法 考 査 局 レファレンス 2014. 7 39

(6) 号 )により 運 営 されている 全 国 10 の 競 馬 場 で 開 催 され 平 成 26(2014) 年 の 開 催 日 数 (7) は 288 日 である 売 得 金 の 約 75% が 払 い 戻 され 10% が 国 の 一 般 会 計 に 納 付 される( 第 一 国 庫 納 付 金 という 平 成 24 年 度 は 約 2394.3 億 円 (8) ) 残 りの 約 15% と 勝 馬 投 票 券 以 外 の 収 入 ( 入 場 料 や 登 録 料 等 ) が 競 馬 の 開 催 費 に 充 てられ その 剰 余 金 のうち 半 分 が 国 の 一 般 会 計 に 納 付 され( 第 二 国 庫 納 付 金 という 平 成 24 年 度 は 約 84.7 億 円 (9) ) 残 り の 半 分 は 競 馬 振 興 事 業 払 戻 金 の 上 乗 せなど に 使 われる 特 別 振 興 資 金 と 特 別 積 立 金 に 充 てら れる 国 の 一 般 会 計 に 入 る 第 一 国 庫 納 付 金 と 第 二 国 庫 納 付 金 は その 約 4 分 の 3 が 畜 産 業 の 振 興 に 約 4 分 の 1 が 社 会 福 祉 の 振 興 に 利 用 される 2 売 得 金 等 の 推 移 中 央 競 馬 の 過 去 30 年 の 売 得 金 と 開 催 競 馬 場 の 入 場 人 員 の 推 移 を 表 したのが 図 1 である 売 得 金 は 武 豊 (10) をはじめとする 若 手 人 気 騎 手 やオグリキャップ (11) などスターホースが 活 躍 した 1980 年 代 後 半 から 1990 年 代 にかけて 急 増 した 平 成 9(1997) 年 には 約 4 兆 円 と 過 去 最 高 を 記 録 したが 経 済 状 況 の 悪 化 もあり その 後 は 平 成 23(2011) 年 まで 14 年 連 続 で 減 図 1 中 央 競 馬 の 売 得 金 と 入 場 人 員 の 推 移 ( 兆 円 ) ( 万 人 ) 7.0 1,600 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0.0 1983 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 0 ( 年 ) 売 得 金 開 催 場 入 場 人 員 ( 出 典 ) 日 本 中 央 競 馬 会 JRA の 概 要 成 長 推 移 <http://company.jra.jp/0000/gaiyo/g_22/g_22.html> を 基 に 筆 者 作 成 ⑹ 札 幌 函 館 ( 北 海 道 ) 福 島 ( 福 島 県 ) 新 潟 ( 新 潟 県 ) 中 山 ( 千 葉 県 ) 東 京 ( 東 京 都 ) 中 京 ( 愛 知 県 ) 京 都 ( 京 都 府 ) 阪 神 ( 兵 庫 県 ) 小 倉 ( 福 岡 県 )の 10 競 馬 場 ⑺ 例 えば 同 日 に 東 京 京 都 の 2 競 馬 場 で 開 催 されていれば 開 催 日 数 は 2 日 とカウントされる ⑻ 日 本 中 央 競 馬 会 平 成 24 事 業 年 度 事 業 告 書 <http://company.jra.jp/0000/keiei/keiei02/pdf02/houkoku24-1.pdf> ⑼ 同 上 ⑽ 昭 和 44(1969) 年 生 昭 和 62(1987) 年 にデビューし 年 間 の 最 多 勝 利 騎 手 に 18 回 輝 くなど 名 実 ともに 中 央 競 馬 を 代 表 する 騎 手 である ⑾ 地 方 競 馬 の 笠 松 競 馬 ( 岐 阜 県 )から 昭 和 63(1988) 年 に 中 央 競 馬 に 移 籍 し 有 馬 記 念 や 安 田 記 念 などの 大 レー スに 優 勝 するなど 人 気 を 博 した 白 と 黒 のまだら 模 様 の 芦 毛 の 馬 体 や 同 馬 をモデルとしたぬいぐるみも 話 題 を 集 めた 40 レファレンス 2014. 7

短 少 した (12) 平 成 24(2012) 年 は 東 日 本 大 震 災 の 影 響 を 受 けた 前 年 からの 回 復 もあり 増 加 し 平 成 25(2013) 年 (13) も 前 年 を 上 回 るなど 回 復 の 兆 しが 見 られる 今 後 この 流 れを 維 持 できるか が 注 視 される 開 催 競 馬 場 の 入 場 人 員 も 売 得 金 と 同 様 に 減 少 している また 競 馬 ファンの 高 齢 化 も 指 摘 される (14) 競 走 馬 の 走 る 姿 を 目 の 当 たりにで きるのが 競 馬 の 魅 力 の 1 つであり 新 規 のファ ンをいかに 獲 得 できるかが 大 きな 課 題 といえる ただし 開 催 競 馬 場 の 入 場 人 員 に 場 外 馬 券 売 り 場 の 入 場 人 員 と 電 話 やインターネット 投 票 の 利 用 者 の 延 べ 人 数 を 加 えた 総 参 加 人 員 ( 図 2)で 見 た 場 合 ピークは 平 成 20(2008) 年 の 1 億 7769 万 人 である 平 成 24(2012) 年 も 1 億 6239 万 人 と 売 得 金 や 入 場 人 員 の 落 ち 込 みほど 減 少 しておらず 1 人 1 日 あたりの 勝 馬 投 票 券 の 購 入 額 が 減 っている 状 況 にある 図 2 中 央 競 馬 の 総 参 加 人 員 の 推 移 ( 億 人 ) 2.0 1.9 1.8 1.7 1.6 1.5 1.4 1.3 1.2 1.1 1.0 1997 88 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 ( 年 ) ( 出 典 ) 日 本 中 央 競 馬 会 JRA の 概 要 成 長 推 移 <http:// company.jra.jp/0000/gaiyo/g_22/g_22.html> を 基 に 筆 者 作 成 Ⅲ 地 方 競 馬 の 状 況 1 概 要 地 方 公 共 団 体 が 主 催 する 地 方 競 馬 は 競 馬 法 により 運 営 されている 同 法 に 基 づく 地 方 共 同 法 人 である 地 方 競 馬 全 国 協 会 (NAR)が 主 催 者 から 交 付 金 を 受 けて 馬 主 や 競 走 馬 の 登 録 業 務 を 行 っている 現 在 14 の 主 催 者 が 開 催 し 15 の 地 方 競 馬 専 用 の 競 馬 場 が 現 存 している 売 得 金 の 約 75% が 払 い 戻 され 残 りの 約 25% が 競 馬 の 開 催 経 費 や 地 方 競 馬 全 国 協 会 へ の 納 付 金 地 方 公 共 団 体 金 融 機 構 への 納 付 金 に 充 てられ 剰 余 金 は 主 催 する 地 方 公 共 団 体 の 一 般 会 計 に 配 分 される 2 売 得 金 等 の 推 移 地 方 競 馬 の 売 得 金 と 競 馬 場 の 入 場 人 員 の 推 移 を 表 したのが 図 3 である 売 得 金 のピークは 平 成 3(1991) 年 度 