野村資本市場研究所|教育資金に見る早期世代間資産移転とリバース・モーゲージ(PDF)



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目 次 貸 借 対 照 表 1 損 益 計 算 書 2 キャッシュ フロー 計 算 書 3 利 益 の 処 分 に 関 する 書 類 4 国 立 大 学 法 人 等 業 務 実 施 コスト 計 算 書 5 注 記 事 項 6 附 属 明 細 書 別 紙

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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退職手当とは

賦課の根拠となった法律及び条例(その2)

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1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

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公表表紙

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

事務連絡

平成21年10月30日

平 成 34 年 4 月 1 日 から 平 成 37 年 3 月 31 日 まで 64 歳 第 2 章 労 働 契 約 ( 再 雇 用 希 望 の 申 出 ) 第 3 条 再 雇 用 職 員 として 継 続 して 雇 用 されることを 希 望 する 者 は 定 年 退 職 日 の3か 月 前 まで

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平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財

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m07 北見工業大学 様式①

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

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第25回税制調査会 総25-1

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

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(2) 職 員 の 初 任 給 の 状 況 ( 平 成 17 年 4 月 1 日 現 在 ) 初 任 給 2 年 後 の 給 料 初 任 給 2 年 後 の 給 料 一 般 行 政 職 技 能 労 務 職 大 学 卒 171,1 151,5 19,2 164,7 17,7 184,4 中 学 卒 1

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掛 金 負 担 金 の 給 料 月 額 に 対 する 割 合 ( ) ( 単 位 : ) 短 期 介 護 短 期 介 護 短 期 介 護 一 般 職 特 別 職 市 町 村 長 組 合 員 34

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職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

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18 国立高等専門学校機構

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(2) 勤 続 5 年 を 超 え 10 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の140 (3) 勤 続 10 年 を 超 え 20 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の180 (4)

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空 き 家 を 売 却 した 場 合 の,000 万 円 控 除 特 例 の 創 設 被 相 続 人 が 住 んでいた 家 屋 及 びその 敷 地 を 相 続 があった 日 から 年 を 経 過 する 年 の 月 日 までに 耐 震 工 事 をしてから あるいは 家 を 除 却 し てから 売 却

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となるため 退 職 をし かつ 引 き 続 き 国 家 公 務 員 等 として 在 職 (その 者 が 更 に 引 き 続 き 当 該 国 家 公 務 員 以 外 の 他 の 国 等 の 機 関 に 係 る 国 家 公 務 員 等 として 在 職 した 場 合 を 含 む )した 後 引 き 続 い

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第 2 問 問 4 問 5 1ロ 2チ 3ヲ 4ホ ⅰ)Aさんは 今 年 の 誕 生 日 で 40 歳 となるので 公 的 介 護 保 険 の(1 第 2 号 ) 被 保 険 者 資 格 を 取 得 し 介 護 保 険 料 を 負 担 することになる 40 歳 以 上 65 歳 未 満 の 医 療

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回 答 Q3-1 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 質 問 : 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 土 地 の 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 答 : あなたの 土 地 は 過 去 の 評 価 替 えで 評 価 額 が

Transcription:

