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医 療 分 野 における 番 号 制 度 活 用 に 向 けた 検 討 1 医 療 等 分 野 IDで 課 題 解 消 政 府 は 2015 年 5 月 に 医 療 等 ( 医 療 健 康 介 護 ) 分 野 の 情 報 に 個 人 番 号 を 付 与 する いわゆる 医 療 等 ID に 関 する 方 針 を 決 定 しました 医 療 連 携 や 研 究 に 利 用 可 能 な 番 号 として 2018 年 度 から 段 階 的 に 運 用 を 始 め 2020 年 の 本 格 運 用 を 目 指 しています ま た 運 用 に 当 たっては マイナンバー( 社 会 保 障 税 番 号 制 度 )のインフラが 活 用 される 見 込 みです 医 療 等 ID 導 入 の 背 景 には 次 のような 課 題 が 挙 げられます 医 療 機 関 が 抱 える 課 題 と 将 来 イメージ 医 療 機 関 における 受 付 事 務 手 続 きが 非 効 率 現 状 : 保 険 証 を 目 視 で 確 認 医 療 保 険 資 格 を 有 しているかは その 場 ではわからない 将 来 : 個 人 番 号 カードによって オンラインで 医 療 保 険 資 格 についても 確 認 可 能 になり 事 務 作 業 が 効 率 化 する 病 院 診 療 所 薬 局 介 護 施 設 間 の 患 者 情 報 が 未 連 携 現 状 : 複 数 の 医 療 機 関 の 受 診 情 報 服 薬 情 報 が 共 有 されていないため 無 駄 な 検 査 や 重 複 投 薬 が 行 われ 医 療 費 増 加 の 要 因 となっている 将 来 : 個 人 番 号 カードによって 患 者 情 報 が 共 有 可 能 になり 無 駄 な 検 査 重 複 投 薬 が 削 減 と なり 医 療 費 が 適 正 化 される 自 治 体 において 健 診 未 受 診 者 に 対 する 受 診 促 進 が 不 可 能 現 状 : 特 定 健 診 等 の 受 診 情 報 が 共 有 化 されていないため 他 の 市 町 村 で 実 施 した 場 合 把 握 で きない 将 来 : 個 人 番 号 カードによって 受 診 情 報 が 把 握 できるようになり 未 受 診 者 への 受 診 促 進 を 図 ることができる 医 療 機 関 の 窓 口 で 患 者 が 個 人 番 号 カードを 提 示 することにより 患 者 の 医 療 保 険 資 格 を 医 療 機 関 がオンラインで 確 認 できる 仕 組 みを 構 築 します これは 医 療 保 険 者 や 自 治 体 間 のマイナンバーによる 情 報 連 携 が 2017 年 7 月 に 始 まることを 受 けたもので 医 療 機 関 の 事 務 効 率 改 善 につながると 期 待 されています また 医 療 連 携 に 利 用 可 能 な 番 号 に( 医 療 などID)ついては 2018 年 度 から 段 階 的 な 運 用 を 開 始 するとし 病 院 や 診 療 所 薬 局 間 の 患 者 情 報 の 共 有 などに 利 用 できます これ により 医 療 機 関 において 患 者 データの 共 有 や 追 跡 を 効 率 的 に 行 えるようになります 1

2 マイナンバー 制 度 導 入 で 動 き 出 す 医 療 等 分 野 IDの 活 用 2015 年 10 月 に 導 入 された 個 人 番 号 制 度 (マイナンバー 制 度 )と 併 せて 国 は 医 療 等 分 野 ( 健 康 医 療 介 護 分 野 )の 安 全 かつ 効 率 的 な 情 報 連 携 の 基 盤 の 整 備 には 最 優 先 で 取 り 組 むとしています これらは 急 速 な 高 齢 化 と 厳 しい 保 険 財 政 の 中 で 質 の 高 い 医 療 介 護 サービスの 提 供 や 国 民 自 らの 健 康 管 理 等 のための 情 報 の 取 得 公 的 保 険 制 度 の 運 営 体 制 の 効 率 化 等 の 推 進 を 目 的 とするものです 厚 生 労 働 省 は 日 本 再 興 戦 略 改 訂 2014( 平 成 26 年 6 月 閣 議 決 定 )を 受 けて 医 療 等 分 野 における 番 号 制 度 の 活 用 等 に 関 する 研 究 会 ( 以 下 本 研 究 会 ) を 創 設 し 医 療 分 野 における 番 号 の 必 要 性 や 具 体 的 な 利 活 用 