の 約 9862.4 億 円 で 入 場 人 員 も 同 年 度 に 約 1466.5 万 人 と 過 去 最 高 を 記 録 した その 後 は 減 少 傾 向 が 続 き 平 成 24(2012) 年 度 の 売 得 金 (15) は 約 3326.1 億 円 と ピーク 時 の 3 分 の 1 にまで 落 ちこみ 入 場 人 員 も 平 成 24(2012) 年 度 は 約 343.6 万 人 となっている 売 得 金 減 少 の 理 由 としては 中 央 競 馬 と 同 様 経 済 状 況 によるところが 大 きいが 地 域 の 人 口 減 少 やファンの 高 齢 化 パチンコなど 他 レ ジャー 産 業 との 競 合 も 考 えられる また 地 元 の 新 聞 やテレビでも 存 廃 問 題 以 外 では 大 きく 取 り 上 げられることが 少 ないなど 情 発 信 力 の 弱 さを 指 摘 する 関 係 者 もいる (16) ⑿ 平 成 25(2013) 年 には 全 国 3 か 所 の 場 外 馬 券 売 り 場 が 経 営 的 な 理 由 としては 初 めて 閉 鎖 された( ウイン ズ 3 カ 所 を 閉 鎖 JRA 日 本 経 済 新 聞 2012.10.17 等 を 参 照 ) ⒀ 今 年 の 中 央 競 馬 売 り 上 げ 0.4% 増 日 本 経 済 新 聞 2013.12.24. 平 成 25(2013) 年 末 に 発 表 された 速 値 で 売 得 金 が 約 2 兆 4049 億 円 入 場 人 員 は 約 609 万 人 であった なお 中 央 競 馬 の 年 度 は 1-12 月 ( 暦 年 )で 地 方 競 馬 の 年 度 は 4-3 月 である ⒁ 特 集 競 馬 ブーム 終 焉 JRA 危 機 の 構 造 週 刊 ダイヤモンド 100, 2012.6.2, pp.108-116 等 を 参 照 ⒂ 売 得 金 のうち 電 話 投 票 を 含 む 開 催 競 馬 場 外 における 販 売 の 割 合 は 平 成 24 年 度 に 全 国 平 均 で 83.4% に 上 る( 地 方 競 馬 全 国 協 会 地 方 競 馬 開 催 成 績 平 成 24 年 4 月 ~ 平 成 25 年 3 月 次 <http://www.keiba.go.jp/nar/pdfresult/year1204-1303.pdf>) レファレンス 2014. 7 41

図 3 地 方 競 馬 の 売 得 金 と 入 場 人 員 の 推 移 ( 億 円 ) ( 万 人 ) 20,000 1,600 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 1983 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 0 ( 年 度 ) 売 得 金 開 催 場 入 場 人 員 ( 出 典 ) 中 央 競 馬 振 興 会 日 本 の 競 馬 総 合 ハンドブック 2013 2013 等 を 基 に 筆 者 作 成 表 1 中 央 競 馬 と 地 方 競 馬 の 馬 主 数 の 推 移 ( 数 ) 年 昭 和 62(1987) 平 成 4(1992) 平 成 9(1997) 平 成 14(2002) 平 成 19(2007) 平 成 24(2012) 中 央 競 馬 2,475 3,028 2,726 2,460 2,346 2,256 地 方 競 馬 7,207 7,662 7,684 6,949 5,694 4,720 ( 注 ) 年 末 における 登 録 数 ( 出 典 ) 中 央 競 馬 振 興 会 馬 主 登 録 数 累 年 比 較 日 本 の 競 馬 総 合 ハンドブック 2013 2013, pp.190-192 を 基 に 筆 者 作 成 地 方 競 馬 の 馬 主 の 登 録 数 は 地 方 競 馬 場 の 廃 止 が 相 次 いだこともあり 15 年 ほどの 間 に 大 幅 に 減 少 した( 表 1) なお 中 央 競 馬 の 馬 主 の 登 録 数 についてもピーク 時 から 比 べるとその 数 が 減 っているが 1980 年 代 後 半 から 1990 年 代 にかけての 競 馬 ブーム 直 前 の 昭 和 62(1987) 年 と 比 較 すると それほど 大 きな 差 はないとい える 地 方 競 馬 における 馬 主 数 の 減 少 は 競 馬 場 に 所 属 する 競 走 馬 の 減 少 を 招 く その 結 果 同 じ ような 組 み 合 わせのレースが 増 え ファンの 関 心 が 薄 れてしまう そして ファンの 減 少 によ り 売 得 金 が 減 るためにレースの 賞 金 を 下 げざる を 得 なくなり それが 馬 主 の 減 少 につながると いう 負 のスパイラルに 陥 っている (17) 3 競 馬 場 の 廃 止 ⑴ 廃 止 された 競 馬 場 地 方 競 馬 では 中 央 競 馬 よりも 早 く バブル 経 済 の 崩 壊 とともに 売 得 金 が 減 少 し 始 めた( 図 3 参 照 ) 昭 和 63(1988) 年 の 紀 三 井 寺 競 馬 場 ( 和 歌 山 県 )の 廃 止 以 降 12 年 間 は 廃 止 された 競 馬 場 はなかったが 平 成 13(2001) 年 以 降 は 全 国 で 競 馬 場 の 廃 止 が 相 次 ぎ( 表 2) 廃 止 ドミノ とも 呼 ばれた (18) これは 売 得 金 の 減 少 に 加 え 平 成 の 大 合 併 時 には 収 益 を 生 み 出 せない 競 馬 ⒃ Go to 地 方 競 馬 足 音 息 づかい まず 馬 を 知 って 朝 日 新 聞 ( 名 古 屋 本 社 版 )2013.9.8. 地 方 競 馬 ( 笠 松 競 馬 )で 活 躍 後 中 央 競 馬 に 移 籍 した 元 騎 手 安 藤 勝 己 氏 のコメントなど ⒄ 片 山 良 三 SCORE CARD HORSE RACING 民 間 参 入 は 地 方 競 馬 を 救 うことができるか Sports Graphic Number 26⑷, 2005.2.24, p.120; 競 馬 この 1 年 下 あえぐ 地 方 競 馬 日 本 経 済 新 聞 2001.12.31 等 を 参 照 42 レファレンス 2014. 7

