第 5 回 IIST 国 際 情 勢 研 究 会 2010 年 10 月 22 日 報 告 2/ 米 中 間 選 挙 とオバマ 政 権 の 今 後 久 保 文 明 (くぼ ふみあき) 東 京 大 学 大 学 院 法 学 政 治 学 研 究 科 教 授 国 際 情 勢 研 究 会 座 長 1. これまでのオバマ 政 権 への 評 価 今 日 は 米 国 のオバマ 政 権 の 成 果 や 現 在 の 政 治 的 な 状 況 そして 中 間 選 挙 の 見 込 みや 選 挙 後 にどのようなことが 考 えられるかといった 点 について お 話 ししたい 内 政 中 心 だが 外 交 にも 触 れる 形 で 進 めていく オバマ 政 権 発 足 から 1 年 9 ヵ 月 ほど 経 過 したが 評 価 するには あまりにも 短 い 期 間 だという 見 方 もあるだろう しかし 日 本 の 政 権 は 1 年 続 くことは 尐 な く そう 考 えると 評 価 するにはそれほど 短 くないタイムスパンかと 思 う オバマ 政 権 を 歴 代 の 政 権 と 比 べることは 客 観 的 には 難 しいが 感 覚 的 に 言 うと 実 はか なり 大 きな 成 果 を 挙 げたと 見 て 良 いと 思 う アメリカでは 景 気 刺 激 策 がなかなか 議 会 を 通 ら ないという 政 治 的 な 体 質 があり オバマ 政 権 による 追 加 的 な 景 気 刺 激 策 も おそらく 通 らな いだろう アメリカではやはり 共 和 党 の 影 響 力 そして 小 さな 政 府 という 考 え 方 が 強 いの で こういった 政 策 は 容 易 には 通 らない したがって 今 回 7870 億 ドル(72 兆 円 ) 規 模 の 超 大 型 景 気 刺 激 策 が 通 ったことは かなり 奇 跡 に 近 いと 思 う 当 時 でも 5000 億 ドル 程 度 の 財 政 赤 字 があったので 通 常 の 政 治 の 論 理 では そのようなことをしている 場 合 ではない 赤 字 を 減 らせ という 方 向 へ 行 く ただ 2009 年 1 2 月 の 時 点 にはまだ 景 気 落 ち 込 みの 底 が どこであるかわからない という 恐 怖 感 がアメリカを 覆 っており そのような 中 で 民 主 党 の 議 員 が 何 とか 結 束 して 通 した それでも 上 院 では 共 和 党 議 員 の 協 力 が 必 要 だった 民 主 党 下 院 議 員 が 255 人 おり オバマ 大 統 領 の 支 持 率 がまだ 70% 近 くあったころだが 11 人 の 民 主 党 下 院 議 員 が 反 対 投 票 をしている そういうときですら 実 は 民 主 党 は 下 院 で 結 束 できて いなかったといえる そして 特 にその 段 階 で 議 会 の 立 法 は 必 要 としなかったが 金 融 機 関 自 動 車 産 業 の 救 済 も 行 われた またオバマ 成 功 の 特 に 大 きな 成 果 としては 健 康 保 険 改 革 法 案 の 成 立 が 挙 げら れる これについては クリントン 政 権 が 全 力 を 挙 げたにもかかわらず 失 敗 しており 古 く は 100 年 ほど 前 にセオドア ルーズベルトが 提 唱 した その 後 フランクリン ルーズベル ト 以 降 の 民 主 党 大 統 領 が 実 現 しようとして ずっとできなかったことなので そういう 意 味 ではアメリカの 特 に 民 主 党 リベラル 派 の 考 え 方 からすると 懸 案 だった したがって これ を 通 したことは 歴 史 的 な 成 果 だといえる さらに 金 融 改 革 法 の 成 立 があり これは 緩 和 の 方 向 へ 向 かっていた 従 来 の 金 融 規 制 の 流 れを 転 換 するもので 非 常 に 重 要 な 法 律 になるだろう 一 方 外 交 というのはそう 簡 単 に 成 果 が 出 るものではないが 米 ロ 新 戦 略 兵 器 削 減 条 約 そしてイラク 撤 退 がある あるいはアフガン 増 派 などについても 一 応 公 約 したことは 達 成 したといえるだろう アメリカというのは 議 院 内 閣 制 とは 異 なり 与 党 が 多 数 であっても 1
