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社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

●幼児教育振興法案

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    平成11年度余市町私立幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

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1. 本 市 の 保 育 所 運 営 費 と 保 育 料 の 現 状 2 (1) 前 回 (5/29 5/29) 児 童 福 祉 専 門 分 科 会 資 料 国 基 準 に 対 する 本 市 の 保 育 料 階 層 区 分 別 軽 減 率 国 基 準 に 対 する 本 市 の 保 育 料 階 層 区

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

(Microsoft Word - \220\305\220\247\211\374\220\263.doc)

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

減 少 率 ) と 平 均 余 命 の 伸 びを 勘 案 した 一 定 率 (0.3%) の 合 計 である スライド 調 整 率 を 差 し 引 いて 年 金 額 の 改 定 が 行 われる( 図 表 ) ただし マクロ 経 済 スライドが 完 全 に 実 施 されるのは 賃 金 や 物 価 があ

らの 内 容 について 規 定 することとしております 今 回 お 示 しする 整 理 は 現 時 点 の 案 ですので あらかじめご 承 知 おき 下 さい 同 令 等 の 改 正 規 定 が 確 定 し 次 第 改 めてご 連 絡 をさせていただきます 記 1 軽 減 措 置 の 具 体 的 な

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

小山市保育所整備計画

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第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

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厚 生 年 金 は 退 職 後 の 所 得 保 障 を 行 う 制 度 であり 制 度 発 足 時 は 在 職 中 は 年 金 を 支 給 しないこととされていた しかしながら 高 齢 者 は 低 賃 金 の 場 合 が 多 いと いう 実 態 に 鑑 み 在 職 者 にも 支 給 される 特 別

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

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国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

事務連絡

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新 市 建 設 計 画 の 変 更 に 係 る 新 旧 対 照 表 ページ 変 更 後 変 更 前 表 紙 安 中 市 松 井 田 町 合 併 協 議 会 安 中 市 松 井 田 町 合 併 協 議 会 平 成 27 年 3 月 変 更 安 中 市 6 2. 計 画 策 定 の 方 針 (3) 計

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ほかに パート 従 業 員 らの 厚 生 年 金 加 入 の 拡 大 を 促 す 従 業 員 五 百 人 以 下 の 企 業 を 対 象 に 労 使 が 合 意 すれば 今 年 十 月 から 短 時 間 で 働 く 人 も 加 入 できる 対 象 は 約 五 十 万 人 五 百 人 超 の 企 業


公 的 年 金 等 控 除 額 とは 年 金 収 入 から 差 し 引 くことのできる 金 額 で 差 引 後 の 金 額 が 雑 となります 公 的 年 金 等 収 入 金 額 - 公 的 年 金 等 控 除 額 = 雑 これまでは この 公 的 年 金 等 控 除 額 は 65 歳 以 上 の

申 請 免 除 申 請 免 除 ( 学 生 以 外 ) 学 生 納 付 特 例 制 度 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 法 定 免 除 世 帯 構 成 図 表 1 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 の 種 類 と 所 得 基 準 本 人 世 帯 主 配 偶 者 の 所 得 に 応 じて 免

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越前米

不 動 産 所 得 の 赤 字 < 土 地 等 の 取 得 の 負 債 利 子 なら 300 万 500 万 不 動 産 所 得 の 赤 字 300 万 のうち 利 子 分 の500 万 は 通 算 できない = 赤 字 分 の300 万 は 全 額 通 算 できないことになる = 損 益 通 算

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

ただし 平 成 26 年 1 月 から3 月 までの 間 に 失 職 し 平 成 26 年 4 月 以 降 も 引 き 続 き 失 職 している 場 合 ( 平 成 26 年 度 に 新 入 学 ( 編 転 入 学 を 含 む )をした 者 であって 平 成 25 年 度 に 私 立 高 校 等 に

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

Taro-H26改正_溶け込み_中学授業

年 金 払 い 退 職 給 付 制 度 における 年 金 財 政 のイメージ 積 立 時 給 付 時 給 付 定 基 (1/2) で 年 金 を 基 準 利 率 で 付 利 給 付 定 基 ( 付 与 利 の ) 有 期 年 金 終 身 年 金 退 職 1 年 2 年 1 月 2 月 ( 終 了 )

1 支 給 認 定 新 制 度 では 幼 稚 園 ( 新 制 度 に 移 行 する 幼 稚 園 のことで 以 下 同 じ) を 利 用 する 場 合 には お 住 まいの 市 町 村 から 支 給 認 定 証 の 交 付 を 受 ける 必 要 があります 認 定 の 区 分 は 年 齢 や 保 育

003-00個人の健康増進・疾病予防の推進のための所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

給 与 所 得 控 除 控 除 額 の 計 算 については 次 のとおりです 給 与 等 の 収 入 金 額 給 与 所 得 控 除 額 180 万 円 以 下 の 場 合 180 万 円 を 超 え 360 万 円 以 下 の 場 合 360 万 円 を 超 え 660 万 円 以 下 の 場 合