短 表 2 昭 和 40 年 代 以 降 に 廃 止 された 競 馬 場 廃 止 年 競 馬 場 昭 和 49(1974) 春 木 ( 大 阪 府 ) 昭 和 63(1988) 紀 三 井 寺 ( 和 歌 山 県 ) 平 成 13(2001) 中 津 ( 大 分 県 ) 三 条 ( 新 潟 県 ) 平 成 14(2002) 益 田 ( 島 根 県 ) 平 成 15(2003) 足 利 ( 栃 木 県 ) 上 山 ( 山 形 県 ) 平 成 16(2004) 高 崎 ( 群 馬 県 ) 平 成 17(2005) 宇 都 宮 ( 栃 木 県 ) 平 成 18(2006) 岩 見 沢 北 見 ( 北 海 道 ) 平 成 20(2008) 旭 川 ( 北 海 道 ) 平 成 23(2011) 荒 尾 ( 熊 本 県 ) 平 成 25(2013) 福 山 ( 広 島 県 ) ( 出 典 ) 地 方 競 馬 全 国 協 会 地 方 競 馬 史 編 集 委 員 会 編 纂 地 方 競 馬 史 第 五 巻 地 方 競 馬 全 国 協 会, 2012 等 を 基 に 筆 者 作 成 場 を 抱 えたまま 合 併 できない 自 治 体 が 廃 止 に 傾 いた 事 情 もあったとされる (19) ⑵ 廃 止 に 伴 う 課 題 競 馬 は 競 輪 や 競 艇 など 他 の 公 営 競 技 と 比 べ て 関 係 者 の 数 が 多 い 1 つの 地 方 競 馬 場 で 騎 手 や 調 教 師 厩 務 員 など 直 接 競 馬 に 関 係 する 職 種 のほか 競 馬 場 内 の 売 店 の 従 業 員 など 平 均 すると 約 1,000 人 の 雇 用 があるとされる (20) 確 かに 競 馬 事 業 が 赤 字 となり それを 財 政 で 補 うことに 対 して 住 民 の 理 解 を 得 ることは 難 し い ただし 関 係 者 には これまで 地 方 財 政 を 支 えてきたという 自 負 もあり (21) 廃 止 には 困 難 を 伴 う 平 成 23(2011) 年 に 廃 止 された 熊 本 県 の 荒 尾 競 馬 場 の 例 では 廃 止 にあたり 馬 主 調 教 師 (22) 騎 手 厩 務 員 装 蹄 師 のほか 予 想 屋 組 合 や 食 堂 売 店 経 営 者 に 協 力 見 舞 金 が 支 払 われ その 総 額 約 4 億 1700 万 円 を 荒 尾 市 が 補 正 予 算 を 組 んで 負 担 した (23) また 平 成 25(2013) 年 3 月 に 廃 止 された 広 島 県 の 福 山 競 馬 場 の 例 では 同 年 12 月 の 時 点 で 再 就 職 を 希 望 していた 厩 舎 関 係 者 の 約 4 割 で 進 路 が 決 まらず 約 15 ヘクタールある 競 馬 場 跡 地 の 活 用 も 検 討 課 題 となっている (24) 4 現 存 する 競 馬 場 の 状 況 現 存 する 競 馬 場 では 南 関 東 の 一 部 の 競 馬 場 を 除 いては 苦 戦 を 強 いられており 多 くの 競 馬 場 が 存 廃 問 題 と 隣 り 合 わせの 状 況 である ま た 地 方 競 馬 の 間 でも 賞 金 などの 格 差 が 大 きく なっている 現 存 している 全 国 の 地 方 競 馬 専 用 の 競 馬 場 について それぞれの 置 かれている 状 況 を 紹 介 する ⒅ 地 方 競 馬 冬 の 時 代 膨 らむ 赤 字 各 地 で 存 廃 論 議 高 崎 は 年 内 廃 止 経 営 努 力 限 界 に 産 経 新 聞 2004.9.29; 競 馬 この 1 年 下 廃 止 ドミノ 地 方 で 再 び? 日 本 経 済 新 聞 2010.12.31 等 を 参 照 ⒆ 馬 半 数 近 く 処 分 場 へ かみのやま 競 馬 (ニュース 追 ) 朝 日 新 聞 ( 山 形 版 )2003.11.15 等 を 参 照 上 山 競 馬 を 主 催 していた 上 山 市 は 山 形 市 等 との 広 域 合 併 を 目 指 していたとされる しかし 山 形 市 側 の 事 情 なども あり 合 併 は 実 現 しなかった ⒇ 第 180 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 産 委 員 会 議 録 第 4 号 平 成 24 年 3 月 27 日 p.1. 競 馬 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 ( 第 180 回 国 会 閣 法 第 42 号 )に 関 する 質 疑 において 筒 井 信 隆 農 林 水 産 副 大 臣 ( 当 時 )が 答 弁 の 中 で 紹 介 して いる 公 営 ギャンブルはかつて 多 額 の 配 分 金 を 納 入 するなど 主 催 する 自 治 体 にとって 打 ち 出 の 小 づち とも いわれた 例 えば 平 成 23(2011) 年 に 廃 止 された 荒 尾 競 馬 では 昭 和 55(1980) 年 度 に 年 間 10 億 円 累 計 で 約 87 億 円 を 主 催 する 荒 尾 市 に 納 入 したとされる( 鈴 木 豪 特 集 競 馬 ボート 競 輪 オートレース 公 営 ギャ ンブルの 窮 地 週 刊 ダイヤモンド 99, 2011.10.1, pp.116-123) 地 方 競 馬 の 主 催 者 から 公 認 を 受 け 競 馬 場 の 場 内 で 予 想 を 販 売 することなどにより 収 入 を 得 ている( 名 古 屋 競 馬 わいわい 競 馬 塾 競 馬 用 語 集 <http://www.nagoyakeiba.com/knowledge/keibayougo/yo.html> 等 を 参 照 ) 中 央 競 馬 振 興 会 第 2 部 平 成 23 年 競 馬 回 顧 FOCUS 荒 尾 競 馬 廃 止 日 本 の 競 馬 総 合 ハンドブック 2012 2012, pp.39-41 等 を 参 照 広 島 2013 それから 3 福 山 競 馬 廃 止 人 も 馬 も 進 路 探 し 朝 日 新 聞 ( 広 島 版 )2013.12.17; 福 山 競 馬 場 跡 地 を 3 ゾーンに 分 割 方 針 市 が 構 想 案 中 国 新 聞 2014.2.13. レファレンス 2014. 7 43

⑴ 門 別 競 馬 場 ( 北 海 道 日 高 町 ) 北 海 道 が 主 催 している 競 走 馬 の 生 産 地 にあ る 競 馬 場 として 生 産 農 家 が 馬 主 として 競 走 馬 を 走 らせるケースも 多 い (25) また 所 属 馬 の 多 くが 他 の 地 方 競 馬 や 中 央 競 馬 に 移 籍 するな ど 競 走 馬 の 供 給 基 地 としての 役 割 も 担 ってい る 平 成 25(2013) 年 度 はインターネット 販 売 が 好 調 で 22 年 ぶりに 黒 字 の 見 込 みだという (26) ⑵ 帯 広 競 馬 場 ( 北 海 道 帯 広 市 ) 帯 広 市 が 世 界 で 唯 一 の ばんえい 競 馬 を (27) 主 催 している ばんえい 競 馬 は ばんえい 馬 と 呼 ばれる 大 型 の 馬 にソリを 曳 かせ その 上 に 騎 手 が 乗 り コース 上 にある 障 害 を 越 えていく 競 走 で 開 拓 者 らが 祭 典 として 楽 しんでいた 競 馬 をシステム 化 したものとされている (28) 平 成 19(2007) 年 度 から 5 年 間 業 務 を 委 託 してきたソフトバンクグループの 運 営 会 社 が 売 上 げの 減 少 等 を 理 由 に 撤 退 し 平 成 24(2012) 年 度 から 委 託 先 が 旭 川 市 のコンピュータ 関 連 会 社 に 変 更 となった 平 成 26(2014) 年 度 からは 委 託 契 約 の 内 容 見 直 しにより 仮 に 赤 字 になれ ば 市 の 財 源 を 投 入 する 可 能 性 もあり 動 向 が 注 目 されている (29) なお ばんえい 競 馬 開 催 による 帯 広 十 勝 地 