緊 急 保 証 制 度 とかつての 特 別 保 証 制 度 の 違 い 経 済 産 業 委 員 会 調 査 室 うちだ 内 田 ひろずみ 衡 純 1.はじめに 原 油 原 材 料 価 格 の 高 騰 と 米 国 のサブプライムローン 問 題 を 契 機 とする 世 界 的 な 金 融 危 機 は 内 外 需 要 の 停 滞 による 大 幅 な 景 気 の 後 退 をもたらし 我 が 国 企 業 の 経 営 状 況 を 急 激 に 悪 化 させた 00 年 月 に 生 じたリーマン ブラザーズ 証 券 の 倒 産 をきっかけ とする 世 界 同 時 不 況 から1 年 以 上 が 経 過 した 今 日 内 外 における 経 済 対 策 の 効 果 が 原 動 力 となり 景 気 は 最 悪 期 を 脱 したと 言 われている 1 しかし 景 気 の 持 ち 直 しを 実 感 で きるのは 大 企 業 や 中 堅 企 業 の 一 部 に 限 られ 中 小 企 業 を 取 り 巻 く 環 境 は 依 然 として 厳 し い 状 況 にある 景 気 悪 化 の 影 響 を 強 く 受 ける 中 小 企 業 に 対 してはこれまで 種 々の 対 応 策 が 講 じられ てきた 特 に 中 小 企 業 の 資 金 調 達 環 境 の 悪 化 に 対 しては 迅 速 な 対 応 がとられ 00 年 月 1 日 から 中 小 企 業 が 民 間 金 融 機 関 から 資 金 を 調 達 する 際 に 信 用 保 証 協 会 が 0%の 保 証 を 付 す 原 材 料 価 格 高 騰 対 応 等 緊 急 保 証 制 度 ( 以 下 緊 急 保 証 制 度 と いう )が 開 始 され 株 式 会 社 日 本 政 策 金 融 公 庫 ( 以 下 政 策 公 庫 という )が 行 うセ ーフティネット 貸 付 とともに 中 小 企 業 の 資 金 繰 り 改 善 に 一 定 の 成 果 を 挙 げてきたとこ ろである このような 厳 しい 経 済 情 勢 の 下 我 が 国 では 長 年 にわたる 自 民 党 中 心 の 政 権 に 終 止 符 が 打 たれ 新 たに 民 主 党 を 中 心 とする 連 立 政 権 が 誕 生 した 00 年 月 の 総 選 挙 にお いて 民 主 党 が 掲 げたマニフェストでは 中 小 企 業 施 策 の 一 環 として 前 出 した 緊 急 保 証 制 度 に 代 わり 1 年 月 から 001 年 月 まで 実 施 された 中 小 企 業 金 融 安 定 化 特 別 保 証 制 度 ( 以 下 特 別 保 証 制 度 という )を 復 活 させることを 公 約 している 特 別 保 証 制 度 についてはこれまで 様 々な 効 果 があったことが 主 張 されてきた そこで 本 稿 では 特 別 保 証 制 度 と 緊 急 保 証 制 度 の 比 較 と これまでに 行 われてきた 特 別 保 証 制 1 内 閣 府 の 月 例 経 済 報 告 (00 年 1 月 )では 景 気 の 先 行 きについて 当 面 厳 しい 雇 用 情 勢 が 続 くとみられ るものの 海 外 経 済 の 改 善 や 緊 急 経 済 対 策 の 効 果 などを 背 景 に 景 気 の 持 ち 直 し 傾 向 が 続 くことが 期 待 される とする 日 銀 短 観 によると 企 業 の 業 況 判 断 は 00 年 月 を 底 に 回 復 傾 向 にあるが 大 企 業 及 び 中 堅 企 業 の 回 復 幅 に 比 して 中 小 企 業 の 回 復 幅 は 小 さい 00 年 1 月 調 査 では 依 然 として 厳 しい 状 況 が 続 いているものの 全 体 と しては 持 ち 直 しの 動 きがみられ 中 小 企 業 においてもこれまでより 若 干 大 きめの 回 復 幅 となっているが 建 設 業 を 中 心 に 先 行 きに 慎 重 な 見 方 となっている 緊 急 保 証 制 度 は 安 心 実 現 のための 緊 急 総 合 対 策 (00 年 月 日 安 心 実 現 のための 緊 急 総 合 対 策 に 関 する 政 府 与 党 会 議 経 済 対 策 閣 僚 会 議 合 同 会 議 決 定 )により 創 設 その 後 経 済 危 機 対 策 (00 年 月 日 決 定 )に 基 づき 00 年 月 日 に 制 度 の 名 称 目 的 及 び 保 証 期 間 の 一 部 改 正 が 行 われた ( 表 1 参 照 ) 民 主 党 マニフェスト 00 では 貸 し 渋 り 貸 しはがし 対 策 を 講 じるとともに 使 い 勝 手 の 良 い 特 別 保 証 制 度 を 復 活 させる とする 10