なかなか 法 律 が 通 らない 体 質 がある そういう 中 ではかなり 法 律 が 通 り 成 果 が 上 がってい る 方 ではないか ただ オバマ 大 統 領 の 評 価 については あまり 芳 しくない 現 在 の 支 持 率 は 低 いもので 43% 高 いもので 48%となっており 平 均 では 44~45% 程 度 だ 当 初 の 支 持 率 約 70%から 1 年 10 ヵ 月 でここまで 落 ちた これについては まあまあ という 見 方 もできるかもしれな いが オバマ 大 統 領 にとってとにかく 痛 いのは やはり 長 引 く 景 気 低 迷 だ 回 復 局 面 にある とはいえ 失 業 率 は 依 然 として 9.6~9.7%になっている そしてこれも 痛 いのだが 超 大 型 の 景 気 刺 激 策 や 健 康 保 険 改 革 のようなオバマ 大 統 領 としては 誇 りたい 業 績 について 世 論 調 査 を 行 うと むしろマイナスの 意 見 が 多 く ない 方 が 良 かった と 考 えている 人 が 多 い した がって 頑 張 れば 頑 張 るほど 評 価 が 低 くなるといった 構 図 ができてしまっている ただ そ れ 以 外 の 要 素 もあると 思 い それらを 尐 しミクロな 側 面 と 尐 し 長 期 的 な 側 面 に 分 けて 見 てい きたい 2. 支 持 率 の 低 迷 イデオロギー 的 な 分 極 化 大 統 領 選 挙 年 に 見 る 政 府 への 信 頼 感 の 変 化 という 資 料 を 見 ると 1960 年 代 半 ばから 政 府 に 対 する 信 頼 がかなり 落 ちていることがわかる これは 大 統 領 の 支 持 率 を 構 造 的 に 下 げ る 傾 向 でもあり 大 統 領 が 選 出 されると 最 初 はご 祝 儀 相 場 で 支 持 率 が 高 くなるが すぐに 低 下 する アイゼンハワー 以 降 の 大 統 領 支 持 率 の 平 均 値 を 見 ると 1966 年 以 降 ジョンソン 大 統 領 の 支 持 率 が 下 がっており これはベトナム 戦 争 に 深 入 りしていったときでもあった そ してブッシュ 親 子 については 湾 岸 戦 争 や 米 同 時 多 発 テロ 事 件 (9.11)の 時 期 に 非 常 に 支 持 率 が 高 くなっている それらの 時 点 を 分 離 する 操 作 をした 上 で 比 較 してみると 1960 年 代 前 半 までの 大 統 領 は 比 較 的 高 い 支 持 率 を 維 持 していたが それ 以 降 は 国 家 的 な 危 機 がない 限 り どの 大 統 領 についても 支 持 率 が 低 迷 しがちだ これはおそらく 政 治 不 信 の 増 進 といったも のによって 説 明 できるのではないか 全 般 的 に 最 近 の 大 統 領 はそういう 意 味 で 苦 労 する 傾 向 があると 思 う そしてもう 1 つ 政 治 的 な 不 信 感 の 増 大 と 共 に アメリカ 政 治 の 顕 著 な 現 象 として イデ オロギー 的 な 分 極 化 が 指 摘 できる これは 1960 年 代 ごろから 進 んでいる アメリカでは 様 々 な 手 法 が 開 発 されているのだが 下 院 議 員 435 人 について 最 も 保 守 的 な 人 と 最 もリベラル な 人 を 並 べるということが よく 行 われている 民 主 党 の 人 は 大 体 リベラルな 方 に 入 り 共 和 党 が 保 守 に 入 るのだが 民 主 党 でも 保 守 の 人 がいたりすると 真 ん 中 辺 りで 民 主 党 と 共 和 党 が 入 り 混 じる その 重 なっている 議 員 の 数 をカウントすると 70 年 代 ごろがピークで 435 人 いる 