場 面 に 関 する 検 討 を 行 い 中 間 まとめ ( 平 成 26 年 12 月 10 日 )を 取 りまとめました 本 研 究 会 中 間 まとめ ( 平 成 26 年 12 月 10 日 発 表 )< 抜 粋 > 医 療 保 険 制 度 の 運 営 基 盤 概 ね 電 子 化 され 保 険 医 療 機 関 等 と 保 険 者 とのネットワークが 機 能 していることから マイ ナンバー 制 度 のインフラと 医 療 保 険 の 既 存 のものをうまく 連 携 させて できるだけコストが かからず 安 全 で 効 率 的 な 情 報 連 携 の 仕 組 みを 構 築 可 能 医 療 保 険 のオンライン 資 格 確 認 の 仕 組 み できるだけ 早 期 の 導 入 (マイナンバー 制 度 の 情 報 連 携 が 稼 働 する 平 成 29 年 7 月 以 降 )を 目 指 し 保 険 者 保 険 医 療 関 係 者 等 の 関 係 者 の 協 議 を 通 じて 検 討 医 療 等 分 野 の 情 報 連 携 に 用 いる 番 号 のあり 方 オンライン 資 格 確 認 で 実 現 されるインフラの 活 用 を 含 め 個 人 情 報 保 護 を 含 めた 安 全 性 と 効 率 性 利 便 性 の 両 面 が 確 保 された 情 報 連 携 の 仕 組 みを 検 討 医 療 等 分 野 でのマイナンバーの 利 用 範 囲 自 治 体 間 での 予 防 接 種 履 歴 の 管 理 と 保 険 者 が 特 定 健 診 などの 健 診 情 報 の 管 理 にマイナンバ ーを 用 いることは 現 行 の 番 号 法 の 枠 組 みの 中 で 対 応 が 可 能 上 記 に 基 づき 既 にスタートしたマイナンバー 制 度 においては 情 報 連 携 の 端 緒 として 予 防 接 種 歴 健 診 情 報 の 管 理 等 に 将 来 的 に 活 用 する 計 画 が 進 められています 2

3 マイナンバー 活 用 による 医 療 保 険 システムの 基 盤 整 備 へ 本 研 究 会 中 間 まとめ を 受 けて 政 府 は 以 降 の 法 整 備 等 の 状 況 等 を 踏 まえ とりわけ 社 会 保 険 におけるオンライン 資 格 確 認 のシステム 構 築 に 向 けた 基 盤 整 備 に 着 手 することと しました 安 倍 首 相 からも マイナンバー 制 度 の 活 用 として 医 療 分 野 において 2020 年 までの5 ヵ 年 集 中 取 組 み 期 間 を 設 定 するとともに 個 人 番 号 カードの 提 示 により 健 康 保 険 の 資 格 確 認 や 書 類 記 入 の 効 率 化 を 図 るなど 一 貫 した 医 療 介 護 サービスの 提 供 に 向 けた 施 策 推 進 への 取 り 組 みに 関 する 発 言 がなされました( 平 成 27 年 5 月 29 日 産 業 競 争 力 会 議 課 題 別 会 合 ) 日 本 再 興 戦 略 改 訂 2015( 平 成 27 年 6 月 30 日 閣 議 決 定 )< 抜 粋 > 二 戦 略 市 場 創 造 プラン テーマ1: 国 民 の 健 康 寿 命 の 延 伸 (3) 新 たに 講 ずべき 具 体 的 施 策 2 医 療 介 護 等 分 野 における ICT 化 の 徹 底 マイナンバー 制 度 のインフラを 活 用 した 医 療 等 分 野 における 番 号 制 度 の 導 入 公 的 個 人 認 証 や 個 人 番 号 カードなどマイナンバー 制 度 のインフラを 活 用 して 医 療 等 分 野 における 番 号 制 度 を 導 入 することとし これを 基 盤 として 医 療 等 分 野 の 情 報 連 携 を 強 力 に 推 進 する 具 体 的 にはまず 2017 年 7 月 以 降 早 期 に 医 療 保 険 のオンライン 資 格 確 認 システム を 整 備 し 医 療 機 関 の 窓 口 において 個 人 番 号 カードを 健 康 保 険 証 として 利 用 することを 可 能 とし 医 療 等 分 野 の 情 報 連 携 の 共 通 基 盤 を 構 築 する また 地 域 の 医 療 情 報 連 携 や 研 究 開 発 の 促 進 医 療 の 質 の 向 上 に 向 け 医 療 等 分 野 におけ る 番 号 の 具 体 的 制 度 設 計 や 固 有 の 番 号 が 付 された 個 人 情 報 取 扱 いルールについて 検 討 を 行 い 本 年 末 までに 一 定 の 結 論 を 