1 原 著 女 子 大 学 生 の 自 宅 生 と 下 宿 生 における 食 生 活 の 現 状 と 課 題 石 原 領 子, 酒 井 香 江, 堀 田 千 津 子 鈴 鹿 医 療 科 学 大 学 保 健 衛 生 学 部 医 療 栄 養 学 科 要 旨 近 年, 思 春 期 及 び 青 年 期 の 食 生 活 は, 不 規 則 な 食 事 や 朝 食 の 欠 食 の 増 加, 調 理 技 術 の 未 熟 さなど, 多 くの 問 題 が 指 摘 されている 特 に, 大 学 生 になると, 進 学 と 同 時 に 一 人 暮 らしを 始 める 学 生 も 多 く, 食 生 活 の 自 己 管 理 の 点 か ら 問 題 も 多 いと 考 えられる したがって, 大 学 生 活 においては, 自 らが 健 康 や 食 生 活 及 び 食 行 動 について 管 理 する 必 要 があり, 自 立 的 な 食 生 活 や 食 行 動 の 選 択 力 を 身 につける 重 要 な 時 期 である 本 調 査 では, 女 子 大 学 生 を 自 宅 生 と 下 宿 生 に 分 類 し, 食 に 関 する QOL(Quality of Life: 生 活 の 質 ), 食 生 活 指 針, 栄 養 の 知 識, 食 品 表 示 の 利 用 など による 食 行 動 についてのアンケート 調 査 を 行 い, 対 象 者 の 食 生 活 の 把 握 と 課 題 について 検 討 した 以 下 に 結 果 を 示 す 1) 食 に 関 する QOL, 朝 食 の 行 動 の 主 菜 の 摂 取 については, 下 宿 生 に 比 べ 自 宅 生 の 割 合 が 有 意 に 高 かった(p < 0.05,p < 0.01) しかし, 食 事 作 りへの 参 加 技 術 は 明 らかに 低 かった(p < 0.05,p < 0.01) 2) 食 生 活 指 針 の 態 度 の 食 生 活 の 見 直 しについては, 下 宿 生 のほうが 自 宅 生 と 比 較 して いつも 時 々 気 をつけて いる と 回 答 した 割 合 が 有 意 に 高 かった(p < 0.05) 3) 栄 養 の 知 識 については 両 群 には 差 がなかった 栄 養 の 知 識 や 食 生 活 指 針 についての 周 知 度 は 非 常 に 低 かった 4) 食 品 表 示 の 利 用 について 下 宿 生 は いつも 見 る 割 合 が 自 宅 生 より 高 い 傾 向 であった 5) 食 品 表 示 への 意 識 については 食 生 活 の 改 善 に 役 立 つ と 全 体 の 約 9 割 以 上 を 占 めるものの, 食 品 表 示 の 利 用 率 や 内 容 の 理 解 度 が 低 いことが 示 唆 された
2 緒 言 食 生 活 上 の 問 題 点 が 多 い 思 春 期 及 び 青 年 期 は, 就 職 や 進 学 などによる 生 活 環 境 の 変 化 により 一 人 暮 らしを 始 めることなど,その 食 生 活 は, 家 庭 を 中 心 とした 狭 い 範 囲 のものから 大 きな 広 がりのものへと 変 化 す る 1),2) よって, 自 分 で 食 品 を 選 択 する 機 会 が 増 え, 自 主 及 び 自 立 的 な 食 品 の 選 択 力 を 身 につける 重 要 な 時 期 である しかし, 近 年 の 思 春 期 及 び 青 年 期 の 食 生 活 は, 朝 食 の 欠 食 率 が 高 く 3), 食 事 時 間 が 不 規 則 になり 4), 加 工 食 品 や 嗜 好 食 品 の 摂 取 頻 度 が 高 くなってきている 5) 健 康 日 本 21 では, 外 食 や 食 品 を 購 入 する 際 に 栄 養 成 分 表 示 を 見 て 選 ぶ 習 慣 を 身 につけることがあげられて いるが 6), 食 品 表 示 の 内 容 を 理 解 し, 健 康 的 な 食 生 活 に つながっていないのが 現 状 である 7)-13) 男 子 大 学 生 の 食 生 活 の 現 状 と 課 題 について, 自 宅 生 と 下 宿 生 に 分 け て 検 討 した 結 果 からも 14), 下 宿 生 では, 朝 食 を 毎 日 食 べる 学 生 が 約 4 割 であり, 主 菜 を 摂 らない 学 生 も 約 7 割 を 示 し, 不 規 則 な 食 生 活 であることがわかった 食 品 表 示 についても, 全 体 で 実 際 にそれを 見 て 購 入 し, 各 自 の 食 生 活 への 活 用 が 低 いことが 把 握 できた 14) 女 子 大 学 生 については, 近 い 将 来, 新 しい 家 庭 を 築 き, 家 族 全 体 の 健 康 や 食 事 の 管 理 をするようになるこ とを 考 慮 すると, 栄 養 や 安 全 性 を 重 視 した 望 ましい 食 生 活 を 身 につける 重 要 な 課 題 である 15)-17) そこで, 本 調 査 では, 女 子 大 学 生 を 自 宅 生 と 下 宿 生 に 分 類 し, 食 に 関 する QOL, 食 生 活 指 針, 栄 養 の 知 識, 食 品 表 示 の 利 用 などによる 食 行 動 についてのアンケート 調 査 を 行 い, 食 生 活 の 把 握 と 課 題 について 検 討 した 方 法 1. 対 象 者 と 調 査 方 法 鈴 鹿 医 療 科 学 大 学 1 年 生 の 女 子 大 学 生 (104 人, 回 収 率 90.8%)を 対 象 に,2007 年 7 月 下 旬, 無 記 名 にて 食 生 活 に 関 するアンケート 調 査 を 自 記 式 で 行 った 2. 調 査 内 容 調 査 内 容 は, 対 象 者 の 身 体 特 性, 食 生 活, 食 生 活 指 針 に 関 する 態 度, 栄 養 の 知 識, 食 品 表 示 の 利 用, 食 品 表 示 への 意 識 について 検 討 した 2-1. 対 象 者 の 身 体 特 性 対 象 者 の 身 体 特 性 については, 年 齢 ( 歳 ), 身 長 (cm), 体 重 (kg)の3 項 目 を 質 問 した そして, 身 長 (cm) 及 び 体 重 (kg)より BMI(kg/m 2 )を 算 出 した 2-2. 食 生 活 食 生 活 については, 食 に 関 する QOL, 朝 食 の 行 動, そして, 食 事 作 りについて 質 問 した 食 に 関 する QOL については, 食 生 活 の 満 足 感, 食 事 の 美 味 しさ, 食 事 の 楽 しさの3 項 目 を 質 問 した 各 項 目 の 質 問 に 対 する 回 答 は4 肢 択 一 とした 朝 食 の 行 動 については, 朝 食 の 摂 取 頻 度, 主 食 の 摂 取, 主 菜 の 摂 取, 副 菜 の 摂 取 の4 項 目 を 質 問 し, 回 答 は 3 4 肢 択 一 とした 食 事 作 りについては, 参 加 及 び 技 術 の2 項 目 を 質 問 し, 回 答 は3 肢 択 一 とした 2-3. 