旬 刊 経 理 情 報 No.1216 平 成 21 年 6 月 1 日 発 行 不 況 下 で 企 業 再 生 関 係 税 制 は 必 見! 法 人 関 係 税 制 のポイント ディレクター 税 理 士 山 本 恭 司 Contents 1. 中 小 企 業 関 係 税 制 2. 平 成 21 年 及 び 平 成 22 年 に 土 地 を 取 得 した 場 合 の 特 例 制 度 3. 省 エネ 新 エネ 設 備 等 の 即 時 償 却 4. 棚 卸 資 産 の 評 価 方 法 の 見 直 し 5. 役 員 報 酬 の 事 前 確 定 届 出 給 与 の 届 出 記 載 の 一 部 省 略 6. 外 国 で 課 される 課 徴 金 延 滞 金 7. 企 業 再 生 関 係 税 制 の 見 直 し 8. 研 究 開 発 税 制 の 拡 充 ( 未 公 布 ) 9. 特 定 目 的 会 社 と 投 資 法 人 の 導 管 性 要 件
1. 中 小 企 業 関 係 税 制 (1) 中 小 企 業 等 に 対 する 軽 減 税 率 の 時 限 的 引 下 げ 中 小 法 人 ( 普 通 法 人 のうち 各 事 業 年 度 終 了 の 時 において 資 本 金 の 額 若 しくは 出 資 金 の 額 が1 億 円 以 下 であるもの) 等 の 平 成 21 年 4 月 1 日 から 平 成 23 年 3 月 31 日 までの 間 に 終 了 する 各 事 業 年 度 の 所 得 の 金 額 のうち 年 800 万 円 以 下 の 金 額 に 対 する 法 人 税 の 軽 減 税 率 が22%から18%に 引 き 下 げられた これは2 年 間 の 時 限 的 措 置 である (2) 中 小 企 業 等 の 欠 損 金 の 繰 戻 還 付 の 復 活 中 小 法 人 等 の 平 成 21 年 2 月 1 日 以 後 に 終 了 する 各 事 業 年 度 に おいて 生 じた 欠 損 金 額 については 欠 損 金 の 繰 戻 しによる 還 付 制 度 の 適 用 ができることとされた 2 月 決 算 法 人 の 場 合 はこの 平 成 21 年 2 月 期 の 確 定 申 告 から 適 用 され 欠 損 事 業 年 度 の 確 定 申 告 書 の 提 出 期 限 までに その 確 定 申 告 書 と 合 わせて 還 付 請 求 書 を 提 出 する 必 要 があるので 注 意 が 必 要 である 欠 損 金 の 繰 戻 還 付 制 度 は 国 の 財 政 悪 化 等 を 理 由 に 平 成 4 年 から 解 散 や 会 社 更 生 法 に 基 づく 更 正 手 続 の 開 始 などの 特 別 な 場 合 を 除 いて 適 用 が 原 則 停 止 されていた なお 欠 損 金 の 繰 戻 還 付 制 度 は 法 人 税 の 規 定 であり 地 方 税 ( 法 人 住 民 税 や 法 人 事 業 税 )には 適 用 されない (3) 中 小 企 業 の 交 際 費 課 税 の 軽 減 ( 平 成 21 年 6 月 26 日 公 布 施 行 ) 交 際 費 等 の 損 金 不 算 入 制 度 について 平 成 21 年 4 月 1 日 以 後 に 終 了 する 事 業 年 度 から 中 小 法 人 に 係 る 定 額 控 除 限 度 額 を 現 行 の 年 400 万 円 から 年 600 万 円 に 引 き 上 げる 法 案 が 現 在 国 会 に 上 程 されている これにより 中 小 法 人 の 交 際 費 の 損 金 算 入 限 度 額 は 最 大 年 360 万 円 から540 万 円 に 拡 大 されることになる この 改 正 法 案 は 国 会 で 決 議 され 次 第 施 行 が 予 定 されている 2. 平 成 21 年 及 び 平 成 22 年 に 土 地 を 取 得 した 場 合 の 特 例 制 度 (1) 長 期 譲 渡 所 得 の1,000 万 円 特 別 控 除 制 度 の 創 設 法 人 が 平 成 21 年 1 月 1 日 から 平 成 22 年 12 月 31 日 までの 間 に 取 得 ( 支 配 株 主 等 からの 取 得 を 除 く)した 国 内 にある 土 地 ( 借 地 権 を 含 み 棚 卸 資 産 を 除 く)で その 年 1 月 1 日 において 所 有 期 間 が5 年 を 超 えるものの 譲 渡 をした 場 合 には その 年 中 に 譲 渡 をした 土 地 に 係 る 譲 渡 益 の 金 額 