得 て 2018 年 度 からオンライン 資 格 確 認 の 基 盤 も 活 用 して 医 療 等 分 野 における 番 号 の 段 階 的 運 用 を 開 始 し 2020 年 までに 本 格 運 用 を 目 指 す 医 療 機 関 においては マイナンバー 制 度 運 用 開 始 にあたり マイナンバーそのものを 取 り 扱 う 事 務 は 一 般 の 事 業 者 と 同 様 の 範 囲 ( 例 : 職 員 の 雇 用 保 険 社 会 保 険 事 務 等 )に 限 ら れるため 患 者 個 人 のマイナンバーを 利 用 する 場 は 想 定 されていませんでした しかし 今 後 健 康 保 険 等 のオンライン 資 格 確 認 など マイナンバーに 関 連 する 医 療 機 関 独 自 の 事 務 が 生 じることになります こうした 医 療 等 IDは 2018 年 度 から 段 階 的 な 運 用 が 開 始 され 2020 年 からの 本 格 運 用 を 目 指 すという 方 向 性 が 示 されていることから 早 い 時 期 から 対 応 の 準 備 を 進 めておくこ とが 賢 明 です 3

医 療 等 分 野 個 人 情 報 の 情 報 連 携 のあり 方 1 医 療 等 分 野 の 個 人 情 報 の 特 性 (1) 機 微 性 が 高 い 医 療 分 野 の 個 人 情 報 患 者 と 医 療 介 護 従 事 者 が 信 頼 関 係 に 基 づき 共 有 する 医 療 等 分 野 の 個 人 情 報 は 病 歴 や 服 薬 の 履 歴 健 診 の 結 果 など 本 人 にとって 機 微 性 が 高 く 第 三 者 には 知 られたくない 情 報 も 含 まれています さらに 病 気 の 内 容 や 罹 患 時 期 によっては それが 公 になった 場 合 個 人 の 社 会 生 活 に 大 きな 影 響 を 与 える 可 能 性 があったり 本 人 がその 受 診 歴 を 把 握 できる 状 態 にすることを 望 んでいなかったりする 情 報 もあるはずです また 患 者 の 診 療 情 報 を 研 究 分 野 等 で 活 用 する 場 合 は 基 本 的 には 患 者 自 身 への 必 要 な 医 療 の 提 供 に 用 いるものではありません このことから 個 人 情 報 の 取 得 利 用 に 当 たっ ては 本 人 の 同 意 を 得 るとともに 患 者 個 人 の 特 定 や 目 的 外 で 使 用 されることのないよう に 必 要 な 個 人 情 報 保 護 の 措 置 を 講 じる 必 要 があります (2) 医 療 等 分 野 個 人 情 報 保 護 と 活 用 のバランス 前 述 のように 医 療 介 護 分 野 に 関 連 する 個 人 情 報 は 高 度 な 機 微 性 を 持 っていること で 十 分 な 保 護 措 置 を 講 じるとともに その 取 得 利 用 には 本 人 の 同 意 を 得 ることが 原 則 と すべきであるとされています 一 方 医 療 介 護 の 現 場 では 必 要 な 個 人 情 報 を 活 用 することで 患 者 利 用 者 本 人 にと ってより 有 効 で 効 果 的 な 治 療 ケアの 実 施 につながることも 期 待 されています (3) 医 療 現 場 で 活 用 が 期 待 される 場 面 医 療 現 場 においては 救 急 医 療 や 薬 や 予 防 接 種 歴 の 管 理 医 学 の 向 上 や 研 究 など 様 々 な 場 面 での 活 用 が 期 待 されています 1 救 急 医 療 服 薬 履 歴 など できるだけ 多 くの 患 者 の 情 報 を 収 集 し 適 切 な 治 療 法 を 選 択 することが 人 命 の 確 保 と 予 後 の 安 定 に 有 効 日 常 的 な 診 療 やケアでも より 安 全 で 適 切 な 医 療 介 護 を 提 供 するため 患 者 の 治 療 歴 等 を 参 酌 して 診 療 やケアを 行 うことが 期 待 できる 4