食 生 活 指 針 に 関 する 態 度 対 象 者 の 日 頃 の 食 生 活 に 対 する 態 度 については, 食 18) 生 活 指 針 を 参 考 に 13 項 目 を 質 問 した 各 項 目 の 質 問 に 対 する 回 答 は 3 4 肢 択 一 とした 2-4. 栄 養 の 知 識 栄 養 の 知 識 については,1 日 当 たりのエネルギー 必 要 量, 間 食 の1 日 のエネルギー 量,1 日 の 砂 糖 の 摂 取 量,1 日 のカルシウムの 摂 取 量 の4 項 目 を 質 問 した また,それぞれの 質 問 に 対 し おおよそ 正 しく 知 って いる 場 合 には,その 値 を 記 入 し,わからない 場 合 は 知 らない を 回 答 する 記 入 形 式 とした 各 質 問 の お およそ 正 しく 知 っている と 回 答 した 値 の 範 囲 は 1 日 当 たりのエネルギー 必 要 量 が 1450 2506kcal 19), 間 食 の1 日 のエネルギー 量 が 20%まで 12), 1 日 の 砂 糖 の 摂 取 量 が 100g まで 12), 1 日 のカルシウムの
女 子 大 学 生 の 自 宅 生 と 下 宿 生 における 食 生 活 の 現 状 と 課 題 3 摂 取 量 が 412 706mg 19) とした 結 果 2-5. 食 品 表 示 の 利 用 食 品 表 示 の 利 用 を 検 討 するための 食 品 は, 青 年 期 の 食 生 活 で 摂 取 頻 度 や 購 入 頻 度 が 高 い,1 菓 子 類,2 牛 乳 乳 製 品,3マヨネーズ ドレッシング 類,4 調 理 食 品 の4 種 類 とした 10),12) そして, 各 食 品 の 購 入 時 に, 1. 調 査 対 象 者 の 概 要 対 象 者 の 平 均 年 齢 は18.5 ± 0.1 歳 であり, 住 居 形 態 は, 自 宅 が 64 人 (61.5%), 下 宿 が 40 人 (38.5%) であった 日 付, 原 材 料, 添 加 物, 保 存 注 意, 栄 養 成 分 (エネル ギー,たんぱく 質, 脂 質 など)を 見 るかについて い つも 見 る, 時 々 見 る, 見 ない の3 肢 択 一 とした 2-1. 身 体 特 性 対 象 者 の 身 体 特 性 を 表 1に 示 した 自 宅 生 の 年 齢 18.4 ± 0.1 歳, 身 長 158.2 ± 0.7cm, 体 重 51.2 ± 2-6. 食 品 表 示 への 意 識 食 品 表 示 への 意 識 については, 食 生 活 の 改 善 に 役 立 つ, 内 容 の 理 解, 利 用 のしやすさ, 利 用 の 面 倒 さの4 項 目 を 質 問 した 各 項 目 の 質 問 に 対 する 回 答 は4 肢 択 一 とした 0.7kg,BMI20.4 ± 0.2kg/m 2, 下 宿 生 の 年 齢 18.6 ± 0.1 歳, 身 長 159.2 ± 1.1cm, 体 重 51.3 ± 1.0kg, BMI20.2 ± 0.3kg/m 2 であり, 自 宅 生 と 下 宿 生 との 間 には 有 意 な 差 を 認 めなかった 大 学 生 全 体 の 身 長 158.6 ±0.6cm, 体 重 51.3 ± 0.6kg であり,18 29 3. 解 析 方 法 対 象 者 の 女 子 大 学 生 を 住 居 形 態 より, 自 宅 生 と 下 宿 生 とに 分 類 し 検 討 した アンケート 調 査 の 項 目 につい 歳 の 基 準 身 長 157.7cm 及 び 体 重 50.0kg 19) あった 2-2. 食 生 活 に 近 い 値 で ては,エクセル 統 計 2008 を 用 い t 検 定 と c 2 検 定 を 行 った 尚, 対 象 者 の 身 体 特 性 は t 検 定 を 用 い, 健 康 状 態 や 食 生 活 については c 2 検 定 を 使 用 した 統 計 的 検 討 は 有 意 水 準 5%で 行 った 食 生 活 については, 食 に 関 する QOL, 朝 食 の 行 動 及 び 食 事 作 りを 表 2に 示 した 食 に 関 する QOL では, 自 宅 生 の 食 生 活 の 満 足 感 について とても 満 足 と 満 足 を 合 わせると 84.4%を 示 し, 下 宿 生 の 42.5%の2 表 1 対 象 者 の 身 体 特 性 住 居 形 態 全 体 (104) 自 宅 (64) 下 宿 (40) p 値 年 齢 ( 歳 ) 18.5 ± 0.1 18.4 ± 0.1 18.6±0.1 身 長 (cm) 158.6 ±0.6 158.2 ± 0.7 159.2 ± 1.1 体 重 (kg) 51.3 ± 0.6 51.2 ± 0.7 51.3 ± 1.0 BMI(kg/m 2 ) 20.4 ± 0.2 20.4 ± 0.2 20.2 ± 0.3 平 均 値 ± 標 準 誤 差 :Not Significant
4 表 2 食 生 活 (%) 住 居 形 態 全 体 (104) 自 宅 (64) 下 宿 (40) p 値 食 に 関 する QOL 食 生 活 の 満 足 感 とても 満 足 21.2 32.8 2.5 満 足 47.1 51.6 40.0 あまり 満 足 ではない 22.1 12.5 37.5 満 足 でない 9.6 3.1 20.0 食 事 の 美 味 しさ とても 美 味 しい 32.7 42.2 17.5 美 味 しい 63.5 57.8 72.5 あまり 美 味 しくない 2.9 0.0 7.5 美 味 しくない 1.0 0.0 2.5 食 事 の 楽 しさ とても 楽 しい 31.7 39.1 20.0 楽 しい 54.8 54.7 55.0 あまり 楽 しくない 12.5 6.3 22.5 楽 しくしはない 1.0 0.0 2.5 朝 食 の 行 動 朝 食 の 摂 取 頻 度 毎 日 食 べる 79.8 85.9 70.0 週 3,4 回 9.6 6.3 15.0 週 1,2 回 5.8 3.1 10.0 ほとんど 食 べない 3.8 3.1 5.0 主 食 の 摂 取 ほとんど 摂 る 80.8 82.8 77.5 ときどき 摂 る 15.4 14.1 17.5 摂 らない 3.8 3.1 5.0 主 菜 の 摂 取 ほとんど 摂 る 15.4 17.2 12.5 ときどき 摂 る 34.6 43.8 20.0 摂 らない 50.0 39.1 67.5 副 菜 の 摂 取 ほとんど 摂 る 24.0 28.1 17.5 ときどき 摂 る 43.3 43.8 42.5 摂 らない 32.7 28.1 40.0 食 事 作 り 参 加 いつもしている 45.2 20.3 85.0 時 々している 40.4 57.8 12.5 していない 14.4 21.9 2.5 技 術 充 分 にある 6.7 6.3 7.5 だいたいある 70.2 62.5 82.5 全 くない 23.1 31.3 10.0 p < 0.05, p < 0.01 :Not Significant