特 集 : 貯 蓄 から 投 へ 新 たな 展 開 教 育 に 見 る 早 期 世 代 間 産 移 転 とリバース モーゲージ 教 育 に 見 る 早 期 世 代 間 産 移 転 とリバース モーゲージ 小 島 俊 郎 要 約 1. 我 が 国 大 学 短 大 進 学 率 は 1992 年 に 38.9%だったが 2014 年 には 56.7% と 高 専 専 門 学 校 を 加 えた 高 等 教 育 機 関 へ 進 学 率 は 80.0%と 非 常 に 高 い 率 となっている 学 費 が 高 止 まりする 中 家 庭 から 学 生 へ 仕 送 りが 減 少 し それを 補 うべく 学 生 うち 2 人 に 1 人 が 奨 学 を 利 用 している 2. 政 府 は 高 齢 者 に 偏 在 する 融 産 を 早 期 に 若 い 世 代 へ 移 転 させることを 意 図 して 教 育 一 括 贈 与 非 課 税 制 度 等 を 創 設 拡 充 しているが 高 齢 者 世 帯 中 にも 格 差 があり 約 1/3 世 帯 が 2,500 万 円 以 上 貯 蓄 額 を 保 有 してい る 一 方 で 約 1/3 世 帯 は 貯 蓄 残 高 が 1,000 万 円 以 下 しか 保 有 していない 3. 高 齢 者 世 帯 産 構 成 を 見 ると 融 産 より 住 宅 宅 地 産 方 が 多 い 住 宅 宅 地 産 多 くは 相 続 によって 次 世 代 へと 受 け 継 がれていくが 相 続 高 齢 化 により 孫 に 教 育 が 必 要 なときに 産 が 移 転 されなくなっている 4. 孫 が 教 育 を 必 要 としているときに 住 宅 宅 地 産 をリバース モーゲー ジにより 融 産 に 転 嫁 することが 考 えられる また 実 際 リバース モー ゲージ 利 用 が 少 なくともラスト リゾート 制 度 として 普 及 すれば 将 来 不 安 に 対 する 備 えため 貯 蓄 が 減 少 することから 早 期 世 代 間 産 移 転 や 消 費 増 によって 経 済 拡 大 に 寄 与 すると 考 える Ⅰ はじめに 2014 年 12 月 30 日 に 自 民 党 公 明 党 は 2015 年 度 税 制 改 正 大 綱 を 決 定 し 政 府 は 2015 年 1 月 14 日 に 同 大 綱 を 閣 議 決 定 した 同 大 綱 では 親 や 祖 父 母 が 子 や 孫 に 結 婚 子 育 て を 一 括 贈 与 した 際 に 最 大 で 1,000 万 円 まで 贈 与 税 が 非 課 税 となる 制 度 ( 以 下 結 婚 子 育 て 贈 与 非 課 税 制 度 )が 創 設 され 親 や 祖 父 母 から 子 や 孫 が 住 宅 購 入 贈 与 を 受 けた 場 合 非 課 税 枠 が 現 行 1,000 万 円 から 最 大 3,000 万 円 に 拡 大 され 適 用 期 間 も 2019 年 6 月 30 日 まで 延 長 されることとなった また 2013 年 度 に 導 入 された 教 育 一 括 贈 与 非 課 税 制 度 ( 以 下 教 育 贈 与 非 課 税 制 度 ) 適 用 期 限 が 当 初 19