方 への 経 済 波 及 効 果 は 観 光 客 が 支 出 する 宿 泊 費 等 も 含 め 平 成 22(2010) 年 度 で 約 57 億 円 と 試 算 されている (30) ⑶ 盛 岡 競 馬 場 ( 岩 手 県 盛 岡 市 ) 水 沢 競 馬 場 ( 同 県 奥 州 市 ) 岩 手 県 と 盛 岡 市 奥 州 市 で 構 成 する 岩 手 県 競 馬 組 合 が 主 催 している 平 成 10(1998) 年 度 ま で 累 計 で 約 407 億 円 が 競 馬 組 合 の 構 成 団 体 に 配 分 されていたが 平 成 12(2000) 年 度 からは 実 質 収 支 がマイナスで 推 移 するなど 存 廃 問 題 が 浮 上 した 平 成 19(2007) 年 には 組 合 を 構 成 する 岩 手 県 盛 岡 市 奥 州 市 が 収 支 の 均 衡 を 条 件 に 330 億 円 を 融 資 して 存 続 することが 決 定 した なお 地 域 に 与 える 経 済 波 及 効 果 は 平 成 21(2009) 年 度 の 決 算 見 込 額 を 基 にした 試 算 で 約 316 億 円 にのぼるとされている (31) ⑷ 浦 和 競 馬 場 ( 埼 玉 県 さいたま 市 ) 埼 玉 県 とさいたま 市 で 構 成 する 埼 玉 県 浦 和 競 馬 組 合 が 主 催 している 一 時 期 は 累 積 赤 字 が 25 億 円 を 超 えるまでになったが 経 費 削 減 等 により 平 成 22(2010) 年 度 には 組 合 を 構 成 す る 埼 玉 県 とさいたま 市 に 対 し 配 分 金 計 約 1 億 5000 万 円 が 支 払 われた (32) ⑸ 船 橋 競 馬 場 ( 千 葉 県 船 橋 市 ) 千 葉 県 と 船 橋 市 習 志 野 市 で 構 成 する 千 葉 県 競 馬 組 合 が 主 催 している 競 馬 場 の 入 場 者 数 は 減 少 しているものの インターネットによる 馬 券 の 販 売 が 経 営 を 支 えているとされる (33) 馬 主 のうち 約 5 割 を 競 走 馬 ( 軽 種 馬 )の 生 産 者 が 占 めている( 北 海 道 日 高 振 興 局 馬 産 地 対 策 室 軽 種 馬 生 産 を 巡 る 情 勢 ( 平 成 23 年 6 月 ) <http://www.hidaka.pref.hokkaido.lg.jp/file.jsp?id=404874>) 道 営 競 馬 22 年 ぶり 黒 字 も 今 年 度 ネット 販 売 好 調 読 売 新 聞 ( 北 海 道 版 )2013.11.14. ばんえい 馬 の 品 種 としては フランス 原 産 のペルシュロン 種 やブルトン 種 ベルギー 原 産 のベルジャン 種 のほ か これらの 混 血 種 などがある 体 重 は 約 1 トンで サラブレッド 種 の 2 倍 にもなる( 帯 広 競 馬 場 ばんばの 血 統 <http://www.banei-keiba.or.jp/baneiguide/whats_brood.html>) 帯 広 競 馬 場 ばんえい 十 勝 入 門 ばんえい 競 馬 とは? <http://www.banei-keiba.or.jp/baneiguide/whats_banei.html> アングルばんえい 再 び 岐 路 に 業 者 が 赤 字 負 う 運 営 限 界 帯 広 市 委 託 料 固 定 へ 調 整 北 海 道 新 聞 2013.12.25. 帯 広 市 帯 広 市 ばんえい 競 馬 運 営 ビジョン ( 平 成 24 年 3 月 ), p.6. <http://www.city.obihiro.hokkaido.jp/nouseibu/ baneishinkoushitsu/banei.data/120404banei-vision.pdf> 岩 手 県 岩 手 競 馬 経 営 の 将 来 方 向 検 討 会 議 岩 手 競 馬 の 現 状 について( 要 約 ) ( 平 成 22 年 11 月 26 日 ) <http:// www.pref.iwate.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/019/277/05_101126shiryou03_01.pdf> 等 を 参 照 中 央 競 馬 振 興 会 平 成 23 年 競 馬 できごとファイル 日 本 の 競 馬 総 合 ハンドブック 2012 2012, pp.31-37. 44 レファレンス 2014. 7

短 ⑹ 大 井 競 馬 場 ( 東 京 都 品 川 区 ) 東 京 23 区 で 構 成 する 特 別 区 競 馬 組 合 が 主 催 している 収 益 から 東 京 23 区 に 支 払 われる 配 分 金 は 平 成 16(2004) 年 度 を 最 後 にストップ していたが 平 成 23(2011) 年 度 以 降 再 び 支 払 われている (34) ⑺ 川 崎 競 馬 場 ( 神 奈 川 県 川 崎 市 ) 神 奈 川 県 と 川 崎 市 で 構 成 する 神 奈 川 県 川 崎 競 馬 組 合 が 主 催 している 老 朽 化 により 使 用 を 停 止 している 観 戦 スタンドを 解 体 し 新 たに 家 族 連 れも 呼 び 込 めるような 商 業 施 設 を 新 築 するな どの 計 画 が 進 められている (35) ⑻ 金 沢 競 馬 場 ( 石 川 県 金 沢 市 ) 石 川 県 と 金 沢 市 が 主 催 している 厳 しい 経 営 が 続 き 平 成 16(2004) 年 には 石 川 県 知 事 と 当 時 の 金 沢 市 長 が 存 廃 問 題 に 言 及 した 現 在 は 有 識 者 らで 作 る 金 沢 競 馬 経 営 評 価 委 員 会 が 毎 年 度 経 営 状 況 を 見 極 めた 上 で 存 続 の 判 断 を 下 す ことになっている (36) 平 成 25(2013) 年 12 月 に 開 かれた 同 委 員 会 では インターネット 投 票 の 売 上 げ 増 などを 背 景 に 収 支 予 測 が 黒 字 に なったとして 平 成 26(2014) 年 度 の 存 続 が 了 承 された (37) ⑼ 名 古 屋 競 馬 場 ( 愛 知 県 名 古 屋 市 ) 愛 知 県 と 名 古 屋 市 豊 明 市 で 構 成 する 愛 知 県 競 馬 組 合 が 主 催 している 平 成 24(2012) 年 度 末 で 約 40 億 円 の 累 積 赤 字 を 抱 えており 平 成 24(2012) 年 4 月 には 有 識 者 による 名 古 屋 競 馬 経 営 改 革 委 員 会 が 設 置 された 同 委 員 会 は 実 質 収 支 が 赤 字 となることが 確 実 な 状 況 に 陥 っ た 場 合 速 やかに 競 馬 事 業 の 廃 止 を 提 言 する 内 容 の 検 討 結 果 を 平 成 25(2013) 年 7 月 にまと めている (38) ⑽ 笠 松 競 馬 場 ( 岐 阜 県 笠 松 町 ) 岐 阜 県 と 笠 松 町 岐 南 町 で 構 成 する 岐 阜 県 地 方 競 馬 組 合 が 主 催 している 