1 主 題 感 染 症 患 者 の 人 権 9 ウイルスはひとを 選 ばない 2 主 題 教 材 について 医 学 的 に 見 て 不 正 確 な 知 識 や 思 いこみによる 過 度 の 危 機 意 識 の 結 果 感 染 症 患 者 に 対 す る 偏 見 や 差 別 が 生 まれ 患 者 元 患 者 や 家 族 に 対 する 様 々な 人 権 問 題 が 生 じている 例 えば HIV 感 染 症 は その 感 染 経 路 が 特 定 している 上 感 染 力 もそれほど 強 いもので ないことから 正 しい 知 識 に 基 づいて 通 常 の 日 常 生 活 を 送 る 限 り いたずらに 感 染 を 恐 れ る 必 要 はない また 性 行 為 においては 適 切 な 予 防 を 行 うことで 感 染 を 防 ぐことができ る さらに 近 時 の 医 学 的 知 識 の 蓄 積 と 新 しい 治 療 薬 の 開 発 等 によって 後 天 性 免 疫 不 全 症 候 群 (AIDS)の 発 症 を 遅 らせたり 症 状 を 緩 和 させたりすることが 可 能 になってきてい る ハンセン 病 は らい 菌 による 感 染 症 であるが らい 菌 に 感 染 しただけでは 発 病 する 可 能 性 は 極 めて 低 く 発 病 した 場 合 であっても 現 在 では 治 療 方 法 が 確 立 している したがっ て ハンセン 病 患 者 を 隔 離 する 必 要 性 は 全 くないが 日 本 では 古 くから 施 設 入 所 を 強 制 する 隔 離 政 策 が 採 られてきた 経 緯 があり らい 予 防 法 の 廃 止 に 関 する 法 律 の 施 行 ( 平 成 8 年 )により 隔 離 政 策 が 終 了 した 後 も 療 養 所 入 所 者 の 多 くは 長 期 間 にわたる 隔 離 な どによって 家 族 や 親 族 などとの 関 係 を 絶 たれ また 入 所 者 自 身 の 高 齢 化 等 により 病 気 が 完 治 した 後 も 療 養 所 に 残 らざるを 得 ないなど 社 会 復 帰 が 困 難 な 状 況 にある 全 ての 人 が 自 分 らしく 生 きていくためには 感 染 症 を 予 防 しようとするとともに 感 染 者 や 感 染 症 患 者 に 対 して 偏 見 をもたず 差 別 をしない 態 度 を 養 うことが 必 要 である さらに 感 染 した 場 合 は 相 手 にうつさない 配 慮 をするとともに 自 身 の 健 康 の 回 復 や 症 状 の 緩 和 に 努 めることが 必 要 である そこで この 教 材 を 通 じて 感 染 症 についての 正 しい 知 識 を 身 に 付 けると 同 時 に 自 分 を 大 切 にするとともに 他 の 人 も 大 切 にしようとする 態 度 と 行 動 力 を 養 いたい また 世 界 人 権 宣 言 等 により 示 されている 普 遍 的 な 人 権 から 導 かれ 全 ての 人 に 平 等 に 保 障 されるべ きである 性 に 関 する 権 利 ( 性 の 健 康 世 界 学 会 採 択 )について 知 り さらには 感 染 者 や 感 染 症 患 者 等 に 対 して 人 権 を 尊 重 する 具 体 的 な 向 き 合 い 方 についての 考 えを 深 めさせ たい 3 ねらい 自 ら 感 染 症 を 予 防 しようとする 態 度 を 養 う 感 染 者 や 感 染 症 患 者 に 対 して 偏 見 をもたず 差 別 しない 態 度 を 身 に 付 ける 4 展 開 例 過 程 主 な 学 習 活 動 指 導 上 の 留 意 点 備 考 感 染 症 に 関 する 人 権 問 題 について 考 えよう 導 入 感 染 症 に 関 する 人 権 問 題 に ハンセン 病 患 者 に 対 する 国 の 隔 離 政 策 や 周 りの 人 ついて 学 習 することを 意 