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税 制 改 正 法 案 が 成 立 スタートした 教 育 資 金 贈 与 税 非 課 税 制 度 その 目 的 と 運 用 方 法 平 成 25 年 度 税 制 改 正 の 目 玉 政 策 の 一 つである 教 育 資 金 贈 与 の 非 課 税 制 度 が4 月 にスタートした 信 託 銀 行 などが 本 制 度 対 応 の 商 品 を 発 売 し 始 め 孫 の 教 育 費 を 援 助 したい 祖 父 母 に 注 目 されている 制 度 導 入 の 背 景 経 緯 制 度 の 内 容 及 び 商 品 の 制 度 や 特 徴 実 際 に 贈 与 された 教 育 資 金 を 管 理 する 金 融 機 関 の 取 り 組 みを 紹 介 する 2 ファイナンス 2013.5

教 育 資 金 一 括 贈 与 の 贈 与 税 非 課 税 措 置 の 創 設 について 主 税 局 税 制 第 一 課 主 税 企 画 官 中 村 英 正 1. 制 度 導 入 の 背 景 経 緯 家 計 資 産 の6 割 を 60 歳 以 上 の 世 代 が 保 有 現 在 家 計 資 産 の 約 6 割 を60 歳 以 上 の 世 代 が 保 有 している 状 況 にある この 割 合 は 平 成 元 年 に おいては 約 3 割 であった わずか20 年 もの 間 に 2 倍 の 規 模 となったのである この 家 計 資 産 をよ り 早 期 に 若 い 世 代 へ 移 転 することで 経 済 を 活 性 化 させるべきではないか こうした 要 請 に 応 えるため 平 成 25 年 度 税 制 改 正 においては 贈 与 が 最 も 行 われる 祖 父 母 から 子 孫 といった 直 系 卑 属 間 の 贈 与 について 一 部 税 率 を 引 き 下 げた 他 贈 与 の 活 用 を 促 す 相 続 時 精 算 課 税 制 度 についても その 要 件 を 緩 和 するなどの 制 度 改 正 を 講 じたところである しかし 単 に 贈 与 を 促 すだけでは 預 金 口 座 の 名 義 が 祖 父 母 から 親 孫 に 付 け 替 わるだけに 終 わ ってしまう 可 能 性 がある 経 済 活 性 化 を 促 すには 単 に 贈 与 が 行 われるだけでなく 更 にその 先 贈 与 された 資 金 が 有 効 に 使 われることまでを 視 野 に 入 れた 税 制 措 置 を 設 ける 必 要 があるのではない か? このような 問 題 意 識 から 今 年 の1 月 に 策 定 さ れた 日 本 経 済 再 生 に 向 けた 緊 急 経 済 対 策 にお いて 教 育 資 金 の 一 括 贈 与 に 係 る 贈 与 税 の 非 課 税 措 置 が 盛 り 込 まれ 平 成 25 年 度 税 制 改 正 で 創 設 された なぜ 教 育 が 対 象 なのか 贈 与 については 毎 年 110 万 円 までは 非 課 税 扱 いだが それを 超 えた 分 については 贈 与 税 が 課 税 されるというのが 基 本 的 なルールとなっている したがって なんでも 良 いから 贈 与 された 資 金 を 使 いさえすれば 贈 与 税 を 非 課 税 にするというわけ にはいかない 非 課 税 措 置 を 設 けるにしても そ の 必 要 性 や 許 容 性 が 求 められることになる 今 般 経 済 対 策 の 一 環 として 贈 与 税 の 分 野 で の 措 置 の 検 討 が 行 われたわけであるが まとまっ た 額 の 資 金 が 必 要 となるものは 何 か 更 にそれが 我 が 国 経 済 の 持 続 的 な 成 長 にも 寄 与 するものなの か 税 法 上 どのように 位 置 づけることが 可 能 かと いったことなどが 焦 点 となった 一 つの 候 補 は 住 宅 の 購 入 であるが これについ ては 既 に 一 定 の 非 課 税 