度 に 関 する 研 究 の 成 果 を 通 じて 緊 急 保 証 制 度 の 効 果 を 検 証 し 特 別 保 証 制 度 の 問 題 点 を 踏 まえて 今 後 の 緊 急 保 証 制 度 の 在 り 方 について 所 見 を 述 べることとする. 特 別 保 証 制 度 と 緊 急 保 証 制 度 (1) 両 制 度 の 比 較 特 別 保 証 制 度 は 1 年 月 バブル 経 済 が 崩 壊 し 不 況 が 長 期 化 する 中 で 金 融 機 関 が 自 らが 抱 える 膨 大 な 不 良 債 権 を 処 理 するために 健 全 な 業 績 を 続 ける 企 業 に 対 し ても 融 資 姿 勢 を 厳 しくする いわゆる 貸 し 渋 りや 貸 しはがしによって 企 業 の 資 金 繰 り 悪 化 が 激 しくなっていた 状 況 に 対 応 するために 創 設 された 一 方 緊 急 保 証 制 度 は 00 年 夏 場 にピークを 迎 えた 世 界 的 な 原 材 料 価 格 高 騰 と 00 年 月 に 起 きたいわゆる リーマンショックを 契 機 とした 世 界 同 時 不 況 がもたらした 企 業 の 業 績 悪 化 による 信 用 収 縮 に 伴 う 資 金 調 達 環 境 の 厳 格 化 に 対 処 するため 創 設 された 特 別 保 証 制 度 と 緊 急 保 証 制 度 は 中 小 企 業 の 金 融 機 関 からの 借 入 れに 対 して 信 用 保 証 協 会 が 0%の 保 証 を 付 すことを 内 容 としており 信 用 保 証 枠 も 両 制 度 とも 0 兆 円 の 規 模 であること 等 保 証 額 保 証 料 率 保 証 期 間 に 若 干 の 違 いこそあれ 基 本 的 な 制 度 設 計 では 共 通 する 部 分 が 多 い( 表 1 参 照 ) 両 者 の 違 いを 挙 げるとすれば 申 込 人 資 格 要 件 において 緊 急 保 証 制 度 が 対 象 を 経 済 産 業 大 臣 が 指 定 する 不 況 業 種 に 限 定 して いるのに 対 して 特 別 保 証 制 度 では 業 種 が 限 定 されず あらゆる 業 種 の 企 業 に 対 して 門 戸 が 開 かれていることが 挙 げられる また 両 者 が 決 定 的 に 異 なる 点 としては 緊 急 保 証 制 度 が 信 用 保 証 を 提 供 する 際 に 信 用 保 証 協 会 が 一 定 の 審 査 を 行 うのに 対 して 特 別 保 証 制 度 では 審 査 においてネガティブリストが 採 用 され ネガティブリストの 項 目 に 該 当 する 場 合 以 外 は 原 則 として 信 用 保 証 の 提 供 を 認 めたことが 挙 げられる 特 別 保 証 制 度 は 中 小 企 業 等 貸 し 渋 り 対 策 大 綱 (1 年 月 日 閣 議 決 定 )により 創 設 された 植 杉 威 一 郎 氏 は 後 出 の 信 用 保 険 月 報 (00.)において 特 別 保 証 制 度 と 緊 急 保 証 制 度 では 導 入 の 背 景 にある 現 状 認 識 が 大 きく 異 なることを 指 摘 する つまり それぞれの 時 期 における 企 業 の 資 金 調 達 環 境 の 悪 化 は 1 年 の 特 別 保 証 制 度 導 入 に 際 しては 金 融 機 関 が 抱 える 不 良 債 権 問 題 が 貸 出 態 度 厳 格 化 の 要 因 であり 金 融 機 関 側 に 原 因 があったとする 一 方 緊 急 保 証 制 度 導 入 に 際 しては 実 体 経 済 の 悪 化 が 借 り 手 企 業 の 信 用 リスクを 高 め 結 果 として 金 融 機 関 が 貸 出 しを 行 わなくなったことを 要 因 とし 借 り 手 側 に 原 因 があったとする 特 別 保 証 制 度 は 中 小 企 業 等 貸 し 渋 り 対 策 大 綱 ( 前 掲 脚 注 )による 創 設 時 に 0 兆 円 経 済 新 生 対 策 (1 年 月 日 経 済 対 策 閣 僚 会 議 決 定 )により 兆 円 が 追 加 され 総 額 0 兆 円 となった また 緊 急 保 証 制 度 は 安 心 実 現 のための 緊 急 総 合 対 策 ( 前 掲 脚 注 )による 創 設 時 に 兆 円 生 活 対 策 (00 年 月 0 日 新 たな 経 済 対 策 に 関 する 政 府 与 党 会 議 経 済 対 策 閣 僚 会 議 合 同 会 議 決 定 )により 1 兆 円 が 追 加 され さらに 経 済 危 機 対 策 (00 年 月 日 経 済 危 機 対 策 に 関 する 政 府 与 党 会 議 経 済 対 策 閣 僚 会 議 合 同 会 議 )によ り 兆 円 が 追 加 され 総 額 0 兆 円 となった 不 況 業 種 は これまで 回 の 見 直 しが 行 われ 00 年 1 月 日 時 点 で 業 種 が 指 定 されている 中 小 企 業 庁 は この 見 直 しにより 保 証 制 度 の 拡 充 を 求 める 中 小 企 業 のほぼすべてが 含 まれることとなり 業 種 数 の % 企 業 数 の % 売 上 高 の %がカバーされると 説 明 する 次 の 事 由 に 該 当 する 場 合 は 保 証 対 象 としないこととする 1 破 産 和 議 会 社 更 生 会 社 整 理 等 法 的 整 理 手 続 き 中 私 的 整 理 手 続 き 中 であり 事 業 継 続 見 込 みが 立 たない 場 合 手 形 小 切 手 に 関 して 不 渡 りがある 場 合 及 び 取 引 停 止 処 分 を 受 けている 場 合 信 用 保 証 協 会 に 求 償 権 債 務 が 残 っている 者 及 び 代 位 弁 済 が 見 込 ま れる 場 合 粉 飾 決 算 や 融 通 手 形 操 作 を 行 っている 場 合 多 額 な 高 利 借 入 れを 利 用 していて 早 期 解 消 が 見 込 めない 場 合 税 金 を 滞 納 し 完 納 の 見 込 みが 立 たないような 企 業 の 場 合 法 人 の 商 号 本 社 業 種 代 表 者 を 頻 繁 に 変 更 している 場 合 前 回 保 証 資 金 が 合 理 的 理 由 なく 使 途 目 的 に 反 して 流 用 された 場 合 暴 力 的 不 法 行 為 者 等 が 申 し 込 む 場 合 または 申 込 みに 際 し いわゆる 金 融 斡 旋 屋 等 の 第 三 者 が 介 入 する 場 合 業 績 が 極 端 に 悪 化 し 大 幅 債 務 超 過 の 状 態 に 陥 っており 事 業 好 転 が 望 めず 事 業 継 続 が 危 ぶまれる 場 合 11