識 々による 元 患 者 や 家 族 への 厳 しい 差 別 近 年 も する O157や 新 型 インフルエンザウイルスに 関 して 偏 見 や 差 別 が 生 じた 事 実 等 を 知 らせ 誰 にもかかわ りのある 問 題 であると 認 識 させる 感 染 症 ついて 正 しく 理 解 しよう 展 本 文 (P.34)を 読 み 感 染 感 染 と 発 症 について 正 しく 理 解 させる 症 について 理 解 する 病 原 体 が どのように 感 染 するのか 科 学 的 に 捉 えよう 図 (P.35)を 見 て 病 原 体 インフルエンザウイルスの 場 合 主 に 飛 沫 感 染 と 資 料 1 がどのように 感 染 するのか 接 触 感 染 があることを 説 明 する 開 を 理 解 する HIVの 感 染 経 路 には 性 行 為 血 液 による 感 染 資 料 2 母 子 感 染 などがあり 日 本 では 性 行 為 による 感 染 が 最 も 多 いことを 説 明 する -40-
感 染 を 予 防 するには どうすればよいか 考 えよう 本 文 (P.35)の 会 話 を 読 む インフルエンザウイルスの 健 康 な 人 が 感 染 しないために 行 うことと 感 染 者 資 料 1 感 染 を 予 防 するために ど がウイルスを 拡 散 させないために 行 うべきことに う す ればよいのかを 考 え ついて 説 明 する る HIVの 感 染 を 予 防 するため HIVは 粘 膜 や 傷 口 から 血 液 内 に 入 って 感 染 する 資 料 2 に どうすればよいのかを ので 性 行 為 を 行 う 際 に コンドームを 使 用 する 考 える ことが 効 果 的 であることを 説 明 する HIVは 人 の 体 内 で 生 き 続 けることができるが 空 気 や 水 中 などに 出 てしまうと 感 染 力 をなくすこ と また 汗 や 涙 唾 液 尿 便 などの 体 液 には 含 まれていないことから 通 常 の 社 会 生 活 の 中 で 感 染 しないことを 説 明 する 展 感 染 症 予 防 のためには 自 自 尊 感 情 について 説 明 するとともに 誰 もが 人 間 資 料 3 分 を 価 値 ある 存 在 として 尊 としての 尊 厳 を 有 し 全 ての 人 は 平 等 であること 世 界 人 権 宣 言 重 し 認 める 気 持 ち( 自 尊 感 を 確 認 する 情 )が 必 要 であることに 気 残 念 ながら 現 実 には 全 ての 人 が 自 尊 感 情 を 醸 成 付 く し 自 己 実 現 を 目 指 すことのできる 社 会 を 阻 む 様 々な 偏 見 や 差 別 があることを 指 摘 する 誰 もが 自 分 らしく 生 きるこ 差 別 されることにより 自 尊 感 情 ( 自 己 肯 定 感 ) とを 阻 んでいる 偏 見 差 別 が 育 まれず 感 染 症 が 拡 がる 現 実 に 気 づかせる 問 題 にどのようなものがあ るか 考 える 性 に 関 する 権 利 について 学 ぼう 開 本 文 (P.36)を 読 み 性 に それぞれの 権 利 について 自 分 らしく 生 きる 関 する 権 利 を 知 る と 関 連 付 けて 性 の 有 り 様 は 多 様 であることを 踏 まえ わかりやすく 解 説 する HIVウイルスに 感 染 した 友 だちにどう 向 き 合 うか 考 えよう 本 文 (P.37)の 手 記 ぼく 丁 寧 に 読 解 させる のエイズデー を 読 む 10 自 分 らしく 生 きる での 学 習 を 踏 まえ ゲ イに 対 する 偏 見 をもたせないよう 留 意 する 次 のことについて 考 え 意 彼 がHIVに 感 染 したのは 誰 かとの 性 行 為 が 見 交 換 を 行 う 原 因 であると 考 えられるが 性 行 為 をタブー 視 せ そのときの 