IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 から 分 かること 気 象 庁 地 球 環 境 海 洋 部 気 候 情 報 課 調 査 官 石 原 幸 司 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism 1
11 月 3 日 の 記 事 から 温 室 効 果 ガス 排 出 今 世 紀 末 ゼロにせ よ 国 連 報 告 書 人 類 に 許 されたCO2 残 り1 兆 トン ( 産 経 新 聞 ) 温 暖 化 30 年 で 許 容 上 限 迅 速 対 応 迫 る 毎 日 新 聞 気 温 上 昇 2 度 未 満 達 成 に 厳 しい 予 測 ( 読 売 新 聞 ) 気 温 上 昇 2 度 未 満 に 抑 える 道 筋 ある ( 朝 日 新 聞 ) 温 暖 化 ガス 排 出 今 世 紀 末 ゼロに ( 日 経 新 聞 ) 11/2 IPCC 総 会 後 の 記 者 会 見 の 模 様 2
IPCCとUNFCCC 1824 年 Joseph Fourierが 温 室 効 果 を 示 唆 大 気 は 太 陽 からの 光 に 対 しては 透 明 だが 地 球 からの 赤 外 線 に 対 しては 不 透 明 なのでは? 1859 年 John Tyndallが 温 室 効 果 を 実 証 1896 年 Svante August Arrheniusの 定 量 的 評 価 大 気 中 の 二 酸 化 炭 素 が 倍 増 した 場 合 全 球 の 平 均 気 温 が5~6 上 昇 1957~58 年 国 際 地 球 観 測 年 (IGY) 地 磁 気 オーロラ 電 離 層 太 陽 活 動 宇 宙 線 南 極 観 測 ロケット 観 測 など 1980 年 代 温 暖 化 予 測 シミュレーション 技 術 の 向 上 (1932 年 宮 澤 賢 治 グスコーブドリの 伝 記 ) 1988 年 IPCC( 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル)の 設 立 人 為 起 源 による 気 候 変 化 影 響 適 応 及 び 緩 和 方 策 に 関 し 科 学 的 技 術 的 社 会 経 済 学 的 な 見 地 から 包 括 的 な 評 価 を 行 うことを 目 的 として 1988 年 に 世 界 気 象 機 関 (WMO)と 国 連 環 境 計 画 (UNEP)に より 設 立 された 組 織 195か 国 が 参 加 1992 年 UNFCCC( 気 候 変 動 に 関 する 国 際 連 合 枠 組 条 約 ) 大 気 中 の 温 室 効 果 ガスの 濃 度 を 気 候 に 危 険 な 人 為 的 影 響 を 及 ぼさない 水 準 で 安 定 化 させることが 目 的 の 条 約 1992 年 採 択 2014 年 4 月 現 在 194か 国 と1 地 域 が 参 加 毎 年 12 月 ころに 締 約 国 会 議 (COP:Conference of the Parties)を 開 催 3
これまでの 評 価 報 告 書 ( 第 1 作 業 部 会 ) 第 1 次 評 価 報 告 書 (1990 年 ) 人 為 起 源 の 温 室 効 果 ガスは 気 候 変 化 を 生 じさせるおそれがある 第 2 次 評 価 報 告 書 (1995 年 ) 識 別 可 能 な 人 為 的 影 響 が 全 球 の 気 候 に 現 れている 第 3 次 評 価 報 告 書 (2001 年 ) 過 去 50 年 間 に 観 測 された 温 暖 化 の 大 部 分 は 温 室 効 果 ガス 濃 度 の 増 加 によるものであった 可 能 性 が 高 い 第 4 次 評 価 報 告 書 (2007 年 ) 気 候 システムの 温 暖 化 には 疑 う 余 地 がない 20 世 紀 半 ば 以 降 に 観 測 された 世 界 平 均 気 温 の 上 昇 のほとんどは 人 為 起 源 の 温 室 効 果 ガス 濃 度 の 増 加 によってもたらされた 可 能 性 が 非 常 に 高 い 第 5 次 評 価 報 告 書 (2013~2014 年 ) 気 候 システムの 温 暖 化 には 疑 う 余 地 がない 人 間 による 影 響 が20 世 紀 半 ば 以 降 に 観 測 された 温 暖 化 の 支 配 的 な 原 因 であった 可 能 性 が 極 めて 高 い 4