下 院 議 員 のうち 80~90 人 程 度 が 重 なっていた ところが 最 近 はそのように 重 なり 合 う 議 員 が 2 人 3 人 1 人 という 感 じになり ほとんどいない つまり イデオロギー 的 に 民 主 党 の 議 員 がきれいに 左 に 並 び 共 和 党 の 議 員 がきれいに 右 に 並 び 重 なるのは 2 3 人 という 分 極 化 が 起 きている そして 有 権 者 レベルにおいても ある 程 度 同 様 のことが 起 きている 有 権 者 が 自 分 を 穏 健 派 と 見 るか 保 守 と 見 るか リベラルと 見 るか ということに 関 する 調 査 によると オ バマ 大 統 領 の 就 任 以 降 自 分 を 保 守 と 見 る 人 が 増 えているのがわかる 2009 年 1 月 のオバマ 大 統 領 就 任 当 初 は 共 和 党 の 保 守 派 もお 付 き 合 いで 35% 程 度 は 支 持 すると 言 っていたが 2
現 在 は 7 8 6%という 一 桁 の 数 字 になっている 他 方 民 主 党 左 派 の 間 では オバマ 大 統 領 のアフガニスタン 政 策 に 関 する 不 満 や 批 判 はあるものの 現 在 も 80% 以 上 が 確 固 として 支 持 を 続 けている しかし 無 党 派 そして 特 に 共 和 党 保 守 派 での 落 ち 込 みが 大 きい オバマ 大 統 領 は アメリカの 保 守 リベラルのイデオロギー 的 な 壁 を 取 り 払 う アメリ カを 1 つにまとめる 我 々は United States of America だ と 言 っていたが その 公 約 と は 裏 腹 に ある 意 味 で 民 主 党 支 持 者 と 共 和 党 支 持 者 の 分 極 化 を 最 も 促 進 する 大 統 領 になっ てしまった これについては 政 治 不 信 が 一 方 にあり イデオロギー 的 な 分 極 化 が 進 んでいる ということだ つまり 民 主 党 の 大 統 領 で 民 主 党 の 支 持 基 盤 の 要 求 に 応 えなければ 民 主 党 支 持 者 は 納 得 しない しかし 何 かをすれば 必 ず 共 和 党 支 持 者 は 離 れていく このような 分 極 化 の 現 象 に 関 しては ブッシュ 大 統 領 のときには 全 く 逆 の 形 だった つま り 当 時 は 共 和 党 保 守 が 何 があっても 80%ぐらい 大 統 領 を 支 持 し 民 主 党 リベラル 派 は 5% ぐらいしか 支 持 していないという 形 だった このように 対 照 的 な 形 ではあれ 分 極 化 は 構 造 的 なものになっている ただブッシュ 大 統 領 については 2006 年 ごろ ハリケーン カトリー ナの 問 題 やイラク 問 題 などによって ある 段 階 から 共 和 党 支 持 者 の 支 持 が 落 ちてきた それ が 致 命 的 で 全 体 の 支 持 率 は 30%を 切 った オバマ 大 統 領 については 現 在 民 主 党 支 持 者 の 支 持 率 は 80% 程 度 だが これが 60%ぐらいに 落 ちてくると 全 体 の 支 持 率 も 40%を 割 り 35% 程 度 になってくると 思 う オバマ 大 統 領 を 弁 護 するために 言 っているのではないが こ のようにかなり 長 期 的 な 傾 向 があり さらに 景 気 後 退 もある 尐 し 戦 術 的 な 側 面 についてお 話 しすると オバマ 大 統 領 は 健 康 保 険 を 通 す 皆 保 険 制 度 を 実 現 するということに ややこだわり 過 ぎてしまった 2009 年 6 月 ごろから 本 腰 を 入 れ 当 初 は 3~4 ヵ 月 で 通 るだろうという 期 待 もあったようだが 結 局 2010 年 3 月 までかかってし まった その 間 に Tea Party といわれる 保 守 派 の 運 動 が 盛 り 上 がり 世 論 のレベルでも オ バマ 