2お 薬 手 帳 予 防 接 種 歴 の 管 理 お 薬 手 帳 : 医 療 従 事 者 が 適 切 な 医 療 サービスの 提 供 に 活 用 するだけでなく 本 人 自 らが 服 薬 等 の 医 療 情 報 の 履 歴 を 把 握 し 活 用 する 役 割 予 防 接 種 歴 : 大 人 になって 本 人 が 確 認 できれば 自 らの 健 康 管 理 に 有 益 災 害 時 に 自 らの 診 療 服 薬 情 報 を 医 療 従 事 者 等 と 共 有 する 手 段 を 含 めて 国 民 一 人 ひとりが 自 らの 医 療 の 履 歴 を 把 握 するニーズが 増 大 している 3 医 学 の 向 上 と 研 究 の 高 度 化 より 革 新 的 な 医 薬 品 や 治 療 法 の 確 立 がされ 医 療 が 高 度 化 していくためには 医 学 研 究 の 発 展 が 不 可 欠 患 者 等 の 個 人 から 提 供 されたデータを 適 切 に 活 用 していくことが 必 要 4 健 康 医 療 分 野 のポータルサービス 国 民 が 自 ら 健 康 医 療 の 履 歴 や 記 録 を 確 認 できる 仕 組 み(PHR)を 整 備 健 康 増 進 に 活 用 予 防 接 種 等 の 履 歴 の 確 認 やプッシュ 型 の 案 内 が 可 能 になる PHR:パーソナルヘルスレコード(Personal Health Records)の 略 称 で 個 人 が 生 涯 に わたり 自 分 自 身 に 関 する 医 療 健 康 情 報 を 収 集 保 存 し 活 用 できる 仕 組 み 5 全 国 がん 登 録 がんの 罹 患 診 療 転 帰 等 の 状 況 をできるだけ 正 確 に 把 握 調 査 研 究 に 活 用 がんに 関 する 情 報 を 国 民 に 還 元 し 治 療 の 選 択 肢 を 拡 大 このほか 個 人 が 治 療 を 受 け 自 分 の 健 康 状 態 を 向 上 させることで 得 るメリットの 積 み 重 ねが 医 学 および 医 療 の 質 の 向 上 という 社 会 全 体 への 有 益 性 やデータの 蓄 積 につながり また 地 域 の 実 情 に 応 じた 効 率 的 な 医 療 提 供 体 制 の 整 備 や 効 果 的 な 保 健 事 業 の 実 施 などの 行 政 分 野 や 医 療 保 険 事 業 での 活 用 が 期 待 されています こうした 点 を 鑑 み 医 療 等 分 野 個 人 情 報 については 格 別 な 保 護 措 置 と 併 せて 円 滑 な 活 用 方 法 を 実 現 する 情 報 連 携 基 盤 の 構 築 が 求 められています 5

2 医 療 等 分 野 個 人 情 報 連 携 システム 構 築 の 留 意 点 医 療 等 分 野 の 個 人 情 報 の 特 性 を 踏 まえ その 情 報 連 携 のあり 方 については 中 間 まとめ までの 議 論 では 本 人 同 意 のあり 方 と 併 せて 次 のような 意 見 が 示 されました 今 後 の 医 療 等 分 野 個 人 情 報 連 携 システムの 構 築 にあたっては これら 意 見 を 盛 り 込 み 保 護 と 活 用 のバランスを 実 現 させるとしています (1) 個 人 情 報 連 携 システム 構 築 に 向 けて 重 視 すべきポイント 個 人 情 報 連 携 システムの 構 築 に 向 けて 中 間 まとめ ではさまざまなケースに 対 応 して 重 視 するポイントを 整 理 しています 今 後 の 主 な 検 討 事 項 は 以 下 のとおりです 患 者 の 病 歴 等 の 医 療 情 報 を 番 号 や 電 磁 的 な 符 号 に 紐 づけて 情 報 連 携 に 用 いる 場 合 1 本 人 の 同 意 のもとで 希 望 する 患 者 が 番 号 を 持 つ 仕 組 みとする 2 共 有 する 病 歴 の 範 囲 について 患 者 の 選 択 を 認 め 患 者 が 共 有 してほしくない 病 歴 は 共 有 化 させない 高 齢 期 になって 本 人 自 身 や 医 療 介 護 従 事 者 との 医 療 情 報 共 有 が 必 要 になる 場 合 個 人 の 生 涯 にわたるライフサイクル( 成 長 段 階 )を 見 据 えて 本 人 が 利 用 を 希 望 しない 間 は 誰 も 利 用 できないようにし 共 有 が 必 要 になったときに 本 人 の 同 意 に 基 づき 利 用 できるような 仕 組 みの 検 討 高 齢 化 が 進 行 する 中 で 本 人 同 意 を 事 前 に 得 ることが 難 しい 場 合 医 療 介 護 現 場 のニーズに 対 応 して その 患 者 に 必 要 な 医 療 介 護 サービスを 提 供 するための 情 報 について 医 療 介 護 従 事 者 間 で 共 有 する 場 合 の 同 意 のあり 方 など 医 療 等 分 野 の 個 人 情 報 の 特 性 に 配 慮 した 本 人 同 意 やプライバシールールのあり 方 について 