第 5 次 評 価 報 告 書 の 公 表 第 1 作 業 部 会 報 告 書 気 候 システムの 温 暖 化 については 疑 う 余 地 がない 2013 年 9 月 23 日 ~26 日 スウェーデン ストックホルム 人 間 活 動 が20 世 紀 半 ば 以 降 に 観 測 された 温 暖 化 の 主 な 要 因 であった 可 能 性 が 極 めて 高 い 二 酸 化 炭 素 の 累 積 排 出 量 と 世 界 平 均 地 上 気 温 の 上 昇 量 は ほぼ 比 例 関 係 にある 自 然 科 学 的 根 拠 第 2 作 業 部 会 報 告 書 2014 年 3 月 25 日 ~29 日 横 浜 市 影 響 適 応 脆 弱 性 ここ 数 十 年 気 候 変 動 の 影 響 が 全 大 陸 と 海 洋 において 自 然 生 態 系 及 び 人 間 社 会 に 影 響 を 与 えている 温 暖 化 の 程 度 が 増 大 すると 深 刻 で 蔓 延 的 で 不 可 逆 的 な 影 響 が 起 こる 可 能 性 が 高 まる 適 応 は 地 域 や 背 景 が 特 有 であるため すべての 状 況 にわたって 適 切 なリスク 低 減 のアプローチは 存 在 しない 第 3 作 業 部 会 報 告 書 2014 年 4 月 7 日 ~11 日 ドイツ ベルリン 気 候 変 化 の 緩 和 温 室 効 果 ガスの 排 出 を 効 果 的 に 緩 和 し その 他 の 気 候 変 動 問 題 に 対 処 するため 国 際 協 力 が 必 要 である 気 温 上 昇 を2 未 満 に 抑 える 緩 和 シナリオの 特 徴 は エネルギー 効 率 が 急 速 に 改 善 され 低 炭 素 エネルギーの 供 給 比 率 が2050 年 までに2010 年 の3~4 倍 になることである 2030 年 まで 緩 和 の 取 り 組 みを 遅 延 させると 産 業 革 命 前 から 気 温 上 昇 を2 未 満 に 抑 え 続 けるための 選 択 肢 の 幅 が 狭 まる 統 合 報 告 書 2014 年 10 月 27 日 ~31 日 デンマーク コペンハーゲン 5
IPCC 第 38 回 総 会 (@ 横 浜 2014/3/25~29) 会 場 のパシフィコ 横 浜 開 会 式 にて 石 原 環 境 大 臣 パチャウリIPCC 議 長 ほか 議 論 の 様 子 閉 会 式 の 余 興 (?)(3/30 午 後!) 6
第 1 作 業 部 会 報 告 書 の 構 成 目 次 政 策 決 定 者 向 け 要 約 (SPM) * 各 章 (1~14) 概 要 * 本 体 FAQ * 技 術 要 約 (TS) * 付 録 * : 日 本 語 訳 の 対 象 1 序 2 観 測 : 大 気 圏 と 地 球 表 面 3 観 測 : 海 洋 4 観 測 : 雪 氷 圏 5 古 気 候 のアーカイブ( 記 録 資 料 )からの 情 報 6 炭 素 およびその 他 の 生 物 地 球 化 学 的 循 環 7 雲 とエーロゾル 8 人 為 起 源 と 自 然 起 源 の 放 射 強 制 力 9 気 候 モデルの 評 価 10 気 候 変 動 の 検 出 と 原 因 特 定 : 全 球 規 模 から 地 域 規 模 まで 11 近 未 来 気 候 変 動 : 予 測 と 予 測 可 能 性 12 長 期 気 候 変 動 : 予 測 既 定 および 不 可 逆 性 13 海 面 水 位 の 変 化 14 気 候 の 現 象 およびその 将 来 の 地 域 規 模 気 候 変 動 との 関 連 性 赤 : 新 たに 章 として 独 立 緑 : 章 の 主 な 構 成 に 新 たな 項 目 を 追 加 7
観 測 事 実 1 気 候 システムの 温 暖 化 には 疑 う 余 地 がない 最 近 30 年 の 各 10 年 間 は 1850 年 以 降 のどの10 年 間 よりも 高 温 世 界 平 均 地 上 気 温 は 1880~2012 年 の 期 間 に0.85[0.65~1.06] 上 昇 最 近 30 年 の 各 10 年 間 の 世 界 平 均 地 上 気 温 は 1850 年 以 降 のどの10 年 間 よりも 高 温 地 域 的 な 変 化 傾 向 のデータが 十 分 そろう 期 間 (1901~2012 年 )では ほぼ 地 球 全 体 で 地 上 気 温 が 上 昇 している 3つの 地 上 気 温 観 測 データセットによる 世 界 平 均 気 温 で 1961~1990 年 平 均 を 基 準 とした 偏 差 で 示 しています 上 図 は 年 平 均 値 下 図 は10 年 平 均 値 です 8