表 1 特 別 保 証 制 度 と 緊 急 保 証 制 度 の 比 較 名 称 制 度 の 目 的 申 込 人 資 格 要 件 中 小 企 業 金 融 安 定 化 特 別 保 証 制 度 緊 急 保 証 制 度 ( 注 1) 金 融 環 境 の 変 化 により 必 要 事 業 資 金 の 円 滑 な 調 達 国 際 的 な 金 融 不 安 経 済 の 収 縮 による 悪 影 響 によ に 支 障 を 来 している 中 小 企 業 者 に 対 し 信 用 保 証 協 会 り 必 要 な 事 業 資 金 の 円 滑 な 調 達 に 支 障 を 来 たしてい 保 証 付 融 資 によりその 事 業 資 金 を 供 給 し もって 中 小 る 中 小 企 業 者 に 対 し その 事 業 資 金 を 供 給 し もって 企 業 者 の 事 業 発 展 に 資 することを 目 的 とする 中 小 企 業 者 の 事 業 発 展 に 資 することを 目 的 とする ( 注 1) ⅰ) 金 融 環 境 の 変 化 により 適 切 かつ 健 全 な 事 業 を 営 む 中 小 企 業 者 が 必 要 事 業 資 金 の 調 達 に 支 障 を 来 している 場 合 下 記 1 ~のいずれかの 要 件 に 当 てはまる 中 小 企 業 者 であって 事 業 所 の 所 在 地 を 管 轄 する 市 町 村 長 又 は 特 別 区 長 の 認 定 を 受 け たもの 1 取 引 金 融 機 関 からの 借 入 金 利 が 最 近 1 年 間 において 同 期 間 の 長 期 プライムレートの 変 動 よりも 悪 化 していること 最 近 における 借 入 金 残 高 及 び 割 引 手 形 残 高 の 合 計 額 に 対 す る 担 保 設 定 額 の 比 率 が 前 年 同 月 に 比 して 増 加 していること 長 期 借 入 が 困 難 となることにより 最 近 における 固 定 長 期 適 合 率 が 上 昇 していること 必 要 額 の 借 入 が 困 難 となることにより 資 金 調 達 のため 預 金 取 崩 し 又 は 資 産 売 却 を 行 っていること 必 要 額 の 借 入 が 困 難 なため 回 収 条 件 や 支 払 条 件 の 変 更 を 余 儀 なくされていること 継 続 的 に 利 用 している 短 期 借 入 金 について 借 入 金 額 の 減 少 又 は 利 用 継 続 の 停 止 等 を 余 儀 なくされていること 担 保 評 価 額 の 減 少 により 新 たな 資 金 調 達 が 困 難 となってい ること 金 融 機 関 との 新 規 取 引 等 の 理 由 により 必 要 額 の 調 達 が 困 難 となっていること その 他 継 続 的 に 利 用 している 借 入 金 の 借 入 条 件 が 悪 化 し 資 金 調 達 に 支 障 を 来 していること 下 記 1~のいずれかの 要 件 に 当 てはまる 中 小 企 業 者 であっ て 事 業 所 の 所 在 地 を 管 轄 する 市 町 村 長 又 は 特 別 区 長 の 認 定 を 受 けたもの 1 指 定 業 種 ( 注 )に 属 する 事 業 を 行 っており 最 近 か 月 間 の 平 均 売 上 高 等 が 前 年 同 期 比 マイナス% 以 上 減 少 している 中 小 企 業 者 指 定 業 種 に 属 する 事 業 を 行 っており 製 品 等 原 価 のうち0% 以 上 を 占 める 原 油 等 の 仕 入 価 格 が 上 昇 しているにもかかわら ず 製 品 等 価 格 に 転 嫁 できていない 中 小 企 業 者 指 定 業 種 に 属 する 事 業 を 行 っており 最 近 か 月 間 ( 算 出 困 難 な 場 合 は 直 近 決 算 期 )の 平 均 売 上 総 利 益 率 又 は 平 均 営 業 利 益 率 が 前 年 同 期 比 マイナス% 以 上 低 下 している 中 小 企 業 者 ⅱ) 取 引 金 融 機 関 の 破 綻 により 適 正 かつ 健 全 な 事 業 を 営 む 中 小 企 業 者 が 金 融 取 引 に 支 障 を 来 している 場 合 金 融 取 引 の 正 常 化 を 図 るため 破 綻 金 融 機 関 からの 借 入 金 の 返 済 を 含 めた 資 金 調 達 が 必 要 となっていることに 該 当 し 事 業 所 の 所 在 地 を 管 轄 する 市 町 村 長 又 は 特 別 区 長 の 認 定 を 受 けたものであって 融 資 金 融 機 関 において 今 後 とも 支 援 育 成 していきたい 先 である こと 普 通 保 証 億 円 以 内 億 円 以 内 保 証 限 度 額 無 担 保 保 証,000 万 円 以 内,000 万 円 以 内 無 担 保 無 保 証 人 保 証 普 通 保 証 1,000 万 円 以 内 1,0 万 円 以 内 0.