検 討 (2) 改 正 個 人 情 報 保 護 法 との 関 連 このほか 本 研 究 会 中 間 まとめ 公 表 後 に 行 われた 個 人 情 報 保 護 法 改 正 では 病 歴 が 要 配 慮 個 人 情 報 ( 本 人 の 人 種 信 条 社 会 的 身 分 病 歴 犯 罪 の 経 歴 犯 罪 により 害 を 被 った 事 実 その 他 本 人 に 対 する 不 当 な 差 別 偏 見 その 他 の 不 利 益 が 生 じないようにその 取 扱 いに 特 に 配 慮 を 要 するものとして 政 令 で 定 める 記 述 等 が 含 まれる 個 人 情 報 )に 位 置 づ けられ 予 め 本 人 の 同 意 を 得 ないで 取 得 してはならないこととされました ただし 改 正 個 人 情 報 保 護 法 の 運 用 については 患 者 への 適 切 な 医 療 を 提 供 するために 必 要 であることに 関 し 本 人 や 家 族 に 対 して 理 解 を 得 て 医 療 現 場 が 萎 縮 して 必 要 な 医 療 が 提 供 できなくなることのないような 配 慮 も 必 要 です 6

マイナンバーによるオンライン 資 格 確 認 の 導 入 1 医 療 情 報 にかかるマイナンバー 制 度 インフラの 活 用 (1) 情 報 漏 えいの 可 能 性 と 対 応 策 の 検 討 情 報 インフラ 構 築 において 懸 念 されるのは マイナンバーで 芋 づる 式 に 情 報 が 漏 えいす ることです 情 報 漏 えいを 防 止 するために 番 号 制 度 のインフラでは 番 号 の 利 用 機 関 同 士 の 情 報 連 携 ( 情 報 照 会 と 情 報 提 供 )を 行 う 場 合 マイナンバーを 直 接 用 いず 機 関 ごと にマイナンバーに 対 応 して 振 り 出 された 機 関 別 符 号 を 利 用 することとしました 各 利 用 機 関 は 住 基 ネットに 接 続 し 利 用 する 各 マイナンバーに 対 応 した 利 用 機 関 ごと に 異 なる 符 号 を 取 得 することにより 情 報 漏 えいを 防 止 します ただし 保 険 医 療 機 関 保 険 薬 局 ( 約 23.3 万 施 設 )がそれぞれ 住 基 ネットに 接 続 して 機 関 別 符 号 を 取 得 し 情 報 提 供 ネットワークに 接 続 するのは 各 医 療 機 関 の 負 担 や 制 度 全 体 でも 大 きなコストがかかり 実 務 上 の 課 題 も 指 摘 されています (2)マイナンバー 制 度 の 情 報 インフラの 仕 組 み マイナンバー 制 度 は 行 政 機 関 等 が 効 率 的 な 情 報 管 理 と 迅 速 な 情 報 の 授 受 にマイナンバ ーを 用 いることで 行 政 運 営 の 効 率 化 や 国 民 の 利 便 性 の 向 上 を 図 ることを 目 的 としており マイナンバーの 利 用 範 囲 と 利 用 機 関 を 法 律 に 明 記 するとともに 医 療 機 関 等 が 医 療 情 報 の 連 携 にマイナンバーを 用 いる 仕 組 みとはしていません 一 方 で マイナンバー 制 度 では 住 民 票 コードと 対 応 した 一 意 的 な 識 別 子 ( 機 関 別 符 号 : ID)を 用 いた 情 報 連 携 の 仕 組 みがあることや 高 度 なセキュリティを 備 えた 高 機 能 なI Cチップの 個 人 番 号 カードによる 公 的 個 人 認 証 の 仕 組 みを 活 用 して 行 政 機 関 が 保 有 する 個 人 情 報 を 含 め 国 民 自 らが 様 々な 本 人 の 個 人 情 報 に 安 全 で 効 率 的 にアクセスできる 情 報 インフラの 構 築 を 進 めており 医 療 等 分 野 でも 広 く 社 会 で 利 用 されるマイナンバー 制 度 の 情 報 インフラを 最 大 限 に 活 用 していくことが 合 理 的 だとしています (3)マイナンバー 制 度 における 医 療 保 険 の 資 格 管 理 の 仕 組 み 本 研 究 会 の 検 討 により 個 人 番 号 カードにはマイナンバーが 記 載 されているため 医 療 情 報 とマイナンバーが 結 びつく 可 能 性 があるので マイナンバーが 記 載 された 個 人 番 号 カ ードに 被 保 険 者 証 の 機 能 を 付 加 することは 問 題 があると 指 摘 されています そのため 被 保 険 者 証 や 診 療 券 など 他 の 媒 体 を 用 いる 方 法 についても 検 討 が 求 められます 一 方 医 療 機 関 等 で 何 らかの 媒 体 に 記 録 した 識 別 子 を 読 み 取 る 方 法 を 用 いる 場 合 広 く 7