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給 与 所 得 控 除 所 得 税 の 簡 易 給 与 所 得 表 により 給 与 所 得 の 金 額 を 求 めますが 控 除 額 の 計 算 については 次 のとおりです 給 与 等 の 収 入 金 額 給 与 所 得 控 除 額 180 万 円 以 下 の 場 合 180 万 円 を 超 え

資料2 利用者負担(保育費用)

資料2 年金制度等について(山下委員提出資料)

Taro-29職員退職手当支給規程

(2) 国 民 年 金 の 保 険 料 国 民 年 金 の 第 1 号 被 保 険 者 および 任 意 加 入 者 は, 保 険 料 を 納 めなければなりま せん また,より 高 い 老 齢 給 付 を 望 む 第 1 号 被 保 険 者 任 意 加 入 者 は, 希 望 により 付 加 保 険

ア. 市 長 事 務 部 及 び 行 政 委 員 会 等 の 状 況 職 員 数 給 与 費 (A) 給 料 期 末 勤 勉 その 他 の 手 当 手 当 計 (B) 17,942 (9) 73,455,664 29,765,941 25,618, ,839,830 ( 注 )1. 職



PR版

H25要綱本文

川越市幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

2 1.ヒアリング 対 象 (1) 対 象 範 囲 分 類 年 金 医 療 保 険 雇 用 保 険 税 備 考 厚 生 年 金 の 資 格 喪 失 国 民 年 金 の 加 入 老 齢 給 付 裁 定 請 求 など 健 康 保 険 の 資 格 喪 失 国 民 健 康 保 険 の 加 入 健 康 保 険

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

賦課の根拠となった法律及び条例(その2)

2 前 項 に 定 める 日 に 支 給 する 給 与 は 総 額 給 与 を12 分 割 した 額 ( 以 下 給 与 月 額 という ) 扶 養 手 当 住 居 手 当 通 勤 手 当 単 身 赴 任 手 当 寒 冷 地 手 当 及 び 業 績 手 当 並 びに 前 月 分 の 超 過 勤 務

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第2分野 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革

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2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

m07 北見工業大学 様式①

子ども手当・高校無償化と税制改正の影響(詳細版)

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

平成16年度

賦課の根拠となった法律及び条例(その2)

[ 組 合 員 期 間 等 の 特 例 ] 組 合 員 期 間 等 については 年 齢 職 種 などにより 過 去 の 制 度 からの 経 過 措 置 が 設 けられ ており 被 用 者 年 制 度 の 加 入 期 間 ( 各 共 済 組 合 の 組 合 員 期 間 など)については 生 年 月 日

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

資料2-2 定時制課程・通信制課程高等学校の現状

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情 報 通 信 機 器 等 に 係 る 繰 越 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 計 算 上 控 除 される 金 額 に 関 する 明 細 書 ( 付 表 ) 政 党 等 寄 附 金 特 別 控 除 額 の 計 算 明 細 書 国 庫 補 助 金 等 の 総 収 入 金 額 不 算 入 に 関

別紙3

注 雇 促 進 税 制 と 本 制 度 のどちらかを 利 する 可 能 性 があるが あらかじめどちらの 制 度 を 利 するか 判 断 できない という 場 合 雇 促 進 税 制 の 事 前 届 出 ( 雇 促 進 計 画 の 提 出 )をした 上 で 申 告 の 際 にどちらを 利 するかご

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復興特別法人税の前倒し廃止の検討

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

○00106 年俸制適用職員給与規則( 改正)

課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

Transcription:

経 済 トレンド 子 ども 手 当 ての 意 義 を 考 える ~ 拙 速 な 廃 止 は 将 来 の 労 働 力 を 質 量 の 両 面 から 減 少 させることに~ 経 済 調 査 部 柵 山 順 子 ( 要 旨 ) 東 日 本 大 震 災 の 復 興 財 源 案 の 一 つとして 子 ども 手 当 ての 廃 止 が 議 論 されている 子 ども 手 当 て 廃 止 が 様 々な 世 帯 にどのような 影 響 を 及 ぼすのかを 確 認 し 子 ども 手 当 ての 意 義 を 確 認 したい 子 ども 手 当 て 導 入 の 目 的 は 1 の 対 象 拡 大 給 付 額 増 額 2 高 所 得 者 に 有 利 とされる 扶 養 控 除 から 直 接 給 付 への 切 り 替 え であった 1は 少 子 化 対 策 であり 2は 再 分 配 政 策 である そのため 子 ども 手 当 て 導 入 により は 吸 収 され 年 少 扶 養 控 除 は 廃 止 された 仮 に 今 後 復 興 財 源 として 子 ども 手 当 てが 廃 止 され が 復 活 した 場 合 子 育 て 世 帯 の 可 処 分 所 得 がどのように 変 化 するのか 見 てみると 年 収 3 万 円 以 上 世 帯 で 扶 養 控 除 廃 止 分 従 来 よりも 給 付 が 減 少 する 高 所 得 者 層 や の 対 象 ではなかった 中 学 の 子 を 持 つ 世 帯 では 負 担 が 増 加 する 子 ども 手 当 てにおいて 給 付 対 象 を 中 学 に 拡 大 したことは 意 味 が 大 きい 給 与 水 準 が 切 り 下 がる 中 学 習 費 負 担 は 中 学 から 大 幅 に 上 昇 する そうした 中 授 業 内 容 の 高 度 化 もあり 追 加 的 な 学 習 費 を 負 担 できる 家 庭 とそうでない 家 庭 の 間 での 教 育 格 差 が 目 立 ち 始 める 時 期 だからである 子 ども 手 当 てについては 所 得 制 限 のあり 方 や 労 働 市 場 改 革 の 進 展 度 合 いなどを 考 慮 しながら 制 度 改 革 をする 必 要 はある 具 体 的 には 扶 養 控 除 廃 止 分 の 一 定 額 + 所 得 逓 減 型 の 給 付 にし 給 付 付 き 税 額 控 除 に 収 束 させることが 一 案 となろう 若 年 層 の 雇 用 が 不 安 定 化 する 中 で 育 児 負 担 を 分 かちあうこと や 高 所 得 層 に 有 利 な 制 度 の 見 直 しなど 趣 旨 は 正 しいと 思 われ 拙 速 な 廃 止 は 日 本 の 中 長 期 的 な 成 長 観 点 からみると 問 題 だ 1. 復 興 財 源 として 見 直 しが 検 討 される 子 ども 手 当 て 29 年 民 主 党 政 権 になり 目 玉 政 策 とされ た 子 ども 手 当 て であるが 11 年 度 につい ては 実 施 が 危 ぶまれる 状 況 が 続 いた とりあ えず 11 年 9 月 までは 実 施 の 目 処 がたったも のの 東 日 本 大 震 災 の 復 興 財 源 として 1 月 以 降 の 廃 止 縮 小 が 再 び 議 論 されている 本 レポートでは 仮 に 1 月 に 子 ども 手 当 て が 廃 止 され が 復 活 した 場 合 に そ うした 政 策 変 化 が 子 育 て 世 帯 の 所 得 にどのよ うな 変 化 を 与 えるのかをみた 上 で 子 ども 手 当 ての 意 義 や 問 題 点 を 確 認 する そして 復 興 財 源 として 廃 止 などを 検 討 するのであれば どのような 問 題 点 を 認 識 しておくべきかを 再 確 認 する また 復 興 後 を 見 据 えた 中 長 期 的 な 視 点 からみて 子 ども 手 当 てのあり 方 を 考 え ることとしたい 2. 子 ども 手 当 て 導 入 の 経 緯 はじめに 子 ども 手 当 て 導 入 の 目 的 を 確 認 し たい 9 年 に 発 表 された 民 主 党 のマニフェスト によると 子 育 ての 心 配 をなくし みんなに 教 育 のチャンスを 与 えます 社 会 全 体 で 子 育 てする 国 にします という 目 標 のもと 子 ど も 手 当 ての 導 入 高 校 授 業 料 の 無 償 化 大 学 な どの 奨 学 金 制 度 拡 大 の 実 施 が 挙 げられた 子 ど も 手 当 てに 関 する 各 論 をみると 政 策 目 的 は 次 第 一 命 経 済 研 レポート 211.6