措 置 が 講 じられていた 他 方 教 育 については 特 に 高 等 教 育 を 中 心 に 我 が 国 は 私 学 の 占 める 割 合 が 比 較 的 高 く( 学 生 数 で は 日 本 75% 米 26% 英 0.1% 独 4%) また 塾 習 い 事 なども 含 めるとトータルとしての 教 育 費 用 は 多 額 に 上 るケースが 多 い それだけ 若 い 世 代 の 家 計 の 負 担 感 も 高 い 加 えて わが 国 の 成 長 力 競 争 力 の 強 化 の 観 点 からは 教 育 機 会 の 充 実 人 材 育 成 は 極 めて 重 要 であることから 贈 与 税 制 上 の 優 遇 措 置 を 設 ける 必 要 性 が 高 いと 判 断 された 実 は 教 育 資 金 については 扶 養 義 務 者 間 で その 都 度 必 要 な 範 囲 内 で 贈 与 されるものは 贈 与 ファイナンス 2013.5 3

税 が 非 課 税 とされていた つまり 入 学 金 や 毎 年 毎 年 の 授 業 料 などに 充 てる 資 金 を 必 要 とされる タイミングで 贈 与 されるのであれば 非 課 税 であ った その 意 味 で 贈 与 税 と 教 育 資 金 については そもそも 制 度 的 な 結 び 付 きがあり 税 制 上 も 仕 組 みやすかったという 面 もあった 逆 に 検 討 段 階 においては その 都 度 の 贈 与 が 非 課 税 であるならば 敢 えて 一 括 贈 与 について 新 たに 特 例 を 設 ける 必 要 性 は 低 いのではないかとい う 意 見 もあった この 点 私 学 入 学 のケースなど 長 期 間 に 多 額 の 支 出 が 見 込 まれる 場 合 も 多 いが その 資 金 を 一 括 して 贈 与 した 場 合 例 えばその 年 の 授 業 料 など 都 度 贈 与 にあたるものは 非 課 税 であるが それ 以 外 の 部 分 については 控 除 額 を 差 し 引 いた 上 で 贈 与 税 が 課 税 されることになる もちろん 毎 年 その 都 度 贈 与 を 行 えば 良 いのであるが それも 手 間 が かかるとか 見 通 しが 不 確 実 な 場 合 もある こう した 点 を 考 慮 すると 一 括 して 贈 与 する 場 合 にも 非 課 税 とする 要 請 は 高 く 世 代 間 の 資 産 移 転 の 後 押 しの 一 助 になると 判 断 された また 子 供 をもつ 家 庭 では 教 育 資 金 をそれぞれ 積 み 立 てているケースが 多 いと 想 定 されるが 仮 に 教 育 資 金 が 一 括 して 贈 与 されれば 積 み 立 てを 維 持 する 必 要 が 低 くなり それを 取 り 崩 して 他 の 支 出 に 回 すことで 消 費 を 活 性 化 させるといった 効 果 も 期 待 できると 判 断 された 決 定 後 の 反 響 する 機 会 があったが 彼 らによれば ここ 数 年 祖 父 母 世 代 が 孫 世 代 に 積 極 的 に 関 与 する 度 合 いが 大 変 高 まっており 孫 向 け 支 出 も 堅 調 に 増 えてい たとのことであった 税 制 も 経 済 政 策 のツールで ある 以 上 経 済 の 底 流 にある 動 きにも 常 にアンテ ナを 高 く 張 る 必 要 があることを 再 認 識 した マスコミの 取 り 上 げ 方 は 積 極 的 なものも 多 かっ たが 本 措 置 は 富 裕 層 の 孫 の 教 育 をサポートする ものであり 所 謂 格 差 の 固 定 化 につながるもので はないかという 批 判 もあった 確 かに 贈 与 税 の 優 遇 措 置 である 以 上 直 接 の 恩 恵 は 贈 与 を 行 う 者 に しか 及 ばないものではある 他 方 25 年 度 改 正 においては 相 続 税 贈 与 税 の 大 きな 見 直 しを 行 っ たところであるが 相 続 税 の 基 