社 会 で 利 用 される 情 報 インフラを 安 全 かつ 効 率 的 に 活 用 する 観 点 から 個 人 番 号 カードの ICチップを 用 いる 仕 組 みが 合 理 的 だとしています こうした 背 景 から マイナンバー 制 度 においては 社 会 保 障 分 野 の 金 銭 情 報 である 医 療 保 険 の 資 格 確 認 システムをオンラインで 構 築 することを 医 療 等 分 野 での 活 用 基 盤 とし こ れを 普 及 させて 展 開 に 結 び 付 ける 方 向 で 法 整 備 等 を 含 む 準 備 が 進 められています 医 療 保 険 のオンライン 資 格 確 認 のメリット レセプト 請 求 の 電 子 化 が 進 み 医 療 保 険 制 度 の 運 営 基 盤 がほぼ 電 子 化 ( 平 成 27 年 5 月 請 求 現 在 : 電 子 請 求 90% オンライン 請 求 53%)されている 現 在 の 仕 組 みに 対 応 させて 効 率 性 を 確 保 オンラインで 被 保 険 者 の 資 格 確 認 を 確 実 に 行 うことで 資 格 喪 失 等 によるレセプトの 返 戻 事 務 をなくす 2 オンライン 資 格 確 認 における 個 人 番 号 カード 運 用 の 流 れ 医 療 機 関 においては 個 人 番 号 カードを 預 からず マイナンバーを 見 ずにオンラインで 資 格 確 認 するシステムとすることによって 診 療 情 報 がマイナンバーと 紐 づけて 管 理 される ことはありません そのため 医 療 情 報 が 個 人 番 号 カード IC チップに 集 積 されている 情 報 から 取 得 される 懸 念 はないものの 医 療 保 険 の 資 格 確 認 については 個 人 番 号 カードを 運 用 したシステムと なるため 医 療 機 関 において 電 子 情 報 を 読 み 取 るカードリーダー 導 入 等 の 準 備 が 必 要 とな ります 今 後 本 研 究 事 業 においては 下 記 の 項 目 についての 検 討 が 行 われます 1オンライン 資 格 確 認 の 実 施 方 法 や 運 用 ルールを 含 めた 具 体 的 なモデル 案 2オンライン 資 格 確 認 のためのシステム 構 築 等 に 伴 う 技 術 的 課 題 3オンライン 資 格 確 認 の 費 用 対 効 果 また 本 研 究 事 業 の 下 に 医 療 保 険 者 や 医 療 機 関 等 の 関 係 者 からなる 実 務 者 ワーキングル ープを 設 置 し 実 務 者 の 意 見 を 踏 まえた 検 討 が 進 められます 8

医 療 保 険 のオンライン 資 格 確 認 でのカード 運 用 イメージ ~ 出 典 : 本 研 究 会 報 告 書 ( 概 要 ) 平 成 27 年 12 月 * 保 険 医 療 機 関 保 険 薬 局 以 下 保 険 医 療 機 関 等 1 被 保 険 者 保 険 医 療 機 関 等 に 受 診 する 際 個 人 番 号 カードを 提 示 2~4 保 険 医 療 機 関 等 個 人 番 号 カードの 顔 写 真 と 名 前 により 本 人 の 確 認 をして 職 員 等 がICチップから 電 子 証 明 書 をカードリーダーで 読 み 取 り(= 個 人 番 号 カードを 預 からない) 支 払 基 金 国 保 中 央 会 に 対 し 資 格 情 報 を 要 求 * 個 人 番 号 カードを 預 からない 表 面 のみが 見 えるカードケースの 利 用 など マイナンバーが 視 認 されて 不 正 に 利 用 されないように 配 慮 * 保 険 医 療 機 関 等 と 支 払 基 金 国 保 中 央 会 とのやりとりは 安 全 でできるだけコストがかから ないよう 既 存 のインフラであるレセプトオンライン 請 求 のネットワークを 活 用 * 患 者 や 窓 口 職 員 の 利 便 性 の 観 点 から 個 人 識 別 番 号 (PIN)の 入 力 を 必 要 としない 本 人 検 討 確 認 の 方 法 を 検 討 5 資 格 確 認 サービス: 支 払 基 金 国 保 中 央 会 地 方 公 共 団 体 システム 機 構 に 対 し 電 子 証 明 書 に 対 応 する 機 関 別 符 号 を 照 会 予 め 取 得 している 機 関 別 符 号 の 中 から 回 答 された 機 関 別 符 号 と 一 致 するものを 引 き 当 て この 電 子 証 明 書 と 対 応 する 機 関 別 符 号 と 資 格 情 報 を 一 対 一 の 関 係 で 管 理 保 険 医 療 機 関 等 から 照 会 された 電 子 証 明 書 に 対 応 する 資 格 情 報 を 保 険 医 療 機 関 等 に 通 知 9