彼 の 気 持 ず 対 等 な 関 係 における 責 任 ある 性 行 為 は 否 定 さ ち れるものではないことを 押 さえる そのとき 筆 者 が 何 も 言 これまでの 学 習 を 踏 まえ この 彼 に 対 して 偏 えなかった 理 由 見 を 持 たず 互 いの 気 持 ちや 意 見 を 伝 え 合 い よ 自 分 なら この 彼 に りよい 関 係 を 築 くことの 大 切 さに 気 づかせたい どのような 言 葉 をかける か 学 習 をふり 返 ろう ま 学 んだことをふり 返 り 今 感 染 症 に 対 する 偏 見 差 別 をなくしていこうとす と 後 自 分 はどのように 感 染 ることにとどまらず 社 会 に 存 在 する 偏 見 差 別 め 症 問 題 に 向 き 合 っていくか ( 不 平 等 不 公 平 )を 見 つめ これを 解 決 してい を 考 える こうとする 姿 勢 をもたせたい 5 発 展 過 去 の 感 染 症 差 別 の 歴 史 について 調 べ 将 来 に 向 けて 同 様 のことを 繰 り 返 さないよう にするにはどうすればよいのかを 考 える -41-
資 料 1 インフルエンザについて インフルエンザの 感 染 経 路 インフルエンザの 感 染 経 路 には 飛 沫 感 染 と 接 触 感 染 の2 種 類 があります 飛 沫 感 染 は 感 染 した 人 がせきをすることで 飛 んだ 飛 沫 に 含 まれるウイルスを 別 の 人 が 口 や 鼻 から 吸 い 込 んでしまい ウイルスが 体 内 に 入 り 込 むことです 感 染 した 人 がせきを 手 で 押 さえた 後 や 鼻 水 を 手 でぬぐった 後 に ドアノブ スイッチなどに 触 れる と その 触 れた 場 所 にウイルスを 含 んだ 飛 沫 が 付 着 することがあります その 場 所 に 別 の 人 が 手 で 触 れ さらにその 手 で 鼻 口 に 再 び 触 れることにより 粘 膜 などを 通 じてウイルスが 体 内 に 入 り 感 染 します こ れを 接 触 感 染 といいます 1 飛 沫 感 染 2 接 触 感 染 感 染 者 が 咳 やくしゃみをする 感 染 した 人 が 口 を 手 で 覆 って 咳 やく しゃみをする(ウイルスが 手 に 付 着 ) ウイルスを 含 む 飛 沫 ( 咳 くしゃみ) が 空 気 中 に 飛 散 手 を 洗 わないまま ドアノブやスイッ チなどに 触 れる 健 康 な 人 がその 部 分 に 触 れる 健 康 な 人 が 鼻 や 口 から 吸 い 込 む その 手 で 自 分 の 目 鼻 口 を 触 る インフルエンザにかからないために (1) 流 行 前 のワクチン 接 種 インフルエンザワクチンは 感 染 後 に 発 病 する 可 能 性 を 低 減 させる 効 果 と インフルエンザにかか った 場 合 の 重 症 化 防 止 に 有 効 と 報 告 されており 日 本 でもワクチン 接 種 をする 人 が 増 加 する 傾 向 にあ ります ただし ワクチンの 効 果 が 持 続 する 期 間 は 一 般 的 には5か 月 ほどです (2) 外 出 後 の 手 洗 い 等 流 水 石 鹸 による 手 洗 いは 手 指 など 体 についたインフルエンザウイルスを 物 理 的 に 除 去 するために 有 効 な 方 法 であり インフルエンザに 限 らず 接 触 感 染 を 感 染 経 路 とする 感 染 症 対 策 の 基 本 です イン フルエンザウイルスはアルコールによる 消 毒 でも 効 果 が 高 いので アルコール 製 剤 による 手 指 衛 生 も 効 果 があります (3) 適 度 な 湿 度 の 保 持 空 気 が 乾 燥 すると 気 道 粘 膜 の 防 御 機 能 が 低 下 し インフルエンザにかかりやすくなります 特 に 乾 燥 しやすい 室 内 では 加 湿 器 