礎 控 除 引 上 げなど は 逆 に 格 差 の 固 定 化 防 止 の 観 点 から 講 じられてい ることも 併 せ 考 えて 頂 ければと 考 えている また 金 融 機 関 からも 話 を 伺 ったが 今 のとこ ろ 本 措 置 に 寄 せられる 関 心 は 非 常 に 高 く 実 際 に 口 座 の 開 設 に 至 るケースも 想 定 を 超 えるペースで あるとのこと 我 々としても 4 月 以 降 本 措 置 も 含 め 税 制 改 正 内 容 の 周 知 徹 底 に 努 めているとこ ろであり 一 人 でも 多 くの 方 が 本 措 置 を 活 用 して 頂 けるよう 努 めてまいりたい 最 終 的 に 本 措 置 が 活 用 されるかどうかはそれぞ れの 方 の 状 況 判 断 によるものであるが 少 なく とも 本 措 置 の 導 入 が 相 続 贈 与 について 話 し 合 われるきっかけの 一 つになるのであれば それも また 本 措 置 を 導 入 した 一 つの 効 果 となろうと 考 え ている 本 措 置 の 導 入 についてはテレビ 新 聞 等 で 大 き く 取 り 上 げられた その 報 道 ぶりは 予 想 を 超 える ものであった その 後 本 措 置 が 大 きな 反 響 を 呼 んだ 要 因 につ いて エコノミストや 大 手 広 告 代 理 店 と 意 見 交 換 4 ファイナンス 2013.5

2 本 制 度 の 内 容 概 要 平 成 25 年 4 月 1 日 から 平 成 27 年 12 月 31 日 ま での 間 に 30 歳 未 満 の 子 や 孫 等 の 教 育 資 金 に 充 てるた めに その 祖 父 母 等 が 一 括 して 贈 与 した 金 銭 等 について 信 託 会 社 銀 行 証 券 会 社 等 と の 間 で 契 約 締 結 口 座 開 設 等 した 場 合 1,500 万 円 まで( 塾 習 いごと 等 については 500 万 円 を 限 度 )の 金 額 に 相 当 する 部 分 の 価 額 については 贈 与 税 を 課 さないこととする もの 制 度 の 流 れ 教 育 資 金 の 範 囲 非 課 税 の 対 象 となる 教 育 資 金 については 教 育 に 関 連 するものであることから 文 部 科 学 省 等 と 協 議 を 行 い 以 下 の 通 りのものとした 詳 細 につ いては 文 部 科 学 省 のホームページを 参 照 して 頂 きたい (1) 学 校 等 グループ 1 幼 稚 園 認 定 こども 園 保 育 所 小 中 学 校 高 等 学 校 大 学 ( 院 ) 高 等 専 門 学 校 特 別 支 援 学 校 専 修 学 校 各 種 学 校 外 国 に おける 相 当 する 施 設 等 2 上 記 の 機 関 に 直 接 支 払 われる 以 下 の 資 金 ⅰ) 入 学 金 授 業 料 入 園 料 及 び 保 育 料 並 び に 施 設 設 備 費 ⅱ) 入 学 又 は 入 園 のための 試 験 に 係 る 検 定 料 ⅲ) 在 学 証 明 成 績 証 明 その 他 学 生 等 の 記 録 に 係 る 手 数 料 及 びこれに 類 する 手 数 料 ⅳ) 学 用 品 の 購 入 費 修 学 旅 行 費 又 は 学 校 給 食 費 その 他 学 校 等 における 教 育 に 伴 って 必 要 な 費 用 に 充 てるための 金 銭 ファイナンス 2013.5 5

