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(3) 技術開発項目 長周期波の解明と対策 沿岸 漁場の高度利用 ライフサイクルコストに基づく施設整備と診断技術 自然災害( 流氷 地震 津波など ) に強いみなとづくり 等 30 項目 技術開発項目として 30 項目の中から 今後 特に重点的 積極的に取り組んでいく必要のある技術開発項目として 1

山形県県土整備部資材単価及び歩掛等決定要領

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福井県建設リサイクルガイドライン 第 1. 目的資源の有効な利用の確保および建設副産物の適正な処理を図るためには 建設資材の開発 製造から土木構造物や建築物等の設計 建設資材の選択 分別解体等を含む建設工事の施工 建設廃棄物の廃棄等に至る各段階において 建設副産物の排出の抑制 建設資材の再使用および

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

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目 次 第 1 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 1. 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 2. 施 行 者 の 名 称 1 第 2 施 行 地 区 1 1. 施 行 地 区 の 位 置 1 2. 施 行 地 区 位 置 図 1 3. 施 行 地 区 の 区 域 1 4

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

4. 再生資源の利用の促進について 建近技第 385 号 平成 3 年 10 月 25 日 4-1


文化政策情報システムの運用等

二重床下地 という 参考図参照) として施工する方法がある 二重床下地は 支持脚の高さを一定程度容易に調整することができること また コンクリートスラブと床パネルとの間には給排水管等を配置できる空間があることから 施工が比較的容易なものとなっている 2 本院の検査結果 ( 検査の観点 着眼点 対象及

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工期 : 約 8 ヶ月 約 11 ヶ月 1-3 工事名 : 大阪港北港南地区岸壁 (-16m)(C12 延伸 ) 埋立工事 ( 第 2 工区 ) 2) 工事場所 : 大阪市此花区夢洲東 1 丁目地先 3) 工期 : 約 9ヶ月 4) 工事概要 : 埋立工 1 式 ( 工事発注規模 )2 億 5,00

5.2 浸 透 に 対 する 堤 防 強 化 工 法 堤 体 を 対 象 と し た 強 化 工 法 難 透 水 性 材 料 被 覆 材 料 ( 土 遮 水 シート 等 ) 堤 防 強 化 工 法 断 面 拡 大 工 法 ドレーン 工 法 表 のり 面 被 覆 工 法 透 水 性 材 料 ドレーン

資料 2-2(1) 小樽港本港地区 臨港道路整備事業 再評価原案準備書説明資料 平成 21 年度北海道開発局

平成 30 年度 施工パッケージ型積算方式標準単価表 (30 年 4 月 1 日以降入札を行う工事から適用 ) 国土交通省 港湾空港関係

スライド 1

過去 10 年間の業種別労働災害発生状況 ( 大垣労働基準監督署管内 ) 令和元年 4 月末現在年別 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 対前年比全産業 % (6

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

202000歩掛関係(151001) END.xls

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

N 漁港原点 BM 抜海支所 南防波堤 5 道路 3m 5 光明寺稲荷大抜海岩陰住居 道道稚内天塩線 2. 防砂堤断面防砂堤は漂砂流入防止が目的であるが 港内側は港口航路の反射波を抑制する必要があり 港外側については 漁場への反射波抑制と越波を防止するため 両面消波構造の傾斜堤 ( 中芯

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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

 

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

幕別町定住促進住宅建設費補助金交付要綱

Transcription:

特別寄稿 シリーズ 港湾技術の創生期に学ぶ 廣井勇に学ぶ OTARU ゼミナールの活動より その5 小樽港北防波堤の施工 廣田 正俊 * 大倉 正憲 ** 1 はじめに この時 科学的な港湾調査を監督 築港の技術上の 問題を解明するために試験工事を実施し 北防波堤の 札幌から小樽に向かう列車に乗り込むときは 決ま って右側の席を取ることにしている むろん 日本海 設計 建設工事の陣頭指揮に当たったのが 初代小樽 築港事務所長廣井勇博士 写真 1 である 工事は の四季の移ろいを眺めるのも楽しみであるが 朝里駅 を越えた辺りから見える北 南防波堤に抱えられた小 11年 の 歳 月 を 費 や し て 明 治41 1908 年 に 延 長 1,289mの北防波堤第一期工事が完成した 樽港の光景に一幅の感を覚えるからである その小樽港北防波堤 図 1 の工事が開始された のは 一世紀より前の明治30 1897 年であった 当時の小樽の状況は 明治4年に開拓使が本庁 を東京から札幌に移すに あたって 小樽港を海運 と陸運の結節点に定めた ことにより 同年から明 治11年にかけて札幌 小 樽間に道路 明治13年に 図 1 大正14 1928 年頃の小樽港 なると鉄道が建設され さらに手宮に桟橋が設け られなど 次々と北海道 着工から100年以上経過した現在 堤体前面の捨塊 根固方塊 に沈下や散乱がみられ 昭和40年代前半 と本州を結ぶ交通網が整 えられていった それに伴い経済活動も 活況を呈し 移輸出入額 1 写真 1 廣井博士 44歳 浅田英祺氏提供 に嵩上げした上部工に沈下が認められるものの 写真 2のとおり本体部の斜塊 スローピングブロック に隙間はなく 高さも一律に揃っている また 平成 3年度の調査2 による斜塊のコンクリート圧縮強度 をみても小樽港において本格的な埋立が開始され の平均値が30N と現在の設計基準強度を上回り た明治20年と小樽港湾調査が行われた明治27年の7ヶ 年間で 149万円から1,307万円と飛躍的な伸びになっ 防波堤としての機能を損なうことなく 役割を充分に 果たしている ている 取扱品目は 移輸出品はニシン粕などの水産 加工品が大きなウエイトを占め 次いで小豆などの穀 物類 石炭 木材の順となっている 移輸入品は道内 で消費する米穀類が多く占めていた しかしながら 小樽港は東に向かって広く開かれて いたため わずかな波浪も船舶の停泊や荷役に影響を 及ぼし 冬の激浪時ともなると船舶の破損事故だけで なく沿岸の船入場や埋立地 さらに陸上の家屋にも被 害が及ぶことが多かった このような欠陥を外郭施設 で補う必要が曲折を経て認められ わが国初の本格的 外洋防波堤の建設事業がスタートした 62 写真 2 現在の北防波堤 港内側 北海道開発土木研究所月報 627 2005年8月

2. 機 械 化 一 貫 施 工 の 概 要 2-1 北 防 波 堤 施 工 の 過 程 表 -1 (1) 工 場 内 の 機 械 化 施 工 写 真 -3 写 真 -4 表 -1 北 防 波 堤 施 工 過 程 写 真 -3 軌 道 起 重 機 (ゴライアス) 2-2 機 械 化 一 貫 施 工 による 防 波 堤 の 建 設 写 真 -4 厩 町 工 場 と 建 設 中 の 北 防 波 堤

(2)ブロック 積 畳 機 写 真 -5 写 真 -5 3. 技 術 改 革 によるコスト 縮 減 3-1 火 山 灰 の 使 用 写 真 -5 積 畳 機 (タイタン ギリシャ 神 話 の 巨 人 神 族 )

ックにおける火山灰有無の配合比 積量 は下記のと 表 3 セメント価格とブロック1立尺当たり材料費 おりとなっていた 斜 塊 当初 変更 セメント 1 セメント 1.0 砂 2 火山灰 0.8 砂利 採石 4 砂 3.2 砂利 採石 6.4 捨 塊 当初 変更 セメント 1 セメント 1 砂 2 火山灰 1 砂利 採石 4 砂 4 割栗石 全量の約13 砂利 採石 8 材料とはセメント 火山灰 砂 砕石をいう 火山灰を加えることによるセメント節約量を計算す セメントの価格については 予算策定時には小樽港 着の1樽 170 単価は4円以下と見込まれていたが ると 斜塊のケースで38 になる セメント購入費が 明治30年の工事着手時には7円近く迄高騰し 5円以 全工費の約30 を占めていたことから 縮減額はかな り大きいと言える 下に落ち着いたのは 明治34年になってからであった 我々が調査した資料の範囲でのコスト縮減効果であ 一方 初めの頃の捨塊には割栗石が用いられていた るが 火山灰の使用により1立尺当たり材料費 表 3 は使用前の明治34年の30.4銭を基準に比較してみ が コンクリートとの付着が良くなく 割栗石の下に 空隙が生じたことから 後に使用が取り止められた ると 使用後には材料費が20 40 の範囲で縮減 されていた またブロック製造価格 表 2 は機械 3 2 ブロック製造価格の推移 化の促進も加味され 明治36年以降は当初に比べて半 値位まで下がっていた 火山灰の使用 機械化施工の促進によるコスト縮減 を検証するため ここでは 工事報文 に記述されて いるコンクリートブロック製造価格 p148 とセメ 4 基礎マウンドの施工 ント価格 p132 を各々 表 2 表 3に示す 廣井博士は 工事報文 演説 において 北防波 表 2 ブロック製造価格 堤の施工に関する留意点 感想を述べている そのな かでは 最も注意を払うべきなのがブロックの製造 最も困難なのが捨石の採取 捨石均しとしている 以下では 現在でもスローピングブロックの据付状 況に不揃いない北防波堤の強固さのポイントは 最も 困難と言わしめた基礎マウンドの施工にあると着目 し その状況について取りまとめる 図 2 北防波堤丙部 4000尺地点 北海道開発土木研究所月報 627 2005年8月 65

4-1 捨 石 の 施 工 ( 演 説 から) 4-2 捨 石 均 しの 作 業 工 程

5.まとめ 6.おわりに 参 考 文 献