大 統 領 は 雇 用 にはあまり 関 心 がないようだ 健 康 保 険 のことばかりやろうとしてい る 民 主 党 左 派 のアジェンダにばかりこだわり 国 民 の 関 心 である 失 業 対 策 に 関 心 を 払 っ てくれない などといわれるようになった そして 保 守 系 共 和 党 系 Tea Party のグルー プのメッセージは オバマ 政 権 は 大 型 景 気 対 策 で 政 府 を 大 きくし 財 政 赤 字 を 膨 らませ 大 型 金 融 機 関 を 国 有 化 している というものだった さらに アメリカ 全 体 を 社 会 主 義 へ 持 っ ていき 国 民 健 康 保 険 で 健 康 保 険 ビジネスも 政 府 の 管 理 下 に 入 れ 社 会 主 義 を 完 成 させよう としている という 批 判 がなされるようになった このようにオバマ 大 統 領 に 対 する 社 会 主 義 批 判 が 現 在 強 烈 に 行 われている アメリカはおそらく 世 界 の 主 な 国 々の 中 で 中 国 を 除 けば 最 も 社 会 主 義 的 でない 国 だと 思 う 中 国 については 個 人 所 得 税 がないため アメリカの 共 和 党 リバタリアンの 人 たちは 中 国 は 素 晴 らしい 見 習 え と 言 っている しかし 現 在 のアメリカでは オバマは 社 会 主 義 者 だ アメリカは 社 会 主 義 に 向 かっている という 言 葉 が ほぼ 毎 日 使 われてい る このような 形 で 批 判 される 結 果 になってしまったことの 背 景 には オバマ 大 統 領 の 戦 略 の 誤 りがあったという 気 がする もう 尐 し 大 きく 言 うと オバマ 大 統 領 にはおそらく 大 統 領 選 での 勝 ち 方 に 関 して 尐 し 過 信 があった 米 国 政 治 学 の 研 究 では 大 統 領 がどれだけの 実 績 を 残 せるかについては 初 発 の 条 件 でかなり 決 まるという 議 論 がある これはかなり 当 たると 思 う つまりどのくらい 圧 勝 できるか そしてどのくらい 議 会 で 自 分 の 政 党 が 議 席 を 持 てるかが 重 要 になる オバマ 大 3
統 領 のマケイン 候 補 に 対 する 勝 ち 方 を 見 ると 53% 対 46%で 民 主 党 候 補 で 50%を 超 えた のは リンドン ジョンソン 以 来 だった これについてはたいしたものだが 50% 台 の 後 半 に 行 く 勝 ち 方 ではなかった そして 民 主 党 の 議 席 は 一 時 上 院 で 100 分 の 60 になり 下 院 では 435 のうち 255 ぐらいになった しかしそれではやはり 政 権 が 思 うような 法 律 を 通 す には 不 十 分 だと 思 う これについては アメリカでは 与 党 の 議 員 もなかなか 言 うことを 聞 い てくれないという 構 造 的 な 問 題 がある これまで かなり 思 うように 法 律 が 通 ったのは 1913 年 のウッドロウ ウィルソン そして 1933 年 のフランクリン ルーズベルト 1965 年 のリ ンドン ジョンソンのときに 限 られ 大 体 その 1 2 年 だった 与 党 の 議 席 が 野 党 の 議 席 の 倍 ぐらいあれば 法 案 はかなり 通 る しかし そういった 条 件 を 考 えると オバマ 大 統 領 の 勝 ち 方 はそれほど 圧 勝 ではなかった オバマ 大 統 領 はまた 危 機 の 雰 囲 気 をやや 過 大 視 したと 思 う この 危 機 の 雰 囲 気 の 中 で 自 分 の 高 い 支 持 率 があれば 国 民 はついてくる 自 分 の 説 得 能 力 演 説 能 力 は 素 晴 らしいと 思 い かなり 過 信 してしまったのだろう そして 様 々な 大 型 のアジェンダに 次 から 次 へと 手 をつ けていった 環 境 エネルギーに 手 をつけ 国 民 健 康 保 険 をやろうとしたが 結 局 それらを 議 会 が 消 化 し 切 れなかった その 間 に 国 民 の 評 価 も どうもあまり 雇 用 には 関 心 がないようだ という 形 で 離 れていってしまったということかと 思 う 3. 