などを 使 って 適 切 な 湿 度 (50~60%)を 保 つことも 効 果 的 です (4) 十 分 な 休 養 とバランスのとれた 栄 養 摂 取 体 の 抵 抗 力 を 高 めるために 十 分 な 休 養 とバランスのとれた 栄 養 摂 取 を 日 ごろから 心 がけましょ う (5) 人 混 みや 繁 華 街 への 外 出 を 控 える インフルエンザが 流 行 してきたら 特 に 高 齢 者 や 基 礎 疾 患 のある 人 妊 婦 疲 労 気 味 睡 眠 不 足 の 人 は 人 混 みや 繁 華 街 への 外 出 を 控 えましょう やむを 得 ず 外 出 して 人 混 みに 入 る 可 能 性 がある 場 合 には ある 程 度 の 飛 沫 等 を 防 ぐことができる 不 織 布 製 マスクを 着 用 することは 一 つの 防 御 策 と 考 えら れます ただし 人 混 みに 入 る 時 間 は 極 力 短 くしましょう 不 織 布 製 マスクとは 不 織 布 とは 織 っていない 布 という 意 味 です 繊 維 あるいは 糸 等 を 織 ったりせず 熱 や 化 学 的 な 作 用 によって 接 着 させて 布 にしたもので これを 用 いたマスクを 不 織 布 製 マスクと 言 います インフルエンザを 広 げないために (1) 飛 沫 感 染 対 策 としての 咳 エチケットの 実 施 咳 エチケットとは 咳 やくしゃみをするときは 飛 沫 に 病 原 体 を 含 んでいるかもしれないので 気 をつけましょう ということです 飛 沫 感 染 対 策 ではマスクは 重 要 ですが 感 染 者 がマスクをする 方 が 感 染 を 抑 える 効 果 は 高 いと 言 われています 咳 やくしゃみが 出 るときはできるだけマスクをすること とっさの 咳 やくしゃみの 際 にマスクがない 場 合 は ティッシュや 腕 の 内 側 などで 口 と 鼻 を 覆 い -42-
顔 を 他 の 人 に 向 けないこと 鼻 汁 痰 などを 含 んだティッシュはすぐにゴミ 箱 に 捨 て 手 のひらで 咳 やくしゃみを 受 け 止 めた 時 はすぐに 手 を 洗 うこと 等 (2) インフルエンザにかかったときに 気 をつけること 他 の 人 にうつさない ことが 大 事 です 同 居 する 他 の 家 族 特 に 重 症 になりやすい 高 齢 者 などに はなるべく 接 触 しないように 心 がけ できるだけ 他 の 家 族 と 離 れ 静 養 することが 必 要 です 感 染 予 防 のため 部 屋 の 換 気 を 心 がけること 咳 がでるときは マスクを 着 用 すること 家 族 が 患 者 と 接 するときには 念 のためマスクを 着 用 し 世 話 をした 後 は こまめに 手 を 洗 うこと 熱 が 下 がった 後 も 2 日 程 度 は 他 の 人 にうつす 可 能 性 があります 熱 が 下 がって 症 状 が 治 まって も 2 日 ほど 学 校 に 行 かないようにし 自 宅 療 養 すること インフルエンザを 治 すために (1) 具 合 が 悪 ければ 早 めに 医 療 機 関 を 受 診 しましょう (2) 安 静 にして 休 養 をとりましょう 特 に 睡 眠 を 十 分 にとることが 大 切 です (3) 水 分 を 十 分 に 補 給 しましょう お 茶 でもスープでも 飲 みたいもので 結 構 です (4) 人 混 みや 繁 華 街 への 外 出 を 控 え 無 理 をして 学 校 や 職 場 等 に 行 かないようにしましょう ( 参 考 ) 厚 生 労 働 省 HP http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/ 資 料 2 HIV 感 染 症 と 後 天 性 免 疫 不 全 症 候 群 (AIDS)について HIV 感 染 症 とAIDS(エイズ)はちがいます