観 測 事 実 2 気 候 システムに 蓄 積 されたエネルギーの90% 以 上 は 海 洋 へ 上 部 に 加 え 海 洋 深 層 でも 水 温 上 昇 1971~2010 年 において 海 洋 の 上 部 (0~ 700m)で 水 温 が 上 昇 したことはほぼ 確 実 1992~2005 年 において 3000m 以 深 の 海 洋 深 層 で 水 温 が 上 昇 している 可 能 性 が 高 い 海 洋 の 温 暖 化 は 気 候 システムに 蓄 えられた エネルギーの 変 化 の 大 部 分 を 占 め 1971~ 2010 年 の 期 間 ではその90% 以 上 を 占 めている エネルギー (10 21 J) 気 候 システムの 貯 熱 量 変 化 海 洋 ( 上 部 ) 海 洋 ( 深 層 ) 氷 の 融 解 陸 地 大 気 可 能 性 の 幅 海 洋 上 部 :0~700m 海 洋 深 層 :700m~ 海 底 IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 (2013) 年 9
観 測 事 実 3 氷 河 はほぼ 世 界 中 で 縮 小 し 続 けている 北 極 域 の 海 氷 面 積 や 北 半 球 の 積 雪 面 積 は 減 少 し 続 けている 過 去 20 年 にわたり グリーンランド 及 び 南 極 の 氷 床 の 質 量 は 減 少 しており 氷 河 はほぼ 世 界 中 で 縮 小 し 続 けている また 北 極 の 海 氷 面 積 及 び 北 半 球 の 春 季 の 積 雪 面 積 は 減 少 し 続 けている( 高 い 確 信 度 ) ヨーロッパ 中 部 の 氷 河 の 後 退 氷 河 の 長 さの 累 積 変 化 (m) 年 IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 (2013) 10
観 測 事 実 4 海 面 水 位 の 近 年 の 上 昇 率 は 過 去 2 千 年 の 上 昇 率 より 大 きい 世 界 平 均 海 面 水 位 は 1901~2010 年 の 期 間 に 0.19[0.17~0.21]m 上 昇 した 19 世 紀 半 ば 以 降 の 海 面 水 位 の 上 昇 率 は それ 以 前 の2 千 年 間 の 平 均 的 な 上 昇 率 より 大 き かった( 高 い 確 信 度 ) ( 新 見 解 ) 世 界 平 均 した 海 面 水 位 の 変 化 海 面 水 位 上 昇 率 の 要 因 別 寄 与 と 観 測 値 (1993~2010 年 ) 要 因 平 均 可 能 性 が 非 常 に 高 い 範 囲 熱 膨 張 1.1 0.8~1.4 氷 河 * 0.76 0.39~1.13 グリーンランド 氷 床 0.33 0.25~0.41 南 極 氷 床 0.27 0.16~0.38 陸 水 貯 留 量 0.38 0.26~0.49 寄 与 の 合 計 2.8 2.3~3.4 海 面 水 位 3.2 2.8~3.6 (mm) 1 年 当 たりの 海 面 水 位 上 昇 率 過 去 2000 年 20 世 紀 衛 星 観 測 期 (1993~2012 年 ) * グリーンランドと 南 極 を 除 く IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 (2013) 1 年 あたり(mm) 11
地 球 温 暖 化 の 要 因 人 間 活 動 が20 世 紀 半 ば 以 降 に 観 測 された 温 暖 化 の 主 な 要 因 であった 可 能 性 が 極 め て 高 い 観 測 とシミュレートされた 気 候 変 動 の 比 較 気 候 モデル 人 為 的 な 温 室 効 果 ガスや エーロゾルの 濃 度 変 化 を 観 測 与 える 与 えない IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 (2013) 12