から1,000 万 円 が 損 金 算 入 で きることとされた この 損 金 算 入 制 度 の 適 用 は 早 くて 平 成 27 年 以 後 になるものと 考 えられるが 失 念 することの 無 いよう 平 成 21 年 と 平 成 22 年 に 取 得 した 土 地 は 特 別 に 留 意 する 必 要 があ る なお 個 人 の 長 期 譲 渡 所 得 にも 同 様 の 規 定 が 設 けられて いる (2) 先 行 取 得 した 土 地 等 の 圧 縮 記 帳 制 度 の 創 設 法 人 が 平 成 21 年 1 月 1 日 から 平 成 22 年 12 月 31 日 までの 間 に 国 内 にある 土 地 の 取 得 ( 土 地 及 び 取 得 の 定 義 は(1)と 同 じ)を し その 取 得 事 業 年 度 の 確 定 申 告 書 の 提 出 期 限 までにこの 圧 縮 記 帳 の 適 用 を 受 ける 旨 の 届 出 書 を 納 税 地 の 所 轄 税 務 署 長 に 提 出 した 場 合 において その 取 得 事 業 年 度 終 了 の 日 後 10 年 以 内 に その 法 人 の 所 有 する 他 の 土 地 の 譲 渡 をしたときは その 先 行 取 得 土 地 について 圧 縮 記 帳 ができることとされた 圧 縮 限 度 額 は その 先 行 取 得 土 地 を 平 成 21 年 に 取 得 したときは 譲 渡 益 の80% 相 当 額 平 成 22 年 に 取 得 したときは 譲 渡 益 の60% 相 当 額 となっている( 注 )( 図 表 1) なお 個 人 事 業 者 にも 同 様 の 規 定 が 設 けられている ( 注 )その 譲 渡 の 日 を 含 む 事 業 年 度 において 先 行 取 得 土 地 等 が 平 成 22 年 中 に 取 得 されたもののみである 場 合 には60% ( 図 表 1) 先 行 取 得 した 土 地 等 の 圧 縮 記 帳 平 成 21 年 土 地 を 購 入 取 得 価 額 25 億 円 買 替 えの 圧 縮 記 帳 ( 措 法 65の7)との 比 較 買 換 えの 圧 縮 記 帳 原 則 として 同 一 事 業 年 度 での 買 換 えのみが 対 象 原 則 として 取 得 後 1 年 以 内 に 事 業 の 用 に 供 することが 必 要 買 換 えにより 土 地 等 の 面 積 が5 倍 を 超 えて 拡 大 する 場 合 には 適 用 できない 10 年 間 別 の 保 有 土 地 の 売 却 先 行 取 得 土 地 等 の 圧 縮 記 帳 取 得 価 額 に 達 するまで 10 年 間 に わたり 何 度 も 利 用 可 能 購 入 する 土 地 は すぐに 事 業 の 用 に 供 する 必 要 がない 購 入 する 土 地 売 却 する 土 地 の 面 積 等 に 条 件 がない 注 意 点 1. 棚 卸 資 産 は 対 象 とならない 2. この 特 例 の 適 用 を 受 けるためには 取 得 した 年 の 確 定 申 告 書 の 提 出 期 限 までに 適 用 を 受 ける 旨 の 届 出 書 を 提 出 しなければならない 譲 渡 対 価 帳 簿 価 格 譲 渡 益 譲 渡 益 ( 減 額 後 ) 圧 縮 記 帳 取 得 価 格 圧 縮 損 帳 簿 価 格 30 億 円 10 億 円 20 億 円 8 割 減 額 (16 億 円 ) 4 億 円 25 億 円 16 億 円 9 億 円 ( 出 所 ) 国 土 交 通 省 HP 2/17/09 付 土 地 の 譲 渡 益 に 関 する 新 たな 特 例 措 置 について 2
3. 省 エネ 新 エネ 設 備 等 の 即 時 償 却 (1) エネルギー 需 給 構 造 改 革 推 進 投 資 促 進 税 制 にお ける 即 時 償 却 制 度 の 創 設 平 成 21 年 4 月 1 日 から 平 成 23 年 3 月 31 日 までの 間 に 取 得 した エネルギー 需 給 構 造 改 革 推 進 設 備 等 ( 太 陽 光 発 電 設 備 ヒート ポンプ 天 然 ガス 自 動 車 高 断 熱 窓 設 備 など)は その 事 業 の 用 に 供 した 事 業 年 度 において 普 通 償 却 限 度 額 に 加 えて 取 得 価 額 まで 特 別 償 却 ( 即 時 償 却 )ができる 措 置 が 創 設 された なお 従 来 からのエネルギー 需 給 構 造 改 革 推 進 投 