% 以 下 保 証 料 率 無 担 保 保 証 0.% 以 下 0.% 以 下 無 担 保 無 保 証 人 保 証 0.0% 以 下 保 証 割 合 保 証 期 間 普 通 保 証 信 用 保 証 協 会 による0% 保 証 設 備 資 金 年 以 内 据 置 期 間 1 年 以 内 運 転 資 金 年 以 内 同 上 期 間 1 年 以 内 原 則 有 担 保 信 用 保 証 協 会 による0% 保 証 年 以 内 据 置 期 間 年 以 内 ( 注 1) 原 則 有 担 保 (00..から 無 担 保 保 証 についても 弾 力 的 に 対 応 ) 物 的 担 保 無 担 保 保 証 無 担 保 無 保 証 人 保 証 要 しない 要 しない 連 帯 保 証 人 取 扱 期 間 普 通 保 証 無 担 保 保 証 無 担 保 無 保 証 人 保 証 ( 出 所 ) 中 小 企 業 庁 資 料 等 から 作 成 要 しない 1 年 月 1 日 ~001 年 月 1 日 ( 年 月 ) 注 1. 緊 急 保 証 制 度 については 00..に 制 度 の 名 称 目 的 及 び 据 置 期 間 の 一 部 改 正 が 行 われた. 指 定 業 種 は00 年 1 月 時 点 で 業 種 連 帯 保 証 人 を 要 する 法 人 法 人 代 表 者 ( 必 要 に 応 じて 会 社 役 員 等 ) 個 人 事 業 承 継 予 定 者 等 法 人 代 表 者 は 原 則 連 帯 保 証 人 となる ( 個 人 については 原 則 要 しない) 要 しない 00 年 月 1 日 ~0 年 月 1 日 (1 年 月 ) 1
() 特 別 保 証 制 度 の 効 果 特 別 保 証 制 度 の 導 入 に 際 しては 深 刻 な 貸 し 渋 りや 貸 しはがしに 直 面 していた 中 小 企 業 の 資 金 繰 りを 改 善 し 企 業 が 本 来 必 要 とする 運 転 資 金 や 設 備 資 金 を 広 く 提 供 すること により 中 小 企 業 の 中 長 期 的 な 存 続 可 能 性 を 高 めるとするプラスの 効 果 よりも ⅰ) 企 業 が 倒 産 した 場 合 には 信 用 保 証 協 会 が 0% 保 証 するため 金 融 機 関 がモニタリングを 行 うインセンティブが 生 じにくいこと ⅱ) 担 保 や 第 三 者 保 証 を 求 めない 場 合 が 多 いため 借 り 手 企 業 が 倒 産 しても 経 営 者 などの 個 人 資 産 が 手 つかずの 状 態 で 残 るため 経 営 者 の 努 力 を 促 すインセンティブに 乏 しく 借 り 手 企 業 の 収 益 率 が 上 がらず 倒 産 しやすくな ること ⅲ)ネガティブリストを 採 用 したため 倒 産 リスクの 高 い 企 業 も 借 りることが 容 易 になり 本 来 市 場 の 新 陳 代 謝 によって 退 出 するはずの 生 産 性 収 益 性 の 低 い 企 業 を 延 命 させてしまうこと ⅳ) 自 己 資 本 不 足 の 金 融 機 関 が 積 極 的 に 旧 債 振 替 を 行 い 貸 し 渋 り 緩 和 効 果 が 鈍 る 可 能 性 がある 等 のマイナスの 効 果 が 強 調 された また 実 際 に 分 で1 件 がさばかれる 超 スピード 保 証 1 ゆえに 債 権 の 焦 げ 付 きを 懸 念 する 声 や 特 別 保 証 制 度 で 得 た 資 金 を 株 やゴルフ 会 員 権 の 購 入 資 金 に 充 てたり 融 資 直 後 に 会 社 をつ ぶす いわゆる 計 画 倒 産 に 利 用 されたケースもある 1 といった 内 容 の 報 道 がなされた では 実 際 特 別 保 証 制 度 はどのような 効 果 をもたらしたのか 特 別 保 証 制 度 の 効 果 については これまで 様 々な 検 証 が 行 われてきた 中 でも 特 別 保 証 制 度 と 企 業 倒 産 の 関 係 について 中 小 企 業 庁 は 000 年 の 中 小 企 業 白 書 の 中 で 政 策 効 果 の 定 量 的 分 析 を 通 じて 政 策 が 実 施 されなかった 場 合 平 成 (1) 年 度 に おいて 実 績 の 1. 倍 の 倒 産 が 発 生 していたと 考 えられ 平 成 年 度 における 倒 産 回 避 件 数 の 約,00 社 を 平 成 年 (1 月 ~1 月 )の 資 本 金 規 模 別 倒 産 実 績 で 単 純 に 按 分 す ると 小 規 模 企 業 ( 資 本 金 1 千 万 円 未 満 )で 約,00 社 小 規 模 企 業 を 含 む 中 小 企 業 ( 資 本 金 1 億 円 未 満 )で 約,00 社 大 企 業 ( 資 本 金 1 億 円 以 上 )で 約 0 社 の 倒 産 を 回 避 で き 約. 