将 来 予 測 1 21 世 紀 末 の 世 界 平 均 地 上 気 温 は 1986 ~2005 年 の 平 均 から RCP2.6シナリオで 0.3~1.7 RCP8.5シナリオで2.6~4.8 上 昇 する 可 能 性 が 高 い 世 界 平 均 地 上 気 温 の 変 化 ( )(2081~2100 年 ) 将 来 シナリオ 平 均 可 能 性 の 高 い 範 囲 RCP2.6 1.0 0.3~1.7 RCP4.5 1.8 1.1~2.6 RCP6.0 2.2 1.4~3.1 RCP8.5 3.7 2.6~4.8 1986~2005 年 平 均 からの 変 化 IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 (2013) 13
将 来 予 測 2 中 緯 度 の 湿 潤 地 域 では 平 均 降 水 量 が 増 加 中 緯 度 と 亜 熱 帯 の 乾 燥 地 域 では 平 均 降 水 量 が 減 少 RCP8.5シナリオでは 高 緯 度 域 と 太 平 洋 赤 道 域 では 今 世 紀 末 までに 年 降 水 量 が 増 加 する 可 能 性 が 非 常 に 高 い RCP8.5シナリオでは 中 緯 度 と 亜 熱 帯 の 乾 燥 地 域 の 多 くで 今 世 紀 末 までに 平 均 降 水 量 が 減 少 する 可 能 性 が 高 い 一 方 ほとんどの 中 緯 度 の 湿 潤 地 域 では 平 均 降 水 量 が 今 世 紀 末 までに 増 加 する 可 能 性 が 高 い 地 域 的 な 例 外 はあるものの 湿 潤 な 季 節 と 乾 燥 した 季 節 の 間 での 差 異 が 増 加 する IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 (2013) 14
将 来 予 測 3 ほとんどの 陸 域 で 極 端 な 高 温 が 増 加 極 端 な 低 温 が 減 少 地 域 によって 極 端 な 降 水 はより 強 く より 頻 繁 になる 世 界 平 均 地 上 気 温 が 上 昇 するにつれて ほとん どの 陸 域 で 日 々 及 び 季 節 の 時 間 規 模 で 極 端 な 高 温 がより 頻 繁 になり 極 端 な 低 温 が 減 少 するこ とはほぼ 確 実 である 世 界 平 均 地 上 気 温 が 上 昇 するにつれて 中 緯 度 の 大 陸 のほとんどと 湿 潤 な 熱 帯 域 において 今 世 紀 末 までに 極 端 な 降 水 がより 強 く より 頻 繁 となる 可 能 性 が 非 常 に 高 い 年 最 高 気 温 の20 年 再 現 値 の 変 化 日 降 水 量 の20 年 再 現 値 の 変 化 20 年 に 一 度 の 日 降 水 量 の 再 現 期 間 の 変 化 IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 (2013) いずれもRCP8.5 15
将 来 予 測 4 21 世 紀 末 の 世 界 平 均 海 面 水 位 は 1986 ~2005 年 の 平 均 から RCP2.6シナリオで 0.26~0.55m RCP8.5シナリオで0.45~0.82m 上 昇 する 可 能 性 が 高 い 世 界 平 均 海 面 水 位 の 上 昇 (m)(2081~2100 年 ) 将 来 シナリオ 平 均 可 能 性 の 高 い 範 囲 RCP2.6 0.40 0.26~0.55 RCP4.5 0.47 0.32~0.63 RCP6.0 0.48 0.33~0.63 RCP8.5 0.63 0.45~0.82 1986~2005 年 平 均 からの 変 化 21 世 紀 の 世 界 平 均 海 面 水 位 上 昇 の30~55%を 熱 膨 張 が 占 め 氷 河 によるものは15~35%である 世 界 平 均 海 面 水 位 上 昇 (m) 合 計 熱 膨 張 氷 河 IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 (2013) 16