(2) 塾 習 いごと 等 グループ( 限 度 額 500 万 円 ) 1 学 習 塾 予 備 校 の 授 業 料 等 2 習 いごとの 月 謝 等 スポーツ 活 動 ( 水 泳 野 球 サッカー テ ニス 武 道 体 操 など) 文 化 芸 術 活 動 ( 楽 器 舞 踏 絵 画 など) その 他 教 養 ( 習 字 そろばん 外 国 語 会 話 など) 3 上 記 の 塾 習 いごとにおいて 使 用 する 物 品 の 購 入 に 要 する 金 銭 であって その 役 務 の 提 供 又 は 指 導 を 行 う 者 に 直 接 支 払 われるもの 4 学 校 等 における 教 育 に 伴 って 必 要 な 費 用 に 充 てるための 金 銭 であって 学 生 等 の 全 部 又 は 大 部 分 が 支 払 うべきものと 学 校 等 が 認 めた もの 実 際 の 手 続 き 金 融 機 関 に 口 座 を 開 設 するにはどうしたらよい か 口 座 から 払 出 を 受 けるにはどうしたらよいか 口 座 を 終 了 するにはどうしたらよいか 少 しテク ニカルになるが 以 下 概 略 を 述 べる 詳 細 は 金 融 機 関 税 務 署 に 問 い 合 わせて 頂 くか 国 税 庁 の ホームページを 参 照 頂 きたい (1) 口 座 開 設 等 の 手 続 き 信 託 会 社 銀 行 証 券 会 社 等 との 間 で 子 や 孫 名 義 の 契 約 締 結 口 座 開 設 を 行 い 祖 父 母 等 が 贈 与 資 金 を 振 り 込 む この 特 例 の 適 用 を 受 けようとする 子 や 孫 は 口 座 等 が 開 設 される 日 までに 子 や 孫 の 納 税 地 の 所 轄 税 務 署 長 に 提 出 する 但 し 書 類 の 提 出 は 金 融 機 関 経 由 で 行 われるので 直 接 税 務 署 に 提 出 郵 送 する 必 要 は 無 い (2) 口 座 からの 払 出 教 育 資 金 の 支 払 の 手 続 き 口 座 からの 払 出 については 予 め1 立 替 払 2 それ 以 外 の 方 法 のいずれかを 選 択 する そして 教 育 資 金 の 支 払 に 充 てた 金 銭 に 係 る 領 収 書 等 のそ の 支 払 の 事 実 を 証 するものを 取 扱 金 融 機 関 の 営 業 所 等 に 提 出 する 提 出 期 限 は 選 択 した 払 出 方 法 毎 に 異 なる 領 収 書 等 の 提 出 時 期 6 ファイナンス 2013.5

特 集 1 自 ら 立 替 払 をした 後 に 教 育 資 金 管 理 口 座 か ら 払 い 出 す 方 法 を 選 択 した 場 合 : 領 収 書 等 に 記 載 された 支 払 年 月 日 から1 年 を 経 過 する 日 2 それ 以 外 の 方 法 を 教 育 資 金 管 理 口 座 の 払 出 方 法 として 選 択 した 場 合 : 領 収 書 等 に 記 載 さ れた 支 払 年 月 日 の 属 する 年 の 翌 年 3 月 15 日 (3) 口 座 の 終 了 1 終 了 事 由 教 育 資 金 管 理 契 約 は 次 の 場 合 に 終 了 する ⅰ) 贈 与 を 受 ける 子 や 孫 等 が30 歳 に 達 した ⅱ) 残 高 がゼロになった ⅲ) 子 や 孫 等 が 死 亡 した 2 終 了 時 の 贈 与 税 の 課 税 終 了 時 点 で 残 額 がある 場 合 その 残 額 につ いては 終 了 した 年 の 贈 与 税 として 課 税 され る なお 子 や 孫 等 が 死 亡 したことにより 終 了 となった 場 合 は 残 額 があっても 贈 与 税 は 課 税 されない 3 終 了 時 の 手 続 き ⅰ) 受 贈 者 教 育 資 金 管 理 契 約 が 終 了 した 場 合 には 贈 与 税 の 申 告 義 務 がある 者 については そ の 年 の 翌 年 の2 月 1 日 から3 月 15 日 まで の 間 に 贈 与 税 の 申 告 書 を 納 税 地 の 所 轄 税 務 署 長 に 提 出 しなければならない ⅱ) 金 融 機 関 金 融 機 関 の 営 業 所 等 の 長 は 教 育 資 金 管 理 契 約 が 終 了 した 場 合 には 教 育 資 金 管 理 契 約 の 終 了 に 関 する 調 書 をその 教 育 資 金 管 理 契 約 が 終 了 した 日 の 属 する 月 の 翌 々 月 末 日 までに 子 や 孫 等 の 納 税 地 の 所 轄 税 務 署 長 に 提 出 しなければならない 上 記 の 手 続 きの 流 れを 概 略 すると 以 下 のよう になる 教 育 資 金 の 一 括 贈 与 に 係 る 贈 与 税 の 非 課 税 措 置 の 流 れ 文 中 意 見 にわたるところは 個 人 的 見 解 である ファイナンス 2013.5 7