HIV = Human Immunodeficiency Virus(ヒト 免 疫 不 全 ウイルス) ウイルスの 名 前 AIDS = Acquired Immunodeficiency Syndrome( 後 天 性 免 疫 不 全 症 候 群 ) 発 症 した 状 態 HIVが 血 液 内 に 入 ると 免 疫 のしくみの 中 心 であるヘルパーTリンパ 球 ( 白 血 球 の 一 種 )などに 感 染 します HIVが 増 殖 することによって 免 疫 が 破 壊 され 病 気 とたたかう 抵 抗 力 が 徐 々に 低 下 していきます 感 染 後 数 年 は 自 覚 症 状 がない 時 期 が 続 きますが やがて 本 来 なら 自 分 の 力 でおさえることができる 様 々な 病 気 にかかるようになります このように 抵 抗 力 が 落 ちることで 発 症 する 病 気 のうち 指 標 となる23 疾 患 のいずれかを 発 症 した 場 合 に AIDS( 発 症 )と 診 断 されます HIVに 感 染 していて 未 発 症 の 状 態 は HIV 感 染 症 といいま す 23の 指 標 疾 患 ( 例 ) ニューモシスティス 肺 炎 サイトメガロウイルス 感 染 症 悪 性 リンパ 腫 カポジ 肉 腫 など 感 染 経 路 は? (1) 性 行 為 による 感 染 日 本 国 内 で 圧 倒 的 に 多 いのが 性 行 為 による 感 染 です HIVは 主 に 血 液 や 精 液 膣 分 泌 液 に 多 く 含 まれており 性 行 為 中 に 性 器 や 肛 門 口 などの 粘 膜 や 傷 口 を 通 って 感 染 します 他 の 性 感 染 症 と 同 様 コンドームの 正 しい 使 用 は HIV 感 染 を 予 防 する 最 も 有 効 な 手 段 です (2) 血 液 を 介 しての 感 染 HIVが 存 在 する 血 液 の 輸 血 や 依 存 性 薬 物 ( 覚 せい 剤 など)の 使 用 における 注 射 器 具 の 共 用 などが 原 因 で 感 染 します 日 本 国 内 で 献 血 された 血 液 は 厳 重 な 検 査 により 最 高 水 準 の 安 全 が 確 保 されていま すが HIV 感 染 の 可 能 性 を 完 全 には 排 除 できません 過 去 に 問 題 となった 血 液 凝 固 因 子 製 剤 については 現 在 は 加 熱 処 理 が 行 われているため 感 染 の 心 配 はありません (3) 母 子 感 染 母 親 がHIVに 感 染 している 場 合 妊 娠 中 ( 胎 盤 を 通 じて)や 出 産 時 ( 産 道 で) また 授 乳 時 ( 母 乳 を 飲 んで)に 赤 ちゃんに 感 染 することがあります 現 在 の 日 本 では 母 親 がHIV 感 染 症 の 治 療 薬 を 服 用 すること 帝 王 切 開 で 分 娩 すること 母 乳 を 与 えないことなどで 赤 ちゃんへの 感 染 を1パーセン ト 以 下 に 抑 えることができます -43-
こんなことでは 感 染 しません 電 車 のつり 革 洋 式 トイレの 便 座 飲 み 物 を 回 し 飲 みする お 風 呂 やプール 日 本 の 医 療 機 関 同 じ 皿 の 料 理 を 食 べる ノミや 蚊 に 刺 される 理 髪 店 美 容 院 握 手 せき くしゃみ 同 じ 職 場 や 学 校 で 生 活 する 軽 いキス HIVは 人 の 体 内 で 生 き 続 けることができますが 空 気 や 水 中 などに 出 てしまうと 感 染 力 をなくしま す また 汗 や 涙 唾 液 尿 便 などの 体 液 には 含 まれていません したがって 日 常 生 活 においては 性 行 為 以 外 で 感 染 することはありません HIV 感 染 を 予 防 するには? (1) 性 行 為 に 際 して 性 交 オーラルセックス( 