単 年 度 収 支 の 赤 字 が 続 くなど 財 政 状 況 が 厳 しい 中 (39) 平 成 25 (2013) 年 は 競 馬 場 から 競 走 馬 が 脱 走 する 事 件 が 相 次 いだ 10 月 には 逃 げ 出 した 競 走 馬 が 乗 用 車 と 衝 突 して 運 転 手 が 死 亡 する 事 故 も 起 き ており 安 全 管 理 の 徹 底 が 求 められている (40) ⑾ 園 田 競 馬 場 ( 兵 庫 県 尼 崎 市 ) 姫 路 競 馬 場 ( 同 県 姫 路 市 ) 兵 庫 県 と 尼 崎 市 姫 路 市 で 構 成 する 兵 庫 県 競 馬 組 合 が 主 催 している 組 合 の 売 得 金 は 平 成 3 (1991) 年 度 のピーク 時 には 1186.9 億 円 あった が 平 成 13(2001) 年 度 に 545.7 億 円 平 成 24 (2012) 年 度 に 298.2 億 円 と 落 ち 込 みが 続 いて ネット 馬 券 屋 台 骨 船 橋 競 馬 入 場 者 数 減 続 く 中 昨 年 度 売 上 高 の 4 割 朝 日 新 聞 (ちば 首 都 圏 版 ) 2012.5.13. 競 馬 組 合 23 区 に 分 配 金 7 年 ぶり 昨 年 度 は 最 終 黒 字 日 本 経 済 新 聞 ( 地 方 経 済 面 )2011.10.1. 平 成 23(2011) 年 度 は 1 区 あたり 2000 万 円 合 計 で 4 億 6000 万 円 が 支 払 われたとされる よみうりランド 川 崎 競 馬 場 商 業 施 設 建 設 計 画 のお 知 らせ ( 平 成 25 年 4 月 3 日 )<http://www.yomiuriland. co.jp/ir/news/pdf/reports2012_15.pdf>; 川 崎 競 輪 場 競 馬 場 家 族 連 れ 狙 い 来 客 増 を 相 次 ぎ 改 装 経 営 改 善 目 指 す 毎 日 新 聞 ( 神 奈 川 版 )2013.4.14. 金 沢 競 馬 経 営 評 価 委 員 会 金 沢 競 馬 経 営 改 善 計 画 評 価 告 ( 平 成 22 年 12 月 ) <http://www.pref.ishikawa.lg.jp/ keibasoumu/documents/22-zenbun.pdf> 金 沢 競 馬 来 年 度 も 存 続 評 価 委 が 了 承 3 年 連 続 黒 字 見 通 し 馬 主 の 賞 金 増 額 へ 北 國 新 聞 2013.12.26 等 を 参 照 名 古 屋 競 馬 経 営 改 革 委 員 会 名 古 屋 競 馬 の 経 営 改 革 に 関 する 検 討 結 果 告 書 ( 平 成 25 年 7 月 ) <http://www. pref.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000063/63551/250726keieikaikakuhoukokusyo.pdf> 笠 松 競 馬 崖 っぷち 馬 券 発 売 額 過 去 最 低 見 通 し 朝 日 新 聞 ( 岐 阜 全 県 版 )2013.3.9. 脱 走 馬 と 衝 突 車 の 男 性 死 亡 岐 阜 笠 松 競 馬 場 近 く 朝 日 新 聞 2013.10.28, 夕 刊 ; 回 顧 2013 あの 現 場 は 今 ⑴ 笠 松 競 走 馬 脱 走 事 故 安 全 徹 底 へ 経 営 改 善 を 中 日 新 聞 2013.12.26. レファレンス 2014. 7 45

いる (41) 過 去 には 構 成 団 体 に 対 して 昭 和 55(1980) 年 度 からの 累 計 で 約 741 億 円 が 配 分 されたが 売 得 金 の 落 ち 込 みとともに 配 分 金 は 減 少 し 平 成 17(2005) 年 度 以 降 は 支 払 われて いない (42) 収 益 の 改 善 を 目 指 し 平 成 24(2012) 年 9 月 から 園 田 競 馬 場 でナイター 競 馬 を 実 施 している が ナイター 競 馬 の 開 催 に 当 たっては 地 元 住 民 から 治 安 の 悪 化 を 心 配 する 声 もあった (43) ナイター 競 馬 の 開 催 初 年 度 だった 平 成 24(2012) 年 度 は ナイター 開 催 期 間 中 の 入 場 人 員 売 得 金 とも 前 年 同 時 期 と 比 べて 増 加 したが (44) 2 年 目 の 平 成 25(2013) 年 度 は ナイター 開 催 期 間 中 の 入 場 人 員 が 前 年 と 比 べて 29% 減 り ナイ ター 導 入 前 と 比 較 しても 減 少 するなど ナイ ター 開 催 の 効 果 が 薄 らいでいる (45) ⑿ 高 知 競 馬 場 ( 高 知 県 高 知 市 ) 高 知 県 と 高 知 市 で 構 成 する 高 知 県 競 馬 組 合 が 主 催 している 平 成 21(2009) 年 7 月 から 全 国 初 の 通 年 でのナイター 開 催 (46) を 始 め 売 得 金 は 増 加 傾 向 にある 平 成 25(2013) 年 3 月 に 開 催 日 の 日 程 調 整 や 人 馬 の 交 流 など 業 務 提 携 を 行 ってきた 福 山 競 馬 場 ( 広 島 県 福 山 市 )が 廃 止 となり 中 四 国 地 方 で 唯 一 の 競 馬 場 となった ⒀ 佐 賀 競 馬 場 ( 佐 賀 県 鳥 栖 市 ) 佐 賀 県 と 鳥 栖 市 で 構 成 する 佐 賀 県 競 馬 組 合 が 主 催 している 平 成 24(2012) 年 度 は 勝 馬 投 票 券 の 売 得 金 が 5 年 ぶりに 増 加 したが 平 成 23(2011) 年 度 末 の 時 点 で 約 2 億 円 の 累 積 赤 字 を 抱 えている (47) 平 成 24(2012) 年 には 国 の 構 造 改 革 特 区 として 法 律 で 認 められていな い 7 重 勝 単 勝 式 (48) の 勝 馬 投 票 券 が 全 国 で 初 めて 導 入 され インターネットで 販 売 されるこ とになった (49) Ⅳ 馬 産 地 の 現 状 1 生 産 の 概 況 地 方 競 馬 場 の 相 次 ぐ 廃 止 は 競 走 馬 を 供 給 す る 馬 産 地 の 経 済 にも 大 きな 影 響 を 与 えている 競 走 馬 の 生 産 頭 数 は 平 成 4(1992) 年 度 にサ ラブレッド 種 を 含 むサラブレッド 系 統 アラブ 種 を 含 むアラブ 系 統 あわせて 12,874 頭 を 記 録 したが 平 成 24(2012) 年 度 には 6,832 頭 にま で 減 少 した( 図 4) なお 現 在 はサラブレッド 種 の 生 産 が 主 であるが かつてはアラブ 種 も 一 定 数 生 産 されていた アラブ 種 は サラブレッ ド 種 に 比 べてスピードは 劣 る 反 面 身 体 が 丈 夫 で 気 性 も 穏 やかである 等 の 理 由 から 特 に 地 方 競 馬 で 重 宝 されてきた しかし 中 央 競 馬 で 平 成 7(1995) 年 にアラブ 種 限 定 のレースが 廃 兵 庫 県 競 馬 事 業 の 概 要 ( 更 新 日 :2013 年 7 月 8 日 ) <http://web.pref.hyogo.lg.jp/pa01/pa01_000000003.html> 等 を 参 照 兵 庫 県 競 馬 事 業 活 性 化 委 員 会 競 馬 事 業 の 活 性 化 に 関 する 告 書 ( 平 成 20 年 1 月 ) <http://web.pref.hyogo.lg.jp/ pa01/documents/000091995.pdf> 等 を 参 照 園 田 競 馬 場 来 月 から 金 曜 ナイター 開 催 起 死 回 生 客 足 伸 びるか 日 本 経 済 新 聞 ( 大 阪 版 )2012.8.10, 夕 刊. 