資 促 進 税 制 (30% の 特 別 償 却 又 は20%の 税 額 控 除 )の 適 用 期 限 は2 年 間 延 長 さ れている (2) 資 源 生 産 性 向 上 促 進 税 制 の 創 設 改 正 産 業 活 力 再 生 法 の 施 行 日 ( 平 成 21 年 4 月 30 日 )から 平 成 23 年 3 月 31 日 までの 間 に 取 得 した 資 源 需 給 構 造 変 化 対 応 設 備 等 (トップランナー 基 準 をさらに 一 定 程 度 上 回 る 省 エネ 製 品 (エ アコン 冷 蔵 庫 テレビ 受 信 機 DVDレコーダー 電 子 計 算 機 な ど) 太 陽 熱 利 用 設 備 LED 照 明 設 備 家 庭 用 燃 料 電 池 などのう ち 認 定 を 受 けたもの)は その 事 業 の 用 に 供 した 事 業 年 度 にお いて 普 通 償 却 限 度 額 に 加 えて 取 得 価 額 まで 特 別 償 却 ( 即 時 償 却 )ができる 措 置 が 創 設 された これに 合 わせて 平 成 24 年 3 月 31 日 までの 間 に 取 得 したものについては 30%( 建 物 等 につい ては15%)の 特 別 償 却 ができる 制 度 も 創 設 された 5. 役 員 報 酬 の 事 前 確 定 届 出 給 与 の 届 出 記 載 の 一 部 省 略 平 成 19 年 4 月 1 日 以 後 に 開 始 する 事 業 年 度 において 役 員 報 酬 のうち 定 期 同 額 給 与 事 前 確 定 届 出 給 与 一 定 の 利 益 連 動 給 与 のいずれにも 該 当 しないものは 損 金 不 算 入 とされて いる そのうち 事 前 確 定 届 出 給 与 とは その 役 員 の 職 務 につ き 所 定 の 時 期 に 確 定 額 を 支 給 する 旨 の 定 めに 基 づいて 支 給 す る 給 与 で 所 定 の 届 出 期 限 までに 納 税 地 の 所 轄 税 務 署 長 にそ の 定 めの 内 容 に 関 する 届 出 をしているものをいう この 事 前 確 定 届 出 給 与 に 係 る 届 出 書 の 記 載 事 項 のうち 平 成 21 年 4 月 1 日 以 降 に 行 う 届 出 から 対 象 者 の 直 前 の 会 計 期 間 に おける 給 与 の 支 給 時 期 及 び 支 給 金 額 と 対 象 者 以 外 の 役 員 に 対 する 給 与 の 状 況 の 記 載 が 省 略 されることとなった 6. 外 国 で 課 される 課 徴 金 延 滞 金 損 金 不 算 入 となる 独 占 禁 止 法 の 規 定 による 課 徴 金 及 び 延 滞 金 に 外 国 若 しくはその 地 方 公 共 団 体 又 は 国 際 機 関 が 納 付 を 命 ずるこれらに 類 するもの が 追 加 された これはEU 競 争 法 の 制 裁 金 等 を 想 定 しており 外 国 等 が 課 す 競 争 法 違 反 の 罰 金 はもと より 損 金 不 算 入 とされていたが 課 徴 金 等 についても 同 じ 扱 い となった この 規 定 は 平 成 21 年 4 月 1 日 以 後 に 終 わった 行 為 に 係 る 課 徴 金 等 について 適 用 される 4. 棚 卸 資 産 の 評 価 方 法 の 見 直 し 企 業 会 計 基 準 委 員 会 は 平 成 20 年 9 月 に 棚 卸 資 産 の 評 価 に 関 する 会 計 基 準 ( 改 正 企 業 会 計 基 準 第 9 号 )を 公 表 し 平 成 22 年 4 月 1 日 以 後 開 始 する 事 業 年 度 ( 早 期 適 用 あり)から 棚 卸 資 産 の 評 価 方 法 を 個 別 法 先 入 先 出 法 平 均 原 価 法 ( 移 動 平 均 法 ま たは 総 平 均 法 ) 売 価 還 元 法 の4つに 定 め 後 入 先 出 法 を 削 除 することとした( 最 終 仕 入 原 価 法 は 期 末 棚 卸 資 産 の 大 部 分 が 最 終 の 仕 入 価 格 で 取 得 されているときのように 期 間 損 益 計 算 上 弊 害 がない 場 合 期 末 棚 卸 資 産 に 重 要 性 が 乏 しい 場 合 の み 容 認 される) 税 務 もこれに 合 わせるため 棚 卸 資 産 の 評 価 について 所 要 の 経 過 措 置 を 講 じた 上 で 選 定 できる 評 価 の 方 法 から 後 入 先 出 法 と 単 純 平 均 法 が 除 外 されることとなった 7. 