2015 10 1 37 42 足 趾 力 強 化 トレーニングの 効 果 長 谷 奈 緒 美 1), 鷲 塚 寛 子 2), 境 美 代 子 1), 金 森 昌 彦 3) 1) 富 山 福 祉 短 期 大 学 看 護 学 科,2) 富 山 大 学 大 学 院 医 学 薬 学 教 育 部, 3) 富 山 大 学 大 学 院 医 学 薬 学 研 究 部 (2015.2.4 受 稿,2015.3.18 受 理 ) 要 旨 本 研 究 は 下 肢 の 機 能 向 上 のために 簡 便 な 足 趾 力 強 化 トレーニングを 考 案 する 目 的 で 足 趾 の 動 きに 類 似 したトレーニングによる 効 果 の 検 証 を 行 った 健 常 成 人 女 性 20 名 を 調 査 協 力 者 とし 足 趾 の 屈 伸 運 動 を 1 日 1 回 左 右 各 20 回 ずつ1 週 間 実 施 した 足 部 機 能 の 指 標 として 足 趾 挟 力 足 趾 把 持 力 足 趾 10 秒 テストを 用 い トレーニングの 前 後 に 測 定 した その 結 果 前 後 の 値 において 足 趾 挟 力 は 右 が1.2 ± 1.2 kg 左 は1.0 ± 1.2kg( 右 :p < 0.001, 左 :p < 0.01) 足 趾 把 持 力 は 右 が1.0 ± 1.4kg 左 は1.3 ± 1.1kgの 向 上 を 認 めた( 右 :p < 0.01, 左 :p < 0.001) 足 趾 10 秒 テストは 右 が1.5 ± 3.1 回 左 は1.7 ± 2.8 回 と なった( 右 :p < 0.05, 左 :p < 0.05) 3 項 目 全 てにおいて 測 定 値 の 向 上 が 認 められ トレーニングとして の 有 用 性 が 示 唆 された キーワード: 足 趾 力 屈 伸 運 動 トレーニング 効 果 1. 序 論 運 動 器 は 人 が 自 分 の 意 志 で 活 用 できる 唯 一 の 組 織 器 官 であり 1) その 機 能 は 姿 勢 保 持 機 能 移 動 機 能 作 業 機 能 からなり 日 常 生 活 動 作 に 大 き く 関 与 している 2) 自 分 の 意 志 で 行 う 動 作 や 行 動 は 自 己 の 存 在 や 尊 厳 を 証 明 することにつながるた め この 機 能 には 大 きな 意 義 があるが 加 齢 や 疾 患 などによって 様 々な 機 能 低 下 が 引 き 起 こされる そのひとつとして 筋 力 低 下 があげられ 一 般 的 に は 何 らかの 安 静 により 筋 収 縮 を 行 わなければ1 週 間 に10% の 割 合 でその 部 位 の 筋 力 が 低 下 する 2) と 言 われている 本 来 筋 力 は 適 度 に 使 用 すれ ば 維 持 されるはずであるが 入 院 患 者 においては 入 院 生 活 による 行 動 範 囲 の 縮 小 によって 筋 収 縮 の 機 会 が 減 少 する 入 院 治 療 によって 疾 患 が 治 癒 し ても 下 肢 の 筋 力 低 下 がおこり 行 動 が 制 限 されれ ば 本 来 の 日 常 生 活 が 再 開 できず 役 割 の 変 化 や 喪 失 社 会 参 加 の 減 少 など 生 活 の 質 は 大 きく 低 下 す る また 筋 力 低 下 は 転 倒 の 内 的 要 因 としても 挙 げ られており 3) 予 防 することは 重 要 であると 考 え られる 下 肢 機 能 を 支 えているのは 体 幹 の 腰 背 部 および 骨 盤 筋 群 と 下 肢 の 筋 群 であるが これらの 筋 力 を 向 上 させるためには 様 々な 動 作 が 必 要 であ り 入 院 患 者 が 実 施 するには 困 難 な 場 合 が 多 い 4)~ 8) 先 行 研 究 において 足 趾 が 立 位 保 持 や 歩 行 に 大 きく 関 与 しているとされているため 足 趾 の 力 ( 以 後 足 趾 力 とする)を 向 上 させることが 下 肢 筋 力 や 生 活 機 能 の 低 下 予 防 につながると 考 え その 方 法 について 検 討 することにした これまでに 足 趾 力 の 強 化 についてはタオルギャ ザーやビー 玉 つかみ 足 趾 歩 行 など 足 趾 把 持 機 能 9)~ 14) トレーニングの 報 告 が 多 い これらは 立 位 や 座 位 で 行 う 必 要 があり 所 要 時 間 は10 ~ 20 分 3 週 間 以 上 継 続 した 実 施 で 効 果 が 得 られるも のが 多 く 見 られた しかしトレーニングの 対 象 者 を 入 院 患 者 とした 場 合 その 状 態 や 疾 患 によって は 実 施 が 困 難 な 場 合 もある また 早 期 離 床 による 転 倒 防 止 を 視 野 に 入 れるとすれば 入 院 時 より 臥 床 安 静 患 者 にも 実 施 できる 方 法 が 必 要 である 以 上 のことから 簡 便 な 足 趾 力 強 化 トレーニン グを 考 案 する 目 的 で 足 趾 の 主 な 動 きである 屈 伸 運 動 をトレーニングとし その 効 果 について 検 証 を 行 った 2. 