園 田 競 馬 場 ナイター 効 果 あり 入 場 者 数 や 売 り 上 げ 増 来 年 も 継 続 の 方 針 毎 日 新 聞 ( 阪 神 版 ) 2012.11.29. 尼 崎 園 田 ナイター 競 馬 入 場 者 減 9-11 月 導 入 前 の 同 時 期 比 神 戸 新 聞 2013.11.13. 四 国 見 聞 録 高 知 市 高 知 競 馬 場 夜 さ 恋 ナイター 楽 しみ 多 様 化 毎 日 新 聞 ( 高 知 版 )2013.9.10. 馬 券 売 り 上 げ 5 年 ぶり 増 佐 賀 競 馬 ネット 購 入 伸 びる 読 売 新 聞 ( 佐 賀 版 )2013.4.5. 指 定 された 7 つのレースの 勝 ち 馬 を すべて 的 中 させる 投 票 方 法 である 佐 賀 競 馬 では コンピュータが 無 作 為 に 買 い 目 を 抽 出 する ランダム 方 式 で 勝 馬 投 票 券 が 販 売 されている 佐 賀 競 馬 さがけいばニュース 佐 賀 競 馬 七 重 勝 単 勝 式 をインターネット 発 売 開 始 2012.4.27. <http://www. sagakeiba.net/info/inf2012042701.html>; 佐 賀 競 馬 に 7 重 勝 馬 券 法 では 5 重 勝 まで 国 が 特 区 に 認 定 読 売 新 聞 ( 佐 賀 版 )2011.12.1. 46 レファレンス 2014. 7

短 図 4 競 走 馬 の 生 産 頭 数 の 推 移 ( 頭 ) 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 1983 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 ( 年 度 ) アラブ 系 統 サラブレッド 系 統 ( 出 典 ) 中 央 競 馬 振 興 会 年 度 別 生 産 頭 数 日 本 の 競 馬 総 合 ハンドブック 2013 2013, pp.240-241 を 基 に 筆 者 作 成 止 されたのを 機 に 生 産 が 減 少 し 地 方 競 馬 でも アラブ 種 限 定 のレースが 廃 止 されたことから 現 在 ではほとんど 生 産 されていない 競 走 馬 の 都 道 府 県 別 の 生 産 頭 数 では 平 成 24(2012) 年 度 において 北 海 道 が 6,634 頭 と 全 体 の 約 97% を 占 めている ほかでは 青 森 県 が 89 頭 鹿 児 島 県 が 31 頭 熊 本 県 が 27 頭 などと 少 ないながらも 生 産 が 行 われている また 北 海 道 内 の 地 区 別 では 日 高 地 区 が 5,390 頭 胆 振 地 区 が 1,211 頭 と 2 地 区 に 集 中 してい る 日 高 地 区 は 山 地 と 太 平 洋 に 挟 まれ 平 野 部 で 十 分 な 耕 地 面 積 を 確 保 することが 難 しく 農 地 の 大 規 模 化 が 困 難 であった (50) そのため 1960 年 代 以 降 米 や 麦 馬 鈴 薯 などの 生 産 から 競 走 馬 生 産 への 転 換 が 進 んだとされる (51) 生 産 牧 場 の 規 模 としては 競 走 馬 を 生 産 する 繁 殖 用 の 牝 馬 が 10 頭 以 下 である 零 細 な 牧 場 が 多 い 一 方 で 胆 振 地 区 には 我 が 国 の 競 走 馬 生 産 を リードする 社 台 グループの 本 拠 地 があり 日 高 地 区 と 比 較 して 生 産 頭 数 は 少 ないものの 賞 金 獲 得 額 などでは 日 高 地 区 を 上 回 っている 生 産 牧 場 の 数 は 減 少 を 続 けており 平 成 14 (2002) 年 には 全 国 で 1,536 戸 あったが 平 成 24(2012) 年 には 993 戸 にまで 減 少 した (52) 理 由 としては 生 産 者 の 高 齢 化 や 後 継 者 の 不 在 経 営 不 振 等 が 挙 げられている (53) 2 競 走 馬 産 業 の 特 徴 競 走 馬 産 業 は 育 成 に 際 して 騎 乗 者 を 確 保 す る 必 要 があるなど 他 の 農 業 と 比 較 して 雇 用 効 果 も 大 きいとされる (54) また 馬 産 地 では 岩 崎 徹 第 74 話 日 高 地 方 の 地 勢 的 特 徴 櫛 の 歯 構 造 馬 産 地 80 話 日 高 から 見 た 日 本 競 馬 北 海 道 大 学 出 版 会, 2005, pp.213-216. 北 海 道 日 高 振 興 局 馬 産 地 対 策 室 前 掲 注 日 本 軽 種 馬 協 会 生 産 関 連 統 計 繁 殖 牝 馬 飼 養 牧 場 数 の 推 移 <http://www.jbba.jp/statistics/siyo.pdf> 中 央 競 馬 振 興 会 第 8 部 生 産 平 成 24 年 生 産 界 回 顧 日 本 の 競 馬 総 合 ハンドブック 2013 2013, pp.194-201. 小 山 良 太 第 1 章 競 走 馬 産 業 の 特 質 と 産 地 構 造 競 走 馬 産 業 の 形 成 と 協 同 組 合 日 本 経 済 評 論 社, 2004, pp.13-36 等 を 参 照 レファレンス 2014. 7 47

競 走 馬 が 生 産 されてから 販 売 に 至 るまで 獣 医 師 や 馬 の 輸 送 業 馬 具 の 販 売 飼 料 産 業 など 関 連 の 産 業 が 絡 み 合 い 1 つの 産 業 クラスターを 形 成 している 若 干 古 い 数 字 になるが 平 成 12(2000) 年 の 調 査 では 北 海 道 日 高 地 区 の 競 走 馬 の 販 売 額 は 366 億 円 で 関 連 産 業 の 市 場 規 模 は 販 売 額 の 75% にあたる 273 億 円 となり 合 計 すると 639 億 円 にのぼるという (55) 北 海 道 日 高 振 興 局 が 作 成 した 資 料 では 競 走 馬 の 生 産 が 担 っている 役 割 として 1 国 家 財 政 等 への 寄 与 2 競 馬 での 娯 楽 提 供 3 地 域 経 済 雇 用 の 維 持 確 立 4 農 地 の 機 能 維 持 や 農 村 景 観 など 多 面 的 機 能 の 維 持 5 馬 文 化 の 醸 成 6 軽 種 馬 輸 出 や 観 光 活 用 などの 新 