代 の 社 会 を 担 う 子 ども1 人 ひとりの 育 ちを 社 会 全 体 で 応 援 する 子 育 ての 経 済 的 負 担 を 軽 減 し 安 心 して 出 産 し 子 どもが 育 てられる 社 会 をつくる とされている つまり 子 ども 手 当 て 導 入 には 日 本 の 将 来 のためには 子 どもが 必 要 であり 子 育 て 費 用 は 広 く 社 会 で 負 担 しよ うという 意 図 があった そのため か ら 額 を 増 額 し 対 象 を 中 学 にまで 拡 大 した 一 方 で 具 体 策 として 相 対 的 に 高 所 得 者 に 有 利 な 所 得 控 除 から 中 低 所 得 者 に 有 利 な 手 当 てなどに 切 り 替 える とされた つまり 子 ども 手 当 てで 所 得 制 限 が 撤 廃 されたのは 扶 養 控 除 の 廃 止 とセットであったためだ 結 果 とし て ( 所 得 制 限 あり)+ 扶 養 控 除 ( 高 所 得 層 に 有 利 )が 子 ども 手 当 て( 所 得 制 限 なし) に 一 本 化 されたということだ このように 子 ど も 手 当 ての 導 入 には 1 からの 対 象 支 給 額 の 拡 大 という 少 子 化 対 策 2 控 除 から 給 付 への 切 り 替 えといった 所 得 再 分 配 的 な 狙 いの 2つがあった こうして 漕 ぎ 出 した 子 ども 手 当 てであるが 当 初 から 導 入 に 難 航 した 初 年 度 1 年 度 はとり あえず 成 立 したものの 当 初 想 定 していた 配 偶 者 控 除 廃 止 が 難 航 し 財 源 の 目 処 が 経 たない 中 1 年 6 月 には 早 くも 11 年 度 からの 26, 円 へ の 増 額 を 断 念 せざるを 得 なくなった 年 少 扶 養 控 除 の 廃 止 に 伴 い 月 額 13, 円 のままでは 従 来 が 1, 円 と 多 額 であった3 歳 未 満 児 童 について 給 付 が 減 るという 事 態 を 防 ぐため 3 歳 児 未 満 のみ 月 額 2, 円 に 増 額 する 案 も 出 たが 地 震 復 興 支 援 の 必 要 性 が 重 視 される 中 増 額 案 での 成 立 は 困 難 となり 月 額 13, 円 の ままで 延 長 期 間 半 年 のつなぎ 法 案 をどうにか 年 度 末 に 通 すという 綱 渡 りが 続 いた さらには 復 興 財 源 として 1 月 以 降 の 子 ども 手 当 て 廃 止 を 訴 える 声 が 出 てきており 子 ども 手 当 ての 先 行 きは 非 常 に 不 安 定 な 状 況 である そのような 中 ではあるが もう 一 方 の 所 得 控 除 の 廃 止 は 粛 々と 進 められており すでに 11 年 1 月 からは 所 得 税 における 年 少 扶 養 控 除 が 廃 止 され 12 年 6 月 には 住 民 税 における 年 少 扶 養 控 除 も 廃 止 される 見 込 みである 3. 子 ども 手 当 て 廃 止 が 可 処 分 所 得 に 与 え る 影 響 今 後 上 述 のような 制 度 変 更 が 実 施 された 場 合 各 世 帯 にどのような 影 響 がでるのか 試 算 し た 想 定 したのは 世 帯 主 と 専 業 主 婦 の 妻 子 1 人 の3 人 世 帯 である ここでは 制 度 の 変 遷 に 応 じて5つの 期 間 に 分 けた 19 年 度 までの 児 童 手 当 時 代 (3 歳 未 満 1, 円 3 歳 以 上 小 学 まで 5, 円 所 得 制 限 あり) 21 年 4 月 ~12 月 までの 子 ども 手 当 て 時 代 ( 中 学 まで 13, 円 所 得 制 限 なし) 3 子 ども 手 当 ての 支 給 と 所 得 税 扶 養 控 除 廃 止 が 行 われている 現 在 の3 期 と 今 後 については 子 ども 手 当 てが 廃 止 され が 復 活 すると 想 定 し 411 年 1 月 ~12 年 5 月 には の 支 給 と 所 得 税 扶 養 控 除 廃 止 の 継 続 512 年 6 月 以 降 についてはさら に 住 民 税 の 扶 養 控 除 も 廃 止 されると 仮 定 した そして この5 期 において 世 帯 の 可 処 分 所 得 が 支 援 策 によってどの 程 度 支 えられているのかを 子 どもの 年 齢 に 応 じた3つのケースで 試 算 した 世 帯 については 所 得 税 と 住 民 税 の 合 計 税 率 別 に 分 けている (1)3 歳 未 満 の 子 1 人 の 場 合 ( 資 料 1) 3 歳 未 満 の 子 の 場 合 の 給 付 が 1, 円 と 比 較 的 多 額 である それでも 扶 養 控 除 が 廃 止 される 影 響 で 差 し 引 きの 支 援 額 は 5, 円 程 度 へ 減 少 する さらに の 対 象 とならない 世 帯 においては 支 援 が 打 ち 切 ら れる 一 方 で 扶 養 控 除 が 廃 止 されるため 9 年 度 よりも 負 担 が 増 え 年 収 78 万 円 ~1,23 万 円 世 帯 では 月 に 1, 円 近 い 負 担 増 となる (2)3 歳 から 小 学 の 子 1 人 の 場 合 ( 資 料 2) 3 歳 から 小 学 の 子 の 場 合 の 給 付 が 5, 円 となる 非 課 税 世 帯 では 支 援 額 が 子 ども 手 当 て 13, 円 から 5, 円 に 減 少 する 課 税 世 帯 では 扶 養 控 除 廃 止 による 税 負 担 増 加 分 との 差 し 引 きでみると 支 援 がほ ぼゼロとなってしまうほか の 対 象 でない 世 帯 においては(1)の 場 合 同 様 9 年 度 より 月 に 1, 円 程 度 負 担 が 増 える 第 一 命 経 済 研 レポート 211.6