中 間 選 挙 の 予 測 Tea Party 中 間 選 挙 については The Cook Political Report による 上 院 下 院 州 知 事 についての 現 状 と 予 想 を 見 ると 上 院 では 現 在 民 主 党 が 57 の 議 席 を 持 っており 無 所 属 が 2 で これは 一 応 民 主 党 系 だ そして 共 和 党 が 41 なので 41 対 59 という 勢 力 図 になっている そして 非 改 選 の 議 員 が 3 分 の 2 程 度 なので 残 り 3 分 の 1 でどう 動 くかということだ 現 在 のところ 上 院 はおそらく 民 主 党 が 50 対 50 ないしは 51 対 49 で 何 とか 踏 みとどまるのではないかとい う 予 想 が 多 い ただ 風 向 き 次 第 では ひっくり 返 る 可 能 性 もある 下 院 は 現 在 255 対 178 で 欠 員 がおそらく 2 だと 思 う そして 218 が 過 半 数 で 現 状 では かなり 民 主 党 に 苦 しい 戦 いだ 現 在 の 勢 いでは おそらく 7 対 3 ぐらいの 割 合 で 共 和 党 が 勝 つのではないか 日 本 でもそうだが 風 が 吹 くときにはかなり 極 端 な 方 へ 行 くので 47 分 の 40 などということもありうる おそらく 多 くの 専 門 家 は 共 和 党 が 下 院 で 多 数 になる 可 能 性 が 高 いとみている 州 知 事 についても かなり 共 和 党 が 伸 ばすことが 予 想 される アメリカ では 州 知 事 を 持 つと 連 邦 下 院 の 選 挙 区 の 区 割 りに 関 する 権 限 をかなり 持 てる 人 種 によっ てかなり 投 票 パターンが 異 なるため この 選 挙 区 をどのように 引 くかによって 民 主 党 が 有 利 か 共 和 党 が 有 利 かが 異 なってくる したがって 州 知 事 を 持 てば これに 10 年 間 影 響 を 及 ぼすことができることになる 今 回 改 選 になるすべての 議 席 の 予 想 を 見 ると かなり 共 和 党 に 有 利 な 戦 いだとわかる 下 院 についても 民 主 党 がかなり 苦 戦 している 先 ほどオバマ 大 統 領 の 現 在 の 支 持 率 は 44~45%が 平 均 値 だと 言 ったが 一 般 的 に 民 主 党 共 和 党 のどちらに 投 票 するかと 聞 いた 場 合 共 和 党 の 方 が 10% 程 度 上 回 っており これだけ 差 がつくのは 珍 しいことだ 1994 年 に 大 きな 変 化 が 起 きたが それに 次 ぐ あるいはそれを 上 回 る 変 化 が 起 きるのではないかといわれている こういった 変 化 をもたらしている 1 つの 大 きな 要 素 が Tea Party と 呼 ばれるものなので これについてお 話 しし その 後 に 中 間 選 4
挙 後 の 見 通 しについてお 話 ししたい Tea Party というのは 政 党 ではなく ボストン Tea Party を 文 字 ってできた 保 守 系 の 特 にリバタリアンという 税 金 大 きな 政 府 に 反 対 する 人 たちが 中 心 の 運 動 だ これまであまり 政 治 に 関 与 したことがない 人 たちも かなり 入 っている 運 動 のときには 植 民 地 時 代 のアメ リカ 人 が 着 ていた 服 を 着 たり ガラガラヘビを 使 ったりしている これは 自 分 たちを 踏 み つけるな という 意 味 だという また Tea Party の Tea は tax と enough already を 意 味 するともいわれる オバマ 政 権 発 足 後 散 発 的 自 発 的 に 沸 き 上 がった 運 動 で 全 