女 子 大 学 生 の 自 宅 生 と 下 宿 生 における 食 生 活 の 現 状 と 課 題 5 倍 におよんだ(p < 0.01) また, 食 事 の 美 味 しさ, 食 事 の 楽 しさについても, 自 宅 生 では とても 美 味 しい と とても 楽 しい が, 下 宿 生 より 明 らかに 高 い 割 合 を 示 し(p < 0.01,0.05), 自 宅 生 の 満 足 度 が 高 い 結 果 となった 朝 食 の 行 動 では 毎 日 食 べる との 回 答 が 全 体 の 79.8%を 示 した 主 菜 の 摂 取 について 自 宅 生 では ほ とんど 摂 る 17.2%, ときどき 摂 る 43.8%を 示 し, 下 宿 生 のそれぞれ 12.5%,20.0%に 比 べ, 割 合 が 有 意 に 高 かった(p < 0.05) 食 事 作 りへの 参 加 では, 下 宿 生 の 85.0%が いつも している を 示 したが, 自 宅 生 は 20.3%と 著 しく 低 値 であった(p < 0.01) また, 食 事 作 りの 技 術 では, 下 宿 生 が 充 分 にある 7.5%, だいたいある 82.5% を 合 わせて9 割 に 対 し, 自 宅 生 は 約 3 割 の 31.3%が 全 くない 状 況 であった(p < 0.05) 2-3. 食 生 活 指 針 に 関 する 態 度 食 生 活 指 針 に 関 する 態 度 について 表 3に 示 した 13 項 目 中, 食 生 活 の 見 直 しについて 下 宿 生 と 自 宅 生 との 間 に 有 意 な 差 を 認 め, 下 宿 生 では いつも 気 をつけて いる 12.5%, 時 々 気 をつけている 57.5%を 示 し, 自 宅 生 の 3.1%,43.8%より 有 意 に 高 い 割 合 であった (p < 0.05) 学 生 全 体 では, 砂 糖 や 塩 分, 脂 肪 の 摂 りすぎ, 食 事 を 楽 しむこと, 食 事 の 時 間, 食 事 の 栄 養 バランス, 食 材 料 の 組 み 合 わせについて いつも 気 をつけている, 時 々 気 をつけている あるいは いつも 心 がけてい る, 時 々 心 がけている との 回 答 が6 割 以 上 を 占 め, 食 事 の 栄 養 バランスへの 配 慮 や, 食 事 を 楽 しく 摂 るよ うに 心 がけていることがうかがえた しかし,カルシ ウムの 摂 取, 活 動 量 に 見 合 った 食 事 量, 無 駄 廃 棄 の 減 少 について 特 に 気 にしない 学 生 が 半 数 近 くいた また, 地 域 の 産 物 の 活 用 では,8 割 以 上 の 学 生 が 特 に 気 にしない と 回 答 し, 食 生 活 指 針 に 関 する 態 度 の 意 識 が 非 常 に 低 かった 2-4. 栄 養 の 知 識 栄 養 の 知 識 について 表 4に 示 した エネルギー 必 要 量, 間 食 のエネルギー 量, 砂 糖 の 摂 取 量,カルシウム の 摂 取 量 では, 自 宅 生 と 下 宿 生 の 両 間 には 差 がなく, 全 体 の7 割 以 上 の 学 生 が 知 らない と 回 答 し, 栄 養 の 知 識 について 非 常 に 低 かった 生 活 習 慣 病 や 骨 粗 鬆 症 でよく 聞 くエネルギー 必 要 量 やカルシウムの 摂 取 量 については おおよそ 正 しく 知 っている が,それぞ れ 22.1%,26.9%を 示 し, 他 の 項 目 よりも 若 干 高 い 傾 向 を 示 した 間 食 のエネルギー 量 や 砂 糖 の 摂 取 量 につ いては, 全 員 が 知 らなかった 2-5. 食 品 表 示 の 利 用 表 5に 食 品 表 示 の 利 用 について 示 した 1 菓 子 類 の 原 材 料, 添 加 物, 保 存 注 意, 栄 養 成 分 については, 自 宅 生 と 下 宿 生 の 両 間 に 有 意 な 差 を 認 めなかった しか し, 日 付 においては いつも 見 る との 回 答 が, 下 宿 生 57.5%と, 自 宅 生 50.0%に 比 べ 高 く 有 意 な 差 を 認 めた(p < 0.05) 2 牛 乳 乳 製 品 の 添 加 物 では, 下 宿 生 の いつも 見 る 20.0%と, 自 宅 生 6.3%より 高 く 有 意 な 差 が 認 められた(p < 0.01) しかし,その 他 の 日 付, 原 材 料, 保 存 注 意, 栄 養 成 分 については 差 がな かった 3マヨネーズ ドレッシング 類 の 下 宿 生 にお いては いつも 見 る との 回 答 が, 日 付 75.0%, 原 材 料 22.5%と, 自 宅 生 の 日 付 50.0%, 原 材 料 4.7%に 比 べて 高 く 明 らかな 差 を 認 めた( 各 p < 0.01) その 他 の 添 加 物, 保 存 注 意, 栄 養 成 分 についは 差 を 認 めなかっ た 4 調 理 食 品 では, 前 述 の1 菓 子 類 と 同 様 に, 日 付 について 自 宅 生 の いつも 見 る 76.6%に 対 し, 下 宿 生 95.0%と 高 い 割 合 を 示 した(p < 0.01) そして, 原 材 料, 添 加 物, 保 存 注 意, 栄 養 成 分 については, 両 間 において 差 を 認 めなかった 2-6. 食 品 表 示 への 意 識 表 6に 食 品 表 示 への 意 識 について 示 した 食 品 表 示 への 意 識 について, 食 生 活 の 改 善 に 役 立 つか, 内 容 の 理 解, 利 用 のしやすさ, 利 用 の 面 倒 さについては, 自 宅 生 と 下 宿 生 の 両 間 では 有 意 な 差 を 認 めなかった 食