資 料 1 月 あたり 可 処 分 所 得 への 影 響 ( 主 婦 +3 歳 未 満 の 子 ) ( 円 ) 15 1 5 給 付 減 時 代 (29 年 度 まで) 子 ども 手 当 時 代 (21.4-12) -5-1 -15 非 課 税 世 帯 (3 万 円 以 下 ) 15% 世 帯 2% 世 帯 (3~6 万 円 ) (6~78 万 円 ) 所 得 税 と 住 民 税 の 合 計 税 率 負 担 増 3% 世 帯 (78~123 万 円 ) 子 ども 手 当 (211.1-9) (211.1-212.5) 住 民 税 控 除 廃 止 (212.6-) 資 料 2 月 あたり 可 処 分 所 得 への 影 響 ( 主 婦 +3 歳 ~ 小 学 の 子 ) ( 円 ) 15 時 代 (29 年 度 まで) 1 5 子 ども 手 当 時 代 (21.4-12) -5 子 ども 手 当 (211.1-9) -1 (211.1-212.5) -15 非 課 税 世 帯 (3 万 円 以 下 ) 15% 世 帯 (3~6 万 円 ) 所 得 税 と 住 民 税 の 合 計 税 率 2% 世 帯 (6~78 万 円 ) 3% 世 帯 (78~123 万 円 ) 住 民 税 控 除 廃 止 (212.6-) 資 料 3 月 あたり 可 処 分 所 得 への 影 響 ( 主 婦 + 中 学 の 子 ) ( 円 ) 15 1 5 時 代 (29 年 度 まで) 子 ども 手 当 時 代 (21.4-12) -5-1 子 ども 手 当 (211.1-9) (211.1-212.5) -15 非 課 税 世 帯 (3 万 円 以 下 ) 15% 世 帯 2% 世 帯 (3~6 万 円 ) (6~78 万 円 ) 所 得 税 と 住 民 税 の 合 計 税 率 3% 世 帯 (78~123 万 円 ) 住 民 税 控 除 廃 止 (212.6-) ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 筆 者 計 算 ( 注 ) 収 入 は 給 与 とし 給 与 所 得 控 除 基 礎 控 除 配 偶 者 控 除 配 偶 者 特 別 控 除 社 会 保 険 料 控 除 を 考 慮 した 社 会 保 険 料 は 収 入 の 13% とした 可 処 分 所 得 は 収 入 から 所 得 税 住 民 税 社 会 保 険 料 を 引 いたもの (3) 中 学 の 子 1 人 の 場 合 ( 資 料 3) 中 学 の 場 合 はそもそも の 対 象 で はないため 非 課 税 世 帯 で 支 援 ゼロ 課 税 世 帯 においては 扶 養 控 除 廃 止 分 だけ 9 年 度 より も 負 担 が 高 まる 年 収 3 万 円 ~6 万 円 程 度 という 子 育 て 世 帯 の 中 心 所 得 であり 高 所 得 とは 言 えない 世 帯 においても 月 に 5, 円 近 い 負 担 増 となる 第 一 命 経 済 研 レポート 211.6