企 業 再 生 関 係 税 制 の 見 直 し (1) 評 価 損 益 の 計 上 対 象 となる 資 産 の 範 囲 の 拡 充 従 来 から 法 人 が 有 する 資 産 ( 棚 卸 資 産 固 定 資 産 有 価 証 券 等 )につき 災 害 による 著 しい 損 傷 会 社 更 生 法 の 規 定 による 更 生 計 画 認 可 の 決 定 民 事 再 生 法 の 規 定 による 再 生 計 画 認 可 の 決 定 等 の 事 実 が 生 じた 場 合 に その 資 産 の 評 価 換 えをして 帳 簿 価 額 を 減 額 したときは 一 定 の 場 合 には 損 金 経 理 や 別 表 添 付 を 要 件 として その 評 価 損 の 損 金 算 入 が 認 められていたが 本 改 正 によりその 対 象 資 産 の 限 定 が 外 れ 平 成 21 年 4 月 1 日 以 後 に 行 う 評 価 換 えについては 預 貯 金 や 貸 付 金 売 掛 金 等 の 金 銭 債 権 の 評 価 損 も 認 められることとなった (2) 一 定 の 私 的 整 理 の 要 件 の 緩 和 平 成 17 年 度 税 制 改 正 で 手 当 てされた 企 業 再 生 税 制 では 民 事 再 生 法 の 法 的 整 理 に 準 じた 一 定 の 私 的 整 理 において 債 務 免 除 が 行 われた 場 合 には その 有 する 資 産 の 評 価 損 益 が 益 金 又 は 損 金 に 算 入 されるとともに 期 限 切 れ 欠 損 金 を 青 色 欠 損 金 等 に 優 先 して 控 除 できることになり 早 期 の 事 業 再 生 が 可 能 になる 効 果 が 期 待 されているところである 改 正 前 の 私 的 整 理 の 要 件 は 以 下 のとおりである 3
1 一 般 に 公 表 された 債 務 処 理 を 行 うための 手 続 きについ ての 準 則 ( 公 正 かつ 適 正 なもので 特 定 の 者 が 専 ら 利 用 するためのものでないもの)に 従 って 再 生 計 画 が 策 定 さ れていること 2 公 正 な 価 額 による 資 産 評 定 が 行 われ その 評 価 に 基 づく 実 態 貸 借 対 照 表 が 作 成 されていること 3 右 記 2の 実 態 貸 借 対 照 表 に 基 づく 債 務 超 過 の 状 況 等 に より 債 務 免 除 額 が 定 められていること 4 再 生 計 画 が1の 準 則 に 従 って 策 定 されたものである こと 及 び23に 掲 げる 要 件 に 該 当 することにつき 第 三 者 である 専 門 家 3 人 以 上 又 は 株 式 会 社 整 理 回 収 機 構 (RCC)による 確 認 を 受 けていること 5 2 以 上 の 金 融 機 関 が 債 務 免 除 することが 定 められてい ること( 政 府 関 係 金 融 機 関 又 はRCCが 債 務 免 除 する 場 合 には 単 独 でも 可 ) 本 改 正 により 平 成 21 年 4 月 1 日 以 後 の 私 的 整 理 について 中 小 規 模 再 生 ( 有 利 子 負 債 10 億 円 未 満 である 企 業 再 生 )の 場 合 は4の 専 門 家 の 人 数 が 2 人 以 上 となり 5の 一 方 の 債 務 免 除 の 当 事 者 に 地 方 公 共 団 体 が 追 加 され 5の 債 務 免 除 に 債 務 の 株 式 化 (DES ただし 債 務 消 滅 益 が 見 込 まれる 場 合 に 限 る)が 追 加 された また 評 価 損 益 の 計 上 対 象 となる 資 産 について 資 産 の 評 価 差 額 の 最 低 限 度 (これ 以 上 少 ない 場 合 は 益 金 又 は 損 金 算 入 の 対 象 とならない 差 額 )の1,000 万 円 が 中 小 規 模 再 生 の 場 合 に 限 っては100 万 円 となった (3) 仮 装 経 理 に 基 づく 過 大 申 告 の 更 正 に 伴 い 減 額 さ れた 法 人 税 の 繰 越 控 除 法 人 が 仮 装 経 理 ( 粉 飾 決 算 )に 基 づいた 確 定 決 算 により 申 告 を 行 い 過 大 な 法 人 税 を 納 めている 場 合 に その 後 の 事 業 年 度 の 確 定 した 決 