6 表 3 食 生 活 指 針 に 関 する 態 度 (%) 住 居 形 態 全 体 (104) 自 宅 (64) 下 宿 (40) p 値 砂 糖 の 摂 りすぎ いつも 気 をつけている 15.4 12.5 20.0 時 々 気 をつけている 51.9 56.3 45.0 特 に 気 にしない 32.7 31.3 35.0 塩 分 の 摂 りすぎ いつも 気 をつけている 16.3 14.1 20.0 時 々 気 をつけている 47.1 48.4 45.0 特 に 気 にしない 36.5 37.5 35.0 脂 肪 の 摂 りすぎ いつも 気 をつけている 28.8 26.6 32.5 時 々 気 をつけている 47.1 50.0 42.5 特 に 気 にしない 24.0 23.4 25.0 カルシウムの 摂 取 いつも 心 がけている 19.2 15.6 25.0 時 々 心 がけている 36.5 39.1 32.5 特 に 気 にしない 44.2 45.3 42.5 食 事 を 楽 しむこと いつも 心 がけている 45.2 50.0 37.5 時 々 心 がけている 31.7 31.3 32.5 特 に 気 にしない 23.1 18.8 30.0 食 事 の 時 間 いつも 気 をつけている 21.2 17.2 27.5 時 々 気 をつけている 45.2 50.0 37.5 特 に 気 にしない 33.7 32.8 35.0 食 事 の 栄 養 バランス いつも 気 をつけている 22.1 20.3 25.0 時 々 気 をつけている 56.7 59.4 52.5 特 に 気 にしない 21.2 20.3 22.5 活 動 量 に 見 合 った 食 事 量 いつも 気 をつけている 8.7 9.4 7.5 時 々 気 をつけている 43.3 46.9 37.5 特 に 気 にしない 48.1 43.8 55.0 食 材 料 の 組 み 合 わせ いつも 気 をつけている 11.5 14.1 7.5 時 々 気 をつけている 56.7 56.3 57.5 特 に 気 にしない 31.7 29.7 35.0 地 域 の 産 物 の 活 用 いつも 心 がけている 2.9 3.1 2.5 時 々 心 がけている 15.4 17.2 12.5 特 に 気 にしない 81.7 79.7 85.0 無 駄 廃 棄 の 減 少 いつも 気 をつけている 20.2 15.6 27.5 時 々 気 をつけている 38.5 43.8 30.0 特 に 気 にしない 41.3 40.6 42.5 食 生 活 の 見 直 し いつも 気 をつけている 6.7 3.1 12.5 時 々 気 をつけている 49.0 43.8 57.5 特 に 気 にしない 44.2 53.1 30.0 食 事 と 癌 の 関 係 強 く 関 係 している 29.8 31.3 27.5 少 し 関 係 している 38.5 40.6 35.0 関 係 していない 3.8 3.1 5.0 分 らない 27.9 25.0 32.5 p < 0.05 :Not Significant
女 子 大 学 生 の 自 宅 生 と 下 宿 生 における 食 生 活 の 現 状 と 課 題 7 表 4 栄 養 の 知 識 (%) 住 居 形 態 全 体 (104) 自 宅 (64) 下 宿 (40) p 値 1 日 当 たりのエネルギー 必 要 量 おおよそ 正 しく 知 っている 22.1 25.0 17.5 知 らない 77.9 75.0 82.5 間 食 の1 日 のエネルギー 量 おおよそ 正 しく 知 っている 0.0 0.0 0.0 知 らない 100.0 100.0 100.0 1 日 の 砂 糖 の 摂 取 量 おおよそ 正 しく 知 っている 0.0 0.0 0.0 知 らない 100.0 100.0 100.0 1 日 のカルシウムの 摂 取 量 おおよそ 正 しく 知 っている 26.9 32.8 17.5 知 らない 73.1 67.2 82.5 :Not Significant 生 活 の 改 善 に 役 立 つかと 考 えている 学 生 は とても 役 立 つ 34.6%, どちらかといえば 役 立 つ 58.7%と, 全 体 の 約 9 割 以 上 を 占 めた また, 利 用 の 面 倒 さにつ いても 思 わない 23.1%, あまり 思 わない 55.8% と, 約 8 割 近 く 存 在 した しかし,その 利 用 のしやす さについては あまりしやすくない 31.7%, しにく い 6.7%を 合 わせると 約 4 割 を 示 した また, 食 品 表 示 の 内 容 の 理 解 については 理 解 できにくい が, 約 1 割 存 在 した 考 察 1. 食 生 活 について 本 学 の 女 子 大 学 生 の 食 生 活 に 関 して 自 宅 生 では, 食 生 活 の 満 足 感, 食 事 の 美 味 しさ, 食 事 の 楽 しさなど, 食 の QOL の 満 足 度 が 有 意 に 高 いが,その 一 方 で, 食 事 作 りへの 参 加 やその 技 術 があるとの 回 答 は, 著 しく 低 いことから, 住 居 形 態 が 自 宅 では, 食 事 作 りを 本 人 以 外 の 調 理 担 当 者 に 依 存 していることが 考 えられる また, 主 菜 の 摂 取 についても 自 宅 生 では ほとんど 摂 る, ときどき 摂 る を 合 わせると 約 6 割 を 示 し, 下 宿 生 より 明 らかに 多 いことから, 自 宅 生 の 食 事 は, 調 理 担 当 者 の 知 識 や 意 向 などにより, 献 立 内 容 や 栄 養 の バランス, 食 事 を 摂 取 することへの 配 慮 がなされてい ると 思 われる 大 学 生 の 生 活 実 態 についての 研 究 で も, 朝, 昼, 夕 食 ともに, 家 族 が 作 ることが 多 いと 報 20) 告 されており, 自 宅 生 では, 調 理 担 当 者 に 食 事 がゆ だねられていることが, 食 の QOL の 満 足 度 を 高 くし ていると 考 えられる 一 方, 大 学 生 になると 親 元 を 離 れて 一 人 暮 らしをは じめる 学 生 も 多 く, 必 然 的 に 自 分 で 料 理 作 りを 余 儀 な くされる 今 回 の 調 査 でも, 下 宿 生 では 食 事 作 りへの 参 加 やその 技 術 の 習 得 が 自 宅 生 より 有 意 に 高 く, 各 自 が 調 理 担 当 者 となり 食 事 作 りを 行 っていることがうか がえた しかし, 食 に 関 する QOL については, 満 足 度 が 著 しく 低 い 結 果 となった 下 宿 生 の 食 生 活 の 背 景 には, 孤 食 や 食 事, 健 康 を 気 遣 ってくれる 人 がいない, 調 理 方 法 に 関 する 知 識 不 足, 食 材 料 の 購 入, 調 理 を 行 20) う 手 間,さらに, 台 所 の 設 備 やその 制 約 などの 様 々 な 要 因 が 考 えられる 大 学 生 の 食 生 活 は, 食 事 を 作 る 煩 わしさから, 朝 食 の 摂 取 頻 度 が 低 く, 欠 食 率 が 高 くなることが 危 惧 され ているが 21), 今 回 の 女 子 大 学 生 での 朝 食 の 摂 取 頻 度 に ついては, 約 8 割 の 学 生 が 毎 日 食 べる と 回 答 し, ほとんど 食 べない はわずか 3.8%であった この 22) 数 値 は, 平 成 19 年 国 民 健 康 栄 養 調 査 の 朝 食 の 欠 食 率 (15-19 歳 女 )の 11.5%と 比 べると, 非 常 に 低 い 結 果 となった よって, 朝 食 の 摂 取 頻 度 が 高 いことか