これまで 見 てきた 推 移 は 税 率 ごとの 区 分 で あったが 実 際 には 所 得 控 除 の 廃 止 による 課 税 対 象 所 得 の 増 加 により これまで 非 課 税 世 帯 だった 世 帯 への 課 税 や 税 率 テーブルの 繰 り 上 がりの 影 響 で 大 幅 な 増 税 となる 世 帯 も 多 い 具 体 的 には 子 持 ち 世 帯 の 課 税 最 低 限 所 得 が 低 下 することにより 年 収 24~29 万 円 世 帯 で 最 大 年 間 6 万 円 の 増 税 となる また 税 率 テ ーブルの 繰 り 上 がりにより 年 収 55~6 万 円 世 帯 で 16 7 万 円 の 増 税 74~78 万 円 世 帯 では 4 万 円 を 超 える 大 幅 な 増 税 となる 以 上 の 試 算 をもとにすれば 年 少 扶 養 控 除 の 復 活 なしに 子 ども 手 当 ての 廃 止 ( の 復 活 )を 実 施 するなら 高 所 得 層 はもとよ り 3 万 円 ~6 万 円 という 多 くの 子 育 て 世 帯 でも 子 どもが3 歳 を 超 えると 給 付 がほぼゼ ロとなるなど 実 態 的 には3 歳 未 満 の 子 を 持 つ 世 帯 と 非 課 税 世 帯 のみへの 支 援 となる ま た の 対 象 とならない 中 学 以 上 で は 24 万 円 以 上 の 世 帯 では 子 ども 手 当 て 導 入 前 と 比 べると 負 担 増 となる さらに 課 税 対 象 所 得 の 増 加 により より 大 きな 負 担 増 を 強 いられる 世 帯 もでてくる 扶 養 控 除 の 廃 止 に あたっては これまで 所 得 制 限 のあった 児 童 手 当 の 所 得 制 限 のない 子 ども 手 当 てへの 変 更 がセットとなっていた 子 ども 手 当 てを 廃 止 し を 給 付 しても 所 得 控 除 の 廃 止 を 撤 回 することがなければ 子 育 て 世 帯 の 多 く で 支 援 減 負 担 増 となるのである 仮 に 年 少 扶 養 控 除 の 復 活 と とい う 対 応 にした 場 合 には 9 年 度 に 戻 るという ことで 給 付 額 は 低 下 するものの 新 たな 負 担 増 というような 問 題 の 多 くは 解 決 されるが そ れにより 捻 出 できる 財 源 は 8,~9, 億 円 程 度 にとどまる 4. 子 ども 手 当 ての 意 義 これまで 見 てきたとおり 子 ども 手 当 てを に 戻 すにあたっては 年 少 扶 養 控 除 の 廃 止 も 取 りやめなければ 問 題 が 多 く 一 方 で そうした 対 応 を 取 った 場 合 には 復 興 に 回 せる 財 源 が 限 定 的 になる にもかかわらず 増 税 の 前 にまずはこれら 政 策 の 廃 止 を 行 うべきと の 声 は 根 強 い ここではまずしばしば 目 にす る 子 ども 手 当 てへの 批 判 を 検 証 し 次 に 子 ど も 手 当 ての 意 義 を 確 認 したい (1) 子 ども 手 当 てに 向 けられる 批 判 1 所 得 制 限 を 付 与 すべきだ そもそも 子 ども 手 当 てにおいて 所 得 制 限 が 廃 止 されたのは 控 除 から 給 付 に 切 り 替 えることで 高 所 得 層 に 有 利 な 制 度 を 廃 止 しようという 狙 い があったからである 高 所 得 層 はその 分 高 額 の 税 負 担 軽 減 効 果 を 失 っており 差 し 引 きで 得 た 支 援 額 は 年 収 8 万 円 世 帯 で 月 に 3,5 円 年 収 1,2 万 円 世 帯 で 2,5 円 と 限 定 的 なもので ある 現 在 の 日 本 の 社 会 保 障 制 度 においては 将 来 世 代 が 現 役 世 代 の 年 金 など 社 会 保 障 を 賄 うこ とになり 高 所 得 層 の 子 であれ 将 来 の 私 たち の 社 会 保 障 を 支 えてくれる 人 材 であることに 変 わりはない また 子 どもは 将 来 の 日 本 経 済 活 性 化 の 源 泉 であることを 考 慮 するならば 高 所 得 層 だからという 理 由 で 子 育 て 支 援 の 給 付 を 批 判 することが どれほど 合 理 的 なことであるか は 疑 問 である 一 方 高 所 得 世 帯 に 給 付 制 限 をつけることで 子 ども 手 当 てをより 有 効 な 制 度 に 改 善 できる 可 能 性 は 十 分 にある 高 所 得 世 帯 においては 税 負 担 増 加 分 を 埋 め 合 わせる 程 度 の 給 付 に 押 さえ その 分 を 低 所 得 課 税 世 帯 に 手 厚 く 支 給 できれば より 良 い 制 度 となろう 2 子 どものために 使 われているのか 不 透 明 昨 年 12 月 に 公 表 された 厚 労 働 省 の 資 料 によ れば 子 ども 手 当 ての 使 途 ( 複 数 回 答 )として 1 位 に 挙 げられたのは 子 どもの 将 来 のための 貯 蓄 保 険 料 (41.6%)であり 4 位 には 家 庭 の 日 常 活 費 (13.8%)が 入 ったものの それを 除 けば7 位 までは 子 ども 向 けの 支 出 が 占 めた また では 対 象 にならなかった 中 学 の 子 がいる 世 帯 についてみれば 他 の 世 帯 で 貯 蓄 が1 位 となる 中 学 校 外 教 育 費 が1 位 となっている 後 述 の 通 り 中 学 校 時 代 は 世 帯 所 得 の 差 による 教 育 の 差 が 目 立 ち 始 める 時 期 で 第 一 命 経 済 研 レポート 211.6