国 組 織 や カリスマ 的 指 導 者 などはあまりなく 全 国 でネットを 使 っている そして 具 体 的 には 共 和 党 の 予 備 選 挙 でこの 人 たちが 投 票 して かなり 番 狂 わせを 演 じている つまり 共 和 党 の 本 命 と 思 われた 人 を 負 かし Tea Party 系 の 無 名 の 人 を 当 選 させたりしている とりあえず 共 和 党 の 追 い 風 になるのだが 例 えば Tea Party の 人 が 共 和 党 をどう 見 ている かというと 結 構 反 共 和 党 (アンタイリパブリカン)であり また 反 現 職 (アンタイイン カンベント)でもある また 9 月 半 ばごろの 世 論 調 査 結 果 を 見 ると 議 会 共 和 党 と 議 会 民 主 党 のどちらを 評 価 するかという 問 いでは 実 は 議 会 共 和 党 の 方 が 低 い 評 価 になっている そ して 基 本 的 にすべての 議 員 に 対 して 不 信 感 を 持 っており まさに 政 治 不 信 で 多 くの 議 員 が 交 代 する 時 期 だ ということに 同 意 する 人 が 有 権 者 の 78%いる また 共 和 党 について 好 印 象 か 悪 印 象 か という 問 いでは 悪 印 象 と 答 える 人 が 一 般 有 権 者 では 多 い 一 方 民 主 党 は 45 対 48 で つまり 相 対 的 には 民 主 党 の 方 が 良 い 印 象 をもたれている ただ 選 挙 では お そらく 別 の 結 果 になるだろう そしてオバマ 大 統 領 が 11 月 の 中 間 選 挙 でどのような 意 味 を 持 つかについては オバマ 大 統 領 に 反 対 するため という 人 が 25%で オバマ 大 統 領 が 明 確 なプランを 持 つ と 思 う 人 は 39%になっている 共 和 党 については 自 ら 得 点 を 稼 いでいる 訳 ではなく オバマ 不 信 の 中 で 一 定 の 得 点 を 上 げている 状 況 だ ただ 共 和 党 は 現 職 不 信 や 政 治 不 信 の 矛 先 にもなって おり ややそこがジレンマになるだろう 国 の 問 題 を 解 決 するのに 良 いアイディアを 持 って いるのは 共 和 党 か 民 主 党 か という 問 いでは 実 は 民 主 党 の 方 が 勝 っている そして 経 済 好 転 に 貢 献 しているのはオバマか 議 会 共 和 党 か という 問 いでも 共 和 党 はあまり 良 いス コアを 上 げていない このように 共 和 党 への 支 持 は あまり 積 極 的 なものではないといえ る Tea Party 運 動 の 支 持 者 については 大 体 有 権 者 の 19%という 数 字 が 出 ているが 他 の 世 論 調 査 では 25 30%という 数 字 が 出 る 場 合 もある Tea Party では 全 体 的 に 外 交 は 全 く 知 らない 候 補 者 が 多 く 国 連 などない 方 が 良 い と 思 っている 人 が 多 い また 教 育 省 や 商 務 省 をつぶす という 人 もかなりいる そして 大 きな 政 府 には 徹 底 的 に 反 対 だ 例 えば 2008 年 の 金 融 危 機 でどのようにすれば 良 かったか と 聞 くと 非 常 にはっきりしており 10 人 の うち おそらく 10 人 ないし 9 人 が 何 もしないのが 一 番 だった と 答 える そのように 正 面 から 言 う 人 が 圧 倒 的 に 多 いのが アメリカの 保 守 の 特 徴 だと 思 う 今 後 仮 に 下 院 で 共 和 党 が 多 数 党 になるとすれば 民 主 党 のアジェンダは 現 在 も 議 会 をな かなか 通 らないため 全 く 通 らないことになると 思 う アメリカの 場 合 中 間 選 挙 で 議 会 の 多 数 派 が 入 れ 替 わることは 日 本 の 参 議 院 選 挙 よりも 大 きな 意 味 を 持 つ 大 統 領 が 代 わるよ うなことにはならないが 法 案 を 提 出 して 作 成 することは 予 算 も 含 め すべて 議 会 の 権 限 だ したがって 仮 に 議 会 の 多 数 派 が さらに 上 院 でも 共 和 党 になれば 共 和 党 が 予 算 案 を 作 5