今 後 の 施 策 動 向 と 医 療 機 関 に 予 想 される 影 響 1 今 後 の 施 策 動 向 への 影 響 と 医 療 費 抑 制 に 対 する 期 待 (1) 医 療 等 ID 導 入 による 今 後 施 策 の 方 向 性 医 療 等 IDの 導 入 によって 患 者 情 報 を 管 理 することで 医 療 介 護 等 多 職 種 の 情 報 共 有 を 円 滑 に 行 うことが 可 能 になります その 結 果 として 医 療 の 質 向 上 や 2025 年 をめど とする 地 域 包 括 ケアシステムの 実 現 に 向 けた 各 政 策 に 対 しても 大 きな 弾 みをもたらすも のになるはずです また 医 療 等 IDを 用 いたデータ 分 析 が 可 能 になることから 地 域 医 療 連 携 ネットワー ク 整 備 も 含 め 今 後 の 医 療 政 策 についてもその 立 案 や 運 営 に 活 用 することが 予 定 されてい ます 医 療 データを 医 療 政 策 に 活 用 するイメージ 複 数 または レセプト NDB 大 規 模 な 分 析 研 究 (ナショナルデータベース) コホート 研 究 ( 追 跡 研 究 ) 効 果 的 な 情 報 分 析 によって 行 政 機 関 医 療 政 策 の 立 案 運 営 こうしたデータ 分 析 からは 例 えば 診 療 報 酬 改 定 等 における 評 価 の 検 討 に 活 用 される と 考 えられます また 医 療 等 IDの 活 用 前 提 となる 医 療 保 険 のオンライン 資 格 確 認 シス テム 導 入 に 向 けて 電 子 カルテ+レセプト 電 子 化 普 及 を 強 化 する 政 策 が 実 施 されるとみ られます 例 診 療 報 酬 改 定 地 域 医 療 連 携 に 関 する 点 数 の 見 直 し データ 情 報 連 携 で 便 宜 性 向 上 データ 分 析 結 果 から 判 明 した 効 果 が 高 い 医 療 に 対 する 評 価 を 引 き 上 げ 加 算 導 入 画 像 検 査 等 点 数 の 見 直 し 重 複 検 査 防 止 の 強 化 かかりつけ 医 ( 診 療 所 )の 段 階 的 評 価 レセプトデータ 電 子 化 導 入 で 区 分 等 10

(2) 医 療 費 適 正 化 への 期 待 マイナンバー 制 度 の 大 きな 目 的 のひとつは 行 政 の 効 率 化 ですが 医 療 等 IDは 医 療 介 護 を 主 とする 社 会 保 障 制 度 について その 維 持 と 充 実 を 図 ることを 目 的 とするものとい えます そのうち 医 療 保 険 のオンライン 資 格 確 認 システムについては 返 戻 を 減 少 させて 請 求 支 払 事 務 を 支 援 し 効 率 化 を 図 るうえで 有 効 ですが 特 定 健 診 を 実 施 する 保 険 者 間 で 健 診 デ ータを 活 用 すること 等 から 次 のような 効 果 も 期 待 されます 健 診 データ 活 用 による 医 療 費 適 正 化 のイメージ 蓄 積 し た 健 診 デ ー タ を 情 報 と し て 連 携 可 能 加 入 者 の 資 格 が 異 動 し た 場 合 に も 加 入 者 が 特 定 健 診 を 受 診 健 診 データを 蓄 積 健 診 データを 活 用 し 加 入 者 の 健 康 増 進 を 促 す 医 療 資 源 の 有 効 な 活 用 ( 適 正 な 配 分 ) 医 療 費 の 適 正 化 国 は 医 療 等 ID 導 入 により 上 記 のように 異 なる 保 険 者 の 健 診 データと 複 数 のデータ ベースを 突 合 すること 等 がより 円 滑 に 行 われるようになり 必 要 な 医 療 資 源 を 適 正 な 量 地 域 等 に 配 分 することを 通 じて 近 年 最 大 の 課 題 である 医 療 費 の 適 正 化 という 政 策 目 標 の 実 現 につながるとしています また 患 者 にとっては 医 療 データの 