将 来 予 測 5 21 世 紀 の 間 北 極 の 海 氷 域 が 小 さく 薄 くなり 続 ける 可 能 性 は 非 常 に 高 い 21 世 紀 の 間 世 界 平 均 地 上 気 温 の 上 昇 とともに 北 極 域 の 海 氷 域 が 小 さく 薄 くなり 続 けること また 北 半 球 の 春 季 の 積 雪 面 積 が 小 さくなることの 可 能 性 は 非 常 に 高 い また 世 界 規 模 で 氷 河 の 体 積 は 更 に 減 少 する IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 (2013) 17
台 風 の 変 化 について 熱 帯 低 気 圧 の 統 計 量 の 変 化 予 測 すべての 値 は A1B 的 なシナリオの 下 で21 世 紀 初 めと21 世 紀 末 との 変 化 率 (%)で 表 す ただし 専 門 家 の 判 断 に 基 づく 4つの 指 標 に 関 する 変 化 率 (%)が 検 討 されている I) 熱 帯 低 気 圧 の 年 間 発 生 頻 度 合 計 I)カテゴリー4および5の 低 気 圧 の 年 間 発 生 頻 度 II I) 寿 命 最 大 強 度 平 均 11 (LMI 低 気 圧 の 寿 命 中 に 到 達 した 最 大 強 度 ) IV)LMIの 時 点 における 低 気 圧 の 中 心 から200km 以 内 の 降 水 量 図 に 表 した 各 指 標 について 青 い 実 線 は 予 測 変 化 率 の 最 良 推 定 値 青 色 の 棒 グラフはこの 値 に 対 する67%( 可 能 性 が 高 いに 相 当 ) 信 頼 区 間 を 示 す(この 区 間 は 北 大 西 洋 におけるカテゴリー4および5の 低 気 圧 の 年 間 発 生 頻 度 に 対 す る-100%から+200%の 範 囲 に 及 ぶことに 注 意 ) 指 標 が 表 示 されていないところは 十 分 なデータが 入 手 できない(Xと 表 示 )ために 評 価 ができなかった ことを 意 味 する 図 の 背 景 には 過 去 の 低 気 圧 経 路 を 無 作 為 に 選 んで 各 色 で 描 画 して 熱 帯 低 気 圧 活 動 が 発 生 する 地 域 を 示 す IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 (2013)~ 技 術 要 約 18
排 出 量 と 気 温 上 昇 量 1 二 酸 化 炭 素 の 累 積 排 出 量 と 気 温 上 昇 量 は ほぼ 比 例 関 係 にある 二 酸 化 炭 素 以 外 の 変 化 も 考 慮 した 場 合 二 酸 化 炭 素 を 増 やし た 場 合 人 為 的 な 二 酸 化 炭 素 排 出 のみによ る 温 暖 化 を 50%より 大 きい 確 率 で1861~1880 年 の 期 間 から2 よ り 低 く 抑 えるには 全 ての 人 為 的 発 生 源 からの 累 積 二 酸 化 炭 素 排 出 量 を 同 期 間 以 降 で0~ 約 1210GtC に 制 限 する 必 要 がある 2011 年 までに 既 に515GtCが 排 出 さ れている GtC: 炭 素 換 算 のギガトン(10 12 kg) IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 (2013) 19
排 出 量 と 気 温 上 昇 量 2 IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 3 作 業 部 会 報 告 書 (2014)をもとにJCCCAが 作 成 20
第 2 作 業 部 会 報 告 書 ~ 観 測 された 影 響 脆 弱 性 及 び 適 応 ここ 数 十 年 気 候 変 動 は 全 ての 大 陸 と 海 洋 にわたり 自 然 及 び 人 間 システムに 影 響 を 与 えている 降 水 量 や 氷 雪 の 融 解 の 変 化 により 水 資 源 の 量 と 質 に 影 響 を 与 えている 陸 域 淡 水 海 洋 の 生 物 の 生 息 域 等 が 変 化 している 農 作 物 の 収 量 には 正 の 影 響 よりも 負 の 影 響 が 一 般 的 にみられる 干 ばつ 洪 水 等 の 極 端 現 象 の 影 響 により 一 部 生 態 系 や 多 くの 人 間 システムの 現 在 の 気 候 変 動 性 に 対 する 重 大 な 脆 弱 性 