8 表 5 食 品 表 示 の 利 用 全 体 (104) 自 宅 (64) 住 居 形 態 下 宿 (40) 1 菓 子 類 日 付 いつも 見 る 52.9 50.0 57.5 時 々 見 る 27.9 35.9 15.0 見 ない 19.2 14.1 27.5 原 材 料 いつも 見 る 23.1 20.3 27.5 時 々 見 る 42.3 50.0 30.0 見 ない 34.6 29.7 42.5 添 加 物 いつも 見 る 15.4 14.1 17.5 時 々 見 る 43.3 45.3 40.0 見 ない 41.3 40.6 42.5 保 存 注 意 いつも 見 る 25.0 25.0 25.0 時 々 見 る 41.3 45.3 35.0 見 ない 33.7 29.7 40.0 栄 養 成 分 いつも 見 る 41.3 43.8 37.5 時 々 見 る 40 43.8 35 見 ない 18.3 12.5 27.5 2 牛 乳 乳 製 品 日 付 いつも 見 る 85.6 82.8 90.0 時 々 見 る 9.6 12.5 5.0 見 ない 4.8 4.7 5.0 原 材 料 いつも 見 る 16.3 14.1 20.0 時 々 見 る 41.3 45.3 35.0 見 ない 42.3 40.6 45.0 添 加 物 いつも 見 る 11.5 6.3 20.0 時 々 見 る 37.5 46.9 22.5 見 ない 51.0 46.9 57.5 保 存 注 意 いつも 見 る 31.7 29.7 35.0 時 々 見 る 35.6 42.2 25.0 見 ない 32.7 28.1 40.0 栄 養 成 分 いつも 見 る 34.6 32.8 37.5 時 々 見 る 37.5 45.3 25.0 見 ない 27.9 21.9 37.5 3マヨネーズ ドレッシング 類 日 付 いつも 見 る 時 々 見 る 59.6 25.0 50.0 31.3 75.0 15.0 見 ない 15.4 18.8 10.0 原 材 料 いつも 見 る 11.5 4.7 22.5 時 々 見 る 41.3 48.4 30.0 見 ない 47.1 46.9 47.5 添 加 物 いつも 見 る 11.5 6.3 20.0 時 々 見 る 36.5 40.6 30.0 見 ない 51.9 53.1 50.0 保 存 注 意 いつも 見 る 24.0 20.3 30.0 時 々 見 る 38.5 40.6 35.0 見 ない 37.5 39.1 35.0 栄 養 成 分 いつも 見 る 32.7 26.6 42.5 時 々 見 る 32.7 39.1 22.5 見 ない 34.6 34.4 35.0 4 調 理 食 品 日 付 いつも 見 る 83.7 76.6 95.0 時 々 見 る 11.5 15.6 5.0 見 ない 4.8 7.8 0.0 原 材 料 いつも 見 る 30.8 26.6 37.5 時 々 見 る 32.7 37.5 25.0 見 ない 36.5 35.9 37.5 添 加 物 いつも 見 る 20.2 17.2 25.0 時 々 見 る 37.5 40.6 32.5 見 ない 42.3 42.2 42.5 保 存 注 意 いつも 見 る 29.8 29.7 30.0 時 々 見 る 34.6 34.4 35.0 見 ない 35.6 35.9 35.0 栄 養 成 分 いつも 見 る 40.4 37.5 45.0 時 々 見 る 35.6 42.2 25.0 見 ない 24.0 20.3 30.0 p < 0.05 :Not Significant (%) p 値
女 子 大 学 生 の 自 宅 生 と 下 宿 生 における 食 生 活 の 現 状 と 課 題 9 表 6 食 品 表 示 への 意 識 (%) 住 居 形 態 全 体 (104) 自 宅 (64) 下 宿 (40) p 値 食 生 活 の 改 善 に 役 立 つか とても 役 立 つ 34.6 39.1 27.5 どちらかといえば 役 立 つ 58.7 54.7 65.0 役 立 たない 0.0 0.0 7.5 分 からない 6.7 6.3 16.7 内 容 の 理 解 よく 理 解 できる 5.8 6.3 5.0 理 解 できる 42.3 42.2 42.5 少 し 理 解 できる 41.3 40.6 42.5 理 解 できにくい 10.6 10.9 10.0 利 用 のしやすさ とてもしやすい 9.6 9.4 10.0 しやすい 51.9 56.3 45.0 あまりしやすくない 31.7 26.6 40.0 しにくい 6.7 7.8 5.0 利 用 の 面 倒 さ 思 わない 23.1 26.6 17.5 あまり 思 わない 55.8 48.4 67.5 少 し 思 う 18.3 20.3 15.0 とても 思 う 2.9 4.7 0.0 :Not Significant ら, 本 学 の 女 子 学 生 は, 朝 食 を 毎 日 食 べることが 習 慣 となっていることが 推 測 される しかし, 大 学 生 の 生 活 習 慣 及 び 食 生 活 の 変 化 は,それぞれが 密 接 に 関 連 し 20) ており, 下 宿 生 では, 不 規 則 な 就 寝 22) 食 事 及 び 起 床 時 間 や によって 生 活 のリズムが 乱 れ, 不 健 康 な 大 学 生 の 増 加 が 指 摘 されている 本 学 の 女 子 大 学 生 において も, 今 後 の 食 生 活 の 状 態 によっては, 朝 食 の 欠 食 率 の 増 加 など 健 康 への 影 響 が 懸 念 される 女 子 大 学 生 の 食 生 活 については, 男 子 大 学 生 より 14), 食 に 関 する QOL, 朝 食 を 毎 日 食 べる 頻 度, 主 食 主 菜 副 菜 の 摂 取, 食 事 作 りへの 参 加 及 びその 技 術 の 習 得 が 高 いことからも, 女 子 大 学 生 に 対 する 食 生 活 の 食 育 活 動 は, 男 子 大 学 生 より 比 較 的 実 行 しやすいと 考 える 18) 食 生 活 指 針 や 対 象 者 別 の 指 針 は, 各 自 が 食 生 活 改 善 に 取 り 組 めるように,そして, 個 人 の 特 性 に 応 じた 食 生 活 の 目 標 として 策 定 されている また, 近 年,が ん, 心 臓 病, 糖 尿 病 などの 生 活 習 慣 病 が 大 きな 健 康 問 題 であり,その 予 防 のために 食 生 活 の 改 善 はますます 重 要 となってきており, 具 体 的 に 実 践 できる 目 標 とし て 展 開 されている 今 回 の 調 査 で, 食 生 活 指 針 に 関 す る 態 度 の 中 で, 食 生 活 の 見 直 しの 項 目 については, 下 宿 生 は いつも 気 をつけている, 時 々 気 をつけてい る の 各 回 答 が 自 宅 生 より 有 意 に 多 く, 各 自 が 調 理 担 当 者 であるために, 食 生 活 の 見 直 しについて 考 慮 して いることが 示 唆 された 女 子 大 学 生 では, 食 生 活 指 針 に 関 する 態 度 の 多 くの 項 目 において, 男 子 大 学 生 より 意 識 が 高 いことから 14), 適 切 な 食 生 活 やその 維 持 のた めの 食 育 活 動 を 行 うにあたり, 食 生 活 指 針 の 使 用 に 有 用 性 があると 思 われる 地 域 産 物 の 活 用 については いつも 心 がけている, 時 々 心 がけている と 回 答 した 女 子 大 学 生 は,2 割 にも 満 たず, 近 年,その 地 域 で 生 産 されたものをその 地 域 で 消 費 することを 基 本 と