情 報 連 携 により CT 撮 影 等 の 高 額 な 検 査 を 何 度 も 受 ける 必 要 がなくなったり 遠 隔 治 療 などでの 利 用 も 可 能 となったりすることから 利 便 性 の 向 上 ばかりではなく 医 療 費 全 体 の 抑 制 につながるものと 期 待 されています 2 医 療 機 関 に 求 められる 情 報 連 携 体 系 対 応 のポイント (1) 医 療 保 険 のオンライン 資 格 確 認 システム 現 行 のマイナンバー 制 度 の 枠 組 みの 中 で 2020 年 度 までの 本 格 導 入 を 目 指 して 準 備 が 進 められていることから 電 子 カルテ 導 入 のさらなる 推 進 が 促 されている 病 院 だけではなく 11

かかりつけ 医 としての 役 割 を 有 する 診 療 所 にも 早 期 の 対 応 が 求 められます 医 療 機 関 が 準 備 すべき 対 応 項 目 ~ 現 在 想 定 される 内 容 カードリーダー セキュリティ 強 化 レセコン 等 の 導 入 ( 回 線 含 む) 個 人 番 号 カードの IC チップに 搭 載 された 電 子 証 明 書 の 読 み 取 り 用 回 線 機 器 整 備 マイナンバーが 視 認 されにくい 方 法 の 検 討 準 備 カードケース( 表 面 のみが 見 える)の 利 用 等 個 人 番 号 カードを 持 たない 患 者 への 対 応 ルールの 確 立 本 人 確 認 の 方 法 ルールの 整 備 職 員 の 教 育 意 識 啓 蒙 個 人 番 号 カードは 預 からない 原 則 の 徹 底 個 人 番 号 の 安 全 措 置 に 関 する 正 しい 理 解 (2) 医 療 等 ID( 地 域 医 療 連 携 用 ID< 仮 称 >) 医 療 機 関 におけるマイナンバー 制 度 活 用 としては 情 報 連 携 で 次 のような 目 的 が 掲 げら れており その 実 現 に 向 けて 地 域 医 療 連 携 ネットワーク 間 での 利 用 が 可 能 な 地 域 医 療 連 携 用 ID の 導 入 が 予 定 されています 医 療 機 関 介 護 事 業 者 等 の 連 携 : 地 域 レベル 複 数 地 域 間 での 連 携 病 院 での 検 査 結 果 をかかりつけ 医 の 診 療 に 活 用 救 急 医 療 の 現 場 で 他 医 療 機 関 での 過 去 の 診 療 情 報 を 確 認 医 療 および 介 護 従 事 者 の 連 携 による 地 域 包 括 ケアを 実 現 地 域 医 療 連 携 ネットワーク 内 での 患 者 共 通 IDの 整 備 連 携 先 に 対 し 地 域 医 療 連 携 ネットワークにおける 地 域 医 療 連 携 用 ID 活 用 を 促 す 地 域 の 介 護 事 業 者 に 対 し 地 域 医 療 連 携 用 ID への 参 加 を 促 す マイナンバー 制 度 運 用 開 始 と 併 せて 急 速 な 高 齢 化 と 厳 しい 保 険 財 政 において 効 率 性 を 確 保 しながらも 膨 大 な 医 療 情 報 の 活 用 が 求 められており これを 飛 躍 的 に 進 めるため 医 療 等 分 野 のIDを 活 用 した 安 全 かつ 効 率 的 な 情 報 連 携 の 基 盤 整 備 が 加 速 化 します 地 震 による 住 民 基 本 台 帳 システムへの 影 響 が 懸 念 されるところではありますが 医 療 機 関 とし ては 制 度 整 備 の 方 向 性 や 必 要 な 取 り 組 みに 関 する 情 報 提 供 を 適 時 行 い 対 応 準 備 を 進 め ていくことが 必 要 です 12

参 考 文 献 厚 生 労 働 省 医 療 等 分 野 における 番 号 制 度 の 活 用 等 に 関 する 研 究 会 報 告 書 中 間 まとめ( 平 成 26 年 12 月 10 日 ) 医 療 等 分 野 における 番 号 制 度 の 活 用 等 に 関 する 研 究 会 報 告 書 ( 平 成 27 年 12 月 10 日 ) 医 療 等 分 野 における 番 号 制 度 の 活 用 等 に 関 する 研 究 会 報 告 書 ( 概 要 ) 日 本 医 師 会 ( 平 成 27 年 7 月 ) 医 療 分 野 等 ID 導 入 に 関 する 検 討 委 員 会 中 間 とりまとめ 13

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