研 究 方 法 2.1 調 査 期 間 平 成 25 年 7 月 ~ 平 成 25 年 8 月 2.2 研 究 協 力 者 A 短 期 大 学 に 在 学 する 学 生 から 無 作 為 に 抽 出 し 研 究 の 主 旨 と 内 容 について 説 明 を 行 ったうえ で 研 究 の 同 意 を 得 られ 下 肢 に 病 的 な 機 能 障 害 を 認 めない 学 生 20 名 とした 37
共創福祉 第 10 巻 第 1 号 2015 2 3 測定方法 調査項目については基本属性及び足趾力とし た 足趾力を表す方法としては足趾挟力 足趾把 持力 足趾 10 秒テストを用いた 1回目の測定の後 足趾の屈伸運動を1日1 回 左右各 20 回ずつ 1 週間実施し1週間後に足 趾挟力 足趾把持力および足趾 10 秒テストを実 施する 図 1 に示す調査用紙には トレーニング 実施の有無がわかるようチェックリストを添付し た 1 基本属性 年齢 性別 利き足 および 足部の異常 とした 利き足 は体重を支 持する足 15 とし 足部の異常 については 陥入爪などの爪の異常及び外反母趾とした 2 足 趾 挟 力 測 定 図 2 足 趾 力 測 定 器 ちぇっかーくん 日伸産業株式会社 福 岡市 を用いた 椅子座位の姿勢をとり 第 1趾と第2趾との挟力を測定した 左右2回 ずつ測定し 最大値をそれぞれの代表値とし た 3 足趾把持力測定 図3 足趾筋力測定器 竹井機器工業株式会社 新潟市 を用い た 椅子座位の姿勢をとり足の位置を固定 し 足趾をバーにかけバーを牽引する力を測 定した 左右2回ずつ測定し 最大値をそれ ぞれの代表値とした 4 足趾 10 秒テスト 図4 椅子座位で踵は床 につけた状態で実施する 可動域の範囲内で 足趾の完全な伸展 屈曲を繰り返し 10 秒 間に実施できた回数を目視で計測する 伸 展 屈曲を1回とし 左右別々にカウント した 図 1 足趾機能の調査用紙 図 2 足趾力測定器の外形 図 3 足趾筋力測定器の外形 38 図 4 足趾 10 秒テストの様子
2.4 結 果 の 処 理 トレーニング 前 後 の 足 趾 挟 力 足 趾 把 持 力 お よび 足 趾 10 秒 テストの 値 についてt 検 定 を 行 い p < 0.05 を 有 意 差 ありとした 2.5 倫 理 的 配 慮 研 究 への 協 力 は 任 意 であり 研 究 への 参 加 不 参 加 が 協 力 者 の 不 利 益 にならないこと 調 査 結 果 は 本 研 究 以 外 の 目 的 で 使 用 することはないことに ついても 説 明 し 同 意 を 得 られたものに 調 査 を 行 った 測 定 の 内 容 は 無 記 名 で 行 うとともにデー タは 統 計 的 に 処 理 し 個 人 が 特 定 されないように し 研 究 終 了 後 は 破 棄 することとした 本 研 究 は 富 山 福 祉 短 期 大 学 での 倫 理 審 査 委 員 会 の 承 認 ( 承 認 番 号 H-25-004 号 平 成 25 年 7 月 3 日 ) を 得 た 3. 結 果 3.1 調 査 協 力 者 の 概 要 性 別 は 女 性 20 人 であった 年 代 においては10 歳 代 が9 人 20 歳 代 が10 人 30 歳 代 が1 人 であ り 平 均 年 齢 は20.6 ± 3.7 歳 であった 利 き 足 に ついては 右 が18 名 左 が1 名 未 記 入 が1 名 であった 足 部 の 異 常 については 無 し が17 名 外 反 母 趾 が2 名 爪 の 異 常 は1 名 に 認 められ た トレーニングは 1 日 1 回 の 足 趾 屈 伸 運 動 を7 日 間 実 施 の 依 頼 をしていたが 実 施 したもの は14 名 6 日 間 実 施 したものが4 名 2 日 間 の 実 施 が1 名 全 く 実 施 しなかったものが1 名 で あった 今 回 トレーニングの 効 果 について 検 証 を 目 的 