算 においてその 粉 飾 の 修 正 を 行 い 税 務 署 長 がそ の 過 大 申 告 分 について 職 権 更 正 をしたときは その 過 大 納 付 と なる 法 人 税 は 更 正 の 直 近 の 事 業 年 度 の 法 人 税 額 を 除 いて 還 付 されず その 後 5 年 間 繰 り 延 べて 各 事 業 年 度 の 法 人 税 額 から 控 除 ( 相 殺 )され 5 年 後 に 控 除 しきれなかった 金 額 ( 控 除 未 済 額 ) は 還 付 される( 還 付 規 定 は 存 在 しなかったが 実 務 上 は 還 付 され ているようである) 本 改 正 により 平 成 21 年 4 月 1 日 以 後 に 一 定 の 企 業 再 生 事 由 ( 会 社 更 生 法 の 規 定 による 更 正 手 続 開 始 の 決 定 民 事 再 生 法 の 規 定 による 再 生 手 続 開 始 の 決 定 右 記 2の 私 的 整 理 の 要 件 を 満 たす 事 業 再 生 計 画 の 決 定 )が 生 じた 場 合 には 繰 越 控 除 期 間 の5 年 を 待 たずに 控 除 未 済 額 を 還 付 することとされた これ に 合 わせて 5 年 繰 延 控 除 後 の 控 除 未 済 額 の 還 付 が 明 文 化 さ れるとともに 職 権 更 正 から5 年 以 内 にその 法 人 の 解 散 や 連 結 納 税 の 承 認 承 認 取 消 しの 事 実 が 生 じた 場 合 にも 控 除 未 済 額 を 還 付 する 等 の 整 備 が 行 われている 8. 研 究 開 発 税 制 の 拡 充 ( 平 成 21 年 6 月 26 日 公 布 施 行 ) 試 験 研 究 費 の 総 額 に 係 る 特 別 税 額 控 除 制 度 特 別 試 験 研 究 費 に 係 る 特 別 税 額 控 除 制 度 及 び 中 小 企 業 技 術 基 盤 強 化 税 制 につ いて 平 成 21 年 4 月 1 日 から 平 成 23 年 3 月 31 日 までの 間 に 開 始 する 事 業 年 度 における 税 額 控 除 限 度 額 を 法 人 税 額 の30%( 現 行 20%) 相 当 額 に 引 き 上 げるとともに その 期 に 控 除 しきれなか った 金 額 ( 税 額 控 除 限 度 超 過 額 )については 現 行 1 年 間 の 繰 越 控 除 のところ 平 成 25 年 3 月 31 日 までの 間 に 開 始 する 事 業 年 度 までの 繰 越 控 除 を 認 める 法 案 が 現 在 国 会 に 上 程 されてい る この 改 正 法 案 は 国 会 で 決 議 され 次 第 施 行 が 予 定 されて いる 9. 特 定 目 的 会 社 と 投 資 法 人 の 導 管 性 要 件 (1) 90% 超 配 当 要 件 の 見 直 し 特 定 目 的 会 社 (TMK)と 投 資 法 人 (J-REIT)は 一 定 要 件 ( 導 管 性 要 件 )を 満 たせば 支 払 配 当 を 損 金 に 算 入 できるため 利 益 を 全 額 配 当 すれば 法 人 税 等 は 実 質 非 課 税 になる この 導 管 性 要 件 の 一 つに 支 払 配 当 要 件 があり 税 務 上 の 所 得 ( 支 払 配 当 損 金 算 入 前 )の90% 超 の 利 益 配 当 を 行 うこと とされていた しかし 利 益 配 当 は 会 計 上 の 税 引 後 利 益 の 額 が 限 度 であり 一 方 で 税 務 所 得 は 税 引 前 利 益 + 税 会 不 一 致 額 ( 税 務 上 損 金 として 認 められ ない 費 用 等 の 額 )であることから 両 者 の 差 ( 法 人 税 等 の 税 金 + 税 会 不 一 致 額 )が10%を 超 える 場 合 には 普 通 法 人 と 同 様 の 課 税 が 行 なわれることとなる また 後 日 税 務 調 査 が 行 なわれ 税 務 所 得 が 増 加 した 結 果 判 定 式 割 合 が90% 以 下 となって 導 管 性 要 件 を 満 たせずに 遡 って 通 常 課 税 になるというリスクもあっ た 特 にJ-REITは 現 在 41 社 が 上 場 しており 通 常 課 税 が 行 な われれば 配 当 が 激 減 して 投 資 口 価 格 ( 株 価 )の 下 落 が 予 想 さ れ 投 資 家 に 与 える 影 響 も 大 きいと 