と 曝 露 が 明 らかになった 気 候 変 動 のリスクは 人 々や 地 域 によって 差 がある 特 に 貧 困 の 中 で 生 活 する 人 々にとって 気 候 変 動 は 生 計 や 他 のストレス 要 因 を 悪 化 させる 暴 力 的 紛 争 は 気 候 変 動 に 対 する 脆 弱 性 を 増 大 させる 気 候 変 動 への 適 応 は 行 われ 始 めている 適 応 は 一 部 の 計 画 過 程 に 組 み 込 まれつつあり 限 定 的 であるが 実 施 されている 対 応 がある 曝 露 ( 例 : 日 本 海 側 は 冬 季 雪 が 多 く 降 る) 脆 弱 性 ( 例 : 太 平 洋 側 は 冬 季 雪 が 降 ると 交 通 機 関 など 大 きな 障 害 が 出 る) IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 報 告 書 (2014) 21
第 2 作 業 部 会 報 告 書 ~ 8つの 主 要 リスクと5つの 懸 念 理 由 複 数 の 分 野 や 地 域 に 及 ぶ 8つの 主 要 なリスク 高 潮 沿 岸 洪 水 海 面 水 位 上 昇 による 沿 岸 低 地 と 小 島 嶼 部 への 健 康 生 計 崩 壊 等 のリスク 洪 水 による 大 都 市 住 民 への 健 康 生 計 崩 壊 のリスク 極 端 な 気 象 現 象 による インフラ 施 設 やライフラインへの 機 能 停 止 のリスク 極 端 な 暑 熱 による 都 市 住 民 や 野 外 労 働 者 への 健 康 のリスク 温 暖 化 干 ばつや 洪 水 等 による 特 に 貧 しい 住 民 への 食 料 不 足 等 のリスク 飲 料 水 や 農 業 用 水 不 足 等 による 特 に 半 乾 燥 地 域 における 農 村 への 生 計 や 収 入 を 損 失 するリスク 特 に 熱 帯 と 北 極 圏 で 海 洋 沿 岸 生 態 系 への 影 響 と それによる 漁 業 への 生 計 が 失 われるリスク 陸 域 陸 水 生 態 系 への 影 響 と それによる 住 民 への 生 計 が 失 われるリスク リスクに 寄 与 する 5つの 懸 念 の 理 由 生 態 系 や 文 化 など 独 特 で 脅 威 に 曝 されているシステム 極 端 な 気 象 現 象 リスクの 偏 在 による 影 響 の 分 布 世 界 総 合 的 な 影 響 グリーンランド 氷 床 の 融 解 等 の 大 規 模 な 特 異 事 象 IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 報 告 書 (2014) 22
第 2 作 業 部 会 報 告 書 ~ 将 来 のリスクと 適 応 の 機 会 温 暖 化 の 程 度 が 増 大 すると 深 刻 で 蔓 延 的 で 不 可 逆 的 な 影 響 が 起 こる 可 能 性 が 高 まる リスクは 気 候 変 動 の 速 度 や 程 度 を 制 限 することによって 低 減 できる IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 報 告 書 (2014) 23
第 2 作 業 部 会 報 告 書 ~アジアでのリスクと 適 応 可 能 性 IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 報 告 書 (2014) 24
第 2 作 業 部 会 報 告 書 ~ 将 来 のリスクの 管 理 とレジリエンスの 構 築 効 果 的 な 適 応 のための 原 則 適 応 は 地 域 や 背 景 に 固 有 のものであり すべての 状 況 に 適 切 なリスク 低 減 の 単 一 アプローチは 存 在 しない 適 応 の 第 一 歩 は 現 在 の 気 候 の 変 動 性 に 対 する 脆 弱 性 や 曝 露 を 低 減 することである 適 応 計 画 の 立 案 と 実 施 は 社 会 的 価 値 目 的 及 びリスク 認 識 に 左 右 される 相 乗 効 果 やトレードオフが 緩 和 や 適 応 の 間 や 異 なる 適 応 の 対 応 の 中 に 存 在 する 気 候 に 対 して 強 靱 な 社 会 の 経 路 と 変 革 気 候 変 動 がより 速 い 速 度 やより 大 きい 程 度 になると 適 応 の 限 界 を 超 える 可 能 性 が 高 まる 経 済 的 社 会 的 技 術 的 及 び 政 治 的 な 意 思 決 定 や 行 動 における 変 革 は 社 会 が 気 候 に 対 して 強 靱 な 経 路 をたどることを 可 能 にする IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 報 告 書 (2014) 25