成 し 制 定 することになる そのとき 共 和 党 がどれだけ 統 治 できるか まとまることができ るかが 大 きな 課 題 となる 今 回 その 点 で 注 目 に 値 するのは 下 院 そして 特 に 上 院 でも Tea Party 系 の 候 補 者 が 共 和 党 の 公 認 になることにかなり 成 功 していることだ 彼 らの 中 には 共 和 党 の 時 には 妥 協 も 必 要 だ という 考 え 方 に 反 対 する 人 が 多 く 徹 底 的 に 自 分 たちのイデオロギーを 貫 き 通 そ うとするだろう そうなると かなり 極 端 な 予 算 案 ができることも 予 想 される オバマ 大 統 領 からすれば それはひょっとすると 政 治 的 に 復 活 するチャンスになるかもしれない つ まりそれに 対 して 拒 否 権 を 発 動 することで 自 分 のイメージを 相 対 的 に 国 民 の 生 活 を 守 る 大 統 領 として 定 義 できるかもしれない ただ そこまで 行 くかどうかわからない しかし 共 和 党 が 多 数 党 になったとしても まとまるのは 相 当 大 変 だといえる 実 はこれは 1994 年 の 中 間 選 挙 で 40 年 ぶりに 共 和 党 が 多 数 派 になった 後 に 起 きたことだ クリントン 大 統 領 は 94 年 の 中 間 選 挙 で 負 け 多 くの 人 が 再 選 はもうない と 思 ったが 多 数 党 になった 共 和 党 が 尐 し 乱 暴 にやり 過 ぎ 結 局 世 論 の 支 持 を 失 った クリントンはそれ に 対 し 拒 否 権 を 発 動 する 中 で 支 持 率 を 上 げていったという 経 緯 がある これについては おそらく 共 和 党 も 気 をつけなければならないと 思 っているだろう ただ Tea Party は あまりそのようなことを 考 える 人 たちではなく 猪 突 猛 進 に 行 くと 思 う したがって かなり 荒 れる 議 会 と 大 統 領 の 関 係 ということになるのではないか またこ のプロセスでやはり 非 常 に 感 じたのは サラ ペーリンという 人 の 威 力 だ マケインと 共 に 立 候 補 していたときにも ペーリンの 横 にいるあのおじいさんは 誰 か あるいは ペーリ ンのランニング メイトは 誰 か と 聞 いている 人 がいるような 状 態 だった このように ペ ーリンの 方 がマケインよりも 圧 倒 的 に 人 気 があった そして 今 回 も ペーリンが 応 援 に 行 け ば 無 名 の 候 補 が 勝 ってしまうこともあった したがって ひょっとするとペーリンが 大 統 領 選 挙 に 立 候 補 するということも 考 えられる 共 和 党 内 で 票 のつぶし 合 い 取 り 合 いをする 中 で ペーリンが 出 れば 走 ってしまうという 可 能 性 もかなりある 外 交 では 特 に 日 米 関 係 などへの 直 接 の 影 響 はないと 思 うが 例 えば 米 ロ 核 合 意 などはまだ 批 准 が 行 われていない 民 主 党 の 議 席 が 大 幅 に 減 った 中 新 しい 議 会 でどの 程 度 批 准 が 進 むかだ 特 に Tea Party 系 の 人 たちは 世 界 秩 序 などにはあまり 興 味 がないので かなり 突 き 放 した 態 度 をとるかもしれない そういったところで 外 交 にもいずれ 様 々な 形 で 変 化 が 及 んでくると 思 われる ( 以 上 ) 敬 称 略 / 役 職 等 は 報 告 当 時 のものです 固 有 名 詞 等 の 表 記 は 報 告 者 によって 異 なる 場 合 があります 6