考 えられた この 支 払 配 当 要 件 が 設 けられた 趣 旨 に 照 らせば 導 管 性 が 認 められた 法 人 には 利 益 の 留 保 を 許 さない ということであり 利 益 の 全 部 を 配 当 しても 要 件 を 満 たせないようでは 趣 旨 にそ ぐわないことから 平 成 21 年 4 月 1 日 以 後 に 終 了 する 事 業 年 度 からは 配 当 可 能 利 益 の 額 の90% 超 の 利 益 配 当 を 行 うこと に 改 正 された これにより 条 件 が 緩 和 されるとともに 一 度 確 定 した 判 定 式 割 合 がその 後 変 動 するリスクは 解 消 された 配 当 可 能 利 益 の 額 = 税 引 前 当 期 純 利 益 金 額 - 特 別 損 失 に 属 する 減 損 損 失 の 額 の 90% 相 当 額 4
しかしこの 配 当 可 能 利 益 の 額 は 会 計 上 の 分 配 可 能 額 ではな い 税 引 前 利 益 から 減 損 損 失 に 係 る 法 人 税 等 の 税 金 (グロスア ップ 税 率 90%)のみを 控 除 したものであり 減 損 損 失 以 外 の 税 会 不 一 致 に 係 る 税 金 は 控 除 されない 分 配 可 能 額 とほぼ 同 義 である 税 引 後 利 益 が 基 準 とならなかったのは 支 払 配 当 と 法 人 税 等 はともに 利 益 の 社 外 流 出 であり 一 方 を 増 やせば 一 方 が 減 るといった 相 関 関 係 にあるため 配 当 額 の 決 め 方 によって 判 定 の 基 盤 たる 配 当 可 能 利 益 の 額 が 変 動 することを 避 けたた めと 考 えられる 減 損 損 失 に 係 る 税 金 だけ 控 除 が 認 められた 理 由 は 昨 今 の 地 価 下 落 の 影 響 で 不 動 産 の 減 損 損 失 が 現 実 的 に なる 一 方 で 税 務 上 は 固 定 資 産 の 減 損 損 失 の 損 金 算 入 を 認 め ていないため 減 損 損 失 だけでその 期 の 導 管 性 が 破 綻 する 可 能 性 が 高 いことから 配 慮 されたものと 考 えられる なお 減 損 損 失 に 係 る 税 金 が 控 除 されるのはあくまで 支 払 配 当 要 件 の 判 定 上 だけであり 税 金 の 納 付 は 免 除 されないので 注 意 が 必 要 である 計 算 の 具 体 例 は 図 表 2を 参 照 のこと (2) 投 資 法 人 の 適 格 合 併 の 整 備 国 税 庁 ホームページに 平 成 21 年 3 月 投 資 法 人 が 共 同 で 事 業 を 営 むための 合 併 を 行 う 場 合 の 適 格 判 定 について( 文 書 回 答 ) が 掲 示 され 投 資 法 人 間 の 合 併 は 税 制 適 格 の 条 件 を 満 たすこ とが 確 認 された しかし 合 併 消 滅 法 人 の 資 産 等 を 会 計 上 パーチ ェス 法 により 受 け 入 れた 場 合 には 上 場 REITの 投 資 口 価 格 ( 株 価 ) 次 第 では 巨 額 の 負 ののれんが 発 生 する 可 能 性 があり また 投 資 法 人 の 計 算 に 関 する 規 則 が 改 正 され 平 成 22 年 4 月 以 後 ( 早 期 適 用 あり)の 投 資 法 人 間 の 合 併 により 発 生 した 負 ののれん は 合 併 年 度 に 負 ののれん 発 生 益 として 一 括 収 益 計 上 が 強 制 されることから 税 引 前 利 益 を 基 準 とした(1)の 改 正 支 払 配 当 要 件 を 満 たせない 場 合 が 想 定 される そこで 配 当 可 能 利 益 の ( 図 表 2) 減 損 損 失 がある 場 合 の 支 払 配 当 要 件 会 計 税 務 経 常 利 益 金 額 1,000 1,000 特 別 損 失 : 減 損 損 失 ( 損 金 不 算 入 ) (300) 0 税 引 前 当 期 純 利 益 金 額 700 法 人 税 住 民 税 及 び 事 業 税 (258) 当 期 純 利 益 金 額 442 支 払 配 当 (442) (442) 税 務 上 の 所 得 金 額 558 ( 改 正 前 ) 支 払 配 当 = 442 <90% 支 払 配 当 損 金 算 入 前 税 務 所 得 1,000 ( 改 正 後 ) 支 払 配 