としているため 全 く 実 施 していない1 名 に ついては 除 外 した 3.2 測 定 結 果 3.2.1 足 趾 挟 力 について 2 回 測 定 のうち 最 大 値 を 代 表 値 とした ト レーニング 前 の 右 の 平 均 は3.1 ± 1.5kg 左 平 均 が2.8 ± 1.3kg トレーニング 後 の 右 平 均 が4.3 ± 1.3kg 左 平 均 は3.8 ± 1.5kgであった トレーニ ング 前 後 の 値 については 右 が- 2.5 ~ 3.8kg 左 は- 0.6 ~ 5.0kgの 変 化 があり 右 平 均 で1.2 ± 1.2kg 左 平 均 で1.0 ± 1.2kgの 向 上 が 認 められた ( 右 :p < 0.001, 左 :p < 0.01) 3.2.2 足 趾 把 持 力 について トレーニング 前 の 平 均 は 左 右 とも7.2 ± 3.3kg トレーニング 後 の 右 平 均 が8.2 ± 3.4kg 左 平 均 は8.5 ± 3.5kgであった トレーニング 前 後 の 値 については 右 が- 2.5kg~ 3.8kg 左 は- 0.8kg ~ 3.6kgの 変 化 があり 平 均 では 右 1.0 ± 1.4kg 左 1.3 ± 1.1 kg の 向 上 が 認 められた ( 右 :p < 0.01, 左 :p < 0.001) 3.2.3 足 趾 10 秒 テストについて トレーニング 前 の 右 の 平 均 は16.8 ± 6.5 回 左 平 均 が16.1 ± 6.1 回 トレーニング 後 の 右 平 均 が18.0 ± 4.7 回 左 平 均 は17.5 ± 4.6 回 であっ た トレーニング 前 後 の 値 については 右 -5~ 8 回 左 -3~8 回 の 変 化 があり 平 均 では 右 1.5 ± 3.1 回 左 が1.7 ± 2.8 回 の 増 加 を 認 めた ( 右 :p < 0.05, 左 :p < 0.05) 表 1 足 趾 挟 力 の 結 果 n= 19(kg) 右 左 トレーニング 前 3.1 ± 1.5 トレーニング 後 4.3 ± 1.3 *** 2.8 ± 1.3 3.8 ± 1.5 ** データは 平 均 ± 標 準 偏 差 を 示 し 2 群 間 の 比 較 にはt 検 定 を 用 いた (**:p< 0.01 ***:p< 0.001) 表 2 足 趾 把 持 力 の 結 果 n= 19(kg) 右 左 トレーニング 前 7.2 ± 3.3 トレーニング 後 8.2 ± 3.4 ** 7.2 ± 3.3 8.5 ± 3.5 *** データは 平 均 ± 標 準 偏 差 を 示 し 2 群 間 の 比 較 にはt 検 定 を 用 いた (**:p< 0.01 ***:p< 0.001) 39
10 1 2015 表 3 足 趾 10 秒 テストの 結 果 n= 19( 回 ) 右 左 トレーニング 前 16.8 ± 6.5 トレーニング 後 18.0 ± 4.7 * 16.1 ± 6.1 17.5 ± 4.6 * データは 平 均 ± 標 準 偏 差 を 示 し 2 群 間 の 比 較 にはt 検 定 を 用 いた (*:p< 0.05) 4. 考 察 足 趾 の 動 きは 屈 伸 のほかに 開 張 運 動 がある 15) 開 張 運 動 は 巧 緻 性 に 関 連 する 足 趾 じゃんけん 動 作 8) などで 評 価 できるが 長 谷 川 らの 調 査 において は 健 常 成 人 においても 機 能 低 下 群 が42% に 認 め られるという 報 告 がある これはこの 動 作 が 困 難 であることを 示 しており このことから 対 象 者 によっては 開 張 運 動 を 取 り 入 れたトレーニングは 難 易 度 が 高 いと 推 測 される そこで 今 回 は 屈 伸 運 動 をトレーニングとし 足 趾 挟 力 と 足 趾 把 持 力 足 趾 10 秒 テストを 用 いて 効 果 の 検 証 を 行 った 短 期 間 のトレーニングであったにもかかわらず すべての 項 目 において 結 果 が 向 上 していることか ら 足 趾 の 主 となる 動 きであるとともに 簡 単 な 底 背 屈 運 動 すなわち 屈 伸 運 動 でも 効 果 が 得 られる といえる 今 回 の 協 力 者 は 平 均 年 齢 が20.6 歳 の 健 常 女 性 であり 対 象 には 偏 りがあるが この 年 代 の 女 性 の 基 準 値 は 足 趾 挟 力 が1.7 ~ 3.3kg 足 趾 把 持 力 が 3.1 ~ 9.7kg 足 