万 人 の 雇 用 が 維 持 された と 試 算 し 特 別 信 用 保 証 制 度 のプラス 面 の 効 果 を 強 調 した しかし これに 対 しては 小 西 大 長 谷 部 賢 公 的 信 用 保 証 の 政 策 効 果 一 橋 論 叢 第 1 巻 (00)において 中 小 企 業 白 書 で 採 用 された 分 析 方 法 を 踏 襲 しつつ サンプル 期 間 を 延 長 した 分 析 が 行 われており その 中 で 制 度 導 入 後 約 年 間 の 効 果 を トータルで 評 価 するならば 一 定 の 効 果 があったと 言 うことができるだろう これは 白 書 での 結 論 と 一 致 する しかし 000 年 度 001 年 度 の 結 果 をみると 確 実 に 倒 産 実 績 値 は 増 加 しており 信 用 保 証 制 度 導 入 は 一 時 的 な 効 果 しかなかったと 結 論 できる と 特 別 保 証 制 度 の 中 長 期 的 な 倒 産 抑 止 効 果 を 否 定 し 新 規 融 資 を 実 行 せずまた 既 存 融 資 を 回 収 する という 意 味 での 貸 し 渋 り 解 消 には 貢 献 した ことを 認 めつつも 特 別 保 証 制 度 は 劣 悪 な 企 業 にも 融 資 を 実 行 する 誘 因 を 銀 行 に 与 え 結 果 として 資 金 配 分 の 効 率 性 を 損 なう 制 度 であった と 結 論 付 けた 1 1 従 来 の 信 用 保 証 が 付 されていない 既 往 債 権 を 信 用 保 証 付 きの 債 権 に 振 替 えて 回 収 すること 植 杉 威 一 郎 政 府 による 特 別 信 用 保 証 には 効 果 があったのか 検 証 中 小 企 業 金 融 第 章 (00) 日 本 経 済 新 聞 (1..) 日 刊 工 業 新 聞 (000..0) 1
また 前 述 した 特 別 保 証 制 度 のプラスとマイナスの 効 果 を 複 合 的 に 検 証 した 研 究 とし ては 実 際 に 損 益 計 算 書 と 貸 借 対 照 表 が 得 られる 中 小 企 業, 社 のパネルデータを 用 いて 実 証 分 析 を 行 った 植 杉 威 一 郎 政 府 による 特 別 信 用 保 証 には 効 果 があったのか 検 証 中 小 企 業 金 融 第 章 (00)が 詳 しい 筆 者 はその 中 で 借 り 手 の 信 用 リスクや 企 業 規 模 を 問 わず 負 債 比 率 や 長 期 借 入 金 資 産 比 率 が 特 別 保 証 制 度 の 利 用 によって 有 意 に 上 昇 したことから 特 別 保 証 制 度 に 貸 し 渋 りを 緩 和 する 効 果 がある こと また 事 前 の 信 用 リスクの 低 い 企 業 においては 貸 し 渋 り 緩 和 効 果 がモラルハザードの 効 果 を 上 回 り 制 度 実 施 後 に 利 益 率 が 改 善 している ことから 特 別 保 証 制 度 が 政 策 として 有 効 であったことを 肯 定 する しかし その 一 方 で 自 己 資 本 が 不 足 する 大 手 行 では 旧 債 務 の 振 替 が 大 規 模 に 行 われたために 貸 し 渋 り 緩 和 効 果 が 永 続 しなかった 可 能 性 があ ること や 信 用 リスクが 大 きい 企 業 ほど モラルハザードの 影 響 から 特 別 保 証 制 度 利 用 後 のパフォーマンスが 悪 化 する( 貸 し 渋 りは 緩 和 されても 企 業 の 利 益 率 の 向 上 に 結 び 付 かない) ことが 指 摘 され 信 用 保 証 制 度 の 長 所 と 短 所 を 踏 まえた 施 策 立 案 の 必 要 性 を 主 張 する つまり これまでの 研 究 成 果 から 特 別 保 証 制 度 が 金 融 機 関 による 貸 し 渋 りを 緩 和 し 企 業 の 資 金 繰 りを 助 ける 効 果 を 持 っていたことについては 疑 いの 余 地 がない しかし それと 同 時 に 0%の 保 証 割 合 ゆえに 貸 し 手 である 金 融 機 関 によってモニタリングが 行 われないことや 保 証 協 会 における 審 査 においてもネガティブリストが 採 用 されたこ とが 影 響 して 信 用 リスクの 高 い 企 業 を 制 度 の 対 象 から 排 除 できなかったために モラ ルハザードの 効 果 が 明 らかになり それらがプラスの 効 果 を 弱 めてしまったと 考 えるこ とができる () 特 別 保 証 制 度 の 効 果 に 見 る 緊 急 保 証 制 度 の 効 果 では 特 別 保 証 制 度 と 制 度 上 共 通 点 の 多 い 緊 急 保 証 制 度 は その 効 果 についても 特 別 保 証 制 度 に 類 似 すると 考 えることができるのか 前 述 した 特 別 保 証 制 度 の 効 果 を 踏 まえ 現 在 行 われている 緊 急 保 証 制 度 の 効 果 について 推 察 する まず 貸 し 渋 り 緩 和 の 効 果 であるが 植 杉 威 一 郎 中 小 企 業 金 融 における 信 用 補 完 制 度 の 役 割 信 用 保 険 月 報 (00.)