平 成 20 年 度 答 申 第 2 号 答 申 ( 一 部 省 略 ) 諮 問 件 名 防 犯 カメラによる 画 像 の 記 録 収 集 の 可 否 について 1 審 査 の 経 緯 米 子 市 長 ( 以 下 実 施 機 関 という )から 平 成 21 年 2 月 16 日 付 けで 諮 問 があったことを 受 け 当 審 査 会 は 別 表 のとおり 審 査 を 行 った 2 当 審 査 会 の 個 人 情 報 の 取 扱 いに 関 する 考 え 方 米 子 市 個 人 情 報 保 護 条 例 ( 以 下 条 例 という ) 第 7 条 第 1 項 において 実 施 機 関 は 個 人 情 報 を 収 集 するときは その 目 的 を 明 らかにするとともに 適 法 かつ 公 正 な 手 段 により 当 該 目 的 の 達 成 のために 必 要 な 範 囲 内 で 行 わな ければならないこととされている また 同 条 第 2 項 において 個 人 情 報 の 収 集 は 原 則 として 当 該 個 人 情 報 に 係 る 本 人 から 行 わなければならないとさ れている その 例 外 となる 場 合 について 同 条 第 2 項 第 1 号 から 第 6 号 まで に 掲 げられている 本 件 諮 問 に 係 る 防 犯 カメラの 画 像 に 含 まれる 個 人 情 報 の 収 集 ( 以 下 本 件 個 人 情 報 収 集 という )については 同 条 第 2 項 第 1 号 から 第 5 号 までには 該 当 しないため 同 条 第 2 項 第 6 号 に 該 当 し 得 る 公 益 上 の 必 要 その 他 相 当 な 理 由 があると 認 められるかどうかが 問 題 となる また 本 件 個 人 情 報 収 集 の 対 象 となる 個 人 情 報 は JR 東 山 公 園 駅 周 辺 に 設 置 する 予 定 である 屋 外 防 犯 カメラ( 以 下 当 該 防 犯 カメラ という )に より 画 像 データとして 記 録 されるもの( 以 下 画 像 という )であり 具 体 的 には 個 人 の 容 ぼう 姿 態 行 動 ( 以 下 容 ぼう 等 という )である 防 犯 カメラの 設 置 運 用 は 設 置 者 の 自 由 に 委 ねられているのが 現 状 である が 何 人 も その 承 諾 なしに みだりにその 容 ぼう 姿 態 を 撮 影 されない 自 由 を 有 する ( 最 高 裁 大 法 廷 昭 和 44 年 12 月 24 日 判 決 )のであり 防 犯 カメラによって その 設 置 者 が 無 制 限 に 人 の 容 ぼう 等 を 撮 影 し その 画 像 を 記 録 保 管 するとしたら 撮 影 される 個 人 のプライバシーを 侵 害 する 可 能 性 がある そこで 防 犯 カメラの 有 用 性 を 踏 まえつつ 個 人 の 権 利 利 益 の 保 護 に 配 慮 した 防 犯 カメラ 及 び 画 像 の 管 理 に 関 する 適 正 な 運 用 方 針 を 策 定 し それを 厳 格 に 運 用 することが 必 要 不 可 欠 である 現 在 法 律 として 国 の 基 準 が 示 され ていない 状 況 においては 防 犯 カメラの 設 置 者 となる 実 施 機 関 においてそれ
を 行 わなければならない 適 正 な 運 用 方 針 を 厳 格 に 運 用 することによっては じめて 人 がみだりにその 容 ぼう 等 を 撮 影 されない 自 由 や 権 利 の 保 護 と 犯 罪 発 生 の 抑 止 という 防 犯 カメラの 設 置 目 的 との 調 和 が 実 現 されうるのであ る 3 個 人 情 報 の 収 集 に 係 る 適 法 性 公 正 性 及 び 公 益 性 について 東 山 公 園 については JR 東 山 公 園 駅 を 列 車 通 学 のために 利 用 する 学 生 な どが 多 く 行 き 来 しているが 以 前 から 不 