あることを 考 えると こうした 傾 向 は 非 常 に 好 ましい 確 かに 教 育 など 一 定 の 目 的 にのみ 使 えるク ーポン 制 にすることは 検 討 に 値 するが 現 状 を 見 る 限 り そうした 対 応 をとらなくても 家 計 は 十 分 に 政 策 目 的 に 沿 った 行 動 をとっている 加 えて 使 途 を 子 どものために 限 定 利 用 できない 理 由 としては 家 計 に 余 裕 がないため (64.2%)が 圧 倒 的 に 多 い 子 育 て 世 帯 をとり まく 所 得 環 境 が 悪 化 していることを 考 慮 すれば 教 育 は 重 要 ではあるが 教 育 の 土 台 に 活 がある ことは 明 白 である 教 育 に 限 定 しないことで 支 援 できる 世 帯 もあり 現 金 支 給 であることに 問 題 はないと 思 われる 3 保 育 所 設 立 などの 方 が 効 果 的 だ OECDを 筆 頭 に 子 ども 手 当 てのような 現 金 給 付 よりも 保 育 所 整 備 などの 方 が 少 子 化 対 策 としての 効 果 も 高 いとする 研 究 は 多 い 筆 者 も 保 育 所 設 置 は 女 性 の 就 労 継 続 を 促 進 し 出 産 へのハードルを 下 げるという 意 味 で 非 常 に 重 要 であると 考 える しかし 日 本 の 現 実 をみると 保 育 所 設 置 だけで は 解 決 しない 問 題 も 多 い 育 児 休 業 制 度 などが 十 分 に 整 備 され 活 用 できる 大 企 業 正 規 雇 用 者 に 対 しては 保 育 所 設 営 による 支 援 は 意 味 が 大 きく 出 産 抑 制 を 軽 減 する 効 果 があるとみられる 一 方 で 育 児 休 業 制 度 の 活 用 がままならない 中 小 企 業 や 非 正 規 雇 用 の 労 働 者 においてはそもそも 妊 娠 や 出 産 と 同 時 に 退 職 することが 多 い けれ ども 出 産 を 機 に 退 職 した 女 性 の 再 就 職 は 非 常 に 困 難 であり その 障 害 は 保 育 所 への 入 園 が 難 しいからということに 限 らない 育 児 休 業 を 取 りやすい また 一 旦 退 職 しても 再 就 職 が 容 易 で あるような 労 働 市 場 への 改 革 が 進 まなければ 保 育 所 設 置 だけで 対 応 できる 世 帯 は 限 られる 母 親 の 就 業 環 境 が 十 分 に 整 備 された 後 には 徐 々に 資 金 を 直 接 給 付 から 保 育 所 設 置 や 学 童 保 育 の 充 実 へと 振 り 向 けることに 意 味 があるが そうした 労 働 環 境 の 整 備 が 十 分 でない 内 に 手 当 てを 保 育 所 設 置 に 切 り 替 えると 支 援 の 外 に 取 り 残 される 子 育 て 世 帯 が 多 数 出 ることになろう 現 段 階 で 給 付 を 打 ち 切 り 保 育 所 設 置 費 用 に 回 すというのは 時 期 尚 早 ではないだろうか さらに 諸 外 国 対 比 でみると 日 本 の 子 育 て 支 援 は 保 育 所 などへの 支 出 だけでなく 直 接 の 家 計 支 援 も 非 常 に 少 ない 直 接 給 付 か 保 育 所 設 営 かというのは 女 性 の 就 労 政 策 にも 絡 む 複 雑 な 問 題 であり 現 段 階 では 両 者 がそろわなけれ ば 子 育 て 世 帯 をカバーできない これらは 二 者 択 一 ではないのだ (2) 子 ども 手 当 ての 長 所 次 に 子 ども 手 当 ての 優 れている 点 について 見 てみたい 子 ども 手 当 てと を 比 較 す ると まず 給 付 額 の 拡 大 が 挙 げられる それ 自 体 も 重 要 ではあるが ここでは 中 長 期 的 な 日 本 経 済 の 成 長 に 資 する 点 として 給 付 対 象 を 中 学 までに 拡 大 したことを 評 価 したい 非 正 規 雇 用 の 増 加 や 賃 金 カーブのフラット 化 などを 背 景 に 子 育 て 世 帯 の 所 得 環 境 は 悪 化 傾 向 にある 例 えば 夫 婦 と 中 学 の 子 が1 人 とい 資 料 4 夫 婦 と 子 一 人 世 帯 : 世 帯 主 勤 め 先 収 入 資 料 5 夫 婦 と 子 一 人 世 帯 : 平 均 貯 蓄 率 (%) ( 月 万 円 ) 6 55 5 45 4 35 3 2 歳 以 下 3~6 歳 小 学 中 学 高 校 1999 24 29 大 学 ( 出 所 ) 総 務 省 全 国 消 費 実 態 調 査 ( 出 所 ) 総 務 省 全 国 消 費 実 態 調 査 2 15 1 5-5 -1-15 2 歳 以 下 3~6 歳 小 学 中 学 高 校 1999 24 29 大 学 第 一 命 経 済 研 レポート 211.6