野 村 本 市 場 クォータリー 2015 Spring 2015 年 12 月 31 日 までとされていたが 2019 年 3 月 31 日 まで 延 長 されることになった 1 こうした 非 課 税 制 度 は 2015 年 から 相 続 税 を 引 き 上 げる 内 容 を 含 む 2013 年 所 得 税 法 等 一 部 を 改 正 する 法 律 附 則 において 贈 与 税 について 高 齢 者 が 保 有 する 産 若 年 世 代 へ 早 期 移 転 を 促 し 消 費 拡 大 を 通 じた 経 済 活 性 化 を 図 る 観 点 格 差 固 定 化 防 止 等 観 点 から 結 婚 出 産 または 教 育 に 要 する 費 用 等 非 課 税 財 産 範 囲 明 確 化 も 含 め 検 討 すること とされており これを 受 けて 教 育 贈 与 非 課 税 制 度 が 2013 年 度 から 結 婚 子 育 て 贈 与 非 課 税 制 度 が 2015 年 度 から 創 設 されたもと 見 られる これら 制 度 創 設 拡 充 流 れを 見 ると 政 府 は 相 続 税 を 重 くする 一 方 で 高 齢 者 が 持 つ 融 産 を 早 期 に 子 孫 世 代 へ 移 転 することに 重 点 を 置 いていると 考 えられる 本 稿 で は 教 育 現 状 を 分 析 した 上 で こうした 高 齢 者 が 保 有 する 産 若 年 世 代 へ 早 期 移 転 ( 以 下 早 期 世 代 間 産 移 転 ) 必 要 性 を 確 認 し リバース モーゲージが 早 期 世 代 間 産 移 転 促 進 に 与 える 可 能 性 を 検 討 する Ⅱ 高 まる 進 学 率 減 る 親 仕 送 り 1. 高 まる 進 学 率 減 る 親 仕 送 り 文 部 科 学 省 2014 年 度 学 校 基 本 調 査 ( 速 報 ) によると 我 が 国 大 学 短 大 進 学 率 は 1992 年 に 38.9%だったが 2014 年 には 56.7%と 2 人 に 1 人 が 大 学 短 大 に 進 学 して いる これに 高 専 専 門 学 校 を 加 えると 高 等 教 育 機 関 へ 進 学 率 は 80.0%と 非 常 に 高 い 率 となっている 大 学 に 進 学 するとどれ 位 費 用 がかかるであろうか 最 も 安 い 国 立 大 学 で 4 年 間 に 2,425 千 円 私 立 になると 文 系 で 3,857 千 円 理 系 で 5,187 千 円 となり これが 私 立 医 歯 系 となると 22,805 千 円 に 跳 ね 上 がってくる( 図 表 1) 高 校 まではほとんど 子 供 が 自 宅 か 図 表 1 大 学 入 学 から 卒 業 まで 学 費 入 学 料 授 業 料 施 設 設 備 費 初 年 度 合 計 2 年 目 以 降 毎 年 合 計 ( 注 1) 国 立 大 学 282 千 円 536 千 円 ( 注 4) 818 千 円 536 千 円 2,425 千 円 ( 注 2) 公 立 大 学 398 千 円 536 千 円 ( 注 4) 934 千 円 536 千 円 2,541 千 円 ( 注 3) 私 立 大 文 系 247 千 円 742 千 円 160 千 円 1,149 千 円 902 千 円 3,857 千 円 ( 注 3) 私 立 大 理 系 266 千 円 1,043 千 円 187 千 円 1,496 千 円 1,230 千 円 5,187 千 円 ( 注 3) 私 立 大 医 歯 系 1,036 千 円 2,765 千 円 864 千 円 4,665 千 円 3,628 千 円 22,805 千 円 ( 注 ) 1. 文 部 科 学 省 令 による 標 準 額 国 立 大 学 法 人 化 により 国 立 大 学 学 費 にも 大 学 間 で 差 が 出 てい る 2. 入 学 料 は 地 域 外 入 学 者 平 均 ( 地 域 内 入 学 者 平 均 は 232 千 円 ) 3. 私 立 大 学 昼 間 部 平 均 4. 施 設 費 実 習 費 諸 会 費 などを 徴 収 される 場 合 がある ( 出 所 ) 文 部 科 学 省 学 生 納 付 調 査 (2013 年 度 ) 私 立 大 学 入 学 者 に 係 る 初 年 度 学 生 納 付 平 均 調 査 (2013 年 度 ) より 野 村 本 市 場 研 究 所 作 成 1 教 育 贈 与 非 課 税 制 度 2015 年 改 正 内 容 詳 細 については 宮 本 佐 知 子 荒 井 友 里 恵 個 人 融 産 動 向 :2014 年 から 潮 流 野 村 本 市 場 クォータリー 2015 年 冬 号 を 参 照 20