第 3 作 業 部 会 報 告 書 ~ 温 室 効 果 ガスの 排 出 人 為 起 源 の 温 室 効 果 ガス 排 出 量 は 1970 年 から2010 年 にかけて 増 え 続 け 10 年 単 位 だと 最 後 の 10 年 間 (2000~10 年 )の 排 出 増 加 量 がより 大 きい 1970 年 から2010 年 に 排 出 された 温 室 効 果 ガスの78%は 化 石 燃 料 起 源 の 二 酸 化 炭 素 が 占 めている この40 年 間 に 排 出 された 人 為 起 源 二 酸 化 炭 素 は 1750 年 から2010 年 までの 累 積 排 出 量 の 約 半 分 を 占 めている 2000 年 から2010 年 までの 間 経 済 成 長 と 人 口 増 加 はエネルギー 強 度 の 改 善 による 排 出 削 減 を 凌 駕 した 49Gt 27Gt IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 3 作 業 部 会 報 告 書 (2014) 26
第 3 作 業 部 会 報 告 書 ~ 緩 和 経 路 と 緩 和 策 気 温 上 昇 を 産 業 革 命 前 に 比 べて2 未 満 に 抑 えられる 可 能 性 が 高 い 緩 和 シナ リオは 2100 年 に 大 気 中 の 二 酸 化 炭 素 換 算 濃 度 が 約 450ppmとなるものである この 濃 度 に 達 するシナリオは 2010 年 と 比 べて2050 年 の 世 界 の 温 室 効 果 ガス 排 出 量 は40~70% 低 く 2100 年 にはほ ぼゼロまたはマイナスになる これらシナリオの 特 徴 は エネルギー 効 率 が 急 速 に 改 善 され ゼロカーボン 及 び 低 炭 素 エネルギーの 供 給 比 率 が 2050 年 までに2010 年 の3 倍 から4 倍 近 くになっていることである 2030 年 まで 緩 和 の 取 り 組 みを 遅 延 させ ると 産 業 革 命 前 から 気 温 上 昇 を2 未 満 に 抑 え 続 けるための 選 択 肢 の 幅 が 狭 まる IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 3 作 業 部 会 報 告 書 (2014) 27
第 3 作 業 部 会 報 告 書 ~ 緩 和 経 路 と 緩 和 策 IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 3 作 業 部 会 報 告 書 (2014) 28
統 合 報 告 書 から (A) 気 候 変 動 によるリスクは (B) 累 積 CO2 排 出 量 に 依 存 し 気 温 変 化 と 二 酸 化 炭 素 の リスク の 関 係 累 積 排 出 量 と 気 温 変 化 の 関 係 二 酸 化 炭 素 の 累 積 排 出 量 と 2050 年 における 排 出 量 変 化 の 関 係 (C) それは 今 後 数 十 年 間 の 年 間 排 出 量 に 依 存 する IPCC AR5 統 合 報 告 書 図 SPM.10 29
まとめ~ 統 合 報 告 書 気 候 システムの 温 暖 化 には 疑 う 余 地 がなく また1950 年 代 以 降 観 測 された 変 化 の 多 くは 数 十 年 から 数 千 年 間 に わたり 前 例 のないものである 大 気 と 海 洋 は 温 暖 化 し 雪 氷 の 量 は 減 少 し 海 面 水 位 は 上 昇 している 人 為 起 源 の 温 室 効 果 ガスの 排 出 は 工 業 化 以 前 の 時 代 以 降 増 加 しており これは 主 に 経 済 成 長 や 人 口 増 加 からもた らされている それらの 効 果 は 他 の 人 為 的 要 因 と 