は 金 融 機 関 の 貸 出 態 度 が 厳 格 化 している 中 で は 特 別 保 証 の 時 と 同 様 に 緊 急 保 証 制 度 の 利 用 によって 資 金 調 達 が 容 易 になると 予 想 される とし これを 肯 定 する 1 確 かに 緊 急 保 証 制 度 のこれまでの 実 績 が 承 諾 件 数 約 万 件 承 諾 金 額 が 1 兆 円 を 超 えている 1 ことを 踏 まえると 企 業 の 資 金 調 達 の 緩 和 に 一 定 の 効 果 を 与 えていることが 推 察 できる 1 1 ただし 今 回 の 緊 急 保 証 制 度 では 信 用 保 証 協 会 が 期 待 融 資 金 額 の 満 額 保 証 に 応 じないとの 指 摘 が 複 数 ある ことから こうした 例 が 数 多 く 起 きている 場 合 には 特 別 保 証 制 度 よりも 資 金 調 達 の 改 善 度 合 いは 小 さくなる と 指 摘 する 1 00 年 1 月 1 日 の 中 小 企 業 庁 発 表 資 料 によると 緊 急 保 証 制 度 の 実 績 は 00 年 1 月 1 日 までに 承 諾 件 数 万 1, 件 承 諾 金 額 1 兆, 億 円 に 上 る 1 株 式 会 社 帝 国 データバンク 緊 急 保 証 制 度 に 関 する 企 業 の 動 向 調 査 (00..)では 利 用 した 企 業 の.% が 緊 急 保 証 制 度 が 資 金 繰 り 支 援 策 として 効 果 があると 認 識 している 1
次 に 倒 産 抑 止 効 果 を 考 える 図 1 及 び 図 はそれぞれの 制 度 が 実 施 されている 時 期 を 含 む 前 後 年 間 の 企 業 倒 産 件 数 の 推 移 をグラフにしたものである 図 1においては 制 度 開 始 後 か 月 間 で 月 当 たりの 企 業 倒 産 件 数 が 急 激 に 減 少 している これは 特 別 保 証 制 度 が 審 査 にほとんど 時 間 がかからず 企 業 における 信 用 リスクの 大 小 を 問 うことなく 広 く 企 業 全 般 に 資 金 が 供 給 され 短 期 的 に 企 業 の 倒 産 が 抑 止 されたことを 示 している しか し 図 の 緊 急 保 証 制 度 では 同 様 の 現 象 は 生 じていない 株 式 会 社 帝 国 データバンク( 以 下 帝 国 DB という )は これを 制 度 開 始 時 の 外 部 環 境 の 違 いに 主 な 要 因 があると 説 明 する 1 また 緊 急 保 証 制 度 では 利 用 者 側 に 一 定 の 数 値 基 準 1 が 設 けられたこと そのため 信 用 保 証 協 会 における 審 査 に 一 定 の 時 間 1 を 要 したことが 理 由 として 考 えられ よう だが これをもって 緊 急 保 証 制 度 の 倒 産 抑 止 効 果 を 否 定 することは 早 計 である 図 1において 倒 産 件 数 は 制 度 開 始 からか 月 後 に 一 転 して 上 昇 に 転 じ その 後 は 増 減 を 繰 り 返 しながら 緩 やかな 上 昇 を 続 けることとなる これは もともと 信 用 リスクの 高 い 企 業 が 本 来 ならば 倒 産 すべき 時 期 には 特 別 保 証 制 度 を 利 用 できたことによって 倒 産 を 免 れることができたが その 後 企 業 の 生 産 性 収 益 性 向 上 に 結 び 付 けることができず 結 局 は 倒 産 を 余 儀 なくされたものと 推 測 できる これは 実 際 の 数 値 からも 裏 付 けること ができる 株 式 会 社 東 京 商 工 リサーチ( 以 下 東 京 SR という )によると 特 別 保 証 制 度 利 用 企 業 の 倒 産 件 数 は 1 年 に,0 件 ( 年 間 倒 産 件 数 に 占 める 構 成 比 ( 以 下 構 成 比 という )1.%) 000 年 に, 件 ( 前 年 比.% 増 構 成 比 0.%) 001 年 に,1 件 ( 前 年 比 1.% 増 構 成 比.%) 00 年 に, 件 ( 前 年 比.0% 減.%)と 特 別 保 証 制 度 利 用 企 業 の 倒 産 が 年 々 増 加 傾 向 にあり 借 入 れによって 即 時 の 倒 産 は 免 れたものの 借 り 入 れた 資 金 が 企 業 の 体 質 改 善 健 全 化 に 必 ずしもつなが っていなかったことがうかがえる 一 方 図 においては 00 年 度 末 の 資 金 需 要 期 に 比 較 的 大 きな 増 加 を 見 せるものの その 後 は 増 減 を 繰 り 返 しつつもなだらかな 減 少 傾 向 にあることが 見 てとれる 帝 国 DB の 調 べ 0 では 制 度 施 行 後 1 年 間 における 制 度 利 用 企 業 の 倒 産 件 数 は 特 別 保 証 制 度 が 1,0 件 であるのに 対 して 緊 急 保 証 制 度 ではわずか 0 件 と 大 きく 異 なる 数 値 となった このことからも 緊 急 保 証 制 度 では モラルハザードを 防 止 するためのモニタリングが 機 能 して 信 用 保 証 協 会 の 審 査 を 通 らなかった 信 用 リスクの 高 い 企 業 については 市 場 か らの 退 出 が 阻 害 されず 一 方 審 査 を 通 過 した 企 業 については 資 金 繰 りの 緩 和 につなが り 倒 産 を 抑 止 する 効 果 が 働 いたことが 推 察 できる 1 帝 国 DB 緊 急 保 証 制 度 導 入 後 1 年 間 の 倒 産 動 向 調 査 (00..)