教 育 資 金 の 一 括 贈 与 の 対 応 商 品 信 託 銀 行 銀 行 などで 取 扱 開 始 取 材 文 / 向 山 勇 編 集 / 風 間 立 信 信 託 銀 行 各 社 が 4 月 上 旬 にスタート 直 系 尊 属 から 教 育 資 金 の 一 括 贈 与 を 受 けた 場 合 の 贈 与 税 の 非 課 税 ( 以 下 教 育 資 金 の 一 括 贈 与 の 非 課 税 ) 制 度 が4 月 1 日 からスタートしたこ とを 受 けて 金 融 機 関 が 対 応 商 品 の 取 り 扱 いを 開 始 している 非 課 税 となる 贈 与 は 1 信 託 会 社 への 信 託 2 銀 行 等 への 預 貯 金 の 預 入 3 証 券 会 社 等 での 有 価 証 券 の 購 入 のいずれかとされているため 対 応 商 品 は 信 託 銀 行 銀 行 証 券 会 社 の 各 金 融 機 関 が 取 り 扱 うことができる その 中 でいち 早 く 取 り 扱 いを 開 始 したのは 信 託 銀 行 だ 5 月 1 日 現 在 三 菱 UFJ 信 託 銀 行 三 井 住 友 信 託 銀 行 みずほ 信 託 銀 行 りそな 銀 行 ( 信 託 業 務 を 行 なっている)などが 教 育 資 金 贈 与 信 託 として 商 品 を 提 供 している 信 託 銀 行 が 先 行 できたのには 2つの 理 由 があ る ひとつは 顧 客 の 資 産 を 管 理 運 用 する 信 託 という 仕 組 みを 持 っていることだ 今 回 の 教 育 資 金 の 一 括 贈 与 の 非 課 税 は 祖 父 母 などから 孫 などに 贈 与 された 資 金 を 金 融 機 関 が 最 大 30 年 間 預 かり 管 理 を 行 なわなければな らない そもそも 信 託 銀 行 には 長 期 に 渡 って 顧 客 の 資 産 管 理 を 行 なう 遺 言 信 託 などの 商 品 があ り そのノウハウを 利 用 することができた もう 一 つは 教 育 資 金 の 一 括 贈 与 の 非 課 税 と 同 様 の 制 度 を 以 前 から 検 討 していたことだ そ の 内 容 は 信 託 協 会 を 通 じて 平 成 18 年 度 の 税 制 改 正 要 望 書 として 政 府 に 提 出 している その ベースがあるため すみやかに 商 品 化 が 実 現 した という 面 がある 信 託 銀 行 各 行 は 取 扱 い 開 始 以 降 積 極 的 な PRを 行 なっている たとえば 三 井 住 友 信 託 銀 行 では 新 聞 広 告 リスティング 広 告 セミナー ポスター DM 店 頭 POPなど さまざまな 手 法 を 利 用 し 教 育 資 金 贈 与 信 託 の 周 知 を 図 って いる この 背 景 には 今 回 の 商 品 が 国 の 新 制 度 をベー スにしたものであり 信 託 銀 行 間 で 競 争 をする というよりも 業 界 を 挙 げて 新 しい 制 度 を 浸 透 させることが 大 事 であると 認 識 している ( 三 菱 UFJ 信 託 )からだ 顧 客 の 反 応 は 予 想 以 上 に 高 く 同 信 託 では 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 三 菱 UFJモルガン スタンレー 証 券 のMUFGグループの 金 融 機 関 でも 取 り 扱 い を 行 なっており 当 初 想 定 以 上 の 問 い 合 わせが 寄 せられているという 70~80 代 の 祖 父 母 世 代 と 50~60 代 の 親 世 代 からの 問 い 合 わせが 多 く 新 