当 = 442 >90% 税 引 前 利 益 減 損 損 失 90%* 430 46.29% ( 税 率 ) 支 払 配 当 要 件 を 満 たさない 支 払 配 当 要 件 を 満 たす 額 の 計 算 上 は 税 引 前 利 益 から 負 ののれん 発 生 益 をいったん 控 除 し 100 年 均 等 の 方 法 等 により 加 算 する 調 整 措 置 が 講 じら れた また 平 成 21 年 1 月 に 投 資 信 託 及 び 投 資 法 人 に 関 する 法 律 施 行 規 則 が 改 正 され 投 資 法 人 の 合 併 交 付 金 の 支 払 いが 明 確 化 さ れたことに 伴 い 投 資 法 人 の 損 金 算 入 の 対 象 となる 配 当 等 に 利 益 の 配 当 見 合 いの 合 併 交 付 金 が 含 められ 被 合 併 法 人 の 合 併 直 前 事 業 年 度 の 導 管 性 の 問 題 が 解 決 された なお 配 当 見 合 い 以 外 の 合 併 交 付 金 つまり 合 併 比 率 調 整 目 的 の 合 併 交 付 金 が 支 払 われると 適 格 合 併 にならないので 注 意 が 必 要 で ある (3) 特 定 債 権 流 動 化 特 定 目 的 会 社 特 定 目 的 会 社 (TMK)の 導 管 性 要 件 に 特 定 社 債 が 機 関 投 資 家 のみによって 引 き 受 けられたものであること という 選 択 要 件 があり これを 満 たすことによって 別 の 導 管 性 要 件 ( 非 同 族 会 社 要 件 )が 免 除 されることから 特 定 社 債 を 機 関 投 資 家 に 引 き 受 けてもらうTMKが 圧 倒 的 に 多 い ここでいう 機 関 投 資 家 と は 税 務 上 の 定 義 であり 金 融 商 品 取 引 法 上 の 適 格 機 関 投 資 家 (QII)よりも 範 囲 が 狭 い 一 方 で 機 関 投 資 家 は 引 き 受 けた 特 定 社 債 を 満 期 まで 保 有 し 続 けなければならず かつ 転 売 先 も 機 関 投 資 家 に 限 定 されるため 引 受 先 探 しが 困 難 になっていた そこで 資 産 担 保 証 券 (ABS)の 一 層 の 流 動 化 や 活 性 化 を 図 る 目 的 で 別 のTMKを 受 け 皿 とした 証 券 化 を 認 める 税 務 面 と 制 度 面 の 改 正 が 行 なわれ 平 成 21 年 4 月 1 日 に 施 行 された その 受 け 皿 TMKを 特 定 債 権 流 動 化 特 定 目 的 会 社 といい 保 有 でき る 特 定 資 産 が1 不 動 産 TMKの 特 定 社 債 2 不 動 産 TMKへの 貸 付 金 3 不 動 産 匿 名 組 合 への 貸 付 金 の3 種 類 に 限 定 される 特 定 債 権 流 動 化 特 定 目 的 会 社 はQIIである 必 要 があり 通 常 TMK がQIIになるためには10 億 円 以 上 の 有 価 証 券 を 保 有 した 後 で 金 融 庁 長 官 に 届 け 出 をしなければならないが 同 社 は 有 価 証 券 を 保 有 する 前 からQIIである 必 要 があるため 金 融 商 品 取 引 法 2 条 に 規 定 する 内 閣 府 令 の 改 正 により 資 産 流 動 化 計 画 上 で10 億 円 以 上 の 特 定 社 債 の 保 有 が 予 定 されていれば 金 融 庁 長 官 に QIIの 届 け 出 ができることとなった また 従 来 TMKは 機 関 投 資 家 からの 特 定 目 的 借 入 れしか 認 め られていなかったが 今 回 合 わせて 特 定 債 権 流 動 化 特 定 目 的 会 社 からの 特 定 目 的 借 入 れも 認 められることとなった なお 特 定 債 権 流 動 化 特 定 目 的 会 社 はQIIではあるが 機 関 投 資 家 ではない TMKの 導 管 性 要 件 において 機 関 投 資 家 と 同 じ 取 扱 いを 受 けるに 過 ぎず 投 資 法 人 に 貸 すことも 投 資 法 人 が 借 り ることも 導 管 性 違 反 になるため 注 意 が 必 要 である * 本 計 算 における 減 損 損 失 に 対 するグロスアップ 税 率 =258/300 86%である が 判 定 上 は90% 控 除 可 *なお 1(3) 及 び8の 公 布 施 行 日 2(2) 注 書 きについては 掲 載 記 事 に 追 加 修 正 を 加 えています 5