口 腔 性 交 )の 際 は コンドームを 必 ず 正 しく 使 う 性 器 具 を 共 用 しない (2) 血 液 感 染 を 防 ぐために 注 射 器 具 の 共 用 は 絶 対 にしない (3) 母 子 感 染 を 防 ぐために 妊 娠 中 の 服 薬 帝 王 切 開 による 出 産 人 工 栄 養 ( 粉 ミルク)での 養 育 HIV 感 染 症 /AIDS 治 療 のいま HIV 感 染 症 /AIDSの 医 療 は 飛 躍 的 な 進 歩 を 続 けていますが 今 のところ 体 内 のHIVを 完 全 に 取 り 除 く 治 療 法 はありません しかし 抗 HIV 療 法 の 進 歩 によって AIDSを 発 症 する 前 にHIV 感 染 を 知 り 適 切 な 治 療 を 継 続 すれば 感 染 前 と 変 わらない 日 常 生 活 を 送 ることができるようになりました HIV 感 染 症 の 治 療 では 作 用 の 異 なる3 剤 以 上 の 抗 HIV 薬 を 併 用 して 服 用 します これをHAART (Highly Active Antiretroviral Therapy: 多 剤 併 用 療 法 ) 最 近 では ART と 呼 びます ART が 導 入 されたのは1997 年 ですが 現 在 は 新 しい 薬 が 増 え 1 日 1 回 1 錠 の 服 用 で 済 む 薬 も 開 発 されて います 副 作 用 も 以 前 より 軽 くなり 患 者 さんへの 負 担 も 軽 減 しています 早 期 に 治 療 を 開 始 したほう が 健 康 維 持 にも 有 利 で 治 療 中 は 他 の 人 への 伝 播 も 少 なくなります 自 分 のためにも 他 の 人 への 感 染 を 防 ぐためにも 治 療 は 早 期 に 開 始 することが 大 切 です また 薬 を 飲 んだり 飲 まなかったりして 中 途 半 端 な 服 用 を 続 けると 薬 の 効 きにくい 薬 剤 耐 性 ウイルスが 出 現 す る 可 能 性 があります そのため 治 療 を 開 始 したら 特 別 な 場 合 を 除 き 継 続 する 必 要 があります ( 参 考 ) 公 益 財 団 法 人 エイズ 予 防 財 団 HIV/エイズの 基 礎 知 識 http://www.jfap.or.jp/enlightenment/pdf/h_kisochishiki.pdf 資 料 3 自 尊 感 情 一 般 的 に 自 尊 感 情 という 言 葉 は セルフ エスティーム(self-esteem)の 訳 語 で 他 に 自 己 肯 定 感 や 自 尊 心 とも 訳 されているものです 人 権 教 育 の 推 進 についての 基 本 方 針 ( 奈 良 県 教 育 委 員 会 )の 留 意 点 1では 自 分 の 大 切 さとと もに 他 の 人 の 大 切 さが 認 められていることを 実 感 できるような 環 境 づくりを あらゆる 教 育 の 場 で 進 めること と 述 べています 自 分 の 大 切 さ に 気 づき 自 分 を 価 値 ある 存 在 として 尊 重 し 認 める 気 持 ちが 自 尊 感 情 であると 言 えます 自 分 は 他 者 からも 認 められている 自 分 にはこんなに 素 晴 らし いところがある 不 十 分 なところも 含 めて 自 分 が 大 切 だ などと 自 分 自 身 を 認 識 していることは 自 信 をもって 未 来 に 向 かい 生 きていく 原 動 力 になると 言 っても 過 言 ではありません もちろん 自 分 の 優 位 性 やすぐれた 部 分 ばかりを 誇 示 して 他 者 のそれは 認 めないという エゴ や ひとりよがり とは まったく 別 の 感 情 であることは 言 うまでもありません 16 こんな 自 分 が 好 きやねん ( 本 書 P.71)も 参 照 してください -44-