趾 10 秒 テストは9.7 ~ 22.7 回 と なっており 16) トレーニング 前 は 全 員 が 平 均 的 な 足 趾 力 を 認 めた 調 査 した3 項 目 は 足 趾 の 動 き に 関 連 する 筋 群 と 足 底 部 のアーチの 保 持 に 関 連 す る 筋 群 の 動 きを 表 している これらは 立 位 の 際 地 面 をしっかりと 把 持 することでバランスを 保 ち 歩 行 時 には 初 期 接 地 の 際 の 衝 撃 吸 収 荷 重 の 受 け 継 ぎ さらには 単 脚 支 持 の 役 割 に 関 与 してい る 今 回 の 結 果 ではトレーニング 後 にこれらの 筋 力 が 向 上 していることが 示 されており この 状 態 が 維 持 できれば 歩 幅 の 調 整 や 重 心 のコントロール が 容 易 になるため 歩 容 が 安 定 し 歩 行 の 際 の 転 倒 予 防 にもつながることが 予 測 される 足 趾 力 としては 平 均 的 ではあるが 足 趾 挟 力 測 定 で 用 いた ちぇっかーくん の 判 定 結 果 に 従 い 測 定 結 果 を 分 類 したところ トレーニング 前 の 約 半 数 が 下 肢 筋 力 および 足 部 機 能 低 下 あり という 現 状 であった 今 回 対 象 者 の 生 活 背 景 に ついて 調 査 は 行 っていないが 調 査 協 力 者 が 在 住 する 県 の1 世 帯 当 たりの 自 動 車 保 有 台 数 は 1.76 台 となっており 全 国 でもトップレベルである 17) 自 動 車 は 通 勤 や 買 い 物 に 多 く 用 いられ 歩 行 時 間 の 減 少 が 下 肢 筋 力 を 低 下 させる 要 因 となっている と 推 察 できる また 近 年 若 者 の 履 物 の 傾 向 と してはクロックスなどのスリッパ 様 式 やヒールが 高 く 先 端 が 細 いものが 多 く これらが 歩 容 やバ ランスに 影 響 を 及 ぼすことも 指 摘 されている 18)~ 21) 年 齢 に 関 わらず 生 活 習 慣 や 運 動 器 の 障 害 は ロコモティブシンドロームを 引 き 起 こすとされて おり 22) 今 回 の 結 果 から 対 象 者 は 足 趾 力 が 低 下 し やすい 状 況 すなわち 予 備 軍 であったと 推 測 され る 足 趾 屈 伸 の 動 きは 握 りこみ 動 作 と 類 似 してい るが 日 常 生 活 ではあまり 必 要 としない トレー ニングの 結 果 80 ~ 90% が 下 肢 機 能 及 び 足 部 機 能 良 好 に 変 化 した このことからトレーニン グとして 意 識 的 に 行 うことで 足 趾 力 が 向 上 すると 言 え 移 動 に 関 連 する 運 動 機 能 の 維 持 向 上 のため には 入 院 患 者 を 対 象 とするばかりではなく 健 康 な 時 から 意 識 して 対 処 することも 重 要 であると 考 えられた また 先 行 研 究 において タオルギャザーを 用 い た 足 趾 把 持 力 トレーニングの 効 果 は3 週 間 で 生 じ たと 報 告 されている 12) この 際 1 日 20 回 の 運 動 を10 分 程 度 かけて 実 施 し 週 4 回 の 頻 度 で 行 い 約 3kgの 増 加 がみられている 今 回 の 調 査 では 足 趾 の 屈 伸 運 動 を 左 右 各 20 回 ずつ1 日 1 回 1 週 間 継 続 し 平 均 1.3kgとなった トレーニン グの 量 が 異 なるため 単 純 に 比 較 はできないが 安 静 臥 床 の 患 者 を 対 象 とした 時 には 少 しでも 負 担 が 少 ないトレーニングであることが 望 ましい ま た 一 度 獲 得 した 力 は 訓 練 中 止 後 も3ヶ 月 後 も 維 持 されている 9) と 報 告 されており さらなる 検 討 が 必 要 ではないかと 考 えられた 本 研 究 は 協 力 者 全 員 が 健 常 成 人 の 女 性 であるこ とから 結 果 の 解 釈 には 限 界 がある したがって 今 後 は 対 象 の 属 性 による 相 違 なども 考 慮 し 調 査 を 進 め 有 効 なトレーニングを 構 築 していきた い 5. 結 論 本 研 究 の 目 的 は 足 趾 の 動 きに 類 似 したトレーニ ングによる 効 果 の 検 証 を 行 うことであった その 結 果 以 下 のことが 明 らかになった 足 趾 力 強 化 トレーニングとして 容 易 に 実 施 でき る 方 法 である 足 趾 の 屈 伸 運 動 を 取 り 入 れるため 40