教 育 に 見 る 早 期 世 代 間 産 移 転 とリバース モーゲージ 図 表 2 下 宿 生 仕 送 り 額 推 移 % 70 60 62.4 65.6 62.5 65.5 58.9 60.4 60.7 54.3 52.0 仕 送 り10 万 円 以 上 50 40 30 20 10 0 47.7 45.7 44.4 仕 送 り5 万 円 以 上 10 万 円 未 満 39.2 37.9 37.1 36.2 34.8 38.9 37.9 36.1 29.4 30.3 31.8 34.1 34.3 32.7 31.6 31.7 30.3 29.4 30.4 31.1 31.9 31.4 28.5 28.3 22.7 23.3 27.0 26.0 20.7 26.8 17.6 18.4 18.5 19.3 25.4 25.1 仕 送 り5 万 円 未 満 (0 円 含 む) 15.9 13.1 9.6 10.4 10.0 10.2 10.5 10.1 10.0 7.3 7.0 7.8 8.0 6.8 7.6 6.9 7.9 8.3 8.8 5.4 4.3 2.0 2.2 1.9 2.1 2.4 3.2 3.2 仕 送 り0 円 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ( 注 ) 未 回 答 があるため 各 年 合 計 は 100%にならない ( 出 所 ) 全 国 学 生 生 活 協 同 組 合 連 合 会 第 49 回 学 生 生 活 実 態 調 査 より 野 村 本 市 場 研 究 所 作 成 ら 通 学 するが 独 立 行 政 法 人 日 本 学 生 支 援 機 構 ( 以 下 学 生 支 援 機 構 ) 2014 年 度 学 生 生 活 調 査 ( 以 下 学 生 生 活 調 査 ) によると 大 学 場 合 には 約 43%が 親 元 を 離 れ 下 宿 等 から 通 学 しているため 場 合 によってはこうした 追 加 費 用 負 担 が 発 生 する 自 宅 から 通 う 学 生 に 比 べると 下 宿 している 学 生 は 年 間 約 60 万 円 程 度 費 用 がさらに 必 要 になるという 一 方 で 親 仕 送 りはどうなっているだろう 図 表 2 は 全 国 学 生 生 活 協 同 組 合 連 合 会 第 49 回 学 生 生 活 実 態 調 査 による 下 宿 生 仕 送 り 額 推 移 を 表 したもだが 1995 年 度 には 月 額 10 万 円 以 上 仕 送 りを 受 けている 学 生 割 合 は 62.4%あったが 2013 年 度 には 31.8%にまで 減 少 している 5 万 円 未 満 割 合 が 増 加 傾 向 にあり 2013 年 度 には 若 干 低 くなったが 23.3%と 1995 年 に 比 べて 約 3.2 倍 となっている 2. 奨 学 利 用 状 況 学 生 生 活 調 査 によると 学 生 収 入 総 額 は 1996 年 度 2,065,500 円 2012 年 度 1,997,300 円 であり 若 干 減 少 しているがそう 大 きな 変 化 は 見 られない 一 方 家 庭 から 仕 送 りは 1996 年 度 75.6%( 約 156 万 円 )から 2012 年 度 には 61.7%( 約 123 万 円 )と 約 30 万 円 減 少 している 一 方 奨 学 が 占 める 割 合 は 1996 年 度 5.7%( 約 11.8 万 円 )から 2012 年 度 20.3%( 約 40.5 万 円 )に 急 増 している( 図 表 3) 学 生 生 活 調 査 によると 奨 学 ( 公 的 奨 学 制 度 + 民 間 奨 学 制 度 )を 受 給 している 大 学 生 は 1996 年 21.2%だったが 2012 年 には 52.5%にまで 上 昇 している 収 入 状 況 にある 奨 学 40.5 万 円 は 全 学 生 平 均 21

野 村 本 市 場 クォータリー 2015 Spring 図 表 3 学 生 収 入 状 況 2012 年 年 間 収 入 1,997,300 円 家 庭 から 仕 送 り, 61.7 奨 学, 20.3 アルバイト, 15.4 そ 他 2008 年 年 間 収 入 2,198,800 円 家 庭 から 仕 送 り, 65.9 奨 学, 15.3 アルバイト, 16.3 そ 他 1996 年 年 間 収 入 2,065,500 円 家 庭 から 仕 送 り, 75.6 奨 学, 5.7 アルバイト, 17.6 そ 他 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% ( 出 所 ) 独 立 行 政 法 人 日 本 学 生 支 援 機 構 学 生 生 活 調 査 (2012 年 度 ) より 野 村 本 市 場 研 究 所 作 成 と 考 えられるで 利 用 率 が 約 50%とすれば 実 際 に 奨 学 を 受 けている 人 がもらってい る 額 は 倍 約 80 万 円 と 考 えられる 筆 者 知 るファイナンシャルプランナーは 子 供 教 育 は 子 供 が 生 まれたときから 何 時 幾 ら 位 必 要 かがわかる であり 長 期 かつ 計 画 的 に 準 備 できる である それ を 準 備 するは 親 責 任 だ と 述 べている バブル 崩 壊 やリーマンショックという 環 境 変 化 があった 分 を 考 慮 する 必 要 があるが 子 供 教 育 を 準 備 できない 親 が 増 加 してい ることに 奨 学 利 用 増 加 一 因 があると 考 えられる 3. 奨 学 概 要 我 が 国 場 合 奨 学 ほとんどが 貸 与 型 である 代 表 的 な 奨 学 である 学 生 生 活 機 構 場 合 無 利 子 第 一 種 奨 学 と 有 利 子 第 二 種 奨 学 2 種 類 があり 4 年 生 大 学 場 合 第 一 種 で 月 額 3 万 円 から 6.4 万 円 第 二 種 で 月 額 3 万 円 から 12 万 円 まで 額 を 借 りることになる 利 が 3% 場 合 毎 月 5 万 円 借 り 入 れを 行 ったとすると 4 年 間 (48 月 )で 元 は 合 計 240 万 円 利 息 を 含 める 債 務 合 計 で 約 300 万 円 となり それを 毎 月 約 1.7 万 円 ずつ 最 長 15 年 (180 回 )かけて 返 済 することになる 22 歳 で 卒 業 して 約 定 通 り 返 済 をしていくとすると 37 歳 まで 負 債 を 抱 えていくことになる 毎 月 一 定 額 を 返 済 する 元 利 均 等 償 還 場 合 当 初 は 利 息 が 多 く 返 済 元 が 少 なく 返 済 が 進 むにつれて 返 済 額 に 含 まれる 返 済 元 割 合 が 増 える 仕 組 みとなっている 言 い 換 えると 借 入 残 高 減 少 は 当 初 緩 やかで 返 済 が 進 むにつれて 残 高 減 り 方 が 増 えていく 形 となる 15 年 償 還 場 合 元 が 半 分 になるは 約 8.3 年 後 ため 30 歳 を 過 ぎた 時 点 では 借 入 はま 22