規 顧 客 も 多 いという から それだけ 注 目 度 の 高 い 制 度 ということがで きそうだ 教 育 資 金 贈 与 信 託 に ほとんど 商 品 性 の 違 いなし そもそも 国 の 制 度 がベースになっていることか ら 各 信 託 の 商 品 には ほとんど 違 いはない 簡 単 な 仕 組 みは 図 表 1のようになっている 贈 与 者 である 祖 父 母 などがまず 信 託 を 設 定 し 贈 与 資 金 を 拠 出 する 拠 出 した 資 金 の 権 利 は この 時 8 ファイナンス 2013.5

図 表 1 教 育 資 金 贈 与 信 託 の 仕 組 み 点 で 受 贈 者 である 孫 などに 移 転 するため 中 途 解 約 はできない また 一 人 の 受 贈 者 に 対 して 口 座 は1つしか 作 成 できない 資 金 は 金 銭 信 託 で 運 用 される 金 銭 信 託 は 金 利 情 勢 に 応 じで 配 当 金 が 決 まる 商 品 で 元 本 を 保 証 している 金 融 機 関 もある 孫 などの 受 贈 者 は 教 育 資 金 が 必 要 になった 時 点 で 信 託 銀 行 に 払 い 戻 し 請 求 を 行 なう その 際 使 い 道 が 教 育 資 金 であるかどうかを 判 定 するた め 受 贈 者 は 信 託 銀 行 に 領 収 書 を 提 出 する 利 用 料 は 原 則 無 料 三 井 住 友 信 託 銀 行 は 店 舗 窓 口 で 教 育 資 金 を 払 い 戻 す 場 合 1 回 につき 最 大 2,100 円 の 手 数 料 がかかるが 9 月 末 までに 口 座 開 設 を 申 し 込 めば 契 約 終 了 まで 無 料 になる 信 託 銀 行 は 金 銭 信 託 の 運 用 状 況 に 応 じた 運 用 報 酬 を 受 け 取 ることで 同 商 品 の 管 理 運 営 費 用 を 賄 う 最 低 利 用 額 は 三 菱 UFJ 信 託 銀 行 が10 万 円 であ るほかは 5,000 円 となっている 利 用 者 にとって 最 大 の 違 いとなるのは 領 収 書 の 提 出 時 期 だ 制 度 上 は 1 教 育 資 金 の 支 払 後 に 口 座 から 引 出 す 方 式 2 口 座 から 引 出 し 後 に 教 育 資 金 を 支 払 う 方 式 のいずれかを 孫 などの 受 贈 者 が 選 択 できることになっている 現 状 では ほとんどの 信 託 が1しか 対 応 してお らず 1と2に 対 応 しているのは 三 菱 UFJ 信 託 のみだ 孫 などの 受 贈 者 にしてみれば 1の 場 合 いっ たん 自 己 資 金 で 教 育 費 を 立 て 替 える 必 要 がある ため 2のほうが 利 便 性 は 高 いと 考 えられる ただし 三 井 住 友 銀 行 りそな 銀 行 のように 学 校 などへ 直 接 振 り 込 むことによって 立 て 替 え をせずに 教 育 費 を 支 払 う 方 法 もある 利 用 状 況 の 報 告 は 定 期 的 に 孫 などの 受 贈 者 に 行 なわれる 三 菱 UFJ 信 託 は 年 2 回 他 の 信 託 は 年 1 回 となっている 実 際 の 販 売 現 場 では 時 間 をかけた 商 品 の 説 明 が 必 要 だという その 理 由 は 顧 客 の 勘 違 いが 多 いからだ とくに 多 いのは 教 育 資 金 の 一 括 贈 与 の 非 課 税 制 度 を 利 用 しなければ 贈 与 が 非 課 税 にならないと 認 識 しているケースだ 教 育 資 金 の 贈 与 は 従 来 から 非 課 税 になってい る たとえば 祖 父 が 孫 に 教 育 資 金 を 贈 与 する 場 合 入 学 時 進 級 時 など 教 育 費 が 必 要 な 都 度 必 要 な 資 金 を 贈 与 すれば 非 課 税 になる 今 回 の 制 度 は 将 来 必 要 になるであろう 教 育 資 金 を 前 渡 しで 一 括 贈 与 した 場 合 も 非 課 税 になると いう 制 度 しかし 顧 客 にはその 点 の 理 解 がない ことが 多 く 販 売 担 当 者 は 説 明 義 務 を 果 たすため 十 分 な 時 間 をかけて 説 明 を 行 なっている ファイナンス 2013.5 9