審 者 からの 声 掛 け 事 例 が 多 い 上 近 年 では 当 該 駅 駅 舎 内 のトイレでののぞき 見 事 件 や 少 年 グループによる 高 校 生 に 対 する 恐 喝 暴 行 事 件 が 発 生 している そのため 東 山 中 学 校 区 防 犯 推 進 連 絡 協 議 会 や 米 子 警 察 署 がパトロールを 実 施 するなどして 特 に 子 どもた ちの 安 全 確 保 に 取 り 組 んでいるところである しかし 常 時 のパトロールは 困 難 であり 人 的 活 動 のみでは 限 界 があることから 東 山 公 園 を 利 用 する 子 どもたちの 安 全 確 保 という この 地 域 における 必 要 性 を 勘 案 し この 度 実 施 機 関 において 犯 罪 発 生 の 抑 止 効 果 があると 考 えられる 防 犯 カメラの 設 置 を 計 画 したものである したがって 当 該 防 犯 カメラについては 現 に 犯 罪 が 多 く 発 生 する 地 域 に 限 定 して 設 置 されること また 24 時 間 体 制 のパトロールなどのような 対 策 が 現 状 では 困 難 であることを 考 慮 すると その 設 置 には 必 要 性 があり か つ 代 替 性 がないものと 認 められる また 防 犯 カメラの 設 置 については 全 国 的 に 犯 罪 事 情 が 悪 化 する 中 で 官 民 問 わず 犯 罪 発 生 の 抑 止 又 は 防 止 を 目 的 として 増 加 しているところであ り その 効 果 が 認 められる ただし 行 政 機 関 が 設 置 する 防 犯 カメラにつ いては 特 に 市 民 が 安 心 して 安 全 な 生 活 を 送 ることのできる 地 域 社 会 の 形 成 を 図 ることがその 設 置 目 的 であることを 念 頭 において 人 がみだりにそ の 容 ぼう 等 を 撮 影 されない 自 由 や 権 利 との 調 和 を 図 ることによってはじめ て その 目 的 を 達 成 しうるのであり そのためには 防 犯 カメラによる 個 人 情 報 の 収 集 に 対 する 市 民 の 理 解 が 不 可 欠 である しかし 当 該 防 犯 カメ ラの 撮 影 対 象 区 域 には 同 駅 の 利 用 者 のほか 不 特 定 多 数 の 者 が 立 ち 入 るた め それらの 者 すべてから 個 別 にその 撮 影 について 同 意 を 得 ることは 不 可 能 である そのため 実 施 機 関 は 当 該 防 犯 カメラの 設 置 場 所 及 びその 周 辺 に 防 犯 カメラを 設 置 している 旨 を 掲 示 することにより 撮 影 対 象 区 域 に 立 ち 入 る 者 に 対 して 理 解 を 求 めることとしている 同 時 に それにより 防 犯 カメラの 設 置 目 的 である 犯 罪 発 生 の 抑 止 効 果 も 期 待 できる 以 上 のことから 当 該 防 犯 カメラの 設 置 は 市 民 が 安 心 して 安 全 な 生 活 を 送 ることのできる 地 域 社 会 の 形 成 につながることが 期 待 され 実 施 機 関 が 本 件 個 人 情 報 収 集 を 行 う 公 益 上 の 必 要 があると 認 められる
なお 当 該 防 犯 カメラについては その 設 置 場 所 及 びその 周 辺 に 当 該 防 犯 カメラを 設 置 している 旨 の 掲 示 をするのみならず 市 報 等 によりその 設 置 目 的 や 運 用 方 針 を 広 く 市 民 全 体 に 周 知 すべきである 4 個 人 情 報 の 保 護 と 利 用 について 個 人 の 権 利 利 益 を 確 保 するために 個 人 情 報 の 保 護 は 極 めて 重 要 である そのためには 個 人 情 報 の 適 正 な 収 集 のみならず 収 集 した 個 人 情 報 の 保 管 管 理 及 び 利 用 が 適 正 に 