教 育 に 見 る 早 期 世 代 間 産 移 転 とリバース モーゲージ だ 半 分 以 上 残 っている 計 算 となる 奨 学 利 用 増 加 に 伴 って 返 済 できない 人 人 数 も 増 加 している 2004 年 度 末 にお ける 奨 学 延 滞 額 は 507 億 円 延 滞 者 数 24.9 万 人 だったが 2013 年 度 末 には 延 滞 額 は 957 億 円 延 滞 者 数 は 33.4 万 人 と 大 きく 増 加 している 2 一 般 的 に 奨 学 を 延 滞 する 人 が 増 えている 理 由 として 学 費 高 騰 で 借 入 額 が 多 くなっていることや 安 定 した 仕 事 に 就 けない 人 が 増 えていることがあるといわれている 延 滞 者 が 増 加 していることも 政 府 が 世 代 間 産 移 転 を 早 めようとする 要 因 となっていると 考 えられる Ⅲ 高 齢 者 に 偏 在 する 産 1. 教 育 贈 与 に 対 する 非 課 税 制 度 前 述 とおり 教 育 贈 与 非 課 税 制 度 が 2013 年 4 月 に 創 設 された 概 要 は 1 受 贈 者 とされる 子 孫 は 30 歳 未 満 2 教 育 とは 学 校 等 に 支 払 われる 入 学 やそ 他 銭 及 び 学 校 等 以 外 に 支 払 われる 銭 うち 一 定 も 3 教 育 は 信 託 口 座 に 入 され 払 い 出 した 銭 は 教 育 支 払 いに 充 当 したことを 証 する 書 類 を 融 機 関 に 提 出 すること 4 非 課 税 枠 は 受 贈 者 1 人 につき 1,500 万 円 ( 学 校 等 以 外 もに 支 払 われる 銭 は 500 万 円 が 限 度 )で 2013 年 4 月 1 日 から 2019 年 3 月 31 日 3 まで 時 限 的 な 制 度 で ある 信 託 協 会 料 によると 2014 年 9 月 末 で 受 託 契 約 数 89,095 件 信 託 財 産 設 定 合 計 額 は 6,048 億 円 となっている あまり 知 られていないが 教 育 については 扶 養 義 4 務 者 間 で そ 都 度 必 要 な 範 囲 内 で 贈 与 されるもは 贈 与 税 が 非 課 税 となっている 例 えば 入 学 や 毎 年 授 業 料 を 必 要 とされる 時 期 に 祖 父 母 が 贈 与 する 場 合 贈 与 税 はかからない にもかかわらず こ 制 度 が 創 設 されたは 相 続 税 を 増 税 する 一 方 で 早 期 に 世 代 間 産 移 転 を 図 ろうという 政 府 意 図 があるためと 考 えられる 2. 高 齢 者 世 帯 融 産 保 有 状 況 これら 非 課 税 制 度 背 景 にあるは 高 齢 者 世 代 とそれ 以 外 世 代 と 間 に 産 偏 在 が 生 じていることがあげられる 総 務 省 消 費 実 態 調 査 (2009 年 ) ( 以 下 消 費 実 態 調 査 )によれば 二 人 以 上 世 帯 1 世 帯 あたり 家 計 産 を 世 帯 主 年 齢 階 級 別 に 見 ると 30 歳 未 満 が 854 万 円 70 歳 以 上 が 5,024 万 円 となっており 約 6 倍 開 きがある こうした 偏 在 する 高 齢 者 産 を 子 や 孫 住 宅 や 教 育 結 婚 などに 早 く 活 用 しようとする が 贈 与 非 課 税 制 度 であると 考 えられる しかし 全 て 高 齢 者 が 産 に 余 裕 があるわけでは 無 く 高 齢 者 世 代 中 でも 当 然 に 2 3 4 延 滞 額 で 見 た 延 滞 率 は 救 済 措 置 や 回 収 率 向 上 に 向 けた 取 組 みなどにより 2004 年 度 末 22.1%から 2013 年 度 末 17.2%へと 低 下 しているが それでも 約 6 人 に 1 人 が 延 滞 しており 水 準 自 体 は 高 いと 言 わざるを 得 ない 2015 年 度 税 制 改 正 により 延 長 された 後 期 限 民 法 は 877 条 第 1 項 において 直 系 血 族 及 び 兄 弟 姉 妹 は 互 いに 扶 養 をする 義 務 がある と 定 めている 23