たな 展 開 などが 挙 げられている (56) 3 競 走 馬 の 輸 入 外 国 産 馬 の 出 走 できる 競 走 数 が 中 央 競 馬 に おいて 拡 大 されるなど 国 際 化 に 伴 い 1990 年 代 前 半 に 競 走 馬 の 輸 入 が 増 加 した 平 成 9 (1997) 年 度 には 453 頭 を 記 録 し 生 産 地 への 影 響 も 懸 念 されたが 国 産 馬 の 質 の 向 上 もあっ て 近 年 は 100-200 頭 で 推 移 しており 平 成 24 (2012) 年 度 は 131 頭 にとどまっている( 図 5) また 現 在 は 競 走 馬 の 輸 入 に 際 して 1 頭 あ たり 340 万 円 の 関 税 が 掛 けられていることか ら (57) TPP( 環 太 平 洋 パートナーシップ)の 影 響 を 危 惧 する 声 もある (58) 北 海 道 は 関 税 が 撤 廃 された 場 合 競 走 馬 の 生 産 減 少 額 が 101 億 円 農 業 産 出 額 影 響 額 が 97 億 円 関 連 産 業 影 響 額 ( 種 牡 馬 産 業 等 )が 41 億 円 地 域 経 済 影 響 額 が 132 億 円 雇 用 への 影 響 が 3,000 人 との 試 算 を 公 表 している (59) その 一 方 で 国 産 馬 の 品 質 が 上 がっているな どとの 理 由 から TPP による 影 響 は 大 きくない との 見 方 もある (60) Ⅴ 近 年 の 動 向 図 5 競 走 馬 の 輸 入 頭 数 の 推 移 ( 頭 ) 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 1988 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 ( 年 度 ) ( 出 典 ) 中 央 競 馬 振 興 会 年 度 別 サラブレッド 輸 入 頭 数 日 本 の 競 馬 総 合 ハンドブック 2013 2013, pp.252-253 を 基 に 筆 者 作 成 1 払 戻 率 の 柔 軟 な 変 更 競 馬 法 が 平 成 24(2012) 年 に 一 部 改 正 され 平 成 26(2014) 年 4 月 に 施 行 された この 改 正 では 地 方 競 馬 に 対 する 資 金 面 での 支 援 の 延 長 に 加 え (61) 約 75% の 払 戻 率 を 主 催 者 が 70% から 農 林 水 産 大 臣 の 定 める 率 (62) までの 範 囲 で 岩 崎 徹 第 76 話 馬 産 と 関 連 産 業 関 連 団 体 馬 産 地 80 話 日 高 から 見 た 日 本 競 馬 前 掲 注, pp.218-223; 同 9 競 走 馬 の 関 連 産 業 競 走 馬 産 業 と 地 域 活 性 化 の 課 題 札 幌 大 学 経 済 学 部 附 属 地 域 経 済 研 究 所, 2006, pp.38-41. 北 海 道 日 高 振 興 局 馬 産 地 対 策 室 前 掲 注 財 務 省 貿 易 統 計 実 行 関 税 率 表 (2014 年 1 月 版 ) <http://www.customs.go.jp/tariff/2014_1/index.htm> 関 税 撤 廃 なら 優 良 外 国 産 さらに 馬 産 地 日 高 TPP 恐 々 産 駒 売 れず 廃 業 も 北 海 道 新 聞 2013.8.25. 北 海 道 農 政 部 TPP 協 定 の 分 野 別 の 影 響 別 添 資 料 ( 平 成 25 年 3 月 ) <http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/ ssk/tpp.htm> 競 走 馬 ( 軽 種 馬 )に 対 する TPP の 影 響 の 試 算 の 前 提 として 1 中 央 競 馬 に 仕 向 けられる 競 走 馬 の うち 優 良 馬 以 外 は 外 国 産 馬 に 置 き 換 わる 2 残 る 優 良 馬 の 価 格 は 輸 入 馬 に 置 き 換 わる 部 分 の 価 格 低 下 率 の 半 分 の 率 で 下 落 する としている 関 税 340 万 円 撤 廃 なら 外 国 産 競 走 馬 が 席 巻? TPP 産 地 北 海 道 に 危 機 感 血 統 で 選 ぶ 国 産 強 い 影 響 限 定 的 との 声 も 東 京 新 聞 2013.4.12; 新 時 代 の 競 馬 国 際 化 と 馬 産 地 ( 下 ) 我 ら 競 馬 勝 手 連 勝 手 にモノ 申 す! 週 刊 競 馬 ブック 52⑷, 2014.1.26, pp.78-81. 日 高 地 区 を 代 表 する 生 産 者 の 1 人 である 岡 田 繁 幸 氏 が 海 外 の 安 い 馬 は 日 本 馬 のレベルが 高 いんで 勝 負 にならない とコメントしている 48 レファレンス 2014. 7

短 柔 軟 に 設 定 できるようになった ただし 仮 に 一 律 に 払 戻 率 を 下 げると 一 時 的 に 収 益 は 増 加 するものの 配 当 金 が 下 がり ファン 離 れを 加 速 する 要 因 にもなりかねない (63) 同 じく 公 営 競 技 のオートレースでは 小 型 自 動 車 競 走 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 208 号 )の 改 正 に より 平 成 24(2012) 年 から 同 様 の 措 置 が 可 能 と なり 払 戻 率 が 75% から 70% に 引 き 下 げられ た (64) その 結 果 インターネットでの 売 上 げが 3% 程 度 減 少 したとされる (65) そのため 競 馬 法 改 正 を 受 けて 地 方 競 馬 では 勝 馬 投 票 券 の 種 類 ごとに 払 戻 率 を 上 下 させてい る 主 催 者 によって 異 なるものの 全 体 の 傾 向 として 勝 ち 馬 を 当 てる 単 勝 式 や 3 着 ま でに 入 る 馬 を 当 てる 複 勝 式 など 的 中 率 の 高 い 種 類 では 払 戻 率 を 上 げる 一 方 3 着 までを 着 順 通 りに 当 てる 3 連 勝 単 式 など 的 中 率 の 低 い 種 類 では 払 戻 率 を 下 げている (66) また 中 央 競 馬 でも 平 成 26(2014) 年 6 月 から 勝 馬 投 票 券 の 種 類 ごとに 払 戻 率 を 設 定 することが 発 表 され 単 勝 式 や 複 勝 式 が 80% に 3 連 勝 単 式 が 72.5% に 設 定 されるという (67) 2 勝 馬 投 票 券 相 互 販 売 の 拡 大 近 年 中 央 競 馬 と 地 方 競 馬 との 間 で 勝 馬 投 票 券 の 相 互 販 売 が 拡 大 している 法 的 には 平 成 16(2004) 年 の 競 馬 法 改 正 により 日 本 中 央 競 馬 会 と 地 方 競 馬 の 主 催 者 の 間 で 競 馬 に 関 す る 業 務 を 委 託 することが 可 能 となった また 技 術 的 には 新 たなシステムの 