行 われることが 不 可 欠 である したがって 実 施 機 関 は 当 該 防 犯 カメラにより 撮 影 された 画 像 の 保 管 管 理 及 び 利 用 につい て あらかじめ 適 切 な 措 置 を 定 め それを 厳 格 に 運 用 することにより 本 件 個 人 情 報 収 集 が 個 人 の 権 利 利 益 の 侵 害 につながることのないようにしなけ ればならない 当 該 防 犯 カメラにより 撮 影 された 画 像 は デジタルレコーダーにより 記 録 される 当 該 デジタルレコーダーは ( 一 部 省 略 ) 建 物 内 の 施 錠 した 部 屋 の 中 に 設 置 した 固 定 したボックスの 中 に 保 管 することにより 持 ち 出 しを 禁 止 する また 当 該 デジタルレコーダーを 操 作 する 際 には 暗 証 番 号 を 必 要 とする 設 定 を 行 うことにより 利 用 者 を 限 定 する さらに 当 該 防 犯 カ メラにより 撮 影 され デジタルレコーダーに 記 録 された 画 像 については 保 存 期 間 を 原 則 14 日 間 とし 上 書 きにより 記 録 更 新 することにより 保 存 期 間 を 経 過 した 画 像 を 機 械 的 自 動 的 にただちに 消 去 することとしてい る 以 上 により 個 人 情 報 を 保 管 管 理 する 上 での 安 全 対 策 上 の 措 置 が 施 されていると 認 められる また 画 像 はあくまで 犯 罪 発 生 を 抑 止 するという 当 該 防 犯 カメラの 設 置 目 的 に 沿 って 撮 影 記 録 されるのであり 原 則 として 実 施 機 関 の 職 員 が 常 時 画 像 を 確 認 することはなく 実 施 機 関 以 外 の 者 への 提 供 はしないことと している これにより 個 人 情 報 を 利 用 する 上 での 原 則 が 定 められている と 認 められる ただし 画 像 の 利 用 又 は 提 供 については 前 述 のとおり 原 則 禁 止 されて いるものの 法 令 等 に 基 づく 場 合 及 び 市 民 の 生 命 身 体 健 康 生 活 又 は 財 産 の 保 護 のために 必 要 であると 認 められる 場 合 は 例 外 として 利 用 又 は 提 供 される 可 能 性 がある しかし そのような 場 合 であっても 個 人 の 権 利 利 益 を 保 護 するという 観 点 から 条 例 に 基 づき 当 該 利 用 又 は 提 供 については 特 に 厳 格 かつ 慎 重 な 判 断 を 行 うべきである なお 当 該 防 犯 カメラの 設 置 目 的 に 合 致 しないおそれのある 画 像 の 利 用 又 は 提 供 については 当 審 査 会 の 判 断 を 仰 ぐよう 強 く 要 請 するものである
5 当 審 査 会 の 判 断 ( 結 論 ) 上 記 のとおり JR 東 山 公 園 駅 周 辺 に 防 犯 カメラを 設 置 し 運 用 すること は 当 該 地 域 の 犯 罪 発 生 の 抑 止 につながること さらに それにより 地 域 住 民 の 安 心 安 全 につながることが 期 待 されることから 本 件 個 人 情 報 収 集 を 行 う 公 益 上 の 必 要 があると 認 められる また 本 件 個 人 情 報 収 集 は 犯 罪 発 生 を 抑 止 するという 目 的 で JR 東 山 公 園 駅 周 辺 という 特 に 犯 罪 発 生 率 の 高 い 限 られた 範 囲 内 で 行 うこととしており 本 件 個 人 情 報 収 集 によ り 個 人 の 権 利 利 益 が 侵 害 されるおそれは 低 いと 判 断 する さらに 収 集 さ れた 個 人 情 報 に 係 る 保 護 対 策 についても 適 正 であると 認 められる よって 当 審 査 会 は 本 件 個 人 情 報 収 集 を 可 と 認 める