10 した 地 産 地 消 の 取 り 組 みが 推 進 されているにも 関 わら ず, 反 映 されていないことが 明 らかになった この 低 い 数 値 は, 下 宿 生 の 場 合, 県 内 で 生 産 された 農 産 物 や 水 産 物 を 知 らないことや, 地 域 生 産 物 の 商 品 について は, 輸 入 食 材 より 値 段 が 高 いため 毎 日 の 食 事 に 使 用 す ることが 困 難 であることが 考 えられる また, 児 童 や 学 生 を 対 象 に 文 部 科 学 省 より, 食 育 運 動 の 指 導 などが 行 われているが 23),24), 前 述 の 食 生 活 指 針 の 地 産 地 消 の 取 り 組 みと 同 様 に, 栄 養 の 知 識 についても 女 子 大 学 生 に 周 知 されていないことも 明 らかになった 近 頃, 核 家 族 化 や 共 働 きなどで 母 親 が 多 忙 で 料 理 作 りを 担 当 しないケースもあり, 母 親 から 娘 へ 食 事 作 り の 継 承 が 困 難 になり, 娘 が 一 人 で 調 理 をする 体 験 が 極 めて 少 なく,そのために 思 春 期 及 び 青 年 期 の 食 生 活 は, 調 理 技 術 やその 知 識 が 乏 しいため 25), 食 に 関 する QOL についての 満 足 度 や 主 菜 の 摂 取 の 割 合 も 低 く, 食 べる ことへの 関 心 が 薄 れてきていると 思 われる 今 回 の 調 査 では, 女 子 大 学 生 の 自 宅 生 の 約 2 3 割 が 食 事 作 り への 参 加 やその 技 術 がなく, 調 理 担 当 者 の 食 事 にゆだ ねられていることや, 食 生 活 の 見 直 しについても 半 数 が 特 に 気 にしていないことを 考 えると, 学 生 が 望 まし い 食 生 活 を 進 めていくための 食 事 作 りの 技 術 や 食 品 の 知 識 を 身 につけることが 重 要 となる 特 に, 若 い 女 性 の 食 生 活 は, 自 分 の 体 型 認 識,やせ 志 向,ダイエット など, 今 後 の 摂 取 する 食 事 の 内 容 に 大 きく 影 響 してく る 10) 将 来, 女 子 大 学 生 の 多 くが, 新 しい 家 庭 を 築 き, 母 親 になり 子 どもの 養 育 も 含 め 家 族 全 体 の 健 康 や 食 事 の 管 理 を 担 う 立 場 になることからも, 適 切 な 知 識 を 理 解 することが 重 要 である 2. 食 品 表 示 の 利 用 と 食 品 表 示 への 意 識 につ いて 食 の 安 全 面 から, 食 品 選 択 の 基 準 として 食 品 表 示 を 見 る 機 会 が 多 くなってきているが, 外 食 や 食 品 を 購 入 する 際 に 栄 養 成 分 表 示 を 参 考 にする 女 性 の 割 合 は 49%であり, 約 2 人 に1 人 が 参 考 にしている 26) 今 回 の 調 査 から, 食 品 表 示 の 利 用 について 日 付 の 項 目 では いつも 見 る の 割 合 は,1 菓 子 類 57.5%,3マヨネー ズ ドレッシング 類 75.0%,4 調 理 食 品 95.0%を 示 し, 下 宿 生 は 自 宅 生 と 比 較 して 有 意 に 高 く, 食 品 を 購 入 す る 際 に 日 付 を 見 ていることが 明 らかになった 2 牛 乳 乳 製 品 については, 自 宅 生 及 び 下 宿 生 の 間 には 差 がなく,8 割 以 上 の 学 生 が 日 付 を いつも 見 る と 回 答 していることから, 他 の 食 品 より 賞 味 期 限 や 消 費 期 限 が 比 較 的 短 く, 品 質 の 低 下 が 早 いために 日 付 を 確 認 して 購 入 していると 考 えられる 4 調 理 食 品 の 日 付 に ついては 有 意 な 差 を 認 めなかったが, 前 述 の 牛 乳 乳 製 品 と 同 様 に, 自 宅 生 においても 約 8 割 が 日 付 を 見 て いた 2 牛 乳 乳 製 品 については 添 加 物 の 項 目 と,3 マヨネーズ ドレッシング 類 については 原 材 料 の 項 目 が,それぞれ 下 宿 生 で いつも 見 る 割 合 が 自 宅 生 よ り 高 いことが 明 らかとなった これは 下 宿 生 では 食 事 作 り 担 当 が 本 人 のために, 購 入 時 に 食 品 表 示 の 日 付, 原 材 料, 添 加 物 を 見 る 機 会 が 多 く 習 慣 になっていると 考 えられる 食 品 表 示 の 見 方 に 関 する 調 査 では,その 調 査 対 象 や 方 法 により 結 果 が 異 なると 考 えられるが, 消 費 者 の9 割 が 日 付 の 項 目 をよくみていること, 次 に, 安 全 性 に 高 い 関 心 をもち 原 材 料 や 添 加 物 をみている 点 は, 広 い 世 代 を 対 象 とした 調 査 に 共 通 している 27),28) 食 品 表 示 が 食 生 活 の 改 善 に 役 立 つと9 割 以 上 が 回 答 を 示 し, 他 の 報 告 と 似 た 結 果 となった 26)-28) その 食 品 表 示 については, 内 容 の 理 解 が 困 難, 利 用 し 難 い, 利 用 が 面 倒 であるなどの 回 答 も 2 5 割 存 在 し, 食 品 表 示 を 十 分 に 活 用 していないことが 理 解 でき, 他 の 結 果 と 同 様 の 傾 向 を 示 した 7)-13) 国 民 健 康 栄 養 調 査 より, 食 習 慣 で 改 善 したいことの 問 いに 食 品 を 選 んだり, 食 事 のバランスを 整 えるのに 困 らない 知 識 や 技 術 を 身 につける と 回 答 した 割 合 が 多 いことを 踏 まえると 29), 下 宿 生 の 食 生 活 は 自 己 管 理 となるため, 食 品 表 示 を 適 切 に 活 用 できるように 食 に 関 する 教 育 を 行 う 必 要 があ る 20 歳 代 の 女 性 の5 人 に1 人 が,ほとんど 毎 日 1 回 以 上 市 販 の 弁 当 や 外 食 を 利 用 していること 30), 女 子 大 学 生 では, 菓 子 類, 牛 乳 乳 製 品 の 食 品 表 示 について エネルギー, 脂 質, 炭 水 化 物,カルシウムなどを 参 考 にしていること 30),そして, 体 型 が 太 り 気 味, 又 は 太 っ ていると 認 識 している 学 生 ほど 食 品 表 示 への 関 心 が 高