野 村 本 市 場 クォータリー 2015 Spring 産 保 有 に 格 差 がある 総 務 省 家 計 調 査 (2013 年 ) によると 60 歳 以 上 高 齢 者 世 帯 約 1/4 は 3,000 万 円 以 上 貯 蓄 残 高 を 有 している 貯 蓄 残 高 平 均 値 は 2,384 万 円 中 央 値 は 1,578 万 円 となっている 平 均 値 が 中 央 値 と 大 きく 乖 離 しているは 少 数 高 額 融 産 保 有 者 が 全 体 平 均 値 を 上 方 に 引 き 上 げているためであり 約 1/3 世 帯 が 2,500 万 円 以 上 貯 蓄 額 を 保 有 している 一 方 で 約 1/3 世 帯 は 貯 蓄 残 高 が 1,000 万 円 以 下 しか 保 有 していない どくらい 融 産 があれば 産 贈 与 が 行 われるであろうか 2014 年 12 月 11 日 にアットホーム 株 式 会 社 が 発 表 した 住 宅 購 入 時 親 贈 与 実 態 調 査 によると 住 宅 を 贈 与 した 親 平 均 月 収 は 35.3 万 円 生 活 費 平 均 は 26 万 円 住 宅 贈 与 平 均 額 は 564 万 円 となっている 一 方 贈 与 していない 親 平 均 月 収 は 33.4 万 円 生 活 費 平 均 は 24.5 万 円 とそれほど 大 きな 差 は 見 られないが 貯 額 平 均 を 見 ると 贈 与 した 親 は 2,339 万 円 贈 与 していない 親 は 1,228 万 円 と 大 きな 開 きが 見 える また 贈 与 しなかっ た 親 贈 与 しなかった 理 由 ( 複 数 回 答 )について 最 も 多 かったは 自 分 は 自 分 子 供 は 子 供 お 互 いに 自 立 していたいから が 43.0%だが 2 位 には 自 分 に 余 裕 が 無 かったから が 39.0%となっており 教 育 か 住 宅 違 いはあるも 保 有 融 産 現 在 高 が 贈 与 有 無 大 きな 要 因 となっている 可 能 性 は 高 そうだ 従 って 自 ら 老 後 生 活 等 ため 融 産 を 確 保 しつつ 数 百 万 円 単 位 を 孫 に 援 助 できる 高 齢 者 世 帯 数 は 自 ずと 限 られるもと 考 えられる 3. 多 い 住 宅 宅 地 産 消 費 実 態 調 査 により 高 齢 者 産 構 成 を 見 ると 融 産 が 約 1/3 住 宅 宅 地 産 が 約 2/3 を 占 めている すなわち 高 齢 者 世 帯 産 は 融 産 より 住 宅 宅 地 産 方 が 多 いである 融 産 は 必 要 なときに 必 要 な 額 に 分 けて 子 孫 に 贈 与 することが 可 能 だ が 住 宅 宅 地 産 は 売 却 などで 換 価 しなければならず 分 割 することが 難 しく 多 く 場 合 は 一 括 して 売 却 せざるをえない 当 然 ながら 売 却 すると 祖 父 母 住 むところが 無 く なってしまう 従 って 住 宅 宅 地 産 が 子 供 世 代 に 移 転 するは 相 続 時 まで 待 つ 必 要 がある Ⅳ 早 期 世 代 間 産 移 転 とリバース モーゲージ 1.ずれる 産 移 転 時 期 高 齢 者 世 帯 産 が 子 孫 世 帯 に 必 然 的 に 移 る 時 期 がある 相 続 である 平 均 寿 命 が 70 歳 前 後 時 代 (1960 年 から 1970 年 代 ) 5 世 代 間 年 齢 差 が 30 歳 と 仮 定 すると 親 が 70 歳 で 死 亡 した 場 合 子 供 は 40 歳 孫 は 10 歳 ということになる こ 場 合 子 供 は 親 5 1960 年 平 均 寿 命 は 男 65.32 歳 女 70.19 歳 1970 年 平 均 寿 命 は 男 69.31 歳 女 74.66 歳 24