に 足 趾 挟 力 足 趾 把 持 力 足 趾 10 秒 テストを 用 いて それらの 効 果 を 検 証 した その 結 果 3 項 目 全 てにおいて 測 定 値 の 向 上 が 認 められ ト レーニングとしての 有 用 性 が 示 唆 された 謝 辞 本 研 究 を 行 うにあたり ご 協 力 いただいた 研 究 協 力 者 の 皆 様 に 深 く 感 謝 いたします 引 用 文 献 1) 黒 澤 尚, 青 木 きよ 子 編,(2010): 新 体 系 看 護 学 全 集 25 成 人 看 護 学 12 運 動 器, メヂカ ルフレンド 社, p2. 2) 冨 重 佐 智 子 編 (2008):ナーシンググラフィ カ 14 健 康 の 回 復 と 看 護 - 運 動 機 能 障 害, メディカ 出 版, pp11-21, pp138. 3) 宮 本 まゆみ, 内 田 宏 美 (2009): 転 倒 予 防 に 関 する 研 究 の 動 向 と 看 護 分 野 における 今 後 の 課 題, 島 根 大 学 医 学 部 紀 要, 32, 22-23. 4) 佐 々 木 諒 平 (2010): 足 趾 機 能 がバランス 能 力 に 与 える 影 響 について, 理 学 療 法 臨 床 研 究 教 育, 17, 14-17. 5) 加 辺 憲 人, 黒 澤 和 生, 西 田 裕 介 他 (2002): 足 趾 が 動 的 姿 勢 制 御 に 果 たす 役 割 に 関 する 研 究, 理 学 療 法 科 学, 17, 199-204. 6) 竹 井 和 人, 村 田 伸, 甲 斐 義 浩 (2009): 足 趾 機 能 と 静 的 動 的 バランスとの 関 連 内 容 的 妥 当 性 の 検 討, 西 九 州 リハビリテーション 研 究, 2, 13-19. 7) 堀 順, 高 橋 仁, 上 久 保 毅, 安 保 雅 博 (2008): 不 安 定 面 上 における 姿 勢 制 御 と 足 趾 把 持 力 お よび 足 部 柔 軟 性 との 関 係, 日 本 私 立 医 科 大 学 理 学 療 法 学 会 誌, 25, 105-108. 8) 長 谷 川 正 哉, 金 井 秀 作, 坂 口 顕, 石 倉 隆, 陣 之 内 将 志, 沖 貞 明, 大 塚 彰 (2006): 足 趾 機 能 が 歩 行 に 与 える 影 響, 理 学 療 法 の 臨 床 と 研 究, 15, 53-56. 9) 井 原 秀 俊, 三 輪 恵, 石 原 敏 郎 他 (1997): 足 指 訓 練 の 持 続 効 果 訓 練 中 止 3ヶ 月 後 の 検 討, 整 形 外 科 と 災 害 外 科, 46, 393-397. 10) 木 藤 伸 宏, 井 原 秀 俊, 三 輪 恵 他 (2001): 高 齢 者 の 転 倒 予 防 としての 足 指 トレーニングの 効 果, 理 学 療 法 学, 28, 313-319. 11) 金 子 諒, 藤 澤 真 平, 佐 々 木 誠 (2009): 足 趾 把 持 トレーニングが 最 大 歩 行 時 の 床 反 力 に 及 ぼす 影 響, 理 学 療 法 学, 24, 411-416. 12) 竹 井 和 人, 村 田 伸, 甲 斐 義 浩 他 (2011): 足 把 持 トレーニングの 効 果, 理 学 療 法 学, 26, 79-81. 13) 城 下 貴 司, 福 林 徹 (2012): 足 趾 エクササイ ズが 足 内 側 縦 アーチに 及 ぼす 影 響 について, 理 学 療 法 学, 27, 397-400. 14) 相 馬 正 之, 五 十 嵐 健 文, 工 藤 渉 他 (2012): 足 把 持 力 トレーニングがFunctional Reach Test や 最 大 1 歩 幅 歩 行 能 力 に 与 える 影 響 について, ヘルスプロモーション 理 学 療 法 研 究, 2, 59-63. 15) 山 崎 正 信 編 (1999): 足 の 事 典, 朝 倉 書 店, pp106-109, pp10-11. 16) 本 江 恭 子, 金 森 昌 彦, 長 谷 奈 緒 美 他 (2012): 看 護 フィジカルアセスメントにおける 足 趾 力 評 価 の 意 義 ( 第 1 報 )- 健 常 人 を 対 象 とし た 基 準 値 の 設 定 -, 富 山 大 学 看 護 学 会 誌, 12, 101-110. 