女 子 大 学 生 の 自 宅 生 と 下 宿 生 における 食 生 活 の 現 状 と 課 題 11 く, 購 入 時 の 食 品 表 示 の 見 方 や 購 入 の 基 準 選 択 との 間 に 有 意 な 関 連 性 が 確 認 されている 12) また, 女 子 大 学 生 は 男 子 大 学 生 より 14), 食 品 表 示 の 利 用 について い つも 見 ている ことや, 食 品 表 示 への 意 識 についても 高 いことから, 女 子 大 学 生 では, 摂 取 する 食 べ 物 がそ のまま 体 型 に 反 映 されると 考 え, 食 品 表 示 を 見 る 割 合 が 高 いと 推 測 される 食 品 表 示 の 利 用 やその 意 識 が 低 い 自 宅 生 に 対 して は, 健 康 的 な 体 型 やダイエットの 維 持 につながること などを 踏 まえて 食 品 表 示 を 活 用 しながら, 食 品 表 示 へ 関 心 を 高 めていきたい 一 方, 今 まで 通 り 食 品 表 示 へ の 意 識 が 高 い 下 宿 生 に 対 しては, 健 康 的 な 食 生 活 の 維 持 推 進 を 図 るために, 引 き 続 き 食 品 表 示 を 活 用 してい きたい 謝 辞 本 調 査 に 際 し,ご 協 力 頂 きました 鈴 鹿 医 療 科 学 大 学 学 生 の 皆 様 に 感 謝 致 します 文 献 1) 今 田 純 雄 : 青 年 期 の 食 行 動, 食 べる 食 行 動 の 心 理 学 / 中 島 義 明, 今 田 純 雄 編, 培 風 館, 東 京, 114-131,1996. 2) 西 平 直 喜 : 子 どもの 発 達 と 教 育 6 青 年 期 発 達 段 階 と 教 育, 岩 波 書 店,3-56,1974. 3) 厚 生 労 働 省 健 康 局 総 務 課 生 活 習 慣 病 対 策 室 : 平 成 18 年 国 民 健 康 栄 養 調 査 結 果,2008. 4) 池 田 順 子, 米 山 京 子, 永 田 久 紀 : 中 学 生 の 食 生 活, 生 活 習 慣 と 血 液 検 査 および 疲 労 自 覚 症 状 との 関 連, 日 本 栄 養 食 糧 学 会 誌,47,131-138,1994. 5) 健 康 栄 養 情 報 研 究 会 編 : 国 民 栄 養 の 現 状 平 成 8 年 厚 生 労 働 省 国 民 栄 養 調 査 結 果, 第 一 出 版, 東 京, 1998. 6) 厚 生 省 :21 世 紀 における 国 民 健 康 づくり 運 動 ( 健 康 日 本 21)の 推 進 について, 健 医 発 第 612 号,2000. 7) 健 康 栄 養 情 報 研 究 会 編 : 国 民 栄 養 の 現 状 平 成 12 年 厚 生 労 働 省 国 民 栄 養 調 査 結 果, 第 一 出 版, 東 京, 55-56,2002. 8) 商 品 科 学 研 究 所 : 加 工 食 品 の 栄 養 成 分 表 示,Tow Way 生 活 情 報 号,10 月 号,15-20,1994. 9) 坂 本 元 子, 杉 浦 加 奈 子, 香 川 芳 子 他 : 栄 養 成 分 表 示 の 認 知 度 について, 日 本 栄 養 食 糧 学 会 誌,54, 311-317,2001. 10) 田 中 恵 子, 池 田 順 子 : 食 品 表 示 教 育 に 関 する 研 究 女 子 学 生 の 食 品 表 示 の 見 方 と 活 用 について, 栄 養 学 雑 誌,57,343-354,1999. 11) 西 尾 素 子, 足 立 己 幸 : 女 子 大 学 生 の 栄 養 成 分 表 示 の 利 用 行 動 と 態 度 の 関 連, 女 子 栄 養 大 学 紀 要,33, 103-111,2002. 12) 田 中 恵 子, 池 田 順 子 : 女 子 短 大 生 の 栄 養 成 分 表 示 の 活 用 段 階 と 関 連 要 因 について, 栄 養 学 雑 誌,64, 45-53,2005. 13) 西 尾 素 子, 足 立 己 幸 : 栄 養 表 示 利 用 行 動 と 食 生 活 および 健 康 との 関 連 に 関 する 研 究 男 子 大 学 生 につ いての 検 討, 栄 養 学 雑 誌,64,261-271,2006. 14) 石 原 領 子, 酒 井 香 江, 高 木 久 代, 堀 田 千 津 子 : 男 子 大 学 生 における 食 生 活 の 現 状 と 課 題 自 宅 生 と 下 宿 生 での 検 討, 鈴 鹿 医 療 科 学 大 学 紀 要,16,35-45, 2009. 15) 健 康 栄 養 情 報 研 究 会 編 : 国 民 栄 養 の 現 状 平 成 14 年 厚 生 労 働 省 国 民 栄 養 調 査 結 果, 第 一 出 版, 東 京, 2004. 16) 平 田 純 子, 桑 野 稔 子 : 若 年 男 性 の 食 生 活 実 態 にお ける 栄 養 教 育 の 検 討, 岐 阜 女 子 大 学 紀 要,31,93-98, 2001. 17) 村 上 亜 由 美, 苅 安 利 枝, 岸 本 三 香 子 : 大 学 生 にお ける 食 生 活 の 特 徴 と 心 身 愁 訴, 福 井 大 学 教 育 地 域 学 部 紀 要,44,1-18,2005. 18) 文 部 省, 厚 生 省, 農 林 水 産 省 : 食 生 活 指 針,2000. 19) 第 一 出 版 編 集 部 編 : 厚 生 労 働 省 策 定 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 (2005 年 版 ), 第 一 出 版, 東 京,2005. 20) 樋 口 和 洋, 土 屋 基 : 本 学 学 生 の 生 活 実 態 と 身 体 状 況 に 関 する 研 究 自 宅 生 と 下 宿 生 の 比 較 を 中 心 に, 信 州 短 期 大 学 創 立 10 周 年 記 念 論 文 集,10(1-2), 179-188,1998. 21) 厚 生 労 働 省 健 康 局 総 務 課 生 活 習 慣 病 対 策 室 : 平 成