普 通 銀 行 は 代 理 店 形 式 と 専 用 口 座 形 式 に 分 かれる 普 通 銀 行 の 中 で いち 早 く 対 応 商 品 の 提 供 を 開 始 したのは 横 浜 銀 行 だ 朝 日 信 託 と 信 託 契 約 代 理 店 としての 契 約 を 結 び 教 育 資 金 贈 与 信 託 を 提 供 している 同 行 の 場 合 口 座 設 定 時 に5 万 2,500 円 ( 税 込 み)の 設 定 時 報 酬 と 教 育 資 金 の 引 き 出 し1 回 につ き1,050 円 ( 税 込 み)の 管 理 報 酬 が 必 要 になる ただし すでに 遺 言 信 託 遺 産 整 理 業 務 そ の 他 個 人 信 託 の 契 約 をしている 場 合 あるいは 同 時 に 申 し 込 む 場 合 には 設 定 時 報 酬 管 理 報 酬 ともに 無 料 となる 教 育 資 金 の 払 い 戻 しには 横 浜 銀 行 の 口 座 を 利 用 するため 同 行 に 口 座 を 保 有 している 顧 客 であ れば 信 託 銀 行 に 新 たに 口 座 を 開 設 する 必 要 がな い というメリットがある また 同 行 の 場 合 利 用 状 況 の 報 告 は 孫 など の 受 贈 者 ( 受 益 者 )だけでなく 祖 父 母 などの 贈 与 者 ( 委 託 者 )にも 送 付 される 一 方 で 預 金 をベースにしたサービスを 準 備 し ている 普 通 銀 行 もある たとえば 大 垣 共 立 銀 行 では 教 育 資 金 ( 一 括 贈 与 ) 専 用 口 座 の 取 り 扱 いを 行 なう 予 定 だ 信 託 銀 行 の 商 品 と 大 きく 異 なるのは 教 育 資 金 ( 一 括 贈 与 ) 支 援 専 用 当 座 貸 越 サービスを 利 用 できることだ 教 育 資 金 の 一 括 贈 与 の 非 課 税 が 使 えるのは 平 成 27 年 12 月 31 日 まで そこまでに 対 応 商 品 への 申 込 みと 資 金 の 拠 出 が 必 要 になる 中 には 資 産 額 は 多 くても 不 動 産 などの 占 める 比 率 が 多 く 贈 与 のための 現 金 がすぐには 用 意 できないこともあ る そのようなときには このサービスを 利 用 して 贈 与 資 金 の 融 資 を 受 けることが 可 能 だ 融 資 額 は 100 万 円 以 上 1 億 円 以 下 となっている 横 浜 銀 行 でも 預 金 口 座 を 利 用 した 対 応 商 品 を 準 備 中 このほか 常 陽 銀 行 千 葉 銀 行 池 田 泉 州 銀 行 マネックス 証 券 なども 対 応 商 品 の 取 り 扱 い を 準 備 している 図 表 2 教 育 資 金 の 一 括 贈 与 の 非 課 税 制 度 対 応 商 品 の 例 最 低 利 用 額 事 務 手 数 料 領 収 書 の 提 出 三 菱 UFJ 信 託 銀 行 10 万 円 無 料 後 日 提 出 も 可 三 井 住 友 信 託 銀 行 5,000 円 無 料 払 出 時 みずほ 信 託 銀 行 5,000 円 無 料 払 出 時 りそな 銀 行 5,000 円 無 料 払 出 時 横 浜 銀 行 ( 朝 日 信 託 の 信 託 契 約 代 理 店 ) 10 万 円 設 定 時 =5 万 2,500 円 払 出 時 1 回 =1,050 円 後 日 提 出 も 可 すでに 遺 言 信 託 遺 産 管 理 業 務 その 他 個 人 信 託 の 契 約 をしている 場 合 や 同 時 に 申 し 込 む 場 合 は 設 定 時 払 い 戻 し 時 ともに 無 料 10 ファイナンス 2013.5