によると 特 別 保 証 制 度 導 入 時 は 不 良 債 権 問 題 に 直 面 した 銀 行 側 の 事 情 で 貸 し 渋 りが 起 こったものの 製 造 業 を 中 心 に 本 業 の 収 益 は 堅 調 な 企 業 が 散 見 された 今 回 は 世 界 的 な 需 要 急 減 に 伴 う 急 激 な 売 上 減 少 が 貸 し 渋 りの 原 因 であり そもそも 実 体 経 済 の 悪 化 度 合 いが 1 年 当 時 を 大 きく 上 回 っていた とする 1 表 1 参 照 1 00 年 度 末 の 資 金 需 要 期 にかけては 新 規 の 申 込 みで1か 月 から1か 月 半 の 審 査 期 間 がかかるとされた 0 前 掲 脚 注 1 によると 特 別 保 証 時 には 事 実 上 無 審 査 で 保 証 が 下 りたため すでに 破 綻 状 態 の 企 業 が 多 数 含 まれていた これに 対 し 今 回 は 売 上 高 や 利 益 率 等 の 数 値 基 準 を 設 け より 厳 格 な 審 査 を 行 ったため 資 金 導 入 後 数 ヶ 月 で 倒 産 するような 計 数 管 理 能 力 に 乏 しい 企 業 はそもそも 利 用 が 難 しかったこと などが 考 えられる とする 1
図 1 特 別 保 証 制 度 実 施 時 期 の 企 業 倒 産 件 数 の 推 移 ( 件 ),000 1,00 1,00 1,00 1,00 1,000 00 1, 1, 1,1 1,1 1, 1, 1,1 1,1 1, 1,0 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,0 1,1 1, 1, 1, 1, 1, 1,0 1, 1, 1, 1,0 1,00 1, 1, 1, 1, 1, 1,1 1, 1,1 1,1 00 00 00 特 別 信 用 保 証 制 度 実 施 期 間 1..1~001..1 0 1.1 1 1.1 1 000.1 1 001.1 1 ( 出 所 ) 東 京 SR ( 件 ),000 図 緊 急 保 証 制 度 実 施 時 期 の 企 業 倒 産 件 数 の 推 移 1,00 1,00 1, 1, 1, 1,0 1, 1,00 1, 1,0 1, 1, 1, 1,0 1,0 1,1 1,1 1,1 1,0 1,1 1,1 1, 1, 1,1 1,00 1,1 1, 1, 1,1 1, 1,0 1,1 1,1 1,0 1,0 1,01 1,11 1,000 1,01 1,0 1,01 1,00 1,0 1,0 1, 1, 1, 1,1 1,1 1,1 1,0 1,1 1,1 00 00 00 00 緊 急 保 証 制 度 実 施 期 間 00..1~ 0 00.1 1 00.1 1 00.1 1 00.1 1 ( 出 所 ) 東 京 SR. 所 見 (1) 特 別 保 証 制 度 を 再 び 実 施 することの 是 非 本 稿 では 特 別 保 証 制 度 の 効 果 に 関 するこれまでの 種 々の 研 究 成 果 を 通 じて 現 在 実 施 されている 緊 急 保 証 制 度 の 効 果 を 推 察 してきた その 中 で 緊 急 保 証 制 度 には 特 別 保 証 制 度 と 同 様 に 貸 し 渋 りを 緩 和 する 効 果 が 存 在 するが 特 別 保 証 制 度 と 異 なり 企 業 の 信 用 リスクに 対 するモニタリングが 行 われているため 緊 急 保 証 制 度 利 用 企 業 に 対 する 倒 産 防 止 の 効 果 がある 一 方 で 信 用 リスクの 高 い 企 業 を 延 命 させないことによって 市 場 1
の 効 率 性 を 維 持 しているであろうことが 分 かった つまり 緊 急 保 証 制 度 は 特 別 保 証 制 度 が 持 つ 欠 点 を 十 分 に 補 った 制 度 と 言 うことができ これを 廃 止 して 再 び 特 別 保 証 制 度 を 復 活 させることは 必 ずしも 賢 明 な 判 断 とは 言 えない 確 かに 特 別 保 証 制 度 が 復 活 することになれば 企 業 は 業 種 や 財 務 状 況 を 問 わず 簡 易 迅 速 に 資 金 を 調 達 できるよう になる しかし これまで 審 査 が 通 らなかった 企 業 でも 資 金 の 借 入 れが 可 能 になるとい うことは 高 確 率 の 貸 倒 れリスクを 国 民 全 体 で 負 担 することに 直 結 し ひいては 国 の 財 政 負 担 を 急 増 させることにつながる 1 国 の 財 政 状 況 が 悪 化 していく 中 で 特 別 保 証 制 度 を 再 実 施 することには 十 分 な 検 討 が 求 められる もちろん 緊 急 保 証 制 度 に 何 ら 修 正 の 必 要 がないと 言 うのではない 0 年 月 に 期 限 切 れを 迎 える 緊 急 保 証 制 度 を 存 続 さ せるに 当 たっては これまで 以 上 に 利 用 者 側 の 声 に 耳 を 傾 け より 使 いやすい 制 度 に 改 めていく 必 要 があろう () 実 体 経 済 回 復 に 向 けた 取 組 の 必 要 性 図 は 1 年 以 降 の 鉱 工 業 生 産 指 数 の 推 移 を 示 したものである 特 別 保 証 制 度 導 入 時 と 緊 急 保 証 制 度 導 入 時 を 比 較 すると 明 らかに 後 者 導 入 時 の 落 ち 込 みが 激 しく いかに 実 体 経 済 の 悪 化 が 極 端 なものであったかが 分 かる 図 鉱 工 業 生 産 ( 接 続 ) 指 数 の 推 移 0 特 別 信 用 保 証 制 度 実 施 期 間 1..1~001..1 緊 急 保 証 制 度 実 施 期 間 00..1~. 