12 19 年 国 民 健 康 栄 養 調 査 結 果,2009. 22) 金 子 佳 代 子, 斉 藤 優 子 : 大 学 生 の 食 生 活 と 健 康 状 態 : 横 浜 国 大 学 生 の 実 態 調 査, 横 浜 国 立 大 学 教 育 紀 要,29,209-216,1989. 23) 文 部 科 学 省, 中 学 校 学 習 指 導 要 領 第 8 節,1998. 24) 文 部 科 学 省, 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 第 9 節,1999. 25) 堀 光 代, 平 島 円, 磯 辺 由 香 他 : 大 学 生 の 調 理 に 対 する 意 識 調 査, 岐 阜 市 立 女 子 短 期 大 学 研 究 紀 要,57,61-65,2008. 26) 厚 生 労 働 省 健 康 局 総 務 課 生 活 習 慣 病 対 策 室 : 平 成 16 年 国 民 健 康 栄 養 調 査 結 果,2006. 27) 大 江 秀 夫 : 栄 養 表 示 基 準 制 度 とその 経 過 について, 栄 養 学 雑 誌,55,101-110,1997. 28) 日 本 ケロッグ : 栄 養 成 分 と 健 康 意 識 に 関 する 調 査, 食 の 科 学,223,78-79,1996. 29) 厚 生 労 働 省 健 康 局 総 務 課 生 活 習 慣 病 対 策 室 : 平 成 17 年 国 民 健 康 栄 養 調 査 結 果,2007. 30) 厚 生 労 働 省 健 康 局 総 務 課 生 活 習 慣 病 対 策 室 : 平 成 12 年 国 民 健 康 栄 養 調 査 結 果,2002.
女 子 大 学 生 の 自 宅 生 と 下 宿 生 における 食 生 活 の 現 状 と 課 題 13 Differencesin the dietary habitsof female students living alone versus those living with their families Eriko ISHIHARA, Kae SAKAI and Chizuko HOTTA Department of Clinical Nutrition, Faculty of Health Science, Suzuka University of Medical Science Key Words: food labeling, dietary habits, female students, dietary education Abstract Recently, it has been pointed out that there are many problems with the dietary habits of pubescent and adolescent females such as unbalanced diet, an increase in the number missing breakfast, and deficiencies in cooking skills. In particular, university students have many dietary issues because they are stressed bythe new university environment and what for many is their first time living away from home. Therefore, this period is very important in the development ofself-reliant dietary habits and selective eating behavior. We conducted a survey to understand the challenges relating to the dietary habits of female college students. The survey consisted of a QOL (Quality of Life) questionnaire on food and nutritional knowledge and guideline ofdietary habit and how they used food labeling. We divided the female students into two groups : those living with their families, and those living alone. Weexamined the female college students dietary habits and their eating behaviors by researching how they used food labeling, how much they knew about nutrition and their QOL related to food. The results were as follows : 1) Students living with their families ate proper meals more frequently and frequently and had a higher QOL related to food, compared to students living alone (p<0.05, p<0.01). However, student living with their families also report lower cooking skill and took part less frequently in meal preparation (p <0.05, p<0.01). 2) Students living alone were more likely to say that they always or sometimes changed their eating habits to meet guideline ofdietary habit (p<0.05). 3) Nutritional knowledge did not differ significantly between the two groups of female students. The public level of knowledge regarding
14 nutritional knowledge and guideline ofdietary habit were much poorer in the two groups of female students. 4) Students living alone were more likely to answer all the time when asked if they look at food labeling. 5) About ninety percent ofthe female students thought that food labeling was useful for managing their dietary habits, but most did not understand or use food labeling effectively.