Ernst & Young Assurance Tax Transactions Advisory CONTACT リアルエステイト サービス 部 山 本 恭 司 ディレクター 03-3506-2048 kyoji.yamamoto@jp.ey.com リアルエステイト サービス 部 は 不 動 産 に 特 化 した 専 門 の 部 門 です 日 本 の 不 動 産 投 資 市 場 においては J-REITや 不 動 産 私 募 ファンドを 中 心 に 市 場 が 形 成 されていますが リアルエステイト サービス 部 では このような 市 場 における 様 々 な 案 件 に 関 与 し 以 下 のサービスを 提 供 しております 不 動 産 証 券 化 (J-REIT/ 海 外 における 不 動 産 証 券 化 ) 取 引 に 係 る 税 務 コンサルテ ィング 不 動 産 私 募 ファンド( 特 定 目 的 会 社 等 )の 組 成 および 取 引 に 係 る 税 務 コンサルテ ィング 海 外 不 動 産 投 資 に 係 る 税 務 コンサルティング 企 業 保 有 不 動 産 に 係 る 税 務 コンサルティング 不 動 産 保 有 法 人 の 申 告 書 作 成 業 務 アーンスト アンド ヤングについて アーンスト アンド ヤングは 監 査 税 務 トラ ンザクション アドバイザリー サービスなどの 分 野 におけるリーダーとして 全 世 界 の13 万 5 千 人 の 構 成 員 が 共 通 のバリュー( 価 値 観 ) に 基 づいて 品 質 の 高 いサービス 提 供 を 行 っ ています 私 どもは クライアント 構 成 員 そして 社 会 を 支 援 し 各 サービス 分 野 におい て 皆 様 の 可 能 性 の 実 現 を 追 求 し プラスの 変 化 をもたらすよう 支 援 します 詳 しくは www.ey.comにて 紹 介 しています アーンスト アンド ヤング とは アーンスト アンド ヤング グローバル リミテッド(EYG)の メンバーファームを 指 します EYGは 英 国 の 有 限 責 任 保 証 会 社 であり グローバルにおい てアーンスト アンド ヤングの 組 織 を 統 括 して おり 顧 客 サービスは 提 供 していません について は 長 年 にわたり 培 ってきた 経 験 と 国 際 ネット ワークを 駆 使 し 常 にクライアントと 協 力 して 質 の 高 いグローバルなサービスを 提 供 してお ります 企 業 のニーズに 即 応 すべく 国 際 税 務 M&A 組 織 再 編 や 移 転 価 格 などをはじめ 税 務 アドバイザリー 税 務 コンプライアンスの 専 門 家 集 団 として 質 の 高 いサービスを 提 供 し ております 詳 しくは www.eytax.jpにて 紹 介 しています 本 記 事 全 般 に 関 するご 質 問 ご 意 見 等 がございましたら 下 記 まで お 問 い 合 わせ 下 さい コーポレート コミュニケーション 部 Tax.Marketing@jp.ey.com 2009 Ernst & Young Shinnihon Tax All Rights Reserved. 本 書 又 は 本 書 に 含 まれる 資 料 は 一 定 の 編 集 を 経 た 要 約 形 式 の 情 報 を 掲 載 するものです したがって 本 書 又 は 本 書 に 含 まれる 資 料 の ご 利 用 は 一 般 的 な 参 考 目 的 の 利 用 に 限 られ るものとし 特 定 の 目 的 を 前 提 とした 利 用 詳 細 な 調 査 への 代 用 専 門 的 な 判 断 の 材 料 とし てのご 利 用 等 はしないでください 本 書 又 は 本 書 に 含 まれる 資 料 について 新 日 本 アーン スト アンド ヤング 税 理 士 法 人 を 含 むアーンス ト アンド ヤングの 他 のいかなるグローバル ネットワークのメンバーも その 内 容 の 正 確 性 完 全 性 目 的 適 合 性 その 他 いかなる 点 に ついてもこれを 保 証 するものではなく 本 書 又 は 本 書 に 含 まれる 資 料 に 基 づいた 行 動 又 は 行 動 をしないことにより 発 生 したいかなる 損 害 についても 一 切 の 責 任 を 負 いません