う 世 帯 の 世 帯 主 の 収 入 についてみると この 1 年 で 月 に5 万 円 1 割 も 低 下 している( 資 料 4) こうした 中 塾 などの 学 校 以 外 の 学 習 費 の 負 担 が 高 まる 中 学 以 降 家 計 の 貯 蓄 率 は 低 下 し 始 め 高 校 大 学 入 学 時 には 赤 字 におちいる( 資 料 5) このような 苦 しい 家 計 状 況 の 結 果 学 習 費 を 十 分 にかけられる 世 帯 と 余 裕 のない 世 帯 との 間 に 教 育 格 差 が まれている そうした 差 は 小 学 の 間 は 目 立 たないが 塾 などの 活 用 が 増 える 中 学 になると 目 立 ち 始 める 平 成 22 年 度 全 国 学 力 学 習 状 況 調 査 の 結 果 によると 低 所 得 の ために 就 学 援 助 を 受 ける 徒 が 少 ないクラスほ どテストの 正 答 率 が 高 い 傾 向 にある こうした 傾 向 は 小 学 6 年 時 点 では 相 関 係 数 で.8 前 後 の 弱 いものであるが 中 学 3 年 になると.19 とかなり 強 い 相 関 を 示 す 科 目 が 出 てくる ( 資 料 6) 資 料 6 就 学 援 助 を 受 ける 徒 数 と 正 答 率 の 相 関 関 係.2.18.16.14.12.1.8.6.4.2. 小 学 中 学 国 語 A 国 語 B 算 数 A 算 数 B ( 出 所 ) 文 部 科 学 省 平 成 22 年 度 全 国 学 力 学 習 状 況 調 査 少 子 化 対 策 の 目 的 が 将 来 の 労 働 力 確 保 である とするならば 子 どもの 教 育 水 準 の 低 下 は 労 働 力 の 質 にかかわる 大 きな 問 題 である 前 述 の 通 り 中 学 の 子 を 持 つ 世 帯 において 子 ども 手 当 てが 教 育 費 に 使 われていることを 考 えると 教 育 費 負 担 がかさむ 中 学 世 帯 への 給 付 は 重 要 で あり 安 易 に へ 戻 るべきではない 5. 拙 速 な 廃 止 は 中 長 期 的 に 問 題 復 興 は 急 を 要 するものではあるが そのため に 日 本 の 中 長 期 的 課 題 に 逆 行 することは 望 まし くない また 本 来 復 興 財 源 は 専 ら 子 育 て 世 帯 に 負 担 させるのではなく 広 く 国 民 が 負 担 を するべきものである こうした 状 況 を 考 えると 仮 に 子 ども 手 当 てを 復 興 財 源 とするのであれば それが 非 常 事 態 の 対 応 であることを 認 識 しつつ その 状 態 を 長 期 化 させず 期 限 付 きとするべき であろう 加 えて 扶 養 控 除 が 廃 止 されている ことを 考 慮 し 特 に 新 たに 課 税 対 象 となる 低 所 得 層 や 中 学 の 子 を 持 つ 世 帯 への 十 分 な 配 慮 が 必 要 である また 復 興 体 制 が 整 った 後 には 日 本 の 中 長 期 的 課 題 への 対 応 として 再 び 少 子 化 対 策 に 力 を 入 れるべきである 子 ども 手 当 てについては 給 付 額 は 世 界 的 にみても 決 して 多 くはなく 若 年 層 の 雇 用 が 不 安 定 化 する 中 で 育 児 負 担 を 分 かちあうことで 産 み 育 てやすい 環 境 をつくろ うという 趣 旨 は 正 しいと 思 われる 所 得 制 限 の 撤 廃 についても その 本 来 の 趣 旨 は 高 所 得 層 に 有 利 な 制 度 の 見 直 しであり 合 理 的 である 母 親 の 就 労 環 境 整 備 が 十 分 でない 中 教 育 格 差 の 広 がる 中 学 の 子 どもを 持 つ 世 帯 の 所 得 環 境 が 厳 しくなる 中 で 子 ども 手 当 てが 果 たしている 役 割 は 大 きい 将 来 的 には 所 得 制 限 のあり 方 や 労 働 市 場 改 革 の 進 展 度 合 いなどを 考 慮 しながら 子 ども 手 当 ては 発 展 的 に 制 度 を 改 革 していくこ とが 求 められよう 具 体 的 には 扶 養 控 除 廃 止 分 相 当 の 一 定 額 + 所 得 逓 減 型 の 給 付 にすることな どが 一 考 となろう 加 えて 母 親 の 就 労 環 境 が 整 えば こうした 給 付 は 保 育 所 整 備 などにも 振 り 分 けたり 手 当 てを 給 付 付 き 税 額 控 除 とした りすることで 母 親 の 就 労 を 促 進 することも 出 来 るだろう 以 上 見 てきたとおり 現 在 は 非 常 事 態 では あるものの 子 ども 手 当 の 安 易 な 廃 止 は 子 育 て 世 帯 への 負 担 増 加 を 招 き さらなる 少 子 化 の 進 展 や 教 育 が 不 十 分 な 子 どもの 増 加 を み 出 す 恐 れがあり 日 本 の 中 長 期 的 な 成 長 観 点 からみると 問 題 だ 財 源 の 手 当 てにあたっ ては 十 分 な 配 慮 を 行 い 中 長 期 的 には 労 働 市 場 改 革 や 税 社 会 保 障 改 革 とあわせながら 少 子 化 対 策 に 取 り 組 む 必 要 がある さくやま じゅんこ( 副 主 任 エコノミスト) 第 一 命 経 済 研 レポート 211.6