併 せ 気 候 システムの 全 要 素 において 検 出 されており 20 世 紀 半 ば 以 降 に 観 測 された 温 暖 化 の 支 配 的 な 原 因 であった 可 能 性 が 極 めて 高 い ここ 数 十 年 気 候 変 動 は 全 ての 大 陸 と 海 洋 にわたり 自 然 及 び 人 間 システムに 影 響 を 与 えている 1950 年 頃 以 降 多 くの 極 端 な 気 象 及 び 気 候 現 象 の 変 化 が 観 測 されてきた 温 室 効 果 ガスの 継 続 的 な 排 出 は 更 なる 温 暖 化 と 気 候 システムの 全 ての 要 素 に 長 期 にわたる 変 化 をもたらし それ により 人 々や 生 態 系 にとって 深 刻 で 広 範 囲 にわたる 不 可 逆 的 な 影 響 を 生 じる 可 能 性 が 高 まる 二 酸 化 炭 素 の 累 積 排 出 量 によって 21 世 紀 後 半 及 びその 後 の 世 界 平 均 の 地 表 面 の 温 暖 化 の 大 部 分 が 決 定 づけられる 多 くの 地 域 で 熱 波 はより 頻 繁 に 発 生 しまたより 長 く 続 き 極 端 な 降 水 がより 強 くまたより 頻 繁 となる 可 能 性 が 非 常 に 高 い 海 洋 では 温 暖 化 と 酸 性 化 世 界 平 均 海 面 水 位 の 上 昇 が 続 くだろう 気 候 変 動 は 既 存 のリスクを 増 幅 し 自 然 システム 及 び 人 間 システムにとっての 新 たなリスクを 引 き 起 こすだろう 気 候 変 動 の 多 くの 特 徴 及 び 関 連 する 影 響 は たとえ 温 室 効 果 ガスの 人 為 的 な 排 出 が 停 止 したとしても 何 世 紀 にも わたって 持 続 するだろう 適 応 及 び 緩 和 は 気 候 変 動 のリスクを 低 減 し 管 理 するための 補 完 的 な 戦 略 である 現 行 を 上 回 る 追 加 的 な 緩 和 努 力 がないと たとえ 適 応 があったとしても 21 世 紀 末 までの 温 暖 化 は 深 刻 で 広 範 に わたる 不 可 逆 的 な 世 界 規 模 の 影 響 に 至 るリスクが 高 いレベルから 非 常 に 高 いレベルに 達 するだろう 適 応 は 気 候 変 動 影 響 のリスクを 低 減 できるが その 有 効 性 には 限 界 がある 多 くの 適 応 及 び 緩 和 の 選 択 肢 は 気 候 変 動 への 対 処 に 役 立 ちうるが 単 一 の 選 択 肢 だけで 十 分 というものはない 効 果 的 な 適 応 及 び 緩 和 は 国 際 的 地 域 的 国 家 的 準 国 家 的 な 複 数 の 規 模 にまたがった 政 策 や 対 策 に 依 存 するだ ろう 統 合 的 対 応 を 通 じ 緩 和 適 応 及 びその 他 社 会 的 目 標 の 追 求 とリンクする 多 くの 機 会 が 存 在 する 30
IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 のリンク IPCC http://www.ipcc.ch/ 気 象 庁 http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/ 第 1 作 業 部 会 報 告 書 政 策 決 定 者 向 けの 要 約 概 要 ( 各 章 ごと) よくある 質 問 と 回 答 ( 各 章 ごと) 技 術 要 約 ( 作 成 中 ) 環 境 省 経 済 産 業 省 第 2 作 業 部 会 報 告 書 政 策 決 定 者 向 けの 要 約 第 3 作 業 部 会 報 告 書 政 策 決 定 者 向 けの 要 約 ( 作 成 中 ) 統 合 報 告 書 政 策 決 定 者 向 けの 要 約 ( 作 成 中 ) http://www.env.go.jp/earth/ipcc/5t h/index.html#wg2 http://www.meti.go.jp/policy/energy_enviro nment/global_warming/global2.html 31
ご 清 聴 ありがとうございました Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism 32