教 育 に 見 る 早 期 世 代 間 産 移 転 とリバース モーゲージ 財 産 を 相 続 し 孫 ため 学 費 として 使 うことが 可 能 となる しかし 2013 年 平 均 寿 命 は 男 性 で 80.21 歳 女 性 で 86.61 歳 となっており 平 均 寿 命 は 上 昇 傾 向 にある 仮 に 母 親 が 90 歳 で 死 亡 し 二 次 相 続 が 発 生 するとした 場 合 子 供 年 齢 は 60 歳 孫 年 齢 は 30 歳 となる 国 土 交 通 省 推 計 では 相 続 贈 与 により 宅 地 を 取 得 した 世 帯 主 平 均 年 齢 は 年 々 上 昇 しており 2008 年 では 62.6 歳 となっている これら 例 からもわかるように 学 費 が 一 番 かかる 時 に 相 続 財 産 をあてにすることができないだ 結 婚 や 住 宅 取 得 は 各 人 都 合 によって 時 期 は 多 様 である しかし 教 育 は 子 供 が 生 まれた 時 点 で 必 要 とする 額 と 時 期 がほぼ 特 定 される 孫 がお を 一 番 必 要 とする 時 期 に 高 齢 者 世 帯 産 多 くを 占 める 住 宅 宅 地 産 が 活 用 できない 状 況 が 多 く 生 じているわけだ もし 孫 学 費 が 必 要 な 時 期 に 相 続 産 が 利 用 できれば 孫 等 へ 教 育 問 題 も 解 決 に 向 か いそうだ 2.リバース モーゲージ 活 用 こ 住 宅 宅 地 産 を 孫 が 一 番 必 要 とするときに 活 用 する 方 法 として リバース モー ゲージ 利 用 が 考 えられないだろうか 6 すなわち リバース モーゲージを 利 用 して 将 来 相 続 で 産 移 転 する 住 宅 土 地 産 を 現 時 点 で 融 産 に 転 換 し 転 換 した 融 産 をお が 必 要 な 現 在 に 利 用 するというもだ 7 特 に 老 親 が 離 れて 田 舎 に 住 んでおり 相 続 してもそ 住 宅 に 相 続 人 が 住 む 予 定 ない 場 合 には 相 続 時 点 で 住 宅 が 売 却 されるた め 現 在 問 題 となっている 空 き 家 対 策 としても 有 効 であろう リバース モーゲージは 債 務 を 返 済 するために 住 宅 土 地 を 売 却 してという 表 現 が 使 われることがあるため 誤 解 さ れやすいが 住 宅 土 地 を 売 却 して 終 わりではなく 家 を 売 却 して 債 務 を 返 済 した 後 に 残 額 があればそお は 当 然 に 相 続 人 に 対 して 支 払 われる 2015 年 から 相 続 税 改 正 がな され 控 除 額 引 き 下 げによってこれまで 相 続 税 対 象 とならなかった 人 でも 課 税 対 象 となる 可 能 性 があるという リバース モーゲージを 利 用 すると 債 務 分 は 住 宅 価 値 から 引 かれ 相 続 する 産 価 値 が 減 少 するで 相 続 税 対 策 として 効 果 も 期 待 できよう 相 続 した 時 点 で 住 宅 土 地 処 分 を 考 えている 場 合 には そ 一 部 を 前 払 いで 受 け 取 ると 考 えれば 抵 抗 感 が 少 なくなるではないだろうか Ⅴ リバース モーゲージラスト リゾート 効 果 リバース モーゲージが 普 及 し 認 知 度 や 理 解 が 進 めば 実 際 にリバース モーゲージ を 利 用 しなくても 早 期 世 代 間 産 移 転 が 進 む 可 能 性 がある 融 広 報 中 央 委 員 会 家 計 融 行 動 に 関 する 世 論 調 査 (2014 年 ) によると 高 齢 者 融 産 保 有 目 的 は 6 7 リバース モーゲージ 詳 細 については 小 島 俊 郎 我 が 国 本 格 的 なリバース モーゲージ 普 及 に 向 け て 野 村 本 市 場 クォータリー 2013 年 冬 号 参 照 こと リバース モーゲージ 利 用 例 として 教 育 を 紹 介 している 銀 行 があるなど 現 行 でもリバース モー ゲージを 教 育 で 使 用 することを 制 限 する 融 機 関 はほとんどないとみている 25