1. 0 0 1. 0 0 1-Ⅰ 1-Ⅰ 1-Ⅰ 1-Ⅰ 10-Ⅰ 11-Ⅰ 1-Ⅰ 1-Ⅰ 1-Ⅰ 1-Ⅰ 1-Ⅰ 1-Ⅰ 1-Ⅰ 1-Ⅰ 000-Ⅰ 001-Ⅰ 00-Ⅰ 00-Ⅰ 00-Ⅰ 00-Ⅰ 00-Ⅰ 00-Ⅰ 00-Ⅰ 00-Ⅰ. ( 出 所 ) 経 済 産 業 省 統 計 資 料 1 会 計 検 査 院 の 平 成 1 年 度 決 算 検 査 報 告 によれば 00 年 月 末 までに 特 別 保 証 制 度 における 代 位 弁 済 額 は 兆, 億 円 まで 及 んだが そのうち 回 収 額 は,0 億 円 程 度 でしかなかった 緊 急 保 証 制 度 についてはこれまで 資 金 繰 りが 厳 しいが 業 種 に 指 定 されていないため 利 用 できない 信 用 保 証 協 会 の 審 査 に 時 間 がかかる 審 査 が 厳 しく 希 望 額 の 融 資 が 得 られない 等 制 度 の 融 通 の 悪 さを 指 摘 す る 声 が 続 出 し 政 府 はその 都 度 見 直 しを 行 ってきた 鳩 山 新 政 権 が 00 年 1 月 日 に 閣 議 決 定 した 明 日 の 安 心 と 成 長 のための 緊 急 経 済 対 策 では 0 年 月 で 期 限 切 れを 迎 える 緊 急 保 証 制 度 の 景 気 対 応 緊 急 保 証 への 衣 替 えを 決 定 したところであり 詳 細 については 本 稿 執 筆 時 では 明 らかにされてないが 対 象 業 種 の 指 定 基 準 や 利 用 企 業 の 認 定 基 準 が 改 めら れ 例 外 業 種 を 除 く 全 業 種 の 中 小 企 業 が 利 用 可 能 となるような 使 い 勝 手 を 高 める 保 証 制 度 に 変 更 すること が 明 記 されている 過 去 の 各 基 準 の 指 数 をリンク 係 数 により 便 宜 的 に 00 年 基 準 指 数 に 接 続 させた 接 続 指 数 を 使 用 した 1
前 出 した 植 杉 氏 や 帝 国 DBの 調 べにおいて 指 摘 されていた ことであるが 特 別 保 証 制 度 と 緊 急 保 証 制 度 ではその 時 代 背 景 が 異 なることに 着 目 する 必 要 がある 特 別 保 証 制 度 導 入 時 の 金 融 危 機 は 金 融 機 関 の 体 質 悪 化 がもたらしたものであり 実 体 経 済 はそれ ほど 悪 化 していなかった このため 企 業 は 一 定 の 運 転 資 金 を 確 保 しさえすれば 経 営 を 安 定 させることが 可 能 な 状 況 にあった しかし 今 回 の 緊 急 保 証 制 度 導 入 の 背 景 には 実 体 経 済 の 極 端 な 悪 化 がある 企 業 は 運 転 資 金 を 確 保 した 上 で 仕 事 の 受 注 を 増 やしな がら 収 益 を 増 やしていくことになるが 実 体 経 済 の 悪 化 は 仕 事 の 受 注 自 体 を 減 らす つ まり 資 金 繰 り 緩 和 施 策 によって 当 面 の 運 転 資 金 は 確 保 できたとしても 仕 事 の 受 注 が なければ 企 業 収 益 は 改 善 されない 企 業 収 益 が 改 善 しなければ 借 入 金 の 返 済 は 滞 り 結 局 は 倒 産 する 危 険 性 が 高 まることになるため 実 体 経 済 回 復 のための 需 要 創 出 策 が 早 急 に 必 要 となる 鳩 山 新 政 権 の 経 済 対 策 で 創 設 される 景 気 対 応 緊 急 保 証 では 現 行 の 緊 急 保 証 制 度 の 枠 を 活 用 するほか 新 たに 兆 円 の 保 証 枠 拡 大 を 行 うことを 予 定 している 政 策 公 庫 が 実 施 しているセーフティネット 貸 付 に 対 する 兆 円 の 貸 付 枠 拡 大 と 合 わせると 企 業 の 資 金 繰 り 支 援 に 兆 円 そのための 中 小 企 業 金 融 関 連 予 算 として1 兆 円 が 00 年 度 第 次 補 正 予 算 に 計 上 されることとなる 前 述 したとおり 緊 急 保 証 制 度 の 枠 は 現 在 0 兆 円 あり これまでの 承 諾 実 績 額 は 約 1 兆 円 を 超 えたところである およそ 半 分 の 約 1 兆 円 が 残 っている 状 況 で 保 証 枠 を 拡 大 することの 政 策 効 果 は 必 ずしも 明 らか でない これまで 政 府 が 行 ってきた 種 々の 施 策 により 運 転 資 金 を 確 保 することができた 企 業 は むしろ 実 体 経 済 回 復 に 伴 う 仕 事 の 受 注 増 を 望 んでいることは 明 らかであり 企 業 収 益 の 改 善 に 直 接 つながるような 内 需 拡 大 策 により 多 くの 予 算 を 費 やすべきであ ろう 参 考 文 献 渡 辺 努 植 杉 威 一 郎 編 著 検 証 中 小 企 業 金 融 ( 日 本 経 済 新 聞 出 版 社 00.) ( 内 線 0) 前 掲 脚 注 及 び 1 前 掲 脚 注 前 掲 脚 注 1 東 京 SRの 00 年 全 国 企 業 倒 産 状 況 によると 販 売 不 振 を 中 心 とするいわゆる 不 況 型 倒 産 の 構 成 比 が 過 去 最 高 の.%に 上 ったとする 1