17) 国 土 交 通 省 北 陸 信 越 運 輸 局 富 山 運 輸 支 局 ホ ー ム ペ ー ジ:http://wwwtb.mlit.go.jp/ hokushin/toyama/index.shtml 18) 齋 藤 誠 二, 田 中 翔 子, 松 本 和 也 他 (2012): スリッパの 着 用 が 歩 容 に 与 える 影 響, 人 間 工 学, 48, 266-273. 19) 尾 崎 英 美, 會 田 信 子, 杉 浦 伸 一 他 (2011): 履 物 の 相 違 が 歩 行 動 作 に 与 える 影 響, 日 本 看 護 医 療 学 会 雑 誌, 13, 56-65. 20) 元 重 悠 子, 會 田 信 子 (2011): 履 物 の 種 類 に よる 静 的 動 的 重 心 動 揺 の 相 違 に 関 する 基 礎 的 研 究, 日 本 看 護 医 療 学 会 雑 誌, 13, 42-49. 21) 金 井 章, 今 泉 史 生, 後 藤 寛 司 他 (2012):ハイ ヒール 運 動 靴 の 歩 行 に 及 ぼす 影 響 についての 検 討, 臨 床 バイオメカニクス, 33, 337-341. 22) 日 本 整 形 外 科 学 会 ホームページ:https:// www.joa.or.jp/jp/index.html 41
10 1 2015 Effects of trainings on the toe s function Naomi Nagatani 1),Hiroko Washizuka 2), Miyoko Sakai 1),Masahiko Kanamori 3) 1)Department of Nursing, Toyama College of Welfare Science 2)Graduate School of Medicine and Pharmaceutical Sciences for Education, University of Toyama 3)Graduate School of Medicine and Pharmaceutical Sciences for Research, University of Toyama Abstract This study aimed to invent simple and easy exercises that would help improve toe function. An experiment was conducted with twenty subjects; all adult women in good health. All subjects performed bending and stretching exercises of the right and left toes twenty times once a day for one week. Toe gap force, gripping force of the toes, and the ten-second toe test were performed by each subject before and after the exercise. The results of these tests show the following improvements after the exercise. 1. Toe-gap force: 1.2 ± 1.2 kg for toes of both feet (right toes: p < 0.001, left toes:p < 0.01). 2. Gripping force of the toes: 1.0 ± 1.4 kg for the right toes and 1.3 ± 1.1 kg for the left toes. (right toes: p < 0.001, left toes:p < 0.01) 3. Ten-second toe test: 1.5 ± 3.1 times in the right toes and 1.7 ± 2.8 times in the left toes. (right toes: p <0.05, left toes: p <0.05) From the results, we conclude that the exercise was effective in improving the function and strength of the toes. Key words: toe s function, bending and stretching of toes, training effects 42