野 村 本 市 場 クォータリー 2015 Spring 図 表 4 融 産 保 有 目 的 ( 融 産 保 有 世 帯 ) ( 単 位 :%) 災 病 害 気 へ や 不 備 時 こ ど も 教 育 こ ど も 結 婚 増 住 改 宅 築 な 取 ど 得 ま た 老 後 生 活 購 耐 久 入 消 費 財 旅 行 レ ジ ャ ー 納 税 子 遺 孫 産 に と 残 し し と く て 融 に い 目 的 れ 産 は ば を な い 安 保 が そ 無 回 え は す て 心 有 他 答 平 均 64.0 30.2 6.2 12.1 67.8 13.8 12.5 5.4 7.3 21.1 4.0 0.4 20 歳 代 61.2 73.5 2.0 40.8 18.4 12.2 16.3 2.0 6.1 24.5 2.0 0.0 30 歳 代 53.2 68.4 2.6 24.2 37.7 18.7 14.5 3.2 2.9 20.0 3.2 0.6 40 歳 代 52.3 67.6 6.7 12.2 51.0 19.5 11.1 5.5 1.9 17.6 4.0 0.4 50 歳 代 63.9 31.3 11.7 10.3 72.0 15.9 10.5 4.7 5.6 18.6 3.3 0.4 60 歳 代 69.1 4.1 7.0 11.0 84.0 10.7 14.8 6.0 10.3 23.5 4.4 0.6 70 歳 以 上 74.6 3.2 1.7 6.2 79.8 8.0 11.9 6.8 12.7 24.4 4.5 0.3 ( 注 ) 回 答 は 3 つまで 複 数 回 答 ( 出 所 ) 融 広 報 中 央 委 員 会 家 計 融 行 動 に 関 する 世 論 調 査 [ 二 人 以 上 世 帯 調 査 ](2014 年 ) より 野 村 本 市 場 研 究 所 作 成 病 気 や 不 時 災 害 へ 備 え が 60 歳 代 で 69.1% 70 歳 以 上 で 74.6% 老 後 生 活 が 60 歳 代 で 84.0% 70 歳 以 上 で 79.8%と 他 年 代 に 比 べて 高 くなっており いわゆ る 将 来 不 安 等 に 対 する 備 えが 貯 蓄 目 的 となっているといえる( 図 表 4) リバース モーゲージが 普 及 し いざという 時 に 住 宅 宅 地 産 が 容 易 にキャッシュに 代 えられる (いわゆるラスト リゾートとして 機 能 する)ことになれば 将 来 不 安 が 薄 れる 可 能 性 が 高 くなり 将 来 不 安 ため 融 産 を 子 や 孫 教 育 として 使 うことについて 抵 抗 感 が 薄 らいでいくだろう 筆 者 はリバース モーゲージを 利 用 した 世 代 間 産 移 転 よ りもラスト リゾートとしてリバース モーゲージが 機 能 することによる 世 代 間 産 移 転 方 がより 多 く 効 果 を 持 っていると 考 えている さらにラスト リゾートとして 機 能 は 世 代 間 産 移 転 による 効 果 にとどまらず 消 費 等 増 加 を 通 じて 経 済 拡 大 に 大 きく 寄 与 するだろう 住 宅 や 結 婚 とは 異 なり 教 育 は 何 時 幾 らかかるか 予 見 し 易 いこともあり 計 画 的 な 世 代 間 産 移 転 を 促 す 上 でリバース モーゲージは 一 定 役 割 を 果 たすもと 考 えており リバース モーゲージを 取 り 扱 っている 融 機 関 はもっと 教 育 等 へ 利 用 について 積 極 的 に 宣 伝 等 をしてもよいでは 無 いだろうか 26