構 築 等 により 相 互 販 売 の 促 進 に 向 けた 環 境 づくりが 進 んだ (68) 平 成 23(2011) 年 12 月 には 地 方 競 馬 の 川 崎 競 馬 場 で 日 本 中 央 競 馬 会 が 神 奈 川 県 川 崎 競 馬 組 合 に 委 託 する 形 で 中 央 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 の 販 売 が 開 始 された それまでも 地 方 競 馬 の 施 設 で 中 央 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 が 販 売 されていた が 日 本 中 央 競 馬 会 が 業 務 を 委 託 するのではな く 場 所 を 間 借 りする 形 で 直 接 販 売 していた また 平 成 24(2012) 年 10 月 には 中 央 競 馬 のインターネット 投 票 システムから 地 方 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 を 購 入 することが 可 能 となった 相 互 販 売 の 効 果 もあり 地 方 競 馬 の 平 成 25 年 ( 暦 年 )の 1 日 あたりの 売 得 金 は すべての 競 馬 場 で 前 年 比 増 を 記 録 した (69) 今 後 は 我 が 国 の 競 走 馬 が 遠 征 して 出 走 する ことも 多 い 欧 州 や 香 港 など 海 外 のレースについ ても 国 内 での 勝 馬 投 票 券 の 販 売 を 求 める 声 が 大 きくなる 可 能 性 も 指 摘 されている (70) 次 の 2 つの 支 援 措 置 を 5 年 間 延 長 した 1 地 方 競 馬 全 国 協 会 が 実 施 する 地 方 競 馬 の 活 性 化 事 業 や 競 走 馬 の 生 産 振 興 事 業 に 必 要 な 資 金 の 一 部 を 日 本 中 央 競 馬 会 が 交 付 する 支 援 2 地 方 競 馬 全 国 協 会 に 地 方 競 馬 の 主 催 者 か ら 納 付 された 交 付 金 を 還 付 する 支 援 なお 支 援 の 延 長 については 改 正 競 馬 法 の 公 布 日 ( 平 成 24 年 6 月 27 日 ) に 施 行 された 競 馬 法 第 8 条 第 1 項 ( 同 法 第 22 条 において 準 用 する 場 合 を 含 む )の 農 林 水 産 大 臣 が 定 める 率 を 定 める 件 ( 平 成 25 年 12 月 6 日 農 林 水 産 省 告 示 第 2960 号 )により 上 限 が 80% に 定 められた 地 方 競 馬 支 援 法 改 正 へ 魅 力 作 りファンつかめ 払 戻 率 運 用 難 しさ 読 売 新 聞 2012.2.23; 社 説 競 馬 法 改 正 法 案 払 戻 率 引 き 下 げは 諸 刃 の 剣 北 國 新 聞 2012.1.20. 的 中 した 際 の 払 戻 額 では 6.7% 減 少 するという 川 口 オート 経 営 改 善 狙 う 払 戻 率 下 げ 読 売 新 聞 ( 埼 玉 版 )2012.5.10 等 を 参 照 名 古 屋 競 馬 経 営 改 革 委 員 会 前 掲 注, p.15. 地 方 競 馬 全 国 協 会 地 方 競 馬 の 払 戻 率 の 設 定 について 2014.3.3. <http://www.keiba.go.jp/whatsnew/140303_whatsnew. html> 等 を 参 照 日 本 中 央 競 馬 会 JRA ニュース 6 月 7 日 ( 土 ) 以 降 の 勝 馬 投 票 法 ごとの 払 戻 率 について 2014.3.3. <http://www. jra.go.jp/news/201403/030305.html> ; JRA 払 戻 率 を 弾 力 化 6 月 から ファン 離 れ 防 ぐ 日 本 経 済 新 聞 2014.3.4. 中 央 競 馬 振 興 会 特 集 中 央 地 方 相 互 発 売 の 拡 大 日 本 の 競 馬 総 合 ハンドブック 2013 2013, pp.13-18. 地 方 競 馬 全 国 協 会 地 方 競 馬 開 催 成 績 平 成 25 年 1 月 ~ 平 成 25 年 12 月 次 <http://www.keiba.go.jp/nar/pdfresult/year1301-1312.pdf> レファレンス 2014. 7 49

おわりに 競 馬 をスポーツとして 捉 えた 場 合 我 が 国 の 競 馬 のレベルは この 10 数 年 の 間 に 飛 躍 的 に 上 がったといえる バブル 時 代 に 海 外 から 輸 入 されたレベルの 高 い 種 牡 馬 (71) や 繁 殖 用 の 牝 馬 が 国 内 産 の 競 走 馬 の 質 を 高 めた また 育 成 や 調 教 技 術 の 向 上 などもあり 平 成 10(1998) 年 に 日 本 で 調 教 された 馬 が 初 めて 海 外 の G1 レース (72) に 勝 利 し それ 以 降 その 数 は 24 を 数 える( 平 成 26(2014) 年 4 月 現 在 ) このように 我 が 国 の 競 馬 界 が 目 指 してきた 強 い 馬 づくり は 着 実 に 実 を 結 んでいると いえる しかし その 一 方 で 主 催 者 側 には 売 得 金 や 入 場 人 員 に 直 ちに 結 びついていないとい うジレンマもあるだろう 特 に 毎 年 の 収 支 が 存 続 に 関 わる 地 方 競 馬 の 多 くでは 悠 長 なこと はいえない 状 況 にある 今 後 新 たなファンを 獲 得 し 我 が 国 の 競 馬 を 振 興 していくためには 強 い 馬 同 士 がみせる 白 熱 した 競 走 など 競 馬 そのものの 魅 力 を 引 き 続 き 粘 り 強 く 発 信 していくことが 不 可 欠 であろ う (ほんだ のぶあき 関 西 館 電 子 図 書 館 課 ) ( 本 稿 は 筆 者 が 農 林 環 境 課 在 職 中 に 執 筆 したもの である ) 斎 藤 修 一 筆 啓 上 販 路 拡 大 の 効 果 週 刊 競 馬 ブック 52⑸, 2014.2.2, p.80 等 を 参 照 特 に 米 国 から 輸 入 された 種 牡 馬 のサンデーサイレンスは 13 年 連 続 で 種 牡 馬 成 績 が 1 位 となるなど 圧 倒 的 な 成 功 を 収 めた 同 馬 が 死 亡 した 平 成 14(2002) 年 以 降 も 子 孫 が 活 躍 を 続 けており 大 レースの 出 走 馬 の 大 半 が その 血 を 引 く 馬 で 占 められることも 珍 しくない( ダービー 全 馬 サンデーサイレンス 孫 対 決 血 統 の 偏 り 鮮 明 主 要 競 馬 国 でも 異 例 日 本 経 済 新 聞 2011.5.25 等 を 参 照 ) 競 走 の 格 付 けにおいて 最 も 上 位 に 位 置 づけられるカテゴリーのレース 我 が 国 の 中 央 競 